工事現場の白い影
2007/06/20 16:12 登録: えっちな名無しさん
もう10年も前の話ですが忘れられない出来事なので書かせてください。
私は工事現場の監督という立場で今まで仕事をしてきました。
山奥、山村、海沿いのひなびた街、過疎村、そういう所で
国の事業や、道路建設と称した地方自治体への支援工事に携わってきました。
あれは山奥での橋梁建設工事の時です
山は天気が変わりやすく、テレビでは晴れとの予報でも
局地的に雨が降ったりと大変でした。
その夜も曇り予報なのに雨が降り始めたので
現場は一時停止。少しの雨ならいいのですが、
大粒の雨がざぁざぁと降ってきました。
終業時間になってもやまず
そして大雨に変わっていきます。
職人さん達に今日は終わり!と告げると
皆帰って行きます。
私は現場の最後の見回りにカッパを着て外に出ました。
発電機を回し、現場の電気をつけて歩き始めました。
火の不始末は無いか?機器の異常は無いか?一通り点検し
帰ろうと後ろを振り向くと、半分程度まで出来ている橋の
入口付近に人影がありました。
だれだ?職人さんが帰らなかったのか?
吹きすさぶ雨と風は更に強さを増し目の前が雨粒のカーテンで
見難くなり、白いキリが立ち込め始めました。
その人影のところへ歩いていくと、先ほど見かけた場所まで来ても
誰も居ません。
あたりは雨雲で薄暗くなり、発電機でついている電気が
段々と明るさを増してきます。
雨に打たれてびしょびしょなカッパを放り出すと
私も帰る支度を始めました。
しかし、どう探しても車の鍵が無いのです。
ポケットに入れておいたはずですが、みつかりません。
現場点検中に落としたのかと思い、またカッパを着て
今度は懐中電灯を持ち再び点検通路へ。
そしてその懐中電灯を持ったまま後ろを振り返った瞬間
10m程先に白い影が。
懐中電灯で照らしても、透き通ってしまうその白い影は
徐々に近づいてきました。
心臓が高鳴り、脳はヤバイ!ニゲロ!の指令を出しています。
橋の反対側へ渡り、必死で走りました。
プレハブの事務所に入ると鍵を閉めて
ブラインドを全て閉じて端っこの方で固まりました。
今見たものが信じられず、だたの霧の塊だったんじゃないか?
目の錯覚で人の形に見えたんじゃないか?と自問自答を繰り返しました。
車に乗りたくても鍵が無い。
雨はまた激しさを増し、プレハブの薄い屋根をばしばしと叩きます。
TVをつけ音を大きくして、ニュースよりもバラエティを見ようと
必死で番組を変えましたが、地方は選局が限られていてNHKと
教育、後はTVなんとかという地元TV局しか映りません。
30分程経つと風が強まり、プレハブがガタガタと揺れ始めます。
雨に濡れてる発電機の心配をしていると、フっと電気が消えます。
恐怖でパニックになった私は懐中電灯を2個、3個と付け
なるべく自分の周りだけが明るくなるようにしました。
漆黒の闇と雨、つきの明りさえ今日はありません。
ガタガタ。ガタガタ。
誰かがドアを開けようとしているのか、風のせいなのか
判りませんでしたが、確実にドアだけを開けようとしています。
懐中電灯をドアに向けると、明らかにドアのノブが回っています。
しかし、この時はまだ、職人が忘れ物か何かを取りに来ているか
同僚が機材を取りに戻ってきたんではないか?と思いました。
さっきの白い影は錯覚で、俺はなんて馬鹿な勘違いをしているのだろう。と。
そして私は、ドアノブの鍵を解除しにドアへ向かいました。
ドアに叩きつける雨で内部まで雨がしみこんでいます。
カチリ。
鍵を解除すると内側へ開くタイプのドアがいきなりバン!と跳ね返り
私は飛ばされました。ドアは狂った様に締まっては開き、そしてまた締まるを
繰り返しています。風が室内を轟々と走り回り、雨は容赦なく入り込みます。
懐中電灯片手に起き上がった私はドアを閉めようとしました。
しかし、開けたり締めたりするドアの向こうには。。。
その白い影が一つ。明らかに人の形をした影が私の目の前に居ました。
絶叫。
ばたん、ばたんとドアが開け閉めを繰り返す。
その繰り返してるシーンの中で、開いた時に影は必ず居ました。
腰が抜けて立ち上がれず、ガクガクと震えてその場から動く事も出来ませんでした。
影は明らかにニヤリと笑うそぶりを見せた後、部屋に入ってきました。
歩く音さえ聞こえず、濡れているはずなのに、足跡さへ水の跡がつきません。
なにかスムーズに走る乗り物に乗っているかのような動きで部屋に入ってきます。
私は懐中電灯を抱え、部屋の端まではいつくばりながら移動しました。
白い影は遠巻きに私を見つめています。もちろん顔もなにも無いのですが
明らかに見つめられてるという感覚が伝わってきます。
そして、少しずつ近くにじりじりと接近してきます。
私はどうしていいか判らず、ただただ叫んでいました。
脳へ直接話しかけるように、何か聞こえました。
「し・・・ず・・・か・・・に・・・し・・・て・・・」
すると今度はあれだけ叫んでいたのに声すら出なくなり
金縛りの様に動けません。
あうあうと何か叫ぼうとしてもどうしても声が出ないのです。
「は・・・し・・・の・・・し・・・た・・・」
橋の下?明らかにそう聞こえました。
ガクガクに震えて、正直ちびってました。
頷くと白い影はすぐに消えました。
ドアは閉まり、発電機は回っており電気がついています。
私は1時間以上気を失っていました。
車の鍵は、机の上にありましたが
雨で濡れてびちゃびちゃでした。
橋の下・・・何が言いたかったんだろう?
私はすぐにカッパを着込み、懐中電灯を持って
橋の下へ向かいました。
現場の電気を橋下へ移動させて下を照らし出す。
そんなの大きな橋ではないので、渓谷みたいに切り立ってるわけではありません。
したに小さい小川が流れてる位の谷で、しっかりした足場があるので
なんとかたどり着きます。
橋脚の近くにそれはありました。
腐りかけの小さいお堂がありました。
傾いて、資材に埋もれてました。
お堂と言っても、小さな仏壇みたいな物で
さらに、草木に覆われて姿形は森や山に溶け込んで
なかなか判らないはずでしたが、私は何故か足場から降りると
そこへ直行しました。
資材をどかすクレーンも今はないので
お堂に自分の着ているカッパをかぶせて
赤いコーンで回りを囲い黄色いテープで立ち入り禁止にします。
大雨の中自分でもその作業が異例のスピードで出来た事に
驚きながら、一礼し再び足場を登り始めました。
車に乗り宿に着くともう12時過ぎ。
職人さん達は心配して探そうかと山へ来るまで出かけたけれど
途中で車が故障して動けなくなり、一時間以上前に同僚に
レッカーされて帰ってきたと伝えてくれました。
深い眠りにつき、そして明け方夢を見ました。
白い影がいくつにもわかれ、そして再び集まると
そこには白いワンピースを来た女性でした。
軽くお辞儀をしてる彼女に話しかけても
なにも返事が無く、再び暗闇が訪れ眠りにつきました。
次の日、私は資材をクレーンでどかして
お堂を再構築しました。DIYで土台をつくり
壊れないようにトタンの屋根を作り、
あとは余ったコンクリートで立派な土台を作りました。
そして出来上がりの時、お線香とお供え物を献上して
職人さんを含め工事の安全を祈願しました。
月日が流れ、2年後。
私は再び現地を訪れました。
お供え物とお線香を持ち橋下へ向かいます。
手を合わせ祈りました。
その日から私は何かいろいろな物が見えるようになりました。
見えるというより感じることが出来る様になりました。
一度ちょっと見える人というか霊感が強い人に見てもらった事が
ありました。すると霊媒師?の人は言いました。
「あなた、後ろには白い女性がいますよ、でも笑ってる、すごくうれしそうよ」
なぜあそこにお堂があったのか?
なぜ私に知らせたのか?
未だに判りませんが、年に一度、そのお堂へ今も通ってます。
最近になって、感じる事は難しくないのですが
彼女と話がしたくて、何回か試みましたが彼女は笑ってるだけでした。
一度夢の中で抱きしめられた事がありましたが
その時も笑ってるだけでした。
大雨が降ると、いつも彼女を思い出します。
そんな時、ふと後ろに気配がするのはもう慣れました。
また何か見えた話は次回にでもしますね。
長々とすいませんでした。
出典:霊能力のあるやついますか?
リンク:某掲示板

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