EARTH・PERIOD@STAGE・1 (エロくない体験談) 16186回

2011/10/03 15:52┃登録者:痛(。・_・。)風◆pvNbTqv.┃作者:名無しの作者

「天宮のどこがいい訳?あんな暗くて不気味な女が、お前の好みなんか?」
「……いや、好みと言うか、なんか不思議な感じで気になるんだよな…。」
俺の名前は、谷川大和(たにかわやまと)。青春真っ盛りの高校三年生だ。趣味は読書。自分で言うのも難だが、地味でシャイボーイの弱虫チキン野郎。どのくらいシャイボーイかと言うと、女の子と目を合わせられないくらいの、シャイボーイだ。それに加えて、ビビりでモテない。どのくらいモテないかと言うと、自分の年齢と彼女いない歴が比例してしまう程に、モテない。なんだか、自分で言ってて悲しくなってきた…。
「それって、もう好きになってんじゃね?気になるんだろ?天宮の事が。」
今、俺と会話をしている人間が、同じクラスの松森直秀(まつもりなおひで)。運動神経抜群。身長でかくてバスケ部。スタイルもよく、茶髪でイケメン。ピアスなんかしちゃって、オシャレオーラ全開のチャラ男でモテる。どのくらいモテるかと言うと、毎日告白されるくらい、モテる!!第一、運動神経が良くて、身長があって、バスケ部でイケメン。これでは、モテない方がおかしい。羨ましい限りだ…。
「そう…なのかな?俺、天宮の事が、好きなのか…。」
「よし!そうとわかったらお前、今日の放課後に天宮に告白しろ。」
「えええ!?コクるとか無理無理無理。恥ずかしすぎる!!」
いきなり何を言い出すんだコイツは…。告白なんて、考えただけで恥ずかしい。直秀との関係は、幼なじみの大が付く程の親友だ。時々、お節介な事を言ってくるが、それは親切心から言ってくれてるみたいなので、面と向かって余計なお世話だ!なんて言える訳もなく、直秀に押し切られた形で、俺は放課後に天宮に告白する羽目になってしまった。嗚呼…、緊張する。

〜〜放課後〜〜

ホームルームが終了して、いよいよ天宮に告白する時がやって来た!直秀いわく、ちょっと話があるんだけど…。と、言って誰もいない場所に上手く連れ出して、自分の気持ちを伝えればいいらしい。
天宮結衣(あまみやゆい)。これから俺が告白する、女の子の名前だ。染めてない、綺麗な黒髪を後ろにまとめたポニーテール。華奢な身体で無口。眼鏡をかけていて、いつも窓際の端っこの席で読書をしている。友達と群れず、いかにも私に近寄るな!と、いう雰囲気をつねに放ち、クラスではちょっと…いや、かなり浮いている。けど…、天宮の事が、最近気になって仕方がない。確かに、好きという感情もあるかもしれないが、それ以上に、気になっている事がある。天宮は、時々学校を休む。休むだけならそんなに気にならないのだが、休み明けに必ず、大怪我をして登校してくる。腕を骨折していたり、頭に包帯を巻いていたり、顔面痣だらけだったり、時には全身傷だらけで登校してくる事もあった。
そんな謎めいた女の子、天宮結衣に告白する為、教室を見回す……のだが、天宮がいない!?なんで?なんでいないの?動揺して、思わず直秀を見てしまった。
「馬鹿、天宮なら教室から出てったぞ。追い掛けろ!」
「わ、わかった!!」
急いで教室から飛び出して、天宮を追わなければ!天宮は、部活をしていない。普通は学校が終わったら帰るよな…。ならばっ、天宮は生徒玄関に向かった筈だ。廊下を全速力で駆け抜け、生徒玄関を目指す。………のだが、生徒指導の鬼沢先生に見つかり、怒られてしまった。
「廊下は走るな馬鹿野郎!!」
「ヒイィィィ〜、ごめんなさ〜い…。」
鬼沢のおかげで天宮を完全に見失い、途方に暮れたまま帰路につく。チクショウ、鬼沢の野郎め!!人の恋路邪魔しやがって。
「気晴らしにゲーセンでも寄っていこうかな。うん、そうしよう。」
過ぎた事は仕方がない。明日こそ天宮に告白するんだ!なんて事を考えながら街を歩いていると、見覚えのあるポニーテールを発見!間違いない、あの後ろ頭は天宮だ!何と言う偶然…。……どうやって声をかければいいんだろ?偶然だね♪ちょっといいかな?……とか?いや、待てよ…。あれ?天宮さん?こんな所でなにやってるの?……とか?う〜ん悩む。あっ…、悩んでる間に、天宮が建物の中に入っちゃった。入った建物に、看板が掛けてある。……え?ネットカフェ?

〜〜〜24時間OPEN・漫画・ゲーム・インターネットの爆遊会館♪〜〜〜

「……ネットカフェ爆遊会館?天宮って、こんな店に行くんだ…。」
ちょっと以外だなー。なんて思いつつも、ネットカフェ、爆遊会館の看板を眺める。どうやら、利用料金は一時間遊び放題、ドリンク飲み放題で三百円らしい。リクライニング・シャワー付きとかも、看板の端っこに書いてある。あっ…!ひょっとして、天宮はこの店でバイトをしているんじゃないだろうか?だとしたらチャンスだ。偶然を装ってメルアドを聞き出し、メールで告白!なんて方法もいいんじゃないか?よし、そうと決まったら、早速入店してみよう。なにより、天宮が出入りしている店だから、興味が湧いてきた。入口に向かうと自動ドアが、ガーっ、とかいう阿呆みたいな音を出して開く。店内は以外と明るく、ネットカフェは暗い!と、イメージを持っていた俺にはちょっとした驚きだ。入ってすぐそこに、受け付けのカウンターが見える。カウンターの人間が一人だからなのか、それとも繁盛しているからなのか、一列の軽い列が出来ていた。当然、邪魔だ退け!なんて言って割り込める筈もなく、静かに列の最後尾に並ぶ。天宮は列んでないかな〜?と、辺りを見回してみるが………残念ながら、並んでいない見たいだ。じゃあ、やっぱりここでバイトしてるのかな?ただ待ってるのも難なので、前に並んでいる二人組の会話を盗み聞きすることにした。
「今日は特クエが来てるから、俺は弓のSRを600まで上げてやるぜ。」
「俺なんかプレ入ってるから、SRPが六倍だぜ!!特茶ナスで回そう。」
「えーっと…、特茶ナスが一回で6000Pだから、……36000P!?」
「しかもネカフェだから、レスタが付くしな。当然フラウ2だろ!」
………意味不明。どこの国の言葉ですか?全くもって理解不能。しかも、やたらとテンションたけーし。
「爆撃オーラ、早く使いたいな。」
「あれはヤバイからな〜。最近、求人区なんかは募集が全部爆撃オーラだからな。」
「まっ、今日でSR600までいくだろ。」
「十二時間コースだからな。いかない方がおかしいだろ!」
「「アッハハハハ!!」」
……どうやら僕は、別の異世界に迷い込んだようだ。言葉の意味が全くわかりません。……何がおかしいんだろうか?笑うところがあったか!?呆気に取られてる内に、どうやら自分の番が回って来たらしい。店員が愛想のない顔で、マニュアル通りに喋りだす。
「いらっしゃいませ。当店の会員カードはお持ちですか?」
「初めてだからないです。」
「では、こちらの紙に必要事項をお書き下さい。」
「あっ…、この店に天宮って女の子がバイトしてません?」
店員の顔付きが豹変した…。なんだ?俺、なんか変な事言ったか?
「……これはこれは。天宮様のご紹介ですね?どうぞこちらに…。」
いきなり店の奥に、連行に近い形で連れていかれる。なに?なにされんの?めっちゃ不安なんですけど。
「……こちらに。」
案内された場所は………ん?エレベーター?この建物、どうみても二階なんてないだろ。なんでエレベーターがある訳?店員がゆっくりとボタンを押したんだけど……、なんかおかしい。地下100階ってなに?つーか地下?地下なんてあるの?このネットカフェ。言われるがままに、エレベーターに乗り込む。その後に続き、店員も乗り込んできやがった!稼働音が室内を支配して、なんかおっかない。
「今日のカードは、ランク1のAMAMIYAと、ランク7の男爵ジャガ芋が対戦します。」
「………は?カード?ランク?対戦?」
「今日は高ランク同士の対戦ですから、きっと荒れますよ。………いろんな意味で。」
……間違いない。ここは、異世界だ!言葉の意味がさっきから全くわからない。天宮がいないんなら、もう帰りたい。
「お客様は、EARTH・PERIODのプレイヤーですか?」
は?なんだって?なんだそれ?
「いや、……違います。」
「これは失礼いたしました。天宮様のご友人なら、プレイしていると思ったのですが…。」
「……えっ?天宮様!?」
「世界ランク1位のプレイヤー、天宮結衣。あのお方のおかげで、日本は今現在、ランキングトップになっているのです。ご存知なかったんですか?」
今の話を聞いていると、どうやら天宮はなにかの一位になっているらしい…。つーか、そんなのどうでもいいから、早く天宮に合わせてくれ。そんな事を考えていたら、チーン!なんてベタな音だして、エレベーターが止まった。どうやら目的の階に着いたらしい。この先に天宮がいるのかな?
「………!!!!!」
驚き過ぎて、声が出せません…。びっくりし過ぎると、人間こんなんになるだ…。案内された場所は、かなり広い円形の……闘技場!?、例えるなら東京ドームくらいの大きさだ。全体的に薄暗く、客席がタワーのように遥か上まで連なっている。なにこれ?闘技場なの……か?つーか、地下闘技場って、バキみたいだ!
「…ではこれを。」
店員が何かを差し出してきた。暗くてよくわかんないんだけど…。受け取ってみて、これまた驚いた。
「真っ黒なバイクのヘルメット?それも、フルフェイス!?」
「お好きな席にお座り下さい。お座りになられたら、ヘッドスコープを被ってお待ち下さい。」
ヘッドスコープ!?このヘルメットの名前なのか?ダサい……、名前がダサいよ…。仕方ないから、言われた通りに適当な席に座ってみる。なんか、観客みんながこのヘッドスコープとやらを被っている。……俺も被らなければいけないんだろうか?ちょっと抵抗あるんだけど。被る前に、ちょっとイジくってみよう。右側の側面に、何やらボタンがいっぱい付いている。ズームとか、乱入とか、様々なボタンでいっぱいだ。……被りながら操作するのかな?
「Ladies and Gentlemen!今日の対戦はー…、ランク7位、燃える情熱溢れる男気!男爵ジャガ芋ーーー!!」
……いきなりなに?このアナウンス。しかも、なんだよ燃える情熱溢れる男気って?一体何が始まるんだ…?
「迎え撃つはランク1位、萌える美少女高校生、私は絶対負けません!無敗のクイーン、AMAMIYAーーー!!」

一斉に観客達のテンションが上がって、なんだか盛り上がれない俺は、一人取り残された気分なんですけど。いまだにヘッドなんとかとか言うヘルメットも被ってねーし…。
「おい、あんたなんでヘッドスコープ被ってないんだ?そんなんじゃ、つまんないだろ?」
突然、隣に座っていたオッサンから声をかけられた。なんだよ?なんか文句あんのかよ?……なんて言える筈もなく、え?とかマヌケな返答をしてしまった…。ほら、俺ってシャイボーイだからさ、人見知りしちゃうんだ♪
「なんだ?もしかして、EARTH・PERIODを観戦した事がないのか?」
全くしらねーよ。つーか、このオッサンどっかで見た事あるような…。誰だっけ?
「仕方ないな…、ほら!早く被って。おじさんが説明してあげよう。」
言われるがまま、ヘッドなんとかを被ってみる。わざわざこのヘルメットについて、説明してくれるらしい。……悪い人じゃなさそうだ。
「……ええ!?なにコレ?すっ、すげえ!!」
ヘッドスコープを被ってみるとあら不思議、めっちゃリアルなホログラム?3D?よくわかんないけど、中央の闘技場が、緑ひしめく草原に早変わり!……どうなってんのこれ?
「ほら、一番上についてる二つのボタンを押してごらん?視界の拡大・縮小が出来るから。」
言われた通り、拡大・縮小ボタンとやらを押してみる。おおお!ほんとだ!右のボタンが拡大、左のボタンが縮小みたいだ。しかも、ヘルメットだから自分の見たい方向を向いて、ピンポイントで自分の見たい場所を見れる!……なかなか優れ物じゃないか。ちょっとテンション上がってきたぞ!
「中段の真ん中に、大きなボタンがあるだろ?それは、ロックオンボタン。素早い動きをするプレイヤーや、目で追えない超速プレイヤーなんかを、自動で追尾してくれる便利な機能さ。」
……ロックオンって、なにをロックオンする訳?僕の視線は天宮をロックオン!……なんちゃって。
「まずはー…、ランク7位の、男爵ジャガ芋選手の入場です!」
ん?草原のど真ん中に、真っ黒い巨大なタマゴみたいな物体がでてきたぞ?……ここからじゃ遠くて、ちょっと見づらいなぁ。あっ、そうか!その為のヘッドスコープなのか!右側のボタンを連打して、おもいっきり視界を男爵ジャガ芋とかいう奴に寄せてみる。タマゴらしき物体が、左右真っ二つに割れて、中から人間が出て来る。ちょっぴり面白い。だって、タマゴが割れて中から人間が!って、なんだかマヌケな光景だ。
「男爵ジャガ芋選手のタイプは、狂戦士。その剛腕から繰り出される一撃は圧巻の一言!」
アナウンスが、男爵ジャガ芋とかいう奴の紹介をしている。……スゲエ筋肉!なにあれ?ボディービルダーも真っ青な肉体じゃん。上半身裸だし、右手にはいかつい斧なんか持っちゃってる。坊主頭で下半身はトレーニングパンツのみって…。
「真ん中の段の、左ボタンを押してごらん?ステータスが確認出来るから。」
あん?ステータス?B・H・Wの事?あんな筋肉男の身体なんか、興味ないんだけど…。とりあえず、押してみるか…。

〜男爵ジャガ芋〜
LV 74329
職業 狂戦士
HP 78000/78000
武器 獣神剛斧
防具 男のスタイル
能力 男のオーラ
戦績 173勝95敗引き分け0
アダム挑戦歴 0

画面の男爵ジャガ芋の頭上に、ゲームの能力パラメーターみたいなものが表示される。なにこれ?ステータスをみるかぎり、コイツは馬鹿みたいに強いって事が一目でわかる。
「続いてー…、世界ランク1位、現チャンピオン、AMAMIYAチャンピオンの登場です!」
アナウンスが喋り追えた瞬間、歓声が桁違いに盛り上がり、隣のオッサンなんか立ち上って叫んでいる。……おい、俺にもう説明はしてくれないのか?先程の男爵ジャガ芋と同じように、闘技場の真ん中に黒タマゴが現れる。そして、その中から……
「えええええ!?天宮!?」
間違いない。あれは、天宮だ!直ぐさま天宮の方向に首を動かし、拡大ボタンをこれでもか!というくらい連打する。もちろん、ステータスボタンとやらも連打だ!

〜AMAMIYA〜
LV 99999841
職業 大聖天使
HP 47723698/47723698
武器 大天弓バ・ヤガン
防具 神護符 極
能力 滅亡のアロー
戦績 1978勝0敗0引き分け
アダム挑戦歴 14回中0勝

……男爵ジャガ芋なんかよりも、遥かに強いみたい。0敗って、どんだけだよ!勝率100%!?……なんの勝率だかわからんが。一体、何が始まるんだ?

「準備はOK?
じゃ、………Fight!!」
男爵ジャガ芋が天宮に向かって突進していく!……ものすごい形相だ。あんな顔してたら、ヤクザも道を空けて通るんじゃないか?天宮は全く動かない。そのままの勢いで、男爵は斧を天宮に向かって振り下ろす!あっ、危ねえ!殺人未遂だろこれ…?ハラハラしていたら、天宮の背中から白い、まるで天使のような翼が生えてきた!?えーっと…、天宮って人間じゃないのかな?そのまま男爵ジャガ芋の攻撃が届かない場所まで、背中の翼を羽ばたかせ、舞い上がる。……って、飛び過ぎじゃね?顔を上に向けて、拡大ボタンを連打しても天宮の姿は見えて来ない。どうなってんの?他の観客達も、同じように上を見上げてる…。すると、何やら怪しげな光を放つ光弾が降ってきた。それも、一発だけでなく、何百という数だ!凄まじい勢いで降り注ぐ光弾!打ち上げ花火を空から地面に打つような感じだ。そのまま光弾は、草原に大量落下してとんでもない規模の爆発を巻き起こす。……男爵ジャガ芋を巻き込みながら。
「おーっと!!いきなりチャンピオンの必殺技、滅亡のアローが炸裂だ!」
すると、ヘッドスコープの画面に変化が現れる。

〜男爵ジャガ芋〜
HP 78000/78000
AMAMIYAの攻撃!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
MISS!!
HIT!!
HIT!!
HP 78000/48000
AMAMIYAの攻撃!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 78000/2540
AMAMIYAの最終奥義!
崩壊する世界!
命中率100%!
能力防御不可能!
武器劣化効果!
防具劣化効果!
蘇生効果無効!

……なんだか、ゲームのような表示が画面に出て来るんだが…、ゲームに詳しくない俺だけど、コレだけはわかる。あまりに一方的な攻撃!男爵ジャガ芋なんかなにもできねえじゃん…。HPが恐ろしい勢いで減っていく。

〜男爵ジャガ芋〜
武器 獣神剛斧
弱体化!
防具 男のスタイル
破壊!
能力 男のオーラ
無効化!

すると、上空からミサイルのような物体が落下し、これまでとはくらべものにならないくらいに大きな爆発が巻き起こる!……あまりにも、非現実的な光景。……やっぱりここは、異世界だ。うん、きっとそうだ。

AMAMIYAの攻撃!
HP 78000/0
男爵ジャガ芋戦闘不能
WIN AMAMIYA!
アダム挑戦権利書獲得!

「勝者、AMAMIYAー!!」
アナウンスが力いっぱい叫んでる。あの美しかった草原が、もはや見る影もないくらいに荒れ果てている。無数の巨大なクレーターがいくつも出来上がって、もはや別世界とも感じてしまう。……脇の方で、男爵ジャガ芋が横たわってる。…なんだかかわいそう。

「いやー、やっぱりチャンピオンは強いわ!流石、世界ランク1位だね。」
隣のオッサンが、何度も首を上下に振ってうんうん頷いてる。
「でも、やっぱりアダムには勝てないんだろうなー。あ〜あ、次こそは勝って欲しいんだけど…。」
なんだか意味深な言葉を残して、席を立つオッサン。気が付くと、他の観客達もヘッドスコープを外して、席を立って帰り支度をしている。……どうやら帰れるらしい。俺もヘッドスコープを外そうとすると、画面の中に見える男爵ジャガ芋に異変が起きた。
「……嘘だろ!?体が消えていく…。」
そう、男爵ジャガ芋の体が下半身から上半身にかけて、徐々に消えていくのだ!そして、最後には完全に消失した男爵ジャガ芋。……なんとも不気味な。とりあえず、ここを出よう。とどまる意味ももう、ないしな。帰りは、他の人間達と一緒にエレベーターに乗り込み、地上を目指す。
「やっぱりランク7位の男爵ジャガ芋程度じゃ、チャンピオンの相手にはならなかったな。」
「ああ、チャンピオンにダメージを与えられるプレイヤーは、上位ランクの四人くらいだろ…。」
「しかし、あれだけ強いチャンピオンでも、アダムには勝てないからな…。」
「次は本当にチャンピオンが勝ってくれるといいんだけど、無理だろうな。」
「地球の運命がかかってるから、頑張って欲しいよ…。」
エレベーターの中で聞こえてくる会話に耳をすませると、どうやら天宮より強い奴がいるらしい…。つーか、地球の運命ってなに?意味不明用語がまたでてきやがった。まあ、そんな事どうでもいいや。今日は疲れた…、早く帰って寝たい。チーン!
どうやら、地上に着いたらしい。みんな一斉にエレベーターから出て、ネットカフェのカウンターを目指す。成る程、通りで混む訳だ。こんな大勢の人間が一斉にカウンターに押しかけたら、列が出来るのは当たり前だ。入って来た時の列は、このせいだったのか。つーか、結局天宮には告白は出来ず仕舞いか…。明日、明日だ!明日こそ、天宮に告白しよう。聞きたい事も、一杯あるしな。

〜翌日〜

「オーッス!大和、学校行こうぜ。」
いつも通り、直秀が家に向かいに来た。食べかけのトーストを頬張りながら、かばんを担いで玄関に向かう。玄関の扉を開けると、輝かしい笑顔で直秀が立っていた。朝からテンションたけーな。しかも、めっちゃ爽やか!イケメンって、何をやってもカッコイイんだな…。
「おい大和、昨日天宮に告白できた?」
案の定、真っ先に昨日の事を聞いてきた直秀。どうせほんとの事言っても、信じてもらえねーだろうな…。
「いや、実は…まだなんだ。」
「は?まだな訳!?どんくさいな〜お前。」

〜谷川大和〜
HP 10/10
直秀の口撃!
大和はちょっと傷付いた!テンションダウン!

んんん!?なんだ今のは?
「いや、廊下に出て走って追いかけたら、鬼沢に怒られて見失った。」
「ドジ!なにやってんだよ。んで、今日こそはするんだろ?告白。」
「あったり前だぜ!今度は昼休みにするよ。」
「うし!その勢いで頑張れよ大和。」
「よーし、やるぞー!!」
気合いを入れて大声を出してみた。今日こそは、絶対に天宮に告白するんだ!
「うるさーい!朝っぱらから近所迷惑だよ、あんた!!」
……ゴミ出しをしていた近所のおばさんに怒られた。

〜谷川大和〜
HP 10/10
近所のおばさんの注意!
テンションダウン!
やる気ダウン!
元気度80%ダウン!


〜昼休み〜
いよいよ運命の昼休みがやってきた!天宮は、かばんからお弁当を取り出そうとしている。よし、今度は見失ったりなんかしない。緊張して、歩きがぎこちないのは気にしない。……後ろで直秀が笑ってる。わっ、笑うなあー!!緊張してるんだから、しかたないじゃないか…。天宮の席の前に立って、一言。
「あっ、あみゃみゅや。」
「………?」
……緊張して、口が上手く回りません。天宮は、は?なにコイツ。みたいな表情で俺を見てくる!……後ろで直秀が爆笑してるのは気にしない。
「……ちょっと、話しがあるんだけど、いいかな?」
よし!言えたー!!第一関門はクリアってところか?
「……話しって、なに?」
いたって冷静に返事を返す天宮。……そのクールなところがたまりません。
「ここじゃ難だから、屋上までいいかな?」
「……別にいいけど、その話し長くなる?」
「多分、長くなる。」
……聞きたい事も一杯あるしな。
「じゃ、お弁当食べながら話さない?私、お腹がバコバコでひん死の状態なの。」
んんん!?天宮からの嬉しい提案。勿論、ご一緒させてもらいます〜。……けど、お腹がバコバコって、どんな状態だ?初めて聞いたぞ…。バコバコなんて表現。天宮って、ちょっと天然入ってんのかな?

〜屋上〜
天気は快晴!太陽の光と、屋上を吹き抜ける風が気持ちいい。俺と天宮の他に、人はあまりいない。奥の隅っこに陣取り、弁当を広げる天宮。俺も天宮の隣に座って、今朝買ったコンビニのパンとおにぎりを、袋から取り出す。
「谷川君、話しってなに?」
「え?えーっと…。」
弁当食いながら、告白はないな。まず、昨日の事を話してみるか…。……いろいろ聞きたい事がありすぎて、何から話していいのかわからないな。
「昨日、不思議な物を見たんだ。」
「不思議な物?UFOとか?」
首を傾げながら、しゃべる天宮。いや、UFOって…。
「そんなんじゃなくて、……なんて言えばいいのかな?」
「ツチノコとか?あっ、エイリアンに襲われた!」
……ツチノコ?エイリアン!?ああ〜、めんどくせえ!話しがどんどん遠ざかって行く。昨日の出来事をそのまま話そう。
「ネットカフェ、爆遊会館…。」
「……え?ネットカフェ爆遊会館!?………もしかして、…………見た?」
見た?この見た?は、多分、地下で行われていたアレについて、まず間違いはないだろう。
「……聞きたい事が、一杯あるんだ。わかる範囲でいいから、答えてくれるかな?」
「そのまえに、谷川君はEARTH・PERIODのプレイヤー?」
「いや、そのアーなんとか自体もしらねえ。」
「……こりゃ話しが長くなるわ。多分、昼休みだけじゃ時間が足りないよ?」
……え?マジで?昼休み中に告白出来ねーじゃん。話し振っといて、やっぱりいいや。なんて言えないしな…。
「構わないよ。」
「う〜ん、何から話そう?」
「それじゃ、まずそのEARTH・PERIODって、何なんだ?あの地下で行われていたゲームみたいなやつは、一体なに?」
「EARTH・PERIOD。すごく簡単に言えば、VRMMO。」
……うん、すごく簡単だ。けど、どうみたってアレは、普通のVRMMOじゃないだろ。
「……けど、なんで谷川君があの地下に入れた訳?普通の一般人は、絶対に入れないのに。」
「なんか、天宮の名前出したら店員が勘違いして入れてくれた。」
「…あっ、そうなの…。じゃ、谷川君も既に、EARTH・PERIODのプレイ資格は持っている事になるわ。あのヘルメットみたいな物、被ったでしょ?」
ヘルメット?あっ、便利なヘッドスコープの事か!
「うん、被った。」
「あれは、EARTH・PERIODをプレイする時も、観戦する時も必要になるヘッドスコープよ。多分、谷川君のヘッドスコープは店に管理されてると思う…。」
「へー、そうなんだ。」
……見る事はあっても、プレイする事は絶対ないな。なんか怖いし。
「……わかってると思うけど、EARTH・PERIODは普通のVRMMOじゃない。自分自身の肉体や神経、命をゲーム内に転送して闘う、究極のオンラインゲーム。昨日、地下で見た私は、ゲームのキャラがあそこに映し出されたに過ぎない、いわゆるアバターって奴。」
……ハイテクノロジー!近頃のゲームはすげえな。
「あ!昨日、勝負が終わったら、男爵ジャガ芋が消えたんだけど、なんで消えたの?どうなってんのあれ?」
「勝負が終われば、ゲームの世界に戻されるようになってるの。私も上に飛んだまま消えたんだよ。」
ほー、謎が一つ解けた。じゃあ、天宮は普通の人間なんだ。あー、よかった!翼が生えた時はびっくりしたぜ。
「命を賭けて闘うって、じゃあ男爵ジャガ芋は死んだ訳?」
「あの程度じゃ死なないよ。余程のダメージとか、レベルに差が有りすぎると、死んじゃうけど。まあ、あのくらいなら、現実世界に反映される怪我は、骨折程度だと思うよ。」
……成る程、EARTH・PERIODをプレイしてたから、天宮は時々怪我をして登校して来たんだ。
「なんで、自分自身をゲームの世界に送り込む訳?そこまでしなくても、普通のオンラインゲームとして、実装されなかったのか?」
「……アダムって、知ってる?」
「アダム?最初の人間とか、人類の祖とか言われてる、あのアダム?あっ、エウ゛ァンゲリオンに出て来る第一使徒の名前も、アダムだな。」
「うん、まあそれに近いんだけど。……今から言う話しは、谷川君にとって、信じられない、凄い話しなんだけど、……聞きたい?」
「話してくれ。EARTH・PERIODとか言うゲームを見た時点で、俺の常識は崩壊したから。」
「EARTH・PERIODは正確に言えば、転送装置。」
「は?転送?オンラインゲームじゃなくて?」
「うん、正確に言えばね。」
「転送って、ゲームの世界にだろ?」
「そうなんだけど、もうひとつの世界にも行ける、いわゆる異世界。」
「異世界って、アレだろ?主人公が突然、異世界に飛ばされて、夢のような生活を送る、あの異世界か!?」
「EARTH・PERIODによって、飛ばされる世界は、夢のような世界じゃなく、真逆の地獄世界、アダムの住まう楽園に飛ばされるの。」
……楽園なのに、地獄のような世界なのか。楽園なのに地獄とは、これいかに。
「アダムは、人類の祖なんて言われてるけど、奴は単なる暇つぶしの為に、人類を生み出したの。」
……は?
「ちょっと待て。なんで天宮が、そんな事知ってんの?」
「アダムに、直接聞いたのと、世界中の学者達が、研究に研究を重ねた結果がこれなの。ほら、私って世界ランク1位だから、世界中のプレイヤーと友達なの。その中に学者が混じってただけ。」
……。あっ、まただ。驚き過ぎて、声がでません。
「EARTH・PERIODでゲームの中の自分自身を鍛え上げて、アダムの世界に転送。なんでアダムが地球、いや、銀河系を滅ぼすかと言うと、飽きたから。これ以上進化しない人類に、飽きたそうよ。アダムの楽園に行くとね、銀河系のプラモデルが飾ってあるの。そしたら、これ、本物だよ。……だって。」
「……。」
「EARTH・PERIODは、アダムを倒す為に生まれた、人類の小さな反撃。なんでゲームとアダムの楽園に転送されるかというと、波長がほとんどおんなじみたい。だから、どちらの世界にも行けるの。科学者達の技術の結晶とも言えるわね。」
「……要は、ゲームの世界で自分を強くして、打倒アダムを目的に頑張るのか!」
「うん。」
「……天宮は、アダムに勝てるのか?」
「14回挑んだけど、全敗。」
「EARTH・PERIODの施設は、爆遊会館にしかないのか?」
「世界中に無数にあるよ。」
「じゃっ、じゃあ…」
キーンコーンカーンコーン!
「ほら、昼休み終わっちゃった。まだ聞きたい事、あるでしょう?放課後、爆遊会館に一緒に行きましょ?そこで全部話してあげるから。」
「………。」
「じゃ、先戻るね。」
放課後……一緒に!?これって、デート!!!?……でも、こんな話し聞かされたら、告白どころじゃねーじゃん。地球は今、アダムによって、崩壊するかもしれないんだから…。

〜谷川大和〜
HP 10/10
天宮と放課後デート!
テンションアップ!
天宮のお話!
状態異常!
大和は絶望的な気持ちが芽生えた!
不安度MAX!!


〜午後の授業中〜
「……かわ。……谷川!」
「はっ、はいぃぃ!?」
「はい。じゃなくて、今の話聞いてか?」
やべっ、ぼーっとしてた。全く聞いてませんでしたなんて、言えないし…。ヤベーよ。先生怒ってるじゃん。
「えっ……と、ぼーっとしてました。すいません…。」
ぶっちゃけ、天宮からあんな話し聞かされたから、不安で生きてる心地しないんですけど。………ん?なんか飛んできた。って、チョーク!

〜谷川大和〜
HP 10/10
先生の攻撃!
怒りのチョーク投げ!
HIT!!
確定3DAMAGE!
テンションダウン!
HP 10/7

「以後、気をつけるように。」
「すいませんっした。」
おでこにチョークが直撃して、…普通に痛いんですけど。
「じゃ〜、松森!この問題答えてみろ。」
「………。」
ん?直秀…どうしたんだ?
「松森!」
「先生〜…、ちょっと待ってもらえません?」
「ん?どうした?わからないのか?」
「いや、今俺の狙ってる女の子に、メール打ってる最中だから、もう少し待ってて。」
おいいいいい!コイツ、完全に教師ナメてるよ…。
「松森!お前、授業中に携帯イジっていいと思ってるのか?」
「あ?だって授業つまんねーし。第一、女の子から送られて来たメールは、三分以内に返信するのが、俺のポリシーですから。」

〜松森直秀〜
HP 50/50
武器 携帯電話
防具 学生服
能力 1、教師への反抗
能力 2、ポリシー

VS

〜先生〜
HP 180/180
武器 チョーク
防具 高そうなスーツ
能力 1、チョーク投げ
能力 2、説教

先生の攻撃!
チョーク投げ!
MISS!!
直秀は回避した!

「うぜーんだよ。このゴミ教師!」

直秀の口撃!
挑発!
テンションアップ!
状態異常!
先生激怒!

「松森!ちょっと職員室まで来い!」
「イテテテ!耳なんか掴むなよ。ああ〜、まだメール送ってないのに〜……。」

先生の攻撃!
実力行使!
〜松森直秀〜
HP 50/20
職員室内への連行!
BATTLE強制終了!
テンションダウン!
携帯電話没収!
直秀はポリシーを守れなかった!
特殊効果!
授業は自習!
クラス全員のテンションアップ!

……なにをやってんだ?あいつは…。まあ、自習になったからいいや。…そんな事を考えていたら、天宮がかばんを持って立ち上がった。ん?天宮もなにやってんだ?
「谷川君、行くわよ。」
「は?行くって、爆遊会館に?」
「そこ以外に、何処に行く訳?」
「…いや、今授業中だし。サボるのか?」
「自習になった授業なんかに、意味はないわ。時間が勿体ないし、こうしてる間にも……。後は、言わなくてもわかるよね?」
アダムの事だな…。確かに、教室でこんな話しをしていたら、頭がおかしいと思われてしまう。
「わかった。行こう!」
とりあえず、天宮とデートができる!………場所が全然ロマンチックじゃないけど…。まあ、地球が崩壊する前に、天宮とデートできるなら、場所なんかどこでもいいか!


……えーっと、今俺は、天宮と一緒に下校している訳で…、ネットカフェ爆遊会館に向かってる。……授業をサボって。
「口では説明しきれないから、谷川君も必然的にEARTH・PERIODをプレイしてもらう事になるけど…。」
んんん!?俺、あんな恐ろしいゲームしなきゃならないの!?ぶっちゃけ嫌だ。だって……恐いじゃん。
「そんな恐がらなくても、大丈夫だよ。私も一緒にプレイするから。」
あっ…、どうやら、ビビっていたのが、顔に出てしまったようだ。そうか…、天宮も一緒にプレイするのか…。まあ、世界ランク1位の天宮がいれば、何とかなるか?
「わかった。俺も、EARTH・PERIODをプレイするよ。」
…言っちゃった。もう、後戻りはできないな〜。

〜ネットカフェ・爆遊会館〜
着いた。昨日とはまるで見え方が違う、爆遊会館。天宮はさっさと、店内に入って行ってしまった。俺も天宮の後を追って、店内に入る。すると、昨日と同じように軽い列が出来ていた。最後尾に、静かに並ぶ俺と天宮。
「今日はNPが欲しいから、とにかくやり込もうぜ。」
「俺は剛力と音無Gが欲しいから、NP全部それに突っ込む!」
「俺はNの塊が欲しいな〜。」
昨日いた二人組が、今日もいた。相変わらず、意味不明用語で会話している。……ほんっとにどこの国の言葉?
「なあ?天宮。前の二人組の専門用語って、EARTH・PERIODの言葉?」
「さあ?私も聞いた事がないよ…。」
………だよね。
「アシで報酬が激運になるから、素材が集まりやすいんだよな〜。」
「ネカフェガチャの防具も、高性能だしな。マジ、ネカフェ最高だよ!」
「ここ、ペイネットだからな。」
「「アハハハハハ!」」
……だから、笑うとこあったか?まあ、楽しそうだからいいんだけど。
「これは天宮様、ようこそいらっしゃいました。」
…また呆気に取られていたら、いつの間にか番が来ていた。天宮は馴れた様子で、店員と会話している。
「今日は、初プレイの彼がいるから……そうね、ビギナーフロントの模擬戦闘区域、53階にしてもらえる?」
「アダムに挑戦しないのですか?挑戦権利書は、昨日入手したのでは?」
「しばらくはいいや。今は、LV上げに専念する事にしたの。」
「そうですか…、かしこまりました。53階ですね?」
「うん、お願い。」
「あと、初プレイ者がいるのなら、職業リストを後でお届けしましょうか?」
「そうしてもらえると、助かるわ。」
昨日と同じように、店の奥に案内される。エレベーターの前まで来ると、店員がゆっくりと53階のボタンを押す。もちろん、地下53階だ。
「天宮、ちょっといいかな?」
「なに?」
「階によって、何が違うんだ?昨日は100階だったし…、何か違いがあるの?」
「うん、階によって、転送区域が異なるの。今日は、比較的初心者プレイヤーが集まる、初心者区域に行くから。」
…成る程、そういう事か。しかも、初心者区域ならば、危険もあまりないだろうから、安心だ。店員に案内され、エレベーターに乗り込む。俺と天宮が乗り込んだのを確認してから、最後に店員もエレベーターに乗り込んできた。……え〜、乗るのかよ。俺と天宮の、二人っきりの空間になると思ったのに…。……ちょっと残念。
「今現在のランキングに変動は?」
「ランキングに目立った変化はありませんが…、気になるプレイヤーが一人います。」
「どんなプレイヤーなの?」
「最近、急激にLVが上がり、ランクも19850位から、一気に140位までのし上がったプレイヤーがいるんです。」
「……よほどの実力がないと、そんな荒業みたいな事できないはず。才能が突出してるのかな?」
「……おそらく。」
……俺、完全に空気みたいな存在になってるじゃん。
チーン!
あっ、着いた。
「どうぞこちらへ。」
言われなくて降ります〜。よくも天宮と二人っきりの空間を邪魔してくれたな!……はぁ、なんか…小さい男だな、俺って。自分で言ってて恥ずかしくなってきた。
「うおぉお!?なんじゃこりゃー!!」

かなり広い、例えるなら、東京ドームくらいの…って、昨日も同じ例え方したような…。まあ、そのくらい広いって事で。薄暗い部屋に案内される。部屋の中心には、円形の超が付く程の、巨大な柱らしき物が、部屋の天井から地面まで貫通して立っている。その柱から、コードやら配線やら、LANケーブルらしき物が、大量に繋がっていて、部屋に置いてある無数の装置?らしき物に繋がっていた。
「では、ごゆっくり。後ほどリストをお届けしますので…。」
「うん、ありがとう。」
そういって、店員はエレベーターに乗り込み、行ってしまった。
「あの巨大なのは何?」
「ん?EARTH・PERIODの転送装置というか…。ようは、核となる部分かな?地下1階から98階までずっと貫通して建っている、巨大装置。」
地下1階から98階までって事は…、めっさデカイじゃん!…すげーな。
「さっ!早速プレイしましょ?」
……さっきから気になっていたんだが、無数に置かれているあの装置が、EARTH・PERIODをプレイする為の装置なんだろう。ヘッドスコープに加え、リストバンドらしき物や、腹巻き、足枷のような物があるんだが…。もしかして、あれ全部着用しないといけないの?意味不明機具の隣に、普通のパソコンが置いてある。ネットカフェなのだから、当たり前と言えば、当たり前なのだが。
どうやら、パソコンと謎の機具は連動しているらしい。天宮は手慣れた様子で、パソコンを立ち上げながら謎機具を装着し始める。………やっぱり着けなきゃならないのか。
「まずヘッドスコープに……、他の装置の正式名称ってあるの?」
「あるよ。リストバンドみたいなやつが、アームシーバー。腹巻きみたいなベルトが、ウエストキープ。足に付けるやつがバランスレッグ。」
……やっぱり、名前がダサい。この装置の名付け親は、ネーミングセンスはゼロに等しいな。
「つーか、なんでネットカフェの下にこんな装置が?別にこんな所に建てなくても……。」
「それは…、私にもわからないな。なんでだろ?」ヘッドスコープとその他の機具を装着して、パソコンを立ち上げる。デスクトップに、EARTH・PERIODと表示されているアイコンをクリックしようとしたら、店員がまた現れた。ん?なんか持ってる。何だあれ?それを天宮が受け取って、俺の所に持って来た。えーっと、なになに……EARTH・PERIOD全職業リスト一覧?って、なんだよこれ?
「なにこれ?」
「見ての通り、職業一覧。谷川君は初プレイだから、キャラメイクの時に職業を決めなければならないの。」
職業?ああ!戦士とか魔法使いとかいう、アレか…。え〜っと………、分厚い国語辞典みたいなんだけど。その中にギッシリと職業が書かれている。選び放題とは、このことだな。適当にハラハラとページをめくってみる。

〜職業一覧〜
・狂戦士
・聖戦士
・平凡戦士
・囚人
・不良警察
・武具職人
・聖天使
・大聖天使
・ニート
・自堕落人間
・猛獣使い
・竜騎士
・格闘家
・竜使い
・魔法使い
・水人間
・暴食家
・爆発歌手
・催眠術士
・黒魔術士
・廃人
・道具屋
・平凡騎士
・爆弾魔
・冒険家
・暴走族
・狩人
・風の子
・詐欺士
・狙撃手
・怪盗
・医者

……紹介したのはほんの一例なんだけど、多くね?しかも、なんだかおかしな職業があるし。ニートってなんだよ?ニートは職業じゃないだろ!
「谷川君、先に行くわ。キャラメイクを済ませたら、とりあえず中央の広場にいるから。」
…は?なんだって?聞き返す間もなく、いきなり天宮の体が光り始め、天宮は微動だにしなくなった。どうやら、ゲームの世界に転送されたらしい。……ちょっと待てよ?……動かない?………天宮の身体に、触ってもいいかな?……………そんな変態的行為は最低なので、止めておこう。
「とりあえず、EARTH・PERIODのアイコンをクリックすればいいのかな?」
えい、カチッとな。すると、パソコンの画面が切り替わり、画面一杯にEARTH・PERIODの文字が…。MENUを開いてっと。

EARTH・PERIOD

MENU
GAMESTART
OPTION
END

え〜っと、GAMESTARTでいいんだよな?

EARTH・PERIOD

GAMESTART
新規キャラ作成/転送

もちろんこれは、新規キャラ作成の方を選べばいいんだろう。カチッとな。新規作成をクリックすると、ゲーム内の自分、いわゆるアバターを作る画面がでてきた。……ふむ、まずは名前か。天宮のキャラ名は〜AMAMIYA〜だったっけ?ふっふっふ、カッコイイ名前を付けようじゃないか。

〜イケメンムスカ〜

……これは違うな。全然かっこよくない。それじゃ、こんなのはどうだろう?

〜もののけ大和〜

……イマイチだな。

〜風の谷のナウマン象〜

………う〜ん。

〜天空の引きこもり〜

……真面目に考えよう。え?なんでさっきから、ジブリに因んでるのかって?決まってんだろ。好きだからだ!

〜狩りぐらしの大和〜
〜風の谷のラピュタ〜
〜ムスカ大佐〜

ああ〜、決まらねえ!

〜アルプスの少女廃人〜

……これいいな。うん、いいよ!流石、俺!ネーミングセンス最高じゃないか!……けど、俺ネトゲ廃人じゃねーしな。これも却下。

〜あああああ〜

うん、THE・テキトー。こんな名前なんか絶対やだ。

〜そらとぶユパ様〜

えい、決定っと。名前は決めたから、次は職業か…。これは始めから決めていた。

〜そらとぶユパ様〜
職業 ニート

ん?どうやら、職業に適した武器を、一つだけ貰えるらしい。どれにしようかな〜?

武器選択
・自堕落ソード
・DVD手裏剣
・フィギアミサイル
・萌え萌えバズーカ

……どうやら、EARTH・PERIODのニートは、武器をみるかぎり、引きこもりのオタクニートという設定らしい。

〜そらとぶユパ様〜
職業 ニート
武器 自堕落ソード

おお!防具も一つ、貰えるみたいだ。

防具選択
・コスプレセット
・ミラクルジャケット
・ダサいTシャツ

……どれにしようかな?

〜そらとぶユパ様〜
職業 ニート
武器 自堕落ソード
防具 コスプレセット

んん?どうやら、HPと能力は、ランダムで決まるみたいだ。えい、ポチッとな。

〜そらとぶユパ様〜
HP 2/2
職業 ニート
武器 自堕落ソード
防具 コスプレセット
能力 憧れのあの人
戦績 0勝0敗0引き分け
アダム挑戦歴 0

よし!これで完璧だ!HPが2しかないのは気にしない。……よーし、いざ行かん!EARTH・PERIODの世界へ!!
えい、カチッとな。

「のわわわわわ!」
アバターを作って、転送ボタンを押したら、すんごい事になってます。なんて言うか…、魂?精神?みたいな物が、無理矢理身体から引っぺがされる感じ。そのまま、俺の意識は吹っ飛んだ。

〜模擬戦闘区域〜
「……う〜っ、ん?おお!こ、これがEARTH・PERIODのゲーム世界か!……つーか、ここどこ?天宮いないじゃん。」
俺が転送された周りには、いかにもRPGのような、不思議な町並みが広がっている。……どこでなにすればいいわけ?
「いらっしゃ〜い♪雑魚プレイヤーさん。」
いきなり誰かに話しかけられた。なんだよこいつ?外人か?つーか、なんで日本語喋ってんだよこの外人。あっ、向こうからみたら、こっちも外人か。
「今さ〜、お金に困っててさ〜。ちょっと金恵んでくれない?」
は?何言っちゃってんのコイツ?嫌に決まってんだろ!外人の頭の上に、名前が表示されている。ついでにステータスも確認してみよう。

〜エレック・バードン〜
LV 781
職業 火炎人間
HP 1050
武器 悪ノリブーメラン
防具 死者の衣
能力 焼き尽くす焔弾
戦績 89勝147敗0引き分け
アダム挑戦歴 0

………ここ、初心者区域とか天宮が言ってなかったっけ?LV781のどこが初心者だよ!
「…え?」
「え?じゃねえよ。いいから早く金渡せ!」
どうやら、初心者プレイヤーを狙った、悪質なプレイヤーのようだ。……転送されて、チュートリアルも受けずにカツアゲとは…。
「あん?お前HPが2しかねえじゃん。これは好都合だな。」
「え?好都合?」
「一撃でも入れれば、お前は即死!経験値も増えて、金も巻き上げて一石二鳥だぜ。」
……外人のくせに、一石二鳥か…。難しい言葉を知ってるんだな。
「そんなレベルで、模擬戦闘区域にノコノコ入ってくるお前がわるいんだぞ?怨むなよ〜。」

〜エレック・バードン〜

VS

〜そらとぶユパ様〜

「ほら!死んじまいな!」
外人がなんか投げて来た!なんだあのブーメラン!?炎を纏いながら飛んでくるぞ!危ない事この上ない…。
「うわわわわ!?」
咄嗟に身を屈めて、その頭上を燃えるブーメランが通過していく。……マジおっかないんですけど。

〜そらとぶユパ様〜
HP 2/2
エレック・バードンの攻撃!
悪ノリファイヤー!
MISS!!
そらとぶユパ様は回避した!

「くっそ〜、外人め!!」
なにか…、なにかないのか?あっ!腰の脇に何かある……、んん?こ、これは!俺の武器、自堕落ソード!勢いよく、鞘から自堕落ソードを引き抜く!だる〜い、という効果音のオマケ付きで。
「よし、いくぞ!」
外人はブーメランを投げたせいで、完全に手ぶらだ。……いきなりチャンスじゃね?勢いよく外人に突っ込んでいく!

〜エレック・バードン〜
能力発動!焼き尽くす焔弾!
攻撃力アップ!
テンションアップ!
特殊効果!
HP攻撃変換!
HP 1050/850
威力200増大!
命中率20%アップ!

………なんか、ヤバイ匂いがぷんぷんするんだけど。

「逝っちゃえよBOY!」
…逝くって、どこに逝く訳?つーか、俺ピンチじゃん!どうする?どうしよう!?やべー!超焦る!
外人から無数の、竜の形をした爆炎が、俺に向かって放たれる!……うん、これ死んだね。だって、こんな攻撃避けられねーし…。

〜そらとぶユパ様〜
HP 2/2
エレック・バードンの攻撃!
焼き尽くす焔弾!

……終わった。思わず目を閉じたその時!奇跡が起きた。

〜そらとぶユパ様〜
HP 2/2
オート能力!
憧れのあの人!
〜AMAMIYA〜に憧れる〜そらとぶユパ様〜
思いが届いた!
〜AMAMIYA〜の分身が現れた!
〜偽AMAMIYA〜
LV −
武器 −
防具 −
能力 滅亡のアロー
最終奥義 崩壊する世界
防具オート能力発動!
PTメンバーのコスプレ!
〜そらとぶユパ様〜
LV −
職業 大聖ニート
武器 −
防具 −
能力 滅亡のアロー
最終奥義 滅亡ニート

……は?何コレ?
外人もびっくりしてる。けど、一番びっくりしたのは僕なんですけど。しかも何?大聖ニート?滅亡ニート!?

〜エレック・バードン〜
偽AMAMIYAの攻撃!
滅亡のアロー!
焼き尽くす焔弾は、滅亡のアローによって掻き消された!
焼き尽くす焔弾!
無効!
滅亡のアロー!
HP 1050/850
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 1050/0
戦闘不能!
WIN 〜そらとぶユパ様〜
能力ブースト獲得!
上位LVプレイヤー撃破ボーナス!
経験値×相手LV
781倍!
LVアップ!
LV 1→LV 422
〜そらとぶユパ様〜
LV 422
HP 870
職業 ニート
武器 自堕落ソード
防具 コスプレセット
能力 憧れのあの人

………え?どうなってんのこれ?ニートって、もしかしてめちゃくちゃ強い職業なんじゃ…。いきなりLVが422になったし…。
「おっ、お前は何者だ?なんだ?その能力は…。」
外人が倒れながら、こっちを向いて喋ってくる。……こっちが聞きたいくらいだっつーの。
「……何者?ふっふっふ、見ての通り、腐海一の剣豪を受け継ぐ者、そらとぶユパ様だ!」

かっ、カッコイイ!決まったぜ…。
……ん?外人の顔に、おもいっきり、なんだそれ?という表情が表れてる。
なにぃ!?ひょっとして、この外人はあの名作、風の谷のナウシカを知らんのか!?

「……ナウシカ知らないの?」
「なうしか?」
どうやら、ナウシカを知らんみたいだ。仕方がないので、風の谷のナウシカの魅力をこれでもか!と、いうくらい教えてあげた。
「ログアウトしたら絶対見るんだぞ!」
「わかったよー。YES!」
「あと、もうこんな悪い事はしちゃいけません!わかった?」
「わかったよー…。YES!ごめなさーい…。」

ふぅ…さてと、天宮のいる場所に行きますか!
……あれ?天宮はどこで待ってるって言ってたっけ?…忘れたんだけど。やべー!いきなり迷子!?
……まあ、いっか。なんとかなるだろ。

〜谷川大和〜
HP 10/10
迷子になった!
能力、お気楽な思考!
危機感ダウン!



「まずは、アイテムを揃えないと駄目だよな?」
武器・防具が初期装備にもかかわらず、優秀な性能だったので、装備は整えなくてもいいや。ちょっぴり面白おかしい町並みに、目を奪われながら、適当に散策してみる。町を歩いていると、いろんなプレイヤーを目にする訳で…。
「……なんか、みんな戦ってるのは気のせい?」
そうなのだ。目にするプレイヤーのほとんどが、ところ構わず凄まじい戦闘を繰り広げているのだ!
……治安が悪いのか?
「……おっかない世界だな〜。」
そんな事を考えていたら、突如、巨大な地震と共に、鼓膜が破れんばかりの爆音が町中に響き渡る!
…なんだよコレ!?なんの音だ!?

〜緊急事態発生!〜
〜緊急事態発生!〜
〜緊急事態発生!〜

……は?

〜ルドゥン竜襲来!〜
〜ルドゥン竜襲来!〜
〜ルドゥン竜襲来!〜
ビギナー・模擬戦闘区域に出現!
〜そらとぶユパ様〜
イベント発生!
ルドゥン竜の襲来!
参加しますか?
YES/NO

……えーっと、意味がわかんないんだけど。すると、空から現実世界では、ありえないくらい巨大な竜が飛来してきた!そのまま今いる町に、堂々と翼を羽ばたかせ、舞い降りる。

〜ルドゥン竜〜
LV 9000000000
特殊モンスター!
HP 10000000000/10000000000
能力 不屈の魂

……LV 9000000000!?
かっ、勝てる訳ねーじゃん。多分、このイベントは、あの竜を倒せって事なんだろう…。
無理無理無理無理!
あんなビルみたいにでっかい竜に、絶対勝てねーよ。

〜ルドゥン竜〜
ルドゥン竜の無差別攻撃!
〜ぴろり〜
HP 140/0
〜ミハエル〜
HP 200/0
〜碗黄流〜
HP 70/0
〜ギバムッケ〜
HP 835/0
〜以下略
戦闘不能者83人

……おっかない。逃げるに越したことは……

〜イベント参加者!〜

〜AMAMIYA〜
〜ガルデ・ゾーラ〜
〜PUMA〜
〜骨〜
〜CALPIS〜
〜破壊の亡者〜
〜けろけろ〜
現在7人!
参加者募集中!

天宮!?えええ!?あんな巨大な奴と闘うの?
……ここで逃げたら男が廃る!
えい、ポチっとな。

〜そらとぶユパ様〜
イベントに参加しました。
〜イベント参加者!〜

〜AMAMIYA〜
〜ガルデ・ゾーラ〜
〜PUMA〜
〜骨〜
〜CALPIS〜
〜破壊の亡者〜
〜けろけろ〜
〜そらとぶユパ様〜
現在8人!
参加者募集中!




〜参加者受付終了〜
計8人で、ルドゥン竜に挑んで下さい!

〜ルドゥン竜〜

VS

〜AMAMIYA〜
〜ガルデ・ゾーラ〜
〜PUMA〜
〜骨〜
〜CALPIS〜
〜破壊の亡者〜
〜けろけろ〜
〜そらとぶユパ様〜

……果たして、あんな化け物に勝てるんだろうか?
………めちゃくちゃ不安なんですけど。

〜参加者召集!〜
参加プレイヤーは中央広場に強制転送されます。

「うっ、うわわわわ!?」
いきなり、黒いタマゴみたいな物体が頭上に現れ、俺を包み込む!
なになになに!?暗い狭い何処?
軽くパニックを起こしていたら、なんとあら不思議!いきなり、光りが差し込み、視界が開けた。どうやら、ここが中央広場らしい。
「谷川君!?何処行ってたのよ?待ってても全然来ないし…。しかも、なんでいきなりLVが422になってるの!?」
おお!天宮発見!……なんか、ちょっと怒ってる?
「……えっと、憧れパワーです。」
「はあ?意味わかんなーい。」
「…つか、どうなってんだこの状況?なにあの竜?」
「あっ、ひょっとして参加しちゃったの?まあ、だからここにいるのか…。よく聞いて、あの竜は、アダムが送り込んで来た刺客。LVが桁違いでしょう?あの竜を倒さないと、EARTH・PERIODのシステムが破壊されてしまうの。」
「……え?マジ!?」
「マジよ。EARTH・PERIODのシステムが破壊される。それが、どういう意味かわかる?」
「わかりませーん。教えて下さい、天宮先生!」
「茶化さないで。EARTH・PERIODのシステムが破壊されたら、アダムの世界に転送出来なくなる。すなわち、アダムは銀河系を好きに出来るけど、私達人類は何も出来なくなる。つまり、地球が滅びるのを待つだけよ。」

……え?それってやばくね?じゃあ、絶対に負けられないじゃん。
「あれあれ〜?ひょっとして、彼氏?天宮ちゃんやっるー!」
……とってもセクシーなお姉様が、こっちに向かって歩いてきた。
そうです。私が天宮の彼氏です!……なーんて言える日が来る事を願ってます。
「あっ、美咲さん。違います。彼氏じゃないです。」
美咲さんとやらは、キャバクラ嬢のような、少し肌が露出する、派手なドレスを身に纏い、髪も派手に盛っている。……う〜ん、セクシー!大人のお姉様もたまらないが、やっぱり天宮の方が好みだな。
「あっ、どうも。はじめまして。谷川です。」
「こちらこそよろしくね。……ぶっ!」
いきなり美咲さんが吹き出した。何?どうしたの?
「アハハハハ!なにその名前!?そらとぶユパ様!?アハハハハ!しかも職業がニートって、アハハハハ!ウケる〜。」
……なんで?カッコイイじゃん。そらとぶユパ様。
「えええ!?谷川君ニートを選んだの!?」
え?なんでそんなに驚く訳!?
「アハハハハ!ニート選んだ人、はじめて見たよ。アハハハハ!ニート谷川!アハハハハ!」
…美咲さん、笑いすぎじゃね?どうやらツボにハマったようだ。笑いすぎて涙流してる。
「私もはじめて見た…。谷川君って、変わり者だね。」
……そうかぁ?
爆笑している隙に、美咲さんのステータスをチェックだ!

〜けろけろ〜
LV 2673
HP 2940
職業 嫁入り前の中年廃人
武器 竜殺しのバズーカ
防具 キャバクラローブ
能力 魅惑のセクシー
戦績 183勝49敗1引き分け
アダム挑戦歴 1

……強くね?つーか、人の事言えないだろ!なんだよ嫁入り前の中年廃人って!ニートよりも終わってる気が…。

〜ルドゥン竜〜
行動開始!
参加プレイヤーは全力で倒して下さい!
BATTLE
………FIGHT!!

いきなり天宮が、背中から白い翼を出現させ、ルドゥンに向かって超スピードで飛んで行く。
他のプレイヤーも、目つきがかわった。

〜ルドゥン竜〜
AMAMIYAの攻撃!
滅亡のアロー!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 10000000000/9999999992
骨の攻撃!
刺激的なオーラ!
自身攻撃力アップ!
ガルデ・ゾーラの攻撃!
遠距離射撃!
ルドゥン竜の弱点を撃ち抜いた!
HP 10000000000/9999999990

いや、いやいやいやいやちょっと待て!
天宮の滅亡のアローでも、一撃につき1ダメージ!?
世界ランク1位の天宮でも1ダメージって事は、俺の攻撃じゃダメージは与えられないんじゃ…。

〜ルドゥン竜〜
ルドゥン竜の攻撃!
冥界への導き!

……なんか、竜が大きく息を吸い込んでる。これは、口から何か吐き出すってパターンか?

絶望の息吹!
即死効果!
〜PUMA〜
即死!
戦闘不能!
〜CALPIS〜
即死!
戦闘不能!
〜破壊の亡者〜
即死!
戦闘不能!
〜AMAMIYA〜
即死!
オートアイテム発動!
復活の聖杯!
蘇生!
復活の聖杯が壊れた!

……チートって言葉、知ってる?あの竜は、チートそのものみたいな強さだ。
……俺、生きてログアウト出来るんだろうか?


「……あらあら、天宮ちゃんも即死する程強いのね。あ、ニート谷川、ちょっとどいてくれる?」
……俺のあだ名は、ニート谷川になってしまった。つーか、美咲さんは何する気だ?
んんん!?担いでいた、折りたたみ式の何かを、器用に組み始めた美咲さん。
どうやら、巨大な重弩みたいな武器を、美咲さんは使うらしい。鈍く、黒光に輝く重弩は、なんだか恐ろしく感じる。
弾丸を、素早く丁寧に装填し、重たそうに重弩を持ち上げた美咲さん。
……迫力あるな〜。
「これでも喰らいな!」
爆音と共に、発射された弾丸は、ルドゥン竜に向かって、一直線に飛んでいく!……火薬の匂いと、美咲さんの香水の匂いが合わさって、おかしな匂いが辺りに充満してる。

〜ルドゥン竜〜
けろけろの攻撃!
竜殺しのバズーカ!
竜殺弾発射!
CRITICALHIT!!
効果絶大!
HP 10000000000/8999999990

うおおおお!?つ、強い!この攻撃を繰り返せば、意外と楽に倒せるんじゃないか?
「い、行ける!勝てますよ美咲さん!どんどん連射してください!」
「うるさいニート谷川!言われなくてもやるわよ!」
………怒られた。

〜ルドゥン竜〜
AMAMIYAの最終奥義!
崩壊する世界!

「あっれー?もう最終奥義使っちゃうのかー。さっきの即死で焦ってるのかな?ふふふ…、かわいい♪」
「え?美咲さんって、そっちの世界の人なんですか?」
「冗談通じねー男だなテメエ!んな訳ねーだろ。」
ひいいいいぃぃぃ!!こ、恐いよ〜!

命中率100%
能力防御不可!
蘇生効果無効!
武器劣化効果!
防具劣化効果!
〜ルドゥン竜〜
ステータス変動無し
崩壊する世界!
HIT!!
HP 10000000000/8794999290
ルドゥン竜の攻撃!
ドラゴンナックル!
HIT!!
〜AMAMIYA〜
HP 47723698/7723698
ルドゥン竜の追撃!
ダイナミックスタンプ!
HIT!!
HIT!!
HIT!!

あああ!天宮が竜にぶん殴られて、地上にたたき落とされた!さらに、竜の攻撃は続いている。地面に落ちた天宮を、巨大な足で踏みまくってやがる!
野郎〜!絶対にゆるさねえ!!

HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HP 47723694/2401
〜そらとぶユパ様〜
オート能力発動!
憧れのあの人!
………MISS!!
〜けろけろ〜に、思いは届かなかった!

……え?ひょっとして、憧れる人間はランダムに決められる訳!?

防具オート能力!
PTメンバーのコスプレ!
〜そらとぶユパ様〜
LV −
職業 結婚不可能な中年ニート
武器 −
防具 −
能力 ニート殺人弾
最終奥義 滅亡ニート

……どうやら今回は、美咲さんの能力をコピーしたらしい。……ちょうど違うけど。
「は?ニート谷川!なに人の能力パクってるわけ!?」
「これが、ニートの能力なんです。意味わかんない能力ですけどね。」

〜ルドゥン竜〜
そらとぶユパ様の攻撃!
ニート殺人弾!
けろけろの武器をちょっぴり拝借!
武器 竜殺しのバズーカ
ニート弾装填完了!

「は?何人の武器奪ってんだよテメエ!!」
「しかたないじゃないですか!弾だけがあっても、意味がないし…。」

ニート殺人弾発射!
暴発!
自爆!
HP 870/570

「いだだだだ!?なにこれ?どうなってんの?暴発!?」

〜ルドゥン竜〜
骨の攻撃!
ドロップキック!
HP 10000000000/8794999290

……骨とかいうプレイヤーの攻撃じゃ、ダメージは0か…。

ルドゥン竜の攻撃!
メテオドライブ!
一段 噛み付き!
HIT!!
二段 放り投げる!!
HIT!!
三段 終焉の息吹!
HIT!!
〜骨〜
即死!

ああ!骨が死んだ!また一人PTが減ってしまった…。

〜そらとぶユパ様〜
オート能力の効果が切れた!
ステータスはHP以外元に戻ります。

……やべえ。非常にまずい状況じゃないか?これは…。……よし、自堕落ソードで切り込んで、天宮を助けだす!


「ちょっ、ニート谷川!なにするつもり?」
「天宮を助けに行きます!」
「あんたのLVじゃ、即死するのがオチだよ。やめときな!」
「……………です。」
「は?なんだって?」
「天宮がいない世界なんか、俺には考えられない。天宮が助かるなら、俺は死んだっていいんです!」
「ヒュー♪言うねえ、ニート谷川。よし、援護射撃くらいはしてあげる。」
自堕落ソードを、鞘から引き抜く!めんどくせ〜、という、効果音のオマケ付きで。
……自堕落ソードって、強いのかな?自堕落ソードで、まだ攻撃したことがないからわかんないな。
ルドゥン竜は、とどめとばかりに天宮を踏み潰そうとしている!…やばい、HPが2401しかないから、次の攻撃を喰らったら天宮のHPは0になってしまう!

〜ルドゥン竜〜
ガルデ・ゾーラの攻撃!
煙幕弾!
状態異常!
行動制限!
一定時間行動不能!

おお!ナイス支援だ!……つーか、ガルデ・ゾーラとかいうプレイヤーの姿が、全く見えない。かなりの遠距離から攻撃しているみたいだ。
「あっ、ちょっと待った。ニート谷川、そこから動くなよ。」
「え?」

ズドーン!

ギャー!!う、撃たれた!?美咲さんの人で無し!

〜そらとぶユパ様〜
けろけろの攻撃!
駿足弾!
移動速度アップ!
攻撃速度アップ!
回避率15%アップ!

「よし!行きな。」
おお!これなら行けるかも。うは、体が軽い♪めちゃくちゃ速く走れてるじゃん。100メートルを、余裕で10秒切れるくらい速い!
「天宮!」
どうやら天宮は、ルドゥン竜のドラゴンナックルで気を失っていたようだ。一気にルドゥン竜の懐に……いや、足元だね。うん。
「天宮!生きてるか!?」
潜り込んで天宮を背負う。

〜ルドゥン竜〜
煙幕弾の効果が切れた!
行動再開!

うわわわ、やべやべやべ。踏まれたら俺も天宮も死ぬ!

〜ルドゥン竜〜
けろけろの最終奥義!
竜滅波動砲!
装填完了!
発射!
究極フルバースト!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
HIT!!
非情なる追い撃ち!
敗滅竜弾!
+確定1500DAMAGE!
HP 10000000000/3665115143
ガルデ・ゾーラの攻撃!
冷酷なる狙撃者!
命中率100%アップ!
テンションMAXダウン!
音も無き狙撃!
CRITICALHIT!!
HP 10000000000/3465115140

すっ、すげー。二人とも、とんでもなく強い!
「ルガアアアアアア!」
「うわわわわ?なんだ?」
思わず耳を塞ぎたくなるような、爆音が響き渡る!つーか、うるせえ!

〜ルドゥン竜〜
HP一定減少により覚醒!
全ての攻撃に即死効果!
移動速度アップ!
能力発動!
不屈の魂!
防御力アップ!

……ちょっと待てよ。この竜がアダムの刺客なら、当然アダムはこの竜より強いって事にならないか?
………なんか恐ろしくなってきた。考えるのやーめた。

「おい、天宮!大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「………。」
天宮からの返答はない。本当に大丈夫なんだろうか…。HPは0になってないから、死んではないと思うんだけど…。
「お、ニート谷川!無事に戻ってきたな。」
なんとか、ルドゥン竜から離れ、天宮の救出に成功した。ふ〜、恐かった。
「美咲さんの援護射撃のおかげで、なんとか…。」
「礼は後にしな。まず、あの竜を先にぶちのめす!」
〜ルドゥン竜〜
ガルデ・ゾーラの攻撃!
急所集中連続射撃!
CRITICALHIT!!
CRITICALHIT!!
CRITICALHIT!!
HIT!!
CRITICALHIT!!
HIT!!
HIT!!
CRITICALHIT!!
CRITICALHIT!!
CRITICALHIT!!
掟破りの10連続攻撃!
HP 10000000000/1910742582
けろけろの攻撃!
竜滅貫通弾!
装填完了!
発射!
MISS!!
ルドゥン竜は空に飛翔!

「チィッ、外した!ニート谷川!あんたも攻撃しな!」
「え?俺、遠距離攻撃なんかできないんですけど…。」
「攻撃用アイテムくらいは持ってるだろ!それつかいな!」
成る程、アイテムか……って、俺アイテム一つも持ってねー!!
ん?あっ!一つだけあったぞ!

〜そらとぶユパ様〜
アイテム使用!
能力ブースト使用!
能力使用制限開放!
憧れのあの人!
使用回数 無限!
憧れのあの人!
〜AMAMIYA〜に憧れる〜そらとぶユパ様〜
………MISS!!
思いは届かなかった!
憧れのあの人!
〜AMAMIYA〜に憧れる〜そらとぶユパ様〜
………MISS!!
思いは届かなかった!

くっそー!使用回数は無限になったんだ!成功するまで繰り返してやる!
「……しつこい男、あんたモテないだろ?」
「えええ!?そ、そんな事ない………かも?」

思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いが届いた!

き、キター!

〜偽AMAMIYA〜
LV −
HP −
職業 大聖天使
武器 −
防具 −
能力 滅亡のアロー
最終奥義 崩壊する世界

よ、よし!さらに繰り返して……。

思いが届いた!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いが届いた!
思いは届かなかった!
思いが届いた!
思いが届いた!
思いが届いた!
思いは届かなかった!
思いが届いた!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いは届かなかった!
思いが届いた!
思いが届いた!
思いが届いた!
〜偽AMAMIYA〜×10
LV −
HP −
職業 大聖天使
武器 −
防具 −
能力 滅亡のアロー
最終奥義 崩壊する世界

ふははは!世界ランク1位の天宮の分身が十人だ!
まさに、恐怖の軍団!
覚悟しろルドゥン竜!
天宮を傷付けた罪は重いぞ!

〜ルドゥン竜〜
最終奥義!
闇魔界への導き!
ダークネス・ファイアウォール!
闇魔界の炎が、辺り一面を焼き払う!

空に飛んだルドゥン竜が、口から息吹を吐き出しやがった!放たれた炎は、町を容赦なく焼き払う!人々は逃げ惑い、混乱の渦が町を支配している。
くっそー!
負けてたるか!

〜そらとぶユパ様〜
偽AMAMIYAに攻撃指示!
偽AMAMIYA×10の攻撃!
滅亡のアロー!×10
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
HIT!!HIT!!HIT!!HIT!!
〜省略HIT!!×95連撃!
HP 10000000000/374802
威力絶大!
状態異常!
墜落!
飛翔していたルドゥン竜は墜落した!
一定時間行動不能!
テンションアップ!
最終奥義使用可能!

……ん?最終奥義!?
使った事ないしな…、試しに使ってみるか。

〜ルドゥン竜〜
そらとぶユパ様の最終奥義!
滅亡ニート!
好きな物はなんですか?

……は?好きな物?う〜ん……、ジブリ映画かな?

滅亡ニート!
ジブリ世界!
〜そらとぶユパ様〜は、巨神兵に変身した!

……視界がおかしい。ルドゥン竜を見下ろしてるんだが…。よく自分の身体を見てみると、赤く、どす黒い色に、ドロッとした皮膚。……間違いない。腐ってやがる!どっからどうみても、ナウシカに出て来るあの巨神兵に、俺はなってしまった…。つーか、デカイ!

〜ルドゥン竜〜
そらとぶユパ様の攻撃!
火の7日間戦争!
巨大産業文明は滅びた!
ルドゥン竜は消滅した!
邪悪な一族の末裔!
そらとぶユパ様のHPが1になった!
HP 10000000000/0
ルドゥン竜を討伐した!
WIN プレイヤー側勝利!
身体能力、ルドゥン竜の翼を手に入れた!
LVUP!422→508
アダム挑戦権利書獲得!

やっ、やった!勝ったぞ!……ん?身体が縮んで、元の身体に戻っていく。滅亡ニート……恐ろしい技だ。かなり強力だけど、使用後はHPが1になるらしい。
「ニート谷川!よくやった。気持ち悪かったぞ!」
美咲さんに褒められた。ん?けなされたのかな?そんなことより……
「天宮!大丈夫か!?おい、しっかりしろ!」
天宮の肩を掴んで、必死に身体を揺さぶる。マジ心配なんですけど…。
「…うっ、………ん。」
よかった…、意識が戻ったぞ。
「あ…れ?谷川君?」
「ニート谷川に礼をいっときな、ルドゥン竜の攻撃から、必死にあんたを守ったんだ。」
「え!?谷川君が?」
……驚いちゃってまあ、そんなに意外!みたいな顔しなくても…。
「……ありがとう。」
……ちょっ、マジかわいい!マジかわいい!かわいすぎて、思わず二回言っちゃったけど、マジかわいい!
「いや〜、それほどでもあるけどね♪」
「調子にのるなボケ!」
美咲さんに、後ろから蹴り飛ばされました。すっげー痛いんだけど。
「さて、アタシはもうログアウトするわ。あ…、ほらニート谷川!」
ん?紙切れ?なにこれ?

〜アリサ〜
キャバクラケロケロ
携帯TEL ◎▲□−×××

「……なんすかコレ?」
「見ればわかるだろ!今度店に遊びにきな。かわいがってやるからよ!」
そう言って、美咲さんは消えた。どうやらログアウトしたらしい。
「天宮、美咲さんって、何者?」
「え?キャバクラに勤めてて…、私の友達。」
……キャバクラ!?店にこいって、俺が行く訳!?一人で!?……まあ、いいか。
「俺達も帰るか?」
「そうだね。帰ろうか…。」

〜翌日〜
「おーっす!大和、学校に……って、お前、なんだかやつれてない?」
「……否定はしない。」
そうなのだ!滅亡ニートは、超強力な技だが、使用したら必ずHPが1になってしまう。HPが減れば減る程、現実世界への影響が出て来る訳で…。
「……目眩がする。」
「あ!お前さては…、フラれたのか?」
あ、そうか…。昨日告白するって言ったんだっけ?たった半日の出来事なのに、ずいぶん長く感じたな…。
「……いや、告白してない。」
「は?なんでだよ?」
アダムが世界を滅ぼすって話しを聞かされて、告白できませんでした。……な〜んて事は言えないしな。めんどくさいから話しを逸らそう。
「………これ。」
「あん?なんだこれって、ええええ〜〜!?」
昨日、美咲さんから貰った名刺を、直秀に見せてみた。

〜松森直秀〜
HP 50/50
大和の攻撃!
名刺を見せた!
状態異常!
驚愕!
直秀はとても驚いた!

「おおおお!!なっ、コレ……本物!?」
「なんだよ?」
「なんでこんな物を、お前が持ってる訳!?」
「え?貰った。」
「誰から!!!?」
「美咲さんって、人から。」
……ん?直秀が固まってる。おーい、直秀〜。どうしたんだ〜?
「アリサさんの本名は美咲って言うのか…。よく聞け大和!」
「ん?なんだよ?」
「このアリサってキャバ嬢は、この町で一番有名なキャバクラ、ケロケロのNo.1キャバ嬢だぞ!」
「…ふ〜んって、えええ!?美咲さんが!?」
「なんで?どこで知り合う訳?」
「え?…たまたま、ね。店に遊びにこいって。」
「マジで!頼む、大和!俺も一緒に行っていいだろ?」
「別にいんじゃね?つーか、もともと一緒に行こうと思ってたし。」
「やったー!ヤッホー!!じゃ、今夜ね。」
「今夜かよ!?早いなオイ!」
今夜、キャバクラケロケロに行く事になってしまった…。まあ、いいか。

〜学校〜
仲間と一通り挨拶を交わし、席に着く。天宮はまだ来てないのか…。
ガラガラ……。
教室のドアが開いて、天宮が教室に入ってきた。……やっぱり、予想通り天宮も、身体中痣だらけの傷だらけ。……見てて凄く痛々しい。クラスのみんなも、変な目で天宮を見ている。
「天宮!」
「……おはよう、谷川君。」
「天宮、その傷はやっぱり…。」
「……馴れてる。」
馴れてるって、女の子なんだから、身体に傷が付いたらマズイんじゃないか?
「大丈夫?」
「平気だよ。」

………ひそ。
ん?なんだ?
……ひそひそ。ひそひそ。
「……なにあの傷?」
「親に虐待されてるんじゃない?」

クラスの後ろから、ひそひそ話が聞こえてきた。……まあ、EARTH・PERIODを知らないんだから、当然の反応と言えば、当然か…。

「…マジ不気味。」
「キモいよね〜。」

………え?

「気味がわるいよね…。」
「ほんっと不気味。」
「なにしたらあんな傷ができる訳?」

……なっ、なに言ってんだコイツら!

「……噂じゃ、天宮は歪んだ性癖の持ち主なんだって。」
「…マジで!?キモい!」

……嘘だ、デマにも程がある!クッソー!!ムカついてきた。コイツら全員EARTH・PERIODの世界にほうり込んでやりたい。
そんな事を考えていたら、天宮が走って教室からでていった。………俺は、見たぞ。天宮が……………泣いていた。

「オメーら全員人間じゃねえ!!ふざけんな馬鹿野郎共!!!」

クラス中に、俺の怒鳴り声が響き渡り、一瞬の静寂が訪れる。……天宮は、今までたった一人で、地球を守ろうと頑張っていたんだ!アダムへの挑戦歴が、それを物語っている。……それなのに、この酷い仕打ちは、絶対に許せなかった。俺は急いで、天宮の後を追う。
「天宮!待てよ!!」

天宮は止まろうとしない。全速力で、廊下を駆け抜ける俺と天宮。
「コラー!廊下は走るな!」
鬼沢の野郎…、空気読めよな。
「うるせえ!空気読めよ馬鹿野郎!!」
鬼沢を無視して、天宮を追う。気が付けば、屋上まで、天宮を追い掛けていた。
「……天宮。」
「……もう、私には関わらない方がいいよ。」
……は?なんで?
「嫌だね。理由がない。」
「見たでしょ?私に関わると、谷川君まで、変な目で見られるよ?」
「かまわん!気にしない。」
「………。」
「………。」
……ん?なんだこの空気?俺、なんか変な事言ったか?
「………LVが上がれば、上がる程、戦闘が激しくなって……」
「…うん。」
「現実世界にも、影響が大きくでてきたの。」
「………。」
「……アダムに挑戦すれば、世界は救われる。私は、必死にLVを上げたわ。気が付けば、世界ランク1位になってた。」
「………。」
「けど、ランクが上がれば上がる程、みんなは変な目で見るし……」
「………。」
「アダムに挑戦すれば、大敗して大怪我する……」
「………。」
「そのうちね、アダムに負け続けてたら、EARTH・PERIOD内のプレイヤーの目つきも、かわったの……」
「………。」
「どうせ勝てない。やるだけムダ。私が挑戦するたびに、そんな空気ができていった……」
「………。」
「現実でも変な目で見られて、EARTH・PERIODの中でも変な目で見られて……ねえ、谷川君。教えてよ?私は、一体どうすればいいの?何がいけないの?」

……今まで、辛かったんだな。周囲の期待に応えようと、必死にアダムに挑戦して……、やればやるほど、現実では大怪我して、EARTH・PERIODの中じゃ、うんざりされる。……苦しくて、辛くて、どうしようもなくて、惨い人間の、勝手な想像と期待の中を、天宮は今まで必死に戦ってきたんだな…。

「……頑張らなくてもいいよ。一人で、戦わなくていい!今度から、俺が天宮のそばにいて、支えてやる!」
「……え?」
「一人で背負うな!俺を頼れ!そして………アダムを一緒に倒そう!」
「………。」
「天宮……、俺は、君を守りたい!」
「………っ!!」
天宮が物凄い勢いで、俺の胸に飛び込んできた。ゆっくりと、力強く天宮の背中に腕を回し、精一杯強く天宮を抱きしめる。……めっちゃ泣いている。それほど、今まで苦しかったんだろうな…。
……今か?告白のタイミングは、今なのか!?
……いや、告白は、アダムを倒して、全てが終わってから、天宮に自分の気持ちを伝えよう。
それまでは……その時までは……。










STAGE・1 END

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