バイクの免許取る!! (エロくない体験談) 59853回

2009/11/30 13:34┃登録者:<ヽ`∀´> ┃作者:まさみ ◆2P9Lu8K83Q
323 :まさみ ◆2P9Lu8K83Q  :2009/11/29(日) 17:07:38 ID:1TiC0zgL
その日、私は機嫌が悪かった。何を見ても腹立たしかった。

クラスメイトが話しかけてくるのも疎ましく、自分のことをもてあましていたのだ。
「歴史のノート見せてくれよ」
「ちょっと、やめてよ。勝手にノートに触らないで」
「ちぇ、こえぇなあ」


まだ幼かった私は自分自身でその理由がわかるどころか、機嫌が悪いことさえ自覚がなかった。
私が自分が深く傷ついていたことを自覚したのは、お昼休みに買いに行ったコロッケパンの棚に
「売り切れ」と書いてあったのを見たときだ。
下唇をかみ締め、もう少しで涙が出そうになった。
「そうだ、あの電話が私を悲しませたんだ」

電話の相手は私が小学生のときに行ったスキーキャンプでたまたま一緒のグループになった
同い年の男の子。お互い知り合いがいない単独参加だったし、年も参加最年小年齢同士
だったのですぐに私たちは仲良くなった。
家も自転車でいけるぐらいそばだったから、学校は違ってもキャンプ後も友達付き合いは続き
今にいたっている。
見た目は劣化した山Pみたいだから、「トモ君」(仮名)。
山Pの幼馴染だから私は「まさみ」(これも仮名)でw。 

昨日もいつもの楽しいおしゃべり。でも電話の最後にトモ君は私に聞いた 

「まさみ、お前さ、昔犬吠埼の灯台に行ったことが有るって言ってたジャン」 
「うん、あるよ。両親と車で行った」 
「いい所だったか?」 
「うん、白い灯台があるよ。海が綺麗でさ。いい所だよ・・・なんで?」 
「え?・・・・まあ・・・・ナンでもないよ」 

こんな事言い出すときは、奴は大体なんか隠している時だ。 

「なによー。言いなよー」 
「えっと・・・まあ、クラスの女子をバイクの後ろに乗せることになったんだ・・・」 

「え?」と思った。もっと問い詰めようとしたが、彼は話をはぐらかして早々に電話を 
切ってしまった。その時感じた「釈然としない感情」は単に電話をすぐに切られて 
しまったからだと思っていた。 

確かに私たちは彼氏と彼女じゃない。学校も一度も同じになったこともないし、会うのも 
週に一回位だ。 
でも私にとっては一番親しい男の子だったし、どこかに出かけるときだって受験校で 
あまり周りとかかわらないクラスメートではなく、いつも彼と出かけていた。  
他愛ない冗談でおなかを抱えて笑いあえる私たちの関係は男女を越えた友情だと思っていた。 

思い出してみればキャンプの時、当時、私が缶コーラを一人で一本飲みきれなかったから、 
いつも彼と缶コーラを分け合って飲んでいた。私のファーストキスの相手(間接だけどw) 
でもあったんだ。 

でも・・・・ 

私は昨日の電話を反芻しながらいろいろ考えた。 
「どんな子なんだろう?」 
「その子、トモ君の事好きなのかな?」 
「・・・トモ君も・・・ひょっとして」 

一度自覚した不安な気持ちは、どんどん私のなかで膨らんでいった。 
私はどうしたらいいか懸命に考えた。 
私はかなり思いつめていたんだろう、家に帰って母親に会ったとたん母に 
「どうしたの??」と聞かれた。 

「私!バイクの免許取る!!」 
母親は私の突然のバイク宣言にびっくりしたが、自分のセリフに自分自身もビックリした。 
ものすごい発想の飛躍。 
「だって、トモ君取られちゃう!」 

私は母親に昨日の電話のことを相談した。すると母親は今まで見たことがない様な 
笑みをうかべた。 
「まさみちゃん。やっと自覚したのぉ?ww あなた達見てたら歯がゆかったわ」 

ひとしきり私を笑いものにした後、母はまじめな顔になって私に言った。 
「ママ応援してあげる。でも約束しなさい。免許とってトモ君に告白して振られたら 
彼の恋路を邪魔しないこと」 
「はい、約束する。でもこのまま私あきらめたくないモン」(`・ω・´) シャキーン 
「パパには私から言ってあげるし、教習料金はお年玉に足りないところは貸してあげる」 

母親が恋愛に対しあんなに協力的だとは知らなかった。きっと若い時は相当な 
恋愛ソルジャーだったに違いない。 
「ありがとうママ。私バイトしてでも絶対返すから」 

私は制服を着替えもせずに、きびすを返して近所の教習所に手続きに行った。 
なんだか少しでも急ぎたい気持ちだった。 
免許を取ったら、トモ君に「一緒にツーリング行きたいから」「他の子と行っちゃイヤだ」 
と告白するつもりだった。 

免許は普通自動二輪免許をとることにした。彼と同じ免許だったし、教習所の勧めも 
あったからだ。 
学校が終わった後に通っても1ヶ月もあれば取れることもわかった。トモ君が二人乗りが 
できるようになるのは彼が免許とって一年なので、まだ間にあう。 
ちゃんと私はトモ君が免許取った日覚えているよ。だって一緒に卒検見にいったもん。 
トモ君のツーリングデート前までに免許を取らなきゃ。 

その日から私の免許を取るための戦いが始まったw。幸い身長は高いほうなので足つきは 
問題なかったが、何しろ重い。 
200kgの車体も重かったし、クラッチレバーも重たかった。教習所では何度も転んだが 
私は決してあきらめることはしなかった。 

「あ、転ぶ・・・」バランスを崩したら支え切れない 
がしゃーん! 
「おーい大丈夫か?早く起こせー」教官が振り返り声を掛ける  
「はい!むむむむ。。。くくくく。。。うううう」 
「はい。もう一度クランク!」容赦の無い指示 
「は・はい・・・・・あ、転ぶ」 
がしゃーん!! 

爪は割れ、ヒザやスネにはいくつもの青あざができた。鼻血だって2回も出した。 
でも、くじけるわけに行かないのだ。父と母も傷だらけになって帰ってくる娘を 
心配しながらも優しく見守ってくれたし、トモ君と学校が違うので顔を合わせることなく 
彼に秘密裏に教習所に行けた。 

トモ君はあれきりクラスの女子とのツーリングデートの話はしないし、私も聞くことは 
しなかった。もしその話がでたら、私はきっと泣き出してしまっただろうから。 
いつも話題は他愛のない事。 

「そんでさー、俺も大笑いしたよー」 
「あははは、まぬけー!」 
トモ君と電話でいつもの他愛ないおしゃべりをしつつ、私はヒザのアザをすこし指で 
押してみた。ちょっとアザと心が痛かった。 





不思議なもので、第二段階に入ると転倒もしなくなり、教習そのものも楽しめるように 
なった。しかし足の青あざは決して少なくなる事はなかったけどねw。 

予定していた一ヶ月はあっという間に過ぎた。もうすぐトモ君の二人乗り解禁日が来てしまう。私は焦った。 
教習時間にはカウントできないが、自由教習はうけられると聞いた。私は時間が許す限り 
バイクの練習に励んだ。 

教官は毎日現われる女子高生の私を物珍そうに見守ってくれた。 
「あれー、まさみちゃん、今日も来たんだ。がんばるねー」 
「私、早く免許取って大事な物を取り返すんです!」 
私はRPGの主人公かっww 

「ウィンカー右!1・2・3・ミラー&後方確認!」 
「まさみちゃん、うまくなったねー」教官も褒めてくれる 
「ふふん」 


自由教習のおかげか、なんとか卒検にこぎつけた。再来週はトモ君免許の解禁日だ。 
学科は特に問題なし。問題はクランク後の右Uターンだ。 

「はーい、それでは卒業検定始めます。まさみさんスタートして下さい」 
「では行きます!」 
・・・・・・ 
ウィンカー右!1・2・3・ミラー&後方確認! 
・・・・・・ 
スラローム左!右!左!右! 
・・・・・・ 
クランク突破!そして右ーーーぃ!!!うまくいった。 

無事卒業検定は終了した。学科は言うまでもなく一発合格。 
不思議と達成感はなかった。私にはこの後にトモ君への告白が控えていたからだ。 


私は運転試験場に行き学科試験を受けると、すぐに免許証を手にすることができた。 
免許書の私の写真はなんだか不機嫌に見えた。 
あと一週間しか時間がない。告白するなら今週末しか・・・・ 


恒例のように土曜日の夜は私たちは電話をしてる。 

「ということがあった訳だー。あははは」トモ君はいつものように話しかける。 
「・・・・・・・・・」私は少し無言になった。 
「ん?どうした? つまんなかったか?」 
少し間が開いてから私は勇気を振り絞った。「ねえ、トモ君、今から会わない?」 
「え?今からか?  俺は良いけど」 

母親には今日が告白日と告げておいたから外出は可能だった。 
「まあいいや、俺もまさみに言うことあったから」 

クラスの女子のことだろうと思った。私はすでに泣き出しそうだった。 
母は背中を叩いて励ましてくれた、父は知らん顔。 
「がんばってらっしゃい!」 

近くの公園に行くと、トモ君はすでにバイクで来ていた。 
私は片手に缶コーラを持っていった。 
いつもひょうきんな彼と違い、何か思いつめた顔をしている。きっと私もそんな顔を 
していたのだろう。 
どちらも会話が途切れがちになった。私はうつむいていた。なかなか勇気が出ない。 

「どうしたんだ急に?それに今日なんだかおかしいぞ」 
私はしばらく黙ったあとに持っていた缶コーラを差し出した。自分の胸の鼓動が聞こえそうだ。 
「これ半分飲んで」 

トモ君は「なんで?」って顔をしながらも半分のコーラを一気に飲んだ。 
私は無言で半分残ったコーラの缶を受け取った。 

一口飲んでから私は言った。 
「トモ君しかいないの。コーラの半分飲んでくれるの・・・トモ君だけなの」 
涙が出てきてしまった。免許書をトモ君に渡しながら私は続けた。 
「だからツーリングには私を連れって!ほかの女の子じゃなく私をつれてって!!」 
「免許取ったから・・・取ったから・・・一緒に走りたかったから・・・」 

冷静に話すつもりが、あふれた感情は押さえ切れなかった。涙がとめどもなくあふれてきた。 
言いたい事の半分も言えない。 

・・・・ 


「そのまま、飲みながら聞けよ」 

トモ君はバイクの後ろに隠してあったヘルメットを私に見せた。このヘルメットが 
「彼女に似合うかな?」って聞いたらぶん殴ってやる。しかし・・・ 

「まさみ!来週、犬吠埼へコーラ飲みに行こうぜ」 
「え?」 
「コーラの回し飲みできる女子ってお前しかいないから、一緒に来てくんないと困るんだ。 
コーラ飲めねージャン」 
「えええ?」 

トモ君、首まで真っ赤だ。でも先に指摘したのは彼だった。 
「まさみ、お前、コーラ缶と同じぐらい真っ赤だぞw」 

この後はあまり覚えていなくて、気がついたら間接ファーストキスの相手が本当の 
ファーストキスの相手になっていたw。ファーストキスはコーラ味。 



すこし落ち着いてから私は聞いた。 
「他の子を後ろに乗せるって言ってたじゃない。あれはウソ?」 
「あれはお前がしつこく聞くからだよ。本当は来週驚かせようと思ってたのに」 

トモ君はつづけた 
「第一、俺お前のお母さんにツーリングの許可とったり大変だったんだぜ」 
「え?ママ知ってたの?」どおりでさっきも笑顔で送り出してくれたはずだ。 
やられた・・・・。 

「でもお前、一緒に行くって免許とっても、バイクはどうすんだよ?」 
「そっか。考えてなかったw」 
「バッカだなww。一年間は俺の後ろ乗ってろよ」 
「うん、でもバイクたまには貸してw」 

トモ君にプレゼントしてもらったヘルメットをかぶってみた。ぷっ、ちょっと大きい。 
「まさみ、バイクの腕前見せてみろよ」 

私は公園の駐車場で彼のバイクに乗ってみた。するするするとバイクは走り出した。 
私は振り返って彼の方を見た。 
「どんなもんだ! あ、転ぶ!」 
がしゃーん!!! 


おわり 



341 :まさみ ◆2P9Lu8K83Q  :2009/11/29(日) 23:42:25 ID:1TiC0zgL

PS
トモ君は10年たった今でも、サプライズが下手です。
先日、彼が婚約指輪を私のバイクのキーに内緒でつけていたのですが
そっちはスペアキーだよー。

昨日の婚約記念日は缶コーラを二人で回し飲みでカンパーイでした。 












出典:2ch
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