女「ここは○○のまちです」 (エロくない体験談) 26521回

2008/08/16 09:46┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
女「ここは○○のまちです」
男「宿はどこにありますか?」 
女「ここは○○のまちです」 
男「あのー宿は・・・」 
女「ここは○○のまちです」 

男「・・・」 

男「あのー宿は・・・」 
女「このまちを出て東に行くと洞窟があります」 
男「・・・!?さっきと同じ人!?」 
女「このまちを出て東に行くと洞窟があります」 
男「・・・?君は一体・・・?」 
女「このまちを出て東に行くと洞窟があります」 

男「・・・」 

男「宿はここかな・・・?」 
女「はあ・・・はあ・・・いらっしゃい、ここはぶきやだよ」 
男「!?」 
女「・・・い・・・いらっしゃい、ここはぶきやだよ」 
男「あのーもしかしてこの町・・・」 
女「いらっしゃい!ここはぶきやだよっ!!」 

男「・・・どうのつるぎをひとつ」 

男「この民家はどうかなっと」 
女「ぜえ・・・ぜえ・・・東の洞窟には凶暴な魔物が住んでいるという噂ですよ」 
男「・・・」 
女「はあ・・・はあ・・・ひ、東の洞窟には凶暴な魔物が住んでいるという噂ですよ」 
男「やっぱりまさか君この町の人々の役柄を全部1人で・・・」 
女「ひ、東の洞窟には凶暴な魔物が住んでいるという噂です!」 

男「・・・」 

男「よし、さっきのぶきやに戻るか」 
女「!」 
男「すたすた」 

男「・・・おや、人がいない」 
がちゃっ・・・ 
女「ぜえ・・・ぜえ・・・す、すみません・・・いらっしゃい、ここはぶきやですよ」 
男「・・・ぶきやだよじゃない・・・?」 
女「!!・・・こ、ここはぶきやだよ・・・」 
男「・・・」 

男「あのー」 
女「え、えっとこの位置の人は・・・この町を出て東に行くと・・・」 
男「ここは○○のまちですじゃなかった?」 
女「!!!・・・こ、ここは○○のまち・・・です・・・」 
男「・・・」 
女「・・・」 
男「宿は?」 
女「・・・あっちです・・・」 

男「ここかー」 
女「・・・はあ・・・はあ・・・た、たびの宿へようこそ・・・」 
男「・・・」 
女「ひ、一晩30Gで・・・」 
男「ほい、30G」 
女「あ・・・えと・・・」 
男「適当に空いてる部屋探して寝るよ、どうもありがとう」 
女「あ・・・はい・・・」 

男「・・・だれも泊まってない・・・」 

男「よく寝たー」 
男「すたすた」 
男「・・・」 
女「すやすや」 
男「・・・」 
女「すやすや」 
男「・・・」 
女「むにゃ・・・お母さん・・・」 
男「・・・」 

女「すやすや」 
男「あ」 
女「すやすや」 
男「・・・カンペが置いてある・・・」 
女「すやすや」 
男「・・・めっちゃアンダーライン引いてあるし・・・」 
女「すやすや」 
男「・・・『ここ忘れやすい!』だって・・・」 
女「すやすや」 
男「『ここは完璧!!』」 
女「すやすや」 
男「・・・『ここは男の人の声で!』か・・・ぷぷっ」 
女「すやすや」 

男「昨日間違えまくってたからなー」 
女「すやすや」 
男「きっと徹夜でもっかい覚えなおしてたんかなー」 
女「すやすや」 
男「・・・」 
女「すやすや」 
男「毛布かけて・・・と・・・」 
女「むにゃ・・・お母さん・・・あったかい・・・」 
男「・・・」 
女「すやすや」 
男「散歩にでもいくか」 

女「すやすや」 

男「すたすた」 
男「すたすた」 
男「・・・」 
男「やあおはよう」 
男「・・・」 
男「などと小鳥に話しかけても返ってくるはずもなく」 
男「・・・」 
男「ほんとに誰もいないんだな・・・」 

女「すや・・・」 
女「・・・」 
女「・・・あれっ!?」 
女「・・・」 
女「・・・あのまま寝ちゃってたんだ・・・」 
女「・・・?毛布?」 
女「・・・もしかして昨日の人・・・!?」 
女「ばたばた」 
女「どーしよー・・・やっぱり部屋にいない・・・」 
女「・・・」 
女「おはようございます、いってらっしゃいませって言わなきゃなのに・・・」 
女「おろおろ」 

男「ただいまー」 
女「!!よ・・・よかったあ・・・」 
男「?」 
女「あ・・・でもこの場合なんて言えばいいか・・・えと・・・お、おかえりなさいませ・・・?」 
男「それじゃあ某喫茶店になっちゃうじゃん」 
女「えと・・・えと・・・・」 
男「・・・」(この子面白いな・・・) 
女「んと・・・」 

女「・・・よ・・・よくぞもどった・・・?」 
男「それはちょっと古いな」 

男「で」 
女「?」 
男「朝食とかはないの?」 
女「・・・あ、えと・・・それは・・・」 
男「?」 
女「・・・なんと言いますか・・・ご飯は・・・省略するって書いてあって」 
男「・・・まあ、確かにご飯を食べる描写はないなー」 
女「・・・はい・・・すみません・・・」 
男「いいよ、で、なんかあるの?」 
女「はい・・・スープとパンがあるので・・・」 

男「以下省略」 

男「ごちそうさま」 
女「いえいえ」 
男「なかなかおいしかったよースープ」 
女「ほんとですか!?いっつも食べる人が私以外にいないのでおいしいのかどうなのか自信がありませんでした・・・」 
男「・・・」 
女「あ、えと。なんかすみません・・・」 
男「・・・パンもおいしかったよ」 
女「ほんとですか!?実はこれ私が作ったものなんです!」 
男「へえ!」 
女「ここいらは実は小麦がとれて・・・」 

男「さてと」 
女「・・・行くんですよね・・・」 
男「・・・まあ宿に泊まったし体力は回復したしな」 
女「・・・ですよね」 
男「・・・」 
女「・・・あ、えと、おはようございます!いってらっしゃいませ!!」 
男「・・・」 
女「あ、あれ?なんかおかしかったですか?」 
男「・・・いや、じゃあ行くわ」 
女「はい!いってらっしゃいませ!!」 

女「・・・このスープちゃんとおいしくできてたんだな・・・」 
女「・・・そういや名前も聞いてなかった・・・」 
女「・・・」 

女「もう夜・・・」 
女「・・・」 
女「まちの家の電気つけなきゃ・・・」 
女「・・・」 
女「・・・」 
女「・・・」 
女「・・・とりあえず今日もまちの入り口付近で歩き回っとこう・・・」 

男「あのー」 
女「!!」 
男「ちょっとマジックポイントがなくなっちゃって・・・このまちの宿屋はどこにありますかね?」 
女「・・・ぐすっ・・・こ、ここは○○のまちですっ!!」 


つづく? 

ちゃらちゃらちゃららーん♪(泊まった時の音楽) 
男「実は東の洞窟の魔物が思った以上に強くてさー」 
女「そうなんですか!?」 
男「・・・行ったことないの?」 
女「ちっちゃいころからあそこだけは近づくなと言われてきたので・・・」 
男「・・・まあ、とりあえずそんな感じでしばらくはこのまちを拠点にレベル上げと装備を揃えるための金稼ぎをしようかなと・・・」 
女「お金を稼ぐ!?・・・このまち、カジノはないですよ・・・?」 
男「・・・いや、うん、知ってる」 
女「えー!?じゃあどうやって・・・まさか私から盗る気じゃ・・・」 
男「・・・」 

男(この子・・・天然か・・・?それとも謀っているのか・・・!?) 

女「えー!?魔物を倒すとお金がもらえるんですか!?」 
男「・・・うん・・・」 
女「初めて知りました・・・」 
男「・・・常識でしょ・・・」 
女「・・・まちから出たことなくて・・・」 
男「今まで一度も!?」 
女「はい・・・」 
男「・・・」 

女「・・・あの」 
男「・・・ん?」 
女「・・・魔物を殺してお金を奪うって強盗じゃ・・・」 
男「そこに触れてはいけない」 

男「じゃー食料とかは?」 
女「南のまちから届けてもらってるんです・・・」 
男「・・・お金は?」 
女「まちの蓄えを・・・」 
男「なるほど・・・」 
女「蓄え・・・もうちょっとでなくなっちゃうんですけどね・・・」 
男「・・・」 

女「・・・私もこのひのきのぼうならなんとか持てますし魔物倒せばお金が・・・」 
男「それ装備しても攻撃力5じゃん・・・」 

女「♪」 
男「?」 
女「♪」 
男「なにやってんの」 
女「あ、男さんもうおでかけですか?」 
男「うん、それ・・・植物?」 
女「はい、まもりのたねを植えたら芽が出てきたんです♪」 
男「ええ!?」 
女「かわいいでしょ♪」 

男「・・・」 
女「♪」 
男(・・・あのたねって発芽するんだ・・・) 

男「このたねも植えてくれない?」 
女「?いいですよ?」 
男「ほい」 
女「?こんなたね初めて見ます!」 
男「ラックのたねって言うんだよ」 
女「へえ・・・どんな効果があるんですか?」 
男「・・・運があがる」 
女「へえー!!そんなたねがあるんですか!?」 

男(もしこのたねが10粒できて・・・それを植えてまた10粒できて・・・少しずつ食べてけばいつか宝くじ当たるんじゃね!?) 
女「へえーすごいなー」 

男「ふいー」 
女「あ、男さん!ここは○○のまちですっ!おかえりなさいっ!!」 
男「うん、ただいまー」 
女「今日はちょっと遅かったですね?」 
男「うん・・・ちょっと今日は調子が良かったんだ・・・」 
女「そうなんですか?でもあんまり無理はしないでくださいね?」 
男「ん、ありがとう。今日のごはんは?」 
女「ここは○○のまちですっ♪」 
男「へ?」 
女「ここは○○のまちですっ♪」 
男「・・・要するに内緒ってことか・・・」 
女「ですっ!!」 

男「あーお腹減ったー」 
女「あ、待ってください!男さん!たびの宿へようこそ!一晩30・・・」 
男「はいはい30G」 
女「・・・もー最後まで言わせてください!」 
男「お腹減ったーごはんは?」 
女「ふふー今晩はこれですっ!!」 
男「こ・・・これは・・・豆スープに豆パン・・・豆サラダ・・・だと・・・!?」 
男のテンションが1さがった! 
女「ただの豆じゃありません!食べてみてください!!」 
男「えー?まあいいか・・・お腹減ったし・・・」 
女「はやくはやく!」 
男「どれ・・・もぐもぐもぐ・・・」 
男のみのまもりが1あがった!男のちからが1あがった!男のちからが1あがった!! 
男「!?」 
女「まもりのたね、ちからのたね、すばやさのたねのスープ、パン、サラダです!!」 
男「まじで!?」 
女「男さん、魔物に負けないでください!!」 
男「・・・あ、ありがとう・・・」 

男(なんか・・・嬉しいんだけど・・・なんだこのむなしさ・・・) 

男「ふあ」 
女「あ、おはようございます!」 
男「鳥にえさ?」 
女「はい♪毎朝来てくれるんですよ♪」 
男「へー」 
女「男さんもえさ、あげます?」 
男「うん」 
女「はい♪」 
男「ありが・・・ってこれ・・・まさか」 
女「この鳥さん達はちからのたねが好きなんですよ♪」 
男「・・・」 
女「まもりのたねが好きな鳥さんもいますけど今日はまだ来てないですねー」 
男「・・・」 
女「はいはい、みんな仲良くね♪」 

男(この鳥達のちからの数値が気になるな・・・) 

女「ちくちく」 
男「裁縫?」 
女「はい!このたびびとのふく、仕入れたのかなり前で、誰も買わなくてずっと店に置いてあるんで穴開いちゃって・・・」 
男「・・・」 
女「こうやって治しても装備後の守備力上昇率は新品のものと変わらないんですよ♪」 
男「へー!すごいな!!」 
女「男さんも服に穴開いたり剣が切れにくくなったら言ってくださいね?剣なんかうまくいけば元のものより攻撃力上昇率を上げれますから♪」 
男「まじで!?」 

男「もしかして女ちゃんてすごい子なんじゃ・・・」 
女「♪」 

女「うーん・・・」 
男「どした?」 
女「あ、男さん」 
男「悩み事?」 
女「実は・・・明日の仕入れでまちのお金が・・・」 
男「あ・・・」 
女「ついに・・・なんですよ・・・」 
男「・・・」 
女「まあ、1回の仕入れで1ヶ月はもちますから・・・すぐ食料がなくなったりはしないですし」 
男「・・・」 
女「さ、男さん、ぼーっとしてないで修行、がんばってきてください!!」 
男「・・・あ、うん」 

男「逆に仕入れを運んでくる人に女ちゃんが繕った特性の防具とか剣とか売ったりとかは?」 
女「・・・一度交渉はしてみたんですけど・・・」 
男「ほう」 
女「この辺のまちの店ってもうたびびとのふくだとかどうのつるぎだとかは低級すぎて扱ってくれないらしいんですよ・・・」 
男「・・・なるほど」 
女「この辺のまちで売ってる防具だとか武具を買って繕って売れればいいんですけど・・・高すぎて売る以前に買えないんです・・・」 
男「なるほどなあ」 
女「たね類は最近だと農薬を使ってるものじゃないと買い取ってくれないし・・・」 
男「女ちゃん、無農薬だもんねー」 
女「はい・・・農薬も最近のものは高いですし・・・」 
男(なんか・・・現実的だな・・・) 

デブ商人「やあこんにちは」 
女「商人さん、いつもありがとうございます」 
デブ商人「いえいえこちらこそ」 
女「・・・じゃあこれ、今回の分です」 
デブ商人「・・・実はですね、非常に申し上げにくいのですが」 
女「?」 
デブ商人「最近、小麦粉やらチーズやらの価格が跳ね上がっておりまして・・・」 
女「え・・・」 
デブ商人「今回からいつものお支払い金額にさらに10000G上乗せしていただかなければならなくなりまして・・・」 
女「10000ですか!?」 
デブ商人「はい・・・でなければいつもの金額ですといつものお渡しする量の3分の1になってしまいまして・・・」 
女「そんな・・・」 
デブ商人「すみません・・・こちらも一応商売でやっておりますので・・・」 

男「・・・」 

女「なんとか・・・なりませんか・・・?」 
デブ商人「すみません・・・私にも・・・家計が・・・家族が・・・妻と子供がおりますので・・・」 
女「・・・どうしよう・・・」 
デブ商人「金額が払えないのであれば3分の1の量に減らしていただくという形で・・・」 
女「・・・」 
男「ほい、10000G」 
女「!?」 
男「小銭ばっかりで申し訳ないけどちゃんとあるから」 
女「男さん!?」 
男「おれだってこの仕入れでご飯食べてるんだから、ないと困るし」 
女「そんな・・・困ります!」 
男「いーから。どう?あるでしょ?」 
デブ商人「はい、しっかりそろっております、ありがとうございます」 
男「はいはーい、またよろしくー」 
女「え、ちょっと・・・」 
男「うるさいなーいーじゃん、これでまたおいしいご飯が食べれるしさ」 
女「・・・」 

デブ商人「さて・・・鉄のきんこにお金をいれて・・・鉄のまえかけにせいぎのそろばん装備・・・と・・・」 

男「おいしいアモールの水・・・と・・・」 
女「・・・男さん」 
男「・・・へーどくけしそうとかも仕入れてんだ」 
女「男さん・・・」 
男「うまのふんとか・・・何に使う気だよ!」 
女「男さん!!」 
男「・・・なに」 
女「・・・この仕入れは、このまちのことなんですから・・・」 
男「よそ者が首をつっこむなってか?」 
女「・・・」 
男「別にこのまちのことに首をつっこむつもりじゃない」 
女「・・・じゃあなんで・・・」 
男「おれはここを拠点にレベル上げと金を稼ぐんだ・・・このまちでご飯食べれなかったら困るじゃないか」 
女「このまちを拠点にしなくたっていいじゃないですか!」 
男「・・・」 
女「それにせっかく稼いだお金・・・使っちゃったし・・・」 
男「・・・」 
女「10000G分、仕入れ返してきてお金もらってくるんで出てってください!!」 
男「・・・だよ」 
女「!?」 
男「・・・このまちで休むとお金がうくんだよ!」 
女「・・・へ?」 

男「・・・さっきの10000G、払った代わりにおれがここにいる間の宿代タダにしてよ」 
女「・・・え」 
男「・・・どう?」 
女「・・・」 
男「だめ?」 
女「・・・ほんとに図々しい人ですね・・・」 
男「・・・ははっ、だろ?」 
女「・・・しょうがないです」 
男「やりっ♪」 
女「その代わり、ご飯作るの手伝ってくださいね?」 
男「え」 
女「お掃除、洗濯も」 
男「う」 
女「植物の手入れも手伝ってくださいね?」 
男「な」 
女「働かざるもの食うべからず、です♪」 
男「・・・おれ修行と金稼ぎが・・・」 
女「週休2日制で、休日にしっかり手伝ってもらえればいいです♪」 
男「まじか」 
女「です♪」 

男「ただいまー」 
女「あ、ここは○○のまちです♪おつとめごくろうさまです♪」 
男「んー今日はいやにつうこんのいちげきをくらって大変だった・・・」 
女「お風呂わいてますよ!今日はやくそうの湯です!!」 
男「まじで?傷にしみそうだな・・・」 
女「ごはんはやくそうの炒め物、やくそうサラダです!!」 
男「まじで?口の中も切ってるんだよな・・・しみそう・・・」 
女「ほらほら、たびの宿はもうすぐですよ♪」 

女「明日こそは一緒についてっていいですかー?」 
男「レベル1の人はだめだって」 

男「じゃあいってくる」 
女「おはようございます!!いってらっしゃいませー!!!」 

男「む、現れたな魔物め」 
男「お?」 
男「おお?」 
男「お?」 
男「なんだ?今日はやけに先制攻撃できるな・・・」 

女「ごくごく・・・男さん・・・すばやさのたねのスープ効いてるかな・・・?」 
女のすばやさが1あがった!女のすばやさが2あがった!女のすばやさが1あがった! 
女「・・・でも私のステータスって一夜明けたら初期値に戻っちゃうんだよね・・・」 

女「いきと・・・しいけ・・・れる・・・」 
男「いきとしいけるものはみなかみのこ。わがきょうかいにどんなごようかな?でしょ?」 
女「・・・」 
男「・・・」 

女「い・・・いく・・・とし・・・くる・・・とし・・・?」 
男「・・・教会なのに除夜の鐘鳴っちゃうよ?」 

男「うー」 
女「い・・・いくとし・・・」 
男「・・・もういいから・・・どくのちりょうを・・・」 
女「・・・はい、ではわが教会に5000Gの・・・」 
男「・・・」 
女「・・・」 

男「・・・また今月も・・・お金ない・・・の?」 
女「・・・価格の・・・高騰なんです・・・」 

男「いくらでもいいからはやく・・・体力が・・・」 
女「は、はい!では全知全能の神よ、このものの毒をとりさりたまえー」 
男「・・・」 
女「・・・」 
男「・・・」 
女「ごそごそ」 
男「・・・?」 
女「はいっ!口にいれてっ!!」 
男「!?ごっくんっ!!」 
女「さあ治りました!」 
男「!!ほんとだ!!!」 

男「・・・どくけしそうか・・・」 
女「・・・さすがに神父さんみたいな力はないんです・・・」 

女「おお男さんよ、よくぞもどった!」 
男「・・・」 
女「あと男さんは・・・多分200けいけんちくらいで・・・次のレベルに・・・」 
男「こないだレベル上がったばっかだけど・・・」 
女「・・・あ、じゃあ・・・300けいけんちくらいで・・・」 
男「そんなんでレベル上がるほど今のレベル低くないんだけど・・・」 
女「じゃ、じゃあ・・・ご、500けいけんちくらいで・・・」 
男「・・・もういいよ、おうさま」 
女「・・・すみません・・・」 

保守ありがとうござる 

男「お金もだいぶたまってきたなー」 
女「このまち、銀行もあるんですよ!」 
男「まじで?」 
女「教会の西の民家です!!」 
男「・・・」 

女「愛と信頼のゴールド銀行へようこそ!」 
男「じゃー30000Gあずけるかなー」 
女「さ、30000Gもですか!?・・・ごくり・・・」 
男「使うなよ」 

男「今日もたねのパンか」 
女「です!」 
男「いただきまーす」 
女「どぞー♪」 
男「もぐもぐ」 
女「もぐもぐ」 
男「もぐもぐ」 
女「もぐもぐ」 
男「もぐ・・・!?」 
男のみのまもりが1さがった! 

男「これは・・・!?」 
女「あーまもりのたね・・・傷んでたかなー・・・」 
男「痛んだやつ食べたら数値、下がるんだ・・・」 

女「男さん!起きてください!」 
男「・・・なに・・・もう朝ごはんできたの・・・?」 
女「違います!今日は休みの日ですよ!!ご飯作るの手伝ってください!!」 
男「・・・ああ・・・そうか・・・そうだった・・・」 
女「ほらほら!顔洗ってきたら倉庫からチーズとたね持ってきてください♪」 
男「・・・うん・・・」 

男「・・・チーズは・・・これか・・・」 
男「・・・たねは・・・と」 
男「・・・あ」 
男「・・・ラックのたねだ・・・」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「ちょっとくらいいいよね・・・」 
男「もぐもぐもぐもぐ」 
男のうんのよさが2さがった!男のうんのよさが3さがった! 
男「・・・」 
男「また傷んでた・・・」 

女「じゃー次はお掃除ですね!」 
男「・・・まさか一軒一軒やる気じゃ・・・」 
女「当然です!毎週掃除しないとすぐほこりだらけになっちゃうんですから!」 
男「まじか・・・」 
女「です!」 
男「よく今まで1人でやってこれたな・・・」 
女「ふふん♪」 
男「・・・」 
女「じゃーお掃除する家、分担しましょうか!」 
男「おっけー」 
女「私が民家1と民家2と民家3で・・・」 
男「・・・」 
女「男さんがぶきやとぼうぐやと教会と・・・」 
男「・・・おれ大変な場所ばっかりじゃね?」 
女「・・・ばれました?」 

男「ぱたぱた」 
男「ふきふき」 
男「ごしごし」 
男「・・・」 
男「なかなか大変だな・・・」 
男「ぱたぱた」 
男「ふきふき」 
男「ごしごし」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男はタンスをあけた! 
男「!!!」 
なんと!エッチなしたぎをみつけた! 
男「・・・」 
しかし男の持ち物はいっぱいだ! 
男「・・・」 
男「・・・これは・・・まずいよな・・・うん、まずい」 
男はそっとエッチなしたぎをタンスにもどした! 

男「・・・」 

男「次は宿の掃除か・・・」 
男「すたすた」 
女「あ、ごくろうさまです!」 
男「お、おおおおおおおう」 
女「?」 
男(まずい・・・さっきのエッチなしたぎの件で目が合わせられん・・・) 
女「どしたんですか?」 
男「あー・・・いやさっきの民家の掃除がちょっと大変だったから・・・」 
女「まだ一軒目ですよー?あ、タンスの中見ました?」 
男「ええええええああああああばばば」(なぜ急にその話題を・・・ばれたか!?) 
女「?あのタンスの中、前に住んでたおばあちゃんの趣味だったかで、エッチなしたぎが入ってるんですよー」 
男「・・・!?」 
女「売るのも恥ずかしいし、どうすればいいかわからないからそのまま入れてあるんですよねー」 
男「ま・・・まじか・・・」 
男「・・・」 

男(なんとなくだけど・・・手・・・洗っとこう・・・) 

男「ぱたぱた」 
男「ふきふき」 
男「ごしごし」 
男「ぱたぱた」 
男「ふきふき」 
男「ごしごし」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男は本棚をしらべた! 
男「!」 
男は分厚い本をみつけた! 
男「日記帳・・・?」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「気になるよな・・・これは・・・」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「ちょっとだけ・・・」 

男「・・・」 
○○年○月×日 
今日から日記を書こうとおもいます。 
誰かに見られる心配もないし、書きたいこと書こうっと。 
男「・・・2年前に書き始めたのか」 
○月△日 
まちの人のセリフが覚えられません。 
私頭悪いのかなあ・・・。 
お母さんは今日も帰ってこない。 
男「・・・」 
○月××日 
スープがこげちゃいました。 
私料理の才能ないのかなあ・・・。 
お母さんに料理、教えてもらっておけばよかったな。 
○月△△日 
ようやくぶきやの人のセリフをおぼえました。 
これでぶきを買いに来る人が来てもだいじょうぶ!! 
お母さんは帰ってこない。 

男「・・・」 

△月×日 
今日で1ヶ月です。 
帰ってきてほしい。 
お母さんだけじゃなくて、まちの人みんな。 
△月○○日 
今日仕入れのおじさんが来ました。 
優しそうなおじさんでした。 
私のお父さんはどんな人だったんだろう。 

□月○日 
売り物のぬののふくに穴が開いていたのでぬいました。 
難しくてぐちゃぐちゃになっちゃった。 

□月△日 
ついに旅人のおじさんがまちに来ました! 
けどこんなまちに用はないなってすぐ出て行ってしまいました。 
せめて宿に泊まっていってくれればよかったのに。 
男「・・・」 

今日は私の誕生日です! 
いつもより豪華なごはんを作りました! 
お母さん、私16歳になったよ。 

○月×日 
今日で1年です。 
お母さん、今どこにいるの? 
このまちはしっかり守るから、早く帰ってきてください。 
○月□日 
近くのまちに行ってみたくて外に出たけど魔物がいっぱいで無理でした。 
ひのきのぼうじゃ無理なのかなあ・・・。 
けど私がいなくなったらまちを守る人がいないからどっちみち離れられない。 
代わりにまちを守ってくれるような人がいるわけもない。 
私が2人いればいいのに。 

○月×日 
2年です。 
お母さん、食事も作れるようになったし、お掃除も洗濯もできるようになったよ。 
セリフも覚えたよ。まだ自信ないけど・・・。 
服も上手に繕えるようになったよ。 
どうして帰ってきてくれないの? 
男「・・・」 

男「・・・□月○日・・・おれが初めてきた日か」 
今日、旅人さんがきました。 
なんだか今までの旅人さんとは違う感じ。 
いじわるされてセリフ間違えちゃいました。しっかり覚えなおさなきゃ! 
でも泊まってくれるって♪ 
男「・・・」 
□月△日 
旅人さんがしばらくこのまちにいるって! 
なんだか人とまともにしゃべるのがひさしぶりで変な感じ。 
旅人さんの名前は男さんだそうです! 
□月○△日 
男さんが仕入れに足りない分を払ってくれました。 
すごくうれしかった。 
あの日から2年間、誰かに優しくされたり、困っていたら助けてもらうことがなかった。 
ずっと1人だった。 
とってもうれしかった。 
ありがとう、男さん。 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「・・・やっぱり、聞こう・・・」 
男「聞くべきだよな・・・」 

女「いただきまーす」 
男「どぞー」 
女「ごくごく」 
男「どお?」 
女「・・・ふわあ!すごくおいしいです!」 
男「でしょ!?」 
女「どうやったらこんなにおいしいスープができるんですか!?」 
男「ふふー実は隠し味にうまのふんを少々・・・」 
女「!?げほっげほっ!!」 
男「うそです」 
女「・・・もー!食事中ですよ!!」 
男「うはは」 

男(いつ聞き出そう・・・) 

男「結局聞き出せなかった」 
男「むう・・・」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「・・・」 
男「・・・寝れない・・・」 
男「・・・」 
男「すたすた」 
男「・・・」 
男「ありゃ」 
女「すうすう」 
男「・・・今度は日記書きながら寝ちゃったのか」 
女「すうすう」 
男「ほんとにすぐ寝ちゃう子なんだな・・・」 
女「すうすう」 

男「・・・」 
女「すうすう」 
男「・・・」 
女「むにゃ・・・お母さん・・・」 
男「・・・」 
女「・・・へへー・・・・お母さん・・・」 
男「・・・お母さん、大好きだったんだな・・・」 
女「・・・お母さん・・・?」 
男「・・・?」 
女「・・・どこ行くの・・・?」 
男「・・・」 
女「行かないでよ・・・私も行くよ・・・」 
男「・・・」 
女「ぶきやのおじさんも・・・おばさん・・・どうして・・・私も連れてって・・・」 
男「・・・」 
女「みんなどこいくの・・・?」 
男「・・・」 
女「待ってー!!」 
男「・・・!」 
女「・・・・・・ぐすっ・・・夢・・・・・・?」 
男「・・・夢だな」 
女「・・・!?お、男さん・・・!?」 

女「・・・ぐすっ・・・」 
男「・・・」 
女「・・・はあ・・・よし」 
男「落ち着いた?」 
女「はい、すみません、こんなところお見せしちゃって」 
男「・・・」 
女「でもどーして男さんここにいるんですか?」 
男「寝れなくて」 
女「昼間あんなに疲れたーって言ってたのにー?」 
男「・・・まあなんだかんだ体力あるしね」 
女「ふふっ、都合のいい体力ですね」 
男「だろ?」 
女「ふふっ、自慢げに言わないでください」 
男「へへー・・・」 
女「ふふっ・・・」 
男「・・・」 
女「・・・」 

男「・・・2年前さ」 
女「・・・え?」 
男「2年前、何があったの?」 
女「・・・え・・・どうして・・・」 
男「・・・日記」 
女「え」 
男「昼間掃除してるときに見ちゃった」 
女「ええええええええ!?見たんですか!?」 
男「うん、ごめん」 
女「ななななななな、もーどうして勝手に・・・!!」 
男「ごめん」 
女「えーじゃああんなことやこんなことも・・・」 
男「いやさらっとしか見てないから・・・」 
女「女の人の日記を盗み見るなんてサイテーです!!」 
男「・・・ごめん」 
女「・・・」 
男「・・・」 
女「・・・でも」 
男「・・・?」 

女「・・・いつか・・・誰かに見てもらいたくて・・・書いてたのかもしれません・・・」 
男「・・・」 
女「・・・悲しみとか・・・孤独とか・・・知ってもらいたくて」 
男「・・・」 
女「・・・」 
男「・・・」 
女「・・・溜め込むだけじゃ・・・つらいですし・・・」 
男「・・・」 
女「・・・この日記を見たのが男さんで良かったです・・・」 
男「・・・?」 
女「・・・きっと男さんみたいな人に読んでほしくて・・・わかってほしくて・・・書いてたのかもしれません・・・」 
男「・・・」 
女「・・・失敗事とか恥ずかしい内容は読んで欲しくなかったですけどね」 
男「あはは」 

女「・・・私はこのまちで生まれてこのまちで育ちました」 
男「・・・」 
女「お父さんもいたんですけど・・・私がまだ物心つくまえに亡くなっちゃったらしくて」 
男「・・・」 
女「お母さんがずっと私を育ててくれました」 
男「・・・」 
女「お母さんは優しくて・・・しっかりしてて・・・」 
男「・・・」 
女「まちのみんなにも慕われてて、自慢の、大好きなお母さんでした」 
男「・・・」 
女「まちはご覧の通り小さくて、大したものも売っていないけれど」 
男「・・・」 
女「たまに旅人さんが泊まっていかれるような、静かでおだやかなまちでした」 
男「・・・」 
女「そんなこのまちも、このまちの人たちも大好きでした」 

女「ある日、まちに××城の兵士さんがやってきたんです・・・」 
男「・・・!××城の・・・?」 
女「はい・・・深刻そうな顔で、町長さんと私のお母さんに話があるって」 
男「・・・」 
女「それで・・・その日からお母さんやまちの人たちの様子がおかしくなったんです」 
男「・・・おかしく?」 
女「はい・・・夜になったらみんなで話し合いしたり・・・」 
男「・・・」 
女「急に武器や防具仕入れたり・・・」 
男「・・・」 
女「今までそんなことなくて・・・武器や防具だって全然売ってなかったんですけど・・・」 
男「・・・」 
女「・・・そしてその2日後の朝・・・」 
男「・・・」 
女「起きたらまちに誰もいなくて・・・」 
男「・・・」 
女「お母さんの手紙だけが残ってました・・・」 

女へ 
お母さん達はちょっと出かけてきます。 
生活に必要なものは近くのまちに毎月仕入れをお願いしてます。 
お金は倉庫にあります。 
留守をお願いね。 

女「最初はわけがわからなくて・・・」 
男「・・・」 
女「どうして私だけ連れて行ってくれなかったのだろう、だとか」 
男「・・・」 
女「いつ帰ってくるんだろうって思って、寂しくて泣いてました・・・」 
男「・・・」 
女「それでもいつか帰ってきたときに」 
男「・・・」 
女「このまちが変わらずにみんなを出迎えられるように」 
男「・・・」 
女「私は留守を任されたんだって思って」 
男「・・・」 
女「今まで通りのまちにしていこうって決めたんです」 
男「・・・だからみんなの役目を全部1人で・・・」 
女「みんなのセリフとか立ち位置を必死に思い出して・・・なんとかやってました・・・」 
男「・・・そっか・・・」 

女「最初は決められたセリフをただ言えばいいと思ってたんですよ・・・」 
男「ははは」 
女「男さんと話すようになってからはセリフを言うのは最初の一言目だけであとは普通にしゃべればいいってわかりましたけど・・・」 
男「応用力なかったんだなー」 
女「ばかにしないでくださいよー」 
男「ははは」 
女「・・・」 
男「・・・」 
女「・・・とまあ・・・そんな感じです」 
男「あれ以来まちの人たちからなにか連絡とかないの?」 
女「ないです・・・」 
男「そか」 
女「××城の方なら何か知ってるんじゃないかって手紙書いてるんですけどまったく返事も来なくて・・・」 
男「・・・」 

女「・・・でも今は寂しくないです・・・」 
男「?」 
女「男さんが来てくれて・・・家族ができたみたいで・・・」 
男「・・・」 
女「あの、迷惑じゃなければずっといてもらってもいいですからね?」 
男「・・・」 
女「あ、でもそーゆーわけにもいかないですよね・・・」 
男「・・・」 
女「あの、だったら気の済むまでいてくれて・・・」 
男「うん、決めた、おれここに住むよ」 
女「そうですか・・・ってええ!?」 

男「元々いいまち見つけて移住しようと思って旅してたんだし」 
女「そうだったんですか・・・?」 
男「うん、このまち気に入ったし」 
女「なにもないまちですよ?」 
男「静かなほうが好きだし」 
女「私しかいませんよ?」 
男「おれひとごみ苦手なんだよ」 
女「・・・ひとごみって・・・・・・」 
男「あーもーごちゃごちゃ言わない」 
女「でも・・・」 
男「もう決めちゃったから。一緒に留守番しよう」 
女「・・・」 
男「改めて、よろしくね、女ちゃん」 
女「・・・ぐす、はい、こちらこそ、ふつつかものですがよろしくおねがいします・・・ぐす」 
男「ははは」 
女「・・・ぐす・・・ふふっ」 

男「ただいまー」 
女「あ、ここは○○のまちです!おかえりなさい!!」 
男「・・・おれもうこのまちの人間なんだしそのセリフいらなくない?」 
女「いいんです!セリフの練習にもなりますし!」 
男「・・・まあいいけどさー」 
女「さあさあ!ここは旅の宿です!一晩0Gですが泊まっていかれますか?」 
男「・・・はい」 
女「はーい♪」 

男(これ・・・まだ毎回やるのか・・・?) 
女「男さんご飯ですよー♪」 

男「今日ものどかだな・・・」 
旅人「あのー」 
男「おわっ!!あ、えーとなんでしょう!?」 
旅人「やくそうがきれちゃって・・・どうぐのお店は・・・」 
男「あ、あっちの方に・・・」 
女「じーっ・・・」 
女「・・・男さんに教育が必要ですねー」 

女「なんですか昼間のあれは!」 
男「へ?」 
女「へ?じゃないです!」 
男「昼間のあれ?」 
女「旅人さんへの対応の仕方です!!」 
男「?普通だったじゃん」 
女「あの立ち位置にいる人のセリフは!?」 
男「・・・あ・・・なんだっけ・・・『ここは○○のまちです』だっけ?」 
女「そーです!」 
男「・・・あれおれも言わなきゃダメなの?」 
女「もちろんです!町民じゃないですかー!」 
男「う・・・」 
女「今日から、毎晩ご飯の後セリフのお勉強ですね!!」 
男「ぬわー!!」 

デブ「いつもありがとうございます」 
男「あーごくろうさまですー」 
デブ「最近小麦粉の価格が少し下がりまして・・・今日はこの前より少し安くできますよ」 
男「それは助かる」 
デブ「あ、そういえば男さん、いい話を聞きましたよ」 
男「ほう」 
デブ「今××城に武器や防具を持って行けば普通よりも高く買い取ってもらえますよ」 
男「××城が・・・?またどうして」 
デブ「なんでも近いうちに魔王城に大規模な兵を送り込むとか・・・」 
男「・・・!」 
デブ「ついに××城も魔王討伐に本腰を入れたってとこでしょうか・・・」 
男「・・・へえ・・・」 
デブ「我々商人としては儲かる話ですがねえ・・・」 
男「・・・」 
デブ「この前までやってた勇者の大量募集も不毛に終わったらしいですし・・・」 
男「・・・」 
デブ「この先どうなるのでしょうねえ・・・」 
男「・・・」 

女「あ、商人さん、いつもごくろうさまです!」 

女「男さん!」 
男「んー?どした?そんな慌てて」 
女「さっきおなべでスープ作ってたんですよ!」 
男「うん」 
女「それでふたをしようと思ってふたを持ったんです!!」 
男「・・・?うん」 
女「そしたら!わたしの守備力上がったんですよ!!」 
男「!」 
女「やーびっくりしたなあ・・・今まで何回もふた持ってたのに・・・そのたびに守備力が上がってたなんて・・・全然気付かなかったなー」 
男「・・・守備力2しか上がらないんじゃ早々気付かんよな・・・」 

女「あ」 
男「ん?」 
女「またこのメダルだ・・・」 
男「・・・それちいさなメダルじゃん!」 
女「ちいさなメダル?」 
男「それ集めてメダル王に持ってったら豪華な景品もらえるんだよ」 
女「そーなんですか?」 
男「まあ1枚じゃ全然・・・」 
女「これ畑耕してたらよく出てくるんですよね・・・多分100枚くらいはとってある気が・・・」 
男「100!?」 
女「去年の大掃除で半分くらい処分しちゃったんですけどねー」 
男「100で半分!?」 
女「捨てなきゃよかったかなー」 
男(ちいさなメダルってそんなに存在するものなのか・・・) 

女「んしょっと」 
男「それは?」 
女「こないだの仕入れのときに一緒に買った本です!」 
男「へえー」 
女「あまり娯楽がない分落ち着いて読書できますし」 
男「ゆうきのでる本・・・やさしくなれる本・・・」 
女「面白そうでしょー?」 
男「・・・まあ、ねえ・・・」 
女「?」 
男「ん?」 
女「?」 
男「・・・エッチな本・・・」 
女「!!ち、ちがいます!!きっと間違えて紛れちゃったんですよ!!」 
男「まあそーゆー年頃だもんね」 
女「ちがいますっ////」 

デブネコ「・・・おかしいな・・・私の愛読書のエッチな本がないぞ・・・」 
妻「あれなら仕入れの中に入れときましたよ♪」 
デブネコ「ぬわー!!」 

旅人「こんにちは」 
男「お、ここは○○のまちです、こんにちは」 
旅人「教会ってどっちですかね」 
男「あ、こっちですよ、案内します」 

旅人「やーこのまちは平和ですねえ」 
男「なにもないですけどね」 
旅人「いえ、こういうのどかさはとっても大事だと思いますよ」 
男「ありがとうございます」 
旅人「今世の中はどんどん物騒になってきてますからね・・・」 
男「・・・らしいですね」 
旅人「聞いた話ではついこの前××城がついに先遣隊を派遣したらしいですよ」 
男「!」 
旅人「おそらくあと1ヶ月以内には大規模な戦争が始まるでしょうね・・・」 
男「そうなんですか・・・」 

男(いよいよ見過ごせなくなってきたな・・・) 

女「今日の旅人さんへの対応はまあまあでしたね!」 
男「・・・」 
女「日ごろの練習の賜物ですね!」 
男「・・・」 
女「けどこんなんで満足してもらっては困りますよ!」 
男「・・・」 
女「たゆまぬ鍛錬あってこその・・・って聞いてます?」 
男「・・・ん?」 
女「どしたんですか?具合悪いんですか?」 
男「あ、いや、なんでもない」 
女「?とにかく今夜は練習お休みにしますけど明日からはまたやりますから!!」 
男「うん・・・」 

男「・・・」 

女「ふあ」 
男「おはよー」 
女「男さん!?どしたんですか!休日でもないのにこんな朝早くに!!」 
男「実はさ・・・」 
女「?」 
男「・・・××城に行ってこようと思うんだ」 
女「!」 
男「・・・」 
女「××城に・・・ですか?」 
男「うん」 
女「なにしに行くんですか?」 
男「・・・今××城に武器や防具持ってったら高く買い取ってくれるらしいから・・・もうかるじゃん?」 
女「・・・今のままでも十分余裕のある生活できてるじゃないですか」 
男「・・・」 
女「最近は男さんの魔物倒したお金だってまちのために使ってくれてるんだし・・・」 
男「・・・やーでもさ、なんかたまには贅沢してみたいじゃん!しもふりにくのステーキとか!」 
女「男さんが今まで贅沢したいなんて言ったこと一度もないですよね」 
男「・・・」 

女「ほんとはなにしに行くんですか?」 
男「・・・」 
女「このまちがいやになったんですか?」 
男「それは違う」 
女「じゃあなんで××城に行くんですか」 
男「・・・」 
女「ちゃんと話してください」 
男「・・・」 
女「男さん!」 
男「・・・」 

男「前にさ」 
女「・・・はい」 
男「おれは移住するためにいいまちを探して旅してたって言ったじゃん」 
女「はい」 
男「あれ嘘なんだ」 
女「・・・え」 
男「ほんとは違う目的で旅してた」 
女「・・・」 
男「・・・以前××城で魔王を討伐する勇者を大々的に募集したって話聞いたことある?」 
女「・・・話だけなら、商人さんから」 
男「××城も魔王が討伐できなくて相当焦ってたんだろうな、その応募資格がさ、魔王を討伐する気がある人っていうたったひとつの条件だけだったんだ」 
女「・・・」 

男「男ってのは誰しも勇者にあこがれちゃうものでさ・・・」 
女「・・・」 
男「もうわかるだろ?」 
女「・・・」 
男「おれはその、勇者にあこがれて、たったひとつの条件だけで簡単になっちゃった、勇者なんだ」 
女「・・・」 
男「××城の、雇われ勇者の1人なんだ」 
女「・・・」 

男「最初のうちはただレベルとお金のためにこのまちにいたけどさ」 
女「・・・」 
男「だんだん・・・このまちも・・・そして、君のことも好きになって・・・」 
女「・・・」 
男「気が付いたらずっとここで生活したいって思うようになった」 
女「・・・」 
男「おれが魔物倒して金稼いで、日が暮れる頃に帰って女ちゃんのおいしいご飯を食べる」 
女「・・・」 
男「休日は家事を手伝ったり2人で散歩したり」 
女「・・・」 
男「そんな生活にすごく幸せを感じてた」 
女「・・・」 
男「幸せってこんな日常が続くことなんだなって思った」 

男「けど商人や旅人から戦争が始まる話聞いてこれじゃダメだって思ったんだ」 
女「・・・」 
男「商人が言ってた・・・勇者大量募集は不毛に終わったって・・・」 
男「多分、おれがのうのうと暮らしてる間に・・・他の勇者達はどんどん命を落としていったんだろな・・・」 
女「・・・」 
男「そして今度はたくさんの城の兵士達が魔王の城に送り込まれる・・・」 
女「・・・」 
男「おれ1人の力なんてたかが知れてるけど・・・」 
女「・・・」 
男「呪文なんてほとんど使えないエセ勇者だけど」 
女「・・・」 
男「それでもおれは・・・勇者だから・・・」 
女「・・・」 
男「死んでいった勇者たちのためにも」 
男「1人でも多くの兵士を死なせないためにも」 
男「おれは行かなきゃならない」 
女「・・・」 

女「・・・だから××城にいくんですか・・・?」 
男「うん、戦争に参加する」 
女「・・・そんなのかっこつけじゃないですか」 
男「・・・」 
女「だれかの分までがんばるとか、誰かを死なせないとかそんなのかっこつけです!」 
男「・・・」 
女「ぐす・・・ただのかっこつけじゃないですか・・・」 
男「・・・」 
女「・・・ぐす」 
男「・・・」 
女「ぐす」 
男「・・・おれだってほんとは行きたくなんかないよ」 
女「・・・?」 

男「けどこのまま知らないふりしてここで生活しててもきっと苦しいだけ・・・」 
女「・・・」 
男「行くにしろ行かないにしろ苦しくなるんだったらかっこつけれるほうがいいじゃん?」 
女「・・・」 
男「ね?」 
女「・・・男さんらしい考えですね・・・」 
男「でしょ?」 
女「・・・ぐすっ・・・ふふっ・・・はい・・・」 

女「・・・わかりました・・・」 
男「ん」 
女「男さんが決めたことに口出ししても無駄ですもんね」 
男「よくわかってんじゃん」 
女「その代わり!」 
男「ん?」 
女「約束!1つしてください!」 
男「約束?」 
女「絶対に帰ってきてください!」 
男「・・・」 
女「どんなことがあってもこのまちに帰ってきてください!」 
男「・・・」 
女「・・・もう・・・もう、1人で留守番するのは・・・嫌です・・・」 
男「・・・」 
女「・・・もう・・・1人でこのまちにいるのは・・・嫌です・・・」 
男「・・・うん」 
女「絶対ですよ!?」 
男「・・・おう」 
女「破ったらうまのふん食べさせますよ!?」 
男「・・・それは嫌だな・・・」 
女「絶対ですからね!?」 
男「うん、約束する」 

男「じゃあ、いってくるわ」 
女「・・・これ」 
男「ん?」 
女「私のお父さんが使ってたっていう剣です」 
男「へえ・・・」 
女「昨日磨いておきました」 
男「立派な剣だな・・・」 
女「そこらの剣とは比べ物にならないものだってお母さんが言ってました・・・」 
男「そか」 
女「・・・じゃあ・・・おはようございます、いってらっしゃいませ」 
男「うん、ありがとう」 

女「・・・」 
女「・・・」 
女「・・・ぐす」 

△月○日 
男さんが出て行ってから1ヶ月がたちました。 
連絡はきません。 
男さんのバカ。 
無事に帰ってきたとしてもうまのふん食べさせてやる。 

デブ「いつもありがとうございます」 
女「ごくろうさまです!」 
デブ「今日は魔王討伐記念でいつもの半額にさせていただきますよ!」 
女「え!?」 
デブ「おや、知りませんでしたか?ついこの前××城が魔王討伐に成功したのですよ!」 
女「そうなんですか!?」 
デブ「そういえば男さんも戦争に参加していたそうですね」 
女「はい!」 
デブ「きっと近いうちに帰ってくるでしょう、良かったですねえ」 
女「はい!!」 

女「ふふっ、いつでも迎えられるように準備しとこっ♪」 

女「!」 
女「なんだろ・・・あれ・・・人がたくさんくる・・・」 
女「・・・あの服の色・・・紋章・・・××城・・・の人たち・・・?」 

兵士1「突然の訪問をお許しください」 
女「あ、えと、ここは○○のまちです、どういったご用件でしょうか・・・?」 
兵士1「失礼ですが貴女が女様でよろしいですか?」 
女「あ、はい・・・」 
兵士2「王様、女様です」 
王「・・・君が女さんか・・・」 
女「・・・?あなたは・・・?」 
王「私は××城の王だよ」 
女「え・・・おっ、お、王様ですか!?こ、これは私、とんだ失礼を・・・」 
王「ははは、そうかしこまらないでいい」 
女「ええええ・・・でもそんな・・・」 
王「・・・なるほどその優しそうな目は母上似か」 
女「・・・え?」 
王「しかし雰囲気は父上そっくりだ」 
女「・・・!?」 

王「私がここへ来たのはある男との約束を果たすためでな」 
女「ある男・・・?」 
王「その男はもし戦争が無事に終わり世界に平和が戻ったら君に真実を伝えてほしいと私に頼んだんだ」 
女「・・・?」 
王「君の父上、母上、そしてこのまちの人たちの真実だ」 
女「え・・・!?」 

約1ヶ月前 
男「・・・やっと着いた・・・」 
男「・・・」 
男「・・・ひさしぶりだな・・・××の城・・・」 
男「まずは王様に会わなきゃ・・・」 

王「おお!そなたは男ではないか!」 
男「・・・王様、ご無沙汰しておりました」 
王「何も連絡がないので死んだとばかり・・・」 
男「・・・申し訳ございませんでした」 
王「聞いているとは思うがお前以外の勇者達は・・・」 
男「・・・全滅・・・ですか」 
王「うむ・・・逃げた者もいると聞くがな・・・」 
男「・・・そう・・・ですか・・・」 
王「して男、そなたは今まで一体どこに・・・」 
男「・・・実は・・・」 

王「・・・そうか・・・いや・・・よく、戻ってきてくれた・・・心強く思うぞ」 
男「・・・はい・・・」 
王「・・・時に男よ、その○○のまちに住むという者の話、少し興味があるのだがもう少し詳しく聞かせてはくれぬか? 
男「・・・!!そうだ!王様、彼女は2年前に城の兵士をあのまちで見ているのです!」 
王「・・・!まさか・・・その者の名前は・・・女・・・ではないか・・・?」 
男「知っておられるのですか!?」 

王「やはり・・・そうなのか・・・」 
男「王様・・・一体どういうことなのですか・・・?」 
王「男よ・・・お前が滞在していた○○のまちはな、勇者の一族の末裔達の住むまちだったのだよ・・・」 
男「・・・勇者・・・ってあの伝説の勇者のですか!?」 
王「・・・そう、伝説の勇者の血を引くものたちがひそかに暮らしていたまちだったんだ」 
男「・・・じゃあ、女ちゃんも・・・」 
王「彼女もまた伝説の勇者の血を引いている」 
男「そんな・・・」 
王「そして、彼女の父はその伝説の勇者の血を濃く受け継いでいたのだよ」 
男「彼女が物心つく前に亡くなったっていう・・・父親ですか・・・?」 
王「そう、亡くなった、というよりも戦死したんだ・・・魔王との戦いで・・・」 
男「戦死・・・?」 
王「彼は我が軍の兵士長だったんだ・・・」 
男「!!」 

王「彼は我が軍に入隊するときにひとつの条件を提示してきた」 
男「条件?」 
王「勇者一族の末裔達をどこかひっそりとしたあまり誰も寄り付かないようなまちに移住させて欲しいと」 
男「それが・・・あのまちなんですか」 
王「そう、そして彼は我が軍の兵士長になり、魔王を討つと約束してくれた」 
男「でも・・・できなかった」 
王「あと一歩のところだったんだがな・・・」 
男「・・・」 
王「私は使いの者をあのまちへやり彼の戦死を伝えた・・・」 
男「・・・」 
王「・・・そして・・・魔王に深手を負わせたものの、あちらにはまだ大量の魔物の軍隊がいる・・・我が城はいつ攻め込まれてもおかしくない状況だった」 
男「・・・」 
王「しかしここで予想外の出来事が起きた」 
男「予想外の出来事?」 

王「勇者一族の末裔達が魔王城に攻め込んだんだ・・・」 
男「・・・敵討ち・・・ですか」 
王「そうだ。彼の・・・敵討ちだ・・・」 
男「・・・女ちゃん1人を残して・・・ですか」 
王「ああ」 
男「止めはしなかったんですか」 
王「気が付いたときには彼らが攻め込んだ後だった・・・」 
男「・・・」 
王「そして我が軍は敗北の後・・・ほとんど戦える兵士など残っていない・・・」 
男「・・・そして彼らは・・・」 
王「ああ、負けた」 
王「しかしおかげであちらの軍に大打撃を与え戦争も両者の引き分けといった形で一応の終結をみせた」 
男「・・・」 

王「その後彼らの遺体を収容しているときに1人の生存者を発見した」 
男「生き残りがいたのですか!?」 
王「といっても虫の息だったがな・・・城に運んで数時間後に息を引き取った」 
男「・・・」 
王「その生存者は息を引き取る前にこう言ったんだ」 

生存者「おね・・・が・・・い・・・あの子・・・わたしの・・・かわいい・・・むすめ・・・おんな・・・にはこのことをいわ・・・ない・・・で」 
生存者「あの・・・こ・・・には・・・・・・いきて・・・ほしい・・・」 
生存者「・・・たた・・・かわない・・・で・・・へいわに・・・いきてほし・・・い」 
生存者「お・・・ねが・・・い・・・」 
生存者「・・・あの子だけは・・・せ・・・んそうに・・・よばな・・・いで・・・」 

男「それって・・・」 
王「・・・女さんの母上だ・・・」 

男「女ちゃん・・・まもりのたねとかでステータスの数値あげても翌日には初期値に戻るらしいんです・・・」 
王「ほう」 
男「今思えば・・・女ちゃんのお母さんが彼女が戦いに参加できないように、強くならないように、魔法みたいなものをかけたのかも・・・」 
王「・・・そうか・・・」 
男「・・・」 
王「・・・」 
男「王様」 
王「ん?」 
男「1つ・・・いえ、2つお願いがあります」 
王「ほう」 

男「1つ目は・・・このことを女ちゃんに話していただけませんか?」 
王「・・・しかし彼女の母親に言うなと言われておる・・・」 
男「戦争が終わり、魔王が倒れ、世界に平和が戻ったら、です」 
王「ほう?」 
男「きっと女ちゃんのお母さんは一族のことを女ちゃんに話すことで彼女が敵討ちに行くことを避けたかったんだと思います」 
王「・・・なるほどな」 
男「一族・・・お父さん・・・お母さんが殺されたんです・・・そして勇敢な伝説の勇者の血を引いてる・・・きっと魔王に戦いを挑むでしょう・・・」 
王「・・・」 
男「けれど彼女はステータスが上がっても翌日には初期値に戻ってしまう・・・」 
男「殺されるのは確実でしょう・・・」 
王「だから・・・敵討ちにはなんとしても行かせたくなかった・・・というわけか」 
男「はい、平和が戻ったあとならその心配はないですし・・・」 
王「しかし、彼女はそのことを知り大きな苦しみや悲しみに苛まれるぞ」 
男「それでも・・・彼女は、知りたいと思っているでしょうし」 
男「彼女にとって知らないことが一番の恐怖であり、苦痛だと思います」 
王「ふむ」 
男「彼女なら・・・その苦しみや悲しみから立ち直れると思います」 
王「そうか・・・わかった、約束しよう。世界に平和が訪れたとき、彼女に全て話そう」 
男「ありがとうございます・・・」 

王「というわけだ・・・」 
女「・・・そうだったんですか・・・」 
王「すまなかった、今まで隠していて」 
女「・・・いえ、それも全て私を守りたいっていうお母さんの意思なら・・・」 
王「・・・母上は本当に君のことを思っていたのだろうね」 
女「はい・・・」 
王「父上も実に立派な人だった」 
女「・・・はい」 
王「・・・そしてもうひとつ、君に伝えなければいけないことがある・・・」 
女「・・・もうひとつ・・・?・・・そういえば・・・男さん・・・男さんはどこにいるんですか!?戦争が終わったなら・・・」 
王「・・・彼はここだ」 
女「・・・え?」 
王「・・・」 
女「・・・・・・棺・・・?」 

王「して、2つめとは?」 
男「あーはい、ちょっと言いにくいんですけど・・・」 
王「?なんだ遠慮せずに申せ」 
男「・・・おれがどんなことになっても、おれの体のほんの一部でも残っていたら、あのまち・・・女ちゃんの待つ・・・○○のまちに持って行ってくれませんか?」 
王「!?」 
男「約束したんです・・・絶対帰るって・・・」 
王「・・・」 
男「女ちゃん・・・お母さんや、まちの人たちが行ってからずっと帰りを待ち続けてたんです・・・」 
王「・・・ふむ」 
男「なんか・・・死んで帰れませんでした、じゃあかっこつかないし・・・せめて体は帰ったほうがいいかな・・・みたいな・・・」 
王「・・・」 
男「あ、もちろん死ぬ気はないですよ!女ちゃんに会いたいですし!」 
王「・・・」 
男「でも・・・やっぱり戦争ですから・・・100パーセントなんて・・・ありえないと思うんです・・・」 
王「・・・」
男「・・・やっぱりダメですかね・・・?」 
王「・・・いや、そなたの覚悟、受け取った。約束しよう」 
男「本当ですか?ありがとうございます!!」 
王「しかし死ぬことは許さんぞ?彼女もそれを望んではおらん」 
男「はい!だいじょうぶです・・・おれには・・・この剣がありますから・・・」 
王「・・・!それは女父の剣か!!」 
男「はい、女ちゃんが持っていってって」 
王「私が戦地で拾い女父の戦死を伝える使いの者に持たせたんだ・・・」 
男「それを女ちゃんのお母さんが受け取って・・・戦いに行く前に女ちゃんに遺していったんですね・・・」 
王「そしてお前が受け取り再び戦地に戻ってきたのか・・・」 
男「・・・」 
王「ふふ、まるで女父がよみがえったようだな・・・」 
男「そんな・・・おれなんて女ちゃんのお父さん・・・勇者様の足元にも及ばないですよ!!」 
王「だが、そなたも勇者であろう?」 
男「!」 
王「期待しているぞ、勇者男よ」 
男「・・・はい!必ずや魔王を討ち取ります!!」 
王「うむ、頼もしい限りだ」 

女「そんな・・・」 
王「肉体は・・・ほとんど損傷していないのだがな・・・」 
女「・・・男・・・さん・・・」 
王「・・・」 
女「・・・ずるいよ・・・」 
王「・・・」 
女「・・・帰ってくるって・・・」 
王「・・・」 
女「・・・・・・こんなの・・・」 
女「・・・帰ってきたなんて・・・言わないよ・・・」 
女「・・・ばか・・・」 
女「・・・ばか・・・」 
女「・・・うまのふん・・・食べてよ・・・」 
女「・・・こんなの・・・約束守ったなんて・・・言わないよ・・・!」 
女「・・・ばかああああ・・・ぐすっ・・・ひぐっ・・・」 
女「ぐすっ・・・おかえりって・・・」 
女「・・・ここは○○のまち・・・です・・・って言いたかったのに・・・」 
女「・・・うう・・・ぐすっ・・・おと・・こ・・・さん・・・ぐすっ」 

王「・・・魔王と相打ちだったんだ・・・」 
女「・・・ひぐっ・・・ひぐっ・・・」 
王「君の・・・父上の剣を使ってね、彼は魔王にとどめを刺した」 
女「・・・ひぐっ・・・ぐすっ・・・」 
王「けれど・・・魔王もまた・・・最後に彼につうこんのいちげきをあびせて・・・」 
女「・・・ぐすっ・・・ぐすっ・・・」 
王「・・・すまん・・・手は尽くしたんだが・・・」 
女「ひぐっ・・・男さん・・・」 
王「復活の呪文や蘇生に関するものはとうの昔に滅んでいる・・・」 
女「ぐすっ・・・ひぐっ・・・」 
王「失った命は・・・取り戻せない・・・」 
女「・・・ひぐっ・・・おとこさん・・・」 

なぜだろう。 
こんなときに。 
それは突如私の頭の中に入ってきた。 
知るはずもない記憶。 
私が産まれる時の、お父さんの記憶。 

女母「うう・・・」 
女父「おい!しっかりするんだ!!女母!!」 
女母「うう・・・あなた・・・」 
女父「せっかく私たちの子が産まれたんだぞ!お前が死んだら母親はだれがやるんだ!!」 
女母「はあ・・・はあ・・・」 
女父「がんばれ!死ぬな!!」 
女母「・・・」 
女父「!!!」 

女父「女母!!おい!!女母!死ぬな!くそ!!死ぬな!!こんなところで死んではいかん!!」 
女父「くそ・・・!なにが伝説の勇者の血を受け継いでるだ!大切な人のひとりも救えんというのか!!」 
女父「くそ!!使えたんだろ!?先祖の、勇者は使えたんだ!!命を復活させる呪文を!!」 
女父「頼む!私の血よ!!これっきりでいい!!一度でいいんだ!もう二度と使えなくていい!!」 
女父「お願いだ!!頼む!もう一度妻に会いたいんだ!!」 
女父「私のマジックポイント全てを使っていい!!どうなってもいい!他の魔法なんてもう使えなくなっていい!!お願いだ!!」 
女父「たのむー!!!!!!!」 
なんと女母の体を優しい光が包み込んだ!!女母はよみがえった!! 
女父「・・・・・・女母・・・?」 
女母「・・・あなた・・・?」 
女父「よみがえった!!よみがえったんだ!!よかった!!!」 
女母「ちょっと!!あなた痛い!!」 

そうだ。 
昔母に私は難産だったと聞いた。 
母が命を落とすほどのものだったと。 
けれど父がよみがえらせてくれたんだと。 
女「えー?うそでしょー?」 
女母「ふふっ、ほんとよ?」 
女「でもふっかつのじゅもんはおおむかしになくなちゃったってほんにかいてあったよ!!」 
女母「お父さんは復活の呪文が使えた勇者様の血をみんなより多くもらってるから一度だけ使えたのかもねえ?」 
女「ほんとにー?」 
女母「うん、ほんと」 
女「じゃあわたしもつかえるかなあ?」 
女母「そうねえ・・・女が本当に、心からもっと一緒にいたいって思う人にだったら・・・一度だけ使えるかもね?」 
女「ほんと?」 
女母「女もお父さんの血をもらってるからね」 
女「やったー♪」 

女「・・・おねがい・・・」 
女「もっと一緒にいたいの・・・」 
女「ご先祖様だって使えた・・・」 
女「お父さんだって一度だけど使えたんでしょ・・・?」 
女「・・・おねがい!私の血!!」 
王「・・・おい、女さん?」 
女「おねがい!!私のちからでもなんでも使っていいから!!」 
女「おねがい!!!ここで使わなきゃいつ使うの!!!」 
女「なんのための勇者の血なの!?」 
王「女さん!!」 
女「人を救うんでしょ!?」 
女「おねがい!!」 
女「これっきりでいいから!!」 
女「私の大切な人を助けてー!!!!!」 
なんと男の体を優しい光が包み込んだ!!男はよみがえった!! 
男「・・・・・・あれ?」 
女「!!・・・・・・・おとこ・・・さん・・・?」 
王「!?なんと・・・!!」 
男「ここ・・・どこ?あれ?女ちゃん?」 
女「おとこさん!!!!」 

兵士1「しかしあの時は驚きましたね」 
兵士2「まさか男様が復活しちゃうとは・・・」 
王様「・・・昔、女父が我が軍の兵士長になりたての頃、彼は様々な呪文を使えた」 
兵士1,2「?」 
王様「強力な雷を呼ぶ呪文、業火を呼ぶ呪文・・・」 
王様「しかしあるときから彼は突如呪文を使うことをやめた」 
兵士1「それはまた、なぜ?」 
王様「聞けば使えなくなったのだと言う・・・」 
兵士2「え!?」 
王様「それがちょうど女さんが産まれたときの話だ」 
兵士1「・・・?」 

王様「・・・女さんが産まれるとき・・・難産だったという噂を聞いたことがある」 
兵士2「へ?」 
王様「聞けば母親が命を落とすほどのものだったらしい」 
兵士1「・・・??」 
王様「しかし女母は生きていた」 
兵士2「いまいち話が見えないのですが・・・」 
王様「おそらくな、彼は呪文が使えなくなるのと引き換えに女母をよみがえらせたのだ」 
兵士1「けれど復活の呪文は滅びたんじゃ・・・」 
王様「うむ、しかし復活の呪文を使えた勇者の血を濃く受け継いでいたあの男にだけは・・・一度だけ使えたのだろうな」 
兵士2「女父様の血を引く女ちゃんにも・・・ってことですか?」 
王様「おそらくな」 
兵士1「へー!」 
兵士2「なんかうそくさいなー」 
王様「ふふ、まあよいではないか」 

兵士1「しかしよかったんですかね?」 
王「む?」 
兵士1「男様・・・せっかく勇者の称号を得たのに・・・あのまちにもどるって」 
兵士2「お金もまったく受け取らなかったし・・・いろんな贅沢できるのにー」 
王「はっはっは」 
兵士1「勇者になる人って欲がないのかなー?」 
兵士2「なー!おれなんてしょっちゅう持て余してるっつの」 
王「まあよいではないか、彼らはあのまちが好きなんだ」 
兵士1「・・・けど勇者の血を引いていない人が勇者の称号を得るって異例ですよね」 
王「む?」 
兵士2「ほんとものすげー出世ですよね!!」 
王「初代の勇者は血など関係なかったではないか?」 
兵士1「まあそれは確かにそうですけど・・・」 
兵士2「それをいっちゃあおしまいって言うか・・・」 
王「ふふふ」 

王「しかし、まったく関係ないとも言えんかもしれんぞ?」 
兵士1、2「へ!?」 
王「あの男が使っていた剣・・・元は女父の剣だが、あの剣は大昔からある伝説の剣なんだ」 
兵士1「あれがですか!?」 
王「そう、時代によって呼ばれ方は変わっていたらしいがな・・・ラミアスだったかなんだったかだとか天空だか大空だか、まあとにかく伝説の剣なんだ」 
兵士2「へー!!」 
王「そして伝説の剣は大昔から伝説の勇者しか装備できなかったらしい」 
兵士1「えー!?」 
王「女父は伝説の勇者の血を引いているから装備できたが・・・果たして男は・・・どうして装備できたのだろうな?」 
兵士2「じゃあ男様も伝説の勇者の血を・・・?」 
王「それはどうかはわからん。伝説の勇者の血筋も実は複数あったという説もあるからな」 
王「それに剣が装備できないというのは伝説の勇者以外の者が持とうとしても重くて扱えないというだけであって完全に使えないわけではないからな」 
兵士1「へえ・・・」 
兵士2「じゃあ男様が無理矢理重たい剣を使ってたかもしれないってことですか?」 
王「かも、しれんな」 
兵士1,2「うーん」 
王「まあよいではないか、なんにしても平和が戻ったんだ。準備はまだか?」 
兵士1、2「はいっ!いますぐ!!」 

女「うう・・・おもい・・・」 
男「あ、ほら、無茶しない!」 
女「うう・・・すみません・・・」 
男「まったく・・・怪我したらどーすんだよ!」 
女「鍋・・・昔は持てたのになあ・・・」 
男「しかし5しかないちからをおれの復活の引き換えにするとは・・・」 
女「うう・・・」 
男「よくよみがえったなあ・・・おれ」 
女「よみがえったんだからいいじゃないですか!!」 
男「もっとマシなもの引き換えにしろよー」 
女「いいんです!!・・・いたっ!!」 
男「あーあ、棚からなべのふた落ちてきてるよ・・・」 
女「・・・もーさっきは床につまづくし・・・」 

女「最近ちいさなメダルも全然見つからないんですよー!!」 
男「へー」 
女「前はあんなに見つかったたのに・・・今じゃうまのふんばっか」 
男「まーいいじゃん、もうメダル王の景品は使うことがなくなったんだから」 
女「・・・でもー」 
男「はいはい、ほら早く準備しないと夕方には王様達が来ちゃうって」 
女「なんか申し訳ないですよね・・・このまちで宴してもらえるなんて」 
男「いーんじゃない?おれらこのまちから出られないんだし・・・一応世界救ったんだし」 
女「うーん・・・」 
男「さあさあほら王様達が来たときの一言目は?」 
女「あ、えと、ここは○○のまちです!ようこそ!!王様!!」 
男「はい、よくできましたーじゃあ宿屋で休もうか」 
女「えー!?まだちょっと・・・」 

女「・・・どうしても言わなきゃダメですか・・・?」 
男「うん」 
女「えと・・・旅の宿へようこそ・・・一晩0Gですが・・・い、いっしょに寝てもらえますか・・・?」 
男「はい。よくできましたー!まあ一晩も寝てたら王様来ちゃうから3,4時間だけど、ちゅっ」 
女「ひゃうっ////」 

女「あの・・・男さん」 
男「んー?」 
女「これからはもう離れないでくださいね?」 
男「うん、ずっと一緒に決まってんじゃん。あ、王様達来たみたいだ!!」 
女「えー!服着なきゃ・・・あの立ち位置に・・・急がなきゃー!!!」 
男「ほれ急げー!!」 
女「うわーん・・・待ってくださ・・・いたっ!!」 
男「ぷっ・・・今度は何が落ちてきたんだ?」 
女「もーどーしてこう・・・」 

女「はあ・・・はあ・・・こ、ここは○○のまちです・・・ようこそ、おうさま・・・」 
男「すみません・・・色々ぶつかってこけて・・・」 

王「ふふふ、よいよい、うむ、勇者男とその妻女よ、元気そうでなによりだ!では宴にしよう!!」 

最終ステータス 
男・レベル53 
ちから195、みのまもり90、かしこさ83、すばやさ150、うんのよさ97 
女・レベル1 
ちから0、みのまもり15、かしこさ45、すばやさ0、うんのよさ0 

おしまい 


出典:vip
リンク:あとの短編は省略
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