名探偵コナン 完結編[其五] (アニメキャラの体験談) 20274回

2011/07/30 17:28┃登録者:えっちな名無しさん◆p2P0m7XM┃作者:名無しの作者
[其一] http://moemoe.mydns.jp/view.php/26366
[其ニ] http://moemoe.mydns.jp/view.php/26400
[其三] http://moemoe.mydns.jp/view.php/26456
[其四] http://moemoe.mydns.jp/view.php/26481

有希子は、ラフなパンツファッションにキャスケットを被り、
ミラーグラスを掛けていた。
美薗用にと、有希子は短パンとTシャツなどを用意してくれていた。
動き易いから着替えるようにと勧めたが、美薗は、その時に
着ていた(新一が買ってくれた)ものがいいと言って、そのまま
の服装に、スニーカーとキャスケットだけを有子から受け取って
目深に被った。
真悟もジーンズ、Tシャツに、美薗が貸してくれたジャケットを
羽織り、スポーツキャップを深く被っていた。

美薗と真悟に促されて、下水道に繋がる隠し扉から室外に出る。
有希子は、驚くよりも面白がっていた。
『優作の書く、推理小説の世界みたい』だと。

生活圏の反対方向に800mほど先のマンホールから裏道に出た。
時間は、丁度、正午になろうとしていた。
とにかく、居住圏内からなるべく遠くに離れようと、大通りに出て
すぐに、タクシーを拾い、東京駅に向かう。
タクシーの中で三人は、口と耳では、普通の世間話を装い、
実際の意思の疎通は、携帯メールで行なった。

有→真&美
『三人でいる間は、あなたたちは私の息子と娘よ。
 つまり、真悟と美薗は、兄妹』

真→有&美
『了解。姓はどうする?
 工藤は、名乗れないだろ?』

美→有&真
『「星」にしませんか。
 私が一番、こういうことに慣れていないので、
 余り多くの名前を使い分ける自信がないです』

有→美&真
『了解。それじゃ、私たちは星一家ね』

真→有&真
『了解。父親は?』

有→真&美
『死別。私は未亡人。名前は「有子」』

と、こんな感じである。

  <<これ以降の三人の使用名>>

  ・灰原哀(小1)=宮野志保(19歳)
    =>星美薗(ほし みその:小5)/会話では、美「」

  ・江戸川コナン(小1)=工藤新一(17歳)
    =>外川真悟(とがわ しんご:中1)
   =>星真悟/会話では、真「」

  ・工藤有希子(38歳 新一の出産が有希子21歳の時)
   =>星有子 /会話では、有「」

勿論、お互いの宛先は、複数パターンで登録してあった。
関係のない会話をしながらのメールの遣り取りには、美薗が
最初は戸惑ったが、すぐに慣れたようだ。
慣れていないことに戸惑いも多かったが、三人の中では、美薗が
最も器用なようである。
彼らは、道々、自分たちがどういう経緯があって、母子で旅行をして
いるのかということを仮想設定していった。
基本は、亡き父親は(有子の夫)は、日系の英国人で、家族は、
イギリスに在住していたことにした。
住んでいたことのある美薗が、イギリスには馴染み易かったから
である。
三人で行動するときのプロファイルは、ラフなものにした。
細かく決めすぎると、不測の事態に却って対応しにくい。
ごく基本的なことさえ設定しておけば、阿吽の呼吸で十分、
臨機応変な対応がとれる素養を持ち合わせた三人だった。

タクシーを降り、東京駅前の洋食店で食事を摂ることにした。
オーダーは二人に任せ、真悟だけ時計店に走り、探偵時計のベルト
を腕に合わせて付け換えた。
麻酔針は、美薗が用意してくれていた1ダースをケースに入れて
隠し持っていた。
ついでに、その店で扱っていた小型の携帯ラジとイヤホンをセットで
3台購入した。
洋食屋に戻ると、、有子が、食事が終わったら、新幹線に乗る前に、
二人は髪を染めなさいと言った。
濃い栗色が、違和感がなくていいだろうと。
ついでに、エメラルドグリーンのコンタクトレンズを付けることにした。
新幹線の乗車は、15時30分発・新大阪行の各駅停車に決めた。

美「名古屋駅と数駅だけ停車する、速い列車もあるのに、
  どうして?」

真「それは、アクシデントが起きた時、最寄り駅ですぐに
  降りることができっからさ。融通を利かせ易いだろ。
  飛行機を使わないのも同じ理由。
  どうしても決まった時間内に、急いで現地に入る必要が
  あれば別だけどな」

真「そう言えば、母さん。実は、俺たちの家さ、沖矢昴という人に
  貸してあるんだ。
  俺が住むわけにはいかなかったし、ちょくちょく出入り
  することも憚られたし。
  家は誰も住んでねえと傷むし無用心だから、丁度いい
  かなと思ってさ」

美「・・・」

有「そうなの? どんな人?」

真悟は、彼のことについて知っていること(話せること)と、
家を貸すことになった経緯を話した。

  ※沖矢 昴(おきや すばる)  27歳。
   東都大学大学院工学部博士課程在籍。
   ホームズ好き。抜群の推理力。頭脳明晰で、身体
   能力は極めて高い。左利き。好きな色は黒。嫌いな
   色も黒。(他人に知られたくない自分の内面を覆い
   隠してくれるから)。ハイネックの服装を好む。 
   以前は「木馬荘」というアパートに住んでいたが、
   「木馬荘」が放火で焼けてしまい、コナンの提案で
   工藤邸に住むことになる。
   「木馬荘」の大家の息子からは、「赤い人」と呼ばれ
   ていた。
   コナンからは、「留守を守ること」を頼まれている。 
   蘭は彼を見て「初対面のはずだが、初めて会うと
   いう気がしない」等と言っている。 
   灰原哀は彼に最初に会った時、黒の組織構成員が
   近くに来た時と同じ恐怖を感じている。
   彼は、事件を追って赤井秀一とそっくりな男のことを、
   「知人」、「昔からよく知った顔」と表現していた。
   黒の組織の人間に対しては、「熱くて苦いコーヒーを
   ご馳走してやりたい」と言っている。 

有「ふうん。科学者かエンジニアの卵か・・・。
  信頼はできる人なの?」

美「あの、その人って・・・阿笠博士の家を盗聴したりして
  いたんですよ。私のことを監視しているようで、私は、
  ちょっと気味が悪かったです」

真「それはさ・・・灰原哀を守ろうとしていたんだ。
  悪い人じゃない。丈夫だ」

美「私を守る?」

真「ああ、そうさ。
  おめえの姉ちゃんが、赤井秀一・・・いや、諸星大に
  宛てた最後のメール。
  姉ちゃんは、「妹を守ってほしい」と頼んでた。
  昴さんは、その姉ちゃんの頼みを、諸星大に代わって
  果たそうとしている」

美薗は驚き、激しく動揺した。
美「なぜ、そんなことを知ってるの?
  昴さんは、誰なの?」

真「声が大きい!
  それ以上のことは、今は、おめえにも言えねえ。
  これまで、灰原も含めて、少年探偵団が危機に
  陥った時、どこからか現れて救ってくれたよな。
  先入観を捨てて、これまでのことを振り返って
  みれば、おめえなら分かる筈だ」

有「まあ、いいわ。
  あなたがしたことなら、大丈夫でしょう。
  そのまま何も告げずに、貸しておいていいのかな?」

真「構わねえだろ。
  灰原とコナンがいなくなったことは、遅くとも明後日には
  知ることになる。
  昴さんなら、事情を察して対処するさ。
  まだ、俺たちの家にいる必要があるなら、そのままに
  させておきゃいいよ」

美「・・・」
美薗だけは、信じ切ることができずに混乱していた。
『お姉ちゃんの頼み・・・』


三人は、15時30分発・新大阪行の新幹線を待って、ホームに
並んでいた。
真悟は用意しておいた携帯ラジオに、阿笠博士が作ってくれた
探偵バッジを貼り付け、バッジにイヤホンを繋いで、ボリューム
を予め最大に設定した。
「携帯が使えず、周囲に気付かせずに、直接三人で会話したい
事態が起きた時は、これを使おう」と言って二人に渡し、自分
もジャケットのポケットにしまった。

新幹線のチケットは、敢えて、三人並べる指定券を買わずに、
一人だけで座っている乗客で、警戒の必要のない人物を選んで
席を確保できるように、自由席券を購入した。

発車時刻が近付いた。
三人は、列車に乗り込み、高校の制服を着た女の子が座っている
座席で止まった。

有「三人なんですけど、ここ空いてますか?」

女高「あっ、はい。どうぞ」

真悟は、前の座席の向きを変えて四人掛けのボックス席にした。
進行方向を向いて、窓側が女子高生、その通路側に有子、
女子高生の向かいに美薗を座らせ、自分はその通路側に座った。
荷物は棚に上げずに、各自の座席下と足許に置いた。

女高「皆さんは、御家族ですか?」

女子高生は、30歳代前半かと思えるきれいな女性と、光沢のある
栗色の髪、瑠璃色の瞳をした男女二人の子供に、興味津々と言っ
た感じで訊いて来た。
自分の隣に座った女性は、ごく普通に日本語を使っていたし、
日本語は大丈夫なのだろうとは思ったようだ。

列車はゆるりと走り出した。

美「お母さんと、お兄ちゃんだよ。
  亡くなったお父さんの生れたとこに、
  お墓参りに行くの」

女子高生は、向かいの小学生の女の子が応えてくれたことに、
好感触を得たようだ。

女高「そうなの。・・・どこまで行くの?」

美「京都。お姉ちゃんは、どこに行くの?」

これまで、小学校1年生を演じ、疑われずに過ごしてきた美薗は、
みごとに小5の少女を演じ切っていた。

女高「私はね、浜松のおじいちゃんのところよ」

美「浜松って、行ったことないな。
  お姉ちゃんは、高校生?」

女高「うん、高校2年生だよ。お名前は?」

美「みその」

女高「みそのちゃんは、何年生?」

美「5年生だよ。お兄ちゃんは、中1」

有子と真悟も話の輪に入り、簡単な自己紹介をし合った。
三人がイギリスで暮らしていたと聞いて、女子高生は納得して
いたが、でも、女の子は、お父さんの故郷は京都だと言っていた。
すると、この兄と妹がハーフっぽいのは、お母さんの血?
お母さんは、確かに西洋人のような顔立ちの綺麗さはあるけれど、
イギリス人というよりは、日本人ぽいかなあ・・・。と感じた。

有「私はね、イギリス人と日本人のハーフなの。
  だから、この子たちは、クゥオーターね」

女高「ああ、それでですか。
    みそのちゃん、お菓子、食べる?」

女子高生は、美薗にポッキーを差し出した。
美薗は、お母さんに『貰ってもいいか』と目で尋ねる様な仕草を
した。

有「すみませんね。
  美薗、折角だから頂きなさい。
  ちゃんとお礼を言うのよ」

真悟は、『ハハ、こいつら、よくやるよな・・・』と、口には
出さないが、演じることを楽しんでいる二人に呆れていた。

浜松までは、仲の良い母子三人と、乗り合わせた女子高生が和気
藹藹と、ごく平穏な旅を楽しんでいるという風情が続いた。
間もなく浜松に到着するというところで、女子高生は、自分の携帯で
一緒に写真を撮らせて欲しいと言って来た。
三人は、女子高生に気付かれないように、一瞬目配せを交わしたが、
断るのもおかしい。快く引き受けた。
この程度のことは、想定の範囲内である。
更に、彼女は、美薗にメアドを交換しようと言ってきたが、これは、
真悟がかわした。

真「ごめんね、妹には携帯を持たせていないんだ。
  僕ので良ければ、メアドを交換して、メールを
  貰ったら妹に見せて、返信させるけど・・・」

女高「うん、それでいいや。じゃあ、お願い」

まあ、真悟を介する分には、何とかなるだろう。
浜松で、にこやかに女子高生を送り出し、席がひとつ空いた。
警戒すべき人物が、その席に座ろうとしても断わるわけにはいか
なくなった。
すると、70歳代半ばかと思われる老婆が、座る席を探していたので、
三人でその席を勧めた。
老婆は、最初は「ありがとね。おやおや外人さんかね?日本語、
上手だねえ」などと言っていたが、すぐに眠ってしまった。

三河安城駅を出てすぐに、美薗が震えだした。
真悟の腕をしっかりと掴んで、車両の前方を窺おうとしているようだが、
気持ちとは反対に、真悟の陰にに隠れようと、体をぴったりと摺り寄せ
て来た。
有子が何事かと、その様子を見ている。

有「美薗ちゃん、寒いの? 風邪でもひいたかしら?」

真悟は、素早く有子にメールを送る。
『美薗は、黒の組織の構成員が側に来ると、体が反応しちまう。
 前の車両から、奴らがこっちに向かって来てる筈だ』

有子がメールを見て、前の車両に繋がる扉を確認すると、上下黒ずく
めの男が二人、この車両に入って来た。
真悟は、ポケットをまさぐり、探偵バッジを貼り付けた携帯ラジオを取り
出し、イヤホンを耳に付け、有子に目配せした。
有子も手提げバッグからラジオを出して、イヤホンを耳にする。

真悟は、ラジオに向かって、周りに聞こえない声で呟く。

真「全身黒服の奴が来てないか?」

有「来てる。二人」

真「前の奴が俺の脇を通る時、合図してくれ」

真悟は、ラジオを膝に置き、左手の探偵時計の縁を開けた。
すぐに、照準を合わせられる態勢を取り、合図を待った。

有「今よ!」

真悟は、通路斜め前に向けて、時計を構え易い位置取りをした。
一人が真悟の脇を通って視野に入り、車両の後ろ側(真悟の前方)
を通り過ぎた。
続けて、もう一人が真悟の脇を通った、その後ろ姿を確認した瞬間、
男のうなじに照準を合わせて、麻酔銃を撃った。

並んで通路を歩いていた二人の内、後ろの男が、急に前のめりに倒れ、
前方を歩いていた男の背中にぶつかり、ふいを突かれた前方の男も
後ろの男を背中に載せて倒れ伏した。
後ろの男は、手を床に付くこともなく倒れたため、前の男の背中から
左脇の床に上半身を滑らせ、床に頭を打つ鈍い音がした。

前黒「おい、どうした!?
    何で倒れてんだよ。起きろ!」

前方を歩いていた男は何が起きたのか分からず、慌てた。
後から自分に倒れ込んで来た男の体を中腰で引き起こそうとする。
二人が持っていたアタッシュケースは、通路に放り出されたままに
なっていた。

周囲の席に座っていた人達が異変に気付き、男たちを助け起そうと
動いたが、男は「寄るな」と怒鳴り、威嚇した。
すると、前後のドアの陰に立って様子を伺っていた、2人ずつの男が、
黒ずくめの二人を挟み込むようにして、猛然と突っ込んで来た。
立ち上がろうと身構えた黒ずくめの方を3人がかりで掴みかかり、
組み伏せる。真悟の麻酔銃で床に延びている黒ずくめは、もう一人が
馬乗りになって、後手に組み伏せ、手錠をかけた。
もがいて逃れようとする黒ずくめは、3人がかりでうつ伏せに抑え込ま
れ、こちらも手錠をかけられた。
周囲の座席に座っていた乗客は、総立ちで窓側に固まっていた。
あちこちから悲鳴が聞こえ、騒然となっていた。
有子の隣で寝ていた老婆も騒ぎに起されて、座席の上に立って様子を
窺おうとしたが、有子に「おばあちゃん、大丈夫。危ないから、ちゃんと
座っていましょうね」と、やんわりと制止されていた。
美薗は、真悟にしがみついていた。

「皆さん、申し訳ありません。凶悪犯の逮捕にご協力、
 ありがとうございます。私どもは警察です。
 もう、大丈夫ですから、どうぞ、安心して席にお戻り
 下さい」

と、立ち上がって乗客を静めていたのは、なんと高木刑事だった。
http://conan.aga-search.com/501-4-17takagi.html
真悟が、美薗を片手で抱き寄せながら、彼らの様子を確認すると、
その中には、確かに見覚えのあるFBI捜査官もいた。
そして、黒ずくめが入って来た前方の車両(真悟から見て後方車両)
からも同じような騒ぎが聞こえてきた。

真「日米捜査機関の協力逮捕劇か。
  ということは、奴らの取引相手は、
  国際的な麻薬組織のメンバーかなにか・・・」

黒ずくめ2人は、4人の日米捜査員に連行されて行った。
まだ目が覚めない黒ずくめの方は、前後を捜査員に抱えられて
車両を出て行った。
車両内のざわつきは、暫く続いていたが、列車はそのまま、ゆっくりと
運行されていた。
落ち着きを取り戻し始めた頃に、社内アナウンスが流れた。

「乗客の皆様には、大変にご迷惑をおかけ致しました。
 警察当局による凶悪犯罪の重要容疑者の逮捕にご協力
 頂きまして、誠にありがとうございます。
 当列車は、安全確認のため、只今、徐行運転を行なって
 おりますが、安全が確認でき次第、間もなく通常運転に
 戻ります。
 名古屋駅には、現在のところ、15分遅れで到着の予定です」

有子が小声で真悟に注意をした。

有「あなたねえ、あの黒い連中が、一般人だったらどうする
  つもり? 結果が良かったからいいようなものの・・・」

真「美薗の怯え具合は尋常じゃなかった。
  そこに母さんが、黒ずくめの男二人が来るところを確認
  したんだから、間違いはねえよ。
  あいつらに動ける余裕を与えたら、何をしでかすか分かっ
  たもんじゃねえ。
  仕事の邪魔になれば、一般人でも平気で殺すし、証拠隠滅
  に、車両ごと爆弾でふっとばしかねねえ連中だから」

有「なるほど。そういう隙を与えずに、不意をついたわけか。
  でも、或意味、美薗ちゃんの反応は、危険を察知するには
  都合がいいわね」

真「ああ。もうちょっと落ち着いていられれば、尚いいんだがな。
  次の名古屋で降りて、乗り換えるだろ?」

有「そうね。マスコミに集まって来られたら面倒だし、
  名古屋で一旦降りて、次の列車に乗り換えましょ」

ここからは、普通の声量で話し出した。

真「美薗。怖いおじさんたちは、警察に連れて行かれたから、
  もう大丈夫だよ。
  体調が悪そうだから、次の駅で降りような」

美薗は、真悟の腿の上に上半身を載せて、突っ伏し、まだ少し震えて
いたが、暫くすると、だいぶ落ち着いて来たようだ
組織の連中が同列車内にいる間は、完全に収まることはないだろう。
有子の隣に座っている老婆が、しきりに心配してくれた。

名古屋駅に着いて、三人は次の便に乗り換えるため、ホームに
降りた。乗っていた列車は、この名古屋駅で次便の到着を待ち、
次便が先に発車するため、停車時間が長い。
列車後方から、先ほどの黒ずくめが、捜査員たち5人に連行されて
来る。麻酔銃を撃たれた男も、千鳥足で歩いていた。
そして、前方車両からは、布で顔を隠された女が、女性警察官2人に
両脇を抱えられて降りて来た。

真『取引相手は、女だったのか・・・』

その後に続いて、佐藤刑事の姿も見えた。
http://conan.aga-search.com/501-4-18sato.html
更に、その横には、『ジョディじゃねえか!』

ホームの出口は真悟たちの乗っていた車両の後方にある為、前方
から後方に向かって逮捕された容疑者と捜査員がニ団、固まって
歩いて行く。

ジョディが真悟たちの前を通り過ぎようとした時、真悟は少し前に
出て小さく声をかけた。
ジョディは反応し、真悟と、すぐ後ろに並んでいる二人をサッと
一瞥し、瞬時に理解したようだ。
真悟の前を通り過ぎる刹那に、「後で連絡するね」と、前を向いたまま
声を掛け、通り過ぎて行った。
三人は、何事もなかったように、次便の乗車ホームに向かった。

19時前、三人は何とか京都駅に降り立った。
工藤新一、江戸川コナン共に、外に出れば事件に出くわす存在だった
が、それは、真悟になっても変わらないらしい。
ただ、真悟の身としては、事件に深く首を突っ込む訳にはいかない。
どう遣り過ごすかに腐心しなければいけなかった。

三人は、取り敢えず、人目のつかないスペースを探して荷を下ろし、
これからどうすべきかを考えた。

真「さて、先ずは落ちつくとこを確保して、博士に連絡しねえと。
  学会参加者やスタッフ、報道陣で、どこも満室じゃねえのか?」

「それは、任せなさい」。有子は、携帯を取り出し、通話を始めた。

有「工藤有希子ですが、総支配人はお出でかしら?
  ・・・・・
  こちらこそ。いつも急で申し訳ないのですが、
  今夜、三人程お世話になりたいんです。空いてますか?
  ・・・ ああ、はい。十分です。
  それでは、星有子とその子供が二人、これから向かいます
  ので、どうぞ宜しく」

有「さ、行きましょう」

歩きながら、会話を続ける。

真「えらく、手際がいいな」

美「いつも、利用されているところですか?」

有「新一を作ったところよ」

真「はあ??」


有「優作と結婚したはいいけど、どこに行ってもメディアに
  マークされて、二人だけでゆっくりすることが出来ないから、
  スケジュールを全てドタキャンして、こっそりとアメリカを
  離れ、日本に来て・・・。
  二人だけのラブラブな時間を味わうために、優作の友人に
  紹介されて宿泊していたのが、これから行くところよ。
  私たちも若かったし、新婚だし。
  そりゃ、もう眠れないくらい激しく燃えたわよ。
  で、できちゃったのが、新一」

真「バ、バーロー!///本人の前で言うこっちゃねえだろ」

美「///ス・テ・キ」。美薗は小さく呟いた。

有「他人になり済ましても、偽名を使っても、一切詮索しないし、
  他に漏れることはないから、うってつけでしょ」

ステーションターミナルでタクシーに乗り、周囲に古風な屋敷が
立ち並ぶ閑静な一角で降り、少し歩くと、いかにも歴史と伝統の
ある、格式の高い日本旅館が現れた。
正面玄関を入ると、着物姿の仲居さん達が4人寄って来て、深々と
頭を下げた。

有「お電話した星です」

仲居頭「お待ち申しておりましたぇ。どうぞ、お上がりやす」
当然、イントネーションには京都訛りがある。
京都と言う土地そのものがブランドであり、京都訛りも宿泊客には
サービスの一環である。

三人は、中庭を回った向かい側の奥の部屋に通された。
10帖和室が2部屋と、中庭側に応接室がしつらえてあり、広い温泉
浴室、様式トイレは勿論のこと、12帖ほどのリビングと、ベッドルーム
が別室でついていた。

仲居「お食事は、どうなさいます?」

有「まだ、間に合いますか?」

仲居「へぇ、お品数は少のうなりますけんど、お出しすることは
    できますよって」

有「外に行くのも面倒だし、お願いします」

仲居「お酒は、お召し上がりになりまっか?」

有「ワインをボトルで一本」

仲居「かしこまりました。
    30分くらいで、お部屋にお持ち出来ますよってに。
    ほな、ごゆっくり」

やっと、人目を憚らずに寛げる。

美「広〜い! 豪華あ!」

真「確かに。俺たち三人じゃ、広すぎるし、豪華過ぎねえか?」

有「これでも三番目のグレードくらいよ。
  いろいろと相談しなきゃいけない人を招くにも
  ここなら安心だから」

美「一泊いくらくらいなんですか?」

有「さあ・・・?支払ったこともないし、
  領収書も見たことないし・・・」

真「ハハ・・・」

これが、工藤家なんだなと、美薗は、改めてしみじみと思った。

阿笠博士に電話をしてみようと、真悟が携帯を手にすると、ジョディ
からメールが来ていた。
『落ち着いたら、電話をちょうだい』
電話をすると、ジョディがすぐに出た。

ジョ『真悟君? 今、どこに居るの?』

真「京都の●●旅館」

有子と美薗は、「疲れたでしょう?」「いいえ、家族旅行なんて初めて
の経験なんで、楽しいです」などと、緊張の欠片もない会話をしていた。

ジョ『ああ、あの旅館ね。
   それじゃあ、9時半頃にそこに行くから、いて貰える?
   あなたたちが身代わりになれる該当者の目処がついた
   から、直接会って話したいの。
   勿論、美薗ちゃん・・・だっけ、その子も一緒に』

真「構わないけど、阿笠博士も来てもらっていいかな?」

「いいとも!」とは、言わない。

ジョ『それなら、手間が省けるわ。OKよ。
   じゃ、待っててね』

真悟と美薗の身柄の扱いが、一気に動き出す気配が出て来た。
真悟は、有子にそのことを話し、了解を得て阿笠博士に電話をした。
博士も「わしも会いたい。その時間には行く」と応じ、その日の内に、
5人で今後のことを具体的に話し合うことになった。

ジョディに、新幹線での事件の処理はいいのかと尋ねたら、
「逮捕して容疑者の身柄を引き渡せば、後は日本の警察の所管
だから、この事件単件としては、FBIの任務は終わり。国際広域
犯罪としての内偵捜査は、別の捜査官が担当している」と言うこと
だった。

食事も終わり、片付けをして貰うと、午後8時半になろうとしていた。
有子はひと風呂浴びて来ると、部屋に備え付けの温泉風呂ではなく、
地下の大浴場に行ってしまった。
「大事なお客さんが来るんじゃ、ワインは飲めないね」
と、有子は残念そうにしていたが、「寝る前に飲もうっと」と、冷蔵庫に
ボトルをしまった。

真「なんか、楽しそうだな?」

美「だって、楽しいもん♪」

真「今後のこと、心配じゃねえのか?」

美「私のことは・・・真悟君と、お母さんと、周りの人に任せるしか
  ないから・・・。
  それに、真悟君が側にいてくれれば、どんな状況になっても
  後悔することはないし。
  お母さんも、楽しい人で・・・本当に良かった」

真「やけに、うちの母さんと気が合ってたよな。
  まるで、俺以上に親子みたいだった」

美「母親と娘って・・・こんな感じなんだね」

美薗は、真悟の目の前に顔を近づけ、目を瞑った。
美「チュウして」
見た目と仕草は、まるで本当の小学5年生の女の子が、お兄ちゃん
にキスをせがんでいるようで、背徳の臭いがした。
真悟は、何も考えずに応じてやった。
とても子供同士のものではない、濃厚なキスを交わすと、美薗は、
真悟の股間をまさぐった。

美「おっきくなってる・・・」

真「ただの、生理現象だ」

美「お母さんが戻るまでに、小さくしておかなきゃ」

真悟も、一日の緊張感から解放されて、まともな思考力を失っていた。
これが『疲れマラ』と言うものか。
極度に緊張し、疲れ切った後に解放された男特有の、強い性欲を
感じていた。
美薗は、口で抜こうとしていたのだが、真悟は美薗を押し倒し、
パンツだけを剥ぎ取って、後ろ向きにした。
自分もズポンと下着を一緒に脱ぎ、後ろから襲いかかった。
美薗が初めて見る、真悟の粗野で乱暴な行為だった。
前戯もなしに、激しく、夢中で腰を動かし、短時間で果てた。
美薗も十分に濡れていて、痛がることはなかった。
初めて触れる真悟の一面への驚きと興奮で、美薗もあっという間に
絶頂に達した。
二人で大きく息をしながら、しばし回復を待った後、急いで後始末を
して、窓を一度全開にし、空調の風を最大にして臭いを逃がし、
お茶を淹れ直して、有子を待った。

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