事故

2007/10/15 17:10 登録: えっちな名無しさん

当時最新のS13シルビアを購入した友人が、深夜ドライブに誘ってきた。
あまり乗り気ではなかったんだけど、車は嫌いじゃなかったので、少しだけ付き合うこと
にした。
湾岸線を西に向かう。大井を過ぎたところでイカニモな感じのRX7に絡まれる友人。
「慣れてないんだから、ほっとけ」という俺の声も届かずアクセルを踏みつける友人。
激しい加速にシートに押し付けられながらも「やめてとめて」と訴え続ける俺。
車は空港中央を抜け再びトンネルに入る。その入り口でふわっと車が浮く感覚。
ハンドルを失いフロントガラスの景色が横に流れる。
「もうだめだ」目を瞑る俺。まもなく激しい衝撃と金属的な激突音とガラスの砕け散るザ
ーッという音。大丈夫だ。まだ生きてる。と顔を上げると・・・・まだ車は走っていた。
再度襲う衝撃。車はようやく停止した。不思議と痛みは無い。手や足を動かし、首や頭を
手で触り、自信の無事を確認する。

無事が確認できると急激に腹が立ってきた。拳を握り締め友人のほうを見ると、ハンドル
のホイールを付きぬけあらぬ方向に曲がった腕と血だらけの顔、パネルに挟まれて動かせ
ない足が目に入った。
「ごめんなー」とつぶやく友人。
「お・・おぅ。救急車呼んでやるからじっとしてろ」

結局俺も友人も病院に運ばれ、その日は泊まることに。深夜オヤジとお袋がきて
こってり怒られた。
翌朝、友人の親も俺の部屋に来て平謝り。泣いてた。俺は体の痛みと両親に怒られたのと
友人の両親が不憫なのとで、やっぱり一発殴ってやらないときがすまないと思い、奴の病
室へ。

勢い良く戸を開けると、ミイラのようになった友人。両腕と片足をつられ、顔はお化けの
ように腫れあがり、止血テープだらけ。昨晩は一度救急救命センターに入ったらしい。
俺を視界に捕らえると消え入りそうな声で「ゴメンな・・ゴメンな・・」と涙を流した。

「お・・・おぅ、早く良くなれよ」

あの事故から15年。彼は新しいGT-Rの購入を検討中。今度は絶対に乗らない。

出典:じつわ
リンク:らしい

(・∀・): 112 | (・A・): 32

TOP