ハウスキーパーしませんか?

2007/08/27 03:34 登録: えっちな名無しさん

当時、僕は31歳で独身のサラリーマンだった。
ただし会社には内緒で副業をしている。友人と共同で飲食店を2軒経営しており、実際こちらの収入の方が正業より多い。

話は変わるが、2年ほど前に家を建て替えた。
しかし、去年 交通事故で両親が他界してしまい、2世帯用のだだっ広い家で一人暮らしになってしまった。
丁度その頃、昔仲の良かった女友達数人と飲み会をした。
後で聞くと、「僕を慰める会」だったと言う事だった。

飲んでいる時、そのうちの一人亜矢子が言った。「実は先月 離婚したんだ。何か良い仕事無いかな?」と…
聞くと、旦那の浮気が原因らしい。慰謝料も幾らか貰ったが残しておきたいとの事だった。
亜矢子は僕より2歳年上で、背も高く整った顔立ちの正統派美人だ。
なんでも、30歳を過ぎると正社員の仕事は全くといっていいほどなく、派遣しかないと言う。
僕は、「月々どれぐらい要るの?」と聞いた。
亜矢子は「手取りで20は欲しいよね」と答えた。
僕は「アテがあるから、明日連絡するよ」と言い、その日は飲み会で盛り上がった。

翌日、仕事終わりに亜矢子と会った。
「月々20万で家賃0!だけどどうかな?」と問いかけた。
「家賃が要らないってポイント高いよねー で、どんな仕事?」
「ハウスキーパーなんだけど。」
「私、家事は得意だし、料理も任せてよ。実は調理師資格持ってるし!。で、週何回働くの?」
「何回でもいい。働きたいだけ働けば…」
「いまどきそんな都合の言い仕事あるんだー。直ぐにでも会わせてよ!」
「もう会ってるよ。」
「???」
「僕の家なんだ」

亜矢子は腹を抱えて大笑いしている。
僕は、正直に話した。副業の事も全てだ。3LDK+4LDKという馬鹿でかい家を休みの日だけで管理するのが無理な事を伝えた。真剣にハウスキーパーを探している事も。
亜矢子は返事を少し待って欲しいと言い、この日は別れた。

日曜の朝早く、亜矢子から「どんな家か一度見せて欲しい」とメールが来た。
「迎えに行こうか?」と返信すると「最寄りの駅についたらまた連絡する」と返ってきた。

30分ほどすると携帯が鳴った。亜矢子からだ。
「今、駅についたよ。ここからどれぐらいの距離?」
「うーん 3分ぐらい」と言うと
「じゃ、自分で歩いてみる。案内して」
「案内も何もないよ。だって、そのまま一直線だから…」
「わかった!家の前で待っててね」

家の前で待っていると、亜矢子の姿が見えた。彼女は目が悪いのでまだ僕には気付いていないらしい。
僕が確認できると亜矢子は小走りにやってきた。まるで、遠距離恋愛の相手を見つけたかのように…

僕は家を亜矢子に細かく案内した。すると「私が想像してたのより大きいね」といい微笑んだ。
「ホントにわたしでいいの?」
「亜矢子さんになら安心して任せられる!」
「ありがとう」
どうやら納得してもらえてようだった。

しばらく寛いでもらっていると時刻は昼前を指していた。
「昼ゴハン私が作るから、買い物一緒に付き合ってよ。」といい車で買い物に付き合った。
買い物から戻ると亜矢子は手際よく料理を作った。自慢していただけの事はあり非常に美味しかった。
そのまま夕方まで一緒に過ごした。

僕は出かける用事があったので、「ついでなので家まで送っていく。」と言い彼女のアパートまで送った。
しかし亜矢子は車から降りない。
「亜矢子さん どうしたの?」
「○○。 いま彼女居てないの?」
「いてない。もしいてたら、その彼女に手伝ってもらっていると思う」
「麻美とはどうして別れたの?」
麻美は亜矢子の学生時代の友人で、僕の元カノだ。麻美とは7年程付き合っていた。そして、麻美とは婚約までしていた。麻美と婚約中に家を建替えた。だから2世帯住宅なのだ。
「僕には未だに理解できない。いきなり信用できなくなったって言われて別れられた。」
「そうだったんだー」
「麻美 今どうしてるか知ってる?」
「今年の初めに結婚したよ。8歳も年下の若いのと…」
「そうか。一応、麻美も幸せになったんだ…」
「今度は○○が幸せになる番だよ!」
「亜矢子さんもまだまだチャンス有るって」
「○○。昔から優しいよね!麻美もいっつも自慢してた。ありがとう。」
といい、亜矢子は笑顔で車を降りた。

その晩に亜矢子から電話があった。
月末に引っ越してくると言う。僕はこれで家の事は片付いたとホッとした。

亜矢子は予定通りに引っ越してきた。Hの無い同棲みたいなものだった。
食事も家事も本当に完璧にこなしてくれた。正直、給料分以上に働いてくれたと思う。
そして半年ほど経った日だった。

「亜矢子さん 来週誕生日でしょ!もし、良かったら僕にお祝いさせてよ!」
「○○ ありがとう。憶えていてくれたんだ。私の誕生日!」
「土曜日でその日は仕事休みだから、朝から仕事忘れてデートに付き合って!」
「わかった。じゃ一日○○の彼女になってあげる。 ウフ」

僕は正直 亜矢子に惹かれていた。でも、この関係が続かなくなる事の方が怖かった。彼女の心の傷が癒されたのかどうかもしれないし……

当日、亜矢子のリクエストで映画を見た。
昼食後、彼女が以前行ってみたいと言ったスポットに向かった。
夕食はお洒落な店で過ごした。そして、用意していたプレゼントを渡した。ネックレスだった。
家に戻り、ソファーで飲み直した。

「○○。私のこと嫌い?」
「亜矢子さん。そんな事無いですよ。むしろ好きです。」正直恥ずかしかった。
「私、○○の事、好きだよ!それとも×1はだめかなぁ?それとも麻美の事がまだ尾を引いてるの?」
「麻美の事はもう大丈夫。それと×1とか今の時代関係ないし…」
「じゃあ、私の事 抱ける?」
「え!!!」
僕は唇を奪われた。亜矢子の眼は今まで見せた事のないような艶っぽい表情をしていた。
そして、この夜始めて亜矢子を抱いた。

翌朝「私、実は使ってないんだよねー」といい通帳を見せた。彼女に渡した給料が一円たりとも使わず全額残っていた。
「今日これで指輪買いに行かない?」
「指輪って?」
「もう、鈍感なんだから!」
「亜矢子さん……」涙が込み上げて来た。
「もう、そろそろ『さん』づけしなくていいから」

その日、彼女の実家へ行き両親に挨拶をした。それと僕の墓参りをした。もちろん指輪も買いに行った。
その年のクリスマスイブに入籍した。

今でも毎月、亜矢子の口座に20万円を振込みしている。
亜矢子は使わない。
その代わり、そのお金で年に2回旅行に行っている。


出典:今は
リンク:亜矢子の旦那

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