ゴンサクさん

2007/09/21 17:42 登録: えっちな名無しさん

祖母の古希のお祝いに父が雄のシーズー犬をプレゼントした。
祖母は彼をゴンサクさんと命名。何でも初恋の人の名前だそうだ。
そんなロマンチックかつ完全に容姿とミスマッチな名前を戴いたゴンサクさんは瞬く間に我が家のアイドルとなった。

シーズー
毛が抜けにくいので飼いやすい犬種。しかし、プライドが高く繊細且つ頑固な性格
                        wikipediaより抜粋

正にそのとおりの犬で、陽気で人懐っこい反面、その古い日本男児を思わせる性格からか明確な序列をゴンサクさんは定めた。

ゴンサクさんヒエラルキー
一位  母←餌係。神様
二位 祖母←躾係。先生
三位  姉←散歩係。友達
四位 ゴンサクさん
五位  俺←たまの遊び相手。下僕、おもちゃ
六位  父←空気
ゴンサクさんはこれに基づいた態度・行動をとってくる。
母・祖母に対する忠犬ぶり、姉に対するフレンドリーさに比べ、父・俺に対する目線は遥か上からだ・・・

とある日曜日、たまには俺がと、ゴンサクさんと散歩に出かける。
下僕!俺様について来いと言わんばかりにゴンサクさん。
そのくせ、強そうな大型犬に遭遇すると、俺の後ろに隠れる。
顔を見てみると、「おい、こいつを追い払え。」と言っている様。
さっさ、さっさと自分のペースで行ってしまうのも困りもので、こっちには散歩の主導権皆無。もう、どっちが首輪につながれてるか分からないw
時たま、振り返り俺を見る顔と来たら、「やれやれ、子守も楽じゃない・・・」とウンザリ顔。
不慣れでごめ・・・て、今溜息までついたろ!ゴンサクこのやろ!w
心身の疲労を感じつつも散歩を終え、帰る俺達。
ゴンサクさんの足を拭いてやると、俺には一瞥もくれず大好きな祖母のもとへ。
ゴンサクさん、通り道とはいえ、我が家の大黒柱を路傍の石のごとく、踏みつけていくのはいかがなものかと思います・・・

そんな傍若無人(男二人に対してだけだが)なゴンサクさんも夕食時は途端に下手にでる。
食卓を食い入るように見るゴンサクさん。
しかし、我が家は皆躾に厳しいので、オカズを滅多にくれない。
こんな時、ゴンサクさんは普段相手にもしない父におねだり。
「クゥ〜ン、クゥ〜ン。」
おいおい、ドンだけネコかぶってんだよ・・・んなの引っかかるか!と思ったが、ゴンサクさんラブな父には、効果抜群。
父「お、欲しいのか?よし、これをやろう。」
好物の鳥のから揚げを差し出す父、それを奪うように持っていくゴンサクさん。
母「あんまり気軽にあげないで!」
父 (´・ω・`)ショボーン
父「いいじゃないかよな〜、ちょっとくらい・・・」と、言いながらゴンサクさんを撫でようとすると、
ゴンサク「ウゥ〜、ワン!」と威嚇!
父再び(´・ω・`)ショボーン



血も涙も持たずに生まれてしまったのではないか?と、思わせるゴンサクさん。
何かやつに弱点はないのか?苦手なものを探ってみる。
地震 M5の地震を楽しむゴンサクさん。野生の何かが確実に欠如している。
火事 未体験。保留
親父 論外。
残すは・・・
下校時、突然ゴロゴロと空が鳴りだす。家に着く頃にはおあつらえ向きの雷となっていた。
この音は耳のいいお前さんにはたまらんだろう?と部屋を眺めてみると、
案の定ビビリまくってるゴンサクさんww雷が落ちるたびに箪笥の裏等の物陰に隠れガクブル。
弱点見つけたり。
俺「ゴンサクさん、そんなとこいないで出てこいよー。」
ゴンサクさん俺完全無視。
俺「ほら、好物のサラミだぞ〜。」
ゴンサクさん物陰からソロリソロリと出てくるも、いいタイミングで雷ドシャーン!!
ゴンサクさん脱兎の如く、物陰へ。
俺「wwwww」

その後も何度か雷の日を体験するも全く慣れないゴンサクさん。
一方俺は段々飽きてきてしまって、逆に可哀想になってくる。
ゴンサクさん、家にいれば安全なんだよ。

幾度目かの雷の夜、
俺の部屋を訪ねるゴンサクさん。
「クゥ〜ン、クゥ〜ン」
何だ珍しい。いつも寝る時は祖母のところだろ?
まあ、いいこっちこい。一緒に寝よう。
布団に入ってからも、雷が落ちると、ブルブルビビリまくるゴンサクさん。
普段は小憎たらしいとこもあるがこうしていると可愛いものじゃないか。と思いながら震えるゴンサクさんを見ていると、一際でかい雷の音
こりゃ、近いな・・っておい!
盛大に脱尿するゴンサクさん。
なるほどな、これで雷の夜は入室禁止されたわけか・・・お前、祖母、母、姉全部にやったろ?
仕方なく、その日は尿まみれの寝間着を取り替えるに留めてさっさと寝る。
翌日、少しはしおらしくなっているだろうと期待するも、いつもの偉そうなゴンサクさんに戻っていた。

数ヵ月後、図らずも雷の夜がやって来た。
就寝時、やはりやってくるゴンサクさん。
だめ!雷の時はもう入れてやらん!
数分してゴンサクさん諦めたのか、ドアのカリカリ音が無くなる。
気になって、ドア開けて見てみると、今度は父の寝室のドアをカリカリクゥ〜ン。
父出てきて、
「なんだ?今日は俺と寝たいのか?」嬉しそうに自室に招き入れる父。
深夜、でかい雷音と共に「キャゥン!」と、ゴンサクさんの声が聞こえた。
これはやったな。夢の中のお父様、ご愁傷様です・・・
こうして尿の洗礼を家族全員が済ました。

翌日の朝食時、
休日なので皆寝間着の中、父だけ着替えばっちり。
それをみて俺ニヤニヤ、心なしか祖母・母・姉も口元に笑いを湛えている。

俺「今日洗濯当番俺だからさ。皆ベッドのシーツだしといてよ。」
父「!!」
祖母・母・姉「は〜い。」ニヤニヤ
父「あ、あのな・・」
母「な〜に?父さん」ニヤニヤ
父「俺のシーツ、別に汚れてないから。」
俺「いいよ。一気に洗いたいからだしてよ。」
父目が泳ぎっぱなしwww
父「あのな、昨日な寝る時ゴンサクさんが部屋に来てな・・・」
姉「ゴンサクさんは寝る時は、ばあちゃんとこでしょが。昨日も一緒に寝たよね?ばあちゃん」お姉さん・・・恐ろしい子!
祖母「ああ、確かに一緒に寝たわね〜。」ばあちゃんノリ良すぎww
父「いや、たしかに昨日ゴンサクさんと一緒に寝て、それで・・」
祖母、父を遮るかのように
「それじゃ、私がボケたっていうのかい!?」ばあちゃんGJ!!
父(´・ω・`)ショボーン
父「なあ、ゴンサクさん。俺ら昨日一緒に寝たよな?」
ゴンサクさん「ウ〜ウゥ〜(威嚇)」ゴンサク、てめえってやつわwwwww

散々父を弄った後、母がネタばらしをして終わり。
社会では責任ある立場でバリバリやっている父もゴンサクさんのこととなると形無しなのだった。


また、雷の夜が来た。
もはやゴンサクさんを受け入れてやる人はいない。
と、思っていたが、父はゴンサク訪問にこたえてやっていた。
すこしだけ父をかっこいいと思った。


出典:猫もいいけど、
リンク:犬もいいよ。

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