いとこ婚
2007/06/08 20:34 登録: えっちな名無しさん
うちは母方の祖父母の結婚の場合。
母親の両親は、いわゆる「いとこ婚」。ただ、双方の父親が一卵性双生児だっ
た。つまり、いとことはいえ遺伝的には異母兄弟同然で、普通だったら絶対結
婚させない組み合わせだったそうな。
でも結婚する羽目になったのは、身内の恥の隠ぺいのため。
うちのばあちゃんとじいちゃんは、一卵性双生児の父親同士が近所に住んでい
たため、完全に姉弟のように育てられていたらしい。
そして少女時代から切れ者だったばあちゃんは、一族の期待を担って都会の女
学校に入学。
しかし、少々切れるとはいえ所詮は田舎モンの小娘、都会の遊び人の妻子持ち
(どうやら華族だったらしい)に自由恋愛とやらを吹き込まれ、腹を膨らませ
て田舎に帰ってきた。
当然、一族がばあちゃんに対して行った投資が無駄になって、親族一同大激怒。
結構名前のある一族だったため、スキャンダルの流布を恐れた親族は身の不始
末に決着をつけさせるため自殺させるかというところまで行った。
でも、ばあちゃんの処刑に反対した人がいた。それが、じいちゃんの兄だ!
「結婚したという形式をとれば、身内に恥は無い! だから結婚させる、<俺
の弟>と!」
と、ここでばあちゃんの命と名誉を救うためにじいちゃんの人生を犠牲にする
ことを勝手にじいちゃんの兄が決めてしまった。
さて、何も知らずに漁から帰ってきたじいちゃん(当時17才)。
なんで姉ちゃんがこんな時期に帰ってきたんだろう? 親戚のおじ衆がずいぶ
ん深刻な顔してるし、姉ちゃんはえらく太ったように見える。
おばちゃん(ばあちゃんの母親)が号泣してる声も聞こえるし、何か大変な事
件があったみたいだ。でもボクはまだ子供だから関係ないな。よくないことが
起こったみたいだけど、もう遅いから寝よう。
とまあ、こういう子供みたいなことを考えていたらしい。
その後親族会議が終わって、寝てるじいちゃん(当時17歳)がたたき起こさ
れる。姉ちゃん(ばあちゃん)は、座敷牢に入れられていた。
チラッと見た限りでは太ったと思った姉ちゃん(ばあちゃん)が実は妊娠し、
もう中絶も出来ない状態になってることがすぐに分かった。
そして、じいさんの兄貴と一族の総領が「おまえ、何も言わずに○○(ばあちゃ
ん)と結婚しろ」と切り出した。
一族全てのおじ衆だけでなく総領まで土下座してまで頼まれて、もし断っ
たら自分はこの地域から追放される。まあそれはいいけど、ねえちゃん
は最悪本当に殺されることを理解したじいちゃんは、実の姉同然のばあ
ちゃんと即座に祝言をあげることを決断した。
……まあ、これがばあちゃんの葬式のときにじいちゃんに聞かされ、あ
とで裏が取れたじいちゃんとばあちゃんのなれそめです。
俺だったらこの決断は到底出来ないので、じいちゃんを尊敬しています。
仲良しというか、じいちゃんは30代後半ぐらいから78歳で往生するまでの
間、ずっと寝たきりで過ごしました。
その間、一人で稼いで一家の家計を支えたのは、ばあちゃんです(ばあちゃん
のほうが先に死んだので、それ以降は孫の俺)。
寝たきりになった原因は、台風の日に船で海に出かけた娘2人を助け、船の上
で風雨からかばい続けた結果、重症の肺炎をこじらせたからです。
じいちゃんは一族で一番若くて長男ではなく、しかも兵役に就けないぐらい体
が弱かったからこそ結婚相手に選ばれたんですが、俺はたとえ一生の半分をベッ
ドで過ごしたとしても男の中の男だったと思います。
余談ですが、親族一同がじいちゃんに求めていたのは、あくまでも「子
供が生まれた理由」だったため、出来ちゃった婚で妊娠して祝言を挙げ
たのはいいけど「血が濃すぎたせいで死産だった」ため、半年で離縁し
ばあちゃんは出家し、じいちゃんは後添えを貰うという筋書きが用意さ
れていました。つまり親族的には身の不始末をしでかした娘がいると他
の娘の価値が下がるために行われた偽装結婚だったわけです。
が、生まれる子供を間引くのを強硬に反対したのはじいちゃんでした。
ばあちゃんはじいちゃんに対する申し訳なさを埋め合わせするみたいに、
その後じいちゃんの子を4人生みました。
個人的に、一番上のおっちゃん(じいちゃんと血はつながってない)が
生まれて初めて、じいちゃんとばあちゃんは本当の夫婦になったのかな
と思います。(うちの母親は、3人目)
……あーあ、これが作り話だったら、俺小説家になれるのになあ(笑)
出典:あ
リンク:あ

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