猫日記 (笑える体験談) 58638回

2009/11/24 13:07┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
05/01/30 
俺が横になって雑誌を見ていると、1週間ぶりくらいに我が家の猫(オスなのに空子・3才)が帰ってきた。 
 「よう!久しぶり!」 
と声を掛けたが奴は無視。 
その後、何故か俺の読んでいた雑誌の上に箱座り。 
 「邪魔だよ!どけ!」 
と言ったが、完全無視を決め込んでいる。 
俺は雑誌を諦めテレビのスイッチを入れた。 


05/01/31 
昨日、1週間ぶりに帰ってきた空子(♂・3才)が、俺の部屋の柱で爪をバリバリ研いでいる。 
 「柱がボロボロになるだろ!やめとけ!」 
と言うと、一瞬俺の方を見て爪研ぎをやめた。 
そしてまたすぐに爪研ぎを再開した。 
さっきより激しい気がして色んな事が嫌になった… 
俺は空子を無視してパソコンの電源を入れた。 


05/02/02 
空子(♂・3才)を庭で発見した。体を低くしてスズメを狙っていたので、 
 「おい!頑張れよ!」 
と声を掛けると、スズメが逃げた。 
猫は何か複雑な目で俺を見た。 


05/02/03 
親父が猫用の小さい電気カーペットを買ってきた。 
部屋の隅に置いていたが、空子(♂・3才)は一度匂いを嗅いだだけで、そのままコタツに入ってしまった。 
親父の目は心なしか悲しげだった。 


05/02/04 
今朝、目が覚めてリビングに行くと、うちのじいさんが電気カーペットに正座をしてテレビを見ていた。 


05/02/05 
空子があまりうるさいので猫缶を開けてやる。 
皿まで持っていってやろうとした一歩目に、冷蔵庫の角に足の小指をぶつけた。 
猫缶を床にぶちまけて、悶絶する俺。 
気絶しそうな痛みに転げまくる俺。 
薄れ行く意識の中で空子を見ると、 
床にぶちまけた猫缶を一心不乱にむさぼり食っていた。 


05/02/10 
仕事の帰り、近くの公園で汚い猫を二匹見掛ける。 
汚いので無視、家に帰る。 
「腹減ったなぁー」と言って冷蔵庫を開けると、真っ赤な魚肉ソーセージが5本ある。 
それを持って公園に。 
なぜか近所のおばさんが公園にいる。 
その足元でモンプチゴールドを食うさっきの猫二匹。 
何故か急いで魚肉ソーセージを隠す俺。 
家に戻ると奴(♂・3才)がいた。 
魚肉ソーセージをやった。 
見向きもしなかった。 
あれ?俺が間違っているのか?と考えてみたりする。 


05/02/12 
コンビニに行く途中、神社の松の木に猫がいた。 
かなり高いところで遠くを見つめて「ニャー」と鳴いていた。 
「やっぱり豹みたいでかっこいいなぁー」と思った。 
家に帰ると、お袋が「今日はカレーよ」と言った。 


05/02/13 
部屋に入ると、空子(♂・3才)が電気カーペットにべたーっと寝ていた。 
全く動かない。死んでいるのか?と思って、 
「そら子!」と声を掛けた。しっぽをパタパタ動かす。 
「そら子!」しっぽをパタパタ。「空子!」パタパタ。 
少し嬉しくなった。 
試しに「ソ連」と言うと、しっぽをパタパタ動かした。 
「パソコン」しっぽをパタパタ。「掃除機」→パタパタ。 
その後「ねぎ」→パタパタ。「ねこ」→パタパタ。「肉」→パタパタ…を10回ほど繰り返すと、反応しなくなった。 
いろいろ悲しくなった。 


05/02/18 
猫(空子♂・3才)が俺の布団の中で粗相をした。 
俺は散々怒鳴り付けてやった!「大バカ!」「間抜け!」「あほ子!」 
酷く激昂して「お前は貰われっ子だ!!」と言ってしまった…。しまった!と思った。 
奴は家を出ていった。 
もう帰って来ないような予感がした。 
俺は激しく後悔した。 
夕方帰って来た。 


05/02/19 
夜、トイレに起きたとき 
じいさんの部屋から呻き声が聞こえてきた。 
嫌な予感がして、中を覗いてみた。 
じいさんの布団の上に空子(♂・3才)が箱座りをしていた。 
じいさんは苦悶の寝顔でう〜う〜唸っていた。 
俺はとりあえず見なかったことにした。 


05/02/20 
今朝、じいさんが「俺はもう駄目だ。昨日、死ぬ夢を見た。」 
と言って1万円をくれた。 


05/02/21 
空子(♂・3才)がネズミを捕まえてきた。 
俺の前までくると、ボトッと鼠を足元に落とす。 
落ちた瞬間、凄まじいスピードで走り出す鼠。 
テレビ台の下に逃げ込む鼠。 
呆然とする俺。 
猛烈な勢いで追いかける猫。 
テレビ台の下に鼻を突っ込む猫。 
「シャーッ」と奇声をあげる猫。 
手を突っ込んで引っ掻きまわす猫。 
あきらめる猫。 
その場に座り込むと、毛繕いを始めた。 
俺は「よし!殴ろう!と決心した。」 


05/02/22 
電気のヒモでシャドウボクシングしている所をお袋に見られた。 
お袋の目が痛かった。 
悲しい気持ちで部屋に戻ると、空子(♂・3才)が自分のしっぽを追いかけてグルグル回っていた。 
昨日よりも今日、少しだけ優しい気持ちになれるかもしれない。 
「空子。今日は一緒に寝るか?」と声を掛けると、空子は「ニャーン」と鳴いた。 
15分後、親父が「寒い寒い…」と叫びながら部屋に入ってきて、空子を強奪していった。


05/02/23 
じいさんの部屋から物凄い音がして、叫び声が聞こえてきた。 
何事かとじいさんの部屋に向かう途中、廊下で空子(♂・3才)とすれ違った。 
じいさんは「あの痩せ猫を殺してやる!」と物騒な事を言っている。 
手に持ったコケシの首がもげていた…
今日一日、空子は姿を見せなかった。 

夜、何か心配になってじいさんの部屋の様子を見に行った。 
やっぱり、奴はじいさんの布団の上で箱座りをしていた。 
やっぱり、じいさんは苦悶の寝顔でう〜う〜言っていた。 
奴は殺られる前に殺る気だ! 


05/02/27 
親父は空子(♂・3才)が好きで好きで、たまに発作を起こす。 
空子を捕まえると両手で持ち上げ、顔をすりすり押し付ける。
たまに口をペロペロ嘗めたりもする。 猛烈に抵抗する猫。 
親父は多少引っ掻かれたぐらいではびくともしない。 
顔がグシャグシャになった頃には、手も足も尻尾も力なくぶら下がっている状態。 
親父は満足すると手を離す。 
その場に崩れ落ち、ぐったりして動かない猫。 
陵辱された猫を見て、何故かニヤニヤするじいさん。 
満足そうな親父を見て、何故かニヤニヤするお袋。 
「なんか、嫌な家族だなぁ…」としみじみ思う。 


05/02/28 
じいさんが猫カーペットに正座してテレビを見ていたとき、後ろから歩いてきた空子(♂・3才)がリモコンを踏んだ。 
テレビの画面が変わった。 
じいさんが「ばっ、婆さんかっ!?」と叫んだ。 


05/03/01 
夜中、腹が減って起きた。 
台所を物色していると、どこからか空子(♂・3才)がやってきた。 
「にゃーにゃー」うるさく鳴いて、何か喰わせろと言っているらしい。 
とりあえず冷飯にかつおぶしをかけてやったが見向きもしない。 
猫缶の場所を知っているお袋は親戚の家に出掛けてるし… 
途方にくれて、酔っ払っている親父を起こすと何故かぶちギレ。 
「うるさいぞ息子! おい、空子が泣いている! お前のせいだ、何とかしろ! 人でなしめ」 
むちゃくちゃ言ってまた寝てしまった。 
俺は水槽から親父の飼っている金魚(ランチュウ)を捕まえて空子にやった。 
空子は少し匂っただけで行ってしまった。 
「すまない。」と言ってランチュウ(金魚・♀)を水槽にもどした。 
空子は俺があげたかつおぶしご飯の、かつおぶしだけきれいに食べていた。 


05/03/02 
朝、目が覚めると顔の5cm横に空子(♂・3才)が座っていた。 
なぜか俺の顔をジィーっと見ている。 
俺はちょっと照れ臭くなって 
 「いつからそこにいたんだ?ほんとに空子は俺のことが好きだなー。」 
の、「い…」を口にした瞬間 
いきなり俺の左目にネコパンチを喰らわせる猫。 
…もう何がなんだか、意味が分からない。 


05/03/25 
3月5日ぐらいから、空子が家を出たきり帰って来ない。 
1週間 程度 帰って来ないことは何度かあった。 
が、こんなに長いのは初めてだ。 
親父はプチ廃人になっている。 


05/03/26 
今日の朝、じいさんが猫を探しに行ってくるといって家を出て、夜遅くにパトカーで帰って来た。 
それから、じいさんはカーペットに座らなくなった。 
 「わしが空子のカーペットを奪ったのが悪かったのか…。」 
と、頻りに気にしている。 
 「それは関係ないんじゃないの?」 
と言ったが、また猫を探してくると言って出掛けていった。 

俺は少しだけじいさんが好きになった。 

今日も空子は帰って来ない。


2005/3/27 
神社の脇でこちらをじっと見る野良猫を見掛ける。 
 「よう! 空子知らないか?」と声を掛けた。 
くるりと向きを変え、歩き始める猫。 
振り返って俺の顔を見る猫。 
 「着いて来い」と言っているようだ。 
俺はそいつを追いかけてみることにした。 
何度も振り返り、俺の顔を見ては歩き出す猫。 
慎重に後を追う俺。 
 「どこに連れて行くんだ?」と思った瞬間 
一軒の家へ入っていく猫。 
中から「あらー、お帰りーマロちゃん」と聞こえた。 
あれ? ただ自分の家に帰っただけなのか? 
いやそんなはずはない、必ず何かある! と確信した。

何も起こらなかった。 


2005/3/28 
今日の朝、じいさんが「久しぶりに死ぬ夢を見た」 
と言ってコップの水を一気飲みしていた。 
ん? 空子か? 帰ってきたのか? 
俺は「まさかな…」と思ったが、少しだけ嬉しくなった。 


2005/3/30 
残業で遅くに帰宅。 
台所へ行くと、親父がテーブルに顔をうずめて寝ている。 
邪魔だ。 
テーブルに目をやると、汚い字で「猫探しています」とチラシが作ってあった。親父の字だ。 
「・茶と白色の3才のオス猫・痩せ型・赤い首輪をしています・見掛けたら連絡ください・名前はキャサリン。」 
…キャサリン? 
親父は「空子」が恥ずかしいと思っているのか? 
オスなのに「空子」が恥ずかしいのか? 
キャサリンでもメスの名前じゃないのか…と考えてみたりする。 


2005/3/31 
朝からあわただしく玄関を飛び出す親父。 
どうやら寝坊したようだ。 
その様子を二階から眺める俺。 
カバンからキーを出し→車のドアを開ける→なぜかカバンにキーをしまう→車に乗り込む親父。 
「さぁ、行ってくるぞ!」窓の向こうのお袋にそう言ってエンジンをかけようとするが、キーが無い。 
「あれ? ドアに刺しっぱなしか?」と言いながら 
車の窓を開ける→鍵穴に手をやって捜す→ちょっと焦りだす親父。 
座席の下を覗き込む→車の下を覗き込む→やっぱり無いらしい。 
俺は「カバンの中だろ?」と思ったがあえて無視。 
「家に忘れたか?」そう言いながら親父はカバンからキーを出し、車に鍵をかけた。 
…手に持ったキーをしばらく見つめる親父。 
何事も無かった様にまた車に乗り込んで行ってしまった。 
俺はなんだか悲しくなった。 


2005/4/2 
公園の前を通りかかると、砂場の中に空子を見つけた。 
 「そら子!!」 
無心で駆け出す俺。 
 「何やってたんだよ!心配させやがって!いったい今までどこ行ってたんだよー!!」 
と叫びながら空子を抱き上げようとした瞬間 
はっ!とする俺。空子に見えたのは、茶と白色のカバンだった。 
俺は笑い崩れた。 

夕方、飯を食っているとじいさんが帰ってきて 
「空子を見つけた!」と言った。 
「と思ったらこれだった…」 
じいさんは茶色と白のカバンを持っていた。 
茶色と白のカバンとじいさんは、親父によって警察に連れて行かれた。 


2005/4/5 
空子がいなくなって1ヶ月が経つ。 
奴はまだ帰って来ない。いったい何処に行ったんだ? 
あいつがいなくなった前って何があったんだ? 
日記を読み返す俺…嫌なことを思い出した。 
家出をするのは俺の方じゃないのか…と本気で思った。 


2005/4/6 
近所のスーパーに空子の大好きな猫缶を買いに行ってみたりする。 
家に帰ると、家の周りをウロウロ徘徊するじいさんを見掛けた。 
じいさんも空子を探しているようだ。 
 「今日も空子探してるのか?」と声を掛けると、 
じいさんは はっ! として家へ入っていった。 
どうやらただの徘徊だったようだ。 


2005/4/8 
公園のベンチで、右目が金で左目が銀の白猫を見つけた。 
背中を撫でる俺。 
首だけくるりと振り返って俺の手をガブリと噛み付く猫。 
避けず警告も無しに噛んでくる猫。 
いろんな意味で痛かった。 


2005/4/9 
夜中、腹が減って起きた。 
台所でゴソゴソと物色していると、 
じいさんが「そ、空子か?」と叫びながら入ってきた。 


2005/4/12 
空子がいつ帰ってきてもいいように、台所には水とカリカリが置いてある。 
毎朝まめに水を替える親父。 
 「水が蒸発するのは分かるが、カリカリも蒸発するのか?」 
と、わけの分からないことを言っている。 
カリカリが昨日より減っているというのか? 
 「ネズミよ」というお袋。 
 「そ、空子か!」というじいさん。 
 「気のせいか?」という親父。 
俺も空子じゃないのかな、と考えてみたりする。 
今日はいつもより、少しだけ空が青く感じた。 


2005/4/15 
親父が風水の本を買ってきた。 
真剣に読む親父。 
メモを取る親父。 
メモには「南に緑」と書かれていた。 
風呂から上がった親父は何故か鼻歌を歌っていた。 
何かをたくらんでいるようだ。 


2005/4/16 
親父が小さな観葉植物を二つ買ってきた。 
それを南の窓に並べる親父。 
 「いいか、息子。これが二つ同じように育てば、待ち人が帰ってくる」
と言った…鼻歌を歌いながら風呂へ入る親父。 
じいさんが水をたっぷりあげていた。 


2005/4/17 
朝リビングに行くと、親父の観葉植物が二つとも枯れていた。 
親父は今日、会社を休んだ。 


2005/4/18 
仕事場の近くで空子にそっくりな仔猫を見掛けた。 
なんとなく、空子が家にやってきた日を思い出す…

ある夏の朝のこと。
新聞を取りに郵便ポストを開けるお袋。 
郵便ポストには仔猫が丸くなって入っていた。 
お袋はびっくりもしない。 
 「あら、消印が無いわねえ」とか言って家に入れたのだ。 
俺の横でミルクを美味しそうになめる猫。 
 「いんじゃないか」となぜかニタニタする親父。 
 「目が青いからこの子は空子じゃな」と勝手に名前を付けるじいさん。 

俺は空を見上げて空子のことを考えた…

もうそろそろ帰って来いよ、空子…。 


2005/4/20 
今日は朝から雨だった。
台所でお袋が夕飯の仕度をしている。
その音を聞きながら、窓の外をぼんやり眺めている俺と親父。
今日も空子(♂・3才)は帰ってこないのかな?
と考えてみたりする…
濡れてなければいいがなぁ…と呟く親父。
窓の外では雨の中、じいさんが盆栽に水をやっていた。
俺は何だか悲しくなった。


2005/4/22 
仕事中にお袋からメールがあった。
メールを見ると 
 「空子帰って来たわよ」の文字。
俺は嬉しくなって早めに仕事を切り上げ、急いで家に帰った。
 「そ、空子どこだ!?」 
お袋はニヤっとしてじいさんの部屋を指差す。
俺はじいさんの部屋をそっと覗いてみた。
布団で昼寝をするじいさん。
じいさんの布団の上で箱座りしている空子(♂・3才) 
 「空子が帰って来た!」 
俺は嬉しくなって親父に電話をかけようとすると、
玄関から物凄い勢いで親父が飛び込んできた。
どうやら親父も会社を早退したらしい。
親父と二人でじいさんの部屋を覗いていると。
じいさんはやっぱり、うーうー言っていた。


2005/4/23 
朝から親父が空子を抱き抱えて朝食をとっていた。
 「やりすぎだろ」と思ったがあえて無視。
親父が慌ただしく会社に出掛けた後、俺も朝食をとろうとリビングに行くと、
じいさんも空子を抱き抱えて朝食をとっていた。
何故か抵抗しない猫(♂・3才) 
次は俺の番だろ? と考えたりする。


2005/4/24 
朝、目が覚めると俺の顔5cmの所に空子(♂・3才)がいた。
俺の顔をじぃーっと見つめる猫(♂・3才) 
 「いつからそこにいたんだ? またネコパンチする気か?」 
の、「い…」と言った瞬間やっぱりネコパンチをくらわせようとする猫(♂・3才) 
 「その手には のるかよ!」と瞬時にネコパンチを手で払い除ける俺。
「どうだ!」と思った瞬間、
今度は俺の両目にネコパンチをくらわせる猫(♂・3才) 
どうやら、空子のほうが一枚上手らしい。


2005/4/25 
お袋が台所で料理をしている。
下ごしらえした魚がテーブルに置いてある。 
それを見つける空子(♂・3才) 
椅子に行儀良く座っていたかと思うと、 
そーっと魚に手を伸ばす猫(♂・3才) 
 「コラッ」と一喝するお袋。
一瞬動きが止まる猫(♂・3才) 
空子はそのまま伸ばした手で、わざとらしく顔を洗っていた。
テーブルで新聞を読んでいた親父が、お袋の声にビクッとしたのは何故だろう…と考えてみたりする。


2005/4/28 
久しぶりに空子(♂・3才)を腹の上に乗せてブラシをしてやる。
くるりと振り返りケツを向ける空子(♂・3才) 
確かにそのほうがかけやすいのだが… 
俺は何か複雑な気分になった。


2005/4/30 
夕食を食べていると、テーブルの下から ぬーっと手が出てきた。 
 「コラッ!」と一括するお袋。
それでも素早い動きでじいさんの皿からししゃもを強奪する猫(♂・3才) 
焦って床にししゃもをぶちまける空子(♂・3才) 
お袋はししゃもを拾い上げじいさんの皿に戻した。
じいさんは気付かずにそのまま食べていた。 


2005/5/1 
部屋で雑誌を見ていると、空子(♂・3才)が入ってきた。
俺の方に歩いてくる空子(♂・3才) 
 「なんだよ、遊びに来たのか?」と声を掛けたが奴は無視。
窓をじっと見つめる空子(♂・3才) 
 「出たいのか?」と目線の先を追うと、
網戸にはカナブンがとまっていた。
 「やめとけ、危ないだろ!」 
と言ったが完全に無視。
空子(♂・3才)はカナブンを見つめ、なにやらウニャウニャ言っている。 
 「あきらめろって!」と言った瞬間、
思いっきり網戸に飛び掛かる猫(♂・3才) 
そのまま網戸と一緒に二階から落っこちる猫(♂・3才) 
 「空子ー!」 
と叫びながら窓から下を見ると、空子は何か複雑な目で俺を見上げていた。
 「あれ?やっぱりおれが悪いのか…」
と考えながら庭に降りてみたが、空子(♂・3才)はもうどこにもいなかった。
部屋に戻ろうとリビングの前を通りかかると、 
リビングの網戸にしがみついている空子(♂・3才)を発見した。


2005/5/5 
コンビニからの帰り、空子が隣の家のガレージに入って行くのを見付けた。
おどかしてやろうと後を追ってガレージに飛び込む俺。 
飛び込んだ瞬間「っおい!」って叫んだら、 
空子(♂・3才)は飛び上がってビックリしていた。
が、横にいたお姉さんもびっくりしていた。
俺はもっとびっくりした。
何故か夕暮れの海に向かって叫びたい気分になった。


2005/5/6 
リビングのソファーでお腹を見せて空子(♂・3才)が寝ている。 
撫でてやろうと近づいたら、焦ってソファーから飛び降りる猫(♂・3才) 
 「怒らねーよ、撫でてやるからこっち来いよ」と言うと、 
 「にゃー」と鳴いてその場で寝転んだ。
しかし近づくと、微妙な距離をとってくる。
逃げたりはしないが、手を伸ばすとその分距離を開ける猫(♂・3才) 
 「ん? おちょくってるのか」と言って部屋を出る俺。 
 「にゃー」と鳴いて後を着いてくる猫(♂・3才) 
 「なんだよ、やっぱりそら子は俺の事が好きなのか?」と言うと、 
お腹を見せてその場で仰向けになる猫(♂・3才) 
俺が手を伸ばすと、今度は転がりながら遠ざかった。
…いったい何がしたいのか、意味がわからない。


2005/5/11 
リビングでテレビを見ていると、空子(♂・3才)がやってきた。
どうやら庭に出たいらしい。
 「勝手口(猫用のパタパタの通路)から出ろよ!」
と言ったが、外を見ると今日は雨。
 「無理だろ?」
と言ったが、それでもしつこく開けろと言うので窓を少し開けてやった。
どしゃ降りの雨にたじろいで後ずさりする猫(♂・3才) 
走って別の部屋の窓を開けろと鳴くので、仕方なく開けてやったら、 
やっぱりどしゃ降りで後ずさりする猫(♂・3才) 
今度は玄関に行くのでドアを開けてやったが、やっぱりどしゃ降り→後ずさり。
納得出来ないような目で俺を見上げる空子(♂・3才) 
 「どこの窓だろうと、ドアだろうと一緒だ、外は雨だ。」と言うと、 
肩を落としてじいさんの部屋に入って行った。
五分後、空子(♂・3才)に連れられて家中を歩き回っているじいさんの姿を見た。 


2005/5/14 
リビングの座椅子で居眠りをしているじいさん。
その椅子に向かい合って座る猫(♂・3才) 
言葉すら聞こえないけれど、何か通じ合っているように見える。 
 「平和だなぁ」と思った瞬間、 
じいさんが寝言で「チッ!」と舌打ちをした。
どうやら二人は夢の中で戦っているらしい。 


2005/5/18 
ソファーで仰向けに寝転ぶ親父。
その顔面に座る猫(♂・3才) 
それだけでも十分面白いのに、よく見ると 
親父の両目に置かれた空子(♂・3才)の手は、リズムよくふみふみをしている。
どうやら親父はマッサージを受けているようだ。
 「なんだよ親父、疲れ目か?」と声を掛けると、 
親父は親指をぴんと立てて右手を高く上げた。
それを見て、隣にちょこんと座るじいさん。
どうやら順番待ちらしい。
五分後、傷だらけの親父のまぶたを見て、じいさんは無言のまま部屋に戻って行った。


2005/5/19 
空子が電気スタンドの傘に飛び乗った。
 「危ない危ない!」とうるさい親父。
 「頼む、降りてこい!」と下で手を広げる親父。
 「猫だから大丈夫だろ?」と言ったら 
 「お前は黙っていろ、この野蛮人!」とわけの分からない事を言われた。 
酔っ払っているのか?と考えながら、遠くから見守る俺。 
体制を崩す猫(♂・3才) 
次の瞬間、見事に親父の顔面に着地する猫(♂・3才) 
親父は軽く流血しながらも「危ないなー」と笑顔で言っていた。 
一番危ないのは親父じゃないのか…と考えたりする。 


2005/5/23 
夜、歯を磨いていると空子(♂・3才)が洗濯機の上で寝ていた。 
人差し指に付いた歯磨き粉を空子(♂・3才)の鼻に近づけてみる。 
目を閉じたまま、異変に気付く猫(♂・3才) 
もっと近づけてみると、顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
指を離すと、また寝てしまった。
また人差し指を近づけてみる→顔をクシャクシャにする→離す→戻る→また近づける→クシャクシャ→離す→戻る→近づける→クシャクシャ→と、反応が面白かったので 
試しに違う指を近づけてみた→何故か顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
…あれ? と思って今度は腕を近づけてみた。
やっぱり顔をクシャクシャにする猫(♂・3才) 
右手→クシャクシャ→左手→クシャクシャ→足→クシャクシャ、肘→クシャクシャ、手首→クシャクシャ… 
俺が臭いのか? と考えたりする。
俺は何だか悲しくなった。
今度は洗濯カゴから親父の靴下を取り出し、空子(♂・3才)の鼻に近づけてみる… 
そこをお袋に見付かった。 お袋の目が痛かった。


2005/5/24 
今日、散歩から戻った空子(♂・3才)の首輪に手紙が結びつけてあった。 
その手紙は『空子くんの飼い主様へ…』から始まっていた。
首輪を見て「空子」と名前が分かったのだろう、
『私は○○町の○○と申します…』 
なんだ? 隣町じゃないか、と考えたりしながら、手紙を読み進める。
その手紙にはこんな事が書かれていた…

手紙を書いた主の家には、一匹の猫(10才・♀)がいた。
名前は『チャチャ』というらしい。 
チャチャは数年前、避妊手術を受ける前に一度だけ出産をしたらしい。 
父親は野良のようだ。 
ある日、父猫(野良)は一匹だけ仔猫をくわえて家を出て行き、それ以来姿を消してしまったそうだ。
残った仔猫達は、皆それぞれ知り合いの家に貰われていったが、手紙の主はやっぱりその仔猫の事が気になっていたらしい。
そして約1年程前から、空子(♂・3才)は
この家にちょくちょく遊びに行っていたらしい。 
空子(♂・3才)を初めて見た手紙の主は、 
チャチャと同じ鮮やかな青色の目、 
チャチャと同じ茶と白の模様、 
一目で空子がチャチャの子供であると確信したらしい。 
あの時、父猫が連れて行ってしまった子だと…
また、空子の赤い首輪を見て、空子もまたどこかで幸せな家族と一緒に生活しているのだと知って、大変安心したと書かれていた。
チャチャは半年程前からだんだん体が弱り、今年の3月頃からは寝たきりになってしまったらしい。

あれ? ちょうど空子(♂・3才)がいなくなった時期だな…と考える。 

ドアを開けていても、窓を開けてやっても、空子は帰らなくなったらしい。
空子は寝たきりとなった母親にずっと寄り添って、 
一時も母猫の側から離れなくなったらしい。
それは甘えているようで、そして必死で守っているようで、母親への空子の愛情が、見ていて辛かった。 と書かれていた。 
最後の瞬間まで、空子は小さな体で精一杯 衰弱していく母親を温かく包み込んでいたという。
チャチャはちょうど一ヶ月前に天国に旅立ってしまったらしい。 
最後の日、空子は別れを言うように、母猫の顔を毛繕いすると、静かに窓から出ていったそうだ。

空子は精一杯の親孝行をしていたんだと分かった。

また、手紙には長い間 空子くんを家に返さないで、心配かけてごめんなさい。 と書かれていた。
空子くんをこんなに優しく育ててくれてありがとう。 と書かれていた。 

空子が帰ってこなかった2ヶ月の間、俺は本当は心配だったのだが、何故か不安という気持ちは一切無かった。
その矛盾した気持ちの訳が今日初めて分かった。 

今、俺の目の前には空子(♂・3才)がいる。

俺は、こいつを世界一ばかで、世界一優しい猫だと思った。 

 「そら子!」と呼ぶと、俺の顔を見て「にゃーん」と鳴く。 

お前が居て当たり前だと思ってたけど、俺はお前が居なくなって初めて気付いた事が沢山あったよ。

 「ありがとな、空子!」

と言うと、空子はまた俺の顔を見て「にゃーん」と鳴いた。 

俺の目の前で、俺の大事な鞄で爪をバリバリ研ぐ猫(♂・3才) 
今日だけは許してやろう。
もう柱だって鞄だって、どうでもいいよ。 お前がいてくれたらそれだけでいい。 

気が済むまで、いくらでも研げよ!
と思ったりしてみる。 

やっぱり俺は、空子(♂・3才)が一番好きなのかもしれない。 



『猫日記』 〜 完 〜


出典:2ch
リンク:2ch
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