女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」 (泣ける体験談) 62158回

2009/07/16 08:19┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:◆r3yksmPHg2
チュンチュン… 

女勇者「ふわぁ…もう朝かぁ」 

女勇者「さっき帰ってきたばっかりなのにな」 

女勇者「これで…何回目だっけ?前ので5、6…?あ、今回で6週目かぁ」 

女勇者「あはは…また繰り返しか。…さて、頑張ろうかな」 

コンコン 

ガチャ 

母「おはよう。…おきなさい勇者」 

女勇者「おはよ、ママ」ニコ 

母「あら?もう起きてたのね、珍しい」 

女勇者「うん。なんか目が覚めちゃって…」 

母「そう。今日は旅立ちの日だものね……」 

女勇者「そうだね。今日は旅立ち。…今日も旅立ち…」 

母「今日も?」 

女勇者「うん、今日もー。えへへ…ねぇママ」 

母「なに、勇者?やっぱり…旅立ちがこわい?」 

女勇者「ぜんぜん?」 

母「本当?怖いなら……」 

女勇者「無理しないでって言ってくれるの?」 

母「……」 

女勇者「あはは、そうだよねー。わかってるよ。ごめんなさいママ」 

母「勇者…ごめんなさい」 

母「勇者、なにかあったの?大丈夫?」 

女勇者「うん、ちょっと。色々とね。考えることがいっぱいあって」 

母「……ママに言ってごらんなさい?力になれるかはわからないけれど…」 

女勇者「…ママ」 

母「なぁに?」 

女勇者「私、もう…疲れちゃったぁ」 

母「え?」 

女勇者「もう疲れたよ、ママ……もういやだぁ…」じわ 

母「どうしたの?何があったの?」オロオロ 

女勇者「ママぁ…私、もう行きたくないよ」 

母「……」 

女勇者「…えへへ、勇者なのに…こんな事言ってごめんね?…」ぽろぽろ 

母「……」 

女勇者「ちゃんと行くから許してね?…ちゃんと行くからね」 


母「勇者」 

女勇者「はい…」ぐしぐし 

母「憎むなら、私を憎んで…あなたを勇者として産んでしまった私を…」 

女勇者「…!」 

母「ママのせいで、あなたを泣かせる事になる事は…もう、覚悟していた」 

母「それでも、あなたは勇者として旅立たなければならないの。だったら…」 

母「せめて、私を憎んで…」 

女勇者「……ママ、ごめんなさい」 

女勇者「大丈夫、私はママを憎んだりしないよ」ニコ 

母「…勇者」 

女勇者「だから、ママもそんな顔しないでね?」 

女勇者「じゃあ…行ってきます」 

母「…行ってらっしゃい。勇者、必ず生きて帰ってきて…」 

女勇者「あはは、その心配はいらないと思うよー。じゃあね!」 

母「…?」 

ガチャ 

バタン! 

女勇者「あんな事言って飛び出してきちゃったけど」 

女勇者「…とにかく頑張るしかないよね。私がしっかりしないと」 

女勇者「とりあえず王様に話しに行って、次は酒場かぁ」 

女勇者「今回は…うーん、どうしようかな」 

女勇者「久しぶりに王道で行こうかな。確か1週目も同じメンバーだったっけ」 

女勇者「戦士くん、僧侶ちゃん、魔法使いちゃん…」 

女勇者「うん、これで行こう!」 

【酒場】 

女勇者「6回目ともなると、さすがに要領もつかんできたかな」 

戦士「…む?」 

女勇者「すいませーん、あなた、戦士くんですよね?」 

戦士「くん…?いかにも、俺が戦士だが…君は?」 

女勇者「えっと、私は今日旅立つことになった勇者です。仲間を探してるんですけど…」 

戦士「ふむ、では同じ志を持つ者同士だな。よければ俺も同行させてもらえないだろうか」 

女勇者「ホント?一緒に行ってくれる?」ニコ 

戦士「もちろんだ。出来る限り力になろう」 

女勇者「えへへ、相変わらず頼りになるなぁ」 

女勇者「よかったぁ。断られたらどうしようかと思ってたんだよー」 

戦士「まさか。俺のほかにも力になりたい者はたくさん居る」 

女勇者「みたいだねー。うん、実はもう声をかけようと思ってる人はいるんだ」 

戦士「そうなのか?」 

女勇者「うん!僧侶ちゃん、魔法使いちゃん!」 

僧侶「!」ビクッ 

魔法使い「え…私ですか?」 

女勇者「うん!ぜひ二人に力になって欲しいんだけど、いいかな?」 

魔法使い「ええ。私でよろしければ、ぜひお供させていただきます」 

僧侶「え、えっと…私なんかでいいんでしょうか…?」オロオロ 

女勇者「よーし!これで4人そろったね!」 

戦士「うむ。魔王を倒し、世界に平和を取り戻すため頑張ろう」 

女勇者「そうだねっ。さて、まずは装備を整えようか」 

僧侶「そうですねぇ。私も防具が欲しいなぁ」 

女勇者「僧侶ちゃんは大事な回復要因だもんね。死なれちゃ困るしなぁ」 

僧侶「死…って…」 

魔法使い「ゆ、勇者様…?」 

女勇者「あ、ごめんごめん。とにかく、装備は整えとかなくっちゃねってこと」ニコ 

女勇者「戦士くんは武器を強化しようか!しっかり二人を守ってあげてね」 

戦士「うむ。しかし俺はこの鉄の剣があるが…」 

女勇者「んーん、今買える最強のものにしようよ」 

戦士「おお、それはありがたい。しかし所持金が足りないのでは…?」 

女勇者「えへへ、それは大丈夫だよー。いっぱいあるから」 

戦士「そ、そうか?ではお言葉に甘えさせてもらおう」 

女勇者「うん!甘えて甘えて♪」 

戦士「勇者殿の装備はどうするんだ?」 

女勇者「あ、そうだね。じゃあ…戦士くんのお下がりをもらっちゃってもいいかな?」 

戦士「うむ。もちろんだ」 

女勇者は鉄の剣を装備した! 

女勇者   鉄の剣  E 
攻撃力   301  →  304 

僧侶「わぁ…戦士さん、かっこいいなぁ」 

女勇者「大丈夫だいじょーぶ!僧侶ちゃんにも買ってあげるからね!」 

僧侶「え、ホントですか?」ぱぁっ 

女勇者「うんっ。えっとぉ…まずは法衣だよね。それから金の杖と…」 

僧侶「え、えぇ?こんなに…良いんですか?」 

女勇者「もちろん!大事な仲間だもん」 

僧侶「えへへ。ありがとうございます」ニコニコ 

魔法使い「……」もじもじ 

女勇者「もう、魔法使いちゃん、心配しないで!ちゃんと用意するに決まってるじゃない」ニコ 

魔法使い「え!…そ、その…あつかましくてすみません…」 

女勇者「いいのいいの!」 

女勇者「これで装備も全員整ったし、準備万端だね!」 

戦士「勇者殿、本当にその古い剣だけで良いのか?防具は?」 

女勇者「私?うん、これでいいよー」 

戦士「そうか…勇者殿がそれでいいのならば構わんが…」 

僧侶「…勇者様」 

女勇者「うん?どうしたの僧侶ちゃん」 

僧侶「その…もしかして勇者様は、戦いがお好きでないんでしょうか…」 

女勇者「へ?どーして?」 

僧侶「装備も最低限のものですし、なにより…」 

女勇者「?」 

僧侶「勇者様が、この戦いを望んでおられないような気がして…」 

魔法使い「…そうですね。私もそう感じておりました。どこか、旅立ちを嫌がっているような…」 

戦士「勇者殿…戦いは嫌いか?」 

女勇者「……好きじゃ、ないかな…」 

戦士「……その顔を見ればわかるな。勇者殿、戦闘は俺達に任せてくれ」 

女勇者「え?」 

戦士「勇者とは言え、戦いを避けたがる女の子に無理やり戦わせるわけにはいかない」 

女勇者「えへへ…ありがとう。でも、私も戦うよ」 

戦士「…無理はするな」 

女勇者「うん。でも私は勇者だからね。私だけワガママで戦わないなんて、許されないでしょ?」 

戦士「それはワガママではない。勇者殿は、望んで勇者に生まれたわけではないのだから」 

女勇者「そうだね。それでも、私には勇者に生まれた責任があるから」ニコ 

戦士「……勇者殿」 

女勇者「だから、私も戦うよ。一緒に頑張ろうね!」 

僧侶「……勇者様は、強いんですね」 

女勇者「あはは、そんなことないよー。平和を取り戻したいのは私も一緒だし」 

戦士「よし、では出発しようか」 

僧侶「はい!」 

魔法使い「参りましょう」 

女勇者「あ!ちょっと待って!」 

魔法使い「?勇者様、どうなされましたか?」 

女勇者「えっとね、…皆に、話しておかなきゃならないことがあるんだぁ」 

僧侶「?」 

女勇者「えへへ…怖がらないで聞いてくれる?」 

女勇者「実はねぇ……?私は、もうこの旅を5回終えてるの」 

戦士「?」 

女勇者「なんて言ったら良いのかな?もうね、魔王を倒したこともあるんだ」 

魔法使い「勇者様…何を仰っているのですか?しっかりしてください」 

女勇者「本当なんだよ?えっとねぇ、私、魔王を倒して、また旅立ちの日に戻ってを」 

女勇者「もう5回繰り返してるの。今回で6回目の旅立ちなんだー」 

戦士「…その話が本当だとして、記憶を持ったまま繰り返しているのか」 

女勇者「うん。記憶だけじゃないよ?強さだって魔法だって、お金だってほら…」じゃら 

戦士「…」 

戦士「……」 

女勇者「混乱させるような事言ってごめんね?」 

僧侶「……」 

女勇者「ただ、みんなには言っておきたかったから…」 

魔法使い「……」 

女勇者「……だから…」 

女勇者「えっと、えっとね…だからもう、私…レベルも80近くあるんだ」 

女勇者「……ごめんなさい。こんな事言われても、わけわかんないよね」 

戦士「…いや、すまない。…その、少し混乱していただけだ」 

僧侶「そそ、そうですよね。勇者様は勇者様ですよぅ。ね、魔法使いさん?」 

魔法使い「…はい」 

女勇者「…ありがとう。ごめんね、旅立つ前にこんな事言って。さ、行こうか」 

戦士「うむ。我々も、足手まといにならぬよう精一杯ついていこう」 

女勇者「……うん!」ニコ

【城の外】 

戦士「それでは先頭は勇者殿に任せて、俺達はサポートしよう」 

僧侶「はい!勇者様、回復はお任せくださいね」 

魔法使い「私などの魔法がお役に立つとは思いませんが…精一杯助力いたします」 

女勇者「そうだね。みんなで力を合わせて戦っていこう!」 

僧侶「はい!」 

魔法使い「…あ!さっそく魔物があらわれましたね」 


魔物「ぐるる…!」 



魔物があらわれた! 

女勇者「えへへ、この魔物、必ず最初に出会うんだよー」 

僧侶「そうなんですかぁ…。勇者様、お気をつけて…!」 

女勇者「ありがとー!えいっ」 




ぐしゃあっっ!!! 




魔物をたおした! 


僧侶「………ひ………」 

僧侶「…あ……あ」 

魔法使い「そんな…なんの変哲もない攻撃で……」 

戦士「…魔物が……爆ぜた…?」 

女勇者「うわぁ…返り血浴びちゃったよー……気持ち悪いなぁ」ふきふき 

戦士「……」 

女勇者「よし!さぁ、先を急ごうか」ニコ 

戦士「う、うむ。最初の目的地は北の洞窟だったな」 

僧侶「…そ、そうですねぇ。近くの村が被害を受けてるって言ってましたね」 

女勇者「えへへ、被害って言ってもそんなにたいしたもんじゃないよ」 

魔法使い「え?そうなんですか?」 

女勇者「うん!時々農作物を荒らされるだけらしいしね」 

戦士「だけ、か」 

女勇者「さぁ、入り口も見えてきたね。行こうか」 

僧侶「は、はい…」ビクビク 

女勇者「さぁ、出発ー!」 


ざっざっざっ 

魔法使い「かなり薄暗いですね。勇者様、足元にお気をつけくださいね」 

女勇者「ありがと。でもだいたい覚えてるから大丈夫だよ」ニコ 

戦士「そうか、もう6回目か…」 

女勇者「うん。みんな、私の後ろについてきてねー」 

僧侶「…は、はぃぃ」 

女勇者「?どうかした、僧侶ちゃん」 

僧侶「あ、あの…勇者様ぁ…お願いがあるんですけど」 

女勇者「なんだろ?」 

僧侶「えと、私の…ワガママなんですけど、その…最後列は…怖いですぅ」 

女勇者「!」 

僧侶「ご、ごめんなさい!こんなワガママ言っちゃって…」 

女勇者「あはは、良いよいーよ。じゃあ私の後ろに来てくれる?」 

僧侶「ご、ごめんなさい…」オロオロ 

女勇者「戦士くん、最後列お願いしていいかな?」 

戦士「うむ。引き受けよう」 

女勇者「ありがと。頼りになるねっ。後ろからの襲撃は任せるよー」 

戦士「了解した」 

女勇者「よーし、もうそろそろ最奥部だね。みんな、戦闘の準備しておいてね」 

戦士「なに?もう最奥部なのか?」 

女勇者「うん!迷わなければ案外短い洞窟だからね」ニコ 

戦士「……」 



戦士(俺達は……必要なのか…?) 

女勇者「はい、とーちゃく!皆、準備はいーい?」 

僧侶「だ、大丈夫ですぅ」びくびく 

魔法使い「はい。今までほとんどMPを使う機会もなかったので」 

戦士「……」 

女勇者「戦士くん?だいじょうぶ?」 

戦士「う、うむ。では行こう」 

女勇者「そだね!さっさと済ませちゃおう」ニコ 


ギィ…… 

バタン!! 

魔物「なんだ貴様らは?」 

女勇者「君を退治しにきたよ。近くの村の人が困ってるからね!」 

魔物「ふん、人間ごときが私を倒せるとでも?」 

女勇者「残念だけど、普通の人間じゃないんだよー」ニコニコ 

魔物「……ふん。どう違うのか見せてもらおう」 

女勇者「え?君、そんなに弱かったっけ?」 

魔物「は?」 



ずるっ… 

どしゃぁぁ…… 



女勇者「あーあ…真っ二つになっちゃったね」 

戦士「な…?い、いつ斬ったんだ…?」 

僧侶「ぅ…!」 

魔物を倒した! 



僧侶「ぅ、う…」 

女勇者「僧侶ちゃん?どうしたの…?」 

僧侶「うえぇ…!!!」びしゃびしゃびしゃ… 

女勇者「…そ、僧侶ちゃん…」 

魔法使い「……大丈夫ですよ、僧侶さん。さぁ、戻りましょう…」 

戦士「そうだな。勇者殿、これで返り血を拭くと良い。そのままでは気持ち悪いだろう」 

女勇者「え?あ、うん…ありがとう」 

戦士「……さぁ、行くぞ二人とも」 

女勇者「…」ふきふき 



女勇者「…」ふきふき 

【宿屋】 

女勇者「……血が、取れないなぁ」 

僧侶「…」 

魔法使い「…」 

女勇者「…もう。どうして魔物の血ってこんなに取れにくいんだろう」 

女勇者「…ねぇ?」 

魔法使い「そ!そうですね」 

僧侶「…魔法使いさん。大丈夫、もう介抱は結構です…楽になりました」 

魔法使い「…そうですか?」 

女勇者「僧侶ちゃん、ごめんね…?許してね?」 

僧侶「いえ…私こそ、すみません…」 

魔法使い「僧侶さん、お風呂に行きましょうか。少しは気分も楽になりますよ」 

僧侶「…そうですねぇ。そうしましょう」 

女勇者「あ、お風呂私も行きたいなぁ。良い?」 

僧侶「はい。もちろんですよぅ。皆で行きましょう」ニコ 

魔法使い(僧侶さん…) 

女勇者「よし、じゃあ早速いこっ!」 

魔法使い「大丈夫ですか、僧侶さん…?」 

僧侶「へ?なにがですかぁ?」 

魔法使い「勇者様のこと、怖がっていたのに…」 

僧侶「…うん。大丈夫です。だって…」 

魔法使い「だって?」 

僧侶「勇者様は、悪くないじゃないですか」ニコ 

魔法使い「!」 

僧侶「さっきのは私が未熟だから、気分悪くなっちゃっただけで…」 

僧侶「それに…勇者様だって、望んで強くなりすぎた訳じゃないんですから」 

魔法使い「…そうですね。僧侶さんの言うとおりです」 



女勇者「二人ともー、早く行こうよぅ!」 

魔法使い「あ、はい!お待たせしました」 

【脱衣所】 

僧侶「ねぇ、勇者様」 

女勇者「うん?なぁに?僧侶ちゃん」 

僧侶「その…さっきはごめんなさい。私、勇者様の気持ちも全然考えずに…」 

女勇者「えへへ…ううん、もういいの。誰だってあんなの見たら気持ち悪いもんね」 

僧侶「…勇者様」 

女勇者「この辺の魔物だと、手加減も難しいんだぁ。後半になると全力で切れるんだけどね」 

僧侶「…勇者様。ループは、辛くないんですか…?」 

女勇者「うん…辛いよ。すごく辛い」 

魔法使い「投げ出したい…と、思わないんですか?」 

女勇者「えへへ、実は何回も思っちゃった。だけど…」 

僧侶「…」 

女勇者「私は、勇者に生まれたから」 

僧侶「勇者様…」 

女勇者「私がやらないと、困る人がたくさん居るもんね」 

女勇者「自分を犠牲に、なんてカッコいいものじゃないけどさ」ニコ 

女勇者「だけど、私しか居ないんだから私がやらなきゃ」 

魔法使い「…辛いですね」 

女勇者「うん。だけど平気。みんな居るもん。戦士くんも、僧侶ちゃんも、魔法使いちゃんも」 

女勇者「…普通の女の子になりたいって、思わなくはないんだけどね」 

ヌギ… 

ぬぎ… 

ぱさっ… 

魔法使い「う…」 

僧侶「ゆ、勇者様…その身体…」 

女勇者「ああ、これはねぇ。えへへ、何回も冒険してたらこんなんなっちゃった」 

僧侶「そ、その胸から太ももにかけてのおっきい傷は…斬られたんですか?」 

女勇者「そう。たしか3週目の時だったかな」 

魔法使い「火傷や凍傷…切傷や擦過傷…なにがあればそんな身体に…」 

女勇者「…うん。色々あったから」 

女勇者「やっぱり、気持ち悪いよね」 

僧侶「…………うわぁ……」 

魔法使い「…………」

女勇者「……ごめん、変なもの見せちゃったね」 

僧侶「いえ…」 

女勇者「……ごめん。本当にごめんなさい」 

魔法使い「そんな、勇者様が謝ることではありません…!」 

女勇者「…私、後から入るよ。二人とも、先に入っちゃって」 

僧侶「…いえ、一緒に…」 

女勇者「ううん。大丈夫。やっぱり私も、一人のほうが気兼ねなく入れるしさ」ニコ 

女勇者「じゃあ、私は部屋に戻ってるね」ニコ 

僧侶「ホントに、帰っちゃうんですかぁ…?」 

女勇者「ん。ちょっと外の風に当たってくるよ」 

魔法使い「……わかりました」 

女勇者「それじゃ、ごゆっくり!」 

トテトテ 

トテトテ 

バタン 

僧侶「……」 

魔法使い「…悪いことをしてしまいましたね」 

僧侶「……はい」 

トテトテ 

女勇者「…しょうがないよね。こんなの見せられちゃったら、誰だって」 

トテトテ 

女勇者「誰だって気持ち悪いよね。私だって気持ち悪いもん」 

トテトテ 

ガチャ 

バタン! 

女勇者「……私だって、一緒にお風呂なんて入りたくないもん」 

女勇者「えへへ、こんな醜い傷跡で…普通の女の子になりたいだなんて…」 

女勇者「笑っちゃうよね、ホント。あはは」 

女勇者「回復魔法(最大)…」 

ぱぁぁ… 

女勇者「もう、なんで治んないかなぁ?回復魔法(最大)!」 

ぱぁぁ… 

女勇者「回復魔法(最大)!!」 

女勇者「…治ってよ」じわ… 

女勇者「はぁ…もう良いや。もう良い。誰とも一緒にお風呂なんて入らないで過ごすよ」 

女勇者「……誰を恨んでも仕方ないことだよね」 

女勇者「今回の旅が無事に終わっても、また繰り返しになるのかなぁ」 

女勇者「……えへへ、なんだか今日は泣き言ばっかりだ」 

女勇者「だめだめ。私は勇者、しっかりしなくちゃね」

【風呂】 

かぽーん… 

魔法使い「ねぇ、僧侶さん」 

僧侶「はい?なんですか?」 

魔法使い「勇者様のあの傷…治らないんでしょうか」 

僧侶「…あそこまで深い傷は、きっと完全に治らないです。…いったい何があったんでしょうね」 

魔法使い「勇者様の仰ったことが本当なら、きっと過去の冒険で傷を負ったのでしょう」 

僧侶「…本当なんでしょうか」 

魔法使い「…どうでしょう。けれど、今日の勇者様の強さを見ると、それ以外に思いつきません」 

僧侶「もしかしたら、昔にすごい修行をしたとかじゃ…?」 

魔法使い「修行で、あそこまでの傷跡が残るでしょうか…?」 

僧侶「…」 

僧侶「もし本当の事だったとしたら…」 

魔法使い「?」 

僧侶「私達は、必要なんでしょうか?」 

魔法使い「!それは…」 

僧侶「このお風呂の件もですけど…私達が勇者様の枷になるんじゃあないですか…?」 

魔法使い「そうかも知れませんね」 

僧侶「……どうしたらいいんだろう?」 

魔法使い「……」 

僧侶「私ね?今日、勇者様の戦ってる姿を見て、ちょっと怖かったんです」 

魔法使い「それは、私も…きっと戦士さんも同じですよ」 

僧侶「魔物とはいえ、自分より弱いものを力でねじ伏せる…」

僧侶「それが、本当に正義の為の戦いなんでしょうか?」 

魔法使い「…勇者様の信じる正義なのでしょう。私達はそれについていくしかありません」 

僧侶「…ですよね。…私、どうかしちゃってるなぁ」 

魔法使い「無理もありません。今日の戦いを見ては…誰だって…」 

僧侶「…でも」 

魔法使い「…?」 

僧侶「あの傷を受け入れられなかった事は、私間違ってると思います…」 

魔法使い「…そうですね」 

僧侶「勇者様も、今までずっと戦ってきて、苦しい思いをしてるのに…」 

魔法使い「それを見て怖がってしまう私達は、本当の意味での仲間にはなれていないのでしょうね…」 

魔法使い「そろそろ、あがりましょうか。勇者様も待っているでしょうし…」 

僧侶「そうですね。…勇者様に謝らなくちゃ…」 

魔法使い「…私も、そうします」 

ざぱぁ… 

トテトテ 

トテトテ 

ガチャ 

トテトテ 

トテトテ 

僧侶「勇者様、気を悪くしてるでしょうか…?」 

魔法使い「…そうかもしれませんね。きちんと謝りましょう…」 

トテトテ 

ガチャ 

魔法使い「あら?勇者様の服が落ちて…」 

僧侶「ホントですね。勇者様、着替えたのかな?勇者様?」 

トテトテ 

女勇者「…回復魔法……回復魔法」 

僧侶「ゆ、勇者様…」 

女勇者「!」 

魔法使い「勇者様…」 

女勇者「ご、ごめん!気づかなかったよ。もうあがったんだね」 

僧侶「…ごめんなさい」 

女勇者「え?」 

僧侶「勇者様のお気持ちを考えずに…私、自分のことばっかりで…」 

僧侶「怖がることしかできなくって…勇者様の傷だって、好きで負ったわけじゃないのに…」 

女勇者「ううん、いいんだよ」ニコ 

僧侶「…勇者様」 

女勇者「こんなの、誰だって気持ち悪いよ。回復も効かない傷なんて…」 

僧侶「…」 

女勇者「だから、もう良いの。怖がらせちゃってごめんね」 

僧侶「そんな、勇者様は悪くありません…!」 

女勇者「じゃ、お風呂入ってくるよ!じゃね」ひらひら 
トテトテ 
バタン… 

僧侶「…許してくれない…ですよね」 

魔法使い「……」 

僧侶「仲間なのに、こんな溝ができちゃって…私のせいです…」 

魔法使い「勇者様は、私達を許さないのではなく…きっと」 

僧侶「え…?」 

魔法使い「きっと、ご自分でも自身を怖がっているんではないでしょうか…」 

僧侶「勇者様が、自分を怖がってる…?」 

魔法使い「なんとなくですが…。ループも、勇者様が望んでいるわけではないのでしょう?」 

僧侶「あ…」 

魔法使い「ご自分がどこまで強くなるのか、どんな傷を負うのかがわからなくて…」 

僧侶「そう…なのかもしれませんね」 

かぽーん… 

女勇者「…ふぅ。良い気持ち…」 

女勇者「やっぱり私は、こうやって一人でいるのがいいや…」 

女勇者「この旅が終われば、きっと皆とも別れることになるんだろうし」 

女勇者「…うん。もうこの事は忘れよう。私は頑張るだけ」 

女勇者「勇者なんだから。何回だって、世界を守るために頑張らなくちゃ…ね」 

女勇者「よし、そろそろ出よう。明日も早いしね」 

ざぱぁ… 

女勇者「…この傷も、この強さだって、私が今まで世界を救ってきた証なんだから」 

女勇者「誰から嫌われたって良いよ。私だけがわかっていれば良いもんね」 

トテトテ 

トテトテ 

ガチャ… 

【次の日】 

戦士「今日の目的地は、北の村だったか」 

女勇者「うん、そうだね!もうすぐ見えてくると思うよ」 

戦士「そうか。…む、魔物のようだ」 

女勇者「あ、ホントだ。よっと」 

ぶしゃあああ!!! 

魔物を倒した! 

女勇者「それでね?そこの村では…」 

戦士「……」 

【北の村】 

戦士「ここが、その村か…」 

僧侶「なんだか、皆忙しそうに働いてますね…」 

女勇者「そうなんだー。ここは土地が悪いからね、農作物が育ちにくいんだって」 

女勇者「今年は特にひどいらしくて…」 

魔法使い「そうなんですか。それで皆こうして働いているのですね」 

女勇者「うん。近くに町やお城もないしね」 

女勇者「それで、ここらへんに住む魔物が…」 



村人「きゃああああ!!!」 

女勇者「村の子供を攫ってっちゃうんだぁ…」 

僧侶「た、大変です!追いかけないと!」 

村人「あ、あの…!貴女方は勇者様ご一行ですか…?」 

女勇者「うん、そうですよ!」 

村人「つ、つい今しがた魔物が村にやってきて…!私の子供が攫われてしまったのです…!」 

女勇者「うん、任せて!すぐに助けてくるよ」ニコ 

村人「ああ…ありがとうございます…!」 

戦士「よし、勇者殿。すぐに向かおう」 

女勇者「そうだねっ。早く助けてあげないと!」 

僧侶「お母さん、ご安心くださいね。必ず助けてきますから…!」 

村人「ありがとうございます…!」 

【魔物の棲み処】 

女勇者「ここだね。前の洞窟よりは明るいけど、みんな気をつけてね」 

僧侶「はい…」 

魔法使い「あ、勇者様!前から魔物の群れが!」 

戦士「む!」チャキッ 

女勇者「ホントだ!結構多いね、皆気をつけて…!」 

戦士「勇者殿?剣を収めてどうするつもりだ?」 

女勇者「え?数が多いから魔法で片付けようと思って。いくよー」 

魔物「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」 

女勇者「即死魔法(最大)」 

どさどさどさ… 




魔物の群れを倒した! 

女勇者「よし、これで全部だね。…あ、魔法使いちゃん、危ない!」 

魔法使い「え?」 

魔物「ぐぎゃー!」 

ばしゅっ 

魔法使い「…う…ううぅ…!」 

魔物「ぐるるる…」 

女勇者「後ろにも居たんだ…気づかなかったよ。えいっ」 

ぐしゃああ!! 

魔物「がっ……」 



魔物を倒した! 

女勇者「魔法使いちゃん、だいじょうぶ?」 

魔法使い「つ…!すみません、腕に傷が…」 

女勇者「あ、血が出てるね。大丈夫、これくらいならすぐ治るよ」 

魔法使い「回復していただけますか…?」 

女勇者「うん。回復魔法(小)」 

魔法使い「…治った…。すみません、ありがとうございます」 

女勇者「ううん。全然いいよ。私も気づけなくてごめんね」 

魔法使い「勇者様の足を引っ張ってしまいました…」 

女勇者「へ?ううん、全然そんなことないってば!」 

女勇者「皆が居るから、私も頑張れてるんだしさ!ね?」 

魔法使い「…そうでしょうか。私は勇者様の邪魔になっているようにしか…」 

女勇者「そんな事ないんだよ?ホントに。私だって、なんでも出きるわけじゃないんだから」 

魔法使い「…」 

女勇者「一人で旅なんて、できないんだからさ」 

女勇者「ほら、先を急ごう?もうすぐ攫われた子供の部屋だよ」 

戦士「…勇者殿」 

女勇者「ん?」 

戦士「勇者殿は、以前一人で旅をしたことがあるのか?」 

女勇者「うん、一回だけね。4週目だったかな?」 

女勇者「?それがどうかした?」 

戦士「…いや、いい。先を急ごう」 

女勇者「…?」 

戦士「ここが、子供が捕らえられている場所か」 

女勇者「うん、そうだね!早く助けてあげよう!」 

ガチャ… 

きぃぃ… 

バタン!! 



子供「!!助けて!お姉ちゃん、助けてぇ!!」 

魔物「…!!勇者か…!」 

女勇者「そうだよ。さぁ、その子を返してくれる?」 

魔物「そうはいかん…」 

僧侶「なぜ…なぜその子を攫ったんですか?!」 

魔物「ふん、わかりきった事を。食べさせるためだ」 

僧侶「食べさせる…?」 

魔物「貴様らとて同じだろう。自らの飢えを凌ぐため、他の命を絶つことなど」 

僧侶「!」 

魔物「さぁ…取り返したくばかかって来い。俺を殺せば子供は取り返せるぞ」 

僧侶「食べさせるって事は…まさか、自分の子供に…?」 

魔物「貴様らの知るところではない。早くしなければ人間の子供の命はないぞ」 

僧侶「そんな…!」 

女勇者「よし、行くよ!」 

僧侶「!」 

女勇者「…っせい!!」 

女勇者の攻撃! 
魔物の腕が切り落とされた! 

魔物「が…!」 

女勇者「えいっ!」 

ぐしゃっ 

ずばっ 

がこっ 

ずばぁん!! 

魔物「…っ……っ」 

僧侶「…勇者…さま…」 

女勇者「次で終わりだね!」 

魔物「か…ひゅ……ひゅ…!」 

僧侶「…!!」 

女勇者「せいっ!!!」 

ぐしゃぁぁぁ… 



魔物を倒した! 

女勇者「よし、と。親はこれで終わりだね」 

村の子供「お、お姉ちゃん……」ビクビク 

女勇者「よしよし、かわいそうにね。大丈夫だった?」 

村の子供「…うん…」 

女勇者「怖かったでしょ?さぁ、お姉ちゃんと一緒に帰ろう?」 

村の子供「……」 

女勇者「さぁ?行こう?」 

村の子供「ひ…」 

女勇者「?」 

村の子供「びぇええん!!」 

女勇者「あ…」 

僧侶「大丈夫、怖くないですからね?大丈夫大丈夫…」なでなで 

村の子供「ひ、ひぐ…うえぇぇぇん…」 

僧侶「…お姉ちゃん達と一緒に帰りましょうね?もう怖くないからね」 

村の子供「…うん……」 

女勇者「ねぇ…私、怖いかな?」 

魔法使い「勇者様…」 

女勇者「…だって、魔物倒さないと、この子は食べられちゃったんだよ?」 

魔法使い「そうですね。…勇者様は間違っておりませんよ」 

女勇者「…じゃあ。どうして私が怖がられるの…?」 

魔法使い「……」 

女勇者「私だって…好きでこんなに強くなっちゃったわけじゃないのにね?」 

魔法使い「それは…」 

女勇者「えへへ…いけないいけない。また愚痴こぼしちゃったね」 

女勇者「……しょうがないのに」 

女勇者「皆、悪いけど少しだけ外に出ててくれる?」 

戦士「む?勇者殿は戻らないのか?」 

女勇者「あそこの物陰に魔物の子供が隠れてるんだ」チラッ 

戦士「…勇者殿、本当に子供の方も倒すのか」 

女勇者「…このまま放っておいたら、魔物の子供は村を襲うかもしれないよ?」 

女勇者「しかも今度は、親を殺された恨みで人を襲うかもしれない…」 

戦士「……」 

女勇者「倒しとかないと…ダメだと思うんだ。戦士くんはどう思う?」 

戦士「勇者殿の………」 

女勇者「…私の?」 

戦士「勇者殿の、好きにしてくれ」 

女勇者「…!」 

女勇者「わかったよ…。じゃあ戦士くん、みんなを連れて外に出ていてくれる?」 

戦士「…了解した」 

女勇者「……ごめんね?」 

戦士「…それが、勇者殿の正義なら…何も言わん」 

女勇者「……」 

戦士「さぁ行こう、魔法使い、僧侶。子供をしっかり見てやってくれ」 

僧侶「は、はい!」 

魔法使い「わかりました。行きましょう」 

子供「…うん」 

トテトテ 

ガチャ 

バタン!!! 

戦士「……」 

僧侶「戦士さん…勇者様だって、好きでやってるんじゃないんです。わかってあげて…」 

戦士「わかっている。勇者殿が間違っていないことはわかっているんだ」 

僧侶「…勇者様はもう、5回も同じことを繰り返しているのですから…」 

戦士「…そうだな。もう慣れてしまっているのかもしれない」 

魔物『ぐがぁぁぁ!!!!』 

ばしゅっ 

魔物『が…う………っ』 

どさっ 

戦士「……」 

戦士「我々は……」 

魔法使い「…?」 

戦士「本当にこの旅に必要なのだろうか」 

魔法使い「戦士さん、そんなこと…」 

戦士「俺は正直、勇者殿の正義についていく自信がない」 

僧侶「…」 

戦士「強さなどもってのほかだ。俺たちは勇者殿の足手まといにしかならない」 

僧侶「そうですけど…でも、私たちももっと強くなれば…」 

戦士「……俺はこれ以上、耐えられそうもない」 

僧侶「……」 

ガチャ… 

女勇者「お待たせぇ…ごめんね」 

戦士「終わったのか」 

女勇者「うん。…かわいそうだけど、仕方ないよね」 

戦士「……そうだな。さぁ戻ろう」 

女勇者「うん!」 

戦士「それから勇者殿、村に戻ったら話がある」 

女勇者「へ?なんだろう?」 

戦士「とても重要な話だ。帰ったら話そう」 

女勇者「…うん?わかった…」 


ざっざっざ 

【北の村】 

村の子供「ままぁ!」 

村人「あぁ…私のかわいい坊や…!!」 

村の子供「ママぁ〜〜!!!」 



女勇者「うんうん。よかったね。さぁ戦士くん、大事な話をしに行こうか」 

戦士「うむ。とりあえず宿に戻ろうか」 

女勇者「そうだね。立ち話もなんだし、疲れたしね」 

戦士「そうだな」 

【宿屋】 

女勇者「…で…お話ってなに?」 

戦士「…勇者殿。単刀直入に言う」 

女勇者「うん…」 

戦士「ここで、パーティーを解散しよう」 

女勇者「…!」 

戦士「…どうだろうか」 

女勇者「…どうして?」じわ… 

戦士「…すまない。俺たちが未熟なせいだ」 

女勇者「そんなことないよ?」 

戦士「先ほどの皆と話し合ったのだが…」 

僧侶「…」 

戦士「俺たちはもう、勇者殿についていくことができない」 

女勇者「……どうして……」ぽろぽろ 

戦士「勘違いしないでほしい…。勇者殿が間違っているのではないんだ」 

女勇者「…う……」ぽろぽろ 

戦士「俺たちが心も強さも未熟であるがゆえに、勇者殿の正義についていけないのだ…」 

女勇者「そんな事ないよ……そんなことないのに…」ぽろぽろ 

戦士「…勇者殿は間違ってはいない。勇者殿の強さも正義も、間違ってなどいない」 

戦士「さっきの魔物にしてもそうだ。割り切らねばならぬのだろう」 

戦士「…勇者殿の言ったとおり、仕方ないのだ」 

女勇者「じゃあ…!」 

戦士「俺たちは勇者殿のように強くない。もちろん、精神力も然り」 

戦士「…俺たちでは、勇者殿の枷にしかならん…」 

女勇者「いやだ…!!やだよぅ…!!」ぽろぽろ 

女勇者「見捨てないで……!一緒に来てよ…!!」ぽろぽろ 

戦士「すまない…」 

女勇者「皆が…みんないないと、わたし…ま、魔王なんて…倒せないよぅ…」 

戦士「勇者殿は、一人で旅をしたこともあるのだろう…?」 

女勇者「…!」ぽろぽろ 

女勇者「でも…でも、みんないないと……」 

女勇者「またひとり…?ねぇ、わた、し、また…ひとりでいくの…?僧侶ちゃん…?」ぽ 
ろぽろ 

僧侶「…ごめんなさい」 

女勇者「まほうつかいちゃん…も…?」 

魔法使い「申し訳ございません…」 

女勇者「…うぅ…うぐ…」 

女勇者「うあぁぁあああん!!」ぽろぽろ 

戦士「それでは…ここでお別れだ」 

女勇者「皆…おねが…わたし…わたしを、おいていかないで…」 

戦士「勇者殿」 

女勇者「ひぐ……え、えぇん…」 

戦士「仲間として最後にひとつだけ。勇者殿は間違っていない」 

女勇者「…え…」 

僧侶「そうですよぅ。勇者様の強さは、きっと世界を救うために必要」 

僧侶「勇者様の強さは正義です。間違ってなんかいません…」 

女勇者「強さ…正義…」 

魔法使い「勇者様は、ご自分の信じる正義を貫いてください」 

魔法使い「そして…勇者様の正義についていけない私たちをお許しください…」 

戦士「…行こう」 

女勇者「…行っちゃうの?本当に行っちゃうの…?」 

戦士「…すまん」 

僧侶「…ごめんなさい」 

トテトテ 

女勇者「……う…ぐ…」ぽろぽろ 

魔法使い「……失礼します」 

トテトテ 
トテトテ 

女勇者「…戦士くん…待って…」 

戦士「勇者殿…勇者殿は自分の強さをしっかり持っていてくれればいい」 

女勇者「…待って」 

戦士「では、失礼する」 

女勇者「待って」 

ガチャ 
バタン!! 

女勇者「……」 

女勇者「……いけない。泣いてちゃだめだね」ぐしぐし 

女勇者「私は勇者なんだから。こんなところでメソメソしてちゃダメなんだ」 

すっ 

女勇者「強くなろう」 

女勇者「皆も言ってくれたじゃない。私の強さは正義だって」 

女勇者「一人でも泣かないくらい、強くならなきゃ」 

女勇者「一人で誰にも負けないくらい、強くならなきゃ…」 

女勇者「私は強くなるよ。一人で世界中の魔物と戦っても負けないくらい」 

女勇者「……強くならなきゃ」 

トテトテ 

ガチャ 

女勇者「この村にももう留まる必要もないな」 

村人「あの、勇者様…!!」 

女勇者「あ…あの子のお母さん」 

村人「本当に…ありがとうございました…!!」 

女勇者「いえ…お子さんも無事でよかったです」 

村人「はい、おかげさまでこの子も…本当になんとお礼を言っていいか」 

村の子供「…」こそ 

女勇者「…」ニコ 

村の子供「お姉ちゃん」 

女勇者「うん?なぁに?」 

村の子供「ありがとう…」 

女勇者「!」 

村の子供「お姉ちゃんのおかげで、僕…助かったんだよね?ありがとうね」 

女勇者「…」じわ 

村の子供「お姉ちゃんのこと、怖いなんて言ってごめんなさい」ぺこ 

女勇者「ううん、いいんだよ。怖かったもんね」ぽろ… 

村の子供「お姉ちゃん、大丈夫?泣かないで?」 

女勇者「ごめんね……お姉ちゃんは、間違ってないよね?」ぽろぽろ 

村の子供「うん!だって、お姉ちゃんは正義の味方でしょ?僕を助けてくれたもん」 

女勇者「えへへ…ありがとう」 

すっ 

すたすた… 

村人「勇者様、もう出発されるのですか?せめて一晩でも…」 

女勇者「ううん、いいんです」 

村人「…しかし、お礼もしないまま」 

女勇者「私が間違ってないって教えてもらっただけで十分です」 

女勇者「では、さよなら!」 

村人「勇者様…」 

村の子供「お姉ちゃん!ありがとねー!ばいばーい!」ぶんぶん 

女勇者「…」ニコ 



すたすた 

すたすた 

【数日後・中盤】 

女勇者「…」 

魔物「…が……ぁ…」 

ずしゃああ!!! 

ぐちゃっ!! 

ぐさっ! 




魔物を倒した! 
女勇者はアイテムを手に入れた! 

女勇者「よし、これで…攻撃力をあげるアイテムも揃ったな」 

女勇者はアイテムを使った。 

攻撃力が4上がった。 

女勇者はアイテムを使った。 

攻撃力が6上がった。 

女勇者はアイテムを使った。 

攻撃力が3上がった。 

女勇者はアイテムを使った。 

攻撃力が4上がった。 

女勇者「……」ばりぼり… 

・ 
・ 
・ 

女勇者「まだまだ…強くならないとね」 

女勇者「あ、次の街はあそこかぁ…」 

女勇者「……ま、大丈夫かな」 

ざっざっざ 

【鉱山の町】 

女勇者「…相変わらずだな。ひどい有様…」 

女勇者「とりあえず町長のところに行かないとね」 

トテトテ 

町長「あなたが…勇者様ですか」 

女勇者「うん、そうだよ。町を見てきたけど、ひどいね…」 

町長「…先月から、このような状態なのです」 

町長「鉱山に魔物が住み着いてしまい、我々は生活することすらままなりません」 

女勇者「みたいだねぇ」 

町長「そればかりか、鉱山から毒が溢れて…町の人々はどんどん弱ってしまいました」 

町長「しかし、魔物のせいでその毒が噴出す場所に行くこともできないのです…」 

町長「…どうか、私たちをお助けください」 

女勇者「うん、任せて!」 

町長「おお、ありがたい…!それでは、この毒消しと…」 

女勇者「あ、それはいいよ」 

町長「は?しかし、鉱山の中に入るのでしたらこれは必要かと…」 

女勇者「私は平気だから、町の弱ってる人に使ってあげて?貴重な毒消しなんでしょ?」 

町長「それはそうですが…あの毒は人が直接吸って耐えられるものではありません。勇者様のお体が…」 

女勇者「えへへ、私は平気。毒くらいどうってことないから」 

町長「……勇者様がそうおっしゃるのであれば…」 

女勇者「じゃあ、行って来るね!すぐに退治してくるよ」 

【鉱山】 

女勇者「やっぱり人が開通しただけあって明るいね」 

女勇者「明かりがついてるのはありがたいなぁ」 

魔物「ぐぎゃぎゃぎゃ」 

ズバァッ! 

女勇者「たしか…あそこを右に曲がったところに経験値の高い魔物がいたな」 

女勇者「倒しに行かなきゃ」 

ざっざっざ 

ざっざっざ 

魔物が現れた! 

魔物「ぐるる…!!」 

女勇者「よし…まずは威嚇してっと」 

ガンッ!! 

魔物「!」ビクッ 

女勇者「これで勝てないことはわかったでしょ?さぁ、早くしてよ」 

魔物「……」じりじり 

女勇者「?」 

魔物は逃げ出した! 
女勇者は逃がさない! 

女勇者「おっと、違うでしょ?ほら、早く仲間を呼んでよ」 

魔物「…がるる…!!」 

魔物は仲間を呼んだ! 
魔物は仲間を呼んだ! 

女勇者「そうそう。そうやってもっと私を強くしてよ」 

魔物は仲間を呼んだ! 
魔物は仲間を呼んだ! 

女勇者「えへへ…これくらいかな?」 

女勇者の攻撃。 
魔物の群れを倒した! 

女勇者「けほっ…!…ちょっと毒が強くなってきたかな」 

女勇者「あの奥に今回の元凶がいるんだっけ。…もう倒してない魔物もいないし」 

女勇者「よし、ちゃっちゃと倒しちゃおうか」 

ガチャ… 

バタン! 

魔物「!」 

女勇者「久しぶりー。6回目だね。相変わらず怖い顔」 

魔物「な…生身の人間がどうしてここに」 

女勇者「そんなことはどうでも良いよ。君は経験値いくつだったっけ?」 

魔物「馬鹿な…ここの毒に人間が耐えられるわけがない!」 

女勇者「ああ、そういえば途中で毒を防ぐ防具があったね。これの事でしょ?」 

魔物「そ、その防具をつけずに…どうして生きている!?」 

女勇者「えへへ、なんでだろうね?自分でもよくわかんないよ」 

魔物「……貴様、人間か…?」 

女勇者「さぁ?そんな事はどうでもいいよ!早く戦おう!」 

魔物「…ふん、貴様ごときに俺g 

女勇者は全力で魔物に殴りかかった。 
魔物は鈍い音を立てて砕け散った。 

女勇者「ふぅ。あ、また…返り血が…」 

女勇者「また装備買わないといけないな…」 

女勇者「お金は余るくらいあるから…別に良いんだけどね…」 



ざっざっざ 

【鉱山の町】 

スタスタ 

町人「……ひそひそ」 

女勇者「?」 

すたすた 

町人「…あれが……」ひそひそ 

女勇者「なんだろう?皆私を見てなにか言ってる…?」 

すたすた 

すたすた 

ガチャ 

女勇者「町長さん。今戻りましたよ」 

町長「お、おお…。お早いお帰りですな。お体は大丈夫ですか」 

女勇者「うん、なんともないよ」ニコ 

女勇者「元凶も倒したし、毒も塞いできたからもう心配ないと思うよ」 

町長「ありがとうございます…」 

女勇者「町長さん。どうかした?町の皆も様子がおかしかったけど」 

町長「…あなた様は、いったい何者なのですか?」 

女勇者「へ?」 

町長「毒を防ぐ装備もなしに平然と鉱山に入り、すぐさま魔物を倒して帰ってくる…」 

町長「…こんな事を言うのは失礼なのですが…」 

女勇者「…うん」 

町長「町の者はみな、おびえております…」 

女勇者「そっかぁ。うん…ごめんね、怖がらせちゃって」 

町長「いえ、そんなことは…ただ、あなた様が」 

女勇者「いいんだよー。えへへ、私は感謝されるために戦ってるんじゃないし」 

町長「すみません…感謝はしております」 

女勇者「ふふ、どーも!じゃあ私は先を急ぐよ」 

町長「もう発たれるのですか?」 

女勇者「うん。私がいたらみんなこわがるでしょう?」 

町長「…それは……」 

女勇者「じゃあ、また。元気でねー」 

町長「……」 



ざっざっざ 

【数日後・終盤】 

女勇者「いよいよ終盤だなぁ。もうすぐ終わりか…」 

女勇者「あとは…あ、攻撃力だけか」 

女勇者「レベルももうあがらないし、攻撃力さえ上がれば…」 

女勇者「……なにか、変わるのかな?」 

女勇者「皆、今頃どうしてるんだろう?」 

女勇者「普通に暮らしてるのかな?」 

女勇者「……私、強くなったかな…?」 

【塔】 

女勇者「あぁ、ここかぁ…」 

女勇者「世界で一番高い塔、か。最強の剣があるんだよね」 

女勇者「…別にいらないけど、一応行こうかな」 

女勇者「攻撃力をあげるアイテムがあった気もするし」 

ざっざっざ 

女勇者「ここの魔物は強いなぁ…」 

ズシャッ! 

女勇者「もう倒しても意味ないから、放っておきたいけど」 

ぐしゃ 

女勇者「…襲ってくるから、倒すしかないよね」 

ばしゅ! 

女勇者「はぁ…どうしてこんなに多いんだろう。やっぱり最強の剣を取らせないため?」 

魔物「キシャァァァ!!」 

女勇者「もういいや。好きに攻撃すればいいよー」 

女勇者「えへへ…どうせ当たっても痛くないしね」 

どかっ 
どかっ 
ガブッ…! 

女勇者「最上階か…」 

ガブッ 

女勇者「懐かしいなぁ、あの剣。1週目は私が装備させてもらったっけ」 

女勇者「2週目からは戦士くんが装備して…」 

女勇者「あれを持たないまま魔王を倒した事もあったな」 

女勇者「1週目か…本当にいろいろあったな」 

ボカッ! 

女勇者「大怪我したり…勇者しか使えない魔法の事とか」 

女勇者「えへへ…あの頃は私も弱くて…皆にいろいろ心配かけてたな」 

女勇者「あの頃は、こんなことになるとは思いもしなかったのに」 

女勇者「…感傷的になってもしょうがないか。早く剣を取ろう」 

すっ 

シャキン! 

女勇者「……何回見てもきれいな剣だな」 

女勇者「…今の私に、これを使う資格があるのかなぁ…?」 

女勇者「……装備しても攻撃力変わらないし…」 

女勇者「そうだ。うん。…そうしよう」 

女勇者「…いつか、私と一緒に戦ってくれる仲間に出会えたら」 

女勇者「そしたら、そのときは…その仲間にこの剣を使ってもらおう」 

女勇者「…それまで、この剣は必要ないや」 

女勇者「よし、戻ろう。種も手に入れたし…って、ここ最上階だっけ」 

女勇者「うーん…。階段で降りるのも面倒だなぁ」 

女勇者「いいや、飛び降りちゃおう。ちょっと痛いかも知れないけど…」 

がぶっ! 

魔物「ぐるるる…」 

女勇者「そういうわけだから、魔物さん達、離してくれる?」 

魔物「ぐぎゃー!!」 

女勇者「もう…しょうがないなぁ。できれば倒したくないのに」 

ぐしゃぁ!! 

魔物の群れを倒した! 

女勇者「よっと」ぴょん 

女勇者「最後の町か…別に補給もしなくて良いし、立ち寄らなくてもいいかな」 

女勇者「皆が居たら立ち寄って休憩もしたんだろうけど…」 

女勇者「…私だけなら必要ないよね」 

トテトテ 

トテトテ 

【魔王の城】 

女勇者「懐かしいなぁ。この綺麗なお城も」 

女勇者「…長い通路…整った造り…」 

女勇者「…これの目的を教えてくれたのは、最初の戦士くんだったっけ」 

女勇者「そうだ、もうすぐ…あの子が私を襲いに来るんだった」 

ツカ…ツカ… 

魔物「お久しぶりですね」 

女勇者「うん、久しぶり」 

魔物「あなたに復讐するこの日を、夢にまで見ましたよ」 

魔物「父を殺され、町を滅ぼされた恨みを、今ここで晴らしましょう」 

魔物「私の町を滅ぼし、今もまだのうのうと世界平和を謳い続けるあなたを」 

魔物「世界中の人々が許しても…あなたが自分を許しても」 

魔物「私が、許させはしません」 



コツ…コツ… 

女勇者「…戦うの?」 

魔物「もちろんです。貴女を倒すために、私はこの姿になったのですから」 

魔物「さぁ、はじめましょう」 

女勇者「そうだね…」 

女勇者の攻撃! 

ズバァァァン!!!! 

魔物「…………」 

どさっ 

魔物「    」 



魔物を倒した。 
経験値10032を獲得。 

女勇者「……これが正義か…」 

トテトテ 

トテトテ 

女勇者「もう終わらせよう…早く魔王を倒そう…」 

魔王の側近「おや、お一人ですか」 

女勇者「…うん。道を空けてくれる?」 

魔王の側近「くっくっく。そういうわけにはいきません…」 

魔王の側近「いやはや、まさか一人で来られるとは。旅立つときはお仲間も一緒だったのでは?」 

女勇者「うん、まぁねー。見捨てられちゃった」 

魔王の側近「ふふ、なんと非情な。絆とやらが貴女達人間の武器だったはず」 

魔王の側近「貴女のお仲間は正義を捨ててしまわれましたか」 

女勇者「違う!」 

勇者「…皆は、私について来れないから…」 

魔王の側近「貴女をお見捨てになったと?ふふ、聞こえはいいですが、所詮逃げたのでしょう」 

女勇者「……もう、黙って」 

魔王の側近「くっくっく。貴女も哀れな。救ってやる人間から疎まれ、恐れられ…」 

女勇者「…いいんだよ。それでも私は戦うから」 

魔王の側近「ほう。何のために?」 

女勇者「強くなって、あなた達を倒すために…!」ぎり 

魔王の側近「強さが正義だというのですか?」 

女勇者「そうだよ。悪い?」

魔王の側近「まさか。正論ですよ、あなたの仰ることは」 

女勇者「…」 

魔王の側近「あなたのしていることはなにひとつ間違ってはいない」 

女勇者「そうだよね。これが…私の正義だよ」 

魔王の側近「力で弱者をねじ伏せる…勝ったほうが正義なのですから」 

女勇者「…君を倒すよ」 


魔王の側近「くっくっく。それも良いでしょう。それが貴女の正義なら」 



女勇者の攻撃。 
魔王の側近は砕け散った。 

女勇者「…私は強くなった」 

女勇者「なのに、なに?」 

女勇者「どうしてみんな私を避けるの…?」 

女勇者「戦士くん達は間違いじゃないって言ってくれた」 

女勇者「…言ってくれたのになぁ」 

女勇者「もう、なにがなんだか…!!」 

【魔王の間】 

ぎぃぃ… 

バタン! 

魔王「来たな、勇者よ」 

女勇者「……」 

魔王「…これが勇者か?まるで死んだような目だ」 

女勇者「……」 

魔王「ふん…人限共も哀れな。こんな目をした小娘に頼るしかないのか」 

女勇者「…」 

魔王「来ないのか?」 

女勇者「…魔王、君は強いよね」 

魔王「…?」 

女勇者「君が私より強ければ、悪が正義なのかな」 

魔王「泣き言か…つまらん」 

女勇者「…」 

魔王「拍子抜けだ。どのような者が挑んでくるかと思えば…」 

魔王「終わらせよう」 



魔王の攻撃! 

ぐしゃああああ!!!! 

女勇者は1のダメージを受けた。 

女勇者「…痛くない…」 

魔王「なに…!?」 

女勇者「ねぇ、もっと本気でやって?」 

魔王「馬鹿な…!!」 

女勇者「君の正義を見せてよ」 

魔王は両手を掲げ、邪悪な闘気を集め始めた。 
魔王の両手が黒く輝く! 

魔王の攻撃! 

ぶぉん!!!! 

女勇者は1のダメージを受けた。 

女勇者「ねぇ?どうしたの?力こそが正義なんだよ?」 

女勇者「君が勝てば人間を滅ぼせるのに、どうして勝たないの?」 

魔王「こんな事が…」 

ぐしゃ!ドカァ!!ばきっ!! 
女勇者は1のダメージを受けた。 

女勇者「……もういいよ。もういい」 

女勇者「……これが正義」 

女勇者の攻撃! 

女勇者は拳を強く握り締め、おもいきり魔王をたたきつけた! 

どんっ!!!! 

魔王「…っ!!」 

魔王の右腕がちぎれ飛ぶ!! 

魔王「ぐあああああああ!!!!!」 

女勇者「これが正義なの?」 

どかぁ!!ぐしゃっ!!!ぶしゅぅ…!! 

魔王「あ…あぁ…がぁ……!!」 

ぐしゃっ 



魔王を倒した。 

女勇者「これが正義か…!」 

ぐしゃっ!! 

どかぁっ!! 

ぶしゃあ!!! 

ぼぐっ!! 

女勇者「これが私の求めていた正義かぁ…!」 

ぶちゃ!!! 

ぐちゃ…!! 

ぐち…! 

ぴちゃ…… 

ガン!!!!! 

女勇者「こんなものが…正義なんだ…」 

女勇者「終わっちゃったな…6週目も…」 

魔王は倒れ、世界に光が戻っていく。 

女勇者「これで世界は平和に…」 

世界中の魔物は消滅し、人々は魔物の影に怯えることはなくなる。 

女勇者「…平和な世界か…」 

魔王の城は大きな音をたてて崩れ始めた! 

女勇者「…疲れたなぁ。このままここで逃げないでいれば、私も一緒に…潰れられる 
かな」 

魔王の間の天井が崩れ、女勇者の頭上に落ちてくる! 



ごしゃ… 

女勇者「えへへ、そんなわけないよね」 

女勇者「魔王の攻撃が痛くないのに、こんなので潰れられるわけ…」 

女勇者「……」 

女勇者「…この装備も、魔王の返り血で真っ赤っかになっちゃった」 

女勇者「まぁいいや。もう新しい防具を買う必要もないし」 

女勇者「……王様に報告しにいこう。そして…」 

女勇者「ママに会いに行こう…。ちゃんと帰ったよって」 

女勇者「ただいまって、言いに行こう」 



女勇者は、瓦礫と化した魔王の城を後にした。


【城】 

女勇者「…勇者、ただいまもどりました」 

王様「おお、戻ったか…!よくぞやってくれた…!」 

女勇者「…」 

王様「…勇者よ。どうしたのだ…その顔は一体……」 

女勇者「え…?」 

王様「……まるで悪魔のような…顔になっておるぞ」 

女勇者「…!」 

王様「…疲れておるのかも知れんな。ゆっくりと休むといい」 

女勇者「ゆっくり、休んでいいんですか…?」 

王様「も、もちろんだ。さぁ…もう下がりなさい」 

女勇者「…」ぺこ 

女勇者(…王様も、私を怖がってる…) 

【城下町】 

女勇者「…」ふら…ふら… 

町人「…ひそひそ」 

町人「あれが…世界を救った勇者様?」 

町人「なんだかおっかないな…死んでるみたいな目をしてる」 

町人「血走ってるし…それにあの服も血まみれ…」 

町人「……魔物をたくさん殺してきたんでしょうね…」 

町人「…でも、英雄よ。感謝しなくちゃ」 

町人「だけど、魔王が居なくなったらら勇者様は怖いだけだよね…」 

女勇者「…」ふらふら 

女勇者「…」ふらふら 

女勇者「!」 

女勇者「あれは…」 


戦士「……」 

僧侶「ゆ、勇者さま…?」 

魔法使い「……」 

女勇者「みんな、ただいま…。ちゃんと魔王倒してきたよ」ニコ 

戦士「う…うむ」 

僧侶「勇者様…」じり… 

魔法使い「…ひぃ」 

女勇者「……ありがとうね。みんな」 

戦士「…勇者殿」 

女勇者「うん?」 

戦士「……すまなかった」 

女勇者「……えへへ」ニコ 



ふらふら 

【勇者の家】 

ふら…ふら… 

ガチャ 

女勇者「…ママ。ママ、帰ったよ」 

母「ひ!?ゆ、勇者…!?」 

女勇者「ママ、ただいま…」 

母「勇者…どうしたの?大丈夫…?」 

女勇者「うん。ママ、魔王倒してきたよ?ちゃんと平和になった?」 

母「……きっと、世界は平和になったわ。でも…」 

女勇者「…?」 

母「あなたは…?どうしてそんな悲しい顔をしているの…」 

女勇者「わかんない。もうわかんなくなっちゃった…」 

母「…勇者?」 

女勇者「これは…私の望んだ正義じゃない…私が望んだのは、こんなんじゃないのに…!」じわ 

母「勇者…つらかったのね。でもあなたはよく頑張ったわ」ぎゅ 

女勇者「…ママ。ママぁ…どうして…」ぽろぽろ 

母「?」 

女勇者「どうして私を勇者に生んだの…?」ぽろぽろ 

母「!!」 

女勇者「………あ」 

女勇者「ご、ごめんなさいママ…!!」 

母「いいえ…私がいけないの。ごめんなさいね…」 

女勇者「………ごめんなさい」 

母「……勇者」 

女勇者「結局、なんだったの?私…」 

女勇者「強くなったんだよ?私、すごく強くなった…なのに…」 

母「勇者、もうお休みなさい。…きっと疲れているんだわ」 

女勇者「…うん」 

女勇者「ママ、私もう寝るね?」 

母「ええ。そうしなさい…」 

女勇者「最後に一個だけお願い聞いてくれる…?」 

母「…なぁに?言ってごらんなさい?」 

女勇者「『おかえりなさい』って…『お疲れさま』って言ってほしい…」 

母「…おかえりなさい。お疲れ様」 

女勇者「うん。ありがとう。…これで、もう一回頑張れるよ」ニコ 

母「?」 

女勇者「今度こそ、本当の正義を…本当の強さを見つけるからね、ママ」 

女勇者「だから…明日もやさしく起こしてね」 

母「??もちろんよ?」 

女勇者「じゃあ…おやすみなさい」 


母「ええ。おやすみなさい…」 

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【SCENARIO】   ○○ ○○ 

【WRITER】   ○○ ○○ 

【CHARACTER DESIGN】   nanashi 

【SPECIAL THANKS】   VIPPER 

【PRESENTED BY】   ◆r3yksmPHg2 

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 ニア 強くてニューゲーム 
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    保存しないで終わる 

終わりです。 
中途半端な上に途切れ途切れな投下になってしまい申し訳ありませんでした。 
ループの中に、こんな旅もあったんだ程度に受け止めて下さい。 
保守支援thxでした 

出典:女勇者「強くてニューゲームっ♪」
リンク:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1241224682/l50

前編:女勇者「強くてニューゲームっ♪」 
リンク:http://moemoe.mydns.jp/view.php/17094

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女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」




母「起きなさい、勇者。私のかわいい勇者」 

ぽんぽん 

母「勇者、おはよう…」 

女勇者「あ、ママ。おはよー」 

母「……今日はあなたの8歳の誕生日……」 

女勇者「うん!ママ、プレゼントはなぁに?」 

母「ごめんなさい。あなたは今日、旅立たなければならないの…」 

女勇者「え?旅立つ?」 

母「…こんなに幼いこの子が旅立たなければならないなんて…」 

女勇者「ママ?泣かないで?…どうしたの?」 

母「あなたはこれから、魔王を倒して世界を平和にしなければならないの…」 

女勇者「?」 

母「ああ、せめて…せめて、この子がもう少し大きくなるまで待ってはくれなかったの…?」 


母「…ごめんなさいね、勇者。こんな母親を許してね?」 

女勇者「…?なんで謝るのママ。泣いちゃやだよ…」 

母「勇者に生んでごめんなさい…」ぽろぽろ 

女勇者「ううん。私、勇者に生まれてよかったよ。ママの子供でよかった」 

母「勇者…!」 

女勇者「今日旅にでるんだよね。だいじょーぶ!私がんばるからね!」

母「強い子ね…。あなた、娘はあなたに似てこんなに強い子に育ったわよ…」 

女勇者「私、がんばって早く帰って来るからね。ママ、待っててね!」 

母「…うん、うん。約束ね」 

女勇者「約束!ゆびきりげんまん、嘘ついたら針千本!」ぶんぶん 

母「ふふ、針千本ね。…さぁ、勇者。まずは王様に会って、酒場で仲間を見つけなさい」 

女勇者「わかったー!じゃあママ、行ってきまぁす!」 

【お城】 

王様「そなたが勇者か…。なるほど、聞いていた通り幼いな」 

女勇者「おーさま?」 

王様「いかにも。わしが王だ…」 

女勇者「はじめまして!私は勇者です」ぺこ 

王様「うむ。…そなたには申し訳ないと思っている」 

女勇者「おーさまも?」 

女勇者「どうしてー?王様、なんにも悪い事してないよ?」 

王様「…わずか8歳という若さで、旅に出て貰わなければならない。本当に済まない」 

女勇者「私もう8歳だもん、だいじょーぶだよ」ニコ 

王様「…危険な目にも合うだろう。命を落としてしまうかも知れん」 

女勇者「んー…それでも、私は勇者だもんね。大丈夫」 

王様「魔王の勢力がこんなに早く伸びるとは思っていなかった…。…勇者よ」 

女勇者「はぁい?」 

王様「こんな事を頼めた義理ではないが…。必ず、生きて帰ってくれ」 

女勇者「はーい」ニコ 


【酒場】 

女勇者「うわー…50Gももらっちゃったぁ。お小遣いいっぱい♪」 

女勇者「あ、ここがさかばかな?」 

トテトテ 

トテトテ 

ガチャ 

女勇者「すみませーん、さかばですか?」 

戦士「……君は、もしや勇者殿か」 

女勇者「うん、今日旅にでるの!おじちゃんだれー?」 

戦士「俺は戦士。…噂には聞いていたが、本当に幼いな」 

女勇者「今日で8歳なの」ニコ 

戦士「ふむ…。勇者殿、よければ俺がついていこう。君のような子供を一人で戦わ         せる訳にはいかない」     

女勇者「ほんと!?仲間になってくれるのー?」 

戦士「うむ。出来る限り力になろう」

戦士「幸いここには、勇者殿の力になってくれる仲間がたくさん居る」 

女勇者「そうなの?仲間になってくれるかなぁ?」 

戦士「なってくれるとも。声をかけてみると良い」 

女勇者「うん!ねぇねぇお姉ちゃん」 

魔法使い「はい?私ですか?」 

女勇者「うん!お姉ちゃん、私と一緒に旅に行ってくれる?」 

魔法使い「あなたはまさか、噂の勇者様ですか…?」 

女勇者「そうだよ。私は勇者!今日8歳の誕生日なの」ニコニコ 

魔法使い「…あなたが、魔王を倒す旅に…」 

女勇者「魔王を倒すの!」 

魔法使い「…わかりました。私もお供させていただきます」 

女勇者「やったぁ!よろしくねお姉ちゃん!」 

魔法使い「よろしくお願いします。私の事は、魔法使いと呼んで下さい」 

女勇者「魔法使いちゃんだね。わかったぁ!」 

僧侶「あ、あのぅ…」 

女勇者「はーい?なぁに?」 

僧侶「あなたが…勇者様なんですよね?」 

女勇者「そうなの!勇者!」 

僧侶「…私もお供させてくださいますか?」 

女勇者「え!ホント!?」 

僧侶「え、えと、勇者様がよろしければ…」 

女勇者「えへへ、もう仲間いっぱいだぁー」 

戦士「あらためてよろしく。勇者殿」 

魔法使い「私達が、必ず勇者様をお守りいたしますからね」 

僧侶「わ、わたしも頑張ります!よろしくお願いしまぁす!」 

女勇者「うん!皆、がんばろーね!」 

戦士「うむ。ではさっそく街の外に出よう」 

僧侶「そうですねぇ。まずは実線でレベルを上げないと」 

女勇者「じっせん?」 

【フィールド】 

戦士「勇者殿、魔物が出て来たら1番後ろに居るといい。戦闘は俺達に任せろ」 

女勇者「?まものってなに?」 

魔法使い「魔物とは、凶暴で人を襲う、魔王の手先ですよ」 

女勇者「ふぅん?なんか怖いね」 

僧侶「大丈夫ですよぉ。私達がお守りしますからね」 

女勇者「わかったぁ。私もがんばるね!」 

魔物があらわれた!▼ 

魔物「ぐるるる…」 

戦士「!来たな。勇者殿、後ろへ」 

女勇者「え?え?」 

魔法使い「さぁ、勇者様!私達の後ろで隠れていて下さい」 

僧侶「勇者様、私のところに居て下さい。大丈夫、怖くありませんからね?」 

女勇者「何してるの?ねー、みんな何するのー?」 

戦士「おりゃあああ!!」 

ブンッ! 

魔法使い「火炎魔法(小)!」 

ぼぉぉ! 

僧侶「勇者様、大丈夫ですからね。怖くない怖くない」 

ぎゅっ 

女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!なんでおじちゃん、あの子を切ったの?痛くないの!?」 

僧侶「勇者様…」 

女勇者「あのまものの子が悪い事したの?痛いんだよ、ねぇ、切ったら痛いんだよ?」 



魔法を倒した!▼ 

トテトテ 

女勇者「…うわぁ。うわぁ……」 

女勇者「痛そう…痛い?大丈夫?」 

女勇者「お返事しないの?ねぇ、まものさん?」 

戦士「……勇者殿」 

女勇者「おじちゃん…?この子、動かなくなっちゃった」 

戦士「…魔物は、倒さなければいけないんだ。勇者殿」 

女勇者「…倒すと死んじゃうの?」 

戦士「………そうだ」 

女勇者「この子、死んじゃったんだね…」 

戦士「…そうだな」 

僧侶(やっぱり…やっぱり勇者様は…) 

僧侶(旅に出るには…戦いに出るには幼すぎますよね…) 

女勇者「…しょうがないの?しょうがないんだよねぇ?」 

僧侶「!」 

女勇者「この子をやっつけないと、人間が危ないもんね」 

戦士「…そうだ」 

女勇者「ねえ、おじちゃん。この子にとっても、同じじゃないの?」 

戦士「え?」 

女勇者「私たちに勝たないと、そこの草むらにいるこの子の赤ちゃんやっつけられちゃうから…」 

ガサッ 

魔法使い「!本当に…草むらに子供が…」 

魔物「がう…」ビクビク 

僧侶「ゆ、勇者様?どうしてこの赤ちゃんがそこに隠れているとわかったんですか?」 

女勇者「え、だって…」 

戦士「まさか、気配で気付いたのか?この年で?」 

女勇者「んーん。気配とかはよくわかんないけどねぇ?」 

女勇者「さっきのまものさんがおじちゃんに斬られてから動かなくなるまで、じっと草むらを見てたから…」 

戦士「!そうだったのか…」 

女勇者「うん。…すっごく、かわいそうだった」 

女勇者「…守れなくてごめんねって、言ってるみたいだったよ…?」 

戦士「…」 

魔法使い「…この子をどうしますか、勇者様」 

女勇者「え?」 

魔法使い「逃がしてやるか、それとも…ここで倒していきますか」 

魔物「がう…!がるる…」 

女勇者「…私が決めるの?」 

戦士「そうだ。勇者殿が決めると良い。俺達は勇者殿に従おう」 

女勇者「わかんないよ、私には…」 

戦士「……」 

女勇者「どうしたら良い?かわいそうだよ…?」 

戦士「…そうだな。…この魔物を生かすも殺すも、勇者殿次第だ。それが勇者殿の意思であり、正義だ」 

女勇者「正義?…なに?」 

戦士「正義とは、正しい事を正しいと信じる事だ」 

女勇者「んー?正しい事を正しい…?」 

戦士「なにが正義かは、俺にはまだ答えられないが」 

女勇者「そっかぁ…。うん。じゃあ、逃がしてあげようよ。良いでしょ?」 

戦士「それが勇者殿の意思であり、正義ならばそうしよう」 

女勇者「うん!」 

僧侶「ねぇ、戦士さん…」 

戦士「む?」 

僧侶「やっぱり、勇者様にはまだ戦いは早過ぎるんじゃあ…」 

戦士「うむ。…そうだな。出来る事ならば、この歳から血を見て欲しくない」 

魔法使い「でしたら、私達が戦えば済む話です」 

戦士「俺達が戦い、勇者殿には出来る限り戦闘には参加させない…という事か」 

魔法使い「そうですね。勇者様にはまだ…早過ぎます」 

戦士「そうだな。いくら勇者に生まれたとは言え、まだ8歳。命を賭けるには幼な過ぎる」 

僧侶「やっぱりそうですよね。私達が、勇者様をお守りしましょう」 

女勇者「ねぇねぇ、何お話してるの?」 

戦士「勇者殿。…勇者殿はこれから、戦闘には参加しないでくれ」 

女勇者「え?」 

戦士「魔法とは俺達が戦おう。勇者殿は後ろで居てくれれば良い」 

女勇者「いや!」 

戦士「なに?」 

女勇者「だって、おじちゃん達は戦うんでしょー?」 

僧侶「…そうですけど、勇者様はまだ8歳になったばかりなんですよ?」 

女勇者「うん。だけど、私は勇者だもん」 

魔法使い「勇者様…」 

女勇者「私だけが戦わないで逃げてるのはやだよ。私だって、がんばるから」 

戦士「…」 

女勇者「やらなきゃいけない事を誰かにやってもらうのは、正義じゃないでしょ?」 

女勇者「だから、私も戦う。ね、良いでしょ?」 

戦士「…わかった」 

僧侶「戦士さん!」 

戦士「勇者殿はやはり勇者だ。幼くして、勇者としての自覚と責任を持っている」 

女勇者「じかく?」 

戦士「勇者殿」 

女勇者「ん?なぁにおじちゃん?」 

戦士「勇者に生まれてしまった事を、後悔しているか?」 

女勇者「んーん、全然!」 

戦士「…そうか」 

女勇者「うん!」ニコ 

戦士「よし。わかった。しかし、勇者殿。これだけは守ってくれ」 

女勇者「?」 

戦士「勇者殿は望んで勇者に生まれた訳ではない。辛かったり、戦いが嫌になったらいつでも言ってくれるか?」 

女勇者「えへへ、大丈夫だよぅ。でも…わかった!約束するね!」 

戦士「うむ。我々はそれを、絶対に責めたりはしないからな」 

【次の街】 

トテトテ 

戦士「ここが次の街か。少し休息を取ろう」 

僧侶「はぁい…。疲れちゃいましたぁ」 

魔法使い「そうですね。勇者様、疲れていませんか?ずいぶん歩きましたけど…」 

女勇者「大丈夫大丈夫!私、歩くの大好きだからね」トテトテ 

戦士「む?」 

女勇者「うわー…。私、おうちの近くでしか遊んだ事ないから、こんなに遠くに来るのはじめてー」 

トテ…トテ… 

戦士「…勇者殿、足を怪我したのか?」 

女勇者「え?ううん、してないよ?」 

戦士「足を引きずっているではないか。少し見せてみなさい」 

女勇者「やだよぅ…大丈夫だもん」 

戦士「良いから。怒らないから、靴を脱いで見せてくれ」 

女勇者「はぁい…」 

もぞもぞ 

すぽっ 

戦士「…靴擦れしているな。靴が大きかったのか?」 

女勇者「うん、ちょっとだけ…」 

女勇者「あのね?…私、こんなちゃんとした靴はいた事なかったから…」 

戦士「僧侶、回復してやってくれ」 

僧侶「はぁい。勇者様、回復しましょうね」 

女勇者「え、大丈夫なの。本当だよ?」 

戦士「勇者殿、無理はしないと約束しただろう?」 

女勇者「うん…したけどぉ…」 

僧侶「回復魔法(小)」 

ぱぁぁ… 

女勇者「わぁ。痛くない…」 

僧侶「ふふ、だって回復魔法なんですから。魔法は初めて?」 

女勇者「うん!なんか変な感じ…」 

僧侶「すぐに慣れますよぅ。それよりも、お怪我したらちゃんと言わないとダメですよ?」なでなで 

女勇者「うん…。みんな、迷惑かけてごめんなさい…」しゅん 

魔法使い「勇者様」 

女勇者「はい。なぁに、魔法使いちゃん」 

魔法使い「私達は、誰も迷惑だなんて思っていませんよ」 

女勇者「…本当?」 

魔法使い「えぇ、もちろんです。何故そんな事を思うのですか?」 

女勇者「だってぇ…」 

魔法使い「だって?」 

女勇者「私だけ、こんなちっちゃくて弱いから…おじちゃん達はすごく強いのに」 

女勇者「私は勇者なのに、頑張れないから…迷惑かな?って思ったの」 

魔法使い「ふふ、そんな事ですか」 

魔法使い「良いですか、勇者様。よく聞いてね?」 

女勇者「…うん」 

魔法使い「勇者様はたしかにまだ幼いです。子供です。でもそれは悪い事ですか?」 

女勇者「…ううん。ちがうね」 

魔法使い「そう。誰だって最初は子供なんです。私達だって子供でした」 

女勇者「そうなの?おじちゃんも?」 

戦士「…」 

魔法使い「ふふ、確かに戦士さんの子供時代なんて想像できませんが」 

魔法使い「でもね、勇者様。私達が勇者様くらいの頃は、勇者様みたいに強くはなかった」 

女勇者「私?弱いよ?だって、剣も振れないし、盾も鎧も持てないもん」 

魔法使い「それは仕方がない事です。勇者様が強いのは、心」 

女勇者「こころ?」 

魔法使い「そう、心です」 

女勇者「…うーん?よくわかんない」 

魔法使い「今はまだわからなくて良いんです。でも勇者様は、心に強さを持っている」 

女勇者「そうなの?」 

魔法使い「えぇ。そんな勇者様だからこそ、私達は命を賭けてでもあなたをお守りする決意をしたのです」 

女勇者「…」 

魔法使い「だからね、勇者様。あなたはなんにも迷惑だなんて思わなくて良いのです」 

魔法使い「私達は勇者様を信じてお手伝いするんですから。だから、迷惑だなんて思わないで?」 

魔法使い「…ね?」ニコ 

女勇者「…うんっ!」 

戦士「では行こうか。勇者殿、足はまだ痛むだろう」 

女勇者「うん、ちょびっとだけ」 

戦士「そうか。…ほら」 

女勇者「ふぇ?おじちゃん?」 

戦士「疲れただろう。背中におぶさると良い」 

女勇者「…うん!」 

すっ 

戦士「よし、では宿に向かおう」 

すたすた 

女勇者「えへへ、おじちゃん」 

戦士「む?」 

女勇者「ありがとうね」ぎゅっ 

戦士「うむ。構わん」 

すたすた… 

【宿】 

戦士「一人部屋と三人部屋を頼む」 

女将「わかりました。一晩で12Gになります」 

戦士「うむ」 

女勇者「やだ!」 

僧侶「勇者様?」 

女勇者「おじちゃんも一緒が良いな。ねぇ、僧侶ちゃん!良いでしょ?」 

戦士「いや、それは…」 

女勇者「やだぁ…!一緒が良いもん…」 

僧侶「良いじゃありませんか、戦士さん。私達は平気ですよぉ」 

戦士「しかし…」 

女勇者「おじちゃん、お願い。ね?」 

僧侶「戦士さん。勇者様は、この歳でママと離れないといけないんですよ?」 

戦士「!」 

僧侶「私達で代わりになるとは思いませんけど、勇者様の事を1番に考えてあげましょう?」 

魔法使い「そうですね。私もそれが良いと思います」 

戦士「…」 

戦士「4人部屋を頼む」 

女将「はい、わかりました」 

女勇者「わぁい!」 

戦士「それでは3人とも、風呂に入ってくるといい」 

僧侶「先に入っても良いんですか?」 

戦士「うむ。勇者殿を入れてやってくれ」 

魔法使い「わかりました。勇者様、お風呂に行きましょうか」 

女勇者「うん!おじちゃんは?」 

戦士「俺は後から入ろう。やる事があるのでな。先に入りなさい」 

女勇者「はぁい。行って来ます!」 

トテトテ 

戦士「行ったか。…俺も出かけるとしよう」 

すたすた 

すたすた 

女将「あら?お出かけですか?」 

戦士「ああ。少し店までな。まだ開いているだろうか」 

女将「大丈夫だと思いますよ。ここを出て少し歩けば店が固まった場所があります」 

戦士「そうか。助かる」 

すたすた 

【武器屋】 

主人「いらっしゃい。何の用だい?」 

戦士「武器を見せて欲しいのだが」 

主人「おうよ。あんた、腕が立ちそうだな。ウチは良いのが揃ってるぜ」 

戦士「…8歳の子供が装備出来るものはあるか」 

主人「は?なんだって?8歳?」 

戦士「そうだ」 

主人「あんた、そんな子供に戦わせようってのかい、感心しねぇな」 

戦士「その子は戦わねばならんのだ。自分の身を守る為に持たせてやりたい」 

主人「うーん…しかしなぁ。どれも子供に扱える代物じゃねぇぞ?」 

戦士「重いのか」 

主人「こん棒でさえ2キロ近くある。8歳にゃ、とてもじゃないが無理だ」 

戦士「女の子にも扱えるような武器はないのか」 

主人「女の子ぉ!?」 

戦士「うむ。女の子だ」 

主人「…あんた、自分が何言ってるかわかってるか?」 

戦士「承知している」 

主人「……そうかい。事情がありそうだな」 

戦士「……ああ。その8歳の女の子というのはな」 

主人「…」 

戦士「勇者だ」 

主人「なんだって!?…本当かいそりゃ」 

戦士「うむ。出来る事ならば、俺も戦わせたくはない」 

主人「…そりゃそうだ。まさか、勇者様がそんな子供だったなんて」 

戦士「勘違いしないで欲しい。勇者殿は確かに幼いが、勇者としての器を持つ人だ」 

主人「そうかい。…よし、わかった」 

戦士「む?」 

主人「勇者様が武器を扱えないなら、あんたが守ってやりな。腕には自信があるんだろ?」 

戦士「当然だ。俺が生きている限り、勇者殿はお守りする」 

主人「よっしゃ、あんた。これを持っていきな」すっ 

戦士「これは?」 

主人「ここで用意出来る1番良い剣だ。品は保証するよ」 

戦士「しかし、こんなに立派な剣を買える程の持ち合わせは…」 

主人「良いんだ。お代はいらねぇ。そのかわり、しっかり勇者様を守ってやってくれ」 

戦士「かたじけない。ありがたく頂く」 

主人「おうよ。がんばってな」 



戦士は新たな剣を手に入れた。▼ 

戦士「ありがたい。必ず勇者殿をお守りしよう」 

すたすた 

戦士「…勇者殿にも、何か用意しなければな」 

すたすた 

戦士「勇者殿が身につけているただの服では、戦いは無理だ」 

すたすた 

戦士「せめて防具だけでも何か用意してやらねばな」 

すたすた 

【防具屋】 

ガチャ 

戦士「邪魔する」 

主人「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか」 

戦士「重くない防具をくれ」 

主人「はい?」 

戦士「出来るだけ軽く、頑丈なものはないか?」 

主人「軽い物となりますと…こちらになりますが」 

戦士「ドレスか、服か…」 

主人「はい。こちらが比較的軽い物ですね。動きやすく、かつ頑丈です」 

戦士「…では、ドレスをくれ」 

主人「畏まりました」 

戦士「ああ、それから注文があるのだが」 

主人「なんでしょう?」 

戦士「それを、子供用に繕ってやってくれないだろうか」 

主人「わかりました。何歳くらいのお子さんですか?」 

戦士「今日で8歳になるのだが、その割に体はかなり小さい」 

主人「畏まりました。少々お待ち下さい」 

戦士「うむ。わがままを言って済まないな」 

主人「いえいえ。お子さんも、こんなプレゼントをいただいたら喜ばれますよ」 

戦士「…そういう訳でもないのだが」 

【宿屋の風呂】 

わしわし… 

僧侶「勇者様、目を開けちゃだめですよぉ」 

女勇者「んー…」 

僧侶「ふふ、そんなにおもいっきり目をつぶらなくても…」 

女勇者「だって、目に入ったら痛いんだよー?」 

僧侶「もう、勇者様ったら。お家でもママと一緒に入ってたんですか?」 

女勇者「うん…。時々ね?時々だよ?」 

僧侶「クス…はい、時々ですね」 

わしわし… 

僧侶「はい、おしまいです」 

女勇者「ありがとー、僧侶ちゃん!」 

僧侶「どういたしまして」ニコ 

女勇者「ねぇ、僧侶ちゃんはいくつ?」 

僧侶「私ですか?17ですよ」 

女勇者「じゃあね、魔法使いちゃんはー?」 

魔法使い「私は19になります」 

女勇者「そーなんだ!じゃあなんで魔法使いちゃんは年上なのに、僧侶ちゃんより小さいの?」 

魔法使い「!」 

僧侶「ゆ、勇者さま…」かぁぁ 

女勇者「おっきくなったら膨らむんだよね?ねぇ、なんでー?」 

魔法使い「勇者様」 

女勇者「はぁい?」 

つねっ 

女勇者「ふぇ?あぁに?」 

魔法使い「悪い事を言うのはこのお口ですか?」 

ぎゅう 

女勇者「…ご、ごえんあはい……」 

僧侶「変じゃないですよぅ。勇者様は勇者様ですから」 

女勇者「んー。なんか変な感じ」 

魔法使い「勇者様は仲間であり、私達のリーダーですからね」 

女勇者「じゃあわたしも、魔法使い様って呼んでいい?」 

魔法使い「ふふ、それはどうかと思いますよ」クス 

僧侶「みんな、勇者様を慕って様とか殿とか呼ぶんです。勇者様が気にする必要ないですよ」 

女勇者「そうなのかなぁ…?」 

女勇者「僧侶ちゃん達は、ちゃんって呼ばれてイヤ?」 

僧侶「いいえ。うれしいくらいです」ニコ 

女勇者「本当?じゃあ、おじちゃんも戦士くんって呼んでも良いかな?」 

魔法使い「きっと喜ぶと思いますよ。戦士さん、ああ見えて若いんですから」 

女勇者「えへへ、じゃあ帰って来たら戦士くんって呼んじゃおう」ニコニコ 

女勇者「ねぇ、もう出るー」 

僧侶「そうですねぇ。じゃあ、あと10数えたら出ましょうか」 

   魔法使い「勇者様、一緒に数えましょう。いち、にぃ」 

   女勇者「さーん、しーい、ごー…」 

   僧侶(…本当は、寂しいんだろうなぁ…) 

   僧侶「ろーく、しーち、はーち」 

   魔法使い「くー、じゅう!」 

   女勇者「おわり!出よ!」 

   僧侶「はい。もう戦士さんも帰ってきてるかも知れませんしね」 

   女勇者「うん!そういえば、どこ行ってたんだろうねー」 

   ざぱぁっ 

   トテトテ 

   トテトテ

トテトテ 

ガチャ 

戦士「お、出たのか」 

女勇者「うん!戦士くん、おかえりなさい!」ニコ 

戦士「ただいま。…ん?」 

女勇者「えへへ」 

戦士「なんだ、その…戦士くん、というのは」 

女勇者「えっとねぇ、戦士くんって呼びたいの。いや?」 

戦士「…そうか。嫌ではない」 

女勇者「本当?うん、じゃあ戦士くんね!」 

戦士「……」 

僧侶(ふふ、喜んでるなぁ) 

戦士「勇者殿、今日は8歳の誕生日といったな」 

女勇者「うん!今日でわたしも8歳だよ」 

戦士「誕生日プレゼントはもらったのか?」 

女勇者「えっとねぇ…えへへ」 

戦士「…もらっていないのか」 

女勇者「今日、旅立つことになっちゃったからねぇ」 

戦士「そうか。…これは、誕生日プレゼントだと思ってくれ」 

女勇者「え?」 

戦士「こんなものしかあげられなくて申し訳ないが…これからの役に立つだろう」 

女勇者「うわぁ!プレゼント!戦士くん、ありがとう!開けていい?ねぇ、いいかな?」 

戦士「ああ、開けてみなさい」 

ぱかっ 

女勇者「うわぁ…!!これ、ドレス?」 

戦士「うむ。防具屋で売っていた質素なものだが」 

女勇者「私、ドレスなんて着たことないよ」 

戦士「そうか。着てみるといい。似合うといいが」 

女勇者「うんっ!えへへ、戦士くん!ありがと!」 

戦士「喜んでもらえてなによりだ」 

女勇者「ねぇ、僧侶ちゃん!これ着せてー」 

僧侶「はい。ふふ、良かったですねぇ勇者様」 



女勇者は皮のドレスを装備した。 

女勇者  皮のドレス E  

防御力  3 → 5 

女勇者「どう?かわいい?」くるくる 

魔法使い「ええ。よくお似合いですよ勇者様」 

僧侶「はい。すっごく可愛いですぅ」 

女勇者「えへへ…戦士くん。ありがとう!ずっとずっと、大事にするからね!」 

戦士「ああ…。これだけ喜んでくれて良かった」 

僧侶「さぁ、勇者さま。明日も早いですから、今日はもう脱いでお休みしましょう?」 

女勇者「えー。やだよぅ」 

僧侶「ほらほら、わがまま言わないんですよ?明日になったらそれを着て旅立ちましょう」 

女勇者「むぅ…寝るときもこれがいいなぁ…」 

魔法使い「まぁ、いいんじゃないでしょうか?せっかくのプレゼントなのですし」 

戦士「そうだな。明日からはきちんと寝間着で寝るんだぞ?勇者殿」 

女勇者「はぁい!やったぁ!」 

女勇者「じゃあ、もう寝るね?おやすみなさぁい」 

僧侶「はい、おやすみなさい」ニコ 

魔法使い「おやすみなさいませ、勇者様」 

戦士「おやすみ」 

女勇者「えへへ…戦士くん、ありがと!」 

戦士「そう何度も礼を言われるのも困ったものだな」 

僧侶「ふふ、良いじゃないですか。喜んでくれて」 

戦士「そうなのだが…」 

魔法使い「二人とも、お静かに…しっ」 

戦士「ん?」 


女勇者「くぅ……すー……」 

僧侶「もう寝ちゃったんですかぁ…。寝つきがいいですね」 

   戦士「疲れていたのだろう。勇者殿にとって、今日という日はあまりに重い」 

   僧侶「そうかも知れませんね。あれ?戦士さん、どこに行くんですか?」 

   戦士「うむ。少し稽古を」 

   魔法使い「こんな夜更けにですか?」 

   戦士「日課でな。それに、やらなければならない」 

   戦士「勇者殿をお守りするには、俺達が強くならないといけないからな」 

   僧侶「!」

魔法使い「…戦士さんの言うとおりですね」 

僧侶「私も…ちょっとだけ魔法の練習してこようかな」 

戦士「ちょっとまってくれ」 

僧侶「ふぇ?」 

戦士「勇者殿がもしも目を覚ましてしまったとき、一人ではかわいそうだろう」 

戦士「それでなくても母親から離れて寂しいはずだ。二人はそばにいてやってくれ」 

僧侶「そうですね…わかりました」 

魔法使い「戦士さんも、遅いですから気をつけてくださいね?」 

戦士「うむ。では行ってくる」 

翌日】 

  僧侶「ふわぁ…。よく寝たぁ…ん?」 

  僧侶「きゃっ!」 

  僧侶「び、びっくりしましたぁ〜…どうして勇者さまが私のベッドに…?」 

  女勇者「すぴー…すぴー…」 

  僧侶(それにしても可愛い寝顔だなぁ…) 

  僧侶(こうして見ると、ほんとにただの女の子みたい…)なでなで 

  女勇者「すー…う、ぅ…?」 

  僧侶「あ…起こしちゃった…」

僧侶「おはようございます、勇者さま」ニコ 

女勇者「ふぇ……ママ…?」 

僧侶「うふふ、違いますよぅ。私は僧侶。寝ぼけてるんですか?」 

女勇者「…あ…おうちじゃない…」 

僧侶「どうしたんですか?怖い夢でも見ました?」 

女勇者「んん…」ごしごし 

女勇者「うん。ちょっとだけ…ごめんね?」 

僧侶「良いんですよ。ママじゃなくてごめんなさい」 

女勇者「んーん。…おはよう、僧侶ちゃん」ぐしぐし 

僧侶「はい、おはようございます」ニコ 

戦士「勇者殿、起きたか。おはよう」 

女勇者「あ、戦士くん。おはよ」 

戦士「うむ。起きてすぐで悪いが、そろそろ出発しなければ。用意しよう」 

女勇者「はぁい…。ふわぁ…」 

僧侶「さぁ、勇者さま。がんばって起きましょう。顔を洗わなきゃ」 

女勇者「うん」むくっ 

すたっ 

トテトテ 

トテトテ 

【数日後】 

女勇者「あ、あれが次の町?」 

魔法使い「そのようですね。あそこは魔法が盛んな町なんですよ。占いなどで有名ですね」 

女勇者「わぁ。占いって私はじめてー」 

僧侶「私もですぅ。楽しみだなぁ」 

魔法使い「そうですね。占い師は珍しいですから」 

戦士「よし、先を急ごう。とりあえず町に着いたら散策だ」 

女勇者「うん!お腹もすいたー」 

僧侶「ふふ、じゃあまずご飯も食べましょうね」 

トテトテ 

トテトテ 

【占い師の町】 

がやがや 

女勇者「わぁ…人がいっぱいだねぇ」 

魔法使い「本当ですね。今までのどの町よりも人が多そう」 

僧侶「みんな占いしてもらいに来てるんでしょうか?」 

魔法使い「どうでしょう?とにかく行ってみますか?」 

戦士「勇者殿、どうする?先に休憩を取ってもいいが」 

女勇者「うーん…どうしよ?どうしたらいいかなぁ」 

女勇者「…」きゅるるる 

戦士「…よし、先に食事にしよう。散策はその後だ」 

僧侶「クス…そうしましょう」 

・ 
・ 
・ 

僧侶「わぁ。このリゾット美味しいですぅ」もきゅもきゅ 

女勇者「ねぇ、見て。私のハンバーグも美味しいよ?」 

僧侶「ホント、美味しそうですねぇ」 

女勇者「えへへ、一口あげる。はい、あーん」 

僧侶「ありがとうございます。あーむ」ぱくっ 

女勇者「ね?美味しいでしょ?」 

僧侶「ええ、とっても。私のも一口あげましょうか?」 

女勇者「うん!ちょうだい!あーん」 

僧侶「熱いからちょっとお待ちくださいね。ふー…ふー…」 

僧侶「はい、あーん」 

女勇者「あむ…」 

僧侶「どうですか?美味しい?」 

女勇者「……あつい……」じわ 

魔法使い「勇者様、占ってもらうのはなにがいいですか?」 

   女勇者「ふぇ?うーん、なんだろう」 

   魔法使い「考えてないんですか?」 

   女勇者「一個だけ決まってるけどね!」 

   魔法使い「まぁ。それは?」 

   女勇者「えっとねぇ、世界を平和にできますか?って」 

   魔法使い「ふふ…勇者様は本当に勇者様ですね。でも、それは私達の頑張り次第で  すよ」 

   女勇者「そうだね!頑張らなくちゃ!」 

   魔法使い「あとは?もうないんですか?」 

   女勇者「あ、あと一個だけ決まってる!」

女勇者「えっと…私、みんなが大好きだからね?」 

女勇者「戦士くんも、魔法使いちゃんも、僧侶ちゃんも!」 

魔法使い「ありがとうございます。私も、勇者様が大好きですよ」ニコ 

女勇者「えへへ…。だからね、こう聞くんだよ」 






女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られますか?」 

魔法使い「ずっと一緒に…ですか」 

   女勇者「うんっ!ずっと一緒がいいの」 

   魔法使い「ふふ、そうなるといいですね」 

   女勇者「きっとそうなるよね?」 

   魔法使い「ええ、きっと。そのためにも、早く世界を平和にしないとね」 

   女勇者「うんっ!」 

   戦士「さて…そろそろ食べ終わったか、勇者殿?」 

   女勇者「終わったー!ごちそうさま!」 

   戦士「よし。それでは町に行こうか。占いも行かないとな」 

   女勇者「あ、ちょっと待って戦士くん」 

   戦士「む?」 

   女勇者「えっとねぇ、アイスも食べたいなぁ。いい?」 

   戦士「…では、食べ終わったら出発しよう」 

   女勇者「えへへ、戦士くんは優しいなぁー」ニコニコ

【占いの館】 

ガチャ 

女勇者「ここが占いのお店?」 

戦士「そうだ。邪魔をする」 

婆「いらっしゃい…。おや、珍しいお客さんだね…」 

戦士「?」 

婆「まぁ座りなさい…」 

女勇者「はぁい。しつれいしますっ」ぽふっ 

婆「お嬢ちゃん、その年で旅してるのかい…大変だねぇ…」 

女勇者「うんっ。楽しいけどね!みんな一緒だから!」 

婆「ふぉっふぉっ…そうかいそうかい。良いことじゃ。どれ、わしが占ってみようか…」 

女勇者「おねがいしまぁす!」ニコニコ 

婆「……」 

女勇者「……」 

婆「……」 

女勇者「……」わくわく 

婆「なんじゃ…これは…?」 

女勇者「ふぇ?」 

婆「そなたは、何者じゃ…」 

女勇者「わたし?わたしは勇者なの!」 

婆「……勇者様じゃったか。不思議な色を持っておるな」 

女勇者「え?なにか変なものついてる?」きょろきょろ 

婆「人には誰しもそれぞれ色がある…。後ろにおるお仲間にも…」 

女勇者「そうなの?みんな何色?」 

婆「僧侶は桃色…慈愛に満ち満ちた優しい色じゃ」 

僧侶「えぇ、ピンクですか!えへへ、嬉しいなぁ」 

婆「魔法使いは蒼。凛々しさと聡明さを兼ね備えた、強い色…」 

魔法使い「私、凛々しい…ですか?」 

婆「戦士は真紅。闘争心だけでなく、誰かを守る強さを持っておる…」 

戦士「俺は赤か。では、勇者殿は?」 

婆「…わしには見えぬ。ただ、1色ではない」 

女勇者「?」 

婆「何色も何色も塗り重ねられ…それぞれが同調しあってひとつの色となっておる」 

婆「その中には、暗く悲しい色もあるようじゃ…」 

女勇者「ふーん…?よくわかんない」 

女勇者「じゃあね、聞きたいことがあるの。いい?」 

婆「なんでも言ってごらんなさい…」 

女勇者「みんなと、ずっと一緒に居られる?」 

婆「ふむ…少し待ちなされ…」 

女勇者「…」 

婆「……?」 

女勇者「?」 

婆「こりゃ…わしの腕も鈍ってきたかの…?」 

女勇者「え?どうしてー?」 

婆「そなたに言っておく…占いなど、所詮占いでしかない」 

女勇者「うん、そうだね」 

婆「年寄りの婆の言うことだと思って、怒らずに聞いておくれ…」 

婆「そなたは…世界から取り残される…いや、世界を取り残すのかの…?」 

女勇者「んー?何?どういうこと?」 

婆「こんな可笑しな答えは初めてじゃ…ただ、興味深い…」 

女勇者「おかしなこたえ…」 

婆「そなたは全てを見るじゃろう…美しいもの、醜いもの、すべてを…」 

婆「同じ物語を何度も何度も、繰り返し引き継がれる記憶…」 

婆「探しなさい…求める正義、求めざる正義を…」 

女勇者「ねぇ、戦士くん。なんか難しいこと言ってるよ?なに言ってるの?」 

戦士「…いや、すまない。俺にも少し…」 

婆「ふぉっふぉ。わしにもわからんよ。耄碌した婆の言うことじゃ」 

婆「わしも引退かのぅ…?ふぉっふぉっふぉ」 

婆「たいした話でもないのに、よくここまで付き合ってくれたねぇ…」 

女勇者「ううん、楽しかったよ!ね?」 

僧侶「ふふ、そうですねぇ。よくわからなかったけど」 

魔法使い「人に色なんてあったのかぁ。おもしろいですね」 

戦士「うむ。結局、勇者殿は何色なのだろうな」 

女勇者「わたし、ピンクが良かったなぁ…」 

僧侶「私の色ですね。ふふ、勇者様はまだ透明なんですよきっと」 

女勇者「そうなのかなぁ…?」 

婆「ふぉっふぉ。それでは、気をつけての」 

女勇者「うん!ありがとー!またね、おばあちゃん!」 

ガチャ 

バタン! 

【数日後・物語中盤】 

女勇者「ふぅ……ふぅ……疲れたぁ…」 

戦士「大丈夫か?もうすぐ次の町だ」 

女勇者「大丈夫。でもここ、痛いよぉ…」さすさす 

僧侶「勇者さま、ごめんなさい。MPがあったら回復するんですけど…」 

女勇者「ううん、だいじょうぶ。へいきだよ」 

僧侶「町に着いたら、すぐに手当てしましょうね」 

女勇者「うん…」さすさす 

トテトテ 

トテトテ 

【新しい町】 

女勇者「着いた…すっかり夜になっちゃったね…」 

僧侶「戦士さん、勇者様をよろしくおねがいします。わたし、薬草買ってきますね!」 

戦士「うむ。よろしく頼む。勇者殿、先に宿に戻っていようか」 

女勇者「……」 

戦士「勇者殿?」 

女勇者「痛い……戦士くん、だっこ…」 

戦士「…わかった。ほら、行こう」 

女勇者「…ん」 

すたすた 

すたすた 

すたすた 

すたすた 

魔法使い「戦士さんも怪我をなさってるのに…大丈夫ですか?」 

戦士「俺は平気だ」 

魔法使い「もし疲れたり痛み出したら代わりますよ」 

戦士「いや…もう、勇者殿も寝てしまっているようだしな」 

魔法使い「…本当」 

女勇者「すぅ……すぅ……」 

魔法使い「かわいそうに…早く手当てしてさしあげないと…」 

戦士「…まずは宿で休ませよう。僧侶が帰ってくれば回復もできる」 

すたすた 

すたすた 

【宿屋】 

主人「いらっしゃいませ。3名様でしょうか?」 

魔法使い「いえ、4人です。空いていますか?」 

主人「大丈夫ですよ。…!そちらのお子さんの怪我は…?」 

戦士「うむ…魔物に噛み付かれてしまってな」 

主人「ひどい怪我だ…どうぞ、こちらの薬草をお使いになってください」 

戦士「おお、ありがたい」 

主人「お部屋は2階になります。どうぞごゆっくり」 

戦士「うむ。行こう、魔法使い」 

魔法使い「はい…」 

すたすた 

すたすた 

すっ 

女勇者「すぅ……すぅ……」 

戦士「…血は止まったようだな」 

魔法使い「はい。勇者様の傷ついたお姿は、何度見ても心苦しいですね…」 

戦士「……俺達が、もっと強くならなくては」 

魔法使い「…そうですね」 

戦士「…魔法使い、勇者殿を頼む」 

魔法使い「わかりました。また、稽古ですか?」 

戦士「ああ。…今日も、俺があそこで一撃で倒せていたなら、勇者殿に怪我をさせることもなかった」 

魔法使い「…それは、私達も同じことですよ」 

戦士「…」 

戦士「では行って来る。僧侶にもよろしく言っておいてくれ」 

ガチャ 

バタン! 

【町の外】 

魔物が現れた。▼ 

戦士「俺がもっと強くならなくては…!」 

ばしゅっ 

ズバァッ! 

戦士「強くならなくては、誰も守ることなどできん!」 

ズバァッ! 
ばきっ 
ぐさっ 

戦士「もっと強く…!」 

ぐしゃっ! 

魔物を倒した。 
戦士のレベルがあがった!▼ 

・ 
・ 
・ 

戦士「もっと強くならねば…!」 

【宿屋】 

ガチャ… 

魔法使い「おかえりなさい。ありがとうございます」 

僧侶「遅くなっちゃってすみません。お店開けてもらうのに時間かかっちゃって…」 

魔法使い「いえ。勇者様も今は眠っておられますから」 

僧侶「勇者さま…」 

女勇者「すぅ…すぅ…」 

僧侶「…」 

僧侶「私のMPも回復しましたから、魔法で回復しますね」 

僧侶「回復魔法(大)…」 

ぱぁぁぁ 

女勇者「すぅ……すぅ……」 

【翌朝】 

女勇者「ままぁ……ママぁ……」 

僧侶「……ふぇ…?」 

女勇者「…ママ……あれ?」 

僧侶「あ…勇者さま、おはようございます」 

女勇者「えへへ…おはよ」 

僧侶(勇者さま、毎朝起きる時にうなされてますね…) 

僧侶(寂しいでしょうに…私達の前ではほとんどそんな姿を見せない) 

僧侶(もっと、私達に甘えてもいいのになぁ…) 

女勇者「う〜ん」ごしごし 

僧侶「ふふ、まだ眠いでしょう?もう少し寝ててもいいんですよ?」 

女勇者「ねむぅい…」ぐしぐし 

僧侶「今日はこの町にいるみたいですからね。ゆっくり寝ましょう?」 

女勇者「うん…」 

僧侶「…お体は、もう大丈夫みたいですね」 

女勇者「うん、だいじょぶ…」 

僧侶「よかった。じゃあお休みなさい」ぽんぽん 

女勇者「ん…」 

僧侶「勇者様」 

女勇者「ん?」 

僧侶「…」ぎゅ… 

女勇者「……えへへ。僧侶ちゃん、ママみたい…」 

ガチャ 

戦士「ふぅ…。ん?勇者殿はまだ寝ておられるのか」 

僧侶「はい。一回起きたんですけど、眠いって」 

戦士「そうか。昨日は疲れただろうしな」 

僧侶「はい。戦士さんは、どこ行ってたんですかぁ?」 

戦士「俺か?俺は稽古だ」 

僧侶「ふぇ?!き、昨日の晩からですか?」 

戦士「うむ」 

僧侶「ひぇぇ…す、すごいですね」 

僧侶「大丈夫なんですか?あまり無理しないで下さいよぅ…」 

戦士「ああ。今日は一日この町に滞在するしな。大丈夫だ」 

僧侶「でも…。ほら、怪我してるじゃないですか」すっ 

僧侶「回復魔法(大)」 

ぱぁぁぁ 

戦士「…済まない」 

僧侶「戦士さん、あまり自分を責めないで。勇者様が怪我をされたのは、戦士さんのせいじゃないですよ?」 

戦士「うむ。…しかしまぁ、面白い情報も聞けたしな」 

僧侶「面白い?」 

戦士「ああ。たまには息抜きも必要だろう」 

戦士「この町は夜になると、カジノが開く」 

僧侶「カジノ…って、なんですか?」 

戦士「大衆向けの賭場だ。なかには強力な武器などの景品もあるらしい」 

僧侶「へぇ、面白そうですね。勇者様の傷も癒えたし、夜になったら行きたいなぁ」 

戦士「子供のうちから賭博など覚えて欲しくはないが、たまの息抜きだ。これくらい許されるだろう」 

僧侶「ふふ、そうですね」クス 

【夕方】 

女勇者「うーん…できないよぅ」 

魔法使い「だめですよ。詠唱は魔法の初歩の初歩なんですから」 

女勇者「だってぇ…魔法使いちゃん達はえいしょー?してないよ?」 

魔法使い「私達も頑張って修行しましたからね。ほら、勇者様。もう一回」 

女勇者「えーっと…ブツブツブツ」 

ガチャ 

魔法使い「あ、戦士さんに僧侶さん。お帰りなさい。どちらへ行かれてたんですか?」 

戦士「うん?ちょっと下見にな」 

魔法使い「下見?」 

戦士「ああ。たまには息抜きも必要だろう。勇者殿、稽古はそのへんにして、遊びに行こうか」 

女勇者「え?あそび!?」 

トテトテ 

女勇者「ねぇ、どこ行くの?お買い物?」 

戦士「いや…勇者殿は買い物が良かったか?」 

女勇者「んーん。どこでも良いの。ずっと遊びに行ってないから嬉しいなぁ」 

戦士「そうか…息抜きも必要だからな」 

女勇者「えへへ。戦士くん、なにして遊ぼうか?」 

女勇者「ボール遊びにしようかな?それとも鬼ごっこ?」 

女勇者「ままごとも良いかなぁ。家族ごっこ」ニコニコ 

戦士「ままごと…は遠慮しておこう」 

女勇者「えー…私がお母さんで、僧侶ちゃんは子供で」 

戦士「着いたぞ。ここだ」 

女勇者「ここ?うわぁ…ピカピカしてるね。おっきぃ建物…」 

【カジノ】 

女勇者「うっわ!すごい!人もいっぱい!」 

戦士「はじめてだろう。俺も遊ぶのははじめてだ」 

女勇者「私も。見るのもはじめて!」 

戦士「今までためたお金で余裕もあることだしな。ほら、これで遊んでくるといい」 

女勇者「わぁ、500Gも?!すごいねぇー…あ、あれは僧侶ちゃん?」 

戦士「ああ、僧侶も先に遊んでいる。勝てば強い武器ももらえるようだから、頑張ってな」 

女勇者「はぁい!僧侶ちゃーん」トテトテ 


戦士「たまには、こういうのも悪くないだろう。俺も遊ぶか」 

女勇者「僧侶ちゃん、どう?楽しい?」 

僧侶「……うぅぅ……どうして2のダブルアップでAが出るんですかぁ…ひどい…」 

女勇者「ねぇ、僧侶ちゃんはなにしてるの?」 

僧侶「ふぇ?!あ、ああ、勇者さま。いらっしゃったんですね」 

女勇者「うん!今日は遊ぶんだって!これはなに?」 

僧侶「これはポーカーと言って、配られたカードで役を作るんですよ。勇者さまもやりますか?」 

女勇者「うん!教えておしえて!」 

僧侶「ふふ、わかりました。ベットはどうします?」 

女勇者「これ!」 

僧侶「あ、500G。まだメダル買ってないんですね。じゃあ私のメダル10枚あげますから、これで勝負です」 

女勇者「うん!」 

さっさっさっさっさ 

女勇者「わぁ。見てみて、僧侶ちゃん。ぜんぶ一緒!」 

僧侶「本当。フラッシュですね。ふふ、さすがに運がいいですぅ。ダブルアップしますか?」 

女勇者「だぶる?何?」 

僧侶「次のカードが、配られたカードより強いか弱いかを予想するんですよ」 

女勇者「へぇ…。当てたらどうなるの?」 

僧侶「もらえるメダルが倍に倍になっていくんです」 

女勇者「すっごいね!やるやる!」 

僧侶「はい。じゃあ、ダブルアップお願いします」ニコ 

さっ 

女勇者「J。見て、Jだって」 

僧侶「Jは11っていう意味ですよ。ちなみにQは12、Kは13です」 

僧侶「次のカードはどう思いますか?」 

女勇者「Kだと思う!」 

僧侶「へ?そうじゃなくって、上か下か…」 

さっ 

女勇者「ほら、Kだよ!」 

僧侶「わぁ…お見事ですぅ…。もう一回?」 

女勇者「やるやる!次はKより上か下かってことだよね?」 

僧侶「はい」ニコ 

女勇者「上!」 

僧侶「…え」 

さっ 

僧侶「…ジョーカー…すごい」 

・ 
・ 
・ 

女勇者「見てみて、こんなにいっぱい!!何枚だろうこれ?」 

僧侶「1600枚…ですね」 

女勇者「ねぇ、すごい?これすごい?」 

僧侶「ふぇぇ……すごすぎですぅ…!!」 

女勇者「はい、あげる!」 

僧侶「え?えぇぇ!?」 

女勇者「これ、僧侶ちゃんのだもんね。私も自分のメダル買ってくるー」 

トテトテ 

僧侶「あ、あはは…」 

女勇者「すいませーん。これでメダルくださいなー」 

バニーガール「あら。こんなところに来たらダメでしょうお嬢ちゃん」 

女勇者「えー。いいもん。戦士くんたちと遊びにきたんだよ?」 

バニーガール「保護者の方と一緒なのね。はい、交換しましょう」 

女勇者「これでおねがいしまーす」 

バニーガール「500Gで、25枚ね。はいどうぞ」 

女勇者「ありがとー!えへへ、今日は遊ぶんだよ!」 

バニーガール「ふふ、いいわね。がんばって」 

女勇者「うん!さっきも当てたから頑張る!」 

バニーガール「お嬢ちゃんに、運命の女神様が微笑みますように」ちゅっ 

女勇者「なぁにそれ?投げキス?」 

バニーガール「おまじないよ。ここではね、運命の女神様に嫌われちゃうと大変なの」 

女勇者「ふぅん。ありがとー!」 

トテトテ 

トテトテ 

戦士「……」 

女勇者「戦士くん、どうしたの?」 

戦士「俺は…自分の未熟さを猛烈に反省していたところだ」 

女勇者「…どうしたの?そんな顔しないで?」 

戦士「勝負事は何においても、引き際が大切だということを…なぜ失念したんだ…!」 

戦士「これしきの勝負に勝てなくて、何が戦士か…!」 

女勇者「そんなに落ち込まなくても大丈夫だよぉ。遊びなんでしょ?」 

戦士「む?そうなのだが…」 

女勇者「戦士くん、戦士くん」 

戦士「うむ?」 

女勇者「戦士くんに、運命の女神さまが微笑みますように」ちゅっ 

戦士「……」 

女勇者「おまじないなんだってー。知ってる?」 

戦士「…勇者殿、恩に着る。もう一度立ち上がろう」 

女勇者「えへへ、がんばって!」 

すたすたすた 

戦士「すまないが、もう1勝負。レートはさっきの倍だ」 

女勇者「おー!頑張って戦士くん!」 

女勇者「んん…いっぱいあって迷うなぁ。どれが楽しいんだろう」きょろきょろ 

トテトテ 

女勇者「あれ?なんだろうあの人だかり」 

トテトテ 

ざわざわ 
がやがや 

魔法使い「…スロットも面白いですね」 

ガチャン! 
ぐるるるるるる 
ばしっ!ばしっ!ばしっ! 

ギャラリー「おおおお!」 

魔法使い「また揃いました…。これで元手の100倍はいったでしょうか」 

じゃらじゃらじゃらじゃらじゃら 

魔法使い「すみません。メダルの入れ物をもうひとつ持ってきていただけますか?」 

女勇者「うわぁ…すごいなぁ、魔法使いちゃん。戦士くんに見せてあげたい」 

・ 
・ 
・ 

女勇者「あー、遊んだねぇ。面白かったぁー…」 

戦士「うむ。俺も良い息抜きになった」 

僧侶「えー?戦士さん、すっからかんだったじゃないですかぁ」 

戦士「……かたじけない」 

魔法使い「勇者様はすごかったですね。運がいいのでしょうか」 

僧侶「ううん。たぶん、そうじゃないと思います」 

戦士「?」 

僧侶「勇者様は、純粋にゲームを楽しんでましたから。私達みたいに、欲がないんですよ」 

僧侶「ね。戦士さん?」ニコ 

戦士「…う、うむ」 

女勇者「見て、これ。景品でもらったの!」 

戦士「これは…?」 

女勇者「えっとねぇ、戦士くん用の剣でしょ?僧侶ちゃん用の盾、魔法使いちゃん用の帽子!」 

僧侶「わぁ…これ、私達にくれるんですかぁ?」 

魔法使い「…!」 

戦士「この剣は…たしか20000枚で交換のものでは?」 

女勇者「うん!戦士くんしか使えないから、あげる!」 

戦士「勇者殿、自分用のものはなにかもらったのか?」 

女勇者「え?あ…。えへへ、忘れちゃった」 

女勇者「でもいいの。私、持っててもほとんど使えないから」 

魔法使い「…」 

女勇者「本当は、武器も好きじゃないしね。…えへへ、勇者がこんな事言っちゃ怒られちゃうかなぁ」 

戦士「…すまない。ありがたく使わせてもらう。勇者殿」 

女勇者「うんっ!」 

戦士「さぁ、帰ろう。明日からは切り替えてまた頑張らねばな」 

女勇者「そうだね!ね、戦士くん」 

戦士「うむ?」 

女勇者「今日は遊びにつれてきてくれてありがと!楽しかったぁ」ニコニコ 

戦士「ああ。また、いつか遊びに来よう」

女勇者「えへへ、いつも遊んでばっかりじゃダメだけどねぇ」 

僧侶「そうですね。じゃあ、こうしましょう。次は、世界が平和になってから」 

女勇者「平和になってから?」 

僧侶「はい。そしたら皆で、今度はゆっくり遊びましょうよ。ね?」 

女勇者「そうだね!楽しみだなぁ。戦士くんも、そのときは勝てたらいいね!」 

戦士「…うむ。次こそはかならず」 

【物語終盤】 

戦士「ぬりゃあああ!!!」 

ばしゅっ!! 

魔物を倒した。▼ 

女勇者「…」 




僧侶「ふわぁ…。戦士さん、見る見る強くなっていきますねぇ」 

魔法使い「ええ。毎日、夜遅くまで一人で稽古なさってますからね」 

僧侶「すごいときは朝方まで…。尊敬しますぅ…」 

戦士「大丈夫か、勇者殿?」 

女勇者「うん、平気。戦士くんが強いから、私、ぜんぜん役にたてないね」 

戦士「それで良い。勇者殿が戦わなくて済むのなら、それに越したことはない」 

女勇者「うん…。ごめんね、勇者なのに」 

戦士「良いんだ。さぁ、先を急ごう」 

女勇者「うんっ!」 

トテトテ 

トテトテ 

僧侶「あ…もしかして、次の目的地ってあれですか?」 

魔法使い「そのようですね。世界一高い塔…」 

僧侶「すごいですね。頂上がほとんど見えないです…」 

戦士「ここに、最強の剣が眠っているのだな」 

女勇者「みたいだね!みんな、頑張って手に入れなきゃね!」 

戦士「うむ。ここの魔物は手ごわそうだ。みな、心してかかろう」 

僧侶「はい!」 

女勇者「はぁい!」 

【塔】 

戦士「僧侶、最後列で勇者殿のアシストをしてやってくれるか?」 

僧侶「はい!」 

戦士「魔法使いは俺と前線で戦ってもらうことになる。かまわんか?」 

魔法使い「ええ、もちろんです。ここまで来て迷いはありません」 

戦士「うむ。俺とて、命など惜しくはない。では行こう!」 

女勇者「あ…戦士くん」 

戦士「うむ?どうした勇者殿?」 

女勇者「あのね?怒らないでね?」 

戦士「なんだ?言ってみなさい」

女勇者「私が弱いせいだけど…でもね?私を守るために死なないで?」 

戦士「!」 

女勇者「命は惜しくないとか、言わないで?わたし、みんな大好きだから…」 

女勇者「誰も死なないで、平和にしたいなぁ…」 

女勇者「…一番弱い私が、こんなこと言ってごめんね?怒らないでね?」 

戦士「いや。勇者殿の言うとおりだ」 

魔法使い「…そうですね」 

戦士「俺達は自分の身は自分で守れる。そして、勇者殿も守れる」 

魔法使い「ええ。私達も、ここまで頑張ってきたんですから。強くなったんですよ」 

戦士「だから、勇者殿はそんなことは気にしなくて良いんだ。自分の心配を一番にしなさい」 

女勇者「うんっ!」 

【2階】 

戦士「さすがに…手ごわい敵が多いな。みんな無事か!?」 

僧侶「はいっ!大丈夫です!」 

女勇者「…うん!大丈夫…!」 

魔物の攻撃! 
魔物は鋭いつめを振りかざし女勇者に襲い掛かった!▼ 

戦士「あぶない!!!」 

ガシィッ!! 

戦士に51のダメージ!▼ 

女勇者「う…うっ…!」 

戦士「ぬああああ!!!!」 

戦士の攻撃! 

ズバァ!!! 

魔物を倒した。▼ 

女勇者「はっ…はっ…!」ドキドキ 

戦士「危なかったな。もう少しでまともに食らうところだった」 

女勇者「はっ…!はっ…!」 

魔法使い「大丈夫ですからね、勇者様。落ち着いて、落ちついて…」なでなで 

女勇者「はぁ…!はぁ…!」 

魔法使い「よしよし。もう大丈夫。こわくない、こわくない…」なでなで 

女勇者「んぐっ…はぁ……はぁ……」 

僧侶「戦士さん、今の攻撃で、腕から血が…回復魔法(最大)」 

ぱぁぁぁ 

戦士「…すまない。俺もまだまだ未熟だ…」 

【15階】 

女勇者「ふぅ…ふぅ…今、何階くらいだろう…?」 

戦士「たしか15階だな。勇者殿、大丈夫か?」 

女勇者「ひぃ…ひぃ…だ、だいじょうぶ…!」トテトテ 

戦士「辛くなったら言うのだぞ?」 

女勇者「だいじょうぶ。戦闘じゃ役にたてないから…せめて、自分であるかないと…」 

戦士「…」 

女勇者「んしょ…よいしょ…っ」トテトテ 

女勇者「あっ!?」 

ドテッ 

僧侶「勇者さま…!だいじょうぶ?回復魔法(小)…」ぱぁ 

女勇者「…えへへ、ごめんね僧侶ちゃん。みんな、ごめんね…」 

魔法使い「戦士さん。ここで休憩をとりませんか?私達も回復しましょう」 

戦士「うむ。そうだな…まだまだ先は長そうだ。ここで休憩にしよう」 

女勇者「……ねぇ、僧侶ちゃん」 

僧侶「はい?なんですか?」 

女勇者「回復魔法の詠唱、もう一回おしえて…?」 

僧侶「え?もう一回ですか?前はどうしても出来なかったのに…」 

女勇者「私だって、みんなと比べたらぜんぜんだけど、ちょっとはレベルも上がってるから…」 

女勇者「だから、今ならできるかなって思って…。だめ?」 

僧侶「…勇者さま、そんなに無理なさらなくてもいいんですよ?」 

僧侶「魔法の詠唱は、精神力を消耗しますから…」 

女勇者「でも…私がよわいせいで、皆にずっと迷惑かけてるんだよ…?」 

女勇者「自分の回復くらい、自分で出来るようになりたいよぅ…」 

僧侶「わかりました。しんどくなったら、すぐにやめてくださいね?」 

女勇者「うんっ!ありがとう!」ニコ 

僧侶「いいですか?ブツブツブツブツ…」 

女勇者「ブツブツブツブツ…」 

僧侶「そして、回復したい箇所か方向に手をかざして」すっ 

女勇者「こう?これでいい?」すっ 

僧侶「はい。それから、回復魔法(小)」 

ぱぁぁぁ 

女勇者「回復魔法(小)!!」 

ぱぁ… 


戦士「おお!」 

女勇者「できた?ねぇ、僧侶ちゃん!今できたよね?」 

僧侶「はい!できましたよ、いま!すごいじゃないですか!」 

女勇者「えへへ、やったぁ。私も魔法使えるよ、魔法使いちゃん!」 

魔法使い「ええ、見てましたよ」ニコ 

女勇者「これで私も回復できるよね?戦士くん、怪我してない?」 

戦士「今のところは…いや、そういえばさっき手を切ってしまったな」 

女勇者「本当?私が治してあげる!」 

戦士「そうか。かたじけない」 

女勇者「あれ?戦士くん、自分の剣手のひらで触ったでしょー?」 

戦士「うん?そうだったかな」 

女勇者「えへへ、おっちょこちょいだね!いくよ?回復魔法(小)!」ぱぁ… 


戦士の傷が回復した。▼ 

女勇者「嬉しいなぁ。僧侶ちゃんも魔法使いちゃんも、怪我したら私に言ってね?」 

僧侶「ふふ…ありがとうございます。よろしくお願いしますねぇ」 

魔法使い「私も怪我しやすいので、お願いします」ニコ 

女勇者「えへへ…回復魔法(小)!」し…ん 

女勇者「あれ?」 

女勇者「回復魔法(小)〜!」 

MPが足りない。▼ 

僧侶「もう、勇者さまったら。はしゃいでそんなに使うから…」 

女勇者「えー?もう出来ないの?もっと治してあげたいのに…」 

戦士「よし。そろそろ回復も済んだだろう。あまりゆっくりもしていられない」 

魔法使い「そうですね。出発しましょう」 

女勇者「うんっ!」 

・ 
・ 
・ 

【塔・最上階】 

戦士「……ふぅ…ふぅ…」 

魔法使い「やっと……最上階……」 

僧侶「……もう、MPも体力も…ありません……」 

女勇者「………」ふら…ふら… 

戦士「…勇者殿、大丈夫か…?」 

女勇者「うん……うん」ふら…ふら… 

戦士「もうすぐ目的の剣があるはずだ。それまで頑張れるか…?」 

女勇者「だいじょうぶ…あるけるよ…」ふら…ふら… 

すたすた 

ふら…ふら… 

戦士「!あれが…あの台座に刺さっているのが」 

僧侶「最強の剣…でしょうか…?」 

魔法使い「綺麗……」 

女勇者「……わぁ……」 

僧侶「やっと、ここまで来ましたねぇ…」 

戦士「うむ。かなり厳しい戦いだった。さぁ、勇者殿」 

女勇者「…ふぇ?」 

戦士「早くあの剣を手に入れよう」 

女勇者「え……わたし?」 

戦士「うむ。もちろんだ」 

僧侶「私達は、ここまで勇者さまについて来たんですから」 

魔法使い「どうぞ、勇者さま」 

女勇者「でも…わたしじゃ、使えないから…戦士くんが取って?」 

戦士「…勇者殿が頑張ったから、俺達はここまで来れた」 

戦士「たまには、自分に褒美をあげてやってくれないか」 

女勇者「…うん。じゃあ、私が取るけど…。戦士くんにあげるね?」 

戦士「もし使えないようならそうしよう。だがな、勇者殿も強くなっている」 

女勇者「そうかなぁ…?」 

戦士「ああ。さっきも、初めて魔法が使えたではないか」 

女勇者「……そっか。そうだねぇ。じゃあ、取ってくる」 

ふら…ふら…ふら… 

女勇者「ホントに…綺麗な剣だなぁ…。なんか、見てると悲しくなる…」 

すっ 


シャキン! 

女勇者「!」 

戦士「おお…。抜けば、より一層美しい…」 

女勇者「うわぁ…軽い」 

びゅっ 

僧侶「え?あんなに大きい剣が、軽い…?」 

女勇者「うん。なんだか、羽根を持ってるみたい。すごく軽いよ…?」 
びゅんっ! 

魔法使い「これが、最強の剣…。すごいですね」 

戦士「ああ。だが…」 

魔法使い「…?」 

戦士「なんだ…?あの剣を見ていると、なぜか悲しくなるような…」 



女勇者「わぁ。見てみて、戦士くん。わたしにも剣が振れてるよっ」 

びゅんっ! 

びゅんっ! 

女勇者「でも…わたし、こんな剣持ってていいのかな…?弱いのに…」 

戦士「もちろんだ。勇者殿も、ここまでともに戦ってきたではないか」 

女勇者「…ねぇ、戦士くん?」 

戦士「む?」 

女勇者「やっぱり、この剣は戦士くんが使ったほうがいいよね?」 

戦士「いや。俺には、勇者殿からいただいたこの剣がある」 

女勇者「でも、きっとこの剣の方が強いよ…?」 

戦士「良いんだ。勇者殿にはこの剣は触れないし、俺もこの剣に愛着があるからな」 

戦士「その最強の剣は、勇者殿が使ってくれ」 

女勇者「…わかった。でも、最強の剣も、私が使ったら最強じゃなくなっちゃうね」 

戦士「…」 

女勇者「そうだ!」 

戦士「む?」 

女勇者「この剣、戦士くんが私に使わせてくれたから…戦士の剣にしよう」 

戦士「戦士の剣…?名前をか?」 

女勇者「うん。かっこいいでしょ?」 

戦士「うーむ…。そうか…?」 

僧侶「ふふ、いいじゃないですか、戦士の剣。勇者様がそうしたいなら」 

戦士「うむ。そうだな」 

女勇者「えへへ…よろしくね、戦士の剣!」 


女勇者は戦士の剣を装備した。 
女勇者  戦士の剣 E 
攻撃力  14 → 109 


【最後の町】 

トテトテ 

女勇者「ここが、魔王の城までの最後の町だねぇ」 

僧侶「そうなりますね。しっかり準備を整えましょうね、勇者様」 

魔法使い「戦士さん。今日には出発しないんですよね?」 

戦士「うむ。今日は一日休養をとって、明日万全の態勢で挑もう」 

女勇者「きょうはお休み?」 

戦士「ああ。とりあえず今日はこの町をゆっくり散策しよう」 

女勇者「うん!」 

魔法使い「では、私と僧侶は宿を取ってきますね」 

僧侶「戦士さんと勇者さまは、お食事が出来そうなところを探しておいてくれますか?」 

女勇者「はぁい」 

戦士「了解した。行こう、勇者どの」 

女勇者「うんっ!」 

トテトテ 

トテトテ 

女勇者「わぁ…いろんなお店があるねぇ」 

戦士「そうだな。最後も近い分、強力な武器や防具も揃っているのだろう」 

女勇者「へぇ…でも、私はこの剣があるから武器はあらないね!」 

戦士「うむ。俺もこの剣があるから、新しいものは必要ないな」 

トテトテ 

女勇者「ねぇ、晩御飯はどこで食べるの?」 

戦士「うむ。勇者殿は何が食べたい?」 

女勇者「んっと…なんでも良いけどねぇ」 

戦士「明日になれば魔王の城に出発だ。今のうちに好きなものを食べておこう」 

女勇者「うん!じゃあね、私…カレー食べたいなぁ」 

戦士「よし。カレーならばさっき見た店にあったな。そろそろ戻るか」 

女勇者「戻る?宿に?」 

戦士「うむ。僧侶達も宿を取って待ってくれているはずだ」 

女勇者「うんっ!」 

【宿】 

女勇者「ただいまっ!」 

僧侶「おかえりなさい。ご飯食べるお店は決まりましたか?」 

女勇者「うん!さっき見たお店で、カレーが美味しそうなの」 

僧侶「ふふ、勇者様はカレー大好きですもんね」ニコ 

女勇者「えへへ…僧侶ちゃんも好きでしょ?」 

僧侶「はい。もちろん大好きですよ」 

戦士「あまり遅くなってもいけない。そろそろ行こうか」 

僧侶「はぁい」 

魔法使い「そうですね。行きましょう」 

【店】 

女勇者「いただきまぁす!」はむっ 

僧侶「ふふ、勇者様。そんなにあわてなくても大丈夫ですよ」 

女勇者「わぁ。このカレー、ふっごくおいひいよ!」もきゅもきゅ 

魔法使い「勇者様。お口にものを入れて喋ってはいけませんよ?」 

女勇者「ごめんなさぁい…。でも、魔法使いちゃんも食べてみて?」 

魔法使い「ええ。いただきます」 すっ ぱくっ 

魔法使い「…本当。すごく美味しいですね」 

女勇者「ね?美味しいでしょ?」 



僧侶「戦士さん、少しお話があるんですが…よろしいですか?」 

戦士「む?どうした僧侶」 

僧侶「さっき、この町の方に聞いたんですが…」 

戦士「…あまりいい知らせではなさそうだな」 

僧侶「ううん。そういうわけじゃないんです…」 

戦士「?」 

僧侶「魔王との戦いについてなんですけど…」 

戦士「なにか問題でもあるのか?」 

僧侶「勇者様のことなんです。戦士さん、こんな話を聞いたことありませんか?」 

戦士「…なんだ」 

僧侶「勇者様にしか使えない、魔法のことです」 

戦士「いや、聞いたことがない…。詳しく聞かせてくれ」 

僧侶「そのぅ…なんでも、魔王を倒すには、勇者様のその魔法が必要なんだとか…」 

戦士「…それは、たしかな情報なのか」 

僧侶「わかりません。ただ、ここの町の広場で聞いたお話なんです。詩人さんみたいでしたけど…」 

戦士「…しかし、勇者殿はあの状態だ。今日になってやっと回復魔法が使えるようになったような…」 

僧侶「それなんですけど…」 

戦士「うむ?」 

僧侶「私、思うんです…。もしかしたら、勇者さまがここに来て魔法を使えるようになったのは、偶然じゃないのかも…」 

戦士「…その魔法を覚えて、そして使えるようになるために…ということか」 

僧侶「そうです。私の思い過ごしだといいんですけど…」 

戦士「…しかし、勇者殿はまだその魔法を使えるわけではないのだろう?」 

僧侶「はい。でも、聞いた話では…この町には祠があって…」 

僧侶「そこで、その魔法と関係のある何かがあるって…聞いたんですぅ…」 

戦士「……」 

僧侶「戦士さんは、どう思いますか?」 

戦士「…俺は魔法のことはさっぱりわからない。だが、僧侶が塔で言っていたような…」 

僧侶「精神力を消耗する…ですね。はい、もちろん…」 

僧侶「それが強力な魔法であればあるほど、身体の負担は大きくなります」 

戦士「その魔法は、魔王を倒すためには必ず必要なのか」 

僧侶「必ずという訳ではありません。話では、魔王の力を抑えるとしか言っていませんでしたし…」 

戦士「…そうか」 

僧侶「…どうしたらいいですか?勇者さまにお話します?」 

戦士「いや。やめておこう」 

僧侶「ふぇ?」 

戦士「俺達も十分に強くなったはずだ。勇者殿に負担をかけずとも、必ず勝てる」 

僧侶「…!そうですよね!」 

戦士「旅立つときに、俺達は約束しただろう。必ず勇者様をお守りすると」 

僧侶「はいっ。魔法使いちゃんも、戦士さんと同じことを言ってました」 

戦士「そうか…。魔法使いも、言わないでおこうと?」 

僧侶「はい。みんな、やっぱり考えることは同じなんですね」 

戦士「当然だ。ここまで苦楽をともにしてきた仲間なのだからな」

女勇者「ねー、二人ともなんのお話してるの?」 

戦士「うん?明日、頑張ろうという話をしていたんだ」 

僧侶「はいっ。明日、必ず魔王を倒しましょうね!」 

女勇者「うんっ!頑張る!私も、一生懸命てつだうからね!」 

戦士「…無理だけは、絶対にしてくれるな。いいな?」 

女勇者「むぅ…私だって強くなったんだよ?ほら、戦士くんの剣だってあるんだから」 

戦士「ああ、そうだったな。…明日は、必ず皆で勝とう」 

女勇者「そうだね!誰も欠けないで、平和を取り戻そうね!」 

戦士「うむ。そのためにも、今日はしっかり食べて早く寝るんだぞ?」 

女勇者「はぁい!」ニコ 

・ 
・ 
・ 

女勇者「ふぃぃ…もうお腹いっぱい…」ぽふぽふ 

僧侶「私もですぅ…えへへ、ちょっと食べすぎちゃったかな」 

魔法使い「ふふ、決戦前はそれくらいでちょうどいいですよ」 

戦士「よし…そろそろ宿に戻ろうか」 

女勇者「うんっ!」 

戦士「すまん、会計を頼む」 

店員「かしこまりました。4名さま、420Gになります」 

女勇者「ごちそーさまー!」 

店員「はい、ありがとうございました。ご健闘をお祈りしております」ニコ 

女勇者「うんっ!ありがと!頑張ってくるね!」ぶんぶん 

ガチャ 

バタン 

トテトテ 

トテトテ 

女勇者「ねぇ、戦士くん」 

戦士「うん?どうした?」 

女勇者「明日勝ったらねぇ、約束してたの、行こうね?」 

戦士「約束?」 

女勇者「もー!忘れたの?」 

戦士「ああ、カジノの話か。もちろん覚えている」 

女勇者「そうだよぉ。平和になったら、またみんなで遊びに行くって約束したもん」 

戦士「そうだったな。その約束、果たすためにも…明日は勝とう」 

女勇者「うんっ!」ニコ 

トテトテ 

女勇者「?」 

魔法使い「どうしましたか、勇者様?こんな広場で立ち止まって」 

女勇者「…?誰か居た?」 

魔法使い「はい?」 

女勇者「…んーん。誰かが見てるかと思ったの」 

魔法使い「夜とは言えまだ早いですからね。人通りもありますよ」 

女勇者「うん、そうだね。早く宿にもどろっ!」 

トテトテ 

トテトテ 

【宿】 

女勇者「それじゃあ…おやすみなさぁい」 

戦士「ああ、お休み。ゆっくり休みなさい」 

魔法使い「明日はいよいよ決戦ですからね。万全の態勢で臨みましょう」 

僧侶「そうですね。勇者さま、それじゃあ…いらっしゃい」 

女勇者「えへへ…」もぞもぞ 

僧侶「ふふ、甘えん坊さんですね」 

女勇者「だって…僧侶ちゃん、ママみたいだもん」 

僧侶「それは、喜んでいいのかなぁ…?」 

女勇者「えへへ、お休み!」 

僧侶「はい、おやすみなさい…」ニコ 

・ 
・ 
・ 

ポロン… 

女勇者「……ん」 

女勇者「…ん〜……」むく 

女勇者「まま…?」ごしごし 

ポロン… 

女勇者「……何の音だろ…」 

女勇者「…なんだろう?楽器…みたいな音…」 

ポロン… 

女勇者「……?……」すっ 

女勇者「ふしぎ…なんだか、きもちいい音…」 

トテトテ 

トテトテ 

【最後の町・広場】 

ポロン…ポロン… 

女勇者「誰だろう?こんな夜中に…?」 

トテトテ 

トテトテ 

詩人「…」ポロン……ポロン… 

女勇者「お姉ちゃん、誰?こんな夜に何してるの?」 

詩人「…」ポロン…ポロン… 

女勇者「みんな起きちゃうよ?ねぇねぇ」 

詩人「…大丈夫」 

女勇者「?」 

女勇者「…お姉ちゃん?」 

詩人「あなたに届けたい詩があったのです。こんな夜更けに失礼しました…」 

女勇者「うた…?」 

詩人「繰り返し、詠い継がれる詩を…」 

詩人は静かに目を閉じ、女勇者に詠い聞かせた。▼ 


ポロン… 

一人の少女を中心に 

昼と夜が続くように 

求める正義は廻り続ける 

・ 
・ 
・ 
・ 
・ 


女勇者「…お姉ちゃん、詩上手だねぇ」 

詩人「ありがとう…。この詩を綴ったのは、一人の少女」 

女勇者「?」 

詩人「魔王を倒しに行くのでしょう?」 

女勇者「うんっ。明日、皆で出発するの!」 

詩人「この詩では…少女は祠へ向かう」 

女勇者「ほこら?」 

詩人「そう…。行きなさい。あなたの大切なものが、そこにある…」 

女勇者「…?」 

詩人「あなたの大切なものの一つ。それが全てではないけれど…」 

詩人「…答えを構成する一つの要素。それだけでは不完全」 

女勇者「うーん。よくわかんないけど…ありがとう!行ってみるね!」 

詩人「…」ニコ 

【祠】 

トテトテ 

女勇者「うわぁ…こんなところがあったんだぁ」 

女勇者「なんだろう?さいだん?」 

トテトテ 

女勇者「……あのおねえちゃんが言ってた、大切なもの…って、なんだろう?」 

女勇者「…」 

『守るべきものを守る力…』 

女勇者「なんだか…声が聞こえる…?」 

女勇者「誰だろう…?」 

『欲するものは…?』 

女勇者「え?」 

『欲するものは?』 

女勇者「えっと……わかんない。ここに来いって言われたから…」 

女勇者「私は…」 

『…魔王を倒したいか』 

女勇者「うんっ!」 

『…仲間を守りたいか』 

女勇者「うんっ!」 

女勇者「えっとねぇ…。私は、なにより皆をまもりたいなぁ」 

女勇者「…今までずっと、私が弱いせいで…迷惑かけちゃったから」 

女勇者「だから、私は…強さよりも、みんなを守る力がほしい!だめ?」 

『…ならば授けよう』 

女勇者「ありがとう!」 

『力を伴わない正義は虚しい』 

女勇者「ふぇ?」 

『心だけでは、誰も救えない』 

女勇者「……?」 

『心しておくが良い…』 

『……勇者よ、力を授けよう。勇者にのみ許される、究極の魔法を』 

ぱぁぁ…… 

女勇者「…!」 


女勇者は自己犠牲回復魔法を覚えた。▼ 

【翌朝】 

女勇者「…!」ぱち 

僧侶「…すぅ……すぅ…」 

女勇者「…あれ?朝…?」 

女勇者「詩人のお姉ちゃん…?あれ?魔法は…?」 

女勇者「……?」 

女勇者「夢だったのかなぁ…」 

女勇者「でも、こんなにはっきり覚えてる」 

女勇者「大切なものがそこにある…?なんだっけ」 

女勇者「えっと…。力がない正義は虚しいだっけ?ん…心では誰も救えない?」 

女勇者「うぅん…なんだったんだろう?」 

僧侶「…ん…」 

女勇者「あ、僧侶ちゃん。おはよ」 

僧侶「ふあぁ…勇者さま?あれ…今日は早いですねぇ…」ごしごし 

女勇者「うん。なんだか目が覚めちゃった」 

女勇者「えへへ、今日は私の方が早起きだったねぇ。おはよ」 

僧侶「ふふ、負けちゃいましたぁ…おはようございます」ニコ 

戦士「む。起きたか、二人とも」 

魔法使い「おはようございます」 

女勇者「うん!おはよう!戦士くんも魔法使いちゃんも早起きだねぇ」 

魔法使い「ええ。もう日課のようなものですから」 

戦士「俺も早朝稽古にな。もう日課だ」 

女勇者「すごいなぁ。戦士くん、どんどん強くなっていくもんね」 

戦士「…うむ。それも全て、今日という日のためだ」 

魔法使い「いよいよですね…!」 

戦士「最後に確認しておこう。装備は十分か?」 

僧侶「はい。大丈夫ですぅ」 

魔法使い「問題ありません。勇者さまは?」 

女勇者「うんっ!大丈夫!これでいいよ!」 

戦士「よし!では行こう」 

女勇者「ねぇ、みんな!」 

僧侶「はい?どうしましたか?」 

女勇者「ぜったい、ぜったい!誰も欠けないで、帰ってこようね!」 

戦士「うむ。当然だ」 

女勇者「それから、みんなでまた一緒にカジノ!ね?」 

魔法使い「ふふ、そうですね…そのためにも、頑張りましょう」 

女勇者「うん!では、出発ぅ!」 

【魔王の城】 

女勇者「……」ごく… 

戦士「大丈夫か?勇者殿」 

女勇者「え、えへへ…ちょっとだけ怖いかな…」 

戦士「心配するな。俺が居る」 

女勇者「!」 

戦士「僧侶も、魔法使いもだ。俺達は強くなった。もちろん勇者殿もだ」 

女勇者「うん…!そうだね。しっかりしなきゃ!」 

戦士「俺が必ずお守りする。安心するといい」 

女勇者「ありがとう、戦士くん。私も頑張って手伝うからね!」 

戦士「ああ。俺はこの日のために、強くなってきたつもりだ。任せてくれ」 

女勇者「えへへ…かっこいいね、戦士くんは」 

戦士「…勇者殿をお守りすると誓ったからな。しかも、自分の命を犠牲にすることなく…だろう?」 

女勇者「うんっ!!」 

戦士「この長く続く通路も、相手に不安感を与えるためのものだ。敵の策略にまんまとはまってやることはない」 

女勇者「ふぇぇ…そんな意味があったんだぁ」 

魔法使い「確かに、同じ景色が繰り返していると不安になりますね」 

戦士「うむ。しかし、逆に考えてみろ。敵は我々に恐怖を感じて欲しいと思っているんだ」 

魔法使い「!」 

戦士「万全の状態で来られたくないと。敵の力量も我々と同等、もしくは俺達のほうが上だという証拠だ」 

僧侶「そ、そうですね。ちょっとでも気休めになりますぅ…」 

戦士「気は抜かないようにな。一本道は挟み撃ちされやすい」 

僧侶「は、はさみうち!?」 

戦士「うむ。しかし今の俺達ならば、並みの魔物に前後から襲われてもどうということはない」 

僧侶「…そっかぁ。私達も、強くなってるんですもんね!」 

戦士「もうずいぶん歩いたが、敵の動きはないな…」 

僧侶「そろそろかも知れませんね。準備しておかなきゃ…」 

女勇者「…」トテトテ 

魔法使い「…勇者様、どうかしましたか?先ほどから静かですが…」 

女勇者「なんだろう…?怒ってる」 

戦士「?」 

女勇者「すごく悲しい気持ちで、私を怒ってる…」 

魔法使い「…なにか、見えるんですか?」 

女勇者「んーん。そうじゃなくって…誰だろう?会ったことあるひとだよ」 

僧侶「……?」 

コツ… 

コツ… 

コツ… 


戦士「…!気をつけろ。前から来るぞ!」 

魔物「お久しぶりですね」 

コツ… 

コツ… 

戦士「な!?」 

僧侶「あ…あなたは……!」 

魔法使い「どうしてここに…!?」 

女勇者「え?え?…?」 


魔物「覚えていただけたんですね。私は忘れもしなかった」 

魔物「あなたたちに復讐するこの日を、夢にまで見ましたよ」 

魔物「父を殺され、町を滅ぼされた恨みを、今ここで晴らしましょう」 

魔物「私の町を滅ぼし、今もまだのうのうと世界平和を謳い続けるあなたたちを」 

魔物「世界中の人々が許しても…あなたたちを自分を許しても」 

魔物「私が、許させはしません」 

女勇者「あの時の…女の子?いけにえの…?」 

魔物「そう。あなたが魔物の手から救い出してくれた、いけにえですよ」 

魔物「貴方たちが去ってから数日、私たちの町は魔物に襲撃を受けました」 

女勇者「違うんだよ?あのね?私は、ただ…」じわ… 

魔物「黙ってください。見苦しい言い逃れなど、聞きたいわけではありません」 

女勇者「私はただ……いけにえが…死んじゃうのが嫌だったんだよぅ…」ぽろぽろ 

魔物「その…幼い、身勝手な正義のせいで…!!!」 

魔物「男は殺され!!女は嬲られ!!!それはもう、見るに耐えない光景でした…!!」 

魔物「私もあなたたちを呪いながら、死を覚悟した時…」 

魔物「私にとって神にも見えるお方から、チャンスをいただいたのです…」 

魔物「この惨事を招いた元凶に復讐するチャンスを、いただいたのです…!!」 

女勇者「…う…ひぅ…ご、ごめんなさい…!!ごめんなさい…!!」ぽろぽろ 

女勇者「ごめんなさい…ごめんなさいぃぃ…!!」ぽろぽろ 

魔物「あなたが泣いて悔やんだところで…父も、皆も、戻っては来ない…」 

魔物「覚悟してください…!」 

戦士「いかん!勇者殿!!!俺の後ろに下がっていろ!!」ぐいっ 

女勇者「きゃぁ…っ!?」 

戦士「魔法使い、僧侶!止むを得ない!行くしかない!」 

女勇者「待って!戦士くん、まってよぅ!!」 

魔物「ぐおぉぉおおおおおおお!!!!!」 

戦士「うおおおおおぉおおお!!!!!」 

ガキィン!!! 

僧侶「勇者様…我慢して…!」 

戦士「ぬりゃああああ!!」 

戦士の攻撃! 

ズシャアア!!! 

魔物に192のダメージ!▼ 

戦士「…勇者殿には、指一本触れさせんっ!!」 

魔物「ぐぅ…!!…ぐがぁぁ!!!」 

魔物は大きく息を吸い込み、火炎を吐き出した! 

ぶぉぉぉぉぉ!!! 

戦士「くっ…!」 

戦士は29のダメージ! 

魔法使いは86のダメージ! 

僧侶は97のダメージ! 

戦士は女勇者をかばった! 

戦士は21のダメージ!▼ 

魔法使い「冷気魔法(最大)!!」びゅおおおお! 

僧侶「全体回復魔法(中)!」ぱぁぁぁ 

戦士「ぬりゃあああ!!!」ばしゅ!! 

女勇者「あぁ…うわぁ……!」 

魔物「………ぁ……」 

戦士「…はぁ…はぁ…。もう動けんようだな…。僧侶…」 

僧侶「は、はい!」 

戦士「…勇者殿に見せたくない…」 

僧侶「…」こく 

女勇者「いやだ…いやだよぅ…!」 

女勇者「ねぇ、人を殺すの?私たち、世界の平和を取り戻すんだよ?なんで…」 

僧侶「…ごめんなさい…!睡眠魔法(最大)…」 

女勇者「…人を殺すの……?やめて…あげて……」 

女勇者「………」 

女勇者は眠ってしまった。▼ 

戦士「……すまない」 

魔物「パパぁ……パパぁ…!」 

僧侶「うっ……うぅ…」ぽろぽろ 

魔法使い「……」 

魔物「ぐ……ぐがぁぁ!!」ばしっ! 

戦士に4のダメージ!▼ 

戦士「…許しては……くれないのか」 

魔物「許さない……!!!絶対に許さない…!!」 

戦士「……」 

戦士は剣を魔物に振り下ろした。 

魔物「ぎ…あ……ぁ」 

魔物「……ぱ……ぱぁ」 

魔物を倒した。 
10032の経験値を獲得。 
戦士のレベルが上がった! 
魔法使いのレベルが上がった! 
僧侶のレベルが上がった!▼ 

女勇者「…ん」ぱち 

戦士「…起きたか、勇者殿」 

女勇者「……!」がばっ 

女勇者「…あの子は…?ねぇ、あの子は…?」 

戦士「勇者殿。あの子は、倒さなければならなかった。わかってくれ」 

女勇者「……そんな…いやだよぅ…」 

僧侶「…」 

女勇者「どこに…どこに居るの…?」 

戦士「…あそこだ。見ないほうがいい」 

女勇者「いや!!」 

戦士「…勇者殿。先を急ごう」すっ 

女勇者「離して!このままなんて行けないよぅ…!」 

戦士「勇者殿…!」 

女勇者「離してっ!!!」 

戦士「…!」ぱっ 

女勇者「…」たったった 

魔物「   」 

女勇者「…う……」 

魔物「   」 

女勇者「ごめんね?本当にごめんね…ごめんなさい…」 

魔物「   」 

女勇者「ごめんなさい…」ぽろ… 

魔物「   」 

女勇者「ごめんなさい!ごめんなさい!…うわぁぁぁん!!」ぽろぽろ 

魔物「   」 

女勇者「ああああああぁん!!うぇぇええん…」ぽろぽろ 

魔法使い「……勇者様」 

女勇者「えぅ…えぐ……」ぽろぽろ 

魔法使い「…こうするしかなかったんです…わかってください…」 

女勇者「…わか…ってる…」ぽろぽろ 

魔法使い「え…?」 

女勇者「だから……私も…ちゃんと…」ぽろぽろ 

女勇者「私がしたことを、責任を…ちゃんともって行くの…!」 

戦士「!」 

女勇者「……私だけ、見ないでなんて行けない…」 

女勇者「皆だけじゃなくて、私も…ちゃんと……」 

女勇者「私は……勇者なんだから……」 

僧侶「勇者さま…」ぽろぽろ 

女勇者「…ごめんね。もう大丈夫」ぐしぐし 

戦士「…もう少し休んで行こう。まだ落ち着いていないだろう」 

女勇者「んーん。平気。泣いちゃってごめんなさい」 

僧侶「…」ふるふる 

女勇者「…うん、大丈夫。みんな、行こっ!」 

戦士「…勇者殿…。うむ、そうだな。先を急ごう」 

女勇者「うんっ!早く、戦いをおわらせようね!」 

女勇者「もう、この子みたいな思いをする人は、いやだもん…」 

魔法「…そうですね。もうこんな思いをする人を出さないためにも、急ぎましょう」 

すたすた 

トテトテ 

女勇者「…早く、魔王を倒さなきゃ…!」 

すたすた 

トテトテ 


魔王の側近「くっくっく。お待ちしておりましたよ」 

女勇者「!」 

魔王の側近「まさかあなた達があの半人半魔を倒してしまわれるとは…」 

魔王の側近「あの娘には相当の実力を与えたと思っていたのですがね」 

女勇者「まさか、あの子を魔物にしたのって…」 

魔王の側近「いかにも。あなた達人間もなかなかに非常な生き物のようですね」 

魔王の側近「それとも…やはり半魔の出来損ないには貴方達の相手は務まらなかったか…」 

戦士「貴様!!」ぎり…! 

僧侶「許せない…!!!」ぐっ 

魔法使い「…あの子の命を、純粋な心を弄んだ…!」 

女勇者「……!」わなわな 

魔王の側近「くっくっく。何を怒っているのです?貴方達がしたことは正しい」 

女勇者「…」 

魔王の側近「今までも何千もの魔物を殺してきたではありませんか?」 

魔王の側近「それが、貴方達の言うところの『正義』なのでしょう?」 

女勇者「!」 

魔王の側近「さぁ、かかっておいでなさい。私が、その愚かしい正義を打ち砕いてみせましょう」 

女勇者「…許せない」じわ… 

戦士「勇者殿」 

女勇者「許せない…!許せないよぅ…!!」ぽろぽろ 

魔王の側近「はぁっはっはっは!!勇者が、怖気づいて泣くのですか?」 

女勇者「…どうしよう、戦士くん…!あいつが憎いよ…!!憎い…!」ぽろぽろ 

戦士「…俺もだ」 

女勇者「こんな気持ちが…!!正義なの…!?だって、私ね…こんなにも、あいつを…!!」ぽろぽろ

女勇者「こんな気持ちになるのが…正義なの…!?」ぽろぽろ 

戦士「勇者殿。正義とは、正しいことを正しいと信じることだ。言っただろう」 

女勇者「でも…でもぉ…!!」ぎりぎり 

戦士「自分の正義を疑うな。もう二度と、あの子のような思いをさせたくないんだろう」 

女勇者「…!」 

戦士「今は戦うしかない。心を決めろ、勇者殿」 

女勇者「…うん!あいつを……倒さなくちゃ…!」 

魔王の側近「くっくっく。泣き言は終わりましたか?」 

戦士「外道め…!」 

魔王の側近「では…はじめましょう。魔王様には、指一本触れさせません!」 


魔王の側近は両手を掲げて詠唱を始めた。 
悪の気が側近の両手に集まっていく!▼ 

僧侶「なんて邪悪な気…!!びりびりしますぅ…!」 

魔法使い「いけない…!僧侶さん、みんなに防御魔法を!」 

僧侶「はい!」 

僧侶は目を閉じ、詠唱をはじめた。▼ 

僧侶「ブツブツブツブツ……!」 

魔王の側近「くっくっく。遅い!」 

魔王の側近は溜まった邪気を戦士たちめがけて解き放った! 

魔王の側近「暗黒魔法(最大)!!」 

ぶぉぉぉぉん!!! 

僧侶「ひ…!」 

魔法使い「巨大すぎる…!!戦士さん、全体魔法ですっ…!」 

戦士「いかん!!勇者殿、俺の後ろへ!!」ぐいっ 

女勇者「ひゃぁ…!」 

僧侶に103のダメージ! 

僧侶「あああああぁっ!」 

魔法使いに89のダメージ! 

魔法使い「うっ…!!」 

戦士に70のダメージ! 

戦士は女勇者をかばった! 

戦士に81のダメージ!▼ 

戦士「ぐああああああ…!!」 

女勇者「…!!」 

魔王の側近「くっくっく。他愛もない。勇者が仲間に庇われているような様では勝負は見えましたね」 

女勇者「戦士くん、大丈夫?戦士くん!」 

戦士「あ、ああ…問題ない」 

女勇者「…回復魔法(小)!」ぱぁぁ 

戦士のHPが21回復した。▼ 

戦士「俺のサポートはかまわん!勇者殿はとにかく自分の身を守ってくれ」 

女勇者「でも…!戦士くん、腕が…!」 

戦士「大丈夫だ。まだ剣は握れる」 

女勇者「…!」 

戦士「僧侶!サポートを頼む!いくぞ、魔法使い!」 

魔法使い「はいっ!」 

僧侶「ブツブツブツ…!」 

僧侶「主よ、悪しき者の纏いし衣を剥ぎ取り給え!」 

僧侶「守備力低下魔法(大)!」 

ひゅうん… 

魔王の側近「くっ…!」 

戦士「ぬぅおおおおおお!!」 

戦士の攻撃! 

ごしゃああああ!! 

魔王の側近に212のダメージ!▼ 

魔法使い「火炎魔法(最大)!!冷気魔法(最大)!!」 

魔王の側近「な…!?同時に…!?」 

魔法使い「爆発魔法(最大)!!」 

魔王の側近に256のダメージ! 

魔王の側近「ぐぁぁ…!!」ふらっ… 

戦士「よし!たたみ掛けろぉ!!!」 

・ 
・ 
・ 

魔王の側近を倒した。▼ 

戦士「はぁ……!はぁ……!」 

女勇者「大丈夫…?ねぇ、だいじょうぶ?」 

戦士「うむ…。勇者殿は、怪我はないか…?」 

女勇者「私は平気だよぅ。でも、戦士くんも僧侶ちゃんも、怪我が…」 

僧侶「えへへ、私は平気ですぅ。これくらい慣れっこですから」 

女勇者「でも…痛いでしょ?血がいっぱい…」 

僧侶「これくらいの傷なら、治りますから…。勇者様、腕にお怪我が…」 

女勇者「え?これくらい平気だよ。ちょっと火傷しちゃっただけだから」 

僧侶「いけませんよ。すぐに治療しないと。腕を出してください」すっ 

女勇者「だめ…。先に戦士くんと、僧侶ちゃんの怪我を…」 

僧侶「良いんですよ。勇者様をお守りするのが最優先ですから」ニコ 

女勇者「でも…」 

僧侶「回復魔法(中)」ぱぁぁ 

女勇者「…どうして、最初に私の回復なの?」 

僧侶「私たちは、勇者様を無事にお守りすること誓いましたからね」 

女勇者「私、なんにも役に立ててないのに…。なんで…?」 

戦士「勇者殿。それは気にすることではない」 

女勇者「戦士くん…?」 

戦士「勇者殿は、俺たちと違って望んで戦っているわけではない」 

女勇者「…戦士くん達は、好きで戦ってるの?」 

戦士「そうではない。俺達は、逃げたければ逃げられるのだ」 

女勇者「…」 

戦士「勇者殿は、そうではない。いわば正義を強制された人」 

戦士「その年にして、戦うことを義務付けられた人。勇者であるがゆえに」 

女勇者「私だって、義務だから戦ってるわけじゃないもん…」 

戦士「それでもだ。俺達は、そんな勇者殿をお守りするためにここまで貴女についてきた」 

魔法使い「勇者様がもし勇者として生まれなければ、ここい居ることはなかったでしょう?」 

女勇者「…それは」 

魔法使い「もしもの話をしても仕方がないですが…」 

魔法使い「普通にお母様のもとで、毎日を平穏に送れたかもしれない…普通の少女として」 

女勇者「…普通の女の子として…」 

魔法使い「いつか言っていたでしょう?普通の女の子だったらなぁ…って」 

女勇者「…うん。でも、もしそうだったら、こうしてみんなと一緒に居られなかったもん…」 

魔法使い「そうですね。でも、こうして私達は出会えた」 

魔法使い「勇者様が私達を仲間だと思ってくれるのであれば…」 

女勇者「うん!もちろんだよ。戦士くんも、僧侶ちゃんも、魔法使いちゃんも…みんなやさしい仲間!」 

魔法使い「ふふ、ありがとうございます。ですから、私達は…」 

魔法使い「せめて、この旅が終わってからは、普通の女の子として生きてもらいたい」 

魔法使い「だからこそ、私達は貴女をお守りするのです」 

女勇者「…魔法使いちゃん」 

僧侶「えへへ…だから、勇者さまは心配しなくても良いんですよ」 

女勇者「そう…なのかなぁ」 

僧侶「そうですよぅ。だって、私達は勇者さまをお守りするために集まったんですから」ニコ 

戦士「うむ。そして、俺達はそのために強くなった」 

戦士「魔王と戦えるほどに。それはきっと…」 

戦士「魔王を倒すためよりも、勇者殿を守るためだ」 

女勇者「私を守るために…強くなったの?」 

戦士「そうだ。わかってくれるな?」 

女勇者「うん。わかった!…みんな、本当にありがとうね…」 

女勇者「弱い私なんかに、ここまでついてきてくれて」 

僧侶「…」ニコ 

女勇者「でもね?私にも、正義はちゃんとあるんだよ?」 

魔法使い「もちろんです。私達今までずっと、勇者様の成長を見てきたのですから」 

女勇者「えへへ。だから、一個だけお願い聞いてくれる?」 

戦士「なんだ?言ってみなさい」 

女勇者「私も、みんなを守りたいの」 

戦士「…」 

女勇者「あのね?私ね…みんな大好きだから…」 

女勇者「みんなが私を守りたいって思ってくれるのと同じくらい、私もみんなを守りたい!」 

僧侶「…勇者様」 

女勇者「弱い私だけど…きっと、なにか役に立てることがあるから。だから…」 

女勇者「私も、自分の正義をがんばってつらぬきたいなぁ」 

魔法使い「…」 

女勇者「強制されたからとかじゃなくって。これが私の正義だと思うの。だめ?」 

戦士「…勇者殿の気持ちはわかった」 

僧侶「そうですね。私達にも正義があって、勇者様にも正義がある…」 

魔法使い「二つの正義に優劣なんてありませんもんね」ニコ 

女勇者「えへへ、ありがとう」 

戦士「うむ。俺たちも全力で勇者殿を守る。勇者殿も、もしもの時は守ってくれ」 

女勇者「うん!がんばって、みんなで魔王を倒そうね!」 

僧侶「はいっ。そして、世界に平和を…」 

魔法使い「皆で力を合わせれば、必ず勝てますよね」 

女勇者「勝てるよ!」 

戦士「よし…それぞれ回復は済んだか?」 

僧侶「はい!」 

魔法使い「大丈夫です」 

女勇者「はぁい!」 

戦士「うむ。パーティーの士気も最高だ。行こう」 

僧侶「…この扉の向こうに魔王が…!」 

魔法使い「いよいよ、最後の戦いですね…!」 

ギシ… 

キィィィ… 

【最終決戦】 

魔王「来たな、幼き勇者よ」 

魔王「よくぞ…ここまでたどり着いた」 

女勇者「……すごい…体が…震える…!」 

戦士「強い!今までの魔物とは比べ物にならない…!」 

僧侶「……空気が、震えてる」 

魔法使い「……負けません!」 

魔王「貴様らを侮っていた事を謝ろう。たかが子供と侮っていた」 

魔王「この勇者を守りながら、ここまでたどり着いた。人間ながら、賞賛に値する」 

戦士「当然だ。そして、貴様も倒す!」 

魔王「よかろう。もはや言葉は不要」 

魔王「かかって来るが良い。勝てば正義、負ければ滅びる。余こそが貴様らの倒すべき…」 

魔王「敵だ!!!」 

女勇者「…負けないもんっ!」ぐっ 

魔王「破壊を」 

魔王の邪気が空を覆っていく…! 
邪気が雷雲となり、悪魔の雷(いかずち)が起こる!▼ 

戦士「天井が震えている…!来るぞ!」 

僧侶「神よ…この者達を護りたまえ。魔法防御(全体)」 

ぱぁぁ… 


戦士は魔法攻撃に強くなった! 

魔法使いは魔法攻撃に強くなった! 

僧侶は魔法攻撃に強くなった! 

女勇者は魔法攻撃に強くなった!▼ 


魔王「無駄な事。そのような脆い防御で防げるものではない」 

バリバリバリバリィッ…!! 

悪魔の雷(いかずち)が戦士達を襲った! 

戦士に82のダメージ! 

魔法使いに131のダメージ! 

僧侶に120のダメージ! 

戦士は女勇者をかばった! 

戦士に89のダメージ! 

僧侶「くぅぅ…!全体回復魔法(大)!」ぱぁぁぁ 

戦士「魔法使い!攻めてくれぇ!!」 

魔法使い「はい!勇者様、私と一緒に!」 

女勇者「う、うんっ!!」

魔法使い「はぁぁ…!火炎魔法(最大)!!」 

ぼぉぉぉお!!! 

魔王「ぬ…!小癪な、小娘」 

魔王は魔法を振り払い、魔法使いに腕を振り下ろした! 

女勇者「…えいっ!!!」ぶんっ!! 

女勇者の攻撃!    

ガキンッ! 

魔王「くっ!?」 

魔王に29のダメージ!  

魔王の攻撃は外れた!▼ 

戦士「よし!僧侶、サポートを頼む!」 

僧侶「はい…!」 

僧侶「守備力強化魔法(大)!」 

ぐぐぐ… 

戦士「ぬりゃあああああ!!!」 

戦士の攻撃! 

会心の一撃!! 

ずしゃあああああ!!!! 

魔王「ぬぅぅ…!!」 

魔王に412のダメージ!!▼ 

戦士「いけるぞ…!!」 

魔王「甘い…!!!攻撃後に隙を見せるなど…」 

魔王は拳を握り締め、戦士の体をたたきつけた! 

戦士「がっ…」 

戦士に209のダメージ!! 

戦士「…う…腕がやられた…!!」 

女勇者「回復魔法(小)!」ぱぁぁ 

戦士「勇者殿…!」 

女勇者「回復魔法(小)!回復魔法(小)!」ぱぁぁ… 

戦士「…よし。剣は握れる!恩に着るぞ、勇者殿!」だっ! 

女勇者「うんっ!戦士くん、私も行くよ!いいでしょっ?」 

戦士「…うむ!勇者殿は右から頼む!」 

女勇者「はいっ!!」 

たったった 

魔王「ふ…どこから何人でかかろうと同じこと。一人ずつ潰せば良い」 

戦士「ぬりゃああ!!!」 

女勇者「やぁーっ!」 

魔王は身を翻し、なんと女勇者の方向に向かって突進した!▼ 

戦士「な…!」 

女勇者「うぅ…!?」 

魔王「ふははは!この勇者の一撃など恐るるに足らん!」 

魔王「貴様の攻撃では挟み撃ちになどならんのだっ!」 

勇者の攻撃! 

ガキンッ! 

魔王に16のダメージ! 

魔王「この程度!所詮ガキの戯れよ…!」 

魔王は右手に邪気を溜め、そのまま女勇者に振りかざした! 

女勇者「ひっ…!」 

女勇者「うわ…うわぁあ…!!」」 

魔王に140のダメージ!!▼ 

魔王「な…!?」 

魔法使い「私たちを忘れてもらっては困ります。私たちは4人で一つ…!」 

僧侶「勇者様、いまのうちに…!こっちへ!」 

女勇者「…ふぇ?あ…うんっ!」 

魔王「くっ……ちょこまかと…!」 

戦士「俺に背中を向けるとは、愚かな!魔王!」 

戦士の攻撃! 
戦士は剣を高く振り上げ、魔王の背中に突き立てた!! 

ドスゥ!! 

魔王「ぐぅおおおおお!!!!」 

魔王に326のダメージ! 

魔王「ふぅ…ふぅ…!」 

戦士「はぁ……はぁ…!」 

僧侶「戦士さん、回復を…!回復魔法(最大)!」ぱぁぁ 

戦士「…かたじけない!」 

戦士「魔王!!貴様を倒す!!」 

魔王「馬鹿な…!!ほざけ、人間ごときが…!!」 

魔王は立ち上がり、右手を天に掲げた! 

魔王は自分の生命力を削って、自らの右手に邪気を集め始めた! 

戦士「…最後の一撃か!」 

女勇者「戦士くん!私も行く!」 

僧侶「戦士さん、サポートはお任せください!」 

魔法使い「援護します!必ず魔王に隙を作ってみせます!」 

戦士「よし!行くぞ…!!!」 

魔王は自らの命を乗せた一撃を放った!▼ 

魔王「おおおおおおおおオォォォッ!!!」 

魔法使い「火炎魔法(最大)!冷気魔法(最大)!」ゴゴゴゴ…… 

魔法使い「爆発魔法ォ(最大)!!!」 

ズガァァァン!!! 
魔王の右腕に直撃!▼ 

僧侶「素早さ上昇魔法(最大)!」 

ピュイイイイン…!! 

戦士の素早さが大幅に上がった! 

女勇者の素早さが大幅に上がった! 

魔法使い「はぁ、はぁ……!攻撃力倍増魔法!!」 

グィィィン!!! 

戦士の攻撃力が2倍になった! 

女勇者の攻撃力が2倍になった! 

戦士「行くぞ、勇者殿っ!」 

女勇者「うんっ!」 

魔王「馬鹿な!馬鹿なっ…!!」 

女勇者「やぁぁぁあああ!!」 

戦士「うおぉぉおおおお!!」 

女勇者と戦士は左右から同時に魔王に斬りかかる! 

ズガァアアアアン!!! 

二人の剣は魔王の体に深く突き刺さった!!▼ 

魔王「が……!」 

女勇者「……はぁ、はぁ」 

戦士「……はぁ…!はぁ…!」 




ガクッ… 

魔王「……見事だ、人間」 

戦士「やった…のか?」 

僧侶「私たちの絆が…勝ったんですね…!!」 

魔王「…絆か。それが貴様ら人間の強さか…!」 

女勇者「…勝ったの?私たち、勝ったの?」 

魔法使い「ええ…!ついに、魔王を…倒しましたよ…!!」 

女勇者「終わったんだ……終わったんだね…!」 

魔王「見事だ。貴様ら人間の絆…強さ……見くびっていた…」 

魔王「そして…」 




魔王「それこそが、弱さでもある…!!」 

戦士「なに!?」 

魔王「混乱魔法(最大)!!!」 

ぐら… 

戦士「ぐ……」 

戦士は混乱してしまった!▼ 



女勇者「戦士くん!?」 

魔王「ふははは…油断したな…!余が膝をついたことで…!」 

魔法使い「卑怯な…!」 

僧侶「は、早く正気に…戻さないと!」 

魔王「無駄だ。余のかけた魔法はそう簡単に解けるものではない…」 

魔王「余の命も僅かだが…貴様らのうち一人でも戦えねば勝機はある…!」 

魔法使い「くっ…戦士さん!正気に戻って!!」 

戦士「く…!勇者殿、どこだ!?」 

女勇者「戦士くん!ここ!見えるでしょ!?」 

戦士「俺の後ろに下がっていろ!勇者殿!!」 

女勇者「戦士くん!!」 

魔法使い「だめです!勇者さま、今の戦士さんには聞こえていません!」 

女勇者「そんな…戦士くん、お願い!元にもどってよう…!!!」 


戦士「そうだ。勇者殿は必ず俺が守る!!後ろに隠れていろ!」 

戦士「大丈夫。心配するな。俺たちはあなたをお守りするためにここまで強くなった!」 

戦士「必ず俺達が守り抜いてみせる!」 

戦士「覚悟しろ、魔王!!」 

シャキン! 

女勇者「え…?」 

魔王「ふははは…皮肉なものよ…!」 

魔王「守るべきものの幻を背に、守るべきものに剣を向ける…」 

魔王「絆など…!崩れてしまえば弱さに変わる…その絆が…強ければ強いほどに……!!」 


戦士「行くぞ…!!ぬりゃああ!!」 

女勇者「うぅ…!!」 

戦士の攻撃! 

キィン! 
キィン! 

ガキィン! 

女勇者「戦士くん…っ!やめて…!!」 

戦士「うおぉぉぉぉぉおお!!!」 

女勇者「戦士くん!!!!」 

戦士は女勇者の体を思い切り叩き切った! 

ズシャアアア…!! 

女勇者に192のダメージ!!!▼ 

僧侶「勇者さまぁーー!!!!」 

女勇者「……っ」 

どさっ 

戦士「…とどめだ、魔王!!」 

魔法使い「…もうだめ!!火炎魔法(最大)!!」 

魔法使いは戦士に魔法を放った! 

戦士「ぐぅあああ!!何を…!?」 

戦士に180のダメージ!!▼ 

戦士「く…!?魔法使い!?気でも違ったか!?」 

僧侶「戦士さん…!!!」 

戦士「俺達で勇者殿を守ると!誓ったではないか!!」 

魔法使い「火炎魔法(最大)!!」ぼぉぉぉぉお 

戦士「我々の誓いは…!?魔法使い…!!」 

魔法使い「火炎魔法ぉぉぉぉ(最大)!!!」ぼおぉぉぉお!!!! 

戦士「な…ぜだ…!!」 

僧侶「勇者さま…!回復魔法(最大)!!」ぱぁぁ 

女勇者「……ひゅ………ひゅ………」 

僧侶「回復魔法(最大)!!!回復魔法(最大)!!!回復魔法ぉぉぉ(最大)!!!」 

女勇者「………ひゅ……ひゅ……」 

女勇者「…ぁ………ぁ……」 

僧侶「傷が…!傷が…ふさがらないよぅ…!!!」 

魔法使い「…戦士さんは、もう大丈夫…!もう起きられないはずです…!!」 


魔王「馬鹿な…!!貴様ら、なぜ…なぜ混乱もせず…仲間を平気で傷つけられるのだ…!?」 

魔法使い「平気…!?」 

魔王「貴様ら…戦士に、全滅させられる…はずでは…」 

魔法使い「…平気で…戦士さんを倒したとお思いですか…!」 

魔王「…!」 

魔法使い「私が、どんな気持ちで戦士さんを…!!!」 

魔法使い「…許しません」ぽろぽろ 

魔王「…馬鹿な…貴様ら人間に、そんな事が…」 

魔法使い「…私達は、勇者様を守る為にここまで強くなった」 

魔法使い「それは戦士さんも同じ…。勇者様をお守りするには、こうするしか…」 

魔法使い「…いえ。もう少し早く決断するべきだった。戦士さんを倒すと」 

魔王「……!」 

魔法使い「これが絆。私達の、勇者様を守るための絆…!」 

魔法使い「…あなただけは、絶対に許さない!」 

魔法使いは自分の持てる魔法力を全て解き放った。 

魔法使いの魔法が魔王の頭上から降り注ぐ! 

魔王「ぐ…ぐぁあああああ!!!!!」 



魔王を倒した…。▼ 

魔法使い「はぁ…はぁ……はぁ…」がくっ 

魔法使い「勇者様…勇者様は…?戦士さんは…?」 

ふら…ふら… 

僧侶「…魔法使いさん…傷が…!傷が塞がらないよぅ…!どうしよう…!」 

魔法使い「……どうして、こんな事に……!」 

僧侶「止まらない…!血が止まらないんです……っ!」ぽろぽろ 

女勇者「……ひゅ………ひゅ……」 

魔法使い「……戦士さんは…」 

戦士「……」 

僧侶「戦士さんも……全身火傷だらけで…どうしようもなくって…!」ぽろぽろ 

魔法使い「……せっかく…せっかく、魔王を倒したのに…」 

女勇者「……て…」ぱくぱく 

僧侶「!勇者さま、聞こえますか?勇者さま!!」 

女勇者「…ち………って…」ぱくぱく 

僧侶「なんですか?勇者さま、何が言いたいんですか…?!」 

女勇者「お…ちに………って」 
ぱく…ぱく… 

魔法使い「!!」 

僧侶「何ですか?勇者様、なんですか…!?」ぽろぽろ 

魔法使い「『おうちにつれてって』…」 

僧侶「え?」 

魔法使い「僧侶さん…瞬間移動魔法はまだ使えますか?」 

僧侶「あ…あと一回くらいなら、なんとか……」 

魔法使い「…連れて帰ってあげましょう。お母様の所へ」 

僧侶「…はい。わかりました」 


戦士「……」魔法使い「戦士さんは私が。僧侶さんは、勇者様を…」 

僧侶「わかりました…。勇者、帰りましょうね…」 

勇者「……ひゅ……ひゅぅ……」 

僧侶「…最初の町へ。瞬間移動魔法…」 

【最初の町】 

僧侶「帰って来ましたよ、勇者さま…」 

女勇者「…」ぱく……ぱく…… 

魔法使い「……」 



勇者の母「勇者…?」 

僧侶「!」 

魔法使い「勇者様の…お母様…?」 

勇者の母「勇者!!」だっ 

女勇者「……ひゅ……」 


勇者の母「あぁ…!!勇者……!!」ぎゅ 

女勇者「ま……ま……」 

勇者の母「…ごめんなさい……!!ごめんなさい……!!」ぎゅぅ…! 

女勇者「ただい…ま…」 

勇者の母「…お帰りなさい…。勇者…私を許して……!」 

女勇者「ま…ま?なかないで……?」 

勇者の母「…痛かったでしょう…?怖かったでしょう…?…ごめんなさい…!」ぽろぽろ 

女勇者「……帰った…よ…?がんばったよ…?」 

勇者の母「ええ…。よく頑張ったわ…!!だからもう…しゃべらないで…!」 

女勇者「……」ニコ 

女勇者「……そう…ちゃ……ま…」 

僧侶「…はい。勇者さま…?」 

魔法使い「……う…ぅ…!」 

僧侶「魔法使いさん…聞いてあげましょう…」 

魔法使い「はい…ごめんなさい……」 

すっ 

僧侶「なんですか、勇者さま…?聞いてますよ…?」 

勇者「あの…ね?戦士くんが…起きたら…」 

僧侶「え?」 

・ 
・ 
・ 

僧侶「…わかりました。必ず…」 

魔法使い「…必ず伝えます…」 

女勇者「……」ニコ 

僧侶「…」 

魔法使い「…」 

女勇者「ママ……ママ…いる…?」 

勇者の母「ここに…すぐ傍にいるわよ。どうしたの…?」 

女勇者「抱っこ……」 

勇者の母「…ええ。いらっしゃい…」ぎゅ 



女勇者は母親の腕に抱かれ、静かに目を閉じた。 

女勇者の命が光となり、身体から浮かび上がる…。▼ 

女勇者「……自己犠牲回復魔法」 

女勇者の身体から小さな光は、 
弱々しく輝きながら仲間達に降り注ぐ。 



魔法使いの傷が回復した。 

僧侶の傷が回復した。 

戦士は生き返った。 



女勇者は力尽きた。▼ 

戦士「……俺は……?」むく 

戦士「っ!!」がばっ 

戦士「魔王は!?勇者殿は…!?」 

僧侶「…」 

魔法使い「…」 

勇者の母「…う…うぁぁぁ……!!!」 

女勇者「   」 

戦士「勇者殿?」 

女勇者「   」 

戦士「なんだ…?どうなっている!?」 

女勇者「   」 

戦士「勇者殿!!!」 

戦士「俺は…守れなかったのか…?」 

戦士「勇者殿を守れなかったのか…!!」 

戦士「…!!!」ぎり… 

戦士「うおおおおおおお!!!!」 

戦士「くそ…!!」 

戦士「くそ!!!」 

戦士「勇者殿…済まない!!」 

戦士「うおおお…っ!!!」 


僧侶「戦士さん…!」 

戦士「……俺は…何と言う事を……!!」 

戦士「この剣で…勇者殿からいただいたこの剣で……!!!」 

戦士「……!!!」チャキ 

僧侶「戦士さん!!」がばっ 

戦士「離してくれ、僧侶。俺は…勇者殿を守れなかったばかりか…」 

戦士「正義をもなくしてしまった…!!」 

戦士「もはや…」 

魔法使い「戦士さん!!」 

戦士「…」 

魔法使い「勇者様から、伝言があります…」 

戦士「…勇者殿から…?」 

魔法使い「はい。瀕死の状態…喋る事もままならない状態で、あなたに伝えて欲しいと…」 

魔法使い「必死に話していました。聞いてくれますね…?」 

戦士「うむ…」 

魔法使い「勇者様は…自己犠牲回復魔法で、私達を助けてくださいました」 

戦士「…そう…なのか。あの、勇者にしか使えないという……」 

魔法使い「…勇者様は、私達に…ありがとうと」 

戦士「……」 

・ 
・ 
・ 

女勇者『ごめんね…?』 

女勇者『最後まで、迷惑かけちゃって…』 

女勇者『…えへへ、こんな事言ったら怒られちゃうかな』 

女勇者『あのね…本当はね?』 

女勇者『勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?』 

女勇者『本当は……戦いたくなかったし…』 

女勇者『綺麗な服を着てみたりも…したかったなぁ……』 

女勇者『……でも』 

女勇者『戦士くん…僧侶ちゃん…魔法使いちゃん…』 

女勇者『みんなに会えて…みんなが一緒に居てくれたからねぇ…』 

女勇者『私、勇者に生まれてよかったなって…思えるなぁ…』 

女勇者『戦士くんの正義を教えてくれて…』 

女勇者『…ずっと、守ってくれて……』 

女勇者『えへへ…。やっと、私が守る番だねぇ』 

女勇者『……』 

女勇者『ねぇ、戦士くんが起きたら……伝えてね……』 


・ 
・ 
・ 

魔法使い「今まで、ありがとう」 

戦士「…………」 

戦士「…勇者殿。俺は…守れなかったんだ」 

女勇者「   」 

戦士「…大切なものを守り抜けずに……何が正義か……」 

女勇者「   」 

戦士「……母上。…勇者殿を、一度だけ抱かせてはもらえないだろうか」 

勇者の母「はい…。抱いてやって下さい」 

戦士「…」すっ 

女勇者「   」ぶらん… 

戦士「…なんと小さい……なんと冷たい身体だ……」 

戦士「勇者殿。済まなかった」 

ぎゅ… 

戦士「守ってやれなくて…済まなかった……!」 

ぎゅ… 

戦士「……」 

僧侶「戦士さん。違うでしょ…?」 

戦士「……ああ。……勇者殿」 

女勇者「   」ぶらん… 



戦士「今まで、ありがとう」 

勇者の母「戦士様。僧侶様。魔法使い様」 

戦士「…」 

勇者の母「本当に…ありがとうございました」 

僧侶「お母さん……」 

勇者の母「あなた達に会わなければ…この子は、世界を救えなかったでしょう」 

魔法使い「…」 

勇者の母「…私からも、お礼申し上げます。ありがとうございました…」 

戦士「…勇者殿を、お守りできませんでした。申し訳ありません」 

勇者の母「…いいえ。最後に一つ、わがままを聞いていただけませんか?」 

【町外れの丘】 

勇者の母「ここが良いですね…」 

戦士「…良い場所だ」 

僧侶「本当。綺麗……」 

魔法使い「これが、私達の望んだ世界……」 

戦士「…勇者殿にも見せてやりたかった。母上、ここで良いですか?」 

勇者の母「はい。ここで眠らせてあげて下さい…」 

・ 
・ 
・ 

戦士「もしも生まれ変わるなら…今度は、幸せに生きて欲しい」 

僧侶「…そうですね。今度は、普通の女の子として…」 

魔法使い「…勇者様はきっと、もう一度勇者に生まれたいと思いますよ」 

勇者の母「はい。だって…こんなに素晴らしいお仲間と一緒に居られたんですから…」 

戦士「…そうだな。その時はどうか、勇者殿にも…この景色を見てもらいたい…」 



僧侶「…………………」すっ 

戦士「?…どうした、僧侶」 

僧侶「……勇者様の為に、お祈りを」 

魔法使い「お祈り…ですか?」 

僧侶「…はい」 




僧侶は女勇者の墓の前に膝をつき、 
目を閉じて祈りはじめた。▼ 


僧侶『主よ…。私の声をお聞き下さい』 

僧侶『…どうか、勇者様の魂をお救い下さい』 

僧侶『勇敢で、憐れな勇者様をお救い下さい…』 

僧侶『どうか、彼女が本当の正義を見つけられるよう…』 

僧侶『勇者様を、お救い下さい』 

勇者の母「…皆さん、本当にありがとうございました」 

僧侶「…」ぺこ 

魔法使い「…これから、どうするおつもりですか?」 

僧侶「私は…教会に戻ります。迷える人々と…そして、勇者様のために」 

魔法使い「…そうですか。私も故郷に戻ります。平和になった世界を、一緒に過ごそうかと」 

僧侶「戦士さんは…?」 

戦士「俺は…旅に出る」 

僧侶「え…また旅に?」 

戦士「うむ。正義とは何かを…見つけたい」 

魔法使い「正義…」 

戦士「力が足りなかったせいで、俺の正義は貫けなかった」 

戦士「結局、思いだけでは守る事は出来なかった」 

戦士「…だから俺は、正義を見つけたい。今度は、剣を置いて」 

魔法使い「剣を置くんですか…?」 

戦士「…俺には、もう必要ない。二度と握る事はないだろう」 

僧侶「…剣が要らない世界になった事も、戦士さんや勇者様の正義があったからですよ」 

戦士「…」 

戦士「それでは…僧侶、魔法使い」 

戦士「ここで、パーティーを解散しよう」 

僧侶「はい。それでは…。皆さん、元気で…」 

魔法使い「失礼します。また、いつか…。今度は、戦いではない場所で」 

勇者の母「…皆様、本当にありがとうございました…」 

・ 
・ 
・ 

・ 
・ 
・ 

戦士「皆、行ってしまったな」 

戦士「…勇者殿。これでもう我々は、再び会う事はないだろう」 

戦士「俺も、勇者殿や仲間達と旅が出来てよかった」 

戦士「…ありがとう」 

すた… 

すた… 

『ありがとう』 

戦士「…?」 

すた… 

すた… 





ポロン… 

剣が眠る墓の前で 
吟遊詩人は謡い伝える 

始まりと終わりを知りながら 

戦い続けた少女の物語を 

朝と昼が繰り返すように 

戦い続けた少女の物語を 

大きな疵とドレスを身に纏い 

戦い続けた少女の物語を 

少女が最後に得たものは 

深紅の剣 

桜色の愛 

藍色の理 

無色の正義 

吟遊詩人は謡い伝える 

この詩を綴ったのは一人の少女… 

===================================== 

【SCENARIO】   ○○ ○○ 

【WRITER】   ○○ ○○ 

【CHARACTER DESIGN】   nanashi 

【SPECIAL THANKS】   VIPPER 

【PRESENTED BY】   ◆r3yksmPHg2 

===================================== 


 ニア強くてニューゲーム 
  保存して終わる 
  保存しないで終わる 

もう言って良いよね? 
皆さんがお察しの通り、1週目にあたります。 
物語構成の矛盾点については…見なかった事にして下さい 
いけにえの町イベント等の被る描写は割愛。 
全部のイベント入れたら書ききれないっぽいので… 

>>591 
その矛盾点に関しては回収出来たら良いな 
でもこのシリーズはもう書かないかも知れませんので… 


それでは、誤字脱字・保守多いなかお付き合いありがとうございました。 









出典:女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」
リンク:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1242394891/l50

出典:女勇者「勇者になんて、生まれたくなかったんだよ?」
リンク:http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1242571009/l50
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