ギャップ燃えなのか?

2007/09/07 05:54 登録: えっちな名無しさん

遠縁の子に全く笑わない無口な男の子がいて、名は雄貴、皆からユウちゃんと呼ばれていた。子供の頃はお盆や正月田舎に帰るたびに他の親戚の子達と共に良く遊んだりしていたんだけど、その時も笑ってる顔なんて見たことなかくて正直苦手な子だった。
 高校から寮生活、そのまま大学一人暮らしへと移行したことにより田舎に行くことはとんとなくなって、社会人二年目。田舎の曾祖母が亡くなったとの連絡が入り、八年ぶりに田舎に行くことになった時のこと。
 葬式は厳かに、かつ田舎独特の慣習(多分知らない人が見たら首を傾げてしまうかも)の中、しめやかに行われた。
終わって、宴会となり、昔遊んだ仲間と話す機会と余裕ができた。皆いい大人になり、あの頃は楽しかったねと昔を想って談笑したりして。そんな中、ちょっと苦手なユウちゃんを発見。身長はすごい伸びてて、喪服の似合うナイスガイに成長してたが、顔に当時の面影、プラス会話の輪には入らず、一人静かに立ってる姿を見てこれはユウちゃんだなと理解した。
 今でもちょっと苦手そうなタイプだな〜と、思いながらも、一応挨拶くらいはしておくかと思いユウちゃんのほうへ行く。声を掛けようと思ったそのときに、五歳くらいの男の子が、ユウちゃんのズボンに味噌汁を盛大にかけた!
 男の子は式のときから普段にない空間からか、少々ハイテンションで、それは食事中もわかるくらいだったので、何れこんなことがあるかもと思ってはいたけど。
 男の子は打って変わって、静かになり、顔は真っ青でユウちゃんのほうをビクビク見てる。周囲もかけるとき盛大に音がしたので注目してるそんな中、ユウちゃんは男の子に目線を合わせるようにしゃがみ、男の子に一言。
「大丈夫。気にしてないよ。」と笑顔で。
 男の子の頭を優しく撫で。それから自分の手をつけてない味噌汁を男の子に渡していた。その穏やかな態度に周りは和んで、男の子も宴会終わりの頃はユウちゃんの足につかまったりするくらい懐いていた。
 後片付けのとき、ユウちゃんと話してみた。
「ユウちゃんあの時、初めて笑った顔を見たよ。」と何気なく言ったところ、
「別に。あそこで笑わないと男の子が気にしたり、怖がったりしちゃうでしょ。」といつもの無表情で一言。
 作り笑いかよ詐欺師め!あの時、ごっそり持ってった私の心を返せ!
 私の中で、過去が氷解してついでに火がついてしまったようです。

出典:日記裏
リンク:彼を思い今日も息子をしごく日々

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