戦友

2007/03/26 16:12 登録: えっちな名無しさん

小6の春から3年間同じ塾に通って高校受験を一緒に乗り越えた奴らは
男女も越えて、友達というよりは仲間・・「戦友」という言葉がしっくり来る。
あいつらと出会ってもう10年になるのかな。
私が鬱病で毎日死にたくて苦しんでいた時、一人が
「あんたがたとえ鬱病でも人殺しても借金まみれになっても、味方だから」
って言ってくれたりした。

高校受験で、成功した奴も失敗した奴もいたけど、
もう二度と会えないのは、失敗して大学の付属に行った中の一人の男の子、T君。
第一志望に彼より成績がちょっと悪かったような奴が受かったりもしたのに
笑顔で「おめでとう!良かったな!」って言っていた。
高校に入っても、
お互いの文化祭に行ったり、集まって遊んだりして月日は過ぎた。

高3の冬、12月の寒い日だった。
私は受験を控えて、学校が終わった後ミスドで勉強してた。
そこに、仲間のひとりの女の子Aから電話。
私「お、ひさしぶり〜^^ 元気〜?」
能天気な私の言葉に、返ってきたのはそれを打ち砕く一言だった。
A「さっきね、T君が亡くなったらしいんだ」
私「・・は?う、嘘でしょ?なんで!?」
想像だにしていなかった私は、ドッキリでひっかけようとしてるのかとさえ思った。

A「私もT君がずっと入院してたの昨日知って、
明日お見舞い行こうって約束したばっかりなんだよ・・まさか今日死んじゃうなんて・・」
私「は!?入院なんてきいてないよ!?」
A「みんなは受験があるからって、
私たちに心配かけないように秘密にしてたらしいんだ。
入院してるって、昨日T君の学校の人からきいて知ったんだよ。
・・本当に信じられないよ」
私「嘘でしょ・・・」

信じられなかった。私と同じ年の、18歳の、仲間が、T君が、病気で、死んだ?
頭が真っ白になって、お店の中の雑音も遠くに聴こえた。
もちろん勉強どころじゃなくなって、仲間内に電話をかけまくった。
連絡をとりあって、みんなでお通夜に一緒に行くことにした。

お通夜の日。色々な制服で集まった。
高校の制服姿の参列客が列を作っていた。
T君は、遺影の中でいつも通り笑っていた。
お焼香の順番が回ってきて、T君そっくりな弟を見たとき
涙が溢れた。泣いている私に向かって、お母さんが深く頭を下げてくれた。

みんな、若い友達が死ぬということに現実感がなかった。
私たちはケンタッキーに行って、学校のことや受験のことを喋って
バカなことをやって、いつも通り笑い合うことしかできなかった。
通夜帰りに笑うなんて不謹慎かもしれない。
でも、どうしても、誰も、T君のことに触れられなかった。
信じたくなかった。
もう会えないなんて、もう話ができないなんて。
お見舞いにすら行けなかった悔しさが胸に渦巻いた。
喋ったら、その瞬間に本当のことになってしまいそうで。
笑っていないと、
悲しみが堰を切ってしまって耐え切れないだろうことが
みんなわかっていたから。
帰り際、一人の男の子がポツリと言った言葉は今でも忘れない。
「もうこの先50年は、この中の誰も死ぬな。約束だからな。」

T君が亡くなって、もうすぐ4年。
いつもの仲間と飲みながら、
ようやくT君の名前が出せるようになってきた。
香典返しに同封されていたテレホンカードは、
今でも未使用のまま財布の中に入れて持ち歩いています。



出典:                                      。
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