前作:爆誕 ―夜は応えない いくつもの愛の形が許されることを… (「逢いたい」 詞:吉○○郎) どうも北村ちんです。 湘南の中国エステでの臨死体験(ある意味)により、トラウマを植えつけられた私ですが、そこから罪に手を染めていった話をしたいと思います…。 私は傷心のまま仕事も辞め、周りとの連絡も絶ち、夜の新宿を彷徨い歩いていました。 「周りの連中は楽しげに街を歩いている、なのに俺は…!」 そう思いました。周りの連中が恨めしい…。自分の惨めさを改めて思い知らされました。 辛さを噛みしめれば噛みしめるほど、死にたい気分にさらされました。 でも私には死ぬほどの度胸なんてありません…。このやり場のない苦痛ともどかしさを酒に向けて気を紛らわせる他はありませんでした。 ふと目に映ったバーに入りました。 「いらっしゃ〜い」 オカマバーでした。ふと、あの臨死体験を思い出しましたが、もう店から逃げる気力なんてありませんでした。とにかく酒を飲んで楽になりたかったのです…。 「焼酎くれ」 カウンターに座るなり私は言いました。 私の格好がみすぼらしく、目も死んでいたせいか、バーのママや下っ端のオカマたちの私に対する視線は冷たかった。話すらかけてもくれない。何がオカマバーだ。オカマの格好して普通の飲み屋やってるだけじゃないか…! 焼酎をあおり、私はふと横を見ました。遠くの席で女性客とママが楽しく話をしていました。 「アッ!」 私は驚きました。女性客が、私が東京の学生時代オカズにしていたG大学の女性に似ていたのです。そのG大学の女性とはお互いの大学が提携していて、部活動が同じだったつながりで知り合いました。 不覚にも、息子が発動してしまいました。こんな惨めな気分の時にも、恥知らずな漲りを自覚させられるなんて…。 本人なのか聞いて確かめたくなりました。…しかし、学生時代は所属していた部の体質のせいもあり、硬派を気取り、なりきっていた私です。当時の関係者の連中に対するメンツだってあります。何としても、こんな惨めな姿を晒すわけにはいきませんでした。 私は彼女と目が合わないように、少し顔を背けつつ、焼酎をあおり続けました。 しかし、彼女とママの楽しげな会話が私の耳に入ってきます。だんだん悔しくなってきました。 「このオカマ風情が…。どうせ本当はノンケで、彼女を口説いているんだろ…クソビッチめが」 私は完全にママに嫉妬していました。何で彼女と。何で彼女と。何で彼女と…。 こんな人生のはずじゃなかった。学生時代になりふり構わず彼女を口説いていれば、俺は彼女を抱けたはずなのに!! ひたすら焼酎をあおり続けました。客はだんだん減り、あの女性も帰ってしまいました。気付いたら私一人で飲んでいました。 「お客さん、店閉めるよ」 ママは相変わらず鬱陶しそうな冷たい視線を私に向けて、言いました。私は、自分のコメカミの当たりでブチッと音がするのを感じました。 「何よ、その目…」 ―揺れる心には 嘘と呼ぶにはつらい想いも隠れているのさ 俺の身体突き抜けて くるおしい程のおまえの姿を焼きつけに来い(詞:吉○○郎「逢いたい」より) 「やめてくれ!俺本当はノンケなんだ!病気の女房とガキが4人いて、リストラに遭って、ダチの紹介で仕方なくここで雇われママやってるだけなんだ!!マジだマジなんだよ!!誰か男の人呼んでー!!誰か助けてくれー!!」 ―夜は目覚めない かすかに動く闇にまぎれる おまえを見せてよ(詞:吉○○郎「逢いたい」より) ―舌を噛み切った絡み合う唇の中 二人は捩れあい激しく揺れていた(詞:長○○「激愛」より) 夜が明ける。店内は血だらけのオカマたち。私は覆いかぶさっていたママの身体から離れる。 ―かすかに触れ合う力果てた指先 導かれるように静かに瞳を閉じた ゆるやかな呼吸は首筋を滑り 衰弱の闇へと色あせてゆく 果てしない大気の中朽ち果てるまで重なってゆけ(詞:長○○「激愛」より) 私は静かにバーを後にしました。やがてどこからかけたたましいサイレンの音が聞こえてきました。私は人目に付かないように新宿駅の地下の人ごみに紛れ、段ボールの布団に包まったのでした…。 出典:前作:爆誕の続き リンク:http://moemoe.mydns.jp/view.php/24249 |
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