窓辺の黒い影
2007/04/30 22:30 登録: えっちな名無しさん
あのですね、「俺には霊感無いし、幽霊なんか見えないから安心だよ」なんて言ってる方。甘いですよ。霊感無くても見えちゃう事があるんですよ。僕のように。
それは八年ほど前の夏の夕暮れ時の出来事です。
僕が通勤に使うJRの駅までの通勤路の途中には、築何十年経ってるの分からないようなボロい下宿風のアパートがありました。それでも一応住人は居るらしく、取り壊される気配はありませんでした。
ただ、聞いた話では過去何人か自殺者が出たという噂のある、いわく付きの物件なんだそうです。
さてその夏の夕暮れ時。僕は会社終わりでJRの地元駅を降りると帰宅の途につきました。夏という事で、6時を過ぎてもまだ空には夕日の薄明るさがありました。
そして僕はだんだんとそのアパートに近づいて行きます。
ふと、僕は何かが気になり、アパートの二階あたりに視線を上げて見ると…
「…何だ あれは?」
アパートの一室の窓のすぐ外の薄暗い空間で何かがうごめいている。僕は歩を止めて目を凝らして見てみました。
“それ”は。手足のような形が分かる人間の形をした黒い影なのです。
しかも! その黒い影には“頭”の部分が無いのです! 首無しの黒い人影…それがユラユラと浮かんでうごめいているのです!
「おい、ちょっと勘弁してよ! お、俺、霊見ちゃったのか? 俺、霊感なんか無いのにぃ〜! アレ見たら取り憑かれちゃったりするのかな…」
小心者の僕はマジでビビリました。でも帰宅するにはこの道が最短で、他の道へ迂回するとかなりの遠回りになってしまう。もう疲れてるし、それはイヤだ。
仕方なく僕は意を決してアパートの前を通る事にし、目を薄目に閉じてなるべくアパートを見ないようにして歩を進めました。
そしてアパートの直前まで来た時、恐怖の絶頂でしたが、僕はもう一度アパートの二階を見てみる気になり、怖々と視線を二階の窓辺へ向けてそこに見たものは!
窓の外の物干し竿にハンガーで吊された…黒いウエットスーツが!
それが風に吹かれてユラユラ揺れている…
そう、その部屋の住人はサーファーだったとさ…。
(そういやあ、入り口にボード立て掛けてあるの見たことあるな…)
もう!僕が視力0.4以下で裸眼だったとはいえ…紛らわしいモン干すな!
出典:まあそう怒るなって
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