俺の妹があやせのわけがない (アニメキャラの体験談) 26876回

2011/09/20 16:49┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
「え?」

普段なら一家団欒の場である、
夕飯のリビング。

しかし、この団欒場に響いた親父の一言で、
俺たちの空気は壊れた。

隣に座る桐乃の箸が、音を立てて床に落ち、
当ても無く転がっていく。

「きゅ、急にそんな冗談言うから、箸落としちゃったじゃん。
あぁ、もう。洗わないと――」 

「俺が冗談を言っているように見えるか?」

親父は、ただ静かに目を瞑ってそう言った。

立ち上がって箸を拾おうとしていた桐乃が、
拾うのを止め、親父を睨む。

「っざっけんな!! それこそ冗談じゃないわよ!!」

桐乃はそう怒鳴って、2階へと駆け上がっていった。

残された俺を、お袋の心配そうな目が見つめる。

「親父、冗談じゃないのは雰囲気でわかる。
けどな、あいつに伝えるにしては酷かったんじゃないか?」

「俺には上手く伝える事などできん」

親父はそう呟いた。

きっと、親父自身も後悔はしていると思う。

けど、あいつは……こう言っちゃなんだけど、
扱い辛いから、率直に言葉ぶつけたほうが良いかもしれない。

こうなっちゃぁ、俺としても。

そんな事実を受け入れるなんて些細なことだ。

「ご馳走様……」

「京介……」

お袋の心配そうな声が俺を追いかける。

洗い物を終え、廊下に出る扉に手をかけたまま、
俺はいつものように言葉を放った。

「桐乃のことは、俺に任せてくれ」

俺はそう言い残し、廊下へと出て行く。

とは見え張っても……。

俺は何が出来るんだか。

いつも上がってるはずの階段が、
今日は酷く長く、永遠に続くように感じられた。

俺達は今日。

親父によってもたらされた、知りたくも無かった事実。

それを知ってしまった。

「京介と、桐乃お前たちは兄妹ではない。
正確に言えば、桐乃は家の子ではない」

切り出しがこう言われ。

「新垣あやせとなっている子が本当のうちの子であり、
桐乃の本当の家が、その家だ」

そう終る。

あやせにはそのことを伝えていないらしい。

新垣家も、躊躇しているとの事。

こんなすぐに誤魔化さず伝える馬鹿な親は、
親父くらいだろう。

兎に角、俺に何が出来るダとか、何すればいいだとか。

そんなRPGよろしくの易しい説明なんて無い。

じゃぁ、どうするか。

闇雲に草原歩き回って、目的地見つけて。

魔王を倒すしかねぇ。

でも、
まずは王様に謁見しないとな。

俺は目の前の「桐乃」と書かれた札が下げられたドアをノックした。

「……なに?」

「俺だ。桐乃。開けてくれ」

「お断りするわ、今は話したくない」

そういわれ、沈黙する。

いざとなればなんて思いでドアに手をかけたものの、
鍵が閉められていた。

……じゃぁ。諦めるしかないか。

「俺は待ってるぞ」

俺はそう言い残し、自分の部屋へと戻った。

王様への謁見は許可がないと駄目らしい。

でも、どんな許可なのか。

俺は徐に携帯を開く。

……どうしろってんだ。

ため息と共に携帯を枕に投げ、
ベッドに倒れこむ。

こんな詰みゲー初めてだ……。

とりあえずは。

何も出来ない以上、何もしない方が良い。

俺はそう考えて、目を瞑った。

翌朝、いつもの時間より2時間も早く目が覚めた午前5時。

なぜだか、無性に起きないといけない気がした俺は、
とりあえず下に下りる。

親父達もまだ起きていないだろうこの時間に、
リビングでは足音が響いていた。

桐乃……だろうな。

俺はそう思い、なぜだか開ける事に迷いを覚えた。

開けて、あいつと顔をあわせて、なんて言えば良い?

……ええい。昨日言っただろ!!

闇雲に草原を歩き回れ!! 勇者キョウスケ!!

「桐乃!」

「あら、京介。早いのね」

お袋かよ!!

「なんでこんな時間から起きてるんだよ」

「……桐乃が、朝練に行ったからよ」

お袋が、俺の前に朝食を置いて言う。

「なぁ、正直どう思ってる?」

「なにが?」

「桐乃のこと」

「……」

途端に暗くなった空気に、息が詰まる。

「俺は正直、納得いかない。
何で今更、そうなっちまうんだって。
なんで、はなっからミスを見つけられなかった。
そう、怒鳴りたいよ」

「京介……」

何言ってんだろ。俺。

アイツが居なくなって清々するんじゃねーの?

あのあやせが妹なんだぜ?

お前にとってこれほどまでに無い喜びだろ。

そんな言葉が浮かぶ。

その全てを朝食と共に体の奥に押し込み、席を立つ。

「ご馳走様」

もやもやしたままで登校するのは嫌だったし、
一緒に登校している麻奈実も、ようやく起床する。
そんな時間。
だが、俺は独りで公園に居た。
麻奈美との待ち合わせ場所からすぐ近くの公園。

小さい頃良くやっていたブランコに座って、ため息をつく……。

「京ちゃん? 幸せ逃げちゃうよ?」

え?

俺に声をかけて来た人物は、麻奈美だった。

「な、なんで?」

「……京ちゃんのお母さんから電話が来たの」

余計なことしたってことか

「聞いたよ。あのこと」

「そっか……」

自然と口数は減り、2人共黙り込む。

「ごめんね、私じゃ何の助言も出来ないよ……」

「気にすんな。はなっから助言されてないんだからな」

「え?」

「こっちの話」

俺はそう言ってブランコから離れる。

「じゃぁ、行こうぜ。学校。いつもより早いけどさ」

俺はそう言って微笑み、麻奈美と一緒に学校へと、向かった。

「……」

「……なんで黙ってるんですか?」

俺は今、物凄い危機的状況に立たされていた。

レベル上げてないのに、
そのフィールドのボスモンスターに出会っちゃったって言う状況。

俺の目の前にいるのは、
知らないながらも、俺たちの悩みの中心人物の1人新垣あやせだった。

「あやせ、あの――」

「余計なことは良いので、桐乃に何をしたか白状してください」

あやせが俺のことを睨む。

正直、口に出してしまいそうな怖さがある。

でも、あやせの両親が何も言っていない以上、
俺が勝手に話す訳にはいかない。

「悪いけど、あやせには関係ないことだから」

「はぃ? 何言ってるんですか?
親友があんなに辛そうにしているのに、
それについて相談しているのに、関係ない?
そんな一言で済ませる気ですか?
どうなんですか! お兄さん!!」

あやせが怒鳴る。

普段は大人しいヤツだけど、怒るとこうなってしまう。

だからって言うわけにはいかない。

「だとしてもだ。あやせが介入した所で、何も出来ない」

「……私には何も出来なくて、お兄さんにはできる。そういうことですね?」

あやせが俯く。

少し傷つけちまったか?

けど、悪いな。

「そういうことだ」

「なら、絶対に何とかしてください。
破廉恥な行為とかは断固として認めませんが、
それでも何とか出来ますよね?」

「当たり前だ。それ以前に破廉恥なことをする気は無い」

俺がそう言うと、あやせが微笑む。

「では、よろしくお願いします。
ただ、解決したら、理由を教えてもらいますから」

あやせはそう言って、去っていく。

解決したら……か。

でも、多分それは無理だと思う。

解決する前に、あやせは聞くことになる。

俺じゃなくて、両親から……。

さて、どうやら、王様に謁見する為の鍵が手に入ったらしい。

魔物を手なずければよかったとは、中々に難しいRPGだ。

兎に角、一旦城に戻って……。

じゃなくて、家に戻って桐乃と話すか……。

「桐乃」

「話さないって言わなかった?」

「それは昨日だろ」

「今日も同じ! 明日も明後日も明々後日も!!」

桐乃が怒鳴る。

「それは別に良いけど、
あやせが心配してんだぞ?! 人にめ――」

「はっ、どうせそうだと思ったわよ!!」

?!

桐乃が怒鳴る。

どういうことだ?

そうだと思った?

何のことだ?

「妙に心配してると思ったら、そうね、そうよね。
あたしのことなわけないわよね……」



「何言って……」

「あやせが!! あたしの親友が……アンタの本当の妹が心配なだけでしょ!!
あたしなんかに構ってないで、あやせの所に行きなさいよ!!」

……桐乃。

あやせ。あやせっていうこと自体が禁句だったのか……。

そりゃ、そうだな。

自分の立場を奪う敵みたいなものだろうから……。

俺って馬鹿だな……。

「すまん。桐乃。
でも、俺はお前のこと心配してるから……無理してるなら話してくれよ」

俺はそう言って、桐乃の部屋の前から離れた。

だが、翌日。
自体は最悪の方向へと傾いた……。

「……」

「その……」

「……」

俺と桐乃、あやせが、
俺の家のリビングで、3人でただ黙り続ける時間。

こうなったのは、あやせが知ってしまったからだ。

あやせの両親が決断し、あやせに伝えたとの事。

「桐乃……」

「なによ。あやせ。集まろうって言ったのアンタでしょ」

桐乃が睨みを利かせて言う。

「き、桐乃。落ち着けって。
それで、あやせ、何のようなんだ?」

「……実は、明日。私と桐乃は本当の自分の家に戻らないといけないんです」

?!

なんだって?

「き、桐乃……知ってたのか?」

「だったら何よ。アンタが知らないのは、あたしが口止めしただけだから。
でもまさか、あやせが呼び出しちゃうとは思わなかった」

「ご、ごめん……桐乃」

あやせは縮こまっちまってるし、桐乃はキレてる。

しかも、明日って何だよ。

もう時間なんて無いじゃねぇか!!

「それで、その……一応。
挨拶くらい、しておこうと思ったんです」

あやせが申し訳なさそうに言う。

「挨拶って……お前の親はなんて言ってるんだ?」

「本当の両親のほうが良いだろうって」

「そうね、あたしもその方が良いわ。
馬鹿でのろまで使えない兄貴なんて……要らないから」

「なっ……」

「桐乃!」

立ち上がって部屋を出て行こうとした桐乃の腕を、あやせが掴む。

「――せ」

「え?」

「放せって言ってんの!!」

桐乃はそう怒鳴って、部屋を出て行き、自分の部屋へと駆け込んでいった。

「あやせ、その……」

「ごめんなさい。私が余計なことしてしまいました……」

あやせ……。

「私、帰ります……」

「ちょっ……」

あやせは、俺に止める間も与えずに、家を飛び出していった。

俺はただ呆然と立ち尽くし、追うことすら出来なかった。

「どういうことだよ」

「桐乃もそれでいいと言っているんだ。
俺はそれを尊重したに過ぎん」

「……くそったれ!!」

俺はそう言い放ち、自分の部屋へと逃げ込む。

俺はベッドに寝そべって溜息をつく。

桐乃にはああ言ったが、頼られたら。

俺は桐乃になんて言えば良い?

なにが、任せてくれ。だ。

親友が妹で、自分はその親友?

そんなぐちゃぐちゃなことになってる。

あやせが俺の妹で、桐乃はあやせんとこの子で。

じゃぁ、今。

隣の部屋で寝ている高坂桐乃は誰なんだ?

新垣あやせ。あれは一体誰なんだ?

桐乃が妹であやせはその親友で……。

なんで、それじゃ駄目だったんだ。
なんでいまさら、こんなぶち壊すようなことになったんだよ……畜生。

俺は頬を伝う何かを拭くことなく、夢にすがりつくように、眠りについた。

「急に呼び出されてみれば……
なにやらただならぬ相談のようですな、京介氏」

「どうせ、妹がどうのこうのって我侭でも言ってきたんでしょ」

俺は翌日土曜日。

桐乃のオタク仲間であり、俺の友達でもある、
沙織と黒猫を呼び出していた。

本当は俺だけで何とかするべきかもしれなかった。

けど、
俺にはどうしたら良いか……全く解らない。

「まず、俺が言うことは誰にも言わないでくれ」

「言わないわよ。どうせ、大したことでもないんでしょうし」

黒猫が呆れたように言う。

なんでだ。

でも、
俺は抑えきれずに、机を力強く叩いてしまった。

「「?!」」

「黒猫! 何にも知らないくせに、

そういう風に言わないでくれ!

あいつが我侭言った? 大したこと無い話?

それだったらどれだけ良いことか。

俺がそうであれと、どれほど願ったか。

ただの冗談であって欲しいと……俺は」

俺のいつもとの全く違う雰囲気に怯える黒猫と心配そうに見つめる沙織を店に残したまま、俺は飛び出した。

馬鹿だな……俺。

くそっ!!

「わ、私……」

なんてことをしたのだろう。私は。

知らなかったで済ませることじゃない。

あの人があんなに怒るなんて……。

「京介氏、きりりん氏。
互いにいざこざがあっても仲が良い兄妹のはず。
それを引き裂く何かがあったのか。
黒猫氏どうなさいまするか?」

どう?

「どうするって?」

「追うのか、追わないのか。
はたまた、追いかけずとも電話をかけるか。
方法はいくらでもござろう?」

沙織が微笑む。

「そうね……私がしたことだから私が何とかするわ」

「されど、乗りかかったのは拙者も同じでござる。
遠慮なく、相談してきて構わんでござるよ」

「ありがとう、心強いわ」

私はそう言って店を出て行った。

何やってんだ俺。

あれから数時間の間、
俺は公園のベンチに座って項垂れていた。

戻って黒猫たちに謝れば良いのに、
俺はこんな所に居る。

あの我侭な妹。

嬉しいはずだろ?

もう、我侭に振り回されることが無くなる。

それなのに、なんで――

「はぁっ、はぁっ、はぁ……見つけたわよ。この逃亡者……」

?!

黒……猫?!

「お前……」

「私にあれだけ怒鳴っておきながら、謝罪すら受けないとはどういうことかしら。
電話をしても電源が切れているって……」

そういえば、電源切れてるんだっけか……。

ん?

じゃぁ、まさか黒猫はこの数時間ずっと、
俺を探して走り回ってたのか?
こんな熱い夏に?

「逃げないで頂戴ね?
ただでさえ疲れ切ってるこの状況下で、
また逃げようものなら呪い殺すわよ」

黒猫はそう言って俺の隣に座る。

「黒猫……」

「さっきは、ごめんなさい。
事情も知らずに色々言ってしまって……」

申し訳なさそうな黒猫の声が、俺と黒猫の間に飛び出す。

「いや、俺こそ悪い。
日頃の行いからしてそういわれても当然だった」

俺はそう言って苦笑する。

「その笑い、空元気よ?
何があったのか。私に話してくれないかしら。
あの子は気に入らないけれど、それでも。
元気が無かったりすると調子が狂ってしまうわ」

黒猫……。

俺は黒猫に、
この前伝えられた俺と桐乃の本当の関係、
そして桐乃の親友が俺の妹であること。
それを伝えた。

「そう……そんなことになってしまったのね」

「ああ」

俺の声も黒猫の声も。

かなり暗く沈んでいた。

「ねぇ、先輩。貴方はどう考えてるの?」

黒猫は俺を見つめて、そう、訪ねてきた。

俺がどう考えているか……?

黒猫はそう質問し、俺の顔をじぃっと見つめてくる。

「貴方の率直な意見よ」

「……」

俺は黙り込んでいた。

どう答えればいいか。

それが全く解らなかった。

桐乃とあやせ。

どうすればいいんだよ……。

「あぁもう!! じれったいわね!!!」

不意に、黒猫が怒鳴る。

「な、なんだよ……」

「私が聞きたいのは!!
貴方にとって、高坂桐乃がなんなのかということ!
ただの妹?
世話したくなる人?
可愛い人?
大切な人?
綺麗な人?
ウザイ人?
嫌いな人?
好きな人?
迷惑な人?
貴方にとって、何なのよ!」

俺にとっての桐乃?

「そして、貴方のとって、もう一人の子は、なんなの?」

俺にとってのあやせ?

俺にとっての、2人。

「それが解らなければ、貴方は後悔のままに明日を迎え、後悔のままに別れる事となるわ」

「黒猫。お前だったら――」

「私だったらの答えは不要よ。私は私、貴方は貴方でしょう?
貴方は私ではなく、私は貴方ではない。
だとするならば、当然参考になる言葉など、私は持ち合わせていない。
けれども、私にも妹達がいる。
そうね、もし。私が貴方と同じ立場に立たされたとしても、
私があの子たちに言う言葉は決まっているし、たとえ家族だろうが、友達だろうが。
それだけは変わらないものとしてそこに存在するわ」

黒猫がクスッと笑う。

「私に言えるのはこれまでよ? 刻限はちかいのではなくて?
だとするならば、私なんかと話してて良いのかしら?」

俺にとっての2人は。

妹は……桐乃は、なんだ?

あやせはなんだ?

桐乃は迷惑なヤツで、図々しくて、
けど、良いヤツでもあって――そうじゃない。

アイツがどんなヤツだかなんて関係ない。

俺にとってのアイツの存在だ。

それは?

ただの妹か?

馬鹿言うな、そんなんじゃねぇだろ。

俺にとってのあやせは?

好みのタイプだな。

ああ、そうだな。

でも、妹なんだろ。

でもよ、京介。

良く考えろ。

お前は妹と、好みのタイプ。

どっちが重要なんだ?

好みのタイプはこれから妹としてずっと一緒だ。

けど、本当にそれだけで、お前は良いのか?

妹が好みの女になる。

それだけで、お前は妹をきりすてられるのか?

妹に、桐乃に言わなくちゃいけないことがあるんじゃないのか?

愛してるとかそんな馬鹿げた事でも、

ウザイとか、迷惑なヤツだとか……

そんなんでもなくてよ!!

「解った。ごめん、ありがとな」

「最後まで必要の無い言葉よ。解ったのなら行きなさい」


俺は黒猫をその場に残し、家へと走っていく。

__________

______

___


俺が家に着くと、丁度2人が入れ替わった直後だった。

「桐乃!!」

「アンタ……」

「京介。何して――」

俺にお袋の言葉は聞こえない。

よし、集中。集中。

周りに誰が居るとか知ったことか。

今ここにいるのは俺と桐乃の2人だけ。

「桐乃」

「何よ」

「今まで、ありがとな」

「べ、別に。アンタにそんなこと言われることしてない。
逆に、振り回してた……」

桐乃が困惑したように言う。

ああ、振り回されてきた。

あのゲームを拾ったせいでな

急に人生相談とか、留学だとか。

色々あった。

正直面倒だと思ったこともあった。

でも、でもだ。

「桐乃。俺は楽しかった。
お前が妹じゃなかったら、こんな楽しい人生じゃなかった」

「……」

だからこそ。

俺にとって、桐乃は。

「お前は、俺の人生に欠かせない、大切なヤツだ!!
どんなものより、どんなヤツより!!
全てがあっても、お前が居なきゃ、俺は満足しねぇ!!」

「ちょっ……」

「だから桐乃。いつでも俺に相談しに来い。呼び出してくれても構わない。
朝昼晩。いつだって、会いに行ってやる……っていうか。
お前が俺と血縁関係に無いってんなら。俺と恋人になれ桐乃!!」

「はぁっ?! アンタ何いってんの?! 馬鹿じゃないの?
変態、ロリコン!! 死ねぇ!!」

そう言って殴りかかってきた桐乃の手を掴む。

「ロリコンじゃねぇ。お前が俺より年上だろうと、俺はお前が大切だ!! 傍に居て欲しい!!」

「……っ……馬鹿」

「桐乃」

「お断りよ!! ……でも、また後で。人生相談あるから」

桐乃はそう言って笑いながら高坂家を去っていった。


なーにがお断りだ。

結局人生相談。あるんじゃねぇか。

俺がそう言って苦笑した瞬間だった。

「へぇ、私の目の前でよくも堂々と……言いましたよね?」

?!

怖い、冷たい、危ない、鬼だ!!

あやせが俺を睨みながら、今から殺すという殺気を放って近づいてくる。

「あ、あやせ、落ち着け!! 親父……って2人共家に戻ってるし?!」

ま、不味い。

玄関先で俺はあやせに殺されると言うのか?!

「……お兄ちゃん。行かないんですか?」

「へ?」

「桐乃のことだから、もう。すでに待ってると思いますよ? 家の前で」

「なんでそんなこと……」

「解りますよ。どんなことがあったって、私は桐乃の親友に変わりはありません。
貴方がお兄ちゃんってなるのは。とっても嫌ですが」

そこまで嫌わなくても……。

「早く行ってください。行かないとぶち殺しますよ?
桐乃を待たせる変態なんてただの変態です」

それただの変態だろ。

なんていうのはおいておいて、

「解った、行ってくる」

俺はそう言って、あやせの元から走っていく。

振り返りざまにあやせが笑ってた気がしたけど、
多分気のせいだ。

そして、あやせの言った通り、桐乃は新垣家の前にいた。

「あれ、意外と早かったね」

「ま、まぁな」

「もしかして、もう。あたしに会いたくなったとか?」

桐乃がにやっと笑う。

やれやれだ。

「だったらなんだよ」

「?!」

「馬鹿言ってないで、さっさと行くわよ!」

「行くって?」

「……ート」

ん?

「なに?」

「っ……こんなとこじゃ話せないでしょ!!」

「うわっ……ひっぱるな!」

桐乃が俺の腕を引っ張って歩いていく。

公園に着いたものの、時間が夕方のせいか人は見当たらない。

「一杯迷惑かけてあげるんだから、覚悟してよね。京介」

「桐乃……お前」

不意に口を開いた桐乃が、そんなことを言いだす。

「もう、兄妹じゃないから……」

「ちょっ……」

不意に腕を引かれ、桐乃の方に前のめりになった頭を、桐乃が掴む。

「京介が誘ったんだから、京介が責任取ってよね」

そう言って、桐乃が俺の唇に、キスをした……。

桐……乃……。

暫くして離れ、余韻に浸る……

「桐乃……」

「あたしの彼氏になったからには服のセンスくらいましになりなさいよ」

うぐっ……。

切り替えはやい!

「じゃ、そういうわけで。買い物行くわよ!」

「ちょっ、こんな時間から?!」

俺がそう言うと、桐乃が睨み返してきた。

「デートに時間は関係ないわよ! 馬鹿!」

デ……。

そっか。

「そうだな」

「何笑ってんのよ。気持ち悪い!」

「なっ、そこまで言うか!」

「バーカ、死ね!」

「断る!」

「……好きだよ」

「なっ……」

「何赤くなってんの? はっずかしぃ」

「お前もだろ!」

夕暮れの公園に、俺たちの笑い声が響いていた。 


出典:web小説達
リンク:http://novelhiroba.com/?p=184
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