鈴音の場合5 (その他) 10596回

2004/09/10 10:21┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
鈴音の場合

五 メタモルフォーゼ

「満様。ドイツからビデオが届いております」
 梨乃はこのセリフを二分ほどかけてようやく言い終えた。今の彼女は、会話をすることすら困難な躰にされていたのだ。
 満は、必死に言葉を紡ぎだそうとする梨乃をみて、満面に笑みを浮かべている。どうやら彼の愛する梨乃は、彼の許せるギリギリのところまで壊されているようだ。これが完全に壊されているのではつまらない。どうにかこうにか“自我”と呼ばれるものが残っていて、今の自分の姿に涙を流せるくらいが丁度良いのだ。
 その点、康之たちの仕事は完璧だった。何しろ梨乃の、惨めで可哀相なこの姿を見るだけで、満の男根は爆発しそうなほどに勃起してしまえるのだから。
 彼は己れの愛するもの、大切なものが汚され、壊され、踏み躙られる事にとてつもない快感を覚える異常者であった。だからあえて自分の決断で梨乃を康之たちに投げ与えて、取り返しのつかない事をしてしまった快感に身悶え、目の前で犯され汚辱にまみれる梨乃の姿に猛烈に射精するのである。
 梨乃が壊されれば壊されるほど、彼の梨乃への愛は深まっていくのだ。
 だから、康之たちが録画していた梨乃の凌辱ビデオは、彼の宝物として大切に保管されている。その数なんと四百本。
 梨乃が普通だった頃から撮っているので、巻を重ねるごとに彼女が壊れていく様が良く解った。その救い様の無い悲しさが満の胸をキュッと締め付け、彼を恍惚とさせた。
 また、梨乃に無理矢理見させて、やめてくれ、止めてくれと泣き叫ぶ彼女の哀れな姿を愉しんだりもした。
 彼はこんなことを何度も何度も繰り返しては、涎を垂らしながらマスターベーションするのだった。
 そんなある日。彼の一番のお気にいりのビデオと、ドイツにいる彼の友人のこれまた一番のお気にいりのビデオを見比べて、どちらがより“酷い”かを競ってみよう。と葵が言いだした。それに乗った満が友人から送ってもらったのが、梨乃が持ってきたビデオカセットであった。
「まず、ボクの梨乃さんのビデオから見ることにしましょう」
 そう言って満はビデオデッキの再生ボタンを押した。

 梨乃は、数人の男に取り囲まれるようにして、夜の街を歩いていた。
 通行人が、男たちの影から見え隠れする梨乃の異様な姿に目を奪われるが、その雰囲気に危険なものを感じたのだろう、そそくさと姿を消してしまった。
 この時の梨乃は、素肌のうえにシルバーフォックスの毛皮のコートを羽織っているだけの出で立ちであった。下着はもとより、靴さえ履かせてはもらえなかった。
 その姿で、ビンの欠片や唾、痰などが吐き散らされた道を歩かされていたのだ。
 そして一行は、街の片隅の薄暗い通りに入って歩を止めた。
「ほらよ」
 康之が梨乃に小さな箱を放ってよこした。梨乃が受けとめるとそれはイボ付きコンドームの箱であった。
「?」
 怪訝な表情をする梨乃に、康之がニヤニヤしながら説明した。
「中にはスキンが12個入ってる」
 そして腕時計と油性マジックを梨乃に渡す。
「今9時だよな。12時までに、それ全部使いきってザーメン入れたまま持って来い」
「一人につき、使えるゴムは一つだけだからな。忘れるなよ」
 康之の舎弟がそう付け加えた。
「そ…そんな」
 あまりな命令に、梨乃の足はカクカクと震えている。
「そしてその証拠にな、おまえのおまんこ…ケツの穴でもいいが…使ってくれた人から一筆サインを体に書いてもらってこい」
「万が一逃げ出したり、遅れたり、12時過ぎてもゴムを使いきれなかったときは…おまえ、もっと酷いことになるからな」
 脅すだけ脅すと康之たちはさーっと四方に散っていってしまった。無論カメラはこっそりと梨乃を撮影し続けてはいるが、そんなことは梨乃には解らない。
 梨乃はしばし茫然と立ちすくんでいたが、意を決したように動きだした。カメラがその姿を追うと、彼女は千鳥足で歩いているサラリーマン風の男に声をかけた。おそらく「わたしを抱いてください」みたいな事を言っているのであろう。
 男は、コートの下からのぞく梨乃の豊満な躰をじろじろと見てはいるが、切実に訴える彼女の話には興味が無いようであった。しかし、それも当然のことだと言えよう。いくら酔っているとはいえ、あまりにも胡散臭い話に危険くらいは感じるだろう。
 しばらくすると、男は梨乃を突き飛ばし、そそくさと離れていこうとした。そこに梨乃が取りすがって哀願する。男は更に離れようとする。
 この様は“痴女に辟易する中年男”というように見え、おおいに笑いを誘われる光景であった。ビデオにも、カメラマンのククッという苦笑が録音されていた。
 男に逃げ去られてしまった梨乃が次に見付けたのは、今風の若者であった。彼は先程のサラリーマンとの事を見ていたらしく、梨乃に興味があるようだった。
 若さゆえ、安全よりも性欲のほうを取ったのであろう。彼は建物と建物の間の暗がりに梨乃を連込むと、立ったまま彼女を犯し始めた。カメラはそこにそっと近付いていく。
 梨乃は、自分の声が通りに漏れないように唇を噛んで堪えているが、若者はそれが面白くないようだった。そこで、ならば!と彼は梨乃の背中を建物の壁に押しつけ、これでもかと言わんばかりに猛烈に腰を使いだした。
 ビタンビタンと梨乃の尻が壁に叩きつけられ、その度に若者のペニスが彼女の奥底を激しく突き上げていく。ベッドなどと違ってクッションがまるで無いため、その衝撃は非常に大きいものとなったようだ。ついに梨乃の唇から、歓喜の声が漏れてしまう。
「あひっ あはぁああああ」
 一度声を出してしまうともはや止めようが無かった。若者の突きにあわせて梨乃は悩ましげな声を辺りに響かせた。それに満足したか、若者はコンドームの中にたっぷりと射精して、梨乃から己れを引き抜いた。
「ほらよ。欲しがってたものをやるぜ。変態さん」
 彼は梨乃の口を無理矢理あけさせると、精液の詰まったコンドームをくわえさせた。
 そして彼女の額に『牝豚』と書くと、足早にそこを離れていった。
 梨乃は涙を流しながらコンドームの口を結わえると、コートのポケットに大事そうにしまいこんだ。
 その後、梨乃は何人かの男に誘いをかけるのだが、彼女の下半身から立ち篭めるセックスの名残りの臭いと、何より額に書かれた『牝豚』の文字によって、ことごとく敬遠されてしまっていた。が、それでも必死の努力によって、時計が11時を回る頃には、6人の相手をすることに成功していた。この過程も、涙無くしては見れないものであった。
 2時間で6人もの相手をするうえで、康之たちに叩き込まれたテクニックが役にたったのは皮肉といえば皮肉であろう。
 しかし、あと1時間足らずのうちに、残り6人のザーメンを集めるのは不可能に近かった。
 途方に暮れて街を彷徨う梨乃に、若い男が声をかけてきた。その男は梨乃と一言二言会話をかわすと、彼女を街の外れに作られている公園へと連れていき、そこの公衆便所に梨乃を押し込んだ。
 そして中では、5人の男たちがいやらしい笑みを浮かべて彼女を待っていた。
「おまえだろぉ? せーえき集めてるってゆーバカ女は?」
 男の一人が梨乃からコートを剥ぎ取って、丁寧に個室のドアにかけた。
「オレっちはさぁ、そんなおまえに協力してやろーと集まったワケなのよ」
 他の男たちは、梨乃の全身をじろじろと見つめている。
「だから…とっとと股をひろげやがれ!」
 梨乃を連れてきた男が、いきなり彼女を泥や小便、吐瀉物などできたなく汚れている床へと蹴り倒した。梨乃は妙にヌルヌルしている便所の床をズルッと滑って、小便器の中にもろに顔を突っ込んでしまった。そこは尿や、吐き捨てられたガム、痰、煙草の吸い殻などの吐き気をもよおす臭いで充満していた。
 どうやら彼らは、コートが汚れるのはもったいないが、梨乃が汚れる分には一向にかまわぬ。といったようであった。
「ひ…ひどい…」
 どろどろに汚れた顔をあげ、梨乃は男たちを睨みつけた。
「なに言ってやがる! 公衆便所なら公衆便所らしくしてやろうってンじゃねぇか!」
「ま、最初の一発は約束どおりコンドーム使ってやるから安心しな」
 その言葉を合図に男たちは梨乃に襲いかかっていった。

 事が終わると、男たちはそれぞれのコンドームを梨乃のヴァギナに埋め込んだ。そして一人づつ彼女の体の空いている場所に卑猥な言葉を書きなぐると、疲れ果ててぐったりとした梨乃を残して便所から姿を消した。
 もはや梨乃の体で綺麗な所は残っていなかった。全身が不潔なもので覆われ、穴という穴は男たちに犯され、六種類の精液がこびり付いていた。
 梨乃は便所の床に蛙のように張り付いて、立ち上がることが出来ないでいた。どこからともなく飛んできた蝿が、彼女にたかっているのが痛々しかった。
「…とけい……時間は………」
 梨乃が腕時計を見ると、すでに針は12時を大きく回っていた。
「あ…ああああああああああああ…」
 梨乃は必死に立ち上がろうとしたが、さんざん犯された腰には力が入らなかった。それでも両手で這って表へ出ようとすると、便所の入り口で声がした。
「いたいた。こんな所にいやがった」
 康之たちだった。それに気付いた梨乃は悲鳴をあげながら、今度は逆に便所の奥のほうへと這って逃げだした。
「バカが、時間オーバーしやがって」
 康之は手にピストルのようなものを握っていた。
「つーわけで、酷いことをしてやる。これでな、おまえに書かれた12のサインを刺青にして掘り込んでやる」
「いっ、いやあああああああああああああぁぁぁぁっ!」
 便所の中に梨乃の号泣と、刺青器の駆動音が哀しく響いた。

「ふーん。これはその時につけられた刺青だったんだぁ。梨乃ちゃんかわいそ〜」
 満のビデオを見終わった葵が、声を殺して泣いている梨乃の額の『牝豚』という文字をつついた。
「じゃあ、この他にまだ11個も刺青があるのね♪」
「そう言うことです。後で梨乃さんに見せていただくと良いでしょう」
 満が股間を勃起させながらそう答えた。葵の乳首も勃起し、ブラウスの布地を押し上げている。
「さて、次はボクの友人であるヘレナ女史のビデオです」

「ハイ、ミツル、元気ですか? このビデオはミツルの為に、ヘレナ自ら編集し、日本語に吹き返したものです。楽しんでいただけたらヘレナ、とても嬉しいです。では、作品ナンバー1055スタートです」
 そう朗らかに解説したのは、クールビューティな、白衣が良く似合うドイツ美女であった。歳の頃は24〜5だろう。
 今画面には白い建物が映っていた。そこに、ご丁寧にも日本語で【ゲヘナ=ヘレナ分子生物学研究所】と字幕スーパーがかぶせられている。
 カメラは建物の中に入り、いくつかの厳重そうなドアをくぐり抜けた。そして、とあるドアの前でヘレナは立ち止まった。
「ここです。この部屋に今回あなたに見せたい験体が飼育されています」
 ヘレナはドアロックにカードキーを滑らせる。
「今からお見せするデータは、六ヵ月ほど前のものです。まずこれから見ていただくとしましょう」
 そして、部屋に入ったカメラが映し出したのは…

「り…良子!?」
 梨乃が叫んだ。

「ミツルの部下の方から下げて頂いたこのリョーコは、バランスの取れた肉体と、明晰な頭脳を持った素晴らしい験体です」
 白いラバー質材で覆われた部屋のなかに、全裸の良子がうずくまっていた。…いや、全裸というのは間違いだろう。良く見れば彼女の四肢には枷が付けられ、枷はスチールロープで壁に繋がれていたのだ。
「彼女の健康で美しい体は、ヘレナが今進めているプロジェクトの臨床験体としてたいへん適しているのです」
 ヘレナが合図を出すと、スチールロープが引き込まれ、良子を壁に磔にした。そして、ヘレナが懐から注射器の入ったケースを取り出すと、それを見た良子は悲鳴をあげた。
「いやぁっ それはもういやあぁっ!」
 だが、ヘレナはそんな良子を無視して、無慈悲に注射器を彼女の左乳房に突き刺した。そしてカメラに向き直る。
「これで6度目の注射です。一応規定の量は投与し終えましたので、後は少し様子をみたいと思います。次の検査は一ヵ月後に…」
 そして画面が切り替わる。
「…さて、前の検査から一ヵ月がたちましたので、リョーコの状態を見てみたいと思います」
 そしてカメラが映し出したものは、左の乳房だけ異様に大きくされた良子の姿だった。良く見ると乳首の上に副乳のようなものまで出来ていた。
 左の乳房は、単純に見ても右のそれの三倍から四倍の大きさがあるようだった。
「どうでしょう? 大自然の造形の妙と人間の医療技術の結合。人間の乳房に乳牛の乳房を再現させるとこの様な形になるのです。しかも、影響を受けやすい他の器官にはまったく障害を出しておりません。これにより、品種改良も簡単に行なえるようになるでしょう」
「この品種改良って、牛のことを言ってるんじゃないんでしょ?」
「当然ですね」
 …自分の方が、まだ幸せなのかも知れない……梨乃は恐怖に身を震わせた。

「…次は、昨今皆さんの間で関心が高まっている、人獣間交配についてアプローチしてみたいと思います。犬や馬などはポピュラーすぎてつまらないでしょうから、ヘレナとしましては、猿、豚、牛を考えてみました。この中ではDNAでは猿が、臓器の構成構造では豚が適しているのですが、ヘレナの美意識が牛との交配を決定させました。幸いにもリョーコという験体がいるので、速やかに実験は進むものと思われます」
 再びカメラが良子を映すと、そこには何やら白っぽくなった彼女がいた。右の乳房まで大きくされた彼女は、その胸が重いのか、四つ這いになっていた。おまけに『鼻かん』まで取りつけられていたのだ。
「皆さんお気付きのように、リョーコにはある処置を施してあります。何しろリョーコはこの実験に極めて非協力的なので、自分の立場を認識させる必要があった為です」
 ヘレナは良子の前に立つとパンパンと手を叩いた。
「さあ、カメラの前でくるりと一周なさいな」
 良子はかすかに反抗の色を示すが、
「でないと、今度は角を付けるわよ」
 そうヘレナに脅されて、彼女は仕方なくカメラの前で一周した。するとこぼれた涙が、床に点々と跡をつけた。
「ハイ、見ての通りリョーコの体毛は非常に濃くしてあります。毛色は、白と黒。そう、ホルスタイン種のそれをパターンとして刷り込んであるのです」
 そう言うヘレナの顔は、興奮し上気しているようであった。
「既にリョーコは、遺伝子再構成物質によって人牛へと作り替えられつつあるのですが、ナノテクノロジーがいま少し進歩すれば、この作業は更にやりやすくスピードアップされることでしょう。皆様の援助がその鍵を握っているのです」
 ヘレナがそう話す間、画面にはCGによるDNA組み替え作業の様子とか、ナノマシンの構造説明図などが映し出されていた。

 それを見て梨乃は、ヘレナという女性が、難病に苦しむ人々の為に医療技術を向上させ様などとは夢にも思っていない人物だとわかった。彼女は…そう満達のような特殊な人物たちの趣味趣向を満足させる為だけにこんなことをやっているのだ。
 …自分や良子ような女性を、更に堕しめる為に。

  梨乃がそんなことを思っている間にも、ビデオは続いていた。
「…さて、今日はリョーコの種付けを行なおうと思います。そこで旦那様には、先日、アメリカのニュージャージー州で生ませることにに成功した『マイクロ・カウ』のジミー君を迎えてあります。このジミー君は度重なる交配によって、成獣で仔牛のサイズの体を持つに至りました。これにより、無理なく人間と交尾させることが出来るのです」
 そして良子のもとへ、薬で発情させられた小さな牛が連れてこられた。ジミーは人牛の良子の性器から発散されるフェロモンに刺激されて、非常に興奮している。サラミソーセージの様なペニスがブルンブルンと震えていた。
「では、さっそく種付けをさせましょう」
 良子は北欧の獣姦ビデオなどで使われる、その為の拘束具に全身を固定されていた。さすがに泣き叫び暴れまくる彼女に、自然なSEXなど望むべくもないので、この手法を取らざるを得なかったのだ。
 そして良子にジミーがのしかかり、ずぶずぶとペニスを彼女のヴァギナに沈めていく。カメラはその様をアップで撮り続けた。それに良子の放つ絶叫が重なる。
 犬などとは違った重量級の腰の動きに、良子の声が裏返る。その為、彼女が苦痛を感じているのか、快感を感じているのか解らなくなっていた。
 突然ジミーがうなり声をあげ、ついで良子が一際高い絶叫をあげた。
 カメラが結合部を映すと、ヴァギナとペニスの合わせ目から大量の精液が逆流し、吹き出ているのが判った。それは終わることが無いかのように、いつまでも続いていた。
「ところで皆さんは、人間と牛との間で交配できないことはご承知ですね。だからいくら交尾させても無駄じゃないかと思っておられると思います。ですが、人工受精によってならそれは可能なのです。ヘレナが開発したコンピューター・システム『マギウスの杖』を使い、リョーコの卵子にジミーの精子を受精させます。その際問題になるDNAやら染色体やらは『マギウスの杖』で強引に組み替えます。ヒトの部分を大幅に削ることになりますが、今はこれで良とします」
「そしていくつかのサンプルを作り、細胞分裂を起した受精卵をピックアップして、リョーコの胎内に戻して完了です」
 ヘレナは気絶している良子に目をやり、
「知らないうちにこれを施されたリョーコは、牛の子供を妊娠したとしてビックリするでしょうね」
 とクスクス笑った。

「これを見ますと、医術は悪魔の術だということが良く解りますね」
 満が頭を軽く振った。
「まあ、彼女の場合、血がそうさせるのでしょうが…」
「血?」
「ええ。葵さんは知らないでしょうが、彼女のお爺さんはナチスの生体医学者だったんですよ」
「ふぅ〜ん。…ねえ、満お兄ちゃん。今度あたしに紹介してちょーだい、あの人」
「葵さん。牛の子供でも産みたくなったんですか?まぁ、止めませんけどね」
「クスクス。どうでしょ?」

「…ミツル、これがあなたにお送りする最後のデータで、最新のものです。さて、あのリョーコはどうなったでしょうか?」
 カメラは下腹部が大きくなった良子を映していた。その姿は、ヒトよりも牛に近く見えた。
「陣痛が始まり、破水も起こっていますから、出産はもうまじかに迫っています。この日の為に、産道を大きく拡げてあるので、胎児はスムーズに出てくるものと思われます」
 そう言う間に、ヴァギナから、血と羊水と共に牛の前足が姿を現わした。
「あぅ ああああぁうぅ いやあああああああぁぁぁっ!」
 泣き喚く良子の躰から、前足に続いて、牛の頭部、腹部が産み出され、やがて牛の全身が姿を現わした。
「よくやったわね、リョーコ。このコは男の子よ。立派なおちんちんもついてて、ママとして嬉しいでしょ?」
 良子の頭をやさしく撫でながら、ヘレナは笑った。
「牛でも人間でもない、牛人のこのコは、パパとママの名前を取ってリョミーと名付けましょうね」
 そして良子の顎をあげ、瞳を覗き込んで、
「次は、このコが大きくなったら、DNAを練り込む意味でも、人牛と牛人の母子交配をやってみましょうね」
「いやあああああああああああぁぁぁぁぁっ!」
 …そしてビデオは終わった。

「こりゃあ、どう見てもヘレナの勝ちよね」
 葵が満に向かってそう言った。その言葉に、多少の嘲りの臭いが込められているようであった。
「むぅ。悔しいですが、どうやらそのようですね。…梨乃さん、あなたはどう思われますか?」
 満に聞かれて、梨乃は、
「は…はい。わたしもそうだと思います」
 と答えた。すると…
「そうですか。なら、梨乃さんをヘレナさんの所へ送るしかないようですね。ボクの所では、これ以上酷いことは出来そうにありませんから…」
 とたんにに梨乃の顔色が変わった。
「それは!そればかりはお止めくださいぃっ!」
「あなたが嫌だと思うなら、なおのこと止める訳にはいきません。まあ、向こうにいけば良子さんとリョミー君もいることだし、淋しくはないでしょう」

 その後、泣き叫ぶ梨乃を部下たちに運びださせると、満は葵に向き直った。
「ところで葵さん。鋼君はどうしました?」
「ああ、あいつ?ダメよ、あんなのオトコじゃないもン」
 葵は、ふう、とため息をついた。
「だって、せっかくあたしが乱暴に抱いてもいい、メチャクチャにしてもいいって言ってるのに、ただあたしを抱き締めて腰を振ってるだけなんだもの。犬じゃないっての!」
 やれやれ、鋼君も災難だ…満は苦笑する。
「ははあ。鋼君としては、13才の葵さんに躊躇したんでしょうけどねえ」
「それがダメなのよ。あたしはあいつらに酷いコトしている仲間なのよ。もっとグチョングチョンのゲチョゲチョにあたしを犯すことくらいしなきゃオトコじゃないわ!」
「はあ…そうですか…それで?」
「だから、あいつをオトコで無くしてあげたわ」
「性転換でもしたんですか」
 葵の言葉に満は興味を惹かれた。彼のサディストの部分が頭をもたげたのだ。
「ううん。そんなイイことしてやんない。神経を切断して勃起出来無くして、二度と女を抱けない躰にしてやったの。発散出来無い性欲に苦しめばいいんだわ」
「…葵さん。あなたが一番酷い人かも知れませんね」
「ふぅん。でも、この酷いあたしを屈伏させるような人ってどこかに居ないかな?」
「…とても13才の女の子の発想じゃありませんねぇ……で、彼は今?」
「あいつなら、離れに閉じこめてあるわ。4人ほど女の子をあてがってね」
 そして何が行なわれているかは、推して知るべしだ…そう満は思った。
「ところで満お兄ちゃん。環お兄ちゃんと、鈴音ちゃんの方こそどうなったの?」
「そのことなら、順調に進んでいますよ。ようやく鈴音さんも、環兄さんを完全に受け入れられるようになりましたから、明日にでも鈴音さんに環兄さんの赤ちゃんを妊娠していただこうと思っています」

 そして翌日。満は兄、環の部屋を訪れた。その部屋の中央にある風呂から耳障りな甲高い声と、どこか壊れたような女のよがり声があがっていた。
 また、一日中鈴音を抱いていたのか…満はそんな兄に、かすかな怒りを感じた。マスターベーションを覚えた猿じゃあるまいに、せっかく自分が見付けてきてやった女を壊す気なのか…と。
「まあ、その方が鈴音さんにとっては幸せなのでしょうけどね」
 満は風呂に近付いていき、その縁に腰をおろした。
「さて、環兄さん。計算によると、今日、鈴音さんは妊娠OKの日のようです。ですから確実に環兄さんの赤ちゃんを妊んでもらうようにしましょうね」
 そしてポケットから錠剤を取り出し、鈴音に飲ませようとした。その時、彼女の顔を見た満はその表情にドキリとした。
 ……美しい……。
 鈴音の両の瞳は、今は何も見てはいなかった。絶望と薬物と快感に犯された彼女は、思考することを放棄したようであった。ただ純粋に、肉欲のみに反応を示すだけの存在と化してしまっていた。
 そのどうしようもなく悲惨な姿に、満は美しさと欲情を感じたのだ。
 満は鈴音の悲惨な状態を更に進めるために、妊娠促進剤を彼女の胃に流し込んだ。
「さあ…やるぞぉ。みつる…てつだって…くれぇ」
 兄に急き立てられ、満は鈴音の背後に回り、彼女の両足を抱えて持ち上げた。そして、馬鹿馬鹿しさを感じつつも、鈴音の躰を上下に動かし始めた。
 躰を動かすに連れ、鈴音のヴァギナに環の巨大なペニスがズルズルと出入りし、その度に環のブヨブヨの腹がタプタプとうねる。その様は、官能よりも吐き気を満に与えた。
「あっ あひあひいいぃぃっ うわあはあぁああぁあああああああぁっ」
 鈴音があたりかまわずによがりまくった。口からはだらだらと涎が滝のようにこぼれていく。満は、そんな鈴音の首で鈍く光っている首輪に目をやった。
「ゆうちゃんとか言う人が、この様を見たらどう思うでしょうかね」
 満が何気なく呟いた言葉が鈴音の耳に入り、彼女の意識にかすかに光をともした。その瞬間、彼女のヴァギナが環をギュッと締め付けた。
「お、おおおおおおっ…み、みつる…い…いきそうだ…いきそうだ…ぞ」
 その時、インターホンから
「敷地内に、侵入者発見!」
 と、報告が入った。そして、外部モニターに映ったのは……。
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