女「不本意ながら、今日から貴方のメイドになりました」 (エロくない体験談) 85041回

2009/05/25 15:20┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
女「あまりやる気はないですがお願いします」 
男「……人違いでは?」 
女「人違いじゃありません。とりあえず家に上げてくれませんか」 
男「嫌です」 
女「まあ私は構いませんが、いいんですか?」 
男「?」 
女「貴方の家の前にメイドが立ってるんですよ。どう考えても出張風俗ですが」 
男「う……」 
女「入れてくれますよね」 
女「小汚い……あ、いえ、薄汚い家ですね」 
男「言い換えた意味無いよな」 
女「それでは……これからよろしくお願いします」 
男「いゆいやいや。ウチに居ていいとは言ってないぞ」 
女「これは貴方のお母様からの依頼なので。貴方の意志は関係ないです」 
男「………チェンジ」 
女「不可です」 

男「で、何で貴女はこんなことを……」 
女「ここだけの話なんですがねー、私はつい最近までニートだったんですよー」 
男「ここだけの話を軽いノリで話すなよ」 
女「高校を留年したので、退学してニート生活を満喫してたのですが」 
男「ふむ」 
女「……親の目線が冷たくなってきたので」 
男「あー……」 

女「じゃあまずは掃除でもしましょう」 
男「あ、うん……」 
女「邪魔です。押し入れで昼寝でもしていてください」 
男「俺は猫型ロボットか」 
女「……安心してください。三ヶ月だけの話です」 
男「へ?」 
女「三ヶ月もすれば本格的にメイドとして活動できるので。こんな薄汚い家からはすぐ出ていきます」 
男「お前ご奉仕する気とか無いよな」 

女「夕飯を作ります。あまりやる気は無いですが」 
男「やる気出してくれよ……」 
女「美味しい物が食べたければファミレスにでも行ってください」 
男「……」 

女「出来ました」 
男「うお……これで手抜きなのか?」 
女「私の手抜きは貴方の本気より数段上ですから」 
男「お前メイドだよな?何だその暴言は」 
女「申し訳ありませんでした死ね」 
男「最後に何かつけたろ」 

女「それではおやすみなさいませ」 
男「あ、ああ……おやすみ」 
女「言っておきますが、夜のご奉仕とかはありませんので」 
男「わかってるよ」 
女「寝ている私を視姦したりしないでくださいね、では」 
男(……何で俺がソファーで寝なくちゃいけないんだ……) 

男「朝か……」 
男(朝起きたら朝食が出来ている、確かにいいか…も…) 

女「………スー……」 

男「おいこらメイド」 
女「私は低血圧なので起こさないでください」 
男「あの……朝飯……」 
女「ドブの水でも啜ってればいいんじゃないですか」 


男「……ったく……結局コンビニ弁当か……」 
(ガチャ) 
男「ただいま……ん?」 
女「……お帰りなさいませ」 
男「何だ、結局飯作ってくれてたのか」 
女「……これは私のです」 
男「じゃあ、この弁当は昼にするか」 
女「まあ、分けてやらないこともないです。感謝してください」 

男「今月厳しいな……」 
女「安月給ですね負け組が」 
男「元ニートに言われたくない。それにお前の食費とかあるんだぞ?」 
女「まあ私の給料が入ったらいくらか入れてあげますよ、ヒモ」 
男「そろそろ拳で語りあおうか」 
女(……………) 

男「ただいまー」 
女「お帰りなさい、夕食出来てます」 
男「おお、ありがとう……あれ?お前は?」 
女「もう食べました。……寝ます」 
男「メイドって普通帰りを待つもんじゃないのか」 
女「うるさい舌火傷しろ」 

女(……お腹空きましたね……これだから安月給は……) 
女(まあ、我慢してやりましょう。私はメイドですから) 

女「お金が無い無い言う割には酒を買う金はあるんですか」 
男「いやまあ、20歳だし飲んでみようかと……女は?」 
女「私も20歳ですが……」 
男「じゃあ飲むか」 
女「いただきます」 
男(珍しく素直だな) 

女「……グー……」 
男「寝ちゃったし」 
女「……も……」 
男(もう食べられないよ、か?) 
女「………いつも……ありがとうございます……」 
男「…………」 
女「……安月給が」 
男(寝言でくらい素直になれよ……) 

男「他にも仕事くらいあるだろ?」 
女「……………」 
男「何でメイドを選んだんだ?」 
女「楽だと思ったんです」 
男「楽?」 
女「貴方みたいな気弱な人のとこに行って寝てればいいかなと思いまして」 
男「素直だけど腹立つな……試験とか無いのか?」 
女「文字通り、顔でパスしました」 
男「適当過ぎだろソレ」 

女「ところで、この部屋にPCは無いのですか」 
男「……無いけど」 
女「チッ」 
男「今舌打ちしただろ」 
女「PCも無しによく生活できますね」 
男「いや……ネットとか詳しく無いし」 
女「教えてあげましょうか」 
男「え?……珍しく優しいな」 
女「馬鹿に物を教えるのは優越感に浸れて好きです」 
男「やっぱいいわ」 

男「肉食いたい……」 
女「いいですね。買いましょう」 
男「マジで!?」 

男「これは……あの……」 
女「もやしです」 
男「肉は……」 
女「畑の肉です。精子数も増加します」 
男(女がそういうこというなよ……) 
女「まあ使う場面が無いでしょうが」 
男「お前表出ろ」 

男「あいつどこ行ったんだよ……」 
女「…………」 
男「居た居た」 
女「…………あ」 
男「何見てんだ?」 
女「何でもないです」 
男「しゃぼん玉?買ってやろうか?」 
女「いいです」 
男「遠慮すんなって、安いし」 

女「……まあ、貴方が女性に買ってあげられるのはこれくらいでしょうね」 
男「可愛くないこと言うなよ……買わないぞ?」 
女「む」 
男「どうする?」 
女「…………買ってください」 

女「…………」ギュッ 
男「噴かないのかよ?」 
女「……一応」 
男「一応?」 

女「初めてのプレゼント……ですから」 

男「まあ……なあ」 
女「次は洋服くらい買えるようにしてください」 
男「無茶言うな」 

女「……残業ですか」 
男『ああ、先に寝てていいぞ』 
女「言われなくてもそうしますダニが」 
男『……じゃあな』 
女「ええ、せいぜい働いてきてください」 

女「……チッ」 
女「この肉は全部私が処理しましょう」 

男「ただいま」 
女「……スー……」 
男「やっぱ寝てるか……ん?メモ?」 

「あんまり美味しくないので残しておきました」 

男「……肉だ。とりあえず、ゴミ捨てるか……あれ、ゴミ箱にもメモが?」 

「お腹が一杯なので残しておきました」 

男「こっちはぐしゃぐしゃになってるけど……何だこれ、どっちだよ」 

女「……朝、ですか」 
女(たまには朝食でも……ん?メモ) 

「行ってきます」 

女「……今日も仕事ですか、あの馬鹿は」 
女「だったら寝ます」 

男「スカート長いよな」 
女「メイドですから」 
男「いやいや、ミニスカのメイドさんってのも……」 
女「認めません。メイドたるものロングスカートが基本です」 
男「えー、ちょっと見たかったな」 
女「……メイド服以外なら、可です……が」 
男「が?」 
女「貴方には死んでも見せませんよ助平め」 

男「ところで、何でお前は留年したんだ」 
女「……何故、とは?」 
男「お前頭いいだろ?留年する理由が思いつかない」 
女「……事故です、交通事故」 
男「出席日数か」 
女「傷もありますよ」 
男「どこに?」 
女「…………お腹の辺りに」 
男「ちょっと見せてくれ」 
女「死ね」 

女「女性が傷を見られて喜ぶとでも?」 
男「俺とお前の仲だろ?」 
女「……そんな仲ではありません」 
男「いやそうじゃなくて、メイドと主人の関係」 
女「…………っ」 
男「?」 
女「やっぱり死ね。そして地獄に堕ちろ」 

女「第一、女性がお腹を見られたい訳ないでしょう」 
男「お腹くらい……」 
女「そんなだから童貞なんですよダニ」 
男「だ、ダニ……」 
女「……シャワー借ります」 

女(……交通事故は飽くまでキッカケ) 
女(傷なんて見られたくない……見たくない) 
女「…………ふぅ」 

男「うーむ……触れちゃいけないことだったかな」 
男「気にしないでおこう」 

男「女、出掛けてみないか?」 
女「……ほぼ毎日出掛けている気がしますが」 
男「違う違う、山とか海とか」 
女「……行ってやってもいいですよ」 
男「これだからニートは……えっ!?」 
女「行ってやるって言いました」 

女「ただし海は嫌です。……泳げませんし」 
男「……泳げないのか……プッ」 
女「殺しますよ」 
男「す、すまん……」 
女(本当は泳げますけどね。……単純) 
男「じゃあ、ハイキングにしようか」 
女「……そうですね」 

女「…………」 
店員「どのような服をお探しですか?」 
女「…………あの」 
店員「はい」 
女「動きやすくて、ハイキングに適した服を……」 

女(…………買ってしまった) 
女(メイド服以外は見られたことないですね) 
女「……別に関係ないですけど」 

男「明日雨だって」 
女「………え……」 
男「せっかく休み取ったのにな……」 
女「……別に。ハイキングくらいいつでも行けますし」 
男「まあ、晴れればいいけどな。……おやすみ」 
女「おやすみなさい」 

女「…………」ガサガサ 
女「てるてる坊主ーてる坊主ー」 
女「あーした天気…………止めた、馬鹿らし」 

男「晴れたな……」 
女「晴れましたね」 
男「待て、今何隠した?」 
女「……ただのティッシュです」 
男「ただのティッシュって……」 

女「……ありがとう、てるてる坊主」 
女「見られたら嫌だから捨てますけどね」 

男「行くぞ」 
女「先に出ていてください、すぐ行きます」 
男「何で?」 
女「いいから早く行ってください人参」 
男「……人参って罵られたのは初めてだ」 

女「……着替えますかね」 
女「……………」 

女「……………」 
男「よし、行くか」 
女(無反応ですかゴミムシが) 
男「それ可愛いな」 
女「む」 
女(いきなりですか、ゴミムシが……っ) 
男「その……服」 
女「死ねゴミムシ」 
男「いきなり何だよ!?」 


女「……花」 
男「花?案外可愛らしい物が好きなんだな」 
女「別に。……ただ、昔……」 
男「昔?」 
女「……何でもないです、行きましょう」 
男「おお。……いい天気だな」 
女「そうですね」 

女「……前から聞きたかったんですが」 
男「うん?」 
女「貴方は何故私を雇ったんですか?」 
男「……何故、って?」 
女「いきなりやってきたメイドを雇うなんてトチ狂ってるとしか思えません」 
男「まあな。……何となくだよ」 
女「何となく」 
男「何となーく……女が辛そうだったから」 
女「ふむ……ただの馬鹿じゃないんですね」 
男「ただの馬鹿って……」 
女「勘のいい馬鹿でした」 
男「結局馬鹿なのかよ」 

女「……お弁当にしましょうか」 
男「お弁当……デカイな……」 
女「……ちょっと時間が余ってましたからね」 
男「ふーん……美味いな」 
女「マズイなんて言ったら食べさせませんがね」 
男「美味い!美味いです!」 
女「わざとらしい死ね」 

女「……スー……」 
男「寝るのかよ……結局寝るのかよ……」 
女「……スー……スー……」 
男「鍵、鍵っと……」 
(ガチャ) 
男「……女はベットに寝かせとくか」 

男「あれ?腕に傷……?」 
男「傷は腹に、って言ってなかったか……?」 
男「……………」 

男「……まあ、いいか」 
男「傷とかあったら何が、って訳でもないし」 
男(傷がある、それだけの話だしな) 

女「……う……」 
女「部屋……?寝ちゃいましたか」 
男「……グー……」 
女(傷、見てないでしょうねこの馬鹿は) 
女(この傷があるだけで、遠く感じる……) 

女「半分です」 
男「……半分?」 
女「はい、私がここに居る期間」 
男「あー、そういえばそうだったな」 
女「随分と気楽ですね」 
男「まあ、な」 
女「……お昼にしましょう」 

女「……寂しくないんですか」 
男「ふご?」 
女「部屋から女っ気が失くなって、またむさ苦しくなりますが」 
男「まあな、確かにちょっと寂しいけど」 
女「けど?」 
男「……だからこそ、今を楽しんだ方がいいだろ?」 
女「楽観的思考が得意な方ですね」 
女(なるほど、そういう考え方もありますか) 

男「好きな食べ物は?」 
女「鯖の味噌煮込み」 
男「好きな飲み物は?」 
女「アイスティーです」 
男「好きな色は?」 
女「緑です」 
男「スリーサイズは?」 
女「なな…………死ね」 

男「料理とかはどこで覚えたんだ?」 
女「祖母に教わりました」 
男「ふぅん……何か完璧超人って感じか」 
女「完璧?……寧ろ私は色々と欠落していると思いますが」 
男「例えば?」 
女「……人を見る目」 
男「どういう意味?」 
女「深い意味は無いですよゴミムシ」 

男「……ってて……」 
女「どうしました?」 
男「怪我しちゃってさ……ほら」 
女「――っ!!!う……くっ……!?」 
男「お、おい、女?」 
女「げほっ、げほ、う……」 
男「…………」 
女「はあ……何でも無いです。傷の治療はご自分でお願いします」 
男「あ、うん……」 
女「……私はもう寝ます」 

女(情けない……まだ、治ってないなんて……) 
女(どうすれば治るの……どうしたら……) 

男(やっぱり……ただの傷じゃないんだよな) 
男(寧ろ、精神的な物なのか) 
男(どうすれば治してやれる……?どうしたら……) 

男「…………」 
女「…………」 

女「おはようございます」 
男「ああ、おはよう……あのさ」 
女「朝食を作ります」 
男「あ、いや……昨日の夜のことだけど」 
女「…………昨日の夜?」 
男「え……」 
女「何もありませんでしたよ。……何も」 
男「…………」 
女「朝食、作るので」 
 
男「傷の話はしてくれないのか?」 
女「……言ったでしょう。交通事故です」 
男「いや、うん、そうだよな……」 
女「交通事故。不幸な、事故です」 
男「……腕の傷は?」 
女「見たんですか……ゴミムシ」 
男「……偶然に、だけど」 
女「話したくないです」 
男「…………」 
女「話したく、ないんですよ」 
男「女?」 
女「話せばきっと、今まで通りじゃ居られなくなりますから」 

女「貴方が言ったんですよ。『今を楽しめ』って」 

男「……そうだけど。今、楽しいか?」 
女「悪くない生活だとは思ってますよ」 

男「じゃあ何で笑わない?」 

女「……はい?」 
男「お前が笑ったところ、見たことない」 
女「……………」 
男「何かあるんだろ?」 
女「……あはは」 
男「……」 
女「笑いましたよ。これで、この話は終わりです」 

男「……わかった、言いたくないならいい」 
女「…………」 
男「ただ、言いたくなったら言えよ」 
女「…………」 

男「話すことで楽になることも、きっとある」 

女「……楽に……」 
男「それまでは、ずっと待ってる。……飯にしようぜ」 
女「……はい」 
女(……ずっと?後一ヶ月でお別れですよ、ゴミムシが) 

男「美味いな」 
女「毎回美味い美味い言ってますが、貴方に味覚はあるんですか?」 
男「いやいや、マズイ物はマズイけどさ」 
女「もう少し違った褒め言葉は無いんですか」 
男「えーっと……美味?」 
女「単にボキャ貧なんですね低脳」 

男「夏祭り行こうぜ夏祭り」 
女「夏祭り……」 
男「行くだろ?」 
女「……行ってやってもいいですよ」 

男「浴衣着ないのか……」 
女「浴衣なんて持ってません。……因みに夏祭りも初です」 
男「マジか」 
女「しっかりエスコートしないと帰りますけどね」 
男「何だそりゃ」 

女「…………」 
男「ぶはははは!!お面似合わないなお前!」 
女「喧しいですよ野猿」 
男「ひー、ひー……猫好きなのか?」 
女「……まあ、嫌いではないです」 
男「ふーん……可愛いな」 
女(お面が、でしょうね) 
男「お面」 
女「……………」 

女「……すいません、射的の銃貸してください」 
男「何を撃つ気だ何を」 

女「綿菓子……ですか」 
男「食わないの?」 
女「口が汚れませんか」 
男「じゃあ、手でちぎればいいんじゃないか?」 
女「手が汚れませんか」 
男「ただ早く食べないと……」 
女「食べないと?」 
男「綿菓子って溶けてくるんだよな」 
女「あ、服に……もっと早く言えゴミムシ」 

男「はら、ハンカチあるから……」 
女「何さりげなく触ろうとしてるんですか童貞」 
男「童貞関係ないだろ」 
女「童貞にありがちな表情してますよ」 
男「どんな表情だよ」 

女「落ちました」 
男「良かった良かった、じゃあ次はりんご飴だな」 
女「アレは溶けませんか」 
男「溶けない溶けない」 

女「……チョコバナナ」 
男「…………最近気付いたんだけどさ」 
女「?」 
男「お前、何か欲しい物見つけたらそれを呟くよな」 
女「……そ、そうでも無いですよ馬鹿が」 
男「じゃあいらない?」 
女「…………むぅ」 

女「……はむはむ」 
男「それ舐めるもんじゃないからな」 
女「……早く言いなさい愚図」 
男「意外に世間知らずだよなお前」 

女「……だてにニートだった訳じゃありません」 

男「威張るなよ」 

男「大体回ったな」 
女「帰って寝ましょうか」 
男「いやいやいやいや!花火があるだろ」 
女「花火?」 
男「フィナーレの花火見ないと始まらないだろ」 
女「その短い文の中で矛盾を作れるのはある意味才能ですね」 
男「それまではラムネでも飲んでようぜ」 

女「…………これ」 
男「ん?」 
女「ビー玉が邪魔で飲めないんですが」 
男「この凹みに引っ掛けるんだよ」 
女「なるほど、こうして……」 

女「……むぐっ、げほっ……」 
男「垂直にしてりゃそうなるわな……」 

男「……始まった」 
女「…………」 
男「たまやー」 
女「……花火を誰かと見るのは初めてです」 
男「あ、そうなのか?……まあ、祭も初めてだからな」 

女「……初めてが貴方で良かった」 

男「え?何か言った?」 
女「幻聴でしょう。……男さん」 
男(……あれ、名前呼ばれたの初めてか?) 
男「何か顔赤いぞ」 
女「花火の赤ですよ、低脳」 

女「疲れました」 
男「あー……風呂入っちゃえば?汗かいたろ」 
女「……それでは、お先に」 
男「……眠……」 

女「……ふぅ」 
女(見せてみようか、傷を) 
女(でも……もしも……) 
女(まだいい……まだ時間はありますから……) 

男「……グー……」 
女(人の気も知らずに寝てますね低脳) 
女「起きてくださいゴミムシ、汗かいたままじゃ……」 
男「……うーん……」 
女「…………」 

女「……起きないならこっちにも考えがありますが」 

男「うーん……ん?ぶ、ぶぼっ……!?」 
女「ねりわさびのチューブを鼻に装着完了」 
男「うーん……むにゃむにゃ……」 
女「3、2、1」 
男「もう食べられな……むにゃ」 
女「0」 


男「ウァァァァァァア――――!!!」 

男「ィィィィィィアーーー!!」 
女「近所迷惑だから黙りなさいゴミムシ」 
男「鼻がぁー、鼻がぁー!!」 
女「さっさと風呂に入りなさい愚図」 
男「ぁからむさみぽらこなたさまたはまァァア―――!!!」 
女「私は先にベットで寝てます」 
男「あたはまかまらあかがみんたかまらァァア――!!」 

男「…………お、女が先に起きてる!?」 
女「今はもう午後過ぎですよ」 
男「え……あ、本当だ」 
女「因みに今朝の朝食は豪勢にさせてもらいました」 
男「ええっ!?……って、アレ?」 
女「…………」 
男「寝癖直してないのか?」 
女「あ」 
男(さてはこいつも、ついさっき起きたな) 

男「女って俺が仕事行ってる時何してるんだ?」 
女「家事と昼寝とネッ…いや、テレビ鑑賞ですかね」 
男「比率は?」 
女「4:2:4」 
男「働けよ給料泥棒」 
女「元ニートですから諦めてくださいゴミムシ」 

男「暇だから何かして遊ぼうぜ」 
女「……何かありますか」 
男「麻雀ならあるけど」 
女「それは前のネタで腐る程やりましたよ」 
男「じゃあ……たまには体動かしてみるか」 
女「…………」 
男「好きなスポーツは?」 
女「……テニスとか、ボーリングくらいですかね」 
男「じゃあそれでいこう」 

女「スコアがニケタとか正気ですかゴミムシ」 
男「寧ろ軽々と170行っちゃうお前は何なんだよ」 
女「力任せに投げるのが悪いんですよ、もっとこう……」 
男「あ、ああ」 
女「今変な妄想しましたよね童貞」 
男「い、いや!別に!?」 
女「……死ね、ゴミムシ……」 

女「久しぶりに運動した気がします」 
男「そうだろ?お前みたいに部屋に篭って食っちゃ寝してると」 
女「?」 
男「太るぞ」 

女「…………」 
男「……グー………」 
女「3、2、1、0」 

男「ヴァァァァァァァーーー!!!!」 

男「前から気になってたけど、女って胸小さくないか」 
女「死にますか、それとも黙りますか」 
男「…………」 
女「そもそも、胸は小さい方が楽です。大きくてもバランスが悪いですし」 
男「でも、大きいのが好きって人は居るよな」 
女「……貴方もですかゴミムシ」 
男「いや、俺はどっちでも」 
女「なら尚更……いえ、何でもないです」 

男「行ってきます」 
女「行ってらっしゃいませ」 
バタン 

女「……後、5日……か」 

女(……言いましょう) 
女(今日、それか明日にでも) 
女(もし男さんに嫌われても……三日あれば、私は立ち直れます) 

女(…………立ち直れる、はず) 

女「お話があります」 
男「……うん」 

女「まず……見てください。出来れば、目をそらさずに」 

男「…………」 
女「目をそらされたら……泣いてしまうかもしれませんから」 
パサッ 
女「どうですか、私の……体は」 

男「出来れば、こんな形で見たくなかったかな」 
女「奇遇ですね、私もです。……もう、着ても?」 
男「うん」 
男(腕や腹どころか……他のところにも傷が沢山……) 

女「私は過去に……虐めを受けていました」 
男「……うん」 
女「虐め、というより……集団暴行が正しいかもしれませんが」 

女「暴力、罵倒、時には性的暴行を受けかけたこともありました」 
男「……受けかけた?」 
女「逃げました。……寸前で」 
男「…………」 

女「そんな私を支えてくれたのは……『花』だけでした」 

女「育てれば花が咲く。それを見ている時だけは笑顔になれて」 
男「うん」 
女「私も頑張ろうって思えて」 
男「…………」 
女「そしてその花は、私の目の前でズタズタにされました」 

女「一日中泣いてから……悟りました」 
女「どんなに私が頑張っても、他人の悪意で全部それは壊されるんだって」 
女「何をしたって無駄なんだって」 
男「……そんな…」 
女「以前、言いましたよね。交通事故」 
男「……あ、ああ……」 

女「アレは事故じゃなかったんです」 
男「え……」 

女「私が、わざと、飛び出した。それだけのことなんですよ」 

女「何もかも嫌になって、衝動的に」 
男「……そうか……」 
女「ぶざまに死にそびれて、親からは批難ばかりされて……」 
男「…………」 
女「そんな時……貴方のお母さんが声をかけてくれました」 
男「……母さんが……?」 
女「『アンタ、兎さんみたいだね』って」 
男「う……兎?」 
女「『折角可愛い顔してるのに、目が真っ赤だよ』……そう言って笑いました」 

女「そして貴方のところへ着て、貴方も笑ってくれました」 
女「……楽しかったです。ありがとうございました」 
男「何でもう会わないみたいに言うんだよ?」 
女「……え?」 
男「そりゃ、驚くよ。女がそんな過去を持ってたことは」 
女「……」 

男「だけど、それとこれとは別問題なんだ」 

女「…………自殺未遂までしたんですよ」 
男「だから別問題。俺にとって大事なのは、この三ヶ月一緒に居たこと」 
女「…………」 
男「俺は……女と居て楽しかったよ」 

女「……私も楽しかったです」 
男「何か調子狂うな」 
女「え?」 
男「もっといつも通りでいいよ」 
女「…………」 
男「でも、そうだな……出来れば、笑っていてほしい」 
女「……わかりました」 

女「………私を抱きしめなさい。この、ゴミムシ」 

男「……柔らかいな、意外に」 
女「……すいません、汚い体で」 
男「いや……綺麗とか汚いじゃないんだって。……これが女だろ」 
女「……はい。これが、私です」 
男「なら、いいんだよ。どんな体だろうと……お前なんだから」 
女「相変わらずお人よしですね……馬鹿」 
男「ははは」 
女「もっと強く、抱きしめてくれませんか」 
男「え?」 
女「笑おうとしてるのに、何故か泣いてしまっているんです。……泣き顔を見られたくないので」 
男「…………了解」 

女「……それでは、お世話になりました」 
男「ああ、お疲れ様」 
女「…………」 
男「これからは一人前のメイドとして、頑張れよ」 
女「ああ、それなんですが」 
男「ん?」 

女「もうメイドは辞めます。……飽きました」 

男「はあ!?」 
女「それで、今度は違うものになりたいと思ってるんですが」 
男「は、はあ……そうですか……」 
女「聞いてくれますか?」 
男「そりゃ、聞くけど……」 

女「今度は貴方のお嫁さんになりたいと思うのですが、いかがでしょうか」 

男「……えーっと」 
女「男らしく返事をしなさいゴミムシ」 
男「うん、じゃあ、その」 
女「…………」 
男「結婚しよう」 
女「え?」 
男「いや、だから……結婚」 
女「……冗談で言ってたら許しませんよ」 
男「いや、本気だよ」 

男「というか、駄目だ!もっと……ああ……」 
女「何ですか急に」 
男「俺だって色々……台詞考えてたりしたのに!!」 
女「え?」 
男「だから、ちょっと俺にも言わせてくれないか」 
女「?」 

男「……結婚してくれ。幸せにするから」 

女「……考えてた割には月並みな台詞ですね」 

男「う」 
女「でも……ありがとうございます、男さん」 
男「もう『さん』じゃなくていいだろ?メイド止めたんだし」 

女「えっと……じゃあ、男……くん……? う、うぁ……」 

男「あ、照れてる」 
女「て、照れてないです……こ、このゴミムシっ」 

女「……キスしてください」 
男「へ?」 
女「まだ抱きしめてもらったことしかないです、早く」 
男「……」 

女「んっ!?……ん、ぅ……ぷはっ」 

男「自分から言っといて何驚いてんだ」 
女「い、いきなり過ぎるんですよこの童貞が」 

女「えっと、じゃあ……これからも、よろしくお願いします」 
男「うん、よろしくな」 
女「……あの」 
男「ん?」 

女「一生……傍に居てくれるんですよね」 

男「うん」 
女「それさえ確認すればいいです。どいてください」 
男「お、おい何だよ?」 

女「何って食事の用意ですよ。……『旦那様』」 

とりあえず終わり。下書きとか全くしてなかったんで速度遅くてごめんよ。 

……さて、後日談とか書こうかな…… 




男「女さーん、朝ですよー」 
女「低血圧だから後30分寝かせてくださいゴミムシ」 
男「人に物頼む態度じゃないな……朝飯ー……」 
女「私はもうメイドじゃないので自分でやってくださいパンくず」 
男「ぱ、パンくず……」 
女「……わかりましたよ、じゃあ一緒に作りましょう」 
男「あ、その前に……おはよう」 
女「お、おはよう……男君……」 

男「……………食材が無い」 
女「おやすみなさい」 
男「早々に諦めるなよ」 
女「食材が無いんじゃ仕方ないでしょう」 
男「うーん……買いに行くか」 
女「行ってらっしゃいゴミムシ。間違えてゴミ収拾車に運ばれていかないでくださいね」 
男(最近エスカレートしてきた気がする) 

あ、ただいまー 

女「……ふぁあ……」 
男「今頃起きたのか」 
女「私は低血圧でデリケートなんですよスペースデブリ」 
男「遂に宇宙進出かよ」 
女「今日のメニューは何ですか?」 
男「ピーマンの肉詰めだ」 
女「………嫌がらせですよね、このゴミムシ」 
男「いい加減ピーマン食えるようになれよ」 

女「ふぅ、こんなもんですかね」 
男「ガーデニングか……」 
女「花は愛情をかければ必ず実ります、恋愛とは違って」 
男「女の場合は実ったろ」 
女「はい、実りまし……し、し……死ね、ゴミムシ」 
男「無理があるな」 

男「でさあ、女さんよ」 
女「何ですかゴミムシ」 
男「正味な話、いつまでこのままなんだ?」 
女「このまま……?」 
男「いや、だからさ……」 

女「死ねゴミムシ、死ねゴミムシ、死ねゴミムシ、これだから童貞は」 
男「いや、だから童貞だからこそ」 
女「とにかく、駄目です。このゴミムシ……」 



女「たまには散歩もいいですね」 
男「そうだなー……手、繋ぐ?」 
女「ひ、人前ですよ、このゴミムシ」 
男「やっぱ駄目か」 
女(……………) 
男「今日は結構涼しいなー」 
女「あ、あの」 
男「うん?」 

女「…ちょ、ちょっとだけなら繋いであげてもいいです。感謝してください」 

男「女ってそれ好きだよな」 
女「……ああ、黒オーバーニーソックスですか」 
男「結構それ持ってるだろ?」 

女「メイドっぽいかと思ってつけたんですが、しっくりきたので」 

男「この、ちょっと肌がニーソにくいこむ辺りがいいよな」 
女「死ねゴミムシ」 

男「そんな訳なんだが」 
姉『それはアレだよ、結婚詐欺』 
男「いやいや、仕事の休憩時間を使ってまで連絡してんだから真面目に」 
姉『……旅行だな』 
男「旅行?」 
姉『旅行ってのは、そういうムードになるもんだろ』 
男「……姉貴もなったの?」 
姉『うううるさいやーい!!男居なくて悪いかこの』 
ブツッ 
男「……旅行か……」 

男「旅行に行こう!!」 
女「……旅行?」 
男「あれ?……行きたくない?」 
女「誰が行きたくないと言いましたこのゴミムシ。……行きます」 
男「何で後半だけで済ませないんだお前は」 
女「……楽しみにしてます。沢山思い出が出来ますね…………あ、ご、ゴミムシっ」 
男「何慌てて付け足してんだよ」 
男(しかし……女が簡単に揺らぐとも思えん……) 
女「?」 

女「……随分立派な旅館ですね……」 
男「うん、母さんが手回ししてくれたみたいだから。安く泊まれる」 
女「何者なんですか。貴方のお母さん」 

男「自称、アラフォー恋のキューピッド」 

女「長い上にゴロが悪いですね」 
男「まあまあ……行こうぜ」 

男「広っ………」 
女「男君、とりあえず荷物置いときましょう」 
男「あー、うん……」 
女「二泊三日ですし、今日くらいのんびりしましょうか」 
男「そうだな、とりあえず風呂行ってみようぜ」 
女「あ……は、はい」 



男「あれ?行かないの?」 
女「大浴場だと……その、傷が……」 
男「あ、そ、そっか……ごめん」 
女「確か部屋にも小さなお風呂がついてましたよね」 

男「ついてるけど……これ、部屋からは丸見えだぞ」 

女「…………」 
男「どうする?」 
女「の……」 
男「の?」 
女「覗いたら殺しますよ、ゴミムシ」 

女「……あの」 
男「え?」 
女「服を脱ぐので向こうを向いていてください、ゴミムシ」 
男「ああ、はいはい」 
女(……何故か妙に恥ずかしい……) 
パサッ 
男「…………」 
シュル…ストン 
男(これ拷問じゃね?) 

女「……ふぅ」 
女(入ってしまえば見られようも無いですからね) 
女「…………ん?」 

男「じー」 

女「きゃぁぁあ!!ゴミムシ!ゴミムシ!馬鹿、馬鹿ぁっ!!」 
男「の、覗きじゃない!堂々と見てるから覗きじゃない!」 
女「いいから早く出てってくださいよぉ!!」 

 

女(つ、つい取り乱してしまいました……) 
女(……うぅ、恥ずかしい……) 
女「あのゴミムシ……!!」 

男「いかんいかん。つい自我を失ってしまった」 
男「飲み物でも買いに行ってくるか……」 

男「……コーラコーラ……うわ、高っ……」 

女「いい湯ですね……」 

男「まあ仕方ないか……女の為にアイスティーも買っていこう」 

女「ふー……ちょっと熱い……」 

男「さて、部屋に戻るか」 

女「そろそろあがりましょうかね」 

男「ふんふーん……」 

女「あれ、男君居ませんね」 

男「えーっと、俺の部屋は」 

女「チャンス、今のうちに服を……」 

男「ここだここだ」 
ガチャ 
女「あ」 
男「あ」 

女「い、い、い……」 
男「お、落ち着け女……」 

女「いやぁぁあ…………ぁ……はぅ」 

バタッ 
男「た……倒れた……」 

男「のぼせたんだろうな……」 
男「つ、つーかこれ……どうしたら……」 
男「まさかほっとくわけにもいかないし……」 
男「と、とりあえず浴衣を羽織らせておくか……」 

女「……はぁっ……はあっ……」 
男「えーっと、女に浴衣を着せてくれた女将さんの言う通り団扇で扇いでおこう……」 
女「ん……んく……は、あっ……」 
男「う、うなされてますなあ……」 
パタパタ 
女「…はあっ………スー……」 
男「ちょ、ちょっとは落ち着いたみたいだな」 

男「いやあ、美味しいな……ハハハ……」 
女「……知りません」 
男(マズイな……ゴミムシってつけない時は本気で怒ってる……) 
女「…………」 
男「だ、だからさあ。悪かったって……それに、二回目は事故だし」 
女「……まだわからないんですか」 
男「え?」 
女「私が怒ってるのはそんなことじゃないんです」 
男「…………?」 

女「いや、覗きも怒ってますが……そんなことより」 
男「そんなことより?」 
女「折角の旅行なのに……時間を無駄にしちゃったな、って。ちょっと悔しいだけです」 
男「…………」 
女「だから、その……今夜は」 
男「!?」 

女「た、沢山……お喋りしましょうね、男君」 

男「あ、ああ……」 
女「……じゃなかった。ゴミムシ」 
男「そこで言い直すなよ」 

女「……布団」 
男「一つしか無いんだが」 
女「…………」 
男「…………」 

女「……暖かい……」 
男(やっぱりかよやっぱりかよ……旅館でも俺は雑魚寝かよ……) 
女「何してるんですかゴミムシ」 
男「え?」 
女「ほら。……さっさと入ってください」 
男「……あ、ああ……うん」 

女「……狭いですね」 
男「まあな……多少は仕方ないさ」 
女「狭い分暖かいので……良しとしてあげますよ、ゴミムシ」 
男「…………」 
女「あの」 
男「ん?」 

女「え、えっちなのは駄目ですけど。……キス、くらいなら……その…」 

男「………」 
女「きょ、今日は特別ですよ、ゴミムシ」 

女「………っ!?」 
男「な、何?」 
女「あ、当たってます……ゴミムシ」 
男「………アハハ」 
女「全く……やっぱりもう寝ましょうか」 
男「そ、そうしようか」 

男「……グー」 
女(で、本当に寝るんですか貴方は) 
女「何だか眠れませんね……」 

 

女「……はあ」 
女(この寝顔を見ると、何だか腹が立ってきます……) 
男「……グー……」 

女「…………ん……ぷはっ」 

女「お仕置きですよ、ゴミムシ……って」 
女「わわ、私、何を……ね、寝ましょう……!!」 

男「おはよー」 
女「ゴミムシゴミムシゴミムシゴミムシゴミムシゴミムシゴミムシ……」 
男「朝から人のゲシュタルトを崩壊させる気か?」 
女(結局、緊張して全然眠れませんでした……) 
男「眠れなかったのか?」 
女「いえ、快眠でしたよ、ゴミムシゴミムシ」 
男「当社比二倍って感じだな」 
女「……はあ」 

女「それで、今日はどこに行くんですか」 
男「うーん……とりあえず……適当に歩こう」 
女「え?」 
男「旅の醍醐味ってさあ、名所を見て回ったりするよりも……」 
女「するよりも?」 
男「ブラブラ歩いて、気になった店に寄ってみたりすることだと思うんだよな」 
女「……少しだけわかる気がします」 
男「それにまあ、女と一緒だしな」 
女「お上手ですねゴミムシ」 
男「あれ、褒められてる気がしない」 
女「褒めてませんからね。……さ、行きましょう」 

女「お土産って見ていて飽きませんね」 
男「同感だね」 
女「あ、この本は何で……わ、わわっ、わあっ」 
男「何だどうした?」 
女「な、何でも無いですよゴミムシっ!!あっち行ってください!」 
男「何だよ急に……」 

女「ま、全く……こんなところにこんなものを……」チラッ 

女「きゃ、きゃあっ!!」 
男「だからどうしたんだよ」 
女「何でもないって言ってるじゃないですかぁっ!!」 


女「ふ、ふん……このゴミムシ」 

男「女って甘いの平気だっけ」 
女「ええ、まあ……嫌いじゃないです」 
男「じゃあ……はい、カルメ焼き」 
女「……カルメ焼き?メロンパンみたいな物ですか」 
男「形はちょっと似てるが全然違うな」 

女「甘いにも程があるんですよ……ゴミムシ……」 
男「まあ、砂糖と重曹だからな……」 

男「特大ふがし……」 
女「いりません」 
男「いやでもこれさ、刀みたいだし」 
女「いりません」 
男「おすそ分けとかに」 
女「いりません」 
男「うにゅー」 
女「可愛くありませんよゴミムシ」 

男「紫芋まんじゅう……」 
女「また食べ物ですか……私が太ったらどうするんですかゴミムシ」 
男「お前何キロだっけ」 

女「よんじゅうさ……死ねゴミムシ」 

男「特定した。……じゃ、あそこら辺見てみるか」 
女「……江戸時代コーナー……?」 

女「……日本刀……」 
男「買わないぞ」 
女「で、でも何かカッコイイですし」 
男「買わないぞ」 
女「魔よけにもなります」 
男「買わないぞ」 
女「うにゅー……何て言うと思ったんですか死ねゴミムシ」 
 
男「言えないよな、水曜どうでしょうの影響で一回行っただけなんて」 
女「言えませんよゴミムシ」 

男「……疲れた……」 
女「お風呂にしましょうか……」 
男「あ、う、うん……」 
女「何してるんですかゴミムシ」 
男「え?」 
女「行きますよ……大浴場」 

女「昨日私の傷を見た女将さんが、1時間だけ貸し切りにしてくれると」 
男(まさかこれも母さんの力か?) 
女「……前から入ってみたかったんです、大浴場……」 
男「それはいいけどさ、ここ混浴だぞ。脱衣所は別だけど」 
女「……え?」 

女(またのぼせそう……) 
男「体、洗おうかな……アハハ……」 
女(…………) 
男「……………タオルタオル」 

女「……私が背中流しましょうか?」 

男「え?」 
女「……嫌ならいいですよ、ゴミムシ」 
男「いやいやいやいや!!是非お願いします!!」 

女「ただし、振り向いたらゴミムシですよ」 
男(日本語になってないぞ) 
女「……えっと……」 
ゴシゴシ 
女「ちゃ、ちゃんと出来てますか?」 
男「う、うん……」 
女「なら……いいですけど……本当に気持ちいいですか?」 
男「大丈夫だってば……」 
女(意外に背中大きいですね……ゴミムシのくせに……) 

明日も早いんでそろそろ寝ます。 

明日は正午まで用事があるので、それまで残ってたら続き書きます。 
暇な時間を見つけて少しずつ書くかもしれませんが。ではノシ! 



女「……あの」 
ゴシゴシ 
男「ん?」 
女「疲れたから止めていいですか」 
男「何だそれ……まあいいや、ありがとう」 
女「礼には及びませんよゴミムシ……はい」 
男「え?……何?」 
女「背中流してください」 
男「い、いやいやタオル巻いてるじゃんか」 
女「……今脱ぎますよゴミムシ」 

女「当然、前は隠しますが」 
男(何だ……) 
女「それに……背中なら、傷は少ないですし」 
男「……そうだな。よし、洗ってやろう」 

女「もう少し……優しくしてください。ゴミムシ」 

男「はいはい」 
女「……まあまあ気持ちいいです」 

男「前は?」 
女「死ねゴミムシ」 
男「いやいや遠慮すんなって」 
女「ゴミムシ、ゴミムシ、ゴミムシ」 
男「やっぱり駄目か」 

女「貴方は知らないかもしれませんが、傷口というのは敏感になんですよゴミムシ」 

男「え?」 
女「何でもないですよゴミムシ」 

一応修正 
男「前は?」 
女「死ねゴミムシ」 
男「いやいや遠慮すんなって」 
女「ゴミムシ、ゴミムシ、ゴミムシ」 
男「やっぱり駄目か」 

女「貴方は知らないかもしれませんが、傷口というのは敏感なんですよゴミムシ」 

男「え?」 
女「何でもないですよゴミムシ」 
男「ゴミムシって言い過ぎだろ」 

女「貴方の気持ちもわからないではないですが」 
男「…………」 
女「私たちはまだ正式には結婚していないので、早いかと」 
男「それなんだけどさ」 
女「はい?」 
男「……今度、女のご両親に挨拶に行こうかと思うんだ」 
女「…ぁ……ご、ごほん。わかりました、ただし」 
男「ん?」 
女「何かヘマをやらかしたら許しませんからね、ゴミムシ」 

女「今日は布団が二つありますね」 
男「そりゃそうだろう」 
女「じゃあ、そろそろ寝ましょうか」 
男「おやすみー」 

女(……寝ましたね) 
女「…………」ギュッ 
女(いざとなったら寝相が悪いと言ってごまかしましょう) 

女(何でこんなにも暖かいんでしょうね) 
女(赤ん坊の体温は高いと言いますが) 
女(男君の知能が赤ん坊並だから体温が高いのかも……) 
女(何だか、こうして抱き着いていると) 

女(…………頬が熱い) 

女(……暖かいのは、私の体温が上昇しているだけでしたか) 

男「あー……疲れたな……」 
女「貴方は帰るなり寝れますが私は家事があるんですよゴミムシ」 
男「手伝った方がいいか?」 

女「別にいいです寝ててくださいゴミムシ」 

男(何だかんだで気遣ってくれるのか……) 
女「貴方が手伝おうとしても寧ろ邪魔です」 
男「やっぱそっちかよ」 

女「……もしもし」 
男『あ、女か?』 
女「ウチの電話に私以外が出る訳ないでしょうゴミムシ」 
男『…………』 
女「今日はいつ頃帰ってこれますか」 
男『あー、うん。遅くなりそう。ご飯食べていいぞ』 
女「……わかりました」 

女(今日は惣菜で済ませましょうかね) 

女「……よし」 
女「そろそろ惣菜が安くなる時間です」 

女「……あれ。男君……」 
女「早く終わったんでしょうか、あのゴミムシ……ん」 
女(………女の人と一緒ですか) 
女(雰囲気的に仕事って感じでもありませんね) 
女「……………」 

男「ただいまー」 
女「お帰りなさい」 
男「遅くなって悪いな」 
女「別に構いませんよ、どうせ家事もありますし」 
男「……あ、う、うん」 
女「お風呂とご飯を済ませてさっさと寝てください」 
男「……何か怒ってる?」 
女「別に怒ってません。……もう寝ます」 

男「じゃあ、行ってきます」 
女「…………」 
グッ 
男「な、なんだよ服の裾掴んだりして」 
女「……今日は」 
男「え?」 

女「今日は早く帰ってこれますか」 

男「……う、うん、多分」 
女「……そうですか。行ってらっしゃい」 

女(……何だか、もやもやしますね……) 

女「……ちょっと高いけど、まあいいでしょう」 
女(たまには奮発しないとうるさいですからね) 
女「…………いや、これは私が食べたくなったから買う訳ですが」 


女「……………今日も遅くなるんですか」 
男『……ごめん』 
女「もう夕食作っちゃいましたよ」 
男「…………」 
女「……いえ、何でもないです。仕事頑張ってください」 

>>836 
割と大きいベッドなので基本的には二人一緒に寝る。背中合わせで。 

女「本当に仕事なんでしょうかね」 
女「やっぱり……私みたいなのは嫌なんでしょうか」 
女「……………」 
女「まあ、それが普通ですが……」 
女(……何だか……) 

女(……頬が、冷たい……) 

女「…………っ……」 
女(別に……昔みたいに酷い目にあった訳じゃない) 
女(少し、彼が遠くに思えただけなのに) 

女(……頬が、どうしようもなく、冷たい……) 

女「……っ……ひ…っく……」 
女(あの人はこんなにも簡単に、私を泣かせることが出来るんですね……) 

女「…………」 

男「ただいまー……うわ、真っ暗」 
男(……もう寝てるのか?) 
パチッ 
女「………スー……」 
男「寝てるか……。ん、泣いてる……?」 
男「怖い夢でも見てんのかな」 

女「……ふ……ぁ?」 
女「……朝……?」 
キョロキョロ 
女「……男君……?」 

女「八時…………もう、仕事に行っちゃったんでしょうか……」 

女(……昨日、『おかえりなさい』って言えませんでしたね……) 

女(……………) 
カチカチ、ピッ 
男『はい……どうした?』 
女「仕事中にすいません……あの……」 
男『うん?』 
女「いえ、用は……無いんですが……」 

同僚『男くーん!昨日の夜のことだけどさー!!』 

女(……後ろで女の人の声……) 
男『ちょ、ちょっと!!女にバレたらマズイんですって!!』 

女「……………」 

ブツッ 

女(……昨日の夜……?) 
女(昨日の夜は、急な仕事だったんですよね) 
女(だから、私の料理を食べれなくてお話も出来なくて) 

女(……そう、言ってたじゃないですか) 

女(……そう、だと信じてた……のに……) 
女「……男君の……馬鹿ぁ……っ……」 

男「ただいま……また真っ暗か」 
パチッ 
男「……女?何だ、起きて」 
女「嫌、です……」 
男「え?」 

女「……私はずっと貴方と居たいんです……離れたくないんです……」 

男「……女?」 

女「貴方が居ないと……私は……駄目なんです…」 

女「ずっと私を抱きしめて、そして笑っていて欲しいんです……ずっと……」 

女「……誰よりも貴方が…大好きなんです……」 

女「……失いたく、ない……」 

男「お、おいどうしたんだ、泣くなよ」 
女「……だ、って……ひっく、男君……私のこと、……嫌いに……」 
男「は、はあ!?何でそんな話になってるんだよ!?」 

女「お、女の人と……あ、歩いて、とこ……見た、もん……」 

男「え?あ、ああ。アレか」 
女「ほ、ほら……っく、……うぅ……」 
男「アレはほら、俺、センス無いから……相談に乗ってもらったんだよ」 
女「……ひっく、……そうだん……?」 
男「あ、ああうん……コレ」 


女「……ゆ………指輪………?」 

男「うん……ほら、婚約指輪」 
女「……あ……」 
男「コツコツ貯めてたのがようやく纏まった額になったからさ。……買った」 
女「……ば……」 
男「え?」 

女「……馬鹿、ですね……や、安月給のくせに……」 

男「あはは」 

女「…………はめてください」 

男「うん」 

男「どう?」 
女「……綺麗です……他のどんな宝石より……」 
男「い、いやそれは大袈裟なんじゃ」 

女「……一番大好きな人に貰った、私だけの指輪ですから」 

男「……あ、ああ、……そう」 
女「……結婚指輪は一緒に選びましょう」 
男「うん」 

女「私も……一番大好きな貴方に、指輪をあげたいですから」 

女「……あの」 
男「ん?」 
女「……抱きしめてください」 
男「……うん」 
女「……キスしてください」 
男「……うん」 

女「……ずっと傍に居てください」 

男「……うん……」 

女「……それで、明日ということになりました。ゴミムシ」 
男「明日か……うわ、緊張するな……」 
女「両親は私のことなんてどうでもいいでしょうから、そんなに緊張しなくても」 
男「……そうは言ってもなあ」 
女「あ。……アイスティーを飲み終わってしまいました」 
男「俺の飲む?はい」 

女「え……か、間接……その……」 

男「んー?」 
女「わ、わざとですか……このゴミムシっ!!」 

男「よし、い、行くぞ……」 
女「何も魔王の城じゃないんですから、ら、らりっく、リラックスしてください」 
男「……女だって緊張してるじゃないか」 
女「うるさいですよゴミムシ」 
男「お前、間違って『ゴミムシ君です』なんて紹介するなよ?」 
女「……気をつけておきましょう」 

女父「…………結婚?」 
女「はい、そうしたいと思っています」 
女父「……そうか。……女」 
女「はい」 
女父「……一つだけ、言わせてくれないか……」 
女「……どうぞ」 

女父「本当に……すまなかった」 

女父「お前が苦しんでいるのはわかっていた……それなのに……それなのに…」 
女父「父さんと母さんは何もしてやれなかった……まるで腫れ物のようにお前を扱った……」 
女父「そのお前が選んだ相手……お父さんが文句をつける資格なんかないのかもしれない…」 
女「…………」 

女父「それでも一つだけ聞かせてくれ……男君」 

男「……はい」 

女父「君は……女を愛してくれているか……?」 

男「……はい。貴方にだって負けません」 

男「素直じゃない性格も、過去の事件も、心と体の傷も」 

男「……全部愛しています。だってそれが、女ですから」 

女父「……そうか……」 
女「……………」 
女「……女を、よろしく頼む」 

男「……はい。必ず幸せにします」 

女「何をカッコつけてるんですかこのゴミムシ」 

スマン。修正修正 
女父「……そうか……」 
女「……………」 
女父「……女を、よろしく頼む」 

男「……はい。必ず幸せにします」 

女「何をカッコつけてるんですかこのゴミムシ」 

男「ええ!?何だよいきなり!」 
女「いえ、あまりにも的外れた発言なので……つい本音が」 
男「は、はあ……?」 

女「……必ず幸せにする?何を馬鹿なことを言ってるんですか」 

女「私はもう、とっくに……幸せですよ。あはは」 

女「あはは、馬鹿ですねぇ男君は」 
男「ば、馬鹿って言うな……」 
女「じゃあゴミムシですか。ゴミムシっ」 
男「ゴミムシの方が酷いだろ!」 
女「あはははは、ばーか、ばーか」 

女父(……ああ、笑った……女がもう一度、笑ってくれた……) 

男「ムキー!」 
女「可愛くないですよこのゴミムシ」 

男「……そろそろかな?」 
コンコン 
男「女ー、入るぞー」 
ガチャ 

女「……に、似合いますか?」 

男「おおー、意外にもウエディングドレスが似合うな」 
女「意外にもって何ですかゴミムシ」 

女「でも……傷、目立ちませんか」 
男「気にしなくていいんだよ。それに凄く綺麗だ、女」 

女「う……度々私を赤面させるのはわざとですか」 

男「滅相もない。……さ、そろそろ行こうぜ」 
女「……はい」 
「誓いのキスを――」 
男「……俺達って何度目の誓いなんだろうな」 
女「さあ……『貴方』がハッキリしないのが悪いと思いますが」 
男「約束する。……女だけを、愛するよ」 

女「………ん…」 
男「…………」 

女「約束破っちゃ嫌ですよ。……『アナタ』」 

これで終わりです。読んでくださってありがとうございました。 

また機会があったらお会いしましょう!ノシ 














出典:女「不本意ながら、今日から貴方のメイドになりました」
リンク:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1243143090/l50
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