親友の幼なじみを好きになってしまった・続編 (ジャンル未設定) 48023回

2011/01/28 05:15┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
前編http://moemoe.mydns.jp/view.php/22922

665 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/03 23:56:29 ID:3jNcd7VZ
日曜夜。 
ここでレスしてる途中で将介からメールが来た後、 
暫くメールが続いていたが、将介がめんどくさくなったらしく電話がかかってきた。 

まあほとんど他愛もない話だったが、 
ちょうどスレの話題にもなったので、 
【夏実がいつから俺を好きだったのか】 
を聞いてみることにした。 

将『えー? それ、言っていいんかなぁw』 
壱「夏の方が、将介に聞いてくれって言ってたぞ。」 
将『あ、ならいいのか。』 

そこで初めて知る驚愕の事実が! 


666 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:08:03 ID:JrJwgN5Q
高校一年の頃、俺がたまに将介と喋る夏実を見かけたように、 
逆に夏実も、将介と喋る俺を見かけていたらしい。 
その頃は、クラスメイトなんだろうなーぐらいに思っていたが、 
やたら顔が可愛い///のと背丈がちっこいので覚えていたそうだ。 

将『あいつ、昔から童顔とか女顔とか好きだからw』 
壱「そうなの?」 
将『初期ラルクのhydeとか、若い時のフミヤ最高wとか言ってたし。あと最近では小池徹平?』 

小池徹平ファンは聞いたことがある。 
ちなみに俺は上の誰にも似てないぞ。 

まあそんな程度だったのが、二年になって同じクラスになると、 
自分の幼なじみの将介と俺がやたら仲良かったので、 
自分も友達になりたいと思ったそうだ。 
で、将介に頼んで、家に連れてきてもらったという。 

壱「げ、じゃあお前最初からグルすか?」 
将『言い方悪いけどそうなるかwでも、俺にとったらどっちもツレだから、ツレ同士が仲良くなるのはいいかなーと思ったし。』 
壱「じゃ、最初に夏実が部屋に居てお前が文句言ってたのも演技?」 
将『よく覚えてるなw いや、あれは演技じゃねぇよww』 

将介が言うには、最初に俺を部屋につれてきてから、 
その後で夏実を呼ぶ予定だったらしい。 
でも、夏実が将介の部活終わりを待ちきれず、勝手に部屋に入ってたそうだ。 


668 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:25:59 ID:JrJwgN5Q
だが、その日俺が緊張してあまり喋れなかったことを、 
夏実は自分がいたせいで機嫌を悪くしたのでは?と取ったらしい。 
なので、速攻で将介にフォローのメールを入れさせ、 
その流れで自分もメルアドゲット! 
しかも、マンガを借りる約束をして、次に会う機会も作るという… 
あれ、孔明? 

将『ま、最初はまだ恋愛感情は無かったんじゃね?』 
壱「そーなの?」 
将『まあ、可愛い子だからお近づきになりたい、くらいのw なんか、おっさんみたいだなww』 
壱「まあなw」 
将『でも、その後夏休み中、俺達かなり会っただろ?』 
壱「そうだな、週一くらいはな。」 
将『そんときの夏を見てたら、だんだん惚れていってるのはわかったw』 
壱「マジ??」 
将『ああ、わかりやすいぞアイツww』 
壱「俺は全然わからんかった。惚れるようなこと無かっただろ??」 
将『さあ、今度は外身じゃなくて中身に惹かれたんじゃね?』 
壱「中身?」 


670 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:35:54 ID:JrJwgN5Q
ワタクシ、そんな大した中身はしておりませんが。 

将『なんか、お前って毒気が無いんだよ。』 
壱「毒気?」 
将『そう毒気。お前が、誰かの悪口とか陰口とか叩いてるの、聞いたことねーもん。』 

将介は俺を善人みたいに言うが、そんなことはない。 
俺だってむかつくヤツはいるし、DQNにハラタツこともある。 
ただ、それを口に出す勇気がないだけだ。チキンだから。 

将『直接本人に言えないから、他にも言わないってんだろ?』 
壱「そんなかっこいいもんでもないけど。」 
将『だけど、他のヤツラは違うんだなぁ。本人に言えなくても、他所で陰口叩くやつが大半さ。』 
壱「そんなもんかね?」 
将『そういうやつと付き合ってると、自分もいつ陰口叩かれてるかわかんないから、気ィ使って、本音で喋れないだろ。』 
壱「まあ、そうか。」 
将『だけど、お前は絶対言わないってわかってるから、本音で喋れるだろ。だから、お前といるときは楽なんだよw』 
壱「褒められてるのかそれw」 
将『もちろんw 多分、夏も同じこと思ってんだろ。だから、お前が一番イイんだよww』 

確かに、楽な相手がいいとは言っていたが、そういう意味だっけか?? 


671 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:45:58 ID:JrJwgN5Q
将『まあ、俺が直接、好きになったって聞いたのは、』 

おお、そこだよそこ。そこが聞きたかったんだ。 

将『お前が、初めて夏のことをアダ名で呼んだときだ。』 

アダ名で呼んだとき?? 
夏休み中に「名字はやめよ」って言われて、 
でもしばらくどうしていいかわからなくて、 
今と違って将介みたく「夏」って呼べなかったし… 
……で、二学期になってやっと、女子が言っているアダ名「なっちん」で呼べたんだった。 

壱「それが?」 
将『顔真っ赤にして俯き加減で「なっちん」って恥ずかしそうに呼んでくれたのが、かわいくて仕方なかったらしいww』 

やっぱりそっちなのか/// 

将『いやもう、その日は興奮して電話してきて、大変だったぞw』 
壱「ああ、そうですか」 

まあいいや、きっかけはなんであれ。 
女顔でよかったと初めて思えたし。 


672 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:53:28 ID:JrJwgN5Q
将『それからあいつ、更に分かりやすくなったのになぁ』 
壱「うーん、そうか?」 
将『お前ニブすぎるだろw お前が夏に気が無いから、あえてニブいフリして誤魔化してんのかと思ったくらいだw』 
壱「ないない。ありえないそんな勿体無いこと。」 
将『だから、ニブすぎなんだってばww』 

スレでも散々言われてきたが、長年の友に言われると、結構ヘコむぜ。 

壱「そうか…もうちょっと努力するよ」 
将『どうやってw』 
壱「うーん、努力するという気持ちを持つことが大切?」 
将『アハ、変わらなさそうだなw』 

将介は散々人の事を笑ったあげく、眠いといって電話切ったよ。何様ですか。 


673 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 00:55:48 ID:JrJwgN5Q
以上、「日曜夜・将介と電話編」でした! 

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689 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 22:52:20 ID:JrJwgN5Q
まずは、「月曜昼・VS軽山編」 からです。 


696 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 23:12:23 ID:JrJwgN5Q
月曜日。 
三限目がなかったので、同じ学科の友人と四限までの時間を潰しつつ売店に向っていると、 
前方に、こっちに向って歩いてくる将介と軽山が見えた。 
と、思った瞬間、軽山がこっちにダッシュしてきたw 

壱「げ」 
友「あれ、市田の知り合い?」 
軽「壱太ぁぁ!!」 

友人の質問に答える間もなく、軽山が到着。 

壱「や、やぁ。」 
軽「お前が夏実ちゃんの彼氏ってほんとか!?」 
友「え、市田って彼女できたの!?」 

ああ…やめてください立て続けの質問は。 

壱「ああ、まあ///」 
軽「やっぱマジなのか」 
友「えー、何々、どんな子?」 
軽「ちっこくて、すげーカワイイコだよ。」 
友「マジー!信じられねぇw」 
軽「ああ、俺も未だに信じらんねぇw」 

初対面のあなた方が、なぜそんなに仲良さげに喋ってらっしゃるのですか? 
そんな中、将介が遅れて漸く到着する。 

将「おー、壱太、大変だなw」 
壱「他人事みたいに言いやがって。」 
将「ヒトゴトだもんw」 
軽「そんなことより壱太さぁ、俺になんか言わなきゃじゃねー?」 

ああ、それはそうだ。 

壱「なんか、すまん。」 
軽「まったくだぜwやっぱお前も気があったんじゃねぇか。先に言えって話だよw」 

人に謝らせておいて、えらい陽気な感じだな。 

軽「まあいいや、付き合いだしたんなら仕方ねぇから許してやる。」 
壱「どうもw」 
軽「…そのかわり、夏実ちゃんの友達に可愛い子がいたら、真っ先に紹介してくれよな!」 

やっぱそうくるか。 

壱「それは、承諾しかねるw」 
軽「なんでだよww」 
友「じゃあ俺に紹介してくれよ!」 
壱「それは、考えとくw」 
友「マジ?期待してるよw」 
軽「だから何でだよww」 

夏実と俺が付き合ったことで、軽山にはダメージは無かったようだ。 
まあ、そんなもんだろうとは思ってたけど。 

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703 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 23:25:27 ID:JrJwgN5Q
では、続いて。 
「火曜昼・夏実とふーちゃんと昼ごはん編」です! 
女子成分配合ですよ、お待たせ! 


706 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 23:38:05 ID:JrJwgN5Q
火曜日は大体、「三人で学食デー」なのだが、 
今日は将介は午前中休講だそうで、三限まで家でゴロゴロするらしく、 
学食に行くのは俺と夏実の二人だけとなった。 

思えば先週の火曜、学食で夏実と喧嘩した。 
それから急転直下の展開となったわけだが、まだ一週間しか 
経ってないんだなぁ…と思うと感慨深い。 

今日も先週と同じく俺が先に学食に着き、席に着いて待っていた。 
おお、そういえば付き合いだしてから大学で会うのは初めてだな。 
なんか、使い慣れた学食も、いつもと違って見えるぞw 

そんなことをニヤニヤしながら考えていたら、 
夏実はすぐにやって来た。 

夏「壱、待ったー?」 
壱「いや、待ってねぇよ……?」 

トレイを持った夏実の後ろには、フワフワした丈の長い白いコートを着た、 
髪の長い女の子が立っていた。 

夏「エヘ、ふーちゃんも連れてきたよw」 
ふ「壱太君、こんにちは。私、お邪魔じゃないかな?」 
壱「とんでもない!さあどうぞ座ってw」 

夏実とふーちゃんは、並んで俺の前に座った。 


707 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/04 23:48:19 ID:JrJwgN5Q
ふ「壱太君、夏実ちゃんと恋人同士になったんだってねwおめでとうw」 

さすがお嬢様、期待を裏切らない予想通りの発言だ。 
しかし、「恋人同士」って照れるな/// 

壱「どうもありがとう。藤本さんこそ、その節は夏がお世話になりまして…」 
ふ「私、なんにもしてないよ?ただ夏実ちゃんの話しを聞いていただけw」 
壱「いやいや、それがホントに助かりましたと…」 
夏「ってか、なんで壱が謝ってんの!?///」 

さすがに夏実も、自分のことで御礼を言われるのは恥ずかしいらしい。 

壱「それはもちろん、保護者としての監督責任だよ。」 
夏「何が保護者!? コドモみたいな顔してw」 
壱「なにおう!?」 
ふ「仲がいいのねww」 

俺達の三流漫才のような小競り合いも、 
ふーちゃんにかかってしまえばこんなもんだ。これが藤本クオリティ。 


708 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/05 00:00:43 ID:BIB6zWx5
食事が終わった後も、俺達は暫く雑談していた。 

夏「そういえばこないだ、ふーちゃん家に泊まったときポトフ習ったんだよね。」 
壱「ぽとふ?なにそれ?ゲームかなにか?」 
ふ「お料理だよw」 
夏「ウインナーとかタマネギとかポテトの入ってる…」 
壱「おお、それか!そのポトフなら知っておるw」 
夏「ふーちゃんのレシピ、スープ凄く美味しいんだよ!」 
ふ「そんなことないよw」 

ふーちゃんは謙遜しているが、食いしん坊の夏実が言うからには 
相当美味しいのだろう。 

壱「へー、いいなぁ。食べてみたいなぁ。」 
夏「フフ、食べたい?どーしても食べたい?」 

お、食いついてきた。ココは乗っておくべきか。 

壱「食べたい!どーしてもポトフ食べたい!!w」 
夏「そこまで食べたいっていうなら、作ってあげてもいーけど?w」 

あ、ふーちゃんの作じゃないんですね。 
とは、さすがに言わないぜ。それくらいの学習能力はつけたぜw 

壱「ありがとうございます、恐悦至極でございます!」 
夏「うむ、苦しゅうないぞよw」 
ふ「面白いww」 

ってなわけで、夏実による「ポトフ(ふーちゃん風)」作成が決定しました! 
火曜水曜は俺が夜バイトだったので、木曜の夜になったよ。 


710 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/05 00:03:59 ID:BIB6zWx5
以上、「夏実とふーちゃんと昼ごはん編」でした! 

別にターンなことはない、平和な報告でしたねw 

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740 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 02:43:07 ID:NVH9eE4J
学校が終わった後の夕方、 
夏実を家で待って、合流したあと近所のスーパーに出かけた。 
二人で夕飯の買い物とか、なんかいいですねw 

ここでは完全にカゴ持ち役に徹して、 
買う物は夏実に任せた。 
アイスが半額の日だったから、しろくまも買ったよ。 
ちなみに、しろくまはバーよりカップ派。 
後は、グレープフルーツジュースだけ俺が選んだ。 

夏「スプモーニ用?」 
壱「いるだろ?w」 
夏「いるいる!」 

買い物はあらかじめ買う物が決まっていたので、 
割と短時間ですんだ。 


741 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 02:50:28 ID:NVH9eE4J
俺んちに帰ると、夏実は早速料理を開始した。 
一時間はかかるそうだ。 

壱「なんか手伝う?」 
夏「料理中にソバに居られると気が散るから、あっちでTVでも見てて。」 
壱「ラジャ。」 

俺は言われたとおりに、おとなしくTVを見ていた。 
キッチンの夏実をチラチラと眺めつつw 
エプロンっていいですよね! 

やがて、アンビリーバボーが始った頃。 

夏「そろそろ出来るよーw」 
壱「ん、じゃあ飲み物用意する。」 

俺もカクテル作りに台所に向った。 
弱火でコトコトいう鍋からは、食欲をそそる匂いが溢れ出していた。 

壱「あー、腹減った。」 
夏「もう出来るからw グラス持って、あっち行ってなさい。」 
壱「はーい。」 

そのときだ。 
けたたましくなるチャイムの音が! 


742 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 02:59:24 ID:NVH9eE4J
夏「あれ、お客さん?あたし、引っ込んどくよ?」 

1Kの基本で、玄関とキッチンは繋がってる。 

壱「いや、いいよw 大体予想できてるから」 

そう言いつつドアを開けると、案の定将介が飛び込んできた。 

将「突撃となりのばんごはん!!ww」 
夏「ちょっとなんで将介が来るの!?」 
将「おいしいごはんがあると聞いてきましたw」 
夏「別にアンタに作ったワケじゃないしー。あつかましいッ」 

プリプリ言う夏実にかまわず、将介は部屋へと上がる。 

将「気にしなーい気にしなーい。」 
夏「なにそれ、ホント勝手なんだから!」 
壱「ごめん、俺が今日ごはん作ってもらうって言っちゃった。嬉しすぎてw」 
夏「あ、そうなの? まあそういうことなら…多めに作ってあるし…」 
将「一応多めに作ってくれてる夏さん、最高です!」 
夏「明日の朝、壱に食べてもらおうと思ったの!アンタのためじゃない!!」 
壱「まあまあw」 

怒る夏実を宥めながら、俺達は食事の準備をした。 


744 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 03:14:36 ID:NVH9eE4J
こたつのど真ん中に鍋を置いて、俺達は皿を片手にスタンバイした。 

壱&将「いただきまーす!」 
夏「どぞーw」 

長時間いい匂いにさらされていただけに俺の空腹はリミット寸前で、 
猛烈に食った。大食漢の将介よりも食った。 

壱「うまいww」 
夏「でしょーw さすがふーちゃんの特製だよね。」 
壱「それはモチロンですが、何より夏さんが作ってくださったことが、美味しさをプラスさせているのです。」 
夏「あら、正直者w」 
将「りょーりはあいじょーってかw」 

大量にあったポトフは、あっという間になくなってしまった。 

将「ふはー、食った食った!もう食えんw」 
壱「ああ、腹いっぱいだなぁ。満足満足。」 
夏「よしよしww」 

夏実も満足そうな俺達に機嫌を良くしたようで、 
さっさと洗い物を済ませていた。 

食後は、いつものダベリタイム。 

将「試験調子どーよ?」 
壱「俺は、前期に比べたら試験より課題提出の方が多いから、まだ楽かな。」 

実は試験期間真っ只中。とは言っても、午前の部はほぼ終わってるから、 
後は大してきつくない。 

夏「えー、テストより課題の方がめんどくない?」 
壱「まあ手間はかかるけど、先にやっちゃったから、今は楽、という意味w」 
将「もう課題、出来てんだ?壱太いつも早ぇぇなぁ。」 
壱「成績が奨学金に関わってきますのでw」 

あと、急にバイトを入れられることがあるから、 
課題はなるべく早めにこなすようにしている。 

夏「あたしは明日も午後からテストあるよー(--;)」 
将「ああ、俺もだ。」 

学部の傾向かどうか分からないけど、二人は俺に比べて 
課題よりも試験の方が多そうだった。 

壱「がんばれ!w」 
将「出た、ヒトゴトww」 
壱「おかえしだw」 


745 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 03:29:37 ID:NVH9eE4J
将「さて、そろそろ邪魔者は帰るかw」 

食わず嫌い王が始った頃、将介は急に立ち上がった。 

夏「やっと空気読んだのw」 
将「ああ、俺は切なさを背に帰るぜ。あの可愛かった幼馴染は、もうオトナの女になっちまったんだなあ…w」 
夏「ダマらっしゃい!!」 

心配せずともまだなってないですよ。 

将「ハハ、ジョークジョークw じゃあ、またなw」 
壱「おう!」 

将介はさっさと帰っていった。 

夏「本気でごはん食べに来ただけね、アイツ…」 
壱「まあ、手料理に飢えてるからw」 
夏「将介、自炊能力ゼロだもんねww」 

将介が帰ってからも、暫くこたつで軽く呑みながら喋っていた。 

夏「あ、そういえば頼みがあるんだけどさ。」 
壱「なに?」 
夏「来週後半から春休みじゃん?その前に試験の打ち上げも兼ねて学科の友達と飲みにいくんだけど、二次会とかで壱の店行ってもいーい?」 
壱「ああ、いーけど……珍しいな。」 
夏「なにが?」 
壱「夏が、学科のツレを連れてくるなんて。」 

今まで将介と来た事はあったけど、 
女の子同士で来るのは初めてだ。 


746 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 03:38:39 ID:NVH9eE4J
夏「あー、それは、まあ…」 

夏実はなんだかむず痒そうにしている。 

壱「なに?」 
夏「今までは、ほら、余計なライバルを増やしたく、ないじゃない?///」 

あー、女友達が俺に手を出す可能性を恐れて……ってナイナイ。 

壱「ナイナイw もてねーから俺w」 
夏「それはそうかもしんないけど、」 

あ、そこは否定してくれないんですね。 

夏「壱の方が誰かを好きになるかもしれないじゃんw」 
壱「それも無い。絶対無い。ありえない。」 
夏「今は、分かってるよw だから、連れていってもいいんじゃんww」 
壱「ああそうか。」 

なるほど、俺の気持ちはちゃんと夏実に伝わっているようだ。 
それが、嬉しかった。 

壱「ん?でも…」 
夏「なに?」 
壱「ふーちゃんは前から紹介してくれたよなぁ。」 
夏「ああ、ふーちゃんはいいの。だって、好きな人がいるから。」 


747 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 03:53:49 ID:NVH9eE4J
なんと! 
いつもの鈍い俺では気付かなかったかもしれないが、 
出掛けに>>727を確認していたため、ピンときた。 

壱「まさか、将介?」 
夏「え、すごい、なんで分かるの、壱のクセに!」 

夏実は本当に驚いていた。クセには余計だぜ。 
>>727さん、あなたが神かw 

壱「いや、なんとなくだけど……でも、ふーちゃんも大変だな。だって将介は…」 
夏「あー、春ちゃんのことでしょw」 
壱「あ、知ってんの?」 

将介からは、言ってないって聞いてたのに。 

夏「そりゃー、見てればわかるよw アイツ、幼稚園入る前から、いっつも春ちゃんを追いかけてたもんw」 

おおー、将介の恋は年季が違うなぁ。 

壱「だったら、ふーちゃんかなり厳しいんじゃない?」 
夏「んー、でも、春ちゃんはもう社会人三年目だし、将介が卒業するの待ってられないでしょ。結構モテるもん、春ちゃん。」 

あ、モテるんだ。まあ、写真ではそんな感じだったなぁ。 

夏「将介も一回フラれてるわけだしさ。」 
壱「あ、それも知ってるんだ?お姉さんに聞いたの?」 
夏「まさか、春ちゃんは言わないよ。見てればわかるw」 

幼馴染とはいえ、見てるだけでわかるんだなぁ。 
女の人ってやっぱスゲーな。 

夏「だから、ふーちゃんにもチャンスあるっしょ。あのコべっぴんさんだもん。」 
壱「性格もいいしなぁ。」 
夏「そう、それそれw 将介のためにも悪くないと思うけど。」 

うーん、どうなのだろうか。 
それでもやっぱり、俺は厳しいような気がする。 
将介の、春実さんへの気持ちを直に聞いているから。 

夏「まあ、あたしからしたら将介も親友だから、無理に押し付けるようなことは言わないけどね。」 

俺も、そのスタンスがいいと思った。 
成り行きを見守ろう。 


748 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 04:06:50 ID:NVH9eE4J
夏「春休みといえば、壱、実家帰るの?」 

夏実は話題を変えた。敢えて、かもしれない。 

壱「うーん、正月に帰ったしなぁ。バイトもあるし、帰らないかも。」 
夏「ふーん、じゃああたしもコッチにいようかなw」 

それは嬉しい。いつでも夏実に会えるから。 

壱「けど、いいの?春休み長いぜ。実家、心配しない?」 
夏「馬鹿、長いからコッチに居たいんだろ。察しろよ。」 

男言葉でいいながら、頬は小さい女の子みたいに膨らませてみせた。 

壱「ごめん、そういうつもりじゃないんだ。俺も、居てくれた方が嬉しい。」 
夏「じゃあ、始めっからそう言えってw」 

夏実はちょっと笑った後、少し真面目な顔をして俺をジっと見た。 
………何も言わない。 
瞳は、ちょっと潤んでるようだ。 
鈍い(と言われている)俺も、さすがに空気が変わったのを感じた。 

映画やドラマのように目はつぶってなかったが、 
夏実がそれを求めているのがわかった。 

俺はちょっとコタツから出ると、夏実に近づき、肩を掴んで引き寄せ、 
キスをした。 


750 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 04:12:44 ID:NVH9eE4J
夏実の唇はちょっと開いていたので、 
初べろちゅーになった。 

夏「んっ……」 

暫くキスを続けていた。 

やがて俺が夏実の背に手を回すと、 
夏実も俺の首の後ろに両手を回してきた。 

その仕草が妙に艶っぽかったので、 
俺はテンションがいきなりMAX近くまで上がってしまい、 
その場で、夏実を押し倒した。 


751 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 04:26:07 ID:NVH9eE4J
夏「きゃッ」 

短い悲鳴とともに唇は離れた。 
俺は、両肘を床に着き、両手で夏実の肩を掴んだまま、 
夏実を見下ろす体勢になった。 

顔が近い。 
夏実の頬は、真っ赤に染まっていた。 

壱「夏実、好きだよ」 
夏「うん…んっ」 

夏実の返事を聞き終わるのを待たずに、俺は再び唇を奪った。 

夏実の両手は、今度は俺の背に回された。 
どうも俺はこの「手を回してくる」感覚に弱いらしく、 
またしても興奮する。 

俺はキスしてる唇を、口から頬へ、そして顎、首へと移動させていく。 

夏「〜〜〜〜ッ///」 

首にキスしたとき、夏実は声にならない息を出し、一瞬だけ体をブルっと震わせた。 
俺はもう止まらなくなり、肩に置いていた右手を、夏実の胸の方へ移動させていく… 


752 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 04:40:29 ID:NVH9eE4J
夏「…待って待って、ちょっと待って!」 

突然、夏実が声をあげたので、俺は動きを止め、夏実の目を見る。 

夏「ごめん、今日はちょっと待って…」 
壱「あ、ああごめん!」 

俺は我に返って、起き上がって座る。 
夏実も半身を起こし、傍らに座った。 

壱「ごめん、急に…俺、焦りすぎだな」 

俺は素直に謝った。 

夏「ううん、違うの…その、全然、ヤじゃないんだけど…」 

俺が夏実の方を見ると、夏実は恥ずかしそうに俯いた。 

夏「明日はまだテストもあるし……それに、その、最初のときは、自分の部屋がいいかなー、って///」 
壱「あ、うん、わかった。」 

女の子はそういうもんなのかなと思い、納得した。 

ちょっとの間があって、夏実はいきなりクスクスと笑い出した。 

壱「なに?」 
夏「いや…壱でも、Hなこと考えるんだなぁーと思ってw」 
壱「そりゃ、男ですから……嫌だった?」 
夏「んーん、安心したw」 
壱「なんだそりゃww」 

俺まで笑ってしまった。 

夏「あと、…『夏実』って呼ばれるの、なんだか照れるね。」 

そうか、考えてみれば夏実を『夏実』と呼び捨てにしたのは、 
今まで告白のときだけだった。 

壱「照れくさかったらやめるけど?」 
夏「んーー……こーゆう時は、こっちの方がいいかな///」 

恥ずかしがりながら言う夏実が可愛くて、 
俺はもう一度キスをした。 


753 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/06 04:42:30 ID:NVH9eE4J
以上、初べろちゅー編でした。 

こ、この報告は、はずかしすぎる/// 

この後、ちゃんと送って帰りましたよ。 

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834 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 12:43:02 ID:tA4Tx6X0
『金曜日夜・バイトの後編』 

バイトが終わり、更衣室で着替えていると、 

「市田さん。」 

と呼ぶ声が。 
振り向くと、すでに着替え終わったバイトの後輩(男)がいた。 
彼は年齢的にも一年後輩で、私大の一年生だ。 
明るめの茶髪で一見チャラっぽく見えるが、 
根はしっかりしていて、仕事も出来るので頼りになるコだ。 

名前は、茶良(ちゃら)としておく。 

茶「おつかれっすww」 
壱「おつかれー。」 
茶「市田さん、今日これから空いてないっすか?」 
壱「まあ帰って寝るだけだけど。」 
茶「じゃ、ちょっと飲みにいかねすか?」 

俺は時計を確認した。12時半。 
翌日は大学は休み。 
買い物にいく約束を夏実としていたが、そんなに早い時間でもない。 

壱「ちょっとなら、いーよ。」 
茶「どうもっす!じゃ、着替え終わったら下で!」 

茶良は、そう言うと急ぎ足で出ていった。 


836 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 12:54:44 ID:tA4Tx6X0
店の外に出ると、茶良と、もう一人待っていた。 
そのコもバイトの同僚で、俺と同い年の女の子だ。 
大学は、茶良と一緒だった。 
だが茶良とは対照的で、黒髪のショートでキリっとした顔立ちをしている。 
背も、俺と変わらないくらい。 
彼女は、元名ベースで三上さんにしとく。 

三「おつかれー」 
壱「あれ、三上さんもいくんだ?」 
三「私は市田君も行くって聞いてたけど?」 
茶「まあまあw、夜も遅いことだしさっさといきましょうww」 

どうやら俺は茶良にダシに使われたようだw 
けど、まあ別にいいかという気分になれたのは、最近の幸せな心持ちのせいだろうか。 


838 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 13:13:49 ID:tA4Tx6X0
俺達は自分達の働く店から程近いBARに入った。 

俺・三上さん・茶良の順番でカウンターに座る。 

茶「市田さん、春休みいつからっすか?」 
俺「あー、来週だよ。まだテスト期間だし、春休み入っても雑務で暫く学校いかなきゃだけど。」 
茶「まだテストやってんすか!?」 
俺「うん。そっちはもう終わってんだ?」 
三「一月中には終わったよ。私大は入試が早いからね。」 

あー、大学によって試験期間結構違うんだなぁ。 
今度から気をつけなきゃ、特定的にw 

茶「じゃあ、しばらくはこっちいるんすね!」 
壱「ってか、ほぼずっとこっちいるよ。金稼ぎたいから、バイト休めないし。」 

ちなみに茶良は一人暮らし、三上さんは実家だ。 

三「市田君ってよく働くよね。同じ頃にバイト始めたのに、すぐカウンター係になったし。」 

バイトに入ると、厨房以外は、まず全員ホール係をおぼえさせられて、 
その後、本人の希望やちょっとした適正でホールかカウンター(ドリンク)かレジかに担当が別れる。 

壱「バイトに入る日が三上さんより多かったからだよwホールの仕事じゃ、三上さんにはとても敵わないし」 

三上さんは基本ホール係で、レジも出来る。 
半年前に入った茶良は、まだホールだけだ。 


839 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 13:20:59 ID:tA4Tx6X0
茶「じゃあ休み中、どっか遊びいかねすか?」 

茶良はちょっと唐突に、そんなことを言った。 
多分それを言い出すのが今日のメインだったんだろうなぁ。 

三「茶良君もこっちにいるんだ?」 
茶「俺も金稼ぎたいからw」 

どこまで本音なのかw 
しかしまあ、後輩のため、助け舟を出してやるか。 

壱「俺は別にかまわないけど、三上さんは?」 
三「私も特に予定はないけど…」 
茶「じゃあ決まりっすね!!」 

茶良の強引さに、将介と通ずるものを感じたよ。 

茶「どこいくかは、また三人で決めましょう!」 
三「あ、三人で行くんだ?」 
茶「イヤすか?」 
三「他の人も誘うのかと思ってたから…別に三人でもいいけど。」 
茶「じゃ三人でww」 

嬉しそうだなぁ、おいw 


841 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 13:31:15 ID:tA4Tx6X0
三上さんの携帯が鳴って席を外してる間、 
茶良は身を乗り出して俺に近づき、ひそひそ声で話しかけてきた。 

茶「市田さん、感謝ですw」 
壱「ってかお前、わかりやすいなぁw」 
茶「そーすか?自分では自然なつもりっすけど。」 
壱「いやまあキャラ的には不自然ではないけど。…いつからなん?」 
茶「バイト入った日にいろいろ教えてくれた時からですw」 

嬉しそうにいう茶良を見てると、何か弟のようでかわいらしかった。 

壱「それなら、最初から二人でどっか行こうって誘えばよかったのにw」 
茶「いやいや、それはハードル高いっしょ。三上さんクールな感じだし。同期で一番仲良さそうな市田さんと一緒なら来るかなー、と。」 

そこで茶良は、ふと気付いたように止まった。 

茶「……あれ…、市田さんも三上さんが好き、とかないですよね??」 

あー、その可能性は全然考えてなかったわけだ、コイツ。 
お世辞にも賢くはないからなぁ。 

壱「心配しなくていいよ、それはないからw それに俺、彼女できたし。」 
茶「マジすか!?」 

茶良は今日一番でかい声を上げた。  


842 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 13:50:38 ID:tA4Tx6X0
三「何、大きな声だしてw」 

三上さんが、携帯片手に戻ってきた。 

茶「市田さん、彼女できたんですって!!」 

だから声でかいよ。恥ずかしい。 

三「え〜ホントに?いつから?」 
壱「先週の金曜から」 
茶「超最近じゃねーすか!まだ一週間のホットなカップルじゃねーすか!!」 

言ってることがよくわからんが、驚いてることはわかった。 

茶「誰すか? 店に来た事あるすか? 同じ大学の人すか?」 
壱「ちょ、質問多すぎw 高校からの同級生だよ。大学も同じ。店にも、二、三度来た事ある。」 
三「あー、あのコかw」 

それだけで、三上さんにはわかったらしい。 
よく覚えてるなぁ、接客業の鏡だぜ。 

茶「三上さん知ってんすか? 俺も見た事あります??」 
三「茶良君は見た事ないかも。可愛い子だったよw」 
茶「マジすかー! いいなぁ。」 

こういうのってすごい照れるぜ/// 
もちろん、悪い気はしないんだぜ。 

三「でも、私あのコって…」 
壱「うん?」 
三「正直、一緒に来てる子の彼女かと思ってたw」 

ああ、将介と二人で来てたしなぁ。 
そう思うのが普通か。 

壱「あいつも俺の親友だよ。今回もだいぶ、お世話になったw」 
三「へー、そういうのって、いいねぇ。」 
茶「そっすね!俺も親友欲しいっすww」 

茶良のテンションが妙に上がってたのは、 
ライバルが減ったのと無関係ではないだろうw 


843 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 13:54:10 ID:tA4Tx6X0
以上、『金曜日夜・バイトの後編』 でした。 
この後、報告に出る機会があるかどうかわからない二人だけど、 
今度夏実も店に呑みにくるし、一応。 

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851 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 14:55:26 ID:tA4Tx6X0
『土曜昼・お買物編』 

金曜夕方、バイト行く前に夏実から電話があった。 

夏『明日、ヒマ?』 
壱「ヒマです。」 
夏『もうすぐふーちゃんの誕生日なんだけどさ、誕生日プレゼント買いに行くから付き合ってよ。」 
壱「いいよw ふーちゃん誕生日なんだ。いつ?」 
夏『2月14日w』 
壱「おおう…」 

なんと因果な日に生まれたものか。 
おかげで高校の頃は、男子よりも多くチョコをもらえたらしい。 
性格と趣味は女の子らしいふーちゃんだが、切れ長の目とシュっとしたスタイルだから、 
女子にもモテるんだろうなぁ。 

夏『でさ、将介も連れて行って、なんか買わせようと思うんだけど。』 
壱「なんか、口出さないとか言ってなかったっけ?w」 
夏『基本はそうだけど、誕生日くらいふーちゃんの味方でいーじゃんwそれに、将介からプレゼント渡したら、ふーちゃんもチョコ渡しやすいとだろうし。』 
壱「なるほど。そうだな、誕生日だし。」 
夏『そうそうw』 

俺は中立で行こうと思っているが、 
今回ばかりは夏実の案にのることにした。 


852 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 15:09:58 ID:tA4Tx6X0
翌日。 
10時半に夏実が俺んちに来て、それから将介んちに行く予定だった。 

その予定の十五分前には、夏実はもう俺んちに来ていた。 
夏実が遅刻することなんてほとんどない。いつも早めに行動している。 

壱「将介には伝えてあるの?」 
夏「メールはしといた。さっきから電話もしてるんだけど、出ないのよ。」 
壱「寝てるのかもw」 
夏「とりあえず、行ってみようぜ!」 

俺達は家を出ると、歩いて五分の将介んちに着いた。 

ピンポーン♪ 
……反応なし。 

ピポピポピポーーーン♪ 

壱「ちょっと夏さん過激なチャイムw」 
夏「こうでもしないとあいつは起きないの!」 

やがてゆっくりとドアが開き、寝ぼけ顔の将介が現れた。 

将「んあ…お前らか。なんかよう?」 
夏「なんか用じゃないだろ! メールしたでしょうが!!」 
将「………あー、来た来た。でも折角の休みなんだから、二人でデートしてこいよ。じゃな。」 

あっさりドアを閉めようとする将介の腕を、夏実が掴んで止めた。 

夏「そういうわけにはいかなくてよ!!」 
将「なんでよー。」 
夏「アンタには友人の誕生日を祝ってあげようって気持ちはないワケ!?」 
将「……そう言われても、俺、藤本さんとはそんなに親しくないしなぁ。」 
夏「はぁ!?」 

瞬間、夏実の瞳の色が変わった。……恐ろしい。 

夏「アンタ、軽山君の件の借り、忘れたわけではないでしょーね!?」 
将「う……わかったよ、準備するから、ちょっと待ってくれ。寒いから、部屋にあがって。」 
夏「そうさせてもらうぜw」 

……俺は言葉を挟む隙がなかったよ(^-^; 


855 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 15:18:56 ID:tA4Tx6X0
着替えて歯磨きすませると、将介はようやく目が覚めたようだ。 

将「じゃ、いこーぜw」 
壱「調子いいなぁ」 
夏「お調子者の典型よねw」 

俺達は駅までチャリで移動し、電車に乗って街にでる。 

将「誕生日プレゼントねぇ……でもお嬢様が、俺の選ぶもんなんか喜ぶかなぁ?」 
夏「何言ってんの、ふーちゃんは別にお金持ちのお嬢様じゃなくて、普通の家の子だよ?」 
壱「あ、そーなの?」 

俺も、ちょっとイイトコの娘さんかと思っていた。 

夏「うん。ただ、お爺ちゃんが先生だったとかで、小さい頃からしつけに厳しかったんだって。」 
将「あー、そんな感じかも。」 
夏「料理も裁縫も得意だし、いろいろ習い事もしてたんじゃない?」 
壱「やっぱ普通よりは、お嬢っぽいなw」 

そんなことを話してるうちに、街に着いた。 


858 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 15:33:23 ID:tA4Tx6X0
適当に店を渡り歩きながら、プレゼントになりそうなものを物色する。 

将「これなんてどーだ?」 
夏「シザーバックなんてふーちゃんが着けるわけないでしょ!!真面目に考えて!!」 
将「そうか?コレ可愛いと思ったんだけど…」 
壱「でも、ふーちゃんのキャラじゃないだろww」 

将介はハッキリ言って服のセンスはあると思う。 
高校時代、服に無頓着で超がつくほどダサダサだった俺が、 
曲がりなりにも普通くらいには慣れたのは、 
将介が古着屋や街の小さなショップに連れて行ってくれたからだ。 
最初は、選ぶのも任せきりだったし。 

しかし、今回は女子のもの、しかも今時風のセンスではない 
ふーちゃんのものを選ぶとあって、さすがの将介も苦戦していた。 

将「考えてみれば、女の子にプレゼントなんて中3以来だしなぁ。」 
夏「クリスマスのとき三人で交換してんじゃん。」 
将「ww お前は女子のうちに入らねぇよww」 
夏「なにおう!?」 
壱「まあまあw」 

拳を振り上げた夏実を宥める。 

壱「じゃあ、中学のときは何買ったんだよ?」 
将「なんか、アクセだったと思うけど…参考にならねえよ?中坊の頃なんて金ないから、1000円2000円のものだったし。」 
夏「別に、高い物じゃなくていいよ。気持ちの問題だってw」 
将「気持ち、ねぇ…。」 

将介は頭を抱えていた。 


861 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 15:51:46 ID:tA4Tx6X0
そんな感じでいろいろ店を見て回ったがなかなか決まらず、 
時計を見れば二時を過ぎていた。 

将「腹減った〜。俺、朝飯も食ってないし。」 
壱「そうだな、じゃ、休憩してご飯にしようぜ。」 
夏「賛成w」 

俺達はレストランに入ると、 
各々好きなものを注文した。 
二人が食べている間に、ちょっとスレを覗いたりしたw 

将「なかなか決まらねーなー。」 
壱「そうだな、こうやって考えると難しいもんだな。」 
夏「まあでも、たまには三人で出掛けるのも悪くないんじゃんw」 

そういえば、三人で買い物なんて、久しぶりだった。 

将「そうだなw折角の休みだしな」 
壱「テストはまだ残ってるけどねw」 

途端、二人がゲンナリとした顔をする。 

将「壱太、いやなこと思いださせるなよ」 
夏「壱はもう終わった?」 
壱「いや、あと一つ。」 
夏「あたしは後二つだよ〜。明日は家で勉強デーかな。」 
将「俺なんて、まだレポートが残ってるし…出掛けてる場合じゃねぇよなww」 
壱「家に居たって、明日まではしない癖にw」 
将「よくご存知でw」 

食事も済ませ、休憩も充分とった俺達は、 
再びプレゼント探しに戻った。 



862 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 16:02:27 ID:tA4Tx6X0
夏「これいーなー。あたし、これにしようw」 

雑貨屋で物色していた夏実が選んだのは、シルバーの小物だった。 
猫が、窓から覗いている。 

将「なに、これ?どーすんの?」 
夏「これをチェーンで吊るして、光を当てると…」 

夏実がその小物を、店にそれ用に用意してあった照明に掲げると、 
壁に大きな猫と窓の影が映った。 

将「おお、すげぇ!」 
壱「キレイだな。」 
夏「でしょ?wこういうファンシーなの好きそうじゃない?」 
壱「あー、そうだな。」 
将「やー良かった良かったwこれで、プレゼント決まったな。」 

将介がその小物に手を伸ばすと、夏実はさっと手を引いた。 

夏「ダメーw これは、あたしと壱からの分にするからw」 
将「な、なにぃ!?俺は混ぜてくんないのか??」 
夏「当たり前でしょ。将介は、将介自身で渡すの。あたし達もプレゼント選び手伝うから、もうひとがんばりいこーっw」 

がっくりと肩を落とす将介が、ちょっと哀れに思えたw 


866 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 16:27:37 ID:tA4Tx6X0
その後も何店か回ったが、なっとくいくものは見つからなかった。 
その日は割りと暖かかったが、夕方になってくると、さすがに冷えてきた。 

壱「うーさぶ。」 
夏「寒くなってきたし、そろそろ決めたいね。」 
将「いや、ここまできたら妥協はせんぞ!俺は最後まで戦う!」 

将介の妙な拘りと、妙な熱さが災いして、 
プレゼント選びは混迷を極めてしまっていた。 

夏「こーいうとこ、めんどくさいんだよねコイツ。」 
壱「でも、それだけ真面目に考えてるってことは、ふーちゃんにとっても良い事じゃないの?」 
夏「どーかな。多分『プレゼントを選ぶ』って行為自体にハマってるだけだと思う。」 
壱「あー、…凝り性だからなぁ。」 

俺達二人が半ば呆れながら見つめる中、将介は次の店へと入っていった。 

俺達が続いて入っていった時、 
将介は既にある一点を見つめていた。 

将「きた!これだ!これしかねーー!!」 

それは、可愛らしい花のワンポイントがついた、スエードのブーツだった。 

夏「ちょっと、服屋の靴って、高いんじゃない!?」 

夏実が値札を確認すると、有名ブランドのものではなかったが、 
友人へのプレゼントとしては、割りと値の張るものだった。 

将「いや、しかし、これしかもうない! というか、藤本さんにはこれが似合う!」 
壱「確かに似合いそうだけど…」 
夏「うーん、ふーちゃんこういうの持ってないけど、これは似合うかも。」 
将「だろ!? これで新境地を見出してやるのだ。ファッションの可能性が広がるぜきっと!」 

なんだか急に大きいことを言い出した将介を置いといて、 
俺と夏実は相談しだした。 

夏「どーする?」 
壱「どーするったって…これじゃふーちゃん、期待しすぎちゃうんじゃない?」 
夏「そこなのよねぇ…将介がまだその気でないのに、過剰に期待させてもまずいし…」 

夏実は腕組みして悩みだす。 
なにも知らない将介は一人で盛り上がっている。 
そんな二人を見比べているうちに、俺はふっと思いついた。 

壱「じゃあさ、お金を出し合って、俺達三人で買えばいいんじゃない?」 
夏「うん?」 
壱「プレゼントは三人で一つだけど、この靴を選んだのは将介ってことにすれば、ふーちゃんも嬉しいだろ?」 
夏「ああーなるほど。……じゃ、この猫はどうする?」 
壱「それは、夏の部屋に飾ろうw」 
夏「そっか。ま、可愛いし、いっかw」 

その後俺達は騒ぐ将介に、金銭的に協力する旨を伝えた。 

将「そりゃー助かるけど。お前らが買ったやつは?」 
夏「あたしのものにするのw 付き合いだして最初に二人で買った記念としてw」 
将「なんだ、惜しくなったんだなw」 

将介が簡単に納得してくれたのは、 
さすがに一人で買うには財布がやばいと思ったからに違いないw 


868 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 16:42:43 ID:tA4Tx6X0
そうしている間に、俺はバイトの時間が迫ってきていた。 

夏「じゃ、帰ろっか」 
将「だな。」 
壱「だね。」 

まさかこんなに時間がかかるとは思っていなかったから、 
俺は家に戻らず、そのままバイトに向うことにした。 

夏「チャリなしで、帰りどーすんの?」 
壱「終電間に合わなかったら、バイト仲間に送ってもらうw」 
将「なら安心だな。」 

駅の前まで、二人を送る。 

壱「じゃあ将介、夏を家まで送ってやってくれよ。」 
将「任せとけ。…って、なんかお前に頼まれるのって新鮮だなw」 

そりゃそうだ。今までは普通に送っていたんだから。 

将「じゃ、切符買ってくるw」 

将介が空気を読んだのか、一人切符売り場に向った。 

夏「バイト、頑張ってねw」 
壱「おうw 夏もテスト勉強がんばれww」 
夏「それは言うなよw」 

言いながら、夏実は自分の手袋を外すと、 
手袋していない俺の手を、ぎゅっと握ってくれた。 
その暖かさに、冷えた体が蘇る心地だった。 

夏「……じゃ、行くw」 
壱「うん、後でメールする。」 
夏「おうw」 

夏実は手を振って、改札で待つ将介の方へ走っていくと、 
振り向いてもう一度手を振ってくれた。 

俺は手を振り返した。将介も何か言ってたが聞こえなかったw 


869 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/08 16:44:13 ID:tA4Tx6X0
以上、お買物編でした。 
結構時間かかってしまってすみません。 

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935 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 00:36:35 ID:sZOs9lhh
今日は、俺も夏実も午前中は何もなく、 
午後の四限目に俺は課題提出、夏実はテストがあった。 

なので、学食でごはんを食べる約束をしていた。 

二人とも三限目がないので、一番混雑する時間を避けて 
ちょっと遅めの昼飯にした。 

俺が学食に着くと、既にちらほらと空席が出来てきていた。 
そんな中、窓際の席で一人教科書を読む夏実を発見する。 

壱「おはよう、なっちんw」 

俺は敢えて背後から回って声をかけた。 
夏実は驚いた様子もなく振り返ると、 

夏「やあ、おはよういっちんw」 

と、笑った。 


936 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 00:42:18 ID:sZOs9lhh
夏「なんで、なっちん?w」 
壱「さあ、久しぶりにいいかなぁ、と思っただけw」 
夏「ふーん、変なのww」 

夏実は可笑しそうに笑いながら、教科書を置いた。 

壱「まだご飯取ってきてなかったんだ?」 
夏「うん。」 
壱「じゃ、早くいこうぜ、売り切れる!」 
夏「大丈夫だよ、テスト中は人少ないしw」 

そういえば、今日はほとんどの人が午前は休みのはずだ。 
混雑の時間を外したから空席があるのではなくて、もともとそんなもんだったようだ。 

壱「ま、ハラは減ったし、いこうぜ。」 
夏「そだねw」 


937 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 00:51:20 ID:sZOs9lhh
俺達は食事のトレイを手に、もといた席に戻ってきた。 

夏「そういえばさーあ。」 
壱「うん?」 
夏「いつから『なっちん』じゃなくて『夏』になったんだっけ?w」 
壱「うーーん…」 

いつかと言われれば、明確な時期は覚えてない。 
高三の頃、三人で受験勉強するようになって、 
将介の『夏』がだんだんと移ってきたのだと思う。 
その頃は両方併用していたが、いつの間にか『夏』だけになっていた。 

壱「憶えてないやw」 
夏「そーだね、あたしも憶えてないwwけど、こっちの友達で『なっちん』言う人いないから、なんか懐かしかったw」 
壱「あーそうか。たまには呼ぼうか?」 
夏「どっちでもいーw」 

そりゃそうか。 
呼んでくれと頼むようなもんでもないよな、あだ名って。 


939 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 01:04:03 ID:sZOs9lhh
話は自然、土曜日のことになっていった。 

夏「久々に買い物も、楽しかったねw」 
壱「一日、買い物だけだったもんなぁ。なかなかないよな。」 
夏「ちょっと疲れたけどね」 
壱「だねw 将介の粘りはなんにでも発揮するからなぁ。」 

海に行っても、最後まで遊びたがるのは将介。 
マンガ喫茶でも、最後まで席を離れないのは将介。 
ボウリングでも、もう1ゲームやりたがるのは将介だった。 
あっさりした性格のクセに、妙なところで凝り性だった。 

壱「まあ、あそこまでしてプレゼント選んでもらったんだから、ふーちゃんも喜ぶんじゃない?」 
夏「そりゃまあねぇ。将介からなら、何貰っても喜ぶとは思うけどw」 

ああ、ふーちゃんは、相当好きなんだなぁ。 

壱「それにしても、将介のヤツはモテるなぁ。」 
夏「そ〜お?確かにソコソコ人気はあるけど、すごいモテるってほどでもなくない?」 
壱「いや、何度か告白されたことある人って、十分モテる人の部類だろ。」 
夏「そんなもんかね。」 

事も無げに言う夏実。 
これは告白された経験アリとみた! 


940 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 01:11:52 ID:sZOs9lhh
壱「夏は今まで何人くらいに告白されたことある?」 

俺はストレートに聞いてみた。 

夏「気になる?w」 

ちょっと意地悪そうに笑う。 

壱「まーねw」 
夏「別に多くはないよ、三人。」 

三人って十分多いじゃないですか。 

壱「いつごろ?」 
夏「一人は高一のとき。違うクラスだったし、あんまり知らないから断った。」 
壱「次は?」 
夏「高二のとき。でも、その時には好きな人がいたからw」 

……ここは喜んでもいいところですよね??w 


942 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 01:18:31 ID:sZOs9lhh
壱「三人目は?」 
夏「ついこないだ、だよww」 

ああ、俺ですね。そうですよねカウントされてますよね。 

夏「こんだけあたしに聞いたんだから、壱も言ってよw」 
壱「や、俺は告白なんてされたことないし。」 
夏「うそだー、ずるいww」 
壱「ウソじゃねっての。」 

これは、ウソって言われるとなんか妙にorzな気分になるよ。 
告白って普通の人はされるもんなんですかね?? 

夏「ふーん、まあ信じようw」 
壱「だってホントだもん。」 
夏「じゃあ、これから誰かに告白されたら、嬉しい?w」 
壱「そりゃー誰かに好かれるのは嬉しくないことはないけど、丁重にお断りいたしますよw」 
夏「ならよろしいw」 


943 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/10 01:32:43 ID:sZOs9lhh
夏「あ、水曜日バイト入ってる?」 
壱「ああ、うん。」 
夏「良かったwその日、打ち上げで呑みに行く日に決まったから。」 
壱「あー、了解。何人くらいで来る?」 
夏「多分二次会まで残るのは4、5人だと思う。」 
壱「それなら予約なしでいけるな。」 
夏「そう?じゃ、よろしく頼むw」 

というわけで、夏実の飲み会の日は水曜日に決まりました。 

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970 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:18:22 ID:HdcFLHjs
今日は、俺も夏実も三限目のテストだけだった。 
なので、昼に学食で会うことはせず、三限のギリギリまで教科書読んでw、 
テストの後で、学内のカフェで会っていた。 

壱「おつかれー。」 
夏「おつかれー、やっと終わったねw」 

お互いを労うだけで、特にテストの中身に触れもしない。 
聞いたってよくわからないから、違う学部の試験なんて。 

夏「これでやっと春休みだね。」 
壱「なんか、大学来ること多くて、まだ休みって感じじゃないけどなw」 

2月終わりくらいまでは、なんだかんだと雑務があって、大学に出向くことがある。 
とは言っても、授業があるのと比べれば、大分楽ではあるが。 

夏「あ、春休み中、春ちゃん来るよw」 

なぬ?? 


971 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:29:36 ID:HdcFLHjs
春ちゃんとは、もちろん春実さん。 
夏実のお姉さんだ。 

夏「3月入ってからだけどw」 

夏実が言うには、 
春休み中、実家に帰らない旨を母親に伝えたところ、 
それを聞いた春実さん(都会で一人暮らし中)が心配する親の代わりに、 
休日を利用して様子見に来ることになったらしい。 

夏「っていってるけど、春ちゃんは自分が来たいだけなのよ。」 
壱「なんで?」 
夏「あたしの彼氏を見たいんでしょw」 

あー、品定めってか。 

壱「彼氏できたって言ったの?」 
夏「言ってないけど、春休み帰らないって言ったから、感づいたんじゃないw」 

なるほど、さすがに姉は鋭いか。 

夏「でも一応、バイトで帰れないって言ってるから、春ちゃん来る前にバイト始めなきゃ。」 
壱「そんな急に決まるか?」 
夏「フッフー、実は目をつけてるところがあるんだなぁw」 


972 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:33:55 ID:HdcFLHjs
夏「土曜に猫買ったとこあるじゃん?」 
壱「あー。」 

猫とは、例の影絵の出る猫の小物のことだ。 
今は、夏実の部屋に飾ってある。 

夏「あそこ、バイト募集の張り紙してたんだよね」 
壱「おお、目ざといなぁ。」 
夏「あそこ、いい感じのお店だったからさ、一応チェックしといたんだよ。今日、電話してみる。」 

女の子って、こういうとこ抜かりないなぁ。 
夏実に限ってかもしれないけれど。 


973 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:42:39 ID:HdcFLHjs
暫くそんな風に駄弁っていると、 
よく知る連中が入り口に見えた。 

軽「おお、新婚さんじゃん!」 
将「あ、ホントだw」 

軽山と将介だ。四限目のテストが終わったらしい。 

夏「おつかれー、テストどうだった?w」 
軽&将「聞かないでくれ。」 

見事にハモリながら、俺達の隣のテーブルに着く。 

軽「それにしても、幸せそうでよろしいですなぁ。春休みの打ち合わせですか?」 
夏「まーねw」 
軽「ああ、その幸せ分けて欲しいぜ!どうやったら俺にも彼女ができるんだ??」 
将「性格治したら?w」 
軽「お前には言われたくねーよww」 

試験の終わった開放感からか、軽山のテンションは高かった。 
…いやまあ、いつもこんな感じかw 

軽「そうだ、せっかくテスト終わったことだし、今日皆で呑みにいかねー??」 
壱「ごめん、俺バイトなんだ。」 
夏「あたし、明日呑み会だからパース。」 
軽「なんだよツレナイなぁ。」 

軽山が露骨に落ち込んでみせたのが、可笑しかった。 


974 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:50:49 ID:HdcFLHjs
軽「しょうがない、将介、男二人で寂しくいくか??」 
将「悪い、俺もパスw 明日朝からバイトなんだ。」 
壱「将介、バイトなんかしてんの?」 

初耳だった。 

将「明日から、春休みの間だけだよw 荷物運び。」 
壱「あー、春先は募集多いもんなぁ。」 
夏「ちょっと将介、ちゃんと憶えてるんでしょうね!?」 

夏実が睨みをきかせる。 
2月14日のことだと、ピンときた。 

将「わかってる、ちゃんと空けてあるよw」 
夏「ならよろしいw」 
軽「あ?なんだよそれ?なんか遊ぶ約束??」 

微妙なところで微妙に鋭いから、ウザがられるんだぜw 

夏「なんでもないよ。ねー壱?w」 
壱「あー、なんでもないよw」 
軽「ちぇ、勝手にしろ。俺はいつでも仲間ハズレだ。」 
将「そう怒るなwまた、皆でどっかいこうぜ。」 

そう言って、将介が膨れる軽山を宥めた。 


975 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/11 00:53:13 ID:HdcFLHjs
本日の投下は以上です! 
春姉さん、来襲予定ww 

----------

21 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 01:29:30 ID:es5TOrl1
では遅くなりましたが、 
『祝日夜・夏実飲み会編』です。 


22 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 01:41:58 ID:es5TOrl1
その日はバイト先でも、ハイビジョンにVSオーストラリア戦が映っていた。 
仕事中なのでチラチラとしか見れなかったのが残念だ。 
とりあえず、ドローは残念でした。個人的には岡崎はもうちょっと 
早く投入した方がよかったかなと思う。 

茶「惜しかったすね。」 

ホール係の茶良が、カウンターまで来て話しかける。 

壱「そうだなー、チャンスはあったけどね。」 
茶「遠藤のシュートとか、大久保が切り返して抜いて、長谷部に繋いだトコとかは良かったすけどね。」 
壱「茶良、ちゃんと仕事してたのかよww」 

まあお客さんもチャンスシーンは画面に注目してるし、 
呼ばれることもなかっただろうが。 

そんなことを話してから少したった後、 
俺と同年代の女子たちが入店してきた。 
入り口近辺にいた三上さんが応対する。 

三「いらっしゃいませ、何名様ですか?」 
夏「4人です。あ、空いてたらカウンターでお願いしますw」 


25 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 01:54:18 ID:es5TOrl1
カウンターご指名ですか、夏実さん。 

夏実は同じ学部のコ三人を連れてきていた。 
一人は、ふーちゃん。 
一人は、髪をちょっと巻いた、今どきの感じの子だ。夏実と一緒にいる時に見たことがある。 
一人は、ちょっと地味目な感じの子だった。この子は初対面だ。 

夏「やっほーw 来たよ」 
壱「いらっしゃいませw」 

夏実達はカウンターまで案内されてくると、俺の前で、横一列に座った。 
っていうか夏実さんニーソですね。こないだ金曜に買ったやつですね。 
履いてるとこ初めてみましたよ。イイですよ! 

「このコだったんだー、夏のカレシ」 

髪を巻いてる子がいきなり言った。 
巻き髪なので巻田さんとでもしておくか。 

夏「そだよ。見た事あった?」 
巻「ちょっと喋ったこともあったかな? ね?w」 
壱「そだねw」 

正直記憶は薄かったが、夏実といる時に挨拶くらいはしたと思う。 


28 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 02:11:06 ID:es5TOrl1
巻「でも正直、も一人のコの方かと思ってたw」 

あらまあ、ホントに正直だね。 
でもいいよ、もうその反応には慣れたから。 

夏「それは、巻ちゃんが壱と将介の中身を知らないからだよw」 
ふ「壱太君は、外身も悪くないと思うよ?」 

ふーちゃん、そう言ってくれるのは嬉しいけれど、 
貴方が好きなのも将介だろうにw 

巻「ふーん、じゃ、あっちのコはフリーなワケねw」 

ニヤリとする巻田さん。不敵な笑みです。 
瞬間、ふーちゃんの表情が強張ったのが分かった。 
カウンターの中からだと、人間模様がよく分かりますね。 

夏「まーそーだけど、どーかなー?」 
巻「何よ、その微妙な反応?」 
壱「まままま、それより、ドリンク注文してよw」 
ふ「そうだね、全然選んでなくてごめんね」 

ふーちゃんは慌てて手元のメニューを開いて皆に見せた。 
巻田さんは俺達の反応に、ちょっと腑に落ちないような顔をしたが、 
あまり気にする様子もなく、すぐワイワイとドリンクを選びだした。 


29 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 02:22:29 ID:es5TOrl1
一次会で結構食べてきたらしく、 
皆ほとんど飲み物だけで、軽く乾き物を摘むくらいだった。 

皆、それぞれで楽しげに会話をしていたが、 
右端の地味目な子は、あんまり喋っていなかった。 
時折、隣のふーちゃんに相槌を打つくらいだ。 
ここでは、地野さんとさせていただきます。 

後で聞いた話だが地野さんは、ふーちゃんの仲良しさんらしい。 
なんとなく今どきっぽくない二人だから、気が合うのかもしれない。 

しかしふーちゃんは夏実や巻田さんとも仲良しだから、 
二人に話しを振られると、地野さんにかまってばかりもいられない。 
それ故、地野さんがちょっと一人で寂しそうにしていることが多くなった。 

これでもカウンター係の端くれとして、それを放っておくわけにもいくまい。 
何か話のネタでもないかと地野さんの方を見ると、カウンター上に置かれた彼女の 
携帯ストラップが目に付いた。 

………あれ?あの紫の髪の人形はガルマ・ザビじゃないですか?? 


31 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 02:34:04 ID:es5TOrl1
壱「それ、ガルマ?」 

地野さんは急に話しかけられて、驚いたように俺を見上げた。 

地「はい、知ってますか?」 

なんで敬語w 

壱「もちろん知ってるw」 

男でガンダム知らないヤツとは、ガチ親友にはなれないぜ! 

壱「っていうか、ガルマのストラップなんてあるんだww」 
地「正確には、ガルマちゃんなんですけど…」 

よく見るとそのガルマは、園児服を着ていた。 
ガンダムAの付録だそうだが、さすがにそこまでは把握してなかった。 
しかしガンダムAとは…地野さんからオタクな匂いがぷんぷんするぜ。 

壱「ガンダム好きなの?」 
地「はい。特にWが好きです。」 
壱「Wかあ…」 

さすがにそこは女の子のオタクっぽいなあ。 
俺と将介は完全にU.C.派です。 
夏実は将介に見させられたそうで、∀が好きだそうだ。ロランをローラと呼ぶ(^^; 

Wが好きとはいえ、地野さんは他のガンダムも知っていたので、 
少しの間ガンダム談義で繋ぐ事ができた。 


33 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 02:46:45 ID:es5TOrl1
ちょっとして、休憩の時間が俺に回ってきた。 
夏実は巻田さんと勝手に盛り上がってるし、 
地野さんはふーちゃんが気にしてくれているので、大丈夫そうだ。 
俺は休憩室で賄いを食うことにした。 

賄いはカレーだった。 
大鍋で大量に作るカレーって、最高美味いよね! 

一人カレーを食っていると、皿を片手に茶良が入ってきた。 

茶「市田さん、あの子ら市田さんの大学のコなんでしょ?」 
壱「そうだよ。」 
茶「三上さんから聞きましたよ、あの中に市田さんの彼女がいるってww」 

なんでそんなに嬉しそうなんだ。 

茶「どのコすか??」 
壱「俺から見て、一番左から二番目の、一番小さい子。」 
茶「マジすか?オニ可愛いじゃないすか!」 

茶良はこっちが驚くほどデカイ声を出した。 
オニとか今時まだ言うんだねーと思いつつ、 
自分の彼女が可愛いと言われるのは悪くない気分だ。 

茶「マジすかー。さすが市田さんっすねー。」 
壱「なに、さすがって?」 
茶「いや市田さんカワイイ系の顔してっから、結構モテるっしょ?」 

茶良はからかうような口調で言った。 

壱「いやいやいやいや全然モテんしw 今回、初彼女だし。」 
茶「えーマジすか? うそくさーw」 

どうも信じてもらえてないような。過剰評価しすぎですよ。 
こないだもこんなシチュエーションあったな(^^; 


34 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:00:44 ID:es5TOrl1
賄いから戻ると、女子たちはそろそろ帰ると言い出した。 

巻「アタシこの店気に入ったし、また来たいんだけどー、壱太君のメルアド聞いていい?」 

巻田さんは、俺じゃなくて夏実に聞いていた。 

夏「いーよ、じゃああたしが送るよw」 

と、携帯を操作しだした。 
あれ、俺の意思は??別にいーけど。 

ふ「じゃあ、ついでに私も教えてもらおうかなw」 

意外にもふーちゃんがそんなことを言い出したので、 
夏実はふーちゃんと地野さんにも俺のアドレスを送っていた。 

巻「じゃ、また来るね〜」 
ふ「ごちそうさまでしたw」 
地「どうも。」 

壱「ありがとうございました〜。」 

皆各々の挨拶を残して、店を後にした。 
そして、カウンターに残ったグラスを片付けていると、 
夏実が一人で戻ってきた。 

壱「あれ、忘れ物?」 
夏「違うよ、あたしまだ帰らないもんw 皆を送ってきただけw」 

そう言いながら、夏実はカウンターの端の席にちょこんと座った。 

夏「壱が終わるまで居ていーい?」 
壱「いいけど、忙しくなったらあんまり相手してあげられないよ?」 
夏「いい、見てるからw」 

夏実はニコニコしながら言った。 
なんか機嫌が良さそうなので、そのまま居てもらうことにした。 
夏実は俺がバイト終わるまで、一人でおとなしく飲んでいた。 


35 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:08:34 ID:es5TOrl1
俺は11時上がりだったので、夏実をカウンターに残して、 
着替えてくることにした。 

着替えていると、携帯が鳴り響く。 
見ると、ふーちゃんからのメールだった。 

ふ『今日はご馳走さまでした。 夏実ちゃんは壱太君のことがすごい好きなんだから、ちゃんと大切にしてあげなきゃだめだよw』 

壱『こちらこそありがとうございましたw もちろん、大切にするよw』 

ふ『そう? なら良かったw』 

そんな短いやりとりをした。 
っていうか、ふーちゃん可愛いぜww 


37 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:23:02 ID:es5TOrl1
着替えて店に戻ると、夏実の隣に座った。 

夏「よ、おつかれーw」 
壱「…結構酔ってる?」 
夏「ん、平気平気。」 

ちょっと頬は赤いが、まだ大丈夫そうだ。 
そこに、俺のドリンクを聞きに三上さんがやってくる。 
珍しくカウンターに入っていた。 

壱「おお、なんか新鮮だw」 
三「ふふ、市田君が休みの日は、たまに入ったりするよ。簡単なのしか作れないけどw」 

それは知らなかった。 
三上さんはどんどんスキルを増やしてくるなぁ。 
俺は無難に、生ビールを頼んでおいた。 

三上さんはすぐにビールを持ってきてくれた。 

壱「紹介するよ、俺と同じくらいにバイト入った三上さん。○○大生で同い年。」 
夏「初めましてー、でもないけどw あたしのこと憶えてます?」 
三「憶えてますよ、可愛いからw ていうか、私のこと憶えてくれてたんですねw」 
夏「背が高くて羨ましかったからww」 

夏実が三上さんのことを憶えていたのは意外だった。 
そこに横から、茶良も割り込んでくる。 

茶「市田さん、俺のことも紹介してくださいよー!」 
壱「ああ、彼は茶良くん。年は一ッコ下で、大学は三上さんと一緒。」 
茶「どうも茶良っす!市田さんにはお世話になってます。」 
夏「初めまして夏実ですw こちらこそ、壱がお世話になってますw」 

なんかむず痒い言い方だな、それ。 


38 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:29:56 ID:es5TOrl1
茶「今度俺達、どっか遊びにいこうかって話出てるんすけど、夏実さんも一緒にどうすか?」 

なんと、こっちが言い出す前に茶良が言ってくれた。 
こういうときは、コイツのフットワークの軽さが役に立つなぁ。 

夏「楽しそうだけど…あたしも行っていいの?」 
三「ぜひぜひw 私も、女の子がいた方が楽しいしw」 

夏実がこっちを見たので、頷いて応えた。 

壱「皆言ってくれてることだし、行こうぜ。」 
夏「うん、じゃあ行くw」 

なにはともあれ、夏実が嬉しそうだったのでよかった。 


39 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:37:53 ID:es5TOrl1
一時間ほど飲んで、俺達は店を出た。 

俺はまだ殆ど酔ってはいなかったが、 
長い時間飲んでいた夏実は、さすがに酔いが回ってきているようだった。 

壱「飲み過ぎた?」 
夏「んーん、平気…」 

そう言いながら、夏実は俺の左腕にしがみ付いて来た。 
まだ手を繋いで歩いたこともないのに/// 
これは完全に酔っ払ってるなぁ。 

壱「酔ってるっしょ?」 
夏「酔ってませんよ〜〜」 

酔っ払いは皆そう言うんだよ。 
これは駅まで歩くのは諦めて、タクシーで帰った方が良さそうだな…俺ん家までなら2000円もかからんだろう… 
そんなことを考えてたら、夏実が何かブツブツ喋りだした。 


41 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 03:46:32 ID:es5TOrl1
壱「なに?」 

最初俺は聞き取れなかったので、立ち止まって聞き直した。 
夏実は俯いたまま、更に俺の腕をぎゅっとつかまえた。 

夏「どうしよう…どうしよう…」 
壱「何が?」 
夏「どうしよう…あたし、すごい好き。好き。」 

これは…もしやデレ!? 
酔うとデレるのか、この人は。 

しかし、好きと言ってもらえるのは嬉しいが、 
俺はちょっと笑ってしまった。 

壱「w どうしようってw 好きでいいじゃん。」 
夏「いいの?すごい好きでいいの??」 

ようやく顔を上げた夏実は、真剣な表情で聞いてくる。 
さすがに、俺も真面目に言った。 

壱「いいよ、もちろん。」 
夏「……ヘヘ〜w」 

夏実は、にぱっと笑って、ご機嫌になったようだ。 
どうも、本気で酔っ払っているようだ。 


45 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:03:08 ID:es5TOrl1
俺はキョロキョロと、近場のタクシーを探し出したが、 
そんなこと夏実はお構いなしだ。 

夏「ねぇ。」 
壱「ん?」 

俺は再び夏実へと視線を戻す。 

夏「じゃあ、壱は?」 
壱「え?」 

俺は一瞬何のことか分からなかったが、 
すぐにさっきのことだと気付いた。 

壱「…好きだよ///」 

改めて言わされると照れますね/// 

夏「じゃあチューしてw」 
壱「はい?」 

それはいきなりすぎた。 
眼前では、既に夏実が目を瞑っている。 
いやいやいや。街角でチューとか(^^; 人通りだって少なくない。 
そんなバカップルみたいなマネはさすがにハードル高すぎる。 

壱「ちょ、ちょっと待ってっ」 
夏「ぶー。」 

膨れる夏実さん。キャラいつもと違いすぎですよ。 
とりあえず、俺は夏実とガッチリ腕を組んで、歩きだした。 
しかし、夏実は先程までのようにスムーズに歩いてくれない。 

壱「…ちょっと夏?」 
夏「好きって言ったのにぃ〜」 
壱「それはもちろんそうですよ。」 
夏「…じゃあチュー。」 
壱「それは、帰ってから、ね。」 
夏「やだぶー。」 

夏実はとうとう立ち止まってしまった。 
何故そこまで拗ねる?? 

ええい、仕方があるまい。 
俺は咄嗟に建物の影に入って夏実を引き寄せると、 

両肩を掴んで、キスをした。 


47 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:11:27 ID:es5TOrl1
すぐ離れようと思ったが、 
夏実の方から抱きついてきて、 
数秒間に亘るキスになってしまった/// 

多分何人かに見られたよね。恥ずかしい/// 

夏「……えへへ。」 
壱「さ、帰ろう///」 
夏「うんw」 

俺は恥ずかしいのを誤魔化すために、夏実の手を引いて勢い込んで歩き出し、 
すぐに道脇のタクシーを捉え、乗り込んだ。 

壱「○○までお願いします!」 
運「はいよ。」 

運転手さんに聞かれる前に行き先を言ったのは初めてだったよ。 

タクシーの中でも夏実は始終くっついてきた。 
その表情は十二分に満足していたようだ。 
俺はバックミラーが気になって仕方なかったw 


48 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:20:13 ID:es5TOrl1
俺んちに着くと、夏実は即行で靴を脱ぎ、 
そのままベットに直進して倒れこんだ。 

夏「うーん疲れたー。もう動けないー。」 

車に乗って、更に酒が回ったのだろう。 
俺は溜め息をつきながら、夏実の方に寄った。 

壱「そのまま寝てもいいけど、せめてコートだけ脱いどこうか。」 
夏「…ん〜、分かった〜。」 

そう言いながら夏実は仰向けになり、両手をこっちに伸ばす。 
……子供がお母さんに脱がしてもらうときのポーズそのままだ。 

壱「いやいや、それじゃコート脱げないしw」 
夏「……じゃあ知らない。」 

バタっと、両手を下ろす。 
仕方がないので、俺はボタンを外して、背中からコートを引き抜いてやった。 

あ。 
忘れていた…ミニスカ&ニーソだった! 
この破壊力は抜群すぎる/// 


49 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:35:26 ID:es5TOrl1
俺は己の理性を総動員して昂ぶる心を静めていたが、 
そんな俺の気持ちは露知らず、夏実はいつのまにか目を開いて、 
ベット脇に座ったままの俺の腕を引っ張った。 

壱「わわっ」 

俺はバランスを崩して、夏実の顔の上に覆いかぶさりそうになった。 

夏「w何してんの?w」 
壱「急に引っ張るからだよ。」 
夏「だって、ずっと座ってるから。もう眠いから寝よう?」 

夏実はすっかり眠そうな目で言った。 

壱「メイクは?」 
夏「…あー、さすが壱w カバンとって。」 

小さなバックを取ってやると、夏実は中から拭くだけコットンを取り出して、 
器用に顔をふき出した。 
もともと化粧は薄い方なので、あっという間に取れていく。 

壱「便利だな、それ。」 
夏「うんw 今日はこれだけでいーや。じゃ、寝よ?」 

夏実は再び俺の腕を引く。 

壱「い、いやそれは…」 
夏「寝ないの?」 
壱「その…約束を守れなくなりそうだから///」 

俺は、コタツで寝る気だった。 

夏「やだー、壱のえっちww」 
壱「そのとおりです」 
夏「でも大丈夫だよ。」 
壱「…何が?」 
夏「あたし、壱は約束やぶるような人じゃないって、分かってるから♪」 

…………。 
ある意味、拷問だこれは。 


51 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:50:13 ID:es5TOrl1
しかし、信用されている以上、それに応えるしかない。 

俺はさっさと着替えて、夏実の横に寝た。 
と、いきなり夏実は抱きついてきて、俺の顔を見上げる。 

夏「んー。」 
壱「あ、あの、夏実さん?」 
夏「…帰ったらチューするって言った。」 
壱「言ったけど…」 

導火線に火が付いたらどうするんですか。 

夏「んー。」 

しかしまあ、単純にキスしたいという己の気持ちに勝てるわけもなく。 
べろちゅー。 

ちょっとの間キスは続いたが、 
やがて夏実は満足したかのようにゆっくり離れると、 

夏実「じゃ、寝るw」 

と一言残して、 
……すやすやと眠りだしてしまいました。 

これだから酔っ払いはマイペースすぎるっていうんだ(--;) 

俺もその後、眠ろうと頑張ったけど、 
朝方まで寝つけずにいました。 

おかげで昼間はよく寝れたぜ!!orz 


52 :壱太 ◆t57Doxt89Q :09/02/13 04:51:14 ID:es5TOrl1
以上、本日の投下でした。 

壱太はキレイなままですよ! 

出典:親友の幼なじみを好きになってしまった
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