やっぱり顔かよ (エロくない体験談) 44970回

2011/07/04 07:17┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
20代毒女(喪女)のチラ裏

小学校時代、同じクラスにK君という男の子がいた。

ちょっと背が高くて、そこそこ顔も良くて、結構スポーツもできて、
洒落にならないくらい頭が良くて。いやまじで進学塾の模試で全国4位になったし。
ユーモアがあって社交的で誠実で、当然だが保護者や教師からの評判も最高で…
もちろん思い出を美化しまくってるのは自覚してるけど、
ドラえもんに出てくる出来杉君みたいだねって、友達とも話してた。

彼が際立ってたのは、おまえ小学生かよと言いたくなる思慮深さと優しさ。
4年の時だったと思うけど、K君がイジメというかシカトされかけたことがあった。
「あいつ、先生にひいきされて腹立つよね」とかいう理由だった。

ところがK君、無視されても全然気にする素振りもなく周りと接するんだ。
結局、シカトは1週間くらい続いたと思うけど、
彼があまりに普通にしてるんで(内心は辛かったかもしれないけど)、
ハブる側が不安になってきてボロボロと脱落。いつの間にかうやむやになった。

うちの小学校、当時のイジメはシカトが主流で、
あとは黒板に悪口書いたりとかそんなレベルだったが、子供には結構辛い。
仕切り役の女子3人くらいと、取り巻きの男子数人が何となく主導してた。
K君が狙われたのは例外で、標的はやっぱり太った子、不潔な子、大人しい子、
それから個性的で浮いてる子が多かったな。

私も一生懸命イジメに加わった。デブスな自分に自信がなかったから、
「イジメる側」にいると何となく優越感と安心感が得られたし。
何より、いつ自分がイジメられる側に回るかも、という不安もあった。

K君はといえば、イジメられた子に積極的に声を掛けて一緒に遊んでた。
ときどき不安定になる多動気味の子も、蓄膿で「鼻水」とあだ名が付けられた男子も、
本ばかり読んでる暗い女子も、孤立してる子は残らず誘ってたな。

一番酷くイジメられてたオタク予備軍の太った男子がいたんだけど、
K君は仲間を連れて「漫画の描き方、教えてくれよ」とか声を掛けて、
実際にその子に先生になってもらってたし。
そんなこんなで、いつの間にかK君の周りに「イジメられっ子」グループが出来てた。

イジメる側にしたら、標的にした連中につるまれたら
シカトする意味がなくなるし面白くないわけだが、かといって反撃もできない。
K君にシカトは通用しないし、勉強を教えてもらったり彼を頼りにしてる子も多い。
何より男子より一足早く多感な年頃を迎え始めた女子どもには、
K君にほのかな好意を寄せる子がものすごく多かった。

まあ、かくいう私もその1人だったんだが。

 ※※ ※※ ※※

それでもイジメは続くわけで、ある日とうとう私が標的になった。5年生だった。
別に誰から宣告されるわけでもなく、友達だった子が突然口を聞いてくれなくなる。
リーダー格の子に必死になって媚びを売ったが、
連中が飽きて別の子に標的を移すまで何をやっても無駄。
むしろ逆効果なのは、ずっとイジメる側だった私には分かってた。

大げさと思われそうだけど、死にたかった。今まで拠り所にしてたものが崩れた感じ。
今なら学校の友達が全てじゃないと考えるところだが、当時はとにかく辛かった。

ハブられて4日目くらい。
明日は学校休もうかな、なんて考えてたら、昼休みにK君が声を掛けてきた。
「A子さん(私)、よかったら僕らと一緒にドッジボールしない?」
好意は寄せてたが、面と向かって話したのは(たぶん)初めてだったから、
ムチャクチャ緊張した。心臓バクバクで、顔も真っ赤だったと思う。

だけど、馬鹿な私は誘いを断った。
本当は大好きなK君と一緒に遊びたかったけど、必要以上に男女を意識する年頃だ。
何より誘いに乗ると元の友達から「裏切った」とか思われて、
二度と仲間に戻れない気がした。私にはそっちの方が怖かった。
K君は少し残念そうに「そう?でも、いつでも待ってるから」と優しく言ってくれた。

しかし、せっかく誘いを断ったのに私に対するシカトは続き、
ついに机やノートに「ブタ女」とか落書きされるようになった。
親には話せないし、先生に言いつけたらさらに事態が悪化するのも分かってた。

最初に誘われて1週間くらいだったか、明日は絶対に学校休むと決意してたら、
またK君が「よかったら一緒に帰らない?」と声を掛けてきた。
前に断ったのを死ぬほど後悔してた私は、大喜びで、
だけど表面上は「仕方ないわね」という素振りで付き合った。
デブスがなに気取ってんだよ、と当時の自分に蹴りを入れたい気分だ。

「僕らのグループは誰もイジメたり、イジメられたりしないんだ」
並んで歩きながらK君が説明する。
馬鹿な私は『何これ、デートみたい〜♪』と、心の中で舞い上がってた。

「一緒に遊びたい日は遊べばいいし、独りでいたい日は独りでいる。
別の友達と一緒がいいならそれでいい。いつでも出入りできる自由な仲間なんだ」
こう書いたら、なんか危ない団体の勧誘文みたいだな。

「A子さんも来れば楽しいと思うよ。僕も一緒だと嬉しいし」
ガムのCMみたいに爽やかな笑顔は、自意識過剰な女子には刺激が強すぎる。
緊張と高揚感で喉がカラカラになりながら、
「そんなぁ、私なんてブスだしぃ〜」と卑下してみせる私。
はい、しっかり厨二病でした。女子の発病は早いんだわ。

するとK君、正面から向き合って、手を私の両肩に置いた。
緊張感マックスで顔が引きつる私に、少しまじめな表情になって言ったのさ。
「そんなことないよ。A子さんはとても可愛いと思う」

今までの人生で一番幸せな瞬間を挙げろと言われたら、私は迷わずこの瞬間を選ぶね。
それまで可愛いなんて親にも言われたことなかったから。
嬉しくて涙が出た。恥ずかしかったが、憧れてたK君の前で泣いた。

K君は、涙で顔をクシャクシャにした私の頭をそっと撫でると、少し顔を近づけて
「笑顔ならもっとキレイになるよ。だからA子さんには笑顔でいてほしい」

もちろん昔の話だし、こんなラノベ原作の3流映画に出てくるセリフみたいな
言い回しじゃなかったかもしれない。それでも、そんな意味のことを言われた。

今から思えばどこのジゴロだよ、どこの宗教団体の勧誘だよって感じだが、
糞餓鬼だった私は完全にノックアウトされたね。はい、マジ惚れました。
単なる憧れだったのが、この人のお嫁さんになりたいと真剣に思った。

かなり後で知ったんだが、
K君は私以外にも、コンプレックスを抱えた何人ものハブられ女子に
「君はとても魅力的だよ。自信を持って」なんて話して聞かせてたらしい。
小学生の餓鬼がそんなこと言うか普通。
悪意がないのは分かってたが、たぶん生まれつきの女たらしなんだろうな。

というか女子だけじゃない。
さっきのオタク男子もそうだけど、その子の特技とか個性とか見つけて、
褒めて自信を持たせる彼の技術というか話術は天才的だった。
彼の家、別に変な宗教には入ってなかったけど、
新興宗教の教祖とか自己啓発セミナーの講師になったら成功してたと思う。

もちろんマジ惚れたといっても、一緒に下校しただけで
「あいつら付き合ってる」とはやし立てられる小学生だ。
頭の中じゃ「2人きりの時、キスでもされたら…きゃっ♪」
なんて妄想ぐるぐるだったが、実際に何かされたわけじゃない。
何よりライバル多すぎだし。

 ※※ ※※ ※※

私が「K君派」に入ったくらいから、クラスの雰囲気が変わってきた。
それまでハブられてた子は、別の標的が出来たら晴れてイジメる側に戻れたが、
戻らずにそのままK君たちと一緒に行動する子が次々出てきたんだ。
私もK君の仲間に入って、すぐに別の子がシカトされるようになったけど、
自分がターゲットから外れても結局元の仲間には戻らなかった。

シカトとか村八分は、圧倒的多数の子が1〜2人を標的にするから意味あるのよね。
ハブった奴に遊んだり話したりできる友達が大勢いたら、ハブったことにならない。
K君たちと一緒だと、誰かをイジメて後ろ暗い思いをすることもないし、
何より「いつ自分が」と怯える必要もないから居心地が良かった。

気が付いたら中間派というか「その他大勢」だった子たちがK君の側について、
クラスの半分以上に膨れ上がった。こうなると雪崩現象だ。
最後にはイジメを主導してた何人かがクラスで孤立した感じになって勝負あり。
イジメた側の中核メンバーには居づらくなったのか不登校になる子もいたけど、
そんな子の家にもK君はわざわざ立ち寄って「一緒に学校行こ」と誘ってた。
どこまで優しいんだか。

結果、クラス全体が「K君派」になった小学校最後の1年半くらいは、
デブスな私もオタク男子も根暗女子も、なんかリア充な生活を送れた。
K君派っても、別に彼が偉そうにするわけじゃないけど。

私も髪型を変えたり、新しいスカートをおろしたりしたら、
決まってK君が学校で「素敵だね。似合うよ」と言ってくれたし。
勘違いでも自信が持てたな。

K君は小学校を卒業すると進学校の私学へ行って、私たちと離れ離れになった。
でも、卒業しても何か悩みとかあると相談に乗ってくれた。
他の元同級生たちも、男女問わず彼に話を聞いてもらいに行ってた。
クラス会じゃないけど、毎月のように何となく集まって遊んだり話したりもした。
彼は彼で新しい学校の用事もあったと思うけど、よく付き合ってくれたなと思う。

好きなのは変わらなかった。
いつか絶対、彼に処女をあげると決めてダイエットにも励んだ。
2人で会った時、何度も告白しようとした。だけど出来なかった。
K君がどの女の子にも優しくしてるのを知ってたから。
誕生日やバレンタインデーにプレゼントをあげて、
同封したカードに意味深なメッセージを書くのが関の山だった。

他の女子も似たようなものだったみたい。
中には告白して撃沈した子もいたけど、振られた気にさせない話術のせいか、
そんな子も仲間から離れることはなかった。
まあ、K君がヤリチンだったら、ものすごい人数の処女を奪えたのにね。
そうしなかったからオタクやヤンキーを含む男子からも慕われたんだろうけど。

その後、彼は東京の大学に進学して地元を離れたけど、
いつの間にか仲間は彼が去ってもちゃんと機能するようになってた。

考えてみれば不思議な集団だったと思う。
さらにキモさを増してアニメ&漫画道を究めつつあったオタク男子も、
不思議な詩を雑誌に投稿する文学少女になった根暗女子も、
ギャル系に走った元イジメっ子も、何の取り柄もないままの私も、
元同級生という以外に何の共通点もない男女が普通に友達してんだから。

 ※※ ※※ ※※

そんなK君が結婚した。相手は小学校時代の同級生。つまり私の元同級生。
クラスでも群を抜いて美人の、人形みたいに可愛らしい女子だった。

 や っ ぱ り 最 後 は 顔 か よ

いや、新婦は大人しめだけど、思いやりがあって性格も良い子だったよ。
とっさに「やっぱり顔かよ」なんて頭に浮かんだ歪んだ性格の私を
彼が選んでくれるわけないことも分かってた。自意識過剰なんて百も承知。
でも、チラシの裏なんだし少しくらい愚痴らせてよ。

K君に褒められて少しだけ自信が持てた。
一生懸命ダイエットして、ブスのままだけどデブじゃなくなった。
結婚式には貸衣装だけど素敵なドレスを着て、メークも頑張って、
めいっぱいお洒落して行ったさ。

披露宴のキャンドルサービスで私たちのテーブルに来たK君、
私を見つけると、いつもの笑顔でやっぱり言った。
「A子さん、とても素敵だよ。今日はありがとう」

今日だけは泣かせて。おめでとう。そして「くたばれ」

出典:喪女が何か言いたそうにしてるんだが
リンク:チラ裏スレ(2ch以外)
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