置き土産

2007/11/19 00:58 登録: えっちな名無しさん

この話は、笑えないおはなしだよ・・・

これは美菜(みな)と直子(なおこ)の忘れたくても忘れられない悲しいお話。
あれは、大学3年の夏の日のできごと・・・

友人の美菜の家の電話が鳴った。誰だろうと思って出て見ると「・・・わたし、なお。今から美菜の家に行っていい?」と泣きそうななおちゃんの声がした。

美菜にとって「なおちゃん」と言って真っ先に思い浮かぶのは、この私、尚ちゃんであった。

美菜は彼氏の家に行く用事があったのだが、尚ちゃんのただならぬ様子に「いいよ。とにかく早くおいでよ」とやさしく声をかけた。しばらくして美菜の家のチャイムが鳴った。のぞき窓から見てびっくりした。

玄関の外に立っていたのは、尚ちゃんではなく、直ちゃんだったのだ。
でも、直子も大切な友達だ。どうしたのだろうと思ってドアを開けた美菜は、またまたびっくりした。

直子が、髪の毛はガビガビ、よれよれでテロテロのへんてこりんな服を着て悲惨な姿で立っていたのだから。

美菜は、驚いた。その時、美菜の頭の中を「レイプ」という文字がよぎったという。「私が直子を守らなければ」と正義感に燃えた美菜は、「早く直子、家に入りなさい」と直子を家に入れた。

そこで美菜は初めて気がついた、直子はなんだかとっても臭かった・・・

直子は、大学のアメフト部のマネージャーをしていた。前日の夜は夏の納会という、大学の運動部にありがちな激しい飲み会が、大学近くの飲み屋で開催された。

もともと飲み会好きな直子は、その日大好きな貴弘君のとなりの席をゲットすることができ、いつも以上に張り切っていた。

張り切りすぎて、一次会が終わるときにはすっかり飲み過ぎて、気付いたときには外で思いっきり吐いていた。

貴弘君がそんな直子の背中をさすってくれていたという。そして・・・直子は大好きな貴弘君の前でおしっことうんちを漏らしてしまった(チビるなどというなまやさしいものではなかったらしい)。

貴弘君は、とってもいいヤツだった。もうひとり直子の面倒をみていた良子ちゃんといっしょに、強烈なにおいを漂わせ始めた直子を、他のみんなに気付かれないように近くにある自分の部屋まで連れて行ってくれた。

貴弘君の彼女になって、この部屋を訪れることを夢見ていた直子。意外な形で、早くも貴弘君のお家に行くという夢は一応叶った。

それからがたいへんだ。まず良子ちゃんは自分の家まで直子のために、もう着なくなった服と新しいパンツを取りに行った。

そして、貴弘君をお家から追い出し、「直子、大丈夫。私しかいないからね。」
と言って着替えさせてあげた。そこで判明したことだが、直子は生理中だった。
おしっことうんこと血液まみれのパンツを良子ちゃんはやさしく、ナプキンまで取り替えてあげたという。

その日、貴弘君のお家に良子ちゃんと一緒にお泊まりした直子は、次の日の朝起きてびっくりした。大好きな貴弘君のお家で、変な服を着て寝ている臭い自分。

「ねぇ・・・もしかして私、吐いたの?」と尋ねると貴弘君は、「ああ。吐いたよ。上からも、下からも・・」と静かに答えてくれたという。

あまりの恥ずかしさに、もう帰ろうと思って布団をめくった直子は、布団に血が付いているのを発見した。

貴弘君は「それは、ムースがシミになっちゃっただけだから、おまえのじゃないよ」と言ってくれたが、そんな貴弘君のやさしさもその時の直子にとってはかえって切ないものだったらしい。

とにかく、わたしはこの件に関しては貴弘君と良子ちゃんを大尊敬してる・・・そんなわけで、直子は美菜のお家にやってきた。

別に、美菜に自分の悲惨な話をきいてもらうために来たわけではない。直子のパパは、娘が無断外泊した上にこんな訳も分からない格好で帰ったら、今後お家から一歩も出してくれないであろうほど厳しい人なのだ。

昔一度、直子が酔って吐いて、服にちょっとゲロをつけて帰ったらものすごい剣幕で怒られ、1ヶ月飲み会への参加を禁止されたという。

今回は、ゲロに加えて、おしっことうんちと生理である・・・

こんなことをパパに知られたら殺されると思った直子は、美菜の家でシャワーを浴びて、洋服も洗濯させてもらおうと考えたらしい。驚いたのは美菜である。

折しも美菜は、ほんの数日前に、洗濯機を二層式から、全自動に買い換えたばかりだったから。

事件勃発時の汚い汚い洋服を、新品の美菜ご自慢の洗濯機に早速入れようとしていた直子に「とにかくシャワーを浴びて、浴室で一度その服も洗ってきて」と懇願した美菜はその時、本当に泣きたい気分だったという。

シャワーから出てきた直子に「コインランドリーで洗えばいいのに・・・」と言ってみたら、「だって、コインランドリーはどんな人が使っているか分からないから、不潔で汚くていやだもん」と返ってきたという。

「お前がいちばんきたないんじゃーー」と言いたい気持ちを懸命に抑えて、新しい洗濯機を貸し、さらに靴下がないから貸せと言う直子のために新しい靴下もあげた美菜は、部屋に充満した臭いに耐えきれず、1階で道路に面した部屋であるということもかえりみず、部屋の窓を全て開けはなって3日間彼氏の家に避難していたという。

3日後、恐る恐るお家に帰ってきた美菜は、洗濯機を5回空洗いしたという。そしてふと玄関を見ると何かがぼとっと落ちている。

その茶色い物体は、直子の置きみやげだった・・・



出典:腸弱会
リンク:忘れた

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