童貞が処女と旅行した話 (初体験談) 68663回

2011/07/15 19:15┃登録者:林下つよし◆Kkz1uYaQ┃作者:林下つよし
   文中に登場する人物の名前は仮名です。

 僕が北海道にある某大学の二回生だった頃の話です。
僕はそれなりに大学生活をエンジョイしていました。学究の方は良くいえばまあまあでした(悪く言うと…)が、映像制作サークルが楽しかったのです。
 先輩方からも僕のつくった作品を褒めてもらえるようになったので、勢いがありました。同学年のサークル仲間とも、理想的な連携を意図通りに取れつつあったのでやりがいもありました。
 そんな感じで活動に励んでいた7月頃のことです。友人である太田から土日の2日を利用して、プチ合宿も兼ね小樽へ旅行に行こうじゃないかという誘いがありました。  
 「女も二人誘ったからさぁ、そろそろパーッと俺達も弾けようよ」
 「いいね」
 その頃の僕は女の子に興味津々でした。そのせいかキャンパス内の女の子は皆華やかに見えたものです。それにも関わらず僕は奥手だったのでなかなか話しかけることができませんでした。会話を交わすことは出来たのですが声を掛けるのは大抵女の子の方からで、内容も極めて事務的だったので、恋仲に発展することは当然ありませんでした。
 太田もそんな臆病男だったのですが、容姿はいい男風だったので自分から話しかけることはできたようです。そんな太田が勇気を振り絞ってサークルの女の子達を誘ってみたら、二人引っ掛ける事が出来たとの事でした。
 「で誰来るの」
 「ええとねぇ。驚くんじゃねえぞ、真希ちゃんが来てくれるんだよぉ。あと冬美も」
 僕はびっくりしてしまいました。まるっきり好対照な二人だったのですから。
 真希ちゃんはとっても可愛い女の子でした。童顔ですが物腰や喋り方や話す内容が知性を醸し出していて、そのギャップが男達を魅了していました。学業においても優秀であるらしく、勿論僕らにとっては高嶺の花みたいな存在でした。
 冬美は、僕は他の友人達と制作チームを組んでいたのですが、そのチームのメンバーの一人でした。サバサバした男らしい女でした。顔は良さそうに見えるのですがやや粗暴な態度が目立ち、可愛い女の子としては見られていませんでした。でもいい奴で、僕は女というよりは戦友(?)みたいな同胞意識を持っていました。
 そんな二人が来るというのですから僕は何となく腑に落ちないなぁと感じました。真希ちゃんと冬美って友達だったのか?そうには見えないけどなぁ…だからってあんまり知らない人同士で旅行するってのもなんだか…
 「いや実はね、真希ちゃんと冬美はさ、ああみえてダチなんだよ。多分。俺勇気出して真希ちゃん誘ったらさぁOK貰っちゃったんだよぉ。まあ、その真希ちゃんがさぁ、冬美誘ったんだけどね…、楽しい奴だからいいんだけど、むしろ冬美いた方がもっと楽しいんだけどさぁ、俺は真希ちゃんだけの方が嬉しかったなぁぁぁぁ、ぉぃぉぃぉぃ……」
 と聞かされて僕は更にびっくりしてしまったのでした。
 
 旅行当日の朝に、提出するレポートを書くのを忘れて、今からカンヅメで仕上げないと単位どころか進級も怪しくなるという事を、太田は僕に告げたのでした。
 「御免よ、すっかり忘れてたんだわ」
 「よくそんなに呑気で計画を建てられるもんだな、もっと慎重になれよ」
 「まあまあ、そんなこんなで俺行けないからさ、お前ひとりで真希と冬美を宥めてくれたまえよ。二人には俺が行けないこと言ってあるから。じゃね」
 講義練の前で落ち合おうと告げておきながら出会った頭にこういうことを言う太田に呆然と驚愕と不安と焦燥と憤怒と、まあいろんな感情を抱えつつ、僕はキャンパスを後にして、最寄りの駅に向かいました(大学はその駅から4分ぐらいの距離にありました)。
 駅の北入口付近で冬美が待っていました。冬美は肩からスポーツバッグを下げていました。
 「柳原、おはよう」
 「あ、はせがわく〜ん!おはよ〜」
 挨拶を交わしたのはいいのですが、内心下宿に帰りたくてたまりませんでした。
 冬美は、疑わしいとはいえ、女です。ただでさえ僕は女の子と接するのが苦手なのに、それに加え真希ちゃんも来るとなると、最早拷問でしかありません。
 「今日……楽しみ…だね…」
 「うん」
 冬美が笑顔で返してきました。それを見て僕はびくっとしました。
 可愛い……。
 「どうしたの?長谷川君。私の顔見つめて…」
 「え」
 「寝ぼけてるんじゃないの。シャッキリしてよ。あと真希来ないんだって」
 「え?ああ……」
 いつもの冬美がいました。顔に微笑みを浮かべていましたが、キッパリとした物言いはいつも通りでした。
 「真希ね、太田君を手伝いたいって言い出してね。真希と太田君って学部一緒で講義も同じのとってるでしょ。なにか力になれればだってさ」
 「そうなんだ」
 肩の荷が軽くなった気がして、心の内で太田に少しだけ感謝をしました。真希ちゃんには本当失礼なのですが…。
 「じゃあ、今日は旅行やめようか……」
 「えー?嫌だよ、そんなの」
 僕は覚悟を決めました。
 「じゃあ……二人だけで行く?」
 「行こうよ!他の二人の分も楽しみましょうよ」
 「ようし……行くかぁ!」
 「その意気だ!男はそうでないと」
 冬美が僕の肩をがしがし叩きながら笑いました。

 僕らはプラットフォームで列車が来るのを待っていました。
 僕は未だにあの笑顔を見たショックが残っていました。なんと冬美は本当に女の子だったのです。それもとびっきり可愛い。あれほど幼さを残しつつ妖艶で愛くるしい笑顔なんて、男だったら出来る訳がありません。もしかしたらあのサバサバした性格は、自分自身の容姿への無知から来るものなのか?だとしたらあまりにも勿体無いよな……ルックスだけだったら真希ちゃんよりロリかもしれんぞこれは……ほぼすっぴんであれか……肉付きいいなぁえろい身体……冬美はちょっと太め…背は小さい…うぐ、服も女っぽいじゃないか……白のTシャツに緑のキャミソールを重ね着して、下はスリムジーンズかよ……普段は男モノのパーカーを着ているのも稀じゃねえのによ……オゲェ、胸でけぇ!Dはあるぞ……。
 「ジロジロ見てんじゃないよ」
 「あっ」
 「私は別にいいけど、真希とかにそういう眼向けてたら、気持ち悪がられるよ」
 冬美が呆れ気味に微笑みを返していました。それで僕は我に帰ったのですが、冬美の髪が栗色のショートボブに変わっているのに気づき、僕は更に混乱してしまうのでした。まさに僕好みの髪型だったのです…。
 「髪…切ったんだ…」
 「あ、気づいてくれてたんだぁ、うれしい〜。長谷川君ってそうゆうの無頓着かと思ってたんだけど、ちゃんと気づいてくれてるんだ」
 「え、や、さっきまで気づかなかったんだけどね……」
 「なんだ、ガッカリ」
 なんだか恋人の会話みたいになってきました。僕は冬美とは今回できるだけ距離を置いていこうと心に決めていたので、あまり喋らないようにしました。

 列車が来て、僕らはそれに乗り込みました。早朝だったので乗客もまばらで、僕らの乗った両には僕ら以外いませんでした。僕と冬美は向かい合って座りました。
列車が発車すると僕らは沈黙しがちになってしまいました。
 「……つまんない」
 「え、なにがぁ」
 「なにがぁ、ってあんたねぇ、こんなにつまんない男だとは思わなかった」
 「え、なによそれ」
 「なによ、って自分で気づきなさいよ。私と全然話さないでさ」
 「ええ?」
 「楽しい旅行よ?楽しくない」
 「ああ」
 「もてなしてよ。私を、ええと、恋人であるかのようにさ」
 「まさかぁ。ヘッヘッ」
 「馬鹿野郎。死ね」
 冬美が本を読み始めました。
 「初心者でもわかるけいざいがく入門……?お前経済学部生じゃねえのかよ」
 「……だってわかんないんだもん」
 「うわぁ。お前馬鹿か」
 「うるせえ。教養が楽だったのがまずかったんだよ」
 「バ〜カ」
 「私に教えてみろよ」
 「残念。わたくしは文学部生です」
 「……」
 「お?泣くのか?ヘッヘッ」
 そのうち僕も本を読み始めました。
 「何読んでるんだよ」
 「ハルキ・ムラカミだよ。日本文学を学ぶ者にとっては基礎教養だね。基礎の基礎よ」
 「村上春樹ってセックスの描写上手いよね。情緒的な興奮がある」
 「え……ま、まあ……」
 僕はこんな身もふたもないことを言う冬美に少々戸惑いを感じました。冬美は普段はセックスの話はしないのですが……。
 「長谷川君ってエロゲとかするの」
 「え?なんだよいきなり」
 「いや、気になっちゃって」
 「しないよ」
 「ふ〜ん……じゃあオナペット何?私?」
 「……〜〜〜〜!!」
 僕は絶句してしまいました。
 「顔真っ青だよ」
 「…やめろよ。そんな話」
 「わぁ、怖気ついた。私をウブの女だと思って。脳内痴女をなめるんじゃないよぉ」
 僕らはそのうち、えっちな話題にしか興味が無いことに気づきました。十代の終わりの年頃でしたから、もう煮詰まってこういうことにしか頭が無かったのです。
 「冬美って処女喪失したの」
 「まだ」
 「えっちしてないんだ。艶っぽいのに」
 「え」
 冬美が目を丸くさせていました。
 「私が艶っぽい?そう見えるかなぁ」
 「うん。見える見える。男の割には」
 「…長谷川君はどうなのさ、したことあるの」
 「俺?俺も…まだ」
 「私の事想像しながらオナニーしてるんでしょ?」
 「やめろよ……してねえよ……」
 「うふふ……」
 「つまり、俺ら二人には恋人はいないと」
 「なんでそういう話になるのよ」
 「飛躍してたか」
 「論理的には破綻してるけど…結論はあってる」
 「へッ、素直に彼氏いないって認めればいいのによ」
 「…むう」
 「あ〜あ、セックスしてえ」
 「……私としてみる?」
 「冗談だよ……」
 ゲスな話題だと妙に気が合ってしまいました。僕も結局は結構喋っていました。冬美も息を合わせてくれて、移動中はそれなりに盛り上がりました。

 小樽駅に到着すると、僕らは歩いて小樽運河沿いの某ホテルへと向かいました。そのホテルは温泉宿風で、僕はその和風チックな雰囲気をすぐに気に入りました。冬美も気に入っていたようでした。僕らはチェックインをして客室に行き荷物を降ろしました。
 「くたびれた〜。汗かいちゃったなぁ……わ、腋汗すごい」
 「……」
 「私先にシャワー浴びたいなぁ、いい?着替えもしたいし。それから観光にいきましょうよ」
 「え?ああ……どうぞ」
 冬美が支度をしている間、僕は車内での冬美との会話を、頭の中で何度も反芻させていました。どうやら僕は、普段では絶対に聞けない、冬美のいままでの放埓(言ってしまえば、すけべ)な言動に、呆れと同時に愛おしさをも感じ始めたようなのです。こいつは困った……とその時は思いました。
 「俺、冬美のこと、好きになりかけてるかもしんねえや……頭が変になっちったか」
 と独り言をつぶやいてしまうほど、僕は困惑していました。そしてペニスが半ば勃起しているのに気づき、苦笑してしまいました。
これからどう過ごせばいいんだよ……。
 「はせがわくぅーん」
 浴室から声がしました。
 「はい、なんですか」
 「私着替え忘れちゃった〜。でも取ってくるの面倒くさいからさぁ、悪いけどお願い?」
 「ええ?荷物漁っていいのかよ」
 「いいよ。でも上着だけね。下着はいいから。長谷川君の好みで選んでいいよ、っていってもあと1〜2着しかないんだけどさ」
 僕は適当に選んでから浴室に向かいました。
 「柳原さん。持ってきましたよ」
 冬美が浴室のドアを開けました。冬美は身体にバスタオルを巻いていました。
 「ありがと〜」
 僕はそのとき、冬美の胸のふくらみを確認することが出来ました。
お椀型で、ぷにゅうと柔らかそう、乳首がツンと斜め上を向いていて……って、げぇ、乳首勃起してやがる!
 「冬美お前…」
 「あ、私のカラダ見てんの?やらし〜。長谷川君変態〜」
 僕は堪らなくなり、冬美に着替えを渡すと逃げるように畳居間へ戻りました。あああ、どうしよう、もう駄目だ……我慢できるのか俺は?

 快晴に恵まれ(むしろ眩しすぎるぐらい)、市内観光は非常に楽しいものでした。
運河沿いの小樽倉庫群を見ては「私ああいうドッシリした感じダイスキ〜」と冬美ははしゃぎ回り、ロマンチック街道を歩きまわっては「ああん、ろまんちっくぅ〜」とうっとりした表情を見せていました。いずれもサークル内でみせる雑な態度とはかけ離れています。
 「カップル多いな…」
 「きゃ、私たちもそう見られてるかなぁ(と言いつつ手をつなごうとする)」
 「(冬美の手を払いつつ)…嫌だなぁ、でも見られてるだろうなぁ」
 「いいじゃん?何でよ?こんな可愛い女を側に連れてさ、男たち悔しがるぞぉ〜」
 「自分で言うなよ…ジョークだとしても…お前は性格がブスだ」
 「何よそれ!サイテェェェ!」
 冬美が僕の頬をぴしゃりと叩きました。
 「イテえ!だから言わんこったねえ!マジにうけとるんじゃねえよ!」
 「性格も美少女だってこと証明してやる」
 「…やれやれ」
 数分後に冬美はソフトクリームをひとつ持っていました。
 「食べろ」
 「は?」
 「食べろや」
 「柳原の分は?」
 「無えよ」
 「なにぃ?」
 「私あなたの為だけに買ってあげたんです。私いらないもん」
 「…不器用だなぁ、最初からそう言えよ」
 「…お腹減っちゃった」
 「どっちなんだよ!」
 「でも私いらないもん」
 「わかったよ。後でもう一本俺が買ってやるからさ、まずは食べさせてくれ」
 冬美はぶっきらぼうにソフトクリームを僕の口元に突き出しました。
 「…」
 「…なめろってのか?」
 「…口移しする?」
 「わかったよ…」
 僕がなめようとすると、冬美はソフトクリ−ムを、僕の顔に押し付けるようにしてひしゃげました。
 「きゃあ!ごめん!力みすぎたらこうなった」
 「…」
 「わざとじゃないのよ!ホントよこれ!ねえ…信じてよお…」
 「わかった、信じるよ」
 僕は顔を拭き、ソフトクリームを買うと、冬美に手渡しました。

 観光を終えホテルに戻ると、時刻は午後六時をまわっていました。
 「小樽いいところだったな、札幌にしか居なかったから判んなかったけど」
 「楽しかったね。でも服好きなの無かったなぁ、残念」
 「ファッションとかこだわりあるんだ」
 「そりゃあ、女の子だもん」
 部屋に入ると浴衣が二着用意されているのを発見しました。コンドームが添えられていたのには笑いました。
着替え終えた頃に食事が運ばれてきました。据え膳だったので、向かい合って食べることにしました。冬美に見られながら食べるのが物凄く恥ずかしく感じられ、僕はしばらく黙りこくって白飯を口にほうりこんでいました。
 「ねえ」
 冬美が僕に尋ねました。
 「うん?」
 「キスしたことある?」
白飯を噴き出してしまいました。
 「なんだよいきなり」
 「…あるぅ?」
甘ったるい声で尋ねてきました。
 「ないよ…」
冬美はニンマリ笑顔をつくり、
 「私はね…あるよ」
 「はあ」
 「高校時代に一回。ちゅぱ、って。あっという間だったけど」
 「…」
 「男の人の唇って意外と軟らかいのよね。それでしっとりしてるの」
 「…」
 しばらく沈黙が続きました。
 「キスしたいって思ったことある?」
 沈黙を破ったのは冬美でした。
 「…何度も」
 「したくない?」
 「…したい」
 「じゃあ、しましょう」
 僕は言葉を失いました。適当に言葉を返していたら意外な展開になっていたのですから。
 「どういうことだよ」
 「私があなたにキスしてあげるってこと」
 「なんでそんなこと思いつくんだよ」
 「それぐらいのことしないと良い思い出が出来ないんじゃない?あなたにとっての」
 「もう十分出来てるよ」
 これは本音でした。
 「じゃあ、私がもっと素敵な思い出にしてあげる」
 僕は冬美の顔を見つめました。冬美の顔から笑みが消えていました。頬はほんのり紅く、眼は潤んでいました。
 「ねえ…お願い」
 「…わかった、キスしていいよ」
 「ありがとう」
 冬美がにじり寄ってきました。
 僕の心臓はバクバク鳴っていました。
 冬美は据え膳を側に除けると、僕の右頬に唇を寄せ、口づけしました。
 ちゅっ。
 「…うふ」
 僕は変な声を出してしまいました。僕のペニスは痛いほど勃起していました。
 「目を閉じて。それとも私の顔みてる?」
 「え?」
 「んっ……」
 冬美は彼女の唇を僕の唇に重ね合わせました。
 ちゅぷ。
 冬美は、僕の唇の感触を確かめるかのように離しては重ねるのを繰り返しました。接吻をする度に彼女の鼻息がかかりました。僕は目を閉じていました。
 「もういい?」
 しばらく接吻した後、冬美が僕の耳元で囁きました。
 「あ、ああ、ありがとう…」
 僕は冬美の顔を間近で見つめました。冬美も僕を見つめていました。汗にまみれ、頬は紅潮し、呼吸は小刻みになり、いまにも泣きそうな表情でした。
 「…ごめんなさい。やっぱり変だよね、いきなりキスって」
 「いや、とっても良かったよ…」
 冬美は僕から目をそらし、浴衣の乱れを直しました。
 「…汗かいちゃった。お風呂入ってくるね」
 冬美は急ぐように部屋を出ていきました。
 「おい、タオルは」
 冬美は戻ろうとしません。僕は冬美が帰ってくるまで部屋で待つことにしました。

 冬美がなんであんな大胆なことをしたのか、僕はそのときには理解できませんでした。ですが、僕の方に気持ちの変化が起こっているのは解りました。あの冬美の泣きそうな表情を見てはっきりしたのです。
 冬美が好きになっちゃった…。
 僕は冬美について考えている内に昔の事(一年程前の事ですが)を思い出していきました…サークル新歓コンパで、パッと見で一番可愛かったのって、実は冬美だった気がする。でも素行があれだから、もうその頃からサバサバしたヘンな女って印象があったんだよな。って待てよ、俺が一目惚れしたのって、実は冬美だったような……っていうかそうだよ。俺は冬美に一目惚れしていた。でも俺がその時(まあ今もだが)キモ男だったのとあいつの開口一番の言葉とかいろいろあって、俺の恋はすぐに終わったんだっけ……。ああーっ、俺はそれから忘れようとしたんだけど、どうしても忘れられなくて何回か冬美をオナペットにしてるぞ。でもある時期からすっぱり忘れちまうんだよな……なんでだろう……いや違う、忘れたんじゃない、冬美とチームを組めたから、それで満足したんだ。俺は冬美を彼女にするという希望よりも、冬美とチームメイトになれた現実に満足したんだ……。そうしたら昔のモヤモヤを取り払うことができたんだ。
 でも、尚更謎は深まるばかりだ。どうして冬美は俺にキスしたんだ?なんでなんだ。俺のことが好きだから?まさか。じゃあ、もしそうだとしたら、なぜ俺のことが好きなんだ?

 午後8時頃近く、部屋に布団が二つ敷かれた後、冬美が戻ってきました。
 「ただいま」
 「おかえり、風呂気持ちよかった?」
 「外でブラブラしてた」
 冬美を座卓の側に座らせて、出来るだけ話をするように努めました。ですが今度は冬美がダンマリしてしまい、話をひろげることが出来ませんでした。TVを観たり、次の制作計画を打ち明けたりして時間を潰そうとし、なんとか午後9時まで過ごすことができました。
 「しょうがないや、もう寝る?」
 「うん」
 僕は布団に仰向けに寝ころがり、うーんと背伸びをしました。
 「柳原もねころがれよ」
 「ありがとう」
 「えひぅ、気持ちいいぞ、なあ?」
 「……」
 ようやく冬美も僕の側を向くようにして、横になりました。
 僕が横目で一瞥すると、白くてむっちりした胸の谷間がみえました。視線を大腿部に向けると、浴衣の下は乱れていなかったので肌を拝むことは出来ませんでした。
 「もう電気消す?」
 「うん」
 「おやすみ」
 「おやすみなさい」
 電灯のコードを引き、灯りを消しました。僕は息を殺して冬美の様子を伺うことにしました。僕は寝返りをうつ振りをして冬美に背を向け、怪しまれないようにしました。冬美も息を潜めているのか、なかなか寝息をあげません。そうした状態が続いて15分ぐらいたったでしょうか、かすかに嗚咽が聞こえはじめました。冬美が泣きはじめたのでしょう。僕は聞き耳をたてました。
 「ぐす」
 最初は洟をすするだけでしたが、だんだんと激しくなっていきました。
 「……ごめんね……長谷川君……」
 冬美がかすれた声でつぶやき始めました。どうやら僕が寝ているものだと思って、僕の気づかないうちに想いを打ち明けようとしているらしいのです。
 「…普通に告白とかにすればよかったのに……私、あなたの気持ち考えないでキスしちゃった……ぐす……私ってとっても馬鹿だよね……長谷川君、絶対軽蔑してるよね私のこと……ぐす……えっちなことすれば男の人は喜ぶと思ったのに、長谷川君は引いちゃった……長谷川君ってもう大人だったんだね……とっても良いって言ってくれてありがとう……ぐす……でも私……実はキスすらしたことなかったんだ……ひっく……でも長谷川君……私のこと気遣ってくれてる……私はそんな優しい長谷川君がとっても大好きなのに……ひっく……もう会わせる顔が無いよ……ひっく……」
 そして冬美はさめざめと泣いた後、鎮まるように眠りはじめました。

 僕は頃合いを見計らい、ガバと起きて灯りをつけました。
 冬美も起き上がり、眠たそうに眼をこすりました。平静を装っているようでしたが、眼がとても赤く腫れていましたから、大泣きしていたのはバレバレです。
 「……どうしたの?長谷川君」
 「……冬美」
 僕の声はブルブル震えていました。冬美は勘ぐっている表情をしています。
 「長谷川君……?」
 「……ふゆみぃ」
 「え……?」
 僕は冬美に近づくなり、ギュッと抱きしめました。
 「ぐふ」
 「……どうしたの?いきなり」
 ヤベェ、この後何をするべきか、全然考えてなかった……!
 「うう」
 「……苦しいよ」
 僕は勇気を振り絞ろうと思いました。僕は冬美の耳元に口を寄せました。
 「うう……冬美ぃ」
 「……え?なに?」
 「僕は」
 「え?僕は?なんなの?」
 「僕は……す……」
 「え?」
 「す……」
 「なんなの?」
 「……僕はすけべだよ」
 何言ってるんだよ俺はよ!これだから俺はキモ男なんだよ!
 「……長谷川君。ちょっときつい」
 「ああ。ごめん」
 僕は冬美の肩に手を置いて、冬美を見つめました。
 「何考えてるのよ」
 「……これでイーブンだろ?」
 「え?」
 「君はえっちで、僕はすけべだ」
 「……どういうこと?」
 「えっちなことされて、喜ばない男はいないよ」
 「……もしかして、聞いてた?」
 僕はまた返答に詰まりましたが、ここはすぐに答えるべきだと感じ、わずかの間をおいてから首を縦に振りました。
 「……最悪」
 「俺、冬美にキスされて……ボッキしたよ」
 僕もまた最悪でした。
 「……ぐす」
 冬美が泣きだしました。僕は焦りました。どうすればいい……!
 「泣くなよ」
 「……ねえ、長谷川君」
 「うお?」
 「私のこと…ぐす……馬鹿な奴って思わなかったの?」
 「え、や、あーっ……とても可愛いなぁ、って思ったよ」
 「……ホントに?」
 「うん」
 「……」
 「それに、まあ、俺の事想ってくれてたんだなぁ〜って、嬉しくなったよ」
 「……ひっく」
 「ありがとうな、俺、女に縁無いって思ってたけど、お前のおかげで希望が持てたよ」
 「…長谷川君」
 「うお?」
 「こっちこそありがとう」
 「え?」
 「私の事、慰めてくれてるんだよね……」
 お?この状況は……重要な決断を迫られているのでは?
 「いやいや、お礼言いたいのはこっちの方だよ」
 「え?」
 「俺はお前が好きだって事を、お前は俺に教えてくれたじゃないか」
 この先、一生言わないであろう失笑フレーズを、僕はサラリと言ってしまったのです。
 ですが、冬美はその言葉を聞き、感に堪えていたようでした。大粒の涙がボロボロ溢れ出ていました。
 「はせがわくぅ〜ん」
 冬美はワンワン泣きながら僕の胸に抱きついてきました。物凄い勢いだったので僕はもう少しで受け止めきれないところでした。そして、みぞおち辺りにむにゅうとした感覚を受けました……嗚呼、冬美のおっぱいが……俺の身体に……!ふ、触れている……っ!
 冬美は僕の胸に顔をうずめながら泣いています。僕の浴衣は涙でぐしょぐしょでした。
 しばらくそのままにしているにつれ、股間からとんでもない痛痒感を感じました。ペニスが怒張していたのです。
 「さっきからなんかお腹にあたってるんだけど」
 落ち着いてきたらしい冬美が怪訝そうに尋ねました。
 「……ボッキしてるみたい」
 「きゃっ……やっぱり?」
 「うん……どうしよう、射精しないとおさまりそうにないよ」
 「…ゴムあったっけ?」
 「ある。女将さんが用意してくれた」
 「…してみる?」
 「え、なにをぉう?(筆者註…この時はニヤニヤが止まりませんでした)」
 「…えっち」
 「え?俺セから始まる単語しか知らないなぁ、へッヘッ」
 「…セックスしよ」
 その言葉を聞くだけで僕は射精しかけました。

 僕らはまずキスをしました。
 「冬美の唇って軟らかくて、しっとりしてる」
 「……そうかな、汗でべたついてるけど」
 「冬美の汗はおいしそうだよ、舐めとりたい」
 「あなた汗フェチ?」
 冬美はクスクス笑いました。本当は本心で言ったのでは無いのですが、勢いに任せてしまいました。
 ちゅっちゅと接吻をしていると、冬美も温まってきたようで、頬がほってりとして、眼がとろんとしていました。
 「……冬美」
 「長谷川君…うふふ」
 ちゅぷ。ちゅっ。ちゅう。
 「ふゆみ……」
 「首筋舐めてよ、汗もついてるよ」
 「え、そう……」
 仕方ないので、舌を冬美の首筋にはわせつつ、付着している汗を舐めとりました。
 「あ……」
 「感じてるの?」
 「うん」
 「……次はどこ舐めてほしい?」
 「腋……かな」
 「うん」
 「こそばゆいところって、感じやすいと思うの」
 「ああ…」
 「それに私、腋汗すごいんだ。長谷川君なら喜んで泣いちゃうんじゃない?」
 「ええ?…へへへ。そうかなぁ……ははは」
 「ちょっと待ってね。私下着つけてないんだよ」
 冬美が浴衣の上をはだけました。おっぱいがぷるんとゆれました。茶色の乳首がピンと勃起していました。僕は失神しそうになりました。
 「…ぐう」
 「長谷川君、私のおっぱいどう?」
 「すごいよ」
 「えへへ。まだおあずけ〜」
 冬美は仰向けになり腕をあげ、腋窩を見せました。
 「どうぞ」
 「じゃあ、いただきます……」
 僕は冬美の上にまたがり、腋に顔を近づけました。
 さすがに冬美の腋といえども、腋毛の剃り残しはありましたし、刺激臭も感じ取れました。ですが思わず仰け反るほどではないので、ここは我慢して、舌で腋窩をなぞりました。
 「あん…」
 「…うぷ」
 ちゅる。ちゅる。
 「長谷川君って上手」
 「そうかな?」
 「優しいんだけど、やわじゃなくて…変態って感じがするの」
 「ああ、ははは。ありがとう。冬美も変態だよ」
 しばらくは腋やみぞおち、臍の辺りに口づけしたり、舐めたりして冬美を温め続けました。
 「…長谷川君」
 「うん?」
 「おっぱい、そろそろいじりたいでしょ?」
 「うん」
 「どうぞ。好きなだけいじってください」
 僕は冬美のおっぱいを目の前にして、思考を停止していました。ああ…
 「冬美…」
 「やだ。長谷川君、泣いてるの?涙でてるよ。おっぱいに垂らしちゃってるし」
 「わ、ホントだごめん、うぉ、洟も出てきた。やべぇ止まんねえ……ぐす」
 冬美は起き上がって、ティッシュで僕の洟を拭きとってくれました。
 「すっかり鼻声だね」
 「感激しすぎちゃった」
 「うふふ…可愛い」
 「…冬美に言われるなんてな」
 「少し休む?」
 お茶を飲んだり、深夜放送を観たり、雑談をしたりしながら気持ちを落ちつけようとしました。冬美は上半身裸のままです。
 「恥ずかしくないの?」
 「私、あなたに腋なめさせたのよ?おっぱい見せるぐらい、恥ずかしいわけないじゃない……でもちょっと恥ずかしいかも」
 という若干飛躍した告白に、僕の気持ちは動揺し、鎮静にさらなる時間を要しました。
 「どうしよう、初体験失敗するんじゃないか」
 「それは私も同じ。大丈夫よ、二人で協力して、やりとげましょう」
 「ええ?」
 「日頃から私とパートナー組んでるでしょ」
 「ああ…そうだったかな?」
 「私、あなたを導いてあげたいの」
 「どこに」
 「あ、あの…気持ちいい射精に」
 「はあ」
 「あ、そうだ。ひとまず私の手で射精させてあげようかな」
 「え、手コキ」
 「うん。私してあげるよ。一度精液出しちゃえば少し落ち着くんじゃない?」
 冬美は僕の股間に手をあてがいました。そして揉む動作をし始めたのです。
 まあ、一度出してしまった方が確かにいいかもしれないな……。
 「してよ」
 「じゃあ、おちんちん出して」
 僕は浴衣の下をはだけて、トランクスを下ろしました。勃起したペニスは天頂を突いていました。
 「…どうかな」
 「大きい」
 「これで普通のサイズなんだよ」
 「ふうん……皮かむってる」
 冬美は包皮を剥いて、亀頭を露出させました。
 「あん…」
 「長谷川君もいやらしい声だすんだ」
 恥垢がうっすら付着しているのを発見しました。
 「あ、洗ったのに、もう付いてる」
 「舐めとってあげる」
 冬美は亀頭冠に舌を沿わせ、恥垢を舐めとりました。
 「あ…気持ちいい…けど気持ち悪い」
 「やっぱり口でするのもいいかな」
 「…うん」
 「おっぱいでもやってみる?」
 「…できれば」
 「わかった」
 冬美は、右手で陰茎をしごきつつ亀頭を含み、左手で陰嚢を揉みました。とっても優しい感じで、冬美もこんなことができるんだと、ちょっぴり感激しました。その後、冬美はいったん口を休め、おっぱいに陰茎をはさんでしごきはじめました。
 「くう…」
 「う〜ん、私のDじゃちょっときつかったか」
 「ごめん、もうイクかもしれない」
 「あ、射精するときは教えてね。私、長谷川君が射精するの見てみたいの」
 「ええ?恥ずかしい」
 「うふふ……」
 ぬちゅ。ぬちゅ。ぬちゅ。
 「冬美ぃ、頭がおかしくなりそうだ〜」
 「カウパー氏腺液……ええと、我慢汁っていうの?いっぱいでてる」
 「やべ、もうイク。イク。でるぅ」
 「わあ、どきどきするなぁ。ピッピッって出るの?ピューッって出るの?」
 「…場合によるよ……」
 「精液が尿道を遡上するのってどんな感覚なの?」
 「…言葉に出来ないほど…気持ちいい……慣れるとそうでもない」
 「ええ〜それじゃよくわかんない」
 「女にはわからないさ、あの快感は」
 「潮吹くときのオルガスムスとどっちが気持ちいいのかなぁ」
 「……ひゅえいお?」
 「あはは。長谷川君、ろれつまわってないよぉ」
 「(冬美の異常性に気づく)…俺を搾り取らないでぇぇぇ」
 「一滴残らず搾り取ってやろぉ。でも残念だなぁ、私のおまんこにぶちこめないまま終わっちゃうなんてねぇ」
 「……ひょほほほ……」
 「じゃあ大人しくしなさい」
 射精を予感しました。
 「…あひん」
 「…」
 冬美は黙ってペニスを左手でしごき続けます。頬をマッカに、眉間に皺を寄せ、口をとがらせて、時おり手を休ませ額を拭いながら……。
ついに、亀頭の鬱血が限界に達しました。
 「冬美!俺出すよ!」
 「…きゃっ!」
 僕は精液を放射しました。
 
 僕は虚脱感を感じると同時に、恥ずかしくてたまりませんでした。両手で顔を覆いました。
 「ううう…」
 「…ドピュピューッ、って出た…」
 僕は冬美を見ました。なんと冬美は、顔面で精液を受け止めてしまっていたのです。
 「ご…ごめん!」
 「…ちょっとショック」
 「ごめんよ!」
 「いや、顔射されたのがショックじゃないのよ。射精した後のあなた、とっても気持ち良さそうだった…」
 「…ひ?」
 「でも、あなたの目、とっても切なそうだった」
 「ああ」
 「男の人って、射精した後、切なくなるの?」
 「ん、まあ、切なくなるより、空しくなる…」
 「どうして」
 「溜まったものを吐き出すと、からっぽになるんだよ」
 「胸が満たされたりしないの?」
 「うん。女の子とは違ってね…男はオナニーの方が楽しいんだよ。自分自身のために吐き出すんだから。満たされるんじゃなくて、スッキリするんだ。でもセックスだとね、相手のために吐き出さないといけないだろ?だから満足感の代わりに疲労がたまるんだよ。…多分」
 「…そうなんだ」
 冬美は側にあったティッシュを取ると、顔についた精液を拭い取りました。
 「…落ち込むなよ」
 「ありがと。精液なめたかったんだけどな…なめられないや」 
 冬美は浴衣の上を着直し、お茶を飲み始めました。僕もペニスを拭いてからトランクスを履き、座卓の上においてあったけいざいがく入門を流し読みしました。
 「…簡単じゃないの、これ」
 「大学になると具合が違ってくるんです」
 「夜警国家とかケインズとか、受験でもやったな」
 「受験のときはさっぱりだったわ」
 「受験のときも、だろ」
 「…むう」
 「…へえ、楽しそうじゃん、俺もなんか参考書でも読んでみようかな」
 「長谷川君って頭いいのね」
 「そりゃあ、かつては東京目指してたからね」
 「うわ、諦めたんだ。学力足りなくて」
 「……ぎい」
 「長谷川君も頭悪いじゃん。でも私単願で一発だからね。ハセガワ君よりは頭いいかも〜」
 「俺だって現役だよ」
 「でも第二か第三志望校合格でしょ。や〜い、落ちこぼれ」
 「…え〜い、大学生は学歴じゃねえ。どんな4年間を過ごしたかなんだよ!東大、京大、一橋、早稲田、慶応?あと今小樽にいるから樽商(小樽には国立の商科大学があるのです)って数多あるがよお、そんなの関係ねえや!むしろそんなの気にする奴はどんなエリートでもクズだ、クズ」
 「へ、負け犬の遠吠えだあ、やーいクズ」
 こんな感じで雑談をしていると、僕はまた催してしまいました。
 「冬美」
 「なあに?」
 「またしたくなった」
 「え、ホント?」
 「でも、まだボッキしてないよ」
 「…じゃあ今度はゆっくり楽しみましょ。さっきは初めてだったから、急いじゃったのかもね」
 「あと、冬美」
 「うん?」
 「前戯で汗を舐めさせるのはやめてくれ」
 「…え?」
 「俺、汗フェチじゃないから」
 「……!!」
 冬美の顔が紅潮しました。
 「…そうなんだよ」
 「……じゃあ、私の腋汗舐めてくれたのって、あれ…」
 「うん、嫌々」
 「きゃああああ!私どうしよう!恥ずかしいいい!」
 「いや、でも甘くておいしかったよ(筆者註…しょっぱかったです)」
 「ファーストキスよりもひどいことしちゃった…」
 「いや、まあ俺のこと思って、身を切ってくれたんだろ?」
 「…ううん、私、腋汗フェチなの」
 「…そうなんだ」
 「長谷川君汗フェチだと思ってたから、腋汗も好きだろうと思って…」
 「…」
 「腋毛剃り残しあった?」
 「何本かね」
 「私ね、実は腋毛フェチでもあるの。もう告白する」
 「ええ?」
 「でも長谷川君、腋毛見たら引いちゃうだろうから、今日に備えて剃ったんだ」
 「ああ〜」
 「いつもは生やしたままにしてるの。あと銭湯とか温泉とかで、他の人が生やしているのを見たら、私興奮しちゃうの」
 「男の腋毛は?」
 「気持ち悪いって思う」
 「……わかんねぇなあああ!」
 「ごめん!今も結構汗かいてる!シャワー浴びて汗流してくるね」
 冬美は浴室に飛び込んでいきました。

 冬美が浴室から出ると、僕は立ち上がって冬美の側に行きました。
 「いい匂い。冬美のこともっと好きになっちゃいそう」
 「そんなこと言われると……きゅんってしちゃう」
 「なんだよそれ」
 「うふふ……」
 「もう一度、キスから始めようか」
 「うん」
 僕は冬美の腰に手をあてがい、目をみつめました。
 ちゅ。
 「……」
 「うぐ…」
 じゅる。
 「……」
 「うぷ…」
 唇を離すと、唾液の糸が引いていました。
 「冬美…」
 「さっきから胸が苦しくて…どうしよう、下びしょびしょだよ」
 「もう温まったんだね」
 「…うん、ほてって来ちゃった…シャワー浴びたばっかりなのに」
 「……冬美って汗っかきなんだね」
 「ごめんなさい」
 「俺、汗フェチになりそうだよ、汗だくの冬美…とても可愛い。甘酸っぱい匂い…女の子の香りだぁ」
 「…変態」
 「お前もだろ」
 冬美は一旦口をつむぎ、それから僕の目を見つめ、一呼吸置いてから言いました。
 「長谷川君……私のおまんこ、舐めたい?」
 「うん」
 「…でも汗かいちゃったから、臭うかもしれないけど、いいの?それとも甘酸っぱいかしらね?」
 「それは…」
 「じゃあ、もう一度手入れしてくるね」
 冬美は浴室に戻りました。
 僕は冬美の裸を思い返しました。程よく脂肪がついていて、日本人にしてはグラマラスでした。なんだかぷにぷにしていて暖かそうで、母性すら感じさせる、あのなめらかなバストラインを思い描く度、僕は興奮しました。そんなむっちりしたおっぱいを…ええと、冬美を、俺は抱けるんだ……あの身体を……抱きながら……俺は射精するんだ…中出し……いやゴムがあるから膣内射精は無理だな、彼女のためだ。膣内射精は結婚してから…子供をつくるときに……結婚?結婚するのか?いや待て、早まるな彼女の意思は尊重するべきだろう。冬美がそこまで本気かどうかはわからんからな。仮だとしても冬美は俺の恋人にはなったが、だからといって俺の妻にはなるだろうか……夫婦になれば後ろめたさを感じる事無く性行為に没頭できる……誰にも邪魔されることのない愛の営みを……うふぅ…ここは慎重になるべきだ!そうさ、焦ってしまったらこの一遇千載のチャンスを逃してしまうだろう!だが、裏を返せば、慎重になりさえすれば冬美は完全に俺のものに……ぐふ……
 「ハセガワ君。何笑ってるの」
 「え!や、あーっ、ううお」
 「よからぬこと考えてるんでしょ」
 「それはぁー、ああう」
 「うわー、ズボシじゃない〜」
 「あの、どう抱こうかなって…」
 「いやらし〜。でもホントはもっといやらしいこと考えてたでしょ」
 「ぎく」
 「うわ、また的中しちゃった。…じゃあ……私と結婚してやりまくりたいって考えてたでしょ!」
 「ぎゃあ!女の勘ってやつかよ!」
 「あはははは!長谷川君ってホント単純だよね〜」
 「…勘弁してくれ」
 「長谷川君変態〜」
 「俺は真剣だったんだよ」
 「私なら別にいいよ」
 「え?」
 「私、喜んであなたのペットになります」
 「…!」
 「でも今の長谷川君じゃ全然駄目だな〜物凄く情けないもの。もっとかっこよくなって、勉強もできるようになって、女の子とセックス抜きのお付き合いが出来るようになって、一人前にお金稼げるようになったら、私、あなたと結婚します」
 「なんだよそれ」
 「長谷川君勿体ないよ。澄ましていればかっこいいのに。喋っていると私のお父さんよりダサいもの。いっとくけど、それ非モテ男子でしか無いよ?…まあそんな長谷川君も大好きなんだけどさ…それは私の好みだから……他の子に対しても気を使いなさいよ」
 「泣きそうだ(俺かっこよかったの…?信じられん)」
 「私が思うに、今あなたには癒しが必要だと思うの」
 「…ん?」
 「手コキ良かった?でも疲れちゃったんでしょ?」
 「まあ…な」
 「私、わかったの。女はセックスに快楽を求めるけど、男は快楽じゃなくて、癒しを求めるんだって。女は本来その手伝いを精一杯するべきなの。…私今まで逆だと思ってた」
 「ああ…そうかな?(それは…風俗じゃないのか)」
 「だから、あなたを癒してあげる」
 「ええ?」
 「いままで溜めてたんでしょ?その思いをぶつけてよ。私受け止めてあげるから」
 「冬美ぃ?」
 「男は癒しを得ると、一皮剥けて、好漢になるのよ。…女だったら痴女になるんだけど」
 「…なるほど……よくわかんない…」
 「さあ、私の胸に飛び込みなさい!そして気が済むまで揉みなさい、舐めなさい」
 僕は冬美を凝視しました。冬美は浴衣の上をはだけたまま僕と向かい合わせに座っています。自分でも言っていることが恥ずかしいらしく、顔は真っ赤で、僕に目を合わせず、俯いていました。
 「…いいのか」
 「…待って、灯り消して」
 「ああ(豆電球のみ点けておく)」
 「まだ明るいよ」
 「俺、冬美の裸もっと見たいもの」
 「…わかった、いいよそれで」
 「…緊張する…」
 「怖気づいてるんじゃないわよ…」
 僕は彼女の乳房を鷲掴みました。乳首が掌に当たりました。揉まずにそのままにしていたら、柔らかかった乳首が固くなってきました。
 「乳首がこりんこりんってなってる」
 「……変なこと言わないで」
 冬美の息が荒くなっていました。下唇を噛んで堪えているようです。
僕はおっぱいを揉み始めました。
 「……ごく」
 「んん…」
 「すべすべしてて、むちむちしてる」
 「やめてよ…恥ずかしい…うう」
 「恥ずかしい?…すっぽんぽんであんなこと言っておきながらよ…」
 「長谷川君やめて…あう…」
 「俺だって冬美を気持ちよくさせたいよ」
 「…くう」
 「俺だって冬美を癒したいよ…冬美をもっとすけべにしたい」
 「…はせがわくぅん…激しいよ…」
 「…」
 「あん…ああ…」
 「こうしてやる」
 爪を立てて乳首を抓りました。
 「いやん、痛いっ」
 「ごめん」
 「優しくしてよ」
 早くも童貞の限界に到達してしまったようです。
 「どうすればいい、わかんなくなった、どうしよう」
 「舐めてみて」
 まずは舌で左乳房の乳輪をなぞりました。冬美が微かにのけぞりました。
 「これぐらいで大丈夫?」
 「あ、うん…大丈夫だけど…頭の中がスパークしちゃった」
 「じゃあもっといやらしくしてもいいね?」
 「え?」
 「では…」
 「ちょっと、はせがわく……あ、ああ…」
 右乳房を揉みしだきつつ、左乳房の乳首を口に含み、舌で転がしました。乳房の甘酸っぱい味と匂いが僕のこころをくすぐります。冬美は若干慣れた様子を見せていましたが、胸を小刻みに震わせているのが伝わりました。
 「長谷川君…もっと優しく…」
 ぺろぺろ。
 「おかしくなっちゃうよ…」
 乳首を甘噛みしてみました。
 カリッ。ちゅうう。
 「ああん!」
 冬美の腰が跳ねました。
 「ほ、ふふひはんひはほ(お、ふゆみかんじたぞ)」
 「…ハセガワ君、ずるいよ…いっちゃったかも」
 「(顔をあげて)え、いったの?」
 「ま、まあ、ビクってなっちゃった」
 「冬美って感じやすい体質かもね、俺みたいなド素人の愛撫でもすぐいっちゃったもん」
 「…いかされっぱなしになっちゃうかも」
 「あれえ?僕に尽くすんじゃなかったんですか?これじゃあ僕が冬美に尽くさないといけないかもしれないですねぇ、僕も困ったなあ、ヘッヘッ」
 「…」
 「ねえ、今度は優しく撫ぜてあげるから、まんこ見せてよ」
 「…ケダモノ」
 冬美は仰向けになって浴衣の下をはだけました。そして膝を立てて股を開き、手で陰部を隠しました。
 「手をどけてごらん」
 「いやぁだぁ…」
 僕は彼女のむっちりした太腿を撫ぜ回しました。そして頬ずりしました。
 「すべすべしてる…気持ちいい」
 「やめてよ…」
 「自分から見せてあげるって言ったのに…」
 「恥ずかしくなったのよ」
 「冬美らしくないね、灯りも消すように言うしさ」
 膝裏を舐めました。
 「ひゃん」
 「冬美がまんこ見せてくれるまで、やめないからね」
 「いじわるぅ…ああん」
 「甘酸っぱい匂い…味も…」
 「はせがわくぅん…いや…」
 いつの間にか冬美は手を離し、その手で顔を覆っていました。
 恥丘から生えた陰毛(冬美はこの旅行に備えて、ある程度整えていたようでした)に心を揺さぶられかけましたが、ここは冷静になるよう努めました。女陰に顔を寄せ、まずは大陰唇を舌でなぞりつつ、左中指を第一関節辺りまで陰口に挿入し、小刻みに揺らしました。冬美は無言でしたが、腰が痙攣するかのように震えているのが舌と指から伝わりました。僕は指を第二関節まで挿入して、揺れ幅を徐々に大きくしていきます。愛液の分泌が始まりました。膣壁からとろりと指腹を伝って陰口を濡らします。僕は愛液を舐めとりつつ指を抜き取り、膨れ上がったクリトリスを抓みました。
 「ああん!」
 冬美の腰が小さく跳ねました。また絶頂に達したのでしょう。ですが僕は愛撫をやめるつもりはありませんでした。親指と人差し指でクリトリスをこねくり回します。
 「もうやめて!痛い!こわれちゃう!ああ!ああ…」
 冬美の限界が近づいてきたのを予感し、僕はクリトリスをくわえ、吸い上げました。
 ちゅるる。
 「あんっ!」
 冬美は胸を仰け反らせ、それからぐったりして、静かになりました。

 僕は冬美の側に横たわりました。冬美は息絶え絶えに涙をこぼしていました。はだけた胸間は汗でぬらぬらと湿っていました。僕は冬美が落ち着くのを待ってから、話しかけました。
 「冬美ってホントに感じやすくって、しかも泣き虫なんだね」
 「…最低」
 「え?」
 「もっと優しくして欲しかったのに」
 「じゃあそう言ってくれればよかったのに、大丈夫って言うから…」
 「怖かった」
 「え?」
 「いつもの長谷川君じゃなかった、私とても怖くて」
 「…ごめん、でも冬美のまんこ舐められて…俺とっても嬉しかった」
 「それが怖いのよ!」
 「え〜?」
 「男の人ってやっぱり単純だったんだね!」
 「わかったよ…ごめん」
 「何よ!もっとゆっくり楽しもうって私いったのに!気が済むまでとは言ったけどさ、私も初めてなんだよ?あまりにもきつすぎるのよ!ハセガワ君は自分の快楽だけ考えて!最低!もっと気遣ってよ!」
 「怒るなよ…」
 冬美がべそべそ泣き出しました。僕はどうしようもできず、その場を動かずに黙っていました。
  十数分後、冬美が僕に話しかけました。
 「ごめんなさい、怒りすぎちゃった」
 「俺も悪かったよ」
 「…長谷川君、挿入してはいいんだよ?でも」
 「優しくしてって?」
 「うん…」
 「じゃあ、どうすればいい?俺わかんないよ」
 「私もちょっと…」
 「…じゃあさ、とりあえず挿入はしよう。それからどうするか考えよう」
 「なんか間抜け」
 「俺にどういう風にして欲しいのか、それを教えてよ。俺なんとかしてみるからさ」
 「…ちょっと待ってね」
 というと冬美はクリトリスに指をあてがい、静かにこすり始めました。もう片方の指で、浴衣越しに乳首をこねまわします。自分を温め直しているのです。
 「俺コンドームつけるよ」
 僕はトランクスを脱ぎ、勃起しているペニスにコンドームを装着しました。
 「いいよ、来て」
 「いいの?」
 「うん」
 冬美が膝を立てて、股を開きました。僕は起き上がって膝を突き、ペニスをヴァギナにあてがいました。亀頭を小陰唇にこすりつけつつ陰口が更に潤う時期を見計らい、そのまま挿入しました。
 「…痛い!」
 「大丈夫?」
 「ものすごく痛い!動かさないで!」
 灯りを完全に消し、浴衣は着たままで、体位は正常位でした。僕は最初身体を起していましたが、冬美の表情を間近で見たかったので、腕を立て覆いかぶさるようにしました。
 暗闇に眼が慣れると、冬美が頬をぷうと膨らませていたのが判りました。痛みに耐えているようです。                                「どうしよう」
 「痛いのになれるまで…お話でもしましょうよ、ね?」
 「ん?」
 「私たちのこと、もっともっとお互いに知り合いましょう?」
 「恥ずかしいなぁ…」

 「村上春樹読んでたよね?」
 「ああ」
 「何好き?」
 「俺は…ノルウェイの森かな…」
 「私も読んだ、でもセックスのところしか憶えてないな」
 「…最愛を失う事による自己同一性の崩壊とその再生…」
 「何よそれ」
 「レポートのテーマ。ノルウェイの森の主題考察って。テーマは自分で決められるんだよ」
 「ハセガワ君のやってること自体は読書感想文だね」
 「大学生のは複雑なんだよ」
 「…目玉焼きと卵焼き、どっちが好き?」
 「オムライス」
 「ひどいよ、ハセガワ君」
 「じゃあカレーとハヤシ、どっちが好き?」
 「ビーフストロガノフ」
 「ひでえなぁ、確かに」
 「じゃあ、なぞなぞです。パンはパンでも食べられるパンは何でしょう?」
 「…?」
 「答えはパンです」
 「…」
 「…つまんなかった?」
 「…」
 「私ってどう?」
 「どうって何が」
 「男の人から見てどう思われているかなぁって」
 「とっても可愛いくて、真面目で、もろくて、すけべで…嫁さんにしたい」
 「…いきなりだけど、初めてあなたに会ったときのこと、話していい?ちょっと変だけど、私の気持ちをハセガワ君にしっかり説明したい」
 「…ほんとにいきなりだな…どうだった?」
 「新歓コンパのときだったかな…ハセガワ君ものすごくかっこよかったの」
 「…へえ」
 「背が高くてすらっとしてて…でも自己紹介のとき、ハセガワ君、なんていったか憶えてる?」
 「…ジェームズ・キャメロンみたいになって、ハリウッドで百億ドル稼ぐ…だったっけ」
 「それ聞いてドン引きしたわ」
 「…ああ」
 「他の子も、真希とかも引いてたもん」
 「…え?真希ちゃんもぉ?」
 「私のクラスの子達もドン引きよ」
 「そいつらには言うなよ…」
 「そのあとの言動もひどすぎて、もう憶えてないくらいだもん」
 「ああ…」
 「普通ならそこでサークルどころかキャンパスライフも終わりでしょうね」
 「まあ」
 「どうしてそれがあなた、今でもサークルで活動できてると思うの?」
 「どうして?」
 「あなたが馬鹿で真面目で、つくる作品がぶっ飛んでるから」
 「ん〜?」
 「あなた才能あるって言われてるのよ?先輩方から」
 「あ、そうなの?」
 「私、先輩方からあなたの作品についてなんか言われるたび、悔しい思いしてるんだから」
 「あ〜、俺そんなに情熱はかたむけてないけどなぁ、勉強の方真面目にやろうって思ってたからねえ…まあ、とにかく面白いのつくろうとはしてたけど…」
 「……でもあなたとチーム組めて本当に良かった、あなたのおかげで大学が楽しくなったもの」
 「そうか…」
 「頭おかしいんじゃないの?っていつも思うんだけど、時々見せる優しい表情に、私…」
 「何語ってんだよ〜恥ずかしいよ〜」
 「それに、他の人は私を女扱いしてくれなかったけど、長谷川君はとっても優しく接してくれた」
 「ええ?その時は俺ヘタレなだけじゃないの?」
 「ううん。それでいてとってもカッコよかった。そんな長谷川君に私いつもきゅんってしちゃってたの。であるときあなたを好きになってたのに気づいて…いつか私、あなたのプロデューサーになりたいって…そう思うようになって」
 「俺が監督でぇ?展開早いですねェ(事務的に対応していただけなんだけど…言わないでおこう)」
 「私髪型変えたの、なんでかわかる?」
 「なんで俺の好み知ってるの?」
 「あなたが描く絵コンテ、女キャラが全員おかっぱなんだもん」
 「げ!ばれたか〜…って気持ち悪いぞ!そこまで見てんのかよ」
 「一度好きになれば、どんな些細な事でも気が付くものなんです」
 「今日の為に変えたの?」
 「うん、イチかバチかだったけど」
 「気づけてよかった…」
 「ほんと嬉しかったよ、泣きそうになっちゃったもの」
 「……今日、Aとか真希ちゃんとかも来てたら、どうだった?」
 「ここまで馴れ馴れしくはできなかったでしょうね」
 「ここまではね…」
 「キスはまずったって思った」
 「俺もびっくりしたよ」
 「後のこと何も考えてなかったなぁ…どうしようもなくて泣いちゃったもの。外で」
 「俺、本当に気づけてよかったよ…お前の気持ちに」
 「ねえ」
 「ん?」
 「もう一回キスしようか」
 「うん」
 「…」
 「…」
 「…慣れた?」
 「冬美も上手になった」
 「そうかな、てれるなぁ」
 「もうちょっとしたい」
 「いいよ」
 「…」
 「…ん…」
 「…」
 「…んく」
 「…ごめん、もう少しで激しくなるところだった」
 「キスぐらいならいいのに」
 「でも歯止めが利かなくなると…下の方も」
 「…そうか」
 「…冬美」
 「なあに?」
 「大学楽しくないの?」
 「え?」
 「さっき言ってたじゃん、俺がいないと楽しくなかったって」
 「…まあね、勉強難しくて、好きにもなれないし」
 「…どうするんだよ」
 「卒業はしたいけど、どうなるかなぁ」
 「…どうしてここ選んだんだよ、他もあるだろ?」
 「お父さんにすすめられたしさぁ、それにけっこう有名だしぃ…」
 「…合格できたにしては頭が…」
 「あなたも同じでしょ?」
 「俺はちょっと事情が…」
 「高校の頃はホント気楽だったもん、頑張って暗記してすこし応用すれば点数とれたからね」
 「…そんな簡単かぁ?」
 「私才媛だったもん」
 「…うーむ」
 「でも大学になると、夢とか、情熱とか、必要になってくる訳じゃない?」
 「まあな」
 「私それ欠落してたんだよね」
 「…俺は文学やりたくて仕方なかったからなぁ、本当は東京の方行きたかったけど、地元でも出来るからってことで、ここに…でもかなり地獄だったぞ?受験期間中は」
 「私、ずっと寝てた」
 「…どういうことなの」
 「あなたには夢があって、それを叶えられたわけじゃない?私夢すらないのに、もうつくれないんだもの」
 「…」
 「私の人生の意味はどこにあるのよ?」
 「無理矢理つくればいいんじゃないのぉ?」
 「どうやって?」
 「博士号取るとか」
 「無理だよぉ」
 「大丈夫!俺がいる」
 「ええ?」
 「経済勉強してお前の替え玉になってやる」
 「…能天気すぎるよ…」
 「駄目かな?」
 「うん…」
 「でも俺達結ばれたじゃないか」
 「ええ?」
 「もうお前はお前の為だけに学ぶんじゃない!俺の為にも勉強してくれ(ダセエ…)」
 「…長谷川君大好き」
 「むぎゅ」
 「あ、大丈夫?」
 「いきなり抱きつくなよなぁ」
 「…」
 「…冬美の将来の夢は?」
 「あなたの奥さんになりたい」
 「ええ?やっぱりぃ?」
 「主婦になってあなたを支えたい。もう大学中退しようかな」
 「それはやめろよ、俺だって将来どうなるかわかんねえしさ」
 「長谷川君は?」
 「BBCでコンテンツ制作できればいいかなぁ…なんて」
 「…不安だ」
 「ほらね、難しい夢なんだよ」
 「NHKでもいいじゃん。ていうかあんたじゃNHKも無理じゃないの?」
 「…いや、ドラマとか教育とかNEOとか、みんなのうたとか、そんな感じのコンテンツをね…」
 「中退はやめよ。卒業して就職しよ」
 「そのほうがいい」
 「…長谷川君」
 「うん?」
 「動かしていいよ」
 「…いいの?」
 「うん…でもゆっくりめでお願いね」
 「ああ…」
 「…」
 「…締まってきた」
 「…あ」
 「どう?」
 「うん、いいかんじ」
 「…」
 「…」
 「…」
 「…いい…長谷川君…」
 「…」
 「…はせがわくうん…ん!」
 「…」
 「どうしよう、とっても優しいのに…感じちゃう…んん!」
 「…」
 「…なんか喋ってよぉ」
 「ごめん、でも集中したいんだ」
 「…そう」
 「…」
 「…」
 「…」
 「…あ」
 「…」
 「…あ…はあん!」
 「…」
 「いっちゃうよぉ」
 「…」
 「ああん!」
 「…」
 「はせがわくぅん…」
 「…」
 「あ…ああ…あん」
 「…」
 「…くぅぅ」
 「…」
 「ねえ、はせがわくん」
 「え?」
 「お父さんとお母さんも…こんな風に結ばれたのかなあ?」
 「…うん」
 「…」
 「…」
 「ふう…」
 「…冬美」
 「ん?」
 「…ふゆみぃ」
 「何?」
 「すきだぁ、ふゆみぃ」
 「…長谷川君」
 「ふゆみぃ」
 「…」
 「ふゆみ、ふゆみ」
 「…」
 「ぐす…嬉しいよぉ…冬美ぃ」
 「…」
 「…ふゆみ、ふゆみ、ふゆみぃ」
 「…」
 「ふゆみぃい、すきだあ…」
 「…」
 「冬美ぃ、冬美ぃい」
 「…」
 「ふゆみ、ふゆみ、おれいきそうだよぉ…」
 「…」
 「ふゆみぃ、ああ、ああ、あ…」
 「んんっ」
 「ふゆみぃ…うう…」
 「…」
 「冬美…」
 「長谷川君、気持ち良かった?」
 「…うん」
 「…(僕の頭を撫で)よしよし、いっぱい出したのね」
 「…」
 「これで一人前の大人だね」
 「…」
 「お祝いのキスしてあげる」
 「あ…」
 「…」
 「冬美ぃ…」
 「おめでとう」
 「…ありがとう」

 「長谷川君、お疲れ様」
 「…冬美」
 「抜いて。それからゆっくり休みましょう」
 僕はペニスを引き抜き、ティッシュで冬美の女陰を拭きました。なぜかヴァギナが先程より巨大に感ぜられました。シーツには血が付いていました。僕はあえて冬美にはそのことを告げませんでした。
 「冬美…」
 「私の側に寝っころがって」
 「ああ…(そのようにする)」
 「長谷川君、男前になったよ」
 「うう…」
 「苦しいの?」
 「いや、もう昔の自分じゃない感じが…、身体はいつものままなのに」
 「私だって変な感じよ?でも受け入れましょうよ。もうしちゃったんだもの」
 「…母さん」
 「え?」
 「…〜〜〜〜!!」
 僕は口を滑らせてしまいました。
 「長谷川君…今なんて…」
 「…冬美って言ったよ…」
 「お母さんって…」
 「…ばれてるよな…」
 冬美は目を丸くして僕を見つめていましたが、後に表情を緩めクスクス笑い出しました。
 「お父さん」
 「…冬美ぃ?」
 「何なりと私に申し付け下さいな。次何してほしい?」
 「…」
 僕は冬美を見つめました。
 実は、僕はすっかり冬美の息子のような気分だったのです。さっきまで少女だった冬美が、成熟した女性の持つような母性でもって僕を受け止めてくれたのですから。ですが、僕の母親である冬美は僕をお父さんと言った。食い違いが起こっているようです…
 「…冬美」
 「なあに?」
 「僕の母さんに…なってくれ」
 「…わかりましたよ、お父さん」
 「いやそっちじゃなくて、僕の母親に…」
 「…そっち!?」
 「さっき頭撫ぜてくれたよね、もう一度されたい…ぎゅっと抱きしめられながら」
 「…」
 「…」
 「…こっちに来て、けんちゃん」
 「…母さん…」
 「もっともっとお母さんに甘えていいのよ?」
 「うん」
 「…恥ずかしいよぉ、何よこれ」
 「お願い」
 「…」
 「…」
 「…けんちゃん」
 「うん」
 「いらっしゃい。抱きしめてあげる」
 「…むぎゅ」
 「うふふ…」
 「母さん」
 「(なでなで)…ほんとに可愛いんだから」
 「…」
 「おでこにちゅうしてあげる」
 「ん…」
 「わたしの大切な、大切な宝物…」
 「母さん…」
 「これからも辛いこといっぱいあるでしょうけど、たまには私にぶつけていいんだからね?」
 「…」
 「その時は心おきなくわたしをこき使ってね」
 「…お母さん」
 「なあに?」
 「おっぱいすいたい」
 「…くす、ほんと大好きね」
 「すわせてよ」
 「どうぞ、好きなだけ吸ってね」
 「…」
 「(なでなで)愛してる…」
 僕はずっと冬美の乳房を吸い続けていました。乳房の香りが、かつて僕の(本当の)母親の乳房を吸っていた頃を思い出させました。勿論僕は母親が大好きです。ですが、自立直前の二十歳近くになって母親に甘えるのは恥ずかしいし、機会も滅多になくて、母親の母性に包まれることをすっかり忘れていたのでした。ですが、今は冬美が精一杯僕を包容しようとしてくれている。僕はすっかり感激してしまい、冬美にもっともっと甘えたいと、冬美の母性を僕は欲するようになったのでした。
 乳首が甘く勃起していました。それがたまらなく愛おしい。ですが、先程のように激しく攻めてしまうと、芽生え始めた暖かい愛情が壊れてしまうような気がして、ものすごくもどかしい。僕は一旦口を離すと、冬美の胸に顔を埋めました。
 「…ありがとう、懐かしかった」
 「(なでなで)長谷川君、時々なら私、あなたのお母さんになってあげるからね」
 「ありがとう…」
 涙が止めどなく溢れ出て来ました。僕はこらえられず、冬美の胸で泣き続けました。冬美は僕の頭を抱いて、優しく撫でてくれました。冬美の汗の甘酸っぱい匂いが僕の欲求を更に刺激します。ずーっと泣き続けました。どれぐらい泣き続けたでしょうか、カクンと意識が途絶えました。眠ってしまったのです。

  翌朝、僕が目覚めると、冬美が側で鼾をかいて寝ていました。
 「…午前7時…まあまあかな」
 「…むに…あ、ハセガワ君…おはよう」
 「おはよう」
 「いつ札幌に帰る?」
 「いつでも」
 「じゃあ真希に連絡しとくわ。真希出迎えてくれるって言ってくれたから。真希と話もしたいし」
 冬美は起き上がって、ぼりぼり頭を掻きました。その際にぷうという音が聞こえました。目下には隈が出来ています。があーっと大きく口を開けて欠伸をしました。
 「…何か前よりガサツに」
 「うふふ…現実には戻らないと」
 冬美がにっこり笑いました。ものすごく可愛い。
 「抱きしめたい」
 「もうさせてあげない〜」
 冬美は立ち上がって洗面所に行きました。
 僕は着替えをして、荷造りを始めました。

 帰札したのは午前10時頃でした。
 北口から出ると、真希ちゃんが出迎えてくれました。
 「二人ともお疲れ様〜」
 「真希ちゃん」
 「真希!あなたも来ればよかったのにさ、ものすごく楽しかったよ」
 「冬美が楽しめたら、私はそれでいいよ」
 「…ありがとうね」
 「お疲れ様、冬美」
 真希ちゃんが僕の方を向きました。
 「あの…長谷川君。ちょっとお話を…すぐ終わるから」
 「ああどうぞ」
 「冬美、ちょっと待っててね」
 真希ちゃんは冬美から離れた場所で僕と話し始めました。
 「あの、ありがとうございます、冬美に付き合ってくれて」
 「いえ、いいんですよ。冬美ものすごく楽しんでいましたから。僕も楽しかったし」
 「…良かった。冬美不安そうだったんですよ。長谷川君と一緒って緊張するぅって」
 「すぐリラックスしてくれましたよ」
 「…ほんとうにありがとうございます。冬美ってああみえて結構寂しがり屋で、私いなかったら、男一人、女一人でどうなるかと思ったけど…無事で何よりです」
 「え…まあ…こちらこそ心配をお掛けして…」
 「これからも冬美を…よろしくお願いしますね」
 「え!…あ、はい」
 「冬美〜もういいよ〜」
 「真希ぃ、大学寄っていこうよ」
 「いいよ〜。…あっ、ハセガワさん、あの、二日間本当にお疲れ様です」
 「はあ」
 「じゃあ私はこれで…本当に有難うございます」
 「そこまで慇懃無礼じゃなくても」
 「では…冬美ぃ〜ごめ〜ん、待ってぇ〜」
 真希ちゃんは冬美と一緒に大学へと歩いていきました。
 「はせがわくぅ〜ん、また明日ねぇ」
 冬美が振り返って叫びました。
 「…また明日」
 僕は小声で手を振りました。

 これで僕の体験談はひとまず終わりです。これから後日談(前日談がかなり含まれている)をぼちぼち書くことにします。
 
 冬美からはこの後、正式に告白を受けました。僕は勿論承諾しました。そして色々話している内に、冬美は様々な事を打ち明けてくれました。
 真希ちゃんとは新歓コンパで既に意気投合していたこと。というのも趣味(冬美には少女らしい趣味があったのです…!)と理想の恋愛、男性観などが結構符合していたらしいのです。そして僕やその他男子を肴に、私ならあの馬鹿をこういう男にする、あんな男にするというのでその他女子を加えてかなり盛り上がったみたいなのです。
 僕を好いたのに気づき、真っ先に真希ちゃんに相談しに行ったこと。真希ちゃんも恋愛には疎く、どう成就させればいいのかわからず、先輩から話を聴いたり、普段は観ないラブコメやロマンス映画、男の人が好きそうなエロ漫画やアダルトビデオなどで、とにかく二人で協力して、学業の片手間ながらも研究を続けていたこと。冬美は学業そっちのけでのめりこんでいたらしいのですが。
 太田が僕をつれて旅行に行くということを小耳にはさんだとき、これはチャンスとばかりに真希ちゃんの方から参加を申し込んだこと。太田はかなりたじろいだそうです。(俺が引っ掛けたって…嘘つきやがって…)僕の前では格好つけてばかりいる太田らしいと思いました。真希ちゃんが手伝う云々というのは嘘で、真希ちゃんは太田の事情を知り、冬美の決意を汲んで、参加を辞退したとのこと。それを告げられたとき、真希ちゃんは「男が喜ぶことをしろ」というアドバイスをくれたそうです。冬美はただ単純にその助言をエロへと直結させてしまったのですが。そして真希ちゃんは太田の許には行かず、自分の課題を済ませながら、度々ケータイメールで励ましとアドバイスを送り続けていた。仲間思いの真希ちゃんらしいと思いました。冬美は字義通りに受け取りすぎていたけれど。(ちなみに太田は謎の怪力を発揮して一日でレポートを書き上げ、翌日には深酒ならぬ深コーラ(太田はアルコールパッチテストで下戸が判明、しかも未成年)で酩酊、後にギリギリ及第点でパスしていました。太田らしいと思いました)
 恋が成就したことを報告すると真希ちゃんは泣いて喜び、抱き合いながら祝福してくれた事。しかし、プロセスを話すと「順番おかしい、展開早い」と呆れられてしまった事。
 その他色々な事を話してくれました。
 
 順調に交際は続いています(自分でも本当に順序がおかしいと度々思う)。最早尻に敷かれている感はありますし、セックスにしても冬美はかなり鈍感になっています(一生分の性欲を使い果たした、まだハタチなのに、と冬美は嘆いています。手では喜んで時々してくれますが)。元々それほど興味が無かったのでしょう。まあその方が、完全に恋愛に没頭せずに交際できていいのですが。ただ、冬美は結婚を最終目標にしているらしいです。たまに、冬美は「恋人としてではなく、苦痛を分かち合う道連れとして私と付き合って欲しい」と言います。僕はそのような姿勢に非常に賛成ですし、むしろこのような姿勢だからこそ結婚を前提にした交際が続いているのかもしれません(といってもそれが後何十年…!!続くのか)。もうすぐ一周年を迎えるところです。記念日にはどこで過ごそうかと今は考えていますが、小樽では、ちょっと一年前のあれが激しすぎて、どうも気が萎える節があるので、札幌で過ごすことになりそうです。

 そろそろ筆を置きたいと思います。その前にふたつ。
 林下つよしというのは僕のペンネームです。念の為。
 この体験談は実体験が元ですが、その体験が読み物としてはインパクトが薄いので、事実に沿いつつもフィクションを織り交ぜた、いわゆる「実話フィクション」に仕立て上げています。ちなみに、キャラクターの性格等は結構現実のものと似せていますが、僕の筆力の限界もあってか、虚構性もかなり入り混じっていると思われます(僕には完璧には判断しかねます)。よってかなりの現実離れしたノロケになりましたが、これを読み不快になられた方には、この場で謝罪いたします(僕もノロケ話が好きな方では無いので…興奮はするけど…気持ちはわかります)。この冗長な駄文を最後まで読んで下さった方には、多大な感謝を捧げさせていただきます。



 おまけ(完全な蛇足。読み飛ばし推奨)。作中の冬美のモデルになった冬美さん(もちろん仮名ですよ)に性描写をすべて削った文章を読ませた時の会話
 「どうかな」
 「なんかものすごく興奮してきちゃった」
 「ええ?」
 「ああん、うふーん」
 「冬美ってすけべなんだね」
 「あなたとえっちしたくなったわ」
 「ぼくもさ」
 「あああ」
 「あああ」
 「あああ」
 「あああ」
 これは嘘です。実際は「ナンダコリャ」と一蹴されただけでした。
 まあ、とにかく、これでおしまいです。最後まで付き合って下さって、本当に有難うございました。さようなら。


出典:オリジナル
リンク:無し
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