お弁当

2007/03/26 20:00 登録: えっちな名無しさん

バスケ部だったからきっと腹減るんだろ、俺の隣の席のそいつは
いつもはちょっと女の子っぽくない、普通にボリュームのある弁当
を食べてた。まあ、長身スリムでボーイッシュなタイプだったから、
可愛いお弁当箱なんか、そもそも似合わなかっただろうけど。

でも、お袋さんが体調を崩して入院して以来、そいつの弁当は
サンドウィッチとか、そういうお手軽メニューになった。
自分じゃ料理はできなかったみたいで。

あれじゃ物足りないだろうな、なんていう俺の予想は大当たりで、
ある日の午後、隣の席からきゅるるーとか腹の鳴る音がしたから
横を見たら、ものすごい恥ずかしそうな顔したそいつと目が合って、
それがあまりにも可愛くて、俺は思わず言っちゃったんだ、

”弁当、俺が作ってやろうか?”って。


大した事じゃなかったんだ。
俺と妹の分と合わせて二つ、毎朝弁当作るのが家での俺の
当番だったから、もう一つ増えようが別に大した手間じゃない。

赤い顔したままぶんぶん首振って遠慮するそいつに、その辺の
事情を説明して、納得させて、それで翌日から弁当一緒に
食べるようになった。今から思えば、それが付き合ったきっかけ。

何かのはずみで当時の話題がでると、”スポーツやってたから
お腹減るのはしょうがないのであって、別におーぐらいだったわけ
じゃない”とか”弁当に釣られただけであって、別に俺のことなんか
何とも思ってなかった”とか、今でもムキになって言い訳するから
俺も取り敢えずそういうことにしておくって言って、笑ってやるんだ。



出典:萌え
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