RUN WITH YOU (泣ける体験談) 32514回

2005/01/18 00:04┃登録者:ランナー┃作者:名無しの作者
彼女は高校の陸上部の先輩だった
一目惚れだったけどプライドが高かった俺はそのことを言えずにいた
でも夏の大会の打ち上げで肝試しをすることになった際
先輩が「W君恐いの大丈夫かな?よかったら一緒に行ってくれない?」と言ってくれた
身長が130cmくらいで子供っぽい先輩だったから本当に恐かったのだろう二つ返事で了解した
もちろんチャンスだと思った俺は死ぬ気で告白
先輩ははにかみながらOKしてくれた

それから俺達は付き合い始めた 長いようで短かった1年
デートもした二人で陸上の練習もした
でも1つ気になることがあった
先輩は体が弱かった
その弱い体で走り続け体は疲労で限界だった
俺は始めてその話を聞いたとき「バカバカしい」と思った
だってそうだろ!?そんなこと漫画か小説の中の話みたいだ

とうとう先輩は3年の冬に風邪をこじらせたことから肺炎になり入院
俺は毎日病院に通った 先輩の好きなプリンを毎回買っていった でも先輩は全部食べることが出来ずに残してしまう
体がきついはずなのに俺と話してくれる
その健気な姿を見て俺は幾度も言葉に詰まった

先輩は卒業した
病院の小さな部屋で友達に祝福もされずに
俺は陸上部の部員達をかき集め先輩の卒業式をした
そのときの先輩の顔は今でも忘れられない
涙を流して花束と俺が校長の真似事をして渡した卒業証書を抱えて泣き、微笑み、「ありがとう」と繰り返していた

それから数ヶ月、冬になった
俺は高3、先輩はまだ入院していた
いつも他愛のない話ばかり
「W君!私ね退院したらまた陸上するよ そしてね皆とまた走るんだ」
「先輩…」
俺は先輩の母親から教えられていた
先輩はおそらくもう走れない
長い入院生活で筋肉が衰え体も付いていけないだろうとのことだった
「覚えてる?皆でアップするときK君とT君がいつもふざけてたね」
「皆は元気?」
「皆で大会に行って」
「打ち上げして」
泣いていた
先輩も知っていた自分の体のこと 足のこと
「バカだね私…もうそろそろダメなのは自分でも解ってるのに」
「そんなこと言わないでください 大丈夫ですよ」
バカなのは俺だった
そんな意味のない言葉ばかり出てくる
それでも先輩は笑っていた
俺は我慢できずに先輩を抱きしめた
もうそこからは勢いだった
「先輩俺先輩と結婚したい勉強して大学は行入って働いて先輩と結婚するんだ」
先輩は驚いていたが
「ありがとう私W君の彼女になれて幸せだよぉ」といって泣いた

それから数週間後俺は先輩の家族から病院に呼び出された
先輩の様態が悪化しもうもたないらしい
苦しみながら俺の名前を呼んでいたらしい
苦しむ先輩の横に座り手を握ると先輩が口を開けた
「W…君…W君」
「はい」
もう顔は涙でグチャグチャだった
「今ね…私ね…走って…た」
「はい」
「皆…いたよ…先生も…先輩達…も」
「はい」
「笑っ…てた…皆…が早くって…言ってた」
「はい」
先輩の家族も後ろで泣いていた
「私…トロイか…ら」
「そんなことない…そんなことないです!」
「ゴメンね」
「先輩はいつもそうです!謝ってばかり 悪くないのに」
「私…贅沢は…言わない」
「えっ!?」
「皆と…は無理…でもせめて…W君と走りたい」
もうそこからは何も見えなかった涙があふれ視界がかすむ
「一緒に…ずっ…と」
「走りましょう!一緒に!二人で走るんです」
「えへ…へ」
そこまでだった 先輩は動かなくなった
俺は立ち上がり涙で汚れた顔で部活終了の挨拶をした
「お疲れ様でした!!」
泣いた、今思い出すと恥ずかしいくらい泣いた
死にたかった
もう先輩のいない世界なんてと思った
しかし先輩の両親から手紙を渡された

俺は晴れた日に思い出の高校の部室に行き手紙を開いた
『こんちわっす。コレを見てるのは部活が終わった後?それとも私が死んじゃったときママとパパがすぐに渡しちゃった?イキナリごめんね。初めてW君と会ったときW君私のこと「小さっ!」って言ったでしょ?あれはきつかったなぁ・・・・・』
といった俺との思い出が書き連ねてあった
最後の部分に書いてあったことに俺は我慢できずに泣いてしまった
『・・・・W君!私がいないからっていつまでも一人身でいないでね!彼女が出来るまで私が見ててあげる!あなたの隣を、いつでも、何処でも、走ってます!』
ああ あの人はどうしてあんなに優しいのだろう 俺は微笑んで涙を流した
「約束ですからね 一緒に走るって」
俺は立ち上がり部室を後にした
と、手紙の裏に何か書いてあった
『PS,私の陸上の道具全部上げる いらないなら燃やしちゃってください』

数年後俺は大学に進学し陸上部に入った
彼女はいない というより作る気がない
その日は大会の日 俺のスパイクの靴紐は先輩の遺品の中にあった先輩のスパイクの靴紐だ
俺はその靴に向かっていまや大会のたびに言っている気合入れのような言葉を大声で叫ぶ


「先輩!今日も一緒に頑張って走りましょう!」
  投票  (・∀・):3421  (・A・):842  →コメントページ
読み終わったら評価を投票してください。押してもらえるだけで更新意欲がわくです。
コメント書かなくても投票だけでもできます。
作者の創作意欲を削ぐような発言は絶対に止めてください。
既出や重複の登録を見つけたら掲示板までお知らせください。
イイ→ イクナイ→ タグ付→
ココ
コメントがあれば下に記入してから押してください(30秒規制)
名前: トリップ:
コメント:

  トラックバック(関連HP)  トラックバックURL: http://moemoe.mydns.jp/tb.php/1729/
トラックバックURLは1日だけ有効です。日付が変わるとトラックバックURLが変わるので注意してください。
まだトラックバックはありません。
トラックバック機能復活しました。

  Google(リンクHP)  このページのURLを検索しています
検索結果が見つかりませんでした

TOP
アクセス解析 管理用