勇者「魔王はオレが倒す」 (エロくない体験談) 50876回

2009/08/22 14:36┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
勇者「魔王はオレが倒す」


1年後 
勇者母「こら勇者、いつまで寝ているの」 
勇者「母ちゃん、もう少し寝かせてくれよ」 
勇者母「何を言っているの、この子は。毎日毎日食っちゃ寝ばかりして」 
勇者「オレは世界の救世主だよ。オレがいなかったら世界はまだ闇の中なんだよ」 
勇者母「まだ26何を言っているの。過去の栄光にすがるのは、おじいちゃんになってからにしなさい」 
勇者「だって」 
勇者母「だっても、そってもありません。一緒のパーティだった戦士さんは剣術指南役としてお城に雇われているよ」 
勇者「アイツはいたづらが過ぎて村八分だったところをオレが誘ってやったから・・・」 
勇者母「言い訳はやめなさい。私はもう行くけど、すぐに起きるんだよ」 
バタン 
勇者「ちくしょう・・・オレは何で魔王を倒しちまったんだ」 

勇者「母ちゃん、起きたよ」 
勇者母「やっと起きたのかい。早くご飯をお食べ」 
勇者「うん」 
勇者母「ねえ、勇者。もうそろそろ働いたらどうだい?」 
勇者「オレだってそう思っているよ。でもオレは世界を救うのが役目だから」 
勇者母「世界を救う、世界を救うというけどね。家計も救えないで、どうして世界が救えるんだい?」 
勇者「オレだって知らないよ。オレは産まれたときから魔王を倒すことを宿命づけられていたんだ」 
勇者母「その魔王ももういないじゃないか」 
勇者「そりゃオレが倒したからね」 
勇者母「それなら世界の役に立つ他のことをしなさいよ」 

勇者「そうだけど何をしていいかわからないよ」 
勇者母「お前は魔王を倒したんだろう。剣術指南はどうだい?」 
勇者「剣は戦士には敵わないよ」 
勇者母「武術師範はどうだい?」 
勇者「武道家には敵わないよ」 
勇者母「王宮魔法部隊隊長はどうだい?」 
勇者「賢者に敵わないよ」 
勇者母「それなら一体勇者は何に優れているんだい?」 
勇者「勇気だよ」 

勇者母「勇気なんてものが食べていくのに何の役に立つんだい?」 
勇者「魔王を倒すときさ。皆がくじけそうなところでも勇者だけはくじけないんだ」 
勇者母「今は就職にくじけているけどね」 
勇者「・・・」 
勇者母「聞いたところによると、遊び人さんでさえ、カジノで活躍しているそうだよ」 
勇者「あの冒険では役に立たなかった遊び人が」 
勇者母「そうだよ。勇者なんてのは平時では遊び人より役に立たないんだね」 
勇者「そんなことないよ」 
勇者母「それじゃあ今の状況は何なのさ。これからは勇者じゃなくて遊び人を名乗ったらどうだい?」 
勇者「そんな」 
勇者母「とにかく今日は就職活動しなさいよ」 
勇者「わかったよ」 
勇者母「私は畑に行くからね」 
勇者「・・・オレは今や遊び人以下の存在だったのか」 

勇者が一歩外に出ると、晴天が広がっていた。 
勇者(外に出るのも久しぶりだな) 
幼馴染「あれ、勇者じゃん。久しぶり」 
勇者「お、幼馴染。ああ、久しぶりだな」 
幼馴染「私は今日、王宮から休みをもらって田舎に戻ってきたんだ」 
勇者「そうなんだ。今、王宮に勤めているのか?」 
幼馴染「そうだよ。冒険中に培った占いの腕を買われてね。知らなかったの?」 
勇者「ああ。魔王を倒して以来ちょっと忙しくてな」 
幼馴染「へー、やっぱり勇者様は違うね。ところで勇者様は何をしているの?」 
勇者「え、オレ?」 

幼馴染「きっと勇者なんだから、今頃どこかの国の大臣か何かでもしているんでしょ?」 
勇者「ははは、そんなところかな」 
幼馴染「えー、本当にそうなんだ。どこの国?」 
勇者「ライムバルト王国だよ」 
幼馴染「ライムバルト。そんな国あったっけ?」 
勇者「ああ、あるよ。たしかそのときお前は棺桶に入っていたから知らないんだよ」 
幼馴染「棺桶というとまだ私がペーペーで足を引っ張っていた頃だね」 
勇者「そうだな。何の能力もない幼馴染がついてくると聞いたときは驚いたよ」 
幼馴染「あー、ひどい。私だって占いで中盤以降は役に立ったんだよ」 
勇者「お前がいなかったら魔王城のトラップで全滅だった」 
幼馴染「今も皆が今も英雄していられるのは、私のお陰なのです、エヘン」 
勇者「ああ、本当にな・・・」 

幼馴染「それでその大臣様が何で故郷にいるの?」 
勇者「オレも帰省さ」 
幼馴染「そうなんだ。それなら早く言ってよ。私、今から帰らなきゃならないんだからね」 
勇者「すまん。オレもお前が帰っていると思わなくてな」 
幼馴染「私も知らなかったし、お互い様か」 
従者A「幼馴染さま、そろそろ馬車のお時間です」 
幼馴染「もう、わかっているわよ」 
勇者「忙しいみたいだな」 
幼馴染「お陰様でね。こんな生活この村にいたときには考えられなかった」 
勇者「オレもさ」 
幼馴染「それじゃ、もう行くね。また皆で集まれるといいね」 
勇者「そうだな」 
勇者は幼馴染を見送りながらつぶやいた。 
勇者「本当にこんなことになるとは思わなかったよ」 

勇者は武器屋に行くことにした。 
勇者「あの武器屋はオレが冒険に行くとき、ひいきにしてやったから雇ってくれるだろう」 
武器屋「いらっしゃい。おや、勇者様じゃないですか」 
勇者「ごめんよ。おじさん、ごぶさた」 
武器屋「いやいや、1年みない間にこんなに大きくなって」 
勇者「オジサンの店は繁盛しているみたいだね」 
武器屋「これも勇者様が初めて武器を買った店として有名になったからですよ」 
勇者「そうなんだ(しめしめ、これなら雇ってもらえそうだな)」 

武器屋「本日はどのような用件で?」 
勇者「実は働きに――」 
女の子A「あ、勇者様だ」 
女の子B「本当だ。まさかこんなところで会えるなんて」 
武器屋「こら、エルザ、エマ止めなさい」 
勇者「この子たちは?」 
武器屋「私の娘です」 
勇者「そうなんですか、かわいいお子さんですね」 
武器屋「これも勇者様が世界を救ってくださったからです」 
エルザ「今日は何しにきたんですか?」 
エマ「あ、私たちの店で装備を整えに来たんですね?」 
勇者「え?」 

勇者「実はそうなんだ」 
エルザ&エマ「わー、当たったー」 
武器屋「本当ですかい、勇者様?」 
勇者「ああ」 
武器屋「ですが、こんな武器屋には勇者様のお眼鏡に敵う商品などありませんや」 
勇者「そんなことないよ。例えば、この銅の剣なんて素晴らしいよ」 
武器屋「流石は勇者様。その一品に目をつけられましたか」 
勇者「え」 
武器屋「何を隠そう、この銅の剣。あのコーエンによって作られた一品です」 
勇者「そうなんだ。道理でいいと思ったよ(本当にこんなただの銅の剣が?)」 
武器屋「それではお買い上げですね。1000ゴールドになります」 
勇者(嘘だろ・・・) 

勇者「金を稼ぐどころか、今月の小遣いは120ゴールド。ジュースしか飲めない」 
とぼとぼ歩いていると、宿屋が見えてきた。 
勇者「宿屋ならどうだろう。用心棒としても役に立つからうってつけだ」 
宿屋「いらっしゃい」 
勇者「こんにちわ。いきなりで悪いんだけど―」 
宿屋「これはこれは勇者様。ご遠慮などされないでください。今日も平和があるのはあたな様のお陰なのですから」 
勇者「え、遠慮しなくていいの?」 
宿屋「もちろんでございます」 
勇者「いやー、話が通じて良かったよ」 
宿屋「それではこちらへどうぞ」 
勇者「はい(早速、仕事かな)」 
宿屋「それではこの部屋をどうぞ」 
勇者「掃除をすればいいんですか?」 
宿屋「何をおっしゃいます。お客様はそんなことをする必要はございません」 
勇者「お・・・客・・・様・・・?」 

翌日 
宿屋「お代は120ゴールドになります」 
勇者「・・・はい」 
宿屋「毎度ありー」 
勇者「ゴールドがぎりぎり足りたのは不幸中の幸いだな。とりあえず家に帰ろう」 
勇者は家に着いた。 
勇者「ただいま」 
勇者母「コラ、勇者。何をしていたんだい?」 
勇者「就職をしに・・・」 
勇者母「就職をするのに何で一日かかるんだい?」 
勇者「それは宿屋に泊まったから」 
勇者母「また無駄金を使って。帰りづらかったのはわかるけど、そんな現実逃避をしちゃダメだろう」 
勇者「そんなつもりじゃ」 
勇者母「それじゃあその腰の剣は何だい?」 
勇者「これは武器屋で」 
勇者母「はあー。あんたね、過去の思い出が恋しいのはわかるけど、そんな無駄なことばかりしても意味ないよ」 
勇者「無駄じゃないよ。また冒険に出るために買ったんだよ」 
勇者母「本当かい? やっと一人立ちする気になったんだね」 
勇者「あ」 

勇者母「こうしてお前の旅の支度をしていると懐かしいね。お前が魔王を倒す旅に出た日を思い出すよ」 
勇者「僕もだよ(感情は正反対だけど)」 
勇者母「あのときはこの子は何を夢物語を言っているのかと思ったけど、本当に倒すなんてね」 
勇者「あれは皆の力があったからさ(今回は誰の助けもないんだ)」 
勇者母「頑張るんだよ」 
勇者「うん(何を頑張ればいいんだろう)」 
勇者母「名残惜しいね」 
勇者「僕はもっとだよ(だったら止めてよ)」 
勇者母「でも、お前が一度決めたことだから、私が何を言っても無駄だろうね」 
勇者「ごめん、母さん(むしろ止めて欲しいです)」 
勇者母「元気でねー」 
勇者「母さんもねー」 

勇者は旅に出ることになった。 

勇者「はあ、まさか二度目の旅にでるとは。ルイーダさんのところに言ってみよう」 
ルイーダ「勇者さんじゃないの」 
勇者「ルイーダさん、相変わらず綺麗だね」 
ルイーダ「うれしいわ。今日はわざわざ挨拶しに来てくれたの?」 
勇者「実は仲間を探しに来たんだ」 
ルイーダ「仲間を?」 
勇者「うん」 
ルイーダ「魔王がいなくなったのに、仲間を集めて何をするの?」 
勇者「冒険をしようと思って」 
ルイーダ「冒険? 何のために?」 
勇者「さあ」 
ルイーダ「・・・・・」 

ルイーダ「勇者さん、ちょっといいかしら」 
勇者「はい」 
ルイーダ「あなたも知っている通り、私の酒場は人物紹介をするところよ」 
勇者「冒険中は何度もお世話になりました」 
ルイーダ「紹介するってことは、紹介する私にも責任があるの」 
勇者「もちろんです」 
ルイーダ「それなら何をするかもわからない人に、貴重な人材を紹介できると思う?」 
勇者「できないです」 
ルイーダ「わかってくれればいいわ」 
勇者「迷惑かけてすいませんでした。失礼しました」 

ルイーダ「待って。何でこんなことを言い出したのか聞かせてくれる」 
勇者「恥ずかしくていえないです」 
ルイーダ「勇者さん、私はあなたのことをすべて知っていたわ。だからこそ、あなたには安心して紹介できた」 
勇者「過去の僕はそうでした」 
ルイーダ「私の店の名を言ってみて」 
勇者「ルイーダの酒場ですよね?」 
ルイーダ「そのとおり。私の仕事は人を知ることから始まるの。今のあなたを知れば、きっと役に立てるわ」 
勇者「・・・・」 
ルイーダ「世界を救った男が何を恥ずかしがることがあるの?」 
勇者「世界を救ったからこそ、言えないこともあるんです」 
ルイーダ「ルイーダの酒場は秘密厳守よ。教会の神父様に話すより安全と専らの評判なんだから」 
勇者「ルイーダさんに聞かれることが恥ずかしいんです」 
ルイーダ「あなたは誰?」 
勇者「勇者です」 
ルイーダ「そうよ。だったら勇気をださなきゃ」 
勇者「は・・・い」 

勇者はルイーダにすべてを話した。 

ルイーダ「何だそんなことなの?」 
勇者「そんなことはないですよ」 
ルイーダ「そんなことよ。前にも言ったけど、私は人物紹介が仕事なのよ」 
勇者「そうですけど。今の僕に紹介できる人はいないんですよね」 
ルイーダ「そうね」 
勇者「やっぱり」 
ルイーダ「誰かを紹介することはできなくても、あなたを紹介することはできるわ」 
勇者「僕を紹介?」 
ルイーダ「あなたには紹介しかしたことなかったから、考えつかなかったのも無理はないわ」 
勇者「こんな僕でも就ける仕事があるんでしょうか」 
ルイーダ「もちろんよ。私はルイーダ。私に任せなさい」 
勇者「あ・・・あ・・・ありがとうございます」 
ルイーダ「コラコラ、勇者が泣かないの」 

勇者は職を手に入れた。 
その職とは王宮での仕事だった。 

勇者「王宮に来るのも久しぶりだな。でもまさか王宮で働けるなんて思わなかったな」 
王宮の前に来た。勇者は初めて訪れたときのことを思い出していた。 
勇者(あのときは幼馴染と2人だけど、今はひとり。ちょっと寂しいな) 
勇者「すいません、今日来ることになっていたものだけど」 
門番A「これはこれは勇者様! ですが、今日の勇者様の訪問予定は聞いておりませんが」 
勇者「あれ、おかしいな。ルイーダさんから話が通っているはずなんだけどな」 
門番A「ルイーダさんからですか。本日は就職予定者しか訪問予定はありませんね」 
勇者「ああ、それです」 
門番B「え、勇者様が就職されるんで?」 
勇者「うん」 
門番A「何かの間違いでは?」 
門番B「もう一度確認された方がよろしいのでは?」 
勇者「そんなことないよ。とにかく通してよ」 
門番「はあ、それは構いませんが」 
勇者「それじゃあね。お仕事頑張ってね」 

勇者「えーっと、たしか大臣の部屋に行くんだったな。あれ、大臣の部屋ってどこだっけ」 
メイド「どうかしましたか?」 
勇者「ちょうど良かった。大臣の部屋はどこですか?」 
メイド「大臣様のお部屋ですね? 案内しますので私についてきてください」 
勇者「ありがとう」 
勇者はメイドに連れられて歩いていく。 
勇者(この国の大臣は人の気さくなおじいさんだったな。何の仕事を紹介してくれるんだろう) 
メイド「こちらでございます」 
勇者「ここが大臣の部屋か。そういえば何となく見覚えあるな」 
勇者は大きな扉に圧倒されながらも開けた。 
勇者「失礼します」 
大臣「よく来たな」 
勇者(あれ? どこかで聞き覚えがある声だな。気のせいか) 
勇者が顔を上げるとそこには見覚えのある顔があった。 
勇者「戦士じゃないか!」 

戦士「久しぶりだな」 
勇者「そうだね。剣術指南役と聞いていたけど」 
戦士「昔わな。国王が代替わりするときに大臣になったよ」 
勇者「そうなんだ。母さんの情報は古かったんだな。田舎だし仕方ないか」 
戦士「ルイーダさんから聞いて驚いたよ。仕事を探していたんだって?」 
勇者「恥ずかしながらそうなんだ」 
戦士「お前ほどのヤツがニートをしているとは思わなかったよ」 
勇者「どうやら神様は魔王を倒した後のことを考えていなかったみたいでさ」 
戦士「ははは、もう心配することはない。ここにはお前の仕事のひとつやふたついくらでもある」 
勇者「そうなのかい。ソイツは嬉しいや。それでその仕事って?」 
戦士「聞くより実際にやってもらった方がいいだろう。そこに鎧が用意してある」 
勇者「鎧まで用意してあるのか。どうやら僕の仕事は武闘系みたいだね」 
戦士「そのとおりだ」 
勇者「やっぱり。それで僕の具体的な仕事はなんだい? 剣術指南かな、一個師団の隊長かな」 
戦士「自分の格好を見て、どこかが見覚えないか?」 
勇者「自分の格好だって? あれ」 

門番A&B「お勤めご苦労様であります」 
勇者「僕に気をつかわなくてもいいよ」 
門番A「し、しかし」 
勇者「本当に気にしなくていいよ」 
門番B「救世主であります勇者様にそんなことはできません」 
勇者「それは昔の話さ」 
門番A「自分たちがこうしてられるのも勇者様のお陰であります」 
勇者「つまり僕がこうしていられるのも僕のお陰ってわけだね」 
門番B「そういう意味では」 
勇者「どうでもいいよ。ところで僕の代わりと君たちのうちどちらかな?」 

勇者の仕事は門番だった。 

5分前 

勇者「これ門番の服に似ているね?」 
戦士「流石は勇者。勘がいいね」 
勇者「え、じゃあ僕の仕事は門番なの?」 
戦士「そのとおり」 
勇者「冗談きついよ。今日はエイプリールフールじゃないよ」 
戦士「冗談に思えるか?」 
勇者「うん」 
戦士「ここまで人がいいというのも考え物だ」 
勇者「え、まさか本当に?」 
戦士「やっと気づいたか」 
勇者「何で、僕に恨みでもあるの?」 
戦士「恨みならあるさ」 

戦士「俺たちがパーティだった頃、お前は勇者でオレは戦士だった」 
勇者「そうだね」 
戦士「オレが勇者になりたかった。世界を救いたかった。しかし、勇者としての才能はなかった。オレは絶望した」 
勇者「戦士としての才能はあったじゃないか」 
戦士「才能ではない。オレはせめて平和な世界をつくるために、せめて勇者の剣となろうと努力した。そしてオレは勇者のパーティになった」 
勇者「それは僕も知っているさ」 
戦士「お前はたしかに勇者だった。技も人望も運もすべてを兼ね備えていた」 
勇者「僕だって努力はしたよ」 
戦士「そうだ。オレはそれ以上に努力した。剣の腕はお前以上になった。しかし、決して勇者にはなれなかった。天性のものが足りなかったのだ」 
勇者「・・・・・・」 
戦士「努力ではなれない、唯一無二の存在それが勇者なのだ。お前にこの気持ちがわかるか?」 
勇者「勇者なんて平和な世界では無用の長物だよ」 
戦士「それはお前が天の与える能力を発揮しなかったからだ。お前が努力すれば結果はついて来ただろう」 
勇者「これから努力をするんだ」 
戦士「その通り。だから門番から頑張りたまえ、無用の長物くん」 
勇者「わかったよ。それじゃあね」 
戦士「待ちたまえ」 

勇者「何?」 
戦士「お前と私の職業を言ってみろ」 
勇者「勇者と戦士」 
戦士「以前はそうだった。今は?」 
勇者「・・・門番と大臣」 
戦士「それなら私には以後敬語を使うように、門番くん」 
勇者「わかりました、大臣様。それでは失礼致します」 
戦士「よろしい。それでは早速仕事に就いてもらおう。職場に行きたまえ」 
勇者「はい。このような大役を授けてくださりありがとうございます。」 


こうした経緯で勇者は門番に就くことになった 

勇者(ちぇ、ルイーダさんも人が悪いや。よりによって門番なんて) 
門番A「勇者様、足は疲れていないでありますか?」 
勇者「うん、大丈夫だよ。こう見えても昔鍛えたからね」 
門番A「きっとこれは何かの手違いでありましょう。ルイーダさんに確かめて見てはどうでしょう?」 
勇者「そんなことないよ、大臣様から直々に仰せつかったからね」 
勇者(待てよ、この人の言う通りルイーダさんは知らないかもしれない。言えば現状を変えてくれるかも) 
門番A「馬車が来たであります」 
勇者「本当だ。あの馬車は誰の?」 
門番A「姫様の馬車であります」 
勇者「へー、姫様(王様のそばにいたかわいい子か)」 

馬車から純白のドレスに包まれた女性が降りてきた。 
それは記憶の中に残る女の子と細部では一致していた。 

勇者(面影はあるけど、大人っぽくなったな。たった一年でここまで変わるものなのか) 
ゆっくりと門に繋がる階段を上ってくる。 
そしてそのまま通り過ぎようとしたときのことだった。 
女「あれー、勇者じゃん」 
勇者(あれ、また懐かしい声が聞こえた。しかも最近聞いた声だ) 
幼馴染「門番の格好して何しているの?」 
勇者「あ、幼馴染(そういえば王宮で占い師しているって言っていたな)」 
幼馴染「何かの罰ゲーム?」 
勇者「ははは、そんなところかな」 
姫「勇者様。シェリー、この方は本当に勇者様ですの?」 
幼馴染「はい。その通りです。たしか昔、お会いしたこともあったかと存じますが」 
姫「ちょっとお顔をよく見せてもらえるかしら?」 
勇者「はい(うわ、顔近いな)」 
姫「たしかに勇者様のようですわね」 

勇者「はい、正真正銘の勇者です」 
姫「それでどうして勇者様がこのようなことを?」 
勇者「それは・・・えーと罰ゲームで」 
姫「罰ゲーム? 誰に命じられて?」 
勇者「大臣です」 
幼馴染「戦士くんにはもう会ったのか」 
勇者「うん」 
幼馴染「それで何のゲームしたの?」 
勇者「ババ抜き」 
幼馴染「2人でしたらつまらないゲームNo1をわざわざ選ぶとは」 
姫「罰ゲームであろうと何であろうと、勇者様にこんなことをさせられません。こちらへ来て下さい」 
勇者「え、でも門番の仕事が・・・」 
幼馴染「それはもう一人に任せておけば大丈夫」 

姫「大臣はいますか?」 
戦士「はい、姫様。こちらにいます」 
姫「罰ゲームで勇者様が門番をしているとは本当でしょうか?」 
戦士「罰ゲーム? 何のことやらわかりません」 
姫「とぼけるのはお止めなさい」 
戦士「とぼけてなどいません」 
姫「嘘おっしゃい。勇者様がおっしゃっているのですよ」 
戦士「嘘など言ってはいません。その勇者・・いまは門番でしたな・・。門番が言っているのです」 
姫「勇者様、もう一度私に言ったことを言ってください」 
勇者「僕が嘘をつきました」 
姫「勇者様本当のことを言ってください」 
勇者「いえ、本当なのです。私は見栄を張っただけです」 
戦士「私の言ったことは本当でございましたでしょう」 
姫「勇者様は大臣を庇っているに違いありません」 
戦士「そんなことは・・・」 
姫「とにかくこのようなことは許しません」 
戦士「わかりました」 

姫「どうも申し訳ありませんでした」 
勇者「いや、謝る必要はありません。本当に僕が悪いんです」 
姫「まあ勇者様、まだ昔のパーティを庇おうとなさるなんて、美しいお心をお持ちですわね」 
勇者「そんなことは」 
姫「ところで行くところがないのであれば私の護衛をお願いできませんか」 
勇者「え、喜――」 
幼馴染「ダメですよ、姫様。勇者は他国の大臣を務めているそうですから」 
勇者「いや、それ嘘――」 
姫「え、そうなのですか。大臣をされているならば私の護衛など無理ですね。きっぱりと諦めましょう」 

こうして勇者は再び無職になった。 

門番A「一日でも勇者様と働けたこと誇りに思うであります」 
勇者「うん。僕もだよ」 

勇者は橋の上でたそがれた。 
勇者「僕は一体どうすればいいんだ・・・。もういっそのこと楽になっちゃおうかな」 
遊び人「あっれー、勇者じゃないかー」 
勇者「遊び人じゃないか」 
遊び人「どうしたんだい?」 
勇者「いや、さっきリストラされてね」 
遊び人「ははは、勇者がリストラなんておかしいや」 
勇者「本当にね」 
遊び人「行くところないなら、うちに来る?」 
勇者「いいのか?」 
遊び人「もちろんさー。昔の仲間じゃないか」 
勇者「遊び人、おまえってヤツは・・・」 

こうして遊び人との共同生活が始まった。 

遊び人「それじゃあ僕はカジノに行ってくるねー」 
勇者「ああ、頑張って」 
遊び人はカジノに働きに行き、勇者はニートをしている。 
勇者「遊び人をもう遊び人なんて言えないね。早く遊び人帰って来ないかな」 
遊び人「ただいまー」 
勇者「お帰り。って、その傷どうしたの?」 
遊び人「エヘヘ、お客さんに殴られちゃった。お前、いつも笑っているけど、泣いてみろよって」 
勇者「何だって。許せない、そいつどんなヤツだった?」 
遊び人「いいんだよ。僕は笑うしかできないから。皆に楽しんでもらえれば嬉しいんだ」 
思えば遊び人は決して泣かず、パーティを励ましてくれた。 
役に立たないと思われていた遊び人はその実パーティのムードメーカーになっていたのだ。 

勇者「遊び人お前ってやつは――」 
遊び人「だから勇者が泣いていると悲しいな」 
勇者「ああ、泣ぎやじないざ」 
遊び人「涙が出ているよ」 
勇者「これはお前が素晴らしい奴だって証拠さ。遊び人、お前に言いたいことがある」 
遊び人「何?」 
勇者「結婚しよう」 
遊び人「こんな僕でいいの?」 
勇者「もちろんだ」 
遊び人「僕、嬉しいよ。嬉しいのに涙が出てくるよ」 

その夜、泣かない遊び人が泣いた最初で最後に泣いた瞬間だった。 

遊び人「それじゃあ僕行ってくるね」 
勇者「ああ、気をつけてな」 
遊び人「うん」 
勇者「今日はお前の誕生日だからご馳走作っておくな」 
遊び人「わあ、嬉しい」 

勇者と遊び人は結婚式を挙げなかった。 
勇者が待って欲しいと言ったからだ。 

勇者「同棲も今日で終わりだ。今日のために働いて買った指輪だ」 
勇者は遊び人に指輪を買うために努力した。 
勇者はバイトを何度も首になった。 
それでも頑張って何とか一番安い指輪を買えたのだ。 
勇者「ご馳走もつくったし、後は遊び人を待つだけだな」 

だが帰って来ない。 
勇者「まさかまた何かあったんじゃ」 

勇者は嫌な予感におそわれた。 
まさか・・・いや・・・。 
心配になって勇者はカジノに行った。 

勇者「え、もう帰った?」 
支配人「はい。今日はイメチェンするために早く帰ると行っていました」 
勇者「何だって・・・」 

勇者は町中を走り回った。 
しかし、ついに遊び人を見つけることができなかった。 
家に帰り、遊び人が帰ってくることを待った。 
そして扉が開いた。 
勇者「あ、遊び人」 

結論を言おう遊び人は無事だった。 

遊び人「ただ今」 
勇者「遊び人?」 
遊び人「遊び人はもう止めて、賢者になったの」 
勇者「そんな。職業まで変わっているじゃないか」 
賢者「自分の誕生日にあんたを驚かそうと思ってダーマの神殿にイメチェンしに行ったの」 
勇者「そ、そうなのか(口調は変わっているが中身は遊び人のはずだ)」 
賢者「そしたらさ、何でこんなヒモ男を好きなのか自分でもわかんなくなっちゃってさ」 
勇者「え・・・」 
賢者「馬鹿らしくて朝まで遊んじゃった。何、これ?」 
勇者「ああ、それはお前のための指輪」 
賢者「趣味悪い。こんな安っぽい指輪で私を落とそうとしていたの。本当に結婚前に気づいて良かった」 
勇者「おい冗談だよな」 
賢者「本当だよ。知力が一定程度いっていれば誰もあんたなんて選ばないっての。ここ私の家だからすぐに出て行ってね」 
勇者「わかった。長い間、お世話になった」 
賢者「待って」 
勇者「何だ?(ひょっとして俺を止めようと)」 
賢者「頼むから真人間になってね。遊び人の頃とは言え、同棲してた相手がダメ人間じゃ、一緒に住んでいた私も困るもの」 
勇者「・・・わかった」 

勇者は自然と教会に来ていた。 
神の子である勇者が、最後の拠りどころとして求めたのも神の家だった。 
神父「おや、勇者さんじゃないですか」 
勇者「神父様、わたしは何のために魔王を倒したんでしょうか」 
神父「あなたが魔王を倒すのは宿命でした」 
勇者「魔王を倒すのが宿命なら、僕が不幸になるのも宿命なんでしょうか」 
神父「教会の外を見なさい。何が見えますか?」 
勇者「子供たちが遊んでいます」 
神父「彼らが笑っていられるのは勇者さんのお陰なのです」 
勇者「それでも僕はすべてを犠牲にしてしまいました」 
神父「あなたは自分の人生に後悔をしておいで何ですね」 
勇者「そうです」 

神父「それならば過去をやり直すひとつの方法があります」 
勇者「そんなものがあるんでしょうか」 
神父「はい、これが何だかわかりますか?」 
勇者「見覚えはあります。昔、使っていた覚えがあります」 
神父「これは冒険の書です」 
勇者「ああ、何という懐かしい響きでしょうか」 
神父「あなたは冒険の書の役割を覚えていますか?」 
勇者「ええ、もちろんです。私たちの現状を記録し、やり直しができるように――」 
神父「その通りです。そしてこれは魔王城に向かう前に記録したものです」 
勇者「それではこれを・・・これを・・・使えばやり直せるんですね?」 
神父は何も言わず笑って頷いた。 

勇者「そんなことが可能だなんて」 
勇者の脳裏には過去の素晴らしい思い出がかけめぐった。 
自分がもっとも輝いていた頃、あの頃に戻れるのだ。 
神父「さあ、この書を持って、強く念じましょう。さあ、勇気を持って念じなさい」 
勇者「はい」 
勇者は強く念じ始めた。 
魔王を倒してから会ったことが思い出されてくる。 
そして最後の記憶はもっとも新しい記憶――賢者となった遊び人の言葉だった。 
「頼むから真人間になってね。遊び人の頃とは言え、同棲してた相手がダメ人間じゃ、一緒に住んでいた私も困るもの」 
何て身勝手な言葉だろう。 
自分のことしか考えていない言葉。 
そして勇者にとっては愛していた人の最後の言葉だった。 

「頼むから真人間になってね――一緒に住んでいた私も困るもの」 
その言葉が胸に突き刺さり、念じるのを止めてしまった。 

神父「なぜ念じるのを止めるのです」 
勇者「僕にはできない」 
神父「あの輝かしい頃を取り戻したくはないのですか?」 
勇者「取り戻したい。でも、それだけはできないんだ」 
神父「なぜですか?」 
勇者「それは彼女との約束だから」 
神父「あなたを捨てた人ですよ」 
勇者「僕を愛してくれた人です――え、何でさっき別れたばかりなのに知っているんですか」 
神父「ばれてしまっては仕方がない」 

エビルプリーストがあらわれた。 

勇者「魔王の残兵」 
エビルプリースト「素直に魔王様を復活させてくれればいいものを」 
勇者「僕を騙そうとしたな」 
エビルプリースト「騙そうとなどしていない。私の言ったことはすべて本当だ。それはお前がよく知っていよう」 
勇者「それは・・・そうだ。だがお前は敵だ」 
エビルプリースト「そうかな。私はお前と戦う気はない。例えお前を倒したところで魔王様が復活するわけではないからな」 
勇者「こちらはある」 
エビルプリースト「聞き分けがない勇者だ。喰らえ」 

勇者は難なくかわし、エビルプリーストに手近にあった燭台で突き刺す。 
魔王を倒した勇者と部下では戦いになるはずがない。 

エビルプリースト「ぐふう。流石は勇者」 
勇者「なまったとは言え、お前に遅れはとらない」 
エビルプリースト「だが考えてみるといい、遊び人との愛の生活はなかったことになるが、過去にも遊び人はいる。やり直せるのだと」 
勇者「黙れ」 
エビルプリースト「愚かな男だ」 

エビルプリーストを倒した。 
勇者はレベルが上がった。 

勇者「レベルがまた上がってしまった・・・意味なんてないのに」 

勇者はまた橋の上でたそがれていた。 
勇者「僕を好きになる人は知力が低い人だけなのか」 
そこは遊び人と出会った場所であった。 
勇者「これからどうしようか」 
女「勇者さんじゃないか」 
遊び人が来てくれたのだろうか。 
勇者「遊び――なんだルイーダさんですか」 
ルイーダ「遊び人さんじゃなくて悪かったね」 
勇者「いや、もう遊び人はいないんだ」 
ルイーダ「遊び人さんと一緒に暮らしていたのは風の噂で聞きましたけど別れたんですか?」 
勇者「うん。彼女が賢者になってね」 
ルイーダ「そうですか・・・。それでこれからどうするおつもりです?」 
勇者「さあ」 

ルイーダ「さあって、あなた」 
勇者「とりあえず真人間になりたいかな」 
ルイーダ「真人間ですか。それは難しいですね」 
勇者「やっぱり」 
ルイーダ「私の紹介した仕事も失敗してしまったみたいですしね」 
勇者「ああ、あれはルイーダさんのせいじゃないよ。王宮の仕事、門番だったんだよ」 
ルイーダ「ああ、あれですか。実はあれわざとなんです」 
勇者「わざと?」 
ルイーダ「そうです。勇者さんは冒険時代は挫折を知らなかったでしょう」 
勇者「今は挫折しまくりだからね」 
ルイーダ「それでも門番の仕事を馬鹿にしていたでしょう」 
勇者「う、それは」 
ルイーダ「仕事に貴賎はありません。それをわかって欲しかったんですけどね。勇者様は有名過ぎました」 
勇者「そうだったのか」 
ルイーダ「またお仕事紹介しましょうか?」 
勇者「いや、いいよ。ちょっと考えてみたいこともあるから」 

その夜、勇者は宿屋に泊まった。 
窓明かりが月光取り入れている。 
勇者は月明かりで本を読んでいた。 
勇者「そういえばこんなこともあったな」 
幼馴染、戦士、武闘家、僧侶、魔法使い、賢者など色んな仲間がいた。 
あの冒険の書だった。 
遊び人の記録もそこにはあった。 
燃やすことはできずに持ってきてしまった。 
読んでいると懐かしい。 
エビルプリーストにはああ言ったが未練がましく持っている。 

勇者が仕事を探しているとき、商人に会った。 
商人「勇者さん、お久しぶりです。私は昔と変わらず商売していますよ」 
勇者「そうなんだ。商売繁盛しているようでなによりだ」 
商人「それで勇者様は何を?」 
勇者「特に何も」 
商人「それはもったいない。どうですか、馬車の護衛として働くというのは?」 
勇者「護衛? それはいいかもしれない。俺の力が活かせるしね」 
商人「商談成立ですな」 
勇者「ああ、よろしく頼むよ」 

勇者は護衛のひとりに加わった。 
そこには懐かしい顔もいた。 
門番B「勇者さんじゃないですか」 
勇者「あなたは門番さん。何で馬車の護衛をしているんですか?」 
門番B「あー・・・それは門番の仕事に飽きたからですね」 
勇者「立っているだけだとやっぱり飽きるんだ」 
門番B「そうですね」 
勇者「僕、実は5分で飽きたんだ」 
門番B「勇者様もですかwww」 

勇者は強かった。 
強かったが、ひとつ欠点があった。 
商人「勇者さん、何で盗賊を殺さないんですか?」 
勇者「だって彼らはモンスターじゃないから」 
商人「いいですか、勇者さん。あなたが強いと言っても10人を同時に相手にできるわけではありません」 
勇者「そうだね」 
商人「あなたが5人を相手している間に、他の5人は宝を奪って逃げてしまいます」 
勇者「そうだけど殺すのは可哀想じゃないか」 
商人「可哀想ではありません。宝を奪われたら私たちは食べていけないんですよ。あなたの給料もそこから出ているんです」 
勇者「そうだけど」 
商人「いいですか、次に盗賊が現れたときはちゃんと始末して下さいね」 
勇者「わかったよ」 

その機会は3日後に訪れた。 

勇者(ついにこの日が来たか) 
門番B「勇者様、大丈夫ですか? 震えていますけど」 
勇者「あ、うん。大丈夫」 
門番B「盗賊が来ますぜ」 
勇者「よし、行こう」 
門番B「はい」 
ひとりの男が向かってくる。 
勇者「待て。馬車はおそわせないぞ」 
男は迷わずに向かってくる。 
勇者「止まらんと切るぞ」 
男は聞く耳を持たない。 
勇者は仕方なく剣を振り下ろした。 
男「え?」 
男は驚いたようだった。 
自分の胸を見て、信じられぬものを見るように目を見開いて馬から落ちた。 
勇者(やった。やったぞ) 

馬車の荷物は守られた。 
商人「ちくしょうめ。思い知ったか」 
商人が死者の顔に蹴りを入れる。 
その拍子に死んだ男のマスクを外す。 
勇者は自分の初めて殺した男の顔を見た。 
勇者「え、門番A」 
門番B「勇者様、きっと気のせいですよ」 
勇者「気のせいなもんか、あれは門番Aだ。あの気さくだった門番Aだ」 
門番B「勇者様あんま見ない方がいいです」 
勇者「門番A−−−−−ッ」 


門番B「勇者様、落ち着きましただか?」 
勇者「うん、もう大丈夫だよ」 
門番B「勇者様は何も悪くねえだ。アイツは死も覚悟しとりましただ」 
勇者「門番Aの家族はいるのか?」 
門番B「聞かない方がいいですだ」 
勇者「言ってくれ」 
門番B「嫁さんと娘さんがいますだ」 
勇者「どこに?」 
門番B「城下町に」 
勇者「今から行って来るよ」 
門番B「行かない方がいいですだ」 
勇者「俺なりのケジメだよ」 

勇者は門番Aの家族を訪れた。 
婦人「どなたですか?」 
勇者「僕は勇者です」 
婦人「勇者様が何用ですか?」 
勇者「僕はあなたの夫を殺しました」 
婦人「帰ってください」 
勇者「せめてこれだけでも受け取ってください」 
婦人「お金なんていりません。あの人は・・・あの人は帰って来ないんです」 
勇者「その通りです。これは僕の気持ちです」 
娘「父ちゃんを返せーーーッ」 
勇者「門番Aの娘さんだね。本当にごめんよ」 
娘「父ちゃんはお前のせいで門番を首にされたんだぞ」 

勇者「何だって。本当なんですか、ご婦人」 
婦人「その通りです。これがあなたのお金を受け取れない理由です」 
勇者「僕のせいというのはどういうわけで?」 
婦人「あなたが門番にされたことがあったはずです。そのとき止めなかった罪です」 
勇者「そ・・・そんな」 
婦人「それでもあの人はあなたを誇りにしていました」 
勇者「そうですか」 
娘「父ちゃんはお前を尊敬しろと言ってたけど、お前なんて悪魔だ」 
勇者「本当にごめんよ」 

勇者は商人のところに戻った。 
辞めることを伝えるためである。 

商人「そうですか。それは残念です」 
勇者「ごめんなさい、商人。僕にはこの仕事は向いていませんでした」 
商人「いえ、あなたは最後によい仕事をしてくれました。これは退職金です」 
勇者「そんなことはありません。それに退職金にしては多すぎやしませんか」 
商人「多いことなんてありません。何せあなたがあの男を切り殺したお陰で内通者がわかったんですから」 
勇者「内通者?」 
商人「門番Bです」 
勇者「何だって!?」 
商人「おかしいとは思っていたのです。あまりにも我々の馬車はおそわれ過ぎる」 
勇者「そ・・それで門番Bはどこに?」 
商人「刑務所です」 

勇者「お前も俺のせいで門番を首にされたんだな」 
門番B「門番Aの奥さんから聞いただね」 
勇者「ああ」 
門番B「勇者様のせいじゃないだ」 
勇者「俺のせいだ。俺のせいでこんなことになったんだ」 
門番B「そんなことはないだ。私たちが盗賊をしていたのは事実だ」 
勇者「でも何で盗賊を?」 
門番B「実はあの商人は悪徳商人として有名だ。貧しい人から一切合切取り立てたり、人身売買もしているだ」 
勇者「あの商人が・・・」 
門番B「勇者様が気に病むことではないだ。あなたは利用されただけだ。それに利用したのはオラたちも同じだ」 
勇者「利用?」 
門番B「私は勇者様が人を切れないと知って、Aに予め伝えていただ」 
勇者(だからあのとき驚いた顔をしていたのか) 
門番B「最後に勇者様と話せてよかっただ」 
勇者「最後?」 
門番B「オラは明日縛り首だ」

勇者は呆然自失のまま当たりをさまよった。 
そして気づけば処刑場に来ていた。 
勇者「縛り首になるべきは僕のはずなのに」 
門番Bが引き立てられていくのが見えた。 
勇者「何かしなくちゃ」 
フラフラと誘われるように処刑場に近づいていく。 
勇者「止めろーーーーッ」 
勇者は処刑場に一直線に進む。 
止める兵士を手に持った棒切れでなぎ倒していく。 
四人、五人、六人、七人、八人。 
魔王さえ倒した勇者に素人が束になろうと敵うはずがない。

素人ならば。 
そこに赤い鎧をまとった男が現れた、かつてのパーティ戦士である。 
純粋な腕なら戦士の方が上、しかしくつがえせない実力差ではない。 
武器の差を除けばである。 
勇者は棒切れ、相手は名刀。 
勇者は戦士によって切られた。 

勇者が目を覚ましたとき、そこは独房だった。 
勇者「そうか・・・俺は戦士に負けたんだ」 
戦士「起きたか」 
勇者「何で殺さなかった?」 
戦士「殺すつもりで切ったのだが、お前のHPが予想以上に高かっただけだ」 
勇者「そうか。だが、今度こそ処刑みたいだな」 
戦士「そのようだな。その前に姫様がじきじきに尋問くださる、来い。変なことはするなよ」 
勇者「手かせを嵌められて、足に鉄球をつけられた状態で?」 
戦士「まあ無理だろうな」 

姫「勇者様、なぜこんなことを起こしたのですか?」 
戦士「姫様、この男はもはや様をつける価値などありません」 
姫「あなたは黙っていなさい」 
勇者「処刑される男を救いたかったからです」 
姫「処刑人を? 知り合いだったのですか?」 
勇者「はい。彼はこの城の門番でした。それが僕のせいで仕事を失ったのです」 
姫「そうでしたか。でも罪は罪です」 
勇者「はい、それはわかっています。もちろん私もです。どうぞ縛り首にして下さい」 
姫「あなたは世界を救った勇者様ですよ、何でそんなことができましょうか?」 
戦士「それでは民に示しがつきません」 
姫「あなたは黙っていなさいと言ったはずです」 
戦士「申し訳ありませんでした」 
姫「このままというわけにも行きません。国外永久追放とします」 
勇者「そうですか。わかりました」 


勇者「僕は死ぬことさえできないのか。考えて見ればピンチになっても絶対に助かってたよな。これも勇者の力か 
    勇者なんて良いことないな。ああ、すべてをやり直したいな。 
    やり直す!? そうだ、アレがあった」 
勇者は自分の内ポケットをまさぐると冒険の書を取り出した。 
勇者「これさえあれば。これさえあれば」 
勇者は冒険の書に祈った。 
どうかこの書を記録したあの日々に戻して下さい。 
もう迷うことはなかった。 
遊び人の言葉も傷ついた勇者の心をちくりと痛ませただけだった。 
冒険の書が発光した。 

勇者「やっとあの頃に戻れるんだ」 
目を閉じた勇者の目から涙が零れ落ちる。 
光は強くなり、勇者を包んでいく。 
そして光が消えた。 
勇者「もうあの頃に戻ったのかな?」 
勇者は目を開けた。 

あの音楽が流れた。 
デンデンデンデンデデン 

冒険の書が消えました。 

冒険の書は本来、教会で保管されるもの。 
過酷な状況で持ち歩いていたため、冒険の書はボロボロだった。 
勇者「嘘だって言ってくれよ」 
勇者の言葉は誰にも届かない。 
勇者「もう本当に疲れたよ。こんなことなら倒さなければ良かったな。 
    魔王ムドー」 

武闘家「何を後悔しているんだい」 
僧侶「それでも勇者か」 
魔法使い「あなたは勇者様でしょう」 
勇者「君たちは?」 
武闘家「僕たちは魔王を倒す旅に出ているパーティさ」 
僧侶「その通りだ」 
魔法使い「私たちは世界を救うために闘っています」 
勇者「ま・・お・・う? そんな魔王は僕が倒したはず」 
武闘家「そのとおり。この大陸の魔王はね」 
僧侶「他の大陸にはムドーより強力な魔王がいる」 
魔法使い「僕たちはそいつを倒す旅に出ているのです」 
勇者「それは本当かい!?」 

武闘家「本当さ」 
魔法使い「ところが残念なことにレベルが低い」 
僧侶「そしてパーティに勇者もいない」 
3人「ということで、仲間にならないか?」 
勇者「よろこんで」 
武闘家「良かったね」 
僧侶「うむ」 
勇者「それで君たちは何レベルなの?」 
魔法使い「全員レベル1です」 
勇者「え?」 

勇者「冗談きついよ」 
武闘家「冗談じゃないよ」 
勇者「え、本気なの。レベル1で魔王倒そうとしているの?」 
魔法使い「うん」 
僧侶「すべてのものはレベル1から始まる。これから努力すればいい。それだけのことだ」 
勇者「それにしたってレベル1はないんじゃ・・・」 
僧侶「それでは聞くが君は最初からレベルが高かったのか?」 
勇者「いえ・・・最初はレベル1でした」 
魔法使い「そのはずです」 
武闘家「ということで決まりだね、よろしくね勇者」 
勇者「うん」 

こうしてレベル40の勇者とレベル1の集団のパーティが出来上がった。 

勇者一行は新大陸に着いた。 

勇者「モ、モンスターがいる」 
武闘家「魔王がいるからね」 
勇者「まずは弱いモンスターを倒しましょうか」 
僧侶「スライムで経験値稼ぎなんて恥ずかしい真似できるか!」 
魔法使い「僕はメタルスライムを倒したいです」 
武闘家「カジノでいっぱつ当ててメタルキングの剣を当てれば強い敵が出ても大丈夫」 
勇者「ダメですよ」 
武闘家「なんで?」 
勇者「僧侶さん、レベル1で強い敵と当たるなんて危険です。 
    魔法使いさん、メタルスライムの出現する場所は強いモンスターもいます。 
    武闘家さん、運の要素が強すぎて論外です」 
武闘家「えー、そんなことないよ。宝くじは買わないと当たらないんだよ」 
勇者「だいたいメタルキングの剣を装備できるの僕だけじゃないですか」 
武闘家「あ・・・・・・考えてみればそうか」 
勇者(このメンバーでやっていけるだろうか・・・) 

僧侶「それでスライムはどこにいる?」 
勇者「もちろん、そこらへんに・・・あれ、いない」 
武闘家「この大陸にはスライムなんて雑魚モンスターはいないみたいだねー」 
勇者「しまった。どうすればいいんだ」 
魔法使い「私のメラが火を噴くときがきましたね」 
僧侶「オレのホイミもだ」 
勇者「まずは村で道具を整えましょう」 
武闘家「勇者ってクールだよね」 
勇者「あなたたちがイケイケ過ぎるだけです」 

道具屋「薬草10ゴールドになります」 
勇者「え、10ゴールド?」 
道具屋「はい」 
勇者(そういえばお金持ってなかった) 
僧侶「勇者はお金を持ってなかったか。私が払おう」 
ドン ジャラジャラ 
僧侶「何個欲しいんだ?」 
勇者「10個でいいですよ。そもそも何でそんなにお金持っているんですか」 
魔法使い「お金なら僕も持ってますよ」 
武闘家「私もー」 
勇者「貧乏なの僕だけ?」 

勇者「そんなにお金持っているなら装備を整えましょうか」 
僧侶「オレはこれで十分だ」 
勇者「ダメですよ、お金いっぱい持っているんですからケチっちゃ」 
僧侶「ケチっているわけではない」 
勇者「だったら何で・・・ってドラゴンローブ・みかがみの盾・ミスリルヘルムーーーッ」 
僧侶「武器はりりょくの杖だ」 
勇者「どうしてそんな高い装備品を着ているんですか。あと武器は凄いですけど、レベル1じゃ意味なしです」 
魔法使い「僕らもそのくらい装備していますよ」 
勇者「いかづちの杖・・・。MP使って魔法唱えるより杖でべギラマ唱えた方が強いじゃないですか」 
武闘家「私もだけど私も買いたいな」 
勇者「僕が見る限り、あなたの今の装備以上のものはないと思うけど」 
武闘家「えー、危ない水着なんか良さそうだよー」 
勇者「止めてください」 
武闘家「勇者はエッチな下着の方が好み? 」 
勇者「そういうことじゃありません!!」 

勇者「装備は皆さん問題ないようですね」 
僧侶「それでは魔王城へ」 
勇者「行きません。装備だけ整っていても中身がともなっていないじゃないですか」 
僧侶「魔王城でグレイトドラゴンでも倒せばいいだろう」 
勇者「グレイトドラゴンをレベル1でどうしたら倒せるんですか」 
魔法使い「私のメラがあります」 
勇者「無理です」 
武闘家「僕の拳もあるよ」 
勇者「もっと無理です」 
僧侶「オレのホイミも」 
勇者「どうやって倒すんですか?」 
僧侶「こう見えてもオレはグレイトドラゴンの一匹や二匹を狩ったものだ」 
勇者「レベル1の人が寝言を言うのは止めて下さい」 
僧侶「嘘じゃない」 
勇者「はいはい」 

勇者「周りに弱いモンスターいない以上、レベル1で強い敵に挑まねばなりません」 
魔法使い「そうだね」 
勇者「作戦は――」 
3人「ガンガンいこうぜ」 
勇者「命を大事にで行きましょう。僕が基本的に倒しますから、皆さんは後方支援お願いします」 
僧侶「ホイミはオレに任せろ」 
魔法使い「ルカニは私に」 
武闘家「私は?」 
勇者「薬草係でお願いします」 
武闘家「武闘家の意味がないじゃん。私もメラやホイミで支援したい」 
勇者「あなたは武闘家だから無理です」 
武闘家「そうだった。大人しく薬草支援します」 
勇者「やけに素直ですね(僕の人徳かな)」 

勇者「初戦闘いきますよ」 
3人「おー」 
勇者(やっぱり新大陸だけあって敵が強い) 
僧侶「ホイミ」 
魔法使い「ルカニ」 
武闘家「薬草」 
勇者(僕がやられたら皆は死んでしまう。それだけは避けなければ) 
勇者「うおおお」 

勇者はボストロールA、B、Cを倒した。 

勇者「やったぞ!」 
僧侶のへんじはない。しかばねのようだ。 
魔法使いの返事はない。しかばねのようだ。 
武闘家の返事はない。しかばねのようだ。 
勇者「・・・・。教会行こうか」 

武闘家「慣れないことはするもんじゃないね。やっぱり私には薬草係なんて合わないよ」 
魔法使い「初めてモンスターと闘って緊張しました」 
勇者「最初は皆そうさ。死線を潜り抜けることで成長するんだ」 
魔法使い「死線潜り抜けられずに死んじゃいましたけどね」 
武闘家「でもこれでレベル上がったよ」 
勇者「上がってません」 
武闘家「えー、何で?」 
僧侶「死んだ人には経験値は入らない」 
魔法使い「そうだったんですか。残念です」 
勇者「今回は仕方がありません。3匹も同時に出ましたから。次は一匹のときを狙いましょう」 
僧侶「それでは弱いものいじめじゃないか」 
勇者「僕たちの方が弱いです」 

それから勇者一行は一匹のときは戦って、2匹以上のときは逃げるを繰り返した。 

最初は↓だった。 
勇者LV40「たたかう」 
僧侶LV1「ホイミ」 
魔法使いLV1「メラ」 
武闘家LV1「薬草」 

それが成長することで以下のように変わっていった。 
勇者LV42「たたかう」 
僧侶LV15「ベホイミ」 
魔法使いLV17「メラミ」 
武闘家LV13「薬草」 

魔法使いがルカニからメラに変わったのは、 
ルカニを覚えるのは魔法使いではなく僧侶なんだと、 
さっき>>1が知ったからだと言う。 

勇者「皆さん成長しましたね。おめでとうございます」 
魔法使い「私もメラミで支援できるようになりました」 
僧侶「ベホイミがこんなにもいいものとは思わなかった。癒し系にあこがれる10代の気持ちがわかった」 
武闘家「葉っぱいいよね。そのうち私も薬剤師になれるかもー」 
勇者「そんな職業はありません。武闘家さんは前方で闘う職業だけに、後方支援向かないんですよね」 
武闘家「それでは闘おうか?」 
勇者「それはもっと危険です。今のレベルでは闘ってもやられてしまうだけです」 
武闘家「それじゃあ応援係は?」 
勇者「それは後方支援になりません(応援係か・・・遊び人懐かしいな。ダメだ、ネガティブになっちゃ)」 
僧侶「もうそろそろ街から出てもいい頃だと思うのだが」 
勇者「街からですか。まだ危険です」 
魔法使い「危険は承知です。しかし、今も魔王によって人々は苦しめられています」 

勇者「それはわかっています。しかし今は適当な時期ではないと言っているだけです」 
僧侶「なぜそんなに先に進むことを恐れている」 
勇者「恐れてなんかいません」 
武闘家「僕たちは魔王を倒すパーティだよ。保身のために留まってちゃダメだと思うんだ」 
勇者「・・・一日考えさせて下さい」 

勇者(先に進むのを恐れているか。そうかもしれない。 
    魔王がいることで僕は皆と一緒にいられる。 
    魔王がいなくなったら、またあの頃に戻るんだ) 
武闘家「勇者、起きてる?」 
勇者「起きています。何ですか、武闘家さん」 
武闘家「ちょっと話いいかな」 
勇者「はい」 

武闘家「私たちは勇者の足を引っ張っているんだよね」 
勇者「そんなことないですよ。皆さんはがんばっています」 
武闘家「でも勇者ひとりならもっと先まで進めるんだよね?」 
勇者「それはそうですが」 
武闘家「それならさ一人で先に進みなよ」 
勇者「少しなら先に進めても、魔王は一人では決して倒せません。仲間の強力が必要です」 
武闘家「それならさ、他の仲間を探すのは?」 
勇者「僕にとって仲間と言えるのはあなたたちだけです」 
武闘家「前の冒険のときの仲間は?」 
勇者「彼らはもう仲間ではありません」 
武闘家「何で?」 
勇者「言いたくありません」 

武闘家「そっか。それならいいや」 
勇者「いいんですか?」 
武闘家「うん。人には秘密のひとつやふたつあるしね。それとも話したいの?」 
勇者「話したくありません」 
武闘家「もしかしてさ勇者、冒険終わったら私たちも仲間じゃなくなると思ってる?」 
勇者「そんなことはありません。あなたたちは僕の仲間です」 
武闘家「それだったらさ、もっと僕たちを信じてよ、僕たちを頼ってよ」 
勇者「信じていますし、頼ってもいます」 
武闘家「うそ、うそ。勇者は一人で抱え込むところあるからね」 
勇者「そうかもしれません」 
武闘家「とにかくさ、私が言いたいのはそれだけ」 
勇者「もう終わりですか。僕を説得しに来たのではないのですか?」 
武闘家「違うよ。僕は勇者と話がしたかっただけ。後は勇者が判断して」 
勇者(信頼か・・・) 

勇者「先に進むことにしました」 
3人「やったー」 

勇者たちは冒険を再び開始した。 
レベルが上がったり、死んだり、死んだり、死んだり、死んだりしながらも、 
黄金の国や氷の国などを旅した。 
そしてあるとき「悟りの書」を手に入れた。 

僧侶「これは悟りの書」 
魔法使い「悟りの書? 何ですかそれ」 
武闘家「悟りの書はね、使うと賢者になれるんだよ」 
魔法使い「賢者に! それは凄い。是非とも私が使いましょう」 
僧侶「いや、ここはオレが」 
勇者「ダメだ! 悟りの書は使わせない」 

魔法使い「なぜですか、勇者様?」 
勇者「賢者にならなくても僕たちは強い(賢者になれば僕を見捨てるに決まっている)」 
僧侶「賢者になれば冒険がもっと楽になるはず」 
勇者「そんなことはない。だいたいうちには魔法使いと僧侶両方がいる。賢者のメリットはない」 
魔法使い「両方使えた方が、僧侶殿か私のどちらかが倒れたとき全滅の可能性が少なくなります」 
勇者「僕のパーティは全滅なんかしない」 
僧侶「そう言ってもオレたちは何回も死んでいるじゃないか」 
勇者「僕だけは一度も死んでいない。死んだのは君たちだけだ」 
武闘家「勇者、言い過ぎだよ」 
勇者「ごめん」 

僧侶「それは遊び人のことがあるからか?」 
勇者「え?」 
僧侶「元の大陸にいたときに聞いたぞ。勇者は遊び人と同棲していたが遊び人が賢者になって振られたとね」 
武闘家「僧侶っ!」 
魔法使い「僧侶殿!」 
勇者「何だ知っていたのか・・・。そうだ、その通りだよ。僕は君たちが賢者になるのが怖いんだ」 
僧侶「それで勇者とは聞いて呆れる。臆病ものではないか」 
魔法使い「それ以上のお言葉はいかに僧侶殿といえども見過ごせません」 
僧侶「いや、言わせてもらう。仲間の身より自分の身を大事にする。噂に名高い勇者とは正反対だ」 
勇者「そうさ、僕は臆病ものさ」 
僧侶「そんなのだから賢者にも捨てられるのだ」 
勇者「なんだと!」 
僧侶「うぐ! なんだ、殴る意気地だけはあったのだな。こちらはお返しだ」 
勇者「レベル27の僧侶の拳なんか効かないね。レベル50の拳を喰らえ」 
僧侶は気を失った。 

武闘家「勇者。僧侶が目覚めたよ」 
勇者「そうか。介抱ありがとう」 
武闘家「ちゃんと僧侶に謝らなければダメだよ」 
勇者「ああ。ところですべて知っていたんだな」 
武闘家「うん。ごめんね、知らないふりして」 
勇者「気にしてないよ。本当のことだ。 
    それに僕と遊び人が同棲していたのは近所では有名だったから、考えてみれば知らない方がおかしいよ」 
武闘家「今でも遊び人のこと恨んでいるの?」 
勇者「恨みはないよ。見てのとおり僕がろくでもないやつだってことは本当だからね」 
武闘家「そんなことない! 勇者は僕たちを守ってくれたじゃないか」 
勇者「僕にできるのは剣で守ることだけだ。人の心を思い遣ることなんてできない」 
武闘家「そんなことないよ。皆すべてを知っていてついてきたんだよ。街の人だって勇者が来て喜んでいたじゃないか」 
勇者「それは僕が勇者でモンスターを倒すからだよ。僕という人間が喜ばれたわけじゃない」 

武闘家「そんなこと言う勇者なんて嫌いだ」 
勇者「そうだよ。僕、個人なんて嫌れるだけの存在だ」 
武闘家「そんなことない」 
勇者「そんなことあるよ。きっと皆チヤホヤしてくれるのは僕が勇者だからだ。魔王がいるからだ」 
武闘家「魔王がいなくったって勇者は勇者じゃないか。勇者という人間はここにいるじゃないか」 
勇者「僕なんて人間は魔王を倒すためだけに存在しているんだ」 
武闘家「勇者のバカァーーーッ」 
ゴス 
武闘家は走り去っていく。 
勇者「これで良かったんだ。終わりのがちょっと早かっただけなんだ 
    レベル25の武闘家の拳は効くな。 
    ああ、いってー。本当にいたいな。 
    いだぐて、いだぐて涙がでてくるよ」 

深夜に勇者は街の入り口にいた。 

勇者「この街にももういれないな。 
    僧侶、殴ってごめんよ。 
    魔法使い、皆と喧嘩したときなだめてくれてありがとう。 
    武闘家、最後まで面倒かけちまってごめん」 
勇者は3キロほど行ったところで再び最後に街を見た。 
勇者「街が燃えている!」 

勇者「はあはあ。トロルの群が襲来している。」 
女の子「助けてー」 
トロル「ぐえへへへへ」 
勇者「待てー!」 
勇者はトロルをすれ違いに一刀両断にする。 
勇者「早く村の外に出るんだ」 
女の子「うん」 
勇者は女の子を外に送り届けると、村の中に入っていった。 
勇者「僧侶、魔法使い、武闘家ーーーッ」 
村人「勇者さまー」 
勇者「大丈夫ですか?」 
村人「オラは勇者様のお仲間に逃がしてもらえて大丈夫だ。だけどお仲間さんはトロルに囲まれているだ」 
勇者「わかった。ありがとう」 

魔法使い「MPも切れました。もうここまでですかね」 
僧侶「あきらめるな」 
武闘家「そうだよ。久しぶりに本気出そうか」 
僧侶「お前が本気を出した記憶なんてないが」 
武闘家「あ、酷いなー。私だってがんばっていたんだよ」 
僧侶「お前なりにな。」 
魔法使い「私がいなかったときの話ですか。今度聞かせて下さいね」 
僧侶「コイツから聞け。オレは足手まといだ。お前たち2人はオレを置いていけば生き残れるはず。何も3人死ぬことはない」 
武闘家「肋骨を折られてまで格好つけてどうするの?」 
魔法使い「そういうことです。あなたの口から直接聞かせてもらいます。MPが切れた私も足手まといですしね」 
僧侶「そうか。それでは行くか」 
魔法使い「はい」 
武闘家「りょうかい」 

トロルの群に立ち向かう3人。 
多勢に無勢で押されていく。 
病み上がりの僧侶が立ちくらみを起こしたところにトロールのこん棒が振り下ろされる。 
僧侶(ここまでか・・) 
そのとき勇者がトロールを切り伏せる。 
勇者「大丈夫か?」 
僧侶「ああ・・・来てくれたのか」 
勇者「当たり前だ」 

勇者の活躍でトロールを撃退しながらも逃げることに成功した。 
魔法使い「来てくれたんですね」 
武闘家「勇者、勝手にいなくなったでしょう。トロールにおそわれたとき、勇者がどこにもいなくて心配したんだよ」 
勇者「ごめん。特に僧侶にはきちんと謝らないと。本当にごめん」 
僧侶「何のことだ?」 
勇者「いや、僕が殴ったことだよ」 
僧侶「オレは勇者に殴られるほど鈍くない」 
武闘家「そうそう」 
魔法使い「そうです、何もありはしませんでした」 
勇者「それに皆にも謝らないとな。僕がいれば皆を危ない目に合わせることもなかったのに」 
魔法使い「何を言っているんですか。勇者様が来なければ私たちは全滅でしたよ」 
僧侶「そうだな。お前が言ったことは本当だったわけだな。賢者なんかいなくても、お前がいれば全滅しない」 
勇者「そのことに関しては僕が悪かったよ。この中の誰かが賢者になればいい」 
武闘家「いいの?」 
勇者「うん。僕らは仲間だ。仲間は信じるものだからね」 
僧侶「そうか」 
魔法使い「それじゃあ僕がなりますね」 
僧侶「何を言っているオレだ」 
武闘家「ああ、まったくまた喧嘩が始まっちゃったよ」 
勇者「ははは」 

ダーマの神殿。 
僧侶と魔法使いのジャンケンで僧侶が賢者になることに決まった。 

僧侶「ついに賢者になる日が来たか」 
武闘家「それじゃあ悟りの書を」 
勇者「うん」 
勇者は悟りの書を取り出して、僧侶に渡そうとして、落としてしまった。 
勇者「ごめん」 
拾って再び手渡そうとするが上手くいかない。 
勇者「あ、あれ。おかしいな、手が震えてうまくいかないな」 
魔法使い「勇者さんがんばって下さい」 
武闘家「がんばれ」 

何度も拾おうとするがやはり落としてしまう。 
7度目に拾おうとしたところで手が添えられた。 
僧侶「勇者、オレはお前を裏切らない。オレを信じろ」 
勇者「僧侶。わかった」 
勇者(自然と手の震えが収まった。これなら拾える) 
勇者「受け取って」 
僧侶「ありがとう。次に話すときは賢者だ」 
勇者「うん」 

僧侶は賢者になった。 

魔法使い「おお、たしかに賢者ですね。僧侶殿の面影もありません」 
武闘家「賢者だねー」 
勇者「僧侶、いや賢者お帰り」 
勇者は手を伸ばしたが、手は払われた 
賢者「汚い手でさわるな。ゴミが話しかけるな」 
勇者「え?」 

魔法使い「賢者様、冗談きついですよ」 
武闘家「やだなあ賢者」 
勇者「嘘だよね、賢者」 
賢者「お前は本当にウソだと思うのか?」 
勇者「まさか・・・本当に?」 
賢者「もちろん――ウソだ」 
勇者「賢者、からかうなんて酷いぞ」 
バキ 
賢者は死んだ 
勇者「あ。レベル1だってこと忘れてた」 

教会で賢者は生き返った。 

賢者「まさか賢者になった途端に殺されるとは・・・」 
勇者「本当にごめん」 
魔法使い「でも賢者さんも悪いんですよ」 
武闘家「そうだよ賢者」 
賢者「それについては反省している」 
勇者「それじゃあまたレベル上げからだね」 
賢者「この賢者が雑魚モンスター相手にレベル上げなんてできるか!」 
勇者「それは前に聞いたよ。とりあえず僕に殴られても死なないくらいにはなってね」 
賢者「くそう。覚えていろよ。そのうちに勇者と殴り合いしても勝てるようになってやるからな」 
勇者「それはもう賢者じゃない」 

賢者が加わったとは言え、レベル1では戦力的にはマイナスである。 
それでもパーティは賢者だけ何度も死につつ成長していった。 
勇者も賢者と行動することでトラウマを回復していった。 
そしてついに魔王城へと着いた。 

勇者「ここが魔王城」 
武闘家「大きいなー」 
魔法使い「大きいですね。まさに悪の象徴です」 
賢者「オレたちの世界の魔王城よりも大きいな。間違いなくムドーより強いはずだ」 
勇者「だがオレたちはここまで来た。乗り込むぞ」 
3人「おおー」 

賢者「はあはあ。魔王城だけあって敵が強いな」 
魔法使い「おまけに敵も多いですしね」 
勇者(皆、疲れているみたいだな。挑むのが早すぎたか) 
武闘家「この闘いで勝てばすぐ世界に平和が訪れる」 
勇者(・・・この闘いが終わればまたあの日常が始まるんだ) 
賢者「勇者どうした?」 
勇者「何でもない。ちょっと緊張しているだけだよ」 
魔法使い「敵です」 
勇者「皆、集中しろ」 

ついに魔王の間の前に着いた。 

勇者「この扉を通れば魔王の間・・・」 
魔法使い「扉の前にいるだけで威圧感が伝わってきます」 
賢者「すべての元凶だ」 
武闘家「それじゃあ行くよー」 
魔王「よく来たな。我が野望の邪魔をするものどもよ」 
勇者「世界を闇に落とした張本人許さないぞ」 
魔王「まあ、待て。お前のことはよく知っている。 
    どうだ私と手を組まないか? 
    手を組むならば世界を半分やろう」 
勇者「ふざけるな」 
魔王「お前は魔王がいない世界の勇者がどうなるか知っているはず」 
勇者「僕には仲間がいる」 
魔王「お前が私の配下の魔王を倒したときにも仲間がいたのではないか?」 
勇者「そ・・・それは」 
魔王「もう一度聞こう。私と手を組めば世界を半分やろう」 
勇者「・・・・・」 

  はい 
  いいえ 

武闘家「勇者、こいつの言葉に騙されちゃダメ」 
賢者「そうだ。我々がついている」 
魔法使い「魔王がいることの恐怖を忘れないで下さい」 
勇者(そうだ。そうだった。僕はもう負けない) 

   はい 
→ いいえ 

魔王「愚かな選択をしたな。勝っても負けてもそなたには苦痛しかないというのに」 
勇者「そんなことはない」 
魔王「勝ったときのことを考える必要はない。それでは行くぞ」 

魔王が現れた。 

魔法使い「メラゾーマ」 
賢者「べホマラー」 
武闘家「たあ」 
勇者「ギガデイン」 
魔王「いてつく波動」 
4人「うわあ」 
勇者「流石は魔王、やっぱり強い。大丈夫か」 
賢者「もちろん」 
魔法使い「はい」 
武闘家「ええ」 

魔法使い「勇者様、やっぱり一番は勇者様の攻撃が効きます。 
       支援しますのでお願いします」 
賢者「頼んだぞ」 
勇者「わかった」 
魔法使い「バイキルト」 
賢者「フバーハ」 
魔王「いてつく波動」 
勇者(これなら耐えられる。よし、行ける) 
魔王「本当に私を倒してもいいのか。お前の仲間は果たして私を倒しても本当にお前の仲間でいてくれるだろうか?」 
勇者(惑わされるな。惑わされるな) 
魔王「遊び人、戦士、門番のことを思い出せ。もう一度繰り返すのか?」 
勇者「え」 
覚悟していたはずでも、予想外な名前を聞いて不意に力が緩んでしまった。 
魔王「メラゾーマ」 
勇者「しまった」 
武闘家「勇者、危ない」 

勇者「あ、熱――くない?」 
周りを見ると光の壁があった。 
勇者「これはマホカンタ。魔法使いか賢者が唱えてくれたのか。 
   でも、魔法使いはバイキルト、賢者はフバーハでさっき行動したはずなのにな」 
魔法使い「マヒャド」 
賢者「バギクロス」 
魔法使い「勇者様、まだバイキルト、フバーハの効果は持続しています。早く攻撃を」 
勇者「うん、わかった」 
勇者(迷っちゃダメだ。行くぞ) 
勇者「喰らえ」 
だがまたもや魔王の言葉が脳裏に響き止ってしまう。 
魔王「いてつく波動」 
魔王「イオナズン」 
勇者「ここに来て二段攻撃!? 今度こそもうダメだ」 

武闘家「マホカンタ」 
勇者「え?」 
勇者のみのイオナズンを跳ね返し、 
他3人にはイオナズンが直撃する。 
勇者「何で賢者でも魔法使いでもない武闘家がマホカンタを? 
    いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。 
    皆、大丈夫か?」 
魔法使い「私は何とか大丈夫です」 
賢者「オレもだ。だが武闘家が直撃した」 
武闘家は魔王の魔法を直撃して倒れていた。 
勇者「武闘家ーーーッ」 

武闘家の服はところどころ焦げ、手足には火傷を負っていた。 
勇者「おい、しっかりしろ」 
武闘家「うん、僕は大丈夫」 
武闘家に近寄ると、横にキラリと光るものがあった。 
勇者「これはネックレス?」 
さっきの衝撃で首から外れたのだろう。 
ネックレスにつけられているものを見て愕然とする。 
勇者「これは遊び人にあげた指輪」 
武闘家が使った賢者か魔法使いにしか使えないマホカンタ。 
レベル1で遭遇した武闘家。 
そして遊び人に渡した指輪。 
勇者(これらが指し示していることは一つしかない) 
勇者「武闘家。お前は遊び人、いや賢者だったんだな」 
武闘家「やっと気づいてくれたんだね」 

賢者「やれやれ、どうやら勇者はしばらく役に立たないようですね 
    私がしばらく足止めしますから、魔法使い支援をお願いします」 
魔法使い「了解です」 
賢者「勇者、剣を借りるからな」 

勇者「君は僕を捨てたはずじゃなかったのか?」 
武闘家「うん。実はね。あれウソなの」 
勇者「ウソ?」 
武闘家「私はあの夜、勇者と一緒に誕生日を祝えることが嬉しかった。 
     でも私は遊び人。勇者に釣り合う人間になるために、ダーマの神殿に行ったの 
     遊び人だけは悟りの書がなくても賢者になれるからね。ってここまでは知っているか」 


勇者「それで何で帰ってきた君は僕にあんなことを言ったんだ?」 
武闘家「賢者になって知力が上がったのは本当なの。 
     賢者になった瞬間に頭の回転が速くなって、私が勇者を束縛しちゃダメだってことに気づいたの。 
     勇者はもっと世界の役に立たなければダメなの。だから、発破をかけるつもりでああ言ったの」 
勇者「だから君は真人間になって欲しいなんて言ったのか」 
武闘家「でも、それは失敗だった。勇者は商人のところに行って、人を殺してしまった。 
     それで悔やんで処刑場で乱闘まで起こして捕まってしまった。 
     そのことを聞いたとき僕は何てことをしたんだろうと思ったの。 
     昔の友達の戦士さんに「勇者を助けて」とお願いしたの。 
     戦士は「大丈夫、悪いようにしない。でも、勇者はこのままではダメになるからオレたちで見守ろう」と言ってくれた 
     それで勇者にバレないように転職して会いに皆で行ったの」 
勇者「するとあの賢者は」 
武闘家「戦士」 

武闘家「戦士はね。ホントは勇者に立ち直って欲しかったんだよ。 
     だからルイーダさんと話して門番をわざとやらせたり、 
     処刑されそうなときにお姫さまと一緒になって芝居を打って自分は憎まれ役になったの。 
     転職してレベル1になってまでね」 
勇者「そうだったのか。戦士、アイツはいつも言葉が足りないヤツだった。 
    すると魔法使いは誰?」 
武闘家「魔法使いはね、門番Bだよ。処刑されそうになったんだけど、勇者の旅に着いていくことで許してもらえたの。 
     自分は旅の経験はないけど、勇者の役に立てるなら喜んでと言ってね」 
勇者「そうだったのか。皆、本当にゴメン。僕は一人じゃなかったんだな」 

武闘家「ごめんね、嘘ついていて」 
勇者「そうだね。許せない」 
武闘家「そっか。こんな僕たちのこと信じられないよね。本当にごめんね」 
勇者「そうだ。3人とも後でおしおきを受けてもらう」 
賢者が魔王の攻撃を受け、剣が手元から離れる。 
勇者「戦士、足止めありがとう。お前たちがどういう人間かよくわかったよ」 
賢者「おい、勇者」 
勇者「門番B、てっきり死んだものと思っていたよ」 
魔法使い「勇者様、そんな」 
魔王「ほう、やっと我の言うことがわかったか」 
勇者「ああ、よくわかったよ。お前が嘘つきだってことがな。オレの仲間は最高な奴らだった」 
賢者「勇者」 
魔法使い「勇者様」 
魔王「馬鹿な男だ」 
勇者「そうだ遊び人、ひとつ言っておくことがある」 
武闘家「何?」 
勇者は足元にあった剣を拾う。 
勇者「魔王はオレが倒す」 

完 

終わりです。 
まさか終了予定時刻を一日と一時間も上回るとは昨日の時点では思いませんでした。 
設定ミス、こんなんドラクエじゃねー、そもそもシリーズ混ぜすぎプッ、 
ドラクエとか以前に文章見せられるレベルじゃねーとかいろいろと不満はあると思いますが、 
お付き合いどうもありがとうございました。 
立てたときは落ちたら落ちたでいいやと思いましたが、 
思ったよりも反響があってびっくりしました。 

今度からは一夜でまとめられるくらいにコンパクトにします。 

皆さんお休みなさい。 
こんな遅くまで付き合ってくれてありがとう。 
ノシ 











出典:勇者「魔王はオレが倒す」
リンク:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1250782717/l50
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