マネージャー

2007/07/04 16:37 登録: えっちな名無しさん

高校生のとき野球部のマネージャーしてて、
自分ともう一人すんごい真面目っつうかクールな奴と一緒だった。
そいつ夏の大会前から「甲子園になんかいけるはずない」とか
「みんなに期待して、だめだったら余計辛くなるだけだから期待なんかしない」
とか普通に毎日言ってた。
俺もそいつも怪我してでも野球に関わっていたいからマネージャーやろうって
なったぐらいだからもちろん嫌な奴じゃなかったし、
言ってることはきっと合ってるってのはわかってた。
確かに弱小野球部で、甲子園なんか夢のまた夢だったから。
でも、一生懸命練習してる選手の隣で
平気でそんなこというそいつのことはやっぱり苦手になっていった。

3年最後の夏の大会、甲子園地方予選。
逆転を信じてたけど、試合はそのまま終わり、
やっぱりそいつの言ってた通り、うちは一回戦で敗退。
甲子園は夢に消えた
「全部終わったんだ」
そう思うと涙が止まらなくて、大泣きでベンチに向かった。

ベンチではみんな泣いてた。
ただ、スコアラーだったそいつだけが泣いてなかった。
もう、その時俺の中でなにかがはじけた。
「お前なんで泣いてないんだよ!!」と胸倉掴んで叫んだ。
そいつは顔を背けたまま
「俺らが早く片付けないと、選手が片付けしなきゃいけなくなるだろ。次の試合あるから」
としか言わなかった。
もう殴る気も失せた。

監督、俺たち全員の最後のあいさつも終わり、
帰る時間がせまってきた。
野球部としてのすべての終わり。
それなのになんかしっくりこなかった。
「こんな冷たい奴と3年間も部活一緒にやるんじゃなかった」
「野球やめりゃあよかったんだ」
ってどっかで後悔してた。
打ち上げ行こうぜ、ってみんなでむりやり盛り上がってたけど
こいつと一緒じゃあ思い出話もしたくねえなと思った。

そのときふいに代打で一打席だけ試合にでた奴が近づいてきた。
「ありがとな?」
俺と、隣のそいつに言った。
「俺、お前らがやめないでいてくれたおかげで、最後あそこで打てたんだと思うよ。」
「ずっと一緒に野球やってくれてありがとな」
そう言って手を出して笑った。

そのときだ。
聞いたことないような大声でそいつは泣いた。

俺はそのとき初めてわかった。
こいつは冷たい奴じゃなかったんだ。
感情を表すのが下手だったんだ。
そいつが折った千羽鶴は、一羽一羽すごくきれいだった。
練習だって、休んだことほとんどなかった。
前日のグラウンド整備も、みんな浮き足立ってバカ騒ぎするなか、黙々とやってた。
そいつが泣いたことに、全員がびっくりしてた。
いっきにまた涙がこみ上げてきて、それから、全員で抱き合ってもう一回泣いた。
あんなに泣いたことは後にも先にもあのときだけだ。

俺は怪我して野球を続けるかすごい悩んだ、
でも、本当にやっててよかったと思う。
今でも高校時代の部活動は、
人生で一番の宝物だと思っている。
今は結婚して子供もできた。
子供も野球が大好きだ。
それがすげーうれしい。

長文スマソ


出典:2ch
リンク:2ch

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