柔道家

昔、世話になったオヤジがやっている居酒屋での話。

金曜の夜で店はほぼ満員状態。その店内で肉体労働系の３人組が仲間内でケンカを始めた。
店の空気が一気に悪くなり、若い従業員が表に連れ出そうとするが逆ギレされて殴られた。
俺は一番騒いでいる男を羽交い絞めして、店の外へ連れ出そうとした。
後の二人は俺に何やら叫んでいるが酔っていて意味不明。

そこへ店のオヤジがカウンター越しに一言。
「こいつ、警察で柔道教えてるから止めとき」

すると、三人組は見る見るうちに血の気が引いてきて米搗きバッタのように頭を下げてきた。
そして３人組は急いで勘定を済ませ、逃げるように帰って行った。

席に戻り飲み直そうとする俺に奥の座敷で宴会中の団体の一人が一言。
「僕たち、○○警察の刑事課なんですけど…」

もちろん俺も速攻で店を出た。

出典：嘘も
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