ワインの勢いで

2007/08/12 02:51 登録: えっちな名無しさん

 
56 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2005/06/23(木) 01:22:44 ID:Cu4bRy/X
1/5
あるメーカーでセールスをしてたときのこと。
地方の得意先に自社商品の説明をしに行くことになった。
単なるセールスと言うよりは、商品知識の研修会の講師のようなニュアンスも
ある仕事だった。その得意先はA県に本部があり、A県とB県にそれぞれ
数十店舗ずつを展開していて、1日目に本部で、2日目にB県の会場で
説明することになっていた。研修担当責任者はまだ30代の美人課長。
A県とB県の会場間は交通の便が悪く5時間くらい掛かるので、1日目の
仕事が終わってから彼女の車で途中まで移動し、地方都市のホテルに宿泊。

一応レストランとBarもあるようなホテルで、チェックインのときにBarの
無料ドリンク券をくれた。既に午後7時。レストランで食事することに。
よく考えたら美女と二人で食事という美味しいシチュエーションじゃないか!
夏の暑い時期だったので、シャンパーニュを注文した。

「シャンパンってクリスマスに飲むものかと思ってました。」
「炭酸が入ってて冷やして飲むんだから、夏のほうが美味しいですよ。」
「なるほど、ワインお詳しいんですか?」
「いや、それほどでも・・・。まずは乾杯しましょう。」

57 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2005/06/23(木) 01:23:37 ID:Cu4bRy/X
2/5
「乾杯!」
グラスを軽く合わせ、熱い眼差しで彼女を見つめた。
バリバリのキャリアウーマンの彼女、独身で彼氏もいないらしいから、
レストランでデートというのもあまり経験がないようだ。

田舎だから大したワインもないが、サンセールのハーフボトルと、
ブルゴーニュ・ピノ・ノワールをフルで注文しておいた。食事が進むにつれ、
彼女はやり手のキャリアウーマンから、可愛い女性に変化してきた。
こちらもべんちゃらセールスマンを徐々に脱却し、雰囲気を作って行った。

デザートがお洒落な盛り付けになっていて、彼女は嬉しそうにはしゃいでいた。

コーヒーを飲んだ後、Barの無料券を取り出して、もう少し飲むことに。
無料券はワインかカクテル1杯ということだが、二人ともカクテルは詳しくなく、
結局またグラスワインを飲むことに。なぜかシノンだった。意外と美味しい。

学生時代の話になって、彼女は東京の大学を出ていることを知った。
俺の結構近くに住んでいたらしい。それでまた盛り上がった。

58 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2005/06/23(木) 01:24:20 ID:Cu4bRy/X
3/5
ワイングラスはすぐに空になった。交際費が足りなくなったら、この際自腹で
払っても本望だ・・・と思ったら、

「ここの飲み代はうちの会社の経費に付けるから、気にせず飲みましょう!」

同じワインをもう1杯ずつ飲む。ここでワインの薀蓄を軽く語って落としたい
ところだが(その頃はまだワインブーム)、田舎のホテルのBarに何種類も
あるはずがない。甘口ワインがないのなら、ディジェスティフの時間だw
(以下やや板違いスマソ)

「ヨーロッパでは食事中にこうやって色んなワインを飲んで、食後は男性は
ブランデー、女性は甘いリキュールを飲んだりするらしいですよ。」
「へぇ、そうなんですか。」
「マスター、彼女にコアントローをロックで。僕はヘネシー、ストレート。」

更に会話も盛り上がり、彼女はすっかり陽気になっている。

「大丈夫ですか? 酔ってません?」
「まだまだ大丈夫です。」

59 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2005/06/23(木) 01:25:11 ID:Cu4bRy/X
4/5
彼女はなんとコアントローをおかわりした。もし普通にスクリュードライバーに
してたら、いったい何杯飲んだことやらw

「酔ってるかどうか確かめてみましょう。」
そう言って、彼女の左手を両手でそっと包み込むように握ってしまった。
酔っているのは俺のほうだ。相手は大切な得意先のやり手課長だぞorz

しかし、彼女は穏やかな表情をしたまま手を握らせててくれた。
「確かめるって、酔ってなかったらこうするんですか?」
彼女は悪戯っぽく笑って手を引っ込め、怒った顔をしたが、目は笑っていた。
そして、手をすぐに元の位置に戻した。俺は再び彼女の手を握った。

「あら、もう1時ですよ。部屋に戻りましょう。」
彼女はあくまで冷静だった。俺は恋に落ちた男以外の何者でもなかった。

エレベーターで2階に上がる。ツインの部屋を2つ取ってあった。
二人の部屋は隣どうしで、彼女の部屋が手前になっていた。彼女は自分の
部屋のドアを開け、振り返って言った。

60 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2005/06/23(木) 01:25:59 ID:Cu4bRy/X
5/5
「じゃあ、明日7時半に下で朝食ですね。おやすみなさい。」
「ちょっと待ってください!」

俺は彼女の部屋に入って行った。彼女は別に驚いた様子もなく、特に拒む
そぶりも見せなかった。

俺は彼女の両手をしっかりと包み込むように握り、やや切ない表情で彼女を
見つめた。彼女は微笑んでいた。

                 * * * * *

後日、俺は転勤になった。新しい部署に彼女から電話が掛かってきた。

「新しい担当の方に御社の本来のシステムを説明されました。これまでは
あなたの裁量でかなり無理をしてくださってたんですね。」
「はい。あなたには弱みを握られてますから。」
「弱み?」
「はい、惚れた弱みです!」




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出典:ワイン
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