きよみちゃん (ジャンル未設定) 40031回

2011/07/09 17:53┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
107 :ぶるぶる :02/08/20 02:01
    私が小学校三年生位の時の話です。
    そのころ、とても仲よしだった、
    きよみちゃんという女の子が、クラスにいました。
    彼女と私は、毎日のように学校が終わると、
    お互いの家を行き来しては、ふたりで遊んでいました。
    その日は、彼女の家の台所のキッチンテーブルで、
    ふたりでドラえもんを読んでいました。
    その内容は、ドラえもんが、のび太に切抜き絵本
    のようなものを出してあげます。 

108 :& ◆i.GDT3f. :02/08/20 02:01
    それには、ケーキやおかし、車など色々なものがあり
    切り抜いて組み立てると、本物のように、
    食べれたり、乗れたりするというものでした。
    きよみちゃんと私は早速、
    「おもしろい!まねしてみようよ!」
    と、画用紙や、ハサミ、色鉛筆を持ち出しました。
    もちろん本物になることなどありえないと、
    理解できる年齢でしたが、とても楽しかった
    のを覚えています。
    そして、日も暮れかかり、私が家に帰らなければ
    いけない時間になりました。 

109 :& ◆tHsziLno :02/08/20 02:02
    きよみちゃんは、いつもそうするように、
    玄関の外まで、私を見送りました。
    そのとき、きよみちゃんが言いました。
    「ぶるぶるちゃん。今日のこと、
    大人になっても忘れないで」
    私はきよみちゃんが、いきなり変なことを
    言うのには慣れていたのですが、
    そのときは、彼女の様子がいつもと違うので、
    なんでー?と聞き返しました。
    今こうしてふりかえると、確かにあの日の
    きよみちゃんは、いつもと雰囲気が違ったような
    気がします。 

110 :& ◆tHsziLno :02/08/20 02:03
    きよみちゃんは続けました。
    「今日の私、32才の私なんだ」
    ますます私には、訳が分かりません。
    でも彼女は続けます。
    「2002年だよ。32才。ぶるぶるちゃんのこと
    思い出してたら、心だけが子供の私に飛んでっちゃった」
    はっきりいって、聡明とはほど遠かった(今もね)
    子供の私は、なんだかわからないけど、
    2002年と行ったら、超未来で、車なんか空飛んでたりする、
    という考えしかないくらい遠い遠い未来。 

111 :ぶるぶる :02/08/20 02:04
    「ふーん。ドラえもんの未来からかー!」
    なんて、ばかな受け答えしかできませんでした。
    きよみちゃんは、そんな私を笑いながら、
    「それが全然!マンガの世界とはちがうよー」
    と言いました。
    そして、私ときよみちゃんは、また明日遊ぶ
    約束をして、別れました。
    今考えると、なんであのときもっと問い詰めなかったんだろう
    と後悔しますが、なんせ子供だったし、
    きよみちゃんも私と同様、ドラえもんの影響で、
    ふたりでよくSFチックなことを、夢見ていたので、
    別にきよみちゃんが私に言ったことが、
    そんなに変とも思わなかった。 

112 :& ◆i.GDT3f. :02/08/20 02:05
    翌朝、学校に行くと、いつものように
    きよみちゃんが私に、話しかけてきます。
    まるっきり、いつものきよみちゃんでした。
    そして、私もまた、きよみちゃんが私に
    言ったことなど、すっかり忘れて、
    そのまま毎日が過ぎて行きました。
    そして、私たちは5年生になり、それと同時に
    私は地方へ引っ越すことになりました。
    そしてそのまま、きよみちゃんと、二度と
    会うことはありませんでした。 

114 :ぶるぶる :02/08/20 02:06
    今年、2002年。私は32才になりました。
    そしてハッとします。
    あの日のきよみちゃんの言葉を思い出して。
    もしかして、もしかして、もしかして..と。
    私はその後も、引っ越しを繰り返し、
    今では海外在住です。
    きよみちゃんを探したいのですが、
    結婚してれば名字も変わっているだろうし、
    どうやって見つけられるか。
    あの頃の私は、片親だったので
    (当時はまだ珍しく、世間からは白い目で
    見られがちだった)、
    「ぶるぶるちゃんと遊んじゃだめよ。片親なんだから」
    と、思いっきりよその子供の親が、
    私の目の前で言うなんてことも、珍しくなかったし、
    大嫌いだった先生にも、
    「片親だからね。目つきも悪くなるんだろう」
    と言われたこともあった。 

115 :& ◆i.GDT3f. :02/08/20 02:07
    ごめん省略されちゃった。
    大嫌いだった先生にも、
    「片親だからね。目つきも悪くなるんだろう」
    と言われたこともあった。
    そんな中、きよみちゃんだけが、私の友だちで、
    子供時代の唯一の理解者であったと思う。
    会いたいと思う気持ちがそうさせたのか、
    2週間ほど前に、あの日”"”"の夢を見た。
    あの日と同じ、きよみちゃんのおうちの台所。
    イッチンテーブルいっぱいに、画用紙と色鉛筆。
    私が自分の家から持ってきた、コロコロコミック
    が二冊置いてある。 

116 :ぶるぶる :02/08/20 02:08
    (当時コロコロコミックは、結構高価だったので、
    私ときよみちゃんは、かわりばんこに買って、
    ふたりで回し読みをしていた)
    台所からは、6畳ほどの今が見え、
    きよみちゃんのお母さんが、緑色の座椅子に座って
    テレビを観ている後ろ姿が見えます。
    本当に、何もかもが、私がこの夢を見るまで
    忘れていたことまでが、はっきりと、目の前にありました。
    きよみちゃんが、ケーキの絵を画用紙に描いて、
    色を塗り、私はその横で、ハサミを持って、
    きよみちゃんが描くケーキを見つめています。 

117 :& ◆i.GDT3f. :02/08/20 02:09
    私は、夢の中で、
    「これは夢だ」
    と自覚していました。
    きよみちゃんが、ふと手をやすめて、私を見ます。
    そのとき、私は彼女に言いました。
    「きよみちゃん。今日の私も、32才!」
    きよみちゃんは、びっくりした顔をしたと思うと、
    私を見つめて言いました。
    「忘れなかったんだ。ぶるぶるちゃん..」
    きよみちゃんは、半分泣き笑いような表情です。
 
118 :ぶるぶる :02/08/20 02:09
    私も、泣きそうになるのをこらえながら、言いました。
    「ドラえもんの未来じゃなかったねー!」
    そして、ふたりで泣きながらも、大笑いしました。
    そして…私は目が覚めました。32才の私の体で。
    私は、泣いていました。
    ただの夢だったと思う。でも、私は
    時空を超えて、あのときのきよみちゃんに、
    会いに行ったのだと思いたい。
    きよみちゃんが、そうしてくれたように。 

出典:おかると
リンク:おかるt
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