酒と泪と男と男

結婚してから数年、嫁にべったりで一緒に飲むことが無かった同僚と久しぶりにサシで飲みに行くことになった。
初めは結婚してから付き合い悪くなったな〜。とか、嫁さん元気？とかの当たり障りない話をしながらも酒量と共に友達がくだを巻きだした。

「嫁が最近冷たい。」から始まり、
「冷蔵庫のプリン勝手に食ったらフルボッコされた。」
「いってらっしゃいのチューが無くなった！おやすみなさいのチューすら減ったよ・・・。」と、ヒートアップし薄ら涙を浮かべながら語りだした。
まあまあと宥めてはみるものの一向収まらない同僚。
結局三時間以上同じような愚痴を聞かされる羽目になった。

一通り言い終わったのか、同僚は静かになり、ホッと息をつく自分。
数分無言で酒を酌み交わしてから、思い出したように同僚がポツリ。
「惚れると、実際より何倍も可愛く見えるようになるとか言うが、ありゃ嘘だな。
最初っから今まで別段かわんねぇよ。ま、普通に可愛いけどな。」と。


蛯ちゃん好きを公言して憚らなかったお前が、あばたも笑窪な彼女を可愛いと言ってる時点で相当な恋愛補正がかかってると思うぞ。と密かに思いつつも、惚気たことに気づいていない同僚を尻目に手酌で一杯ぐいっといく独身の自分。

どうでもいいが、酔うと人の手さすりだすのやめろ！！

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