美奈姉

2007/04/02 22:13 登録: えっちな名無しさん

今日、三十歳の誕生日を迎えた
何気ない普通の一日だったがひとつの節目なんだろうか
不意に昔のことを思い出してしまった。

18の頃、晴れて大学に合格した俺は鼻歌まじりに駅へと向かった。

 美奈姉「くすすすすっ、朝からご機嫌ね。」

近所に住むお姉さんに聞かれてしまった_| ̄|○


そのお姉さんも近々結婚すると言う話を聞いているが、浮かれた様子も無い。
(このとき既に30になっていた美奈姉は俺から見ると当然大人の女性。
 みだりに浮かれた姿を見せないのが大人だと勝手に思っていた。)
話をしていると、俺の大学に行くまでの駅に美奈姉の会社があるそうな。
それからと言うものの、俺が1限目の授業の日は必ずと言っていいくらい一緒に通学(通勤)した。




 美奈姉「そうなの、これから1時間目がずっとあるんだ」

もちろん嘘である。むしろ1限目が無いほうが多かった。ちなみに美奈姉は大学には行っておらず、授業のことをどうしても「〜時間目」と言っていた。
中高と男子校で女っ気の無かった俺は彼女はもちろんのこと、女の子と話したことすら皆無であった。
だからなのか、美奈姉と話をしながら電車に乗ることが楽しくて嬉しくてしかたなかった。





今のように携帯など普及していなかった時期。連絡手段はポケベル主流だった。
美奈姉は音速の打天使よろしく、時々、公衆電話で目にも留まらぬ速さでボタンを打ち込む姿をたびたび目撃した。

 美奈姉「ボクはポケベル持ってないの?」

(ちなみに、美奈姉は俺のことを「ボク」と呼んでいた。大学生にもなって一人称が「ボク」な俺を半分からかっていたのだろう。しかし悪い気はしなかったし、当時姉属性の気があった俺はむしろ気に入っていた)



ポケベルは持っていなかったが、近々買うと嘘をついた。買ったら教えてやるよと自分なりにクールに言ったつもりだが、思い出してみると滑稽だ。
数日後、購入したポケベルを見せ、約束どおり美奈姉に番号を教えたところ、美奈姉はおもむろに公衆電話に向かい、音速の打天使光臨。

 『06-XXX-XXXXダヨ ミナ』

初めてのメッセージは美奈姉のベル番でした。




 『キョウノミニイコ ミナ』
二十歳未満の飲酒は法律違反なのだが、この際、目を瞑ってほしい。
美奈姉と合流し、途中の駅にある居酒屋に入る。美奈姉の駅近くにもあるのにと言ったら、会社の人に見られちゃうからと諭された。うん、そんなところまで気が回らなかった。

ハイペースで飲む美奈姉。普段あまり自分のことを話さない美奈姉がその日は饒舌になっている。俺も酔っていたし学生だったので社会人のことはわからなかったが、要約すると「婚約者が仕事の重責に耐えられず会社から逃げていった。家庭を持つことにも責任が取れないからと婚約解消された」との事だ。
正直、当時の俺に理解できる話ではなく、ただ黙って聞くくらいしか出来なかった。
そして、店は閉店。終電もとっくになくなっている。美奈姉に誘われるがまま入ったホテルで初めての無断外泊をした。


俺たちは付き合う前に、突き合った・・・最中には珍しく俺ことを名前で呼んでくれた。




12歳もの年の差に戸惑いつつも俺は美奈姉と正式に付き合うことになった。
美奈姉もいろいろ合った直後だったため、しばらくは普段どおり朝の電車に乗り、夜時間があったときにだけデートをした。
美奈姉はいろんなことを教えてくれた。デートの時の振舞い方から服の選び方、お泊りの時にはココには書けないような事まで。イタシテいる時だけは俺のことを名前で呼んでくれるのだが、それ以外は相変わらず「ボク」呼ばわり。


それでも、俺のことを「ボク」と呼ぶ美奈姉の顔は、うぬぼれかも知れないがとても幸せそうに見えたんだ。



付き合いだして1年杉。俺が成人式を終えて帰ってきたくらいか?

 美奈姉「これでちゃんと飲みに誘えるね」

まぁ、早生まれな俺はまだ19だったんだが、5日後が誕生日なので誤差の範囲だろう。
てか、正月杉に今度の誕生日は温泉でも行かないと言ってきてたはずなのに、ヌけてるぞ美奈姉。。。かわいいが。
正直、金も無いしセクロスしたとはいえ旅行となるとまだ気が引ける俺だったが、あまりの押しの強さに結局折れた。
温泉宿でまったり過ごした後、帰り際に美奈姉の一言。

 美奈姉「もう会えない」



なんでも、病気になったらしい。
それが苦であり、俺に迷惑をかけるのが嫌で別れを切り出したらしい。
年齢のこともあっただろうしね。


 美奈姉「○○、いい男になったんだから、絶対もっといい彼女できるよ。
     今度は、私みたいなおばちゃんに惹かれたらだめだよ」

結局、美奈姉の言葉は現実のものとはならなかったのだが。




30になり出会ったときの美奈姉と同じ歳になった。
今の自分を見てみると、小さいながらも自分の会社を持ち、美奈姉の言ったように日々責任の重さを痛感しているが、比較的時間には余裕を持って暮らせている。
所帯を持ち、2人の子供にも恵まれた。比較的上々な人生だと感じている。

 美奈姉『ボクは繊細な子だから、お姉ちゃんちょっと心配(笑)』



30になった俺を見て、美奈姉はなんて言ってくれるだろうか?
そして美奈姉は今頃どうしているのか・・・

 嫁「更年期前よ!もう40過ぎてるでしょ。」
 俺「うぉわぁぁぁぁっー」
 嫁「まったく、また2ちゃんねらー釣ってんの?たまには・・・」
 俺「うん、すまなかった」
  (そっとノートパソコンを閉じる)

 俺「・・・ん?なんか言ったか?」
 美奈「ちょっと禿げてきてるけど、カッコよくて頼れるわよ。
    ほら、ケーキ買ってきたんだから、お祝いしましょ・・・ボク(/////)」


・・・うん、ハタチの俺よ。三十路の俺はかなり幸せだぞ。




ちなみに美奈は糖尿病だった。
 
 美奈「あ、あの時は真剣に悩んでたんだからね!」

だってw
今も治療は続けているがかなり安定している。おかげで子供も出来たし。
良いように考えると、とても健康的な食生活を送っているためすごぶる調子がいい。
言っておくが、美奈はピザじゃないぞ!確かに子供2人産んで体のラインは昔ほどではないが。

俺の話は以上です。ながながと付き合いいただきありがとうございました。

出典:今日、誕生日の奴語れ!
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