橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 (エロくない体験談) 23023回

2012/01/09 16:00┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:03:30.81:YD26b1qK0

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

 猫「ニャー」 

橋守「そのような猫撫で声を出しても無駄です。お引き取り下さい」 

 猫「ウニャー」 

橋守「犬猫一匹通すわけにはいかないのです。お引き取り下さい」 

 猫「ニャーニャー!」 

橋守「そんなに必死に訴えても駄目なものは駄目です。お引き取り下さい」 

 猫「……ナー」 

橋守「…………」 






橋守「……仕方ないな。煮干しやるから、今日のところは帰っておくれ」 

 猫「ニャー♪」 

 
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:06:59.14:YD26b1qK0

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

勇者「ちょっ、なんで!? オレ勇者なのに!」 

橋守「たとえ勇者様でも許可証が無ければ駄目です。お引き取り願います」 

勇者「そんなこと言わずに、頼むって!」 

橋守「許可証を持ってきたらお通し致しましょう」 

勇者「ぐぬぬぅ……!」 




僧侶「……勇者様、やっぱり無理でしたね」 

勇者「くっそー、勇者の顔パスが効かないなんて……」 

戦士(最初からそれに頼るのも、どうかと思うが……) 

 
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:11:24.32:YD26b1qK0

橋守「通行許可証ですね。確かに確認致しました」 

母親「いつもご苦労様です」 

子供「わーい!おっきな橋ー!」 

母親「あ、待っt」 

橋守「こらァッ! 橋の上で駆けまわるんじゃない!」 

子供「ひっ…! ごめんなさい……」 

橋守「万が一、橋から落ちたら危ないだろう。下の川は流れが早いんだ」 

子供「は、はい……」グスン 

橋守「……いきなり怒鳴ってすまなかったな。詫びにこれをやろう」 

 
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:14:32.98:YD26b1qK0

   こどもは あめだま を てにいれた ▼ 



子供「わぁ、ありがとう!」 

母親「どうもすみません、うちの子が……」 

橋守「こちらこそ突然の無礼、申し訳ありませんでした。どうぞお気をつけて」 

母親「はい。ほら坊や、橋守さんにばいばいしてね」 

子供「うん! はしもりさーん、ばいばーい!」 

橋守「帰りはゆっくり橋を歩くんだぞ」 

 
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:16:30.84:YD26b1qK0

勇者「今日こそ橋を通してもらうぞ!」 

橋守「通行許可証はお持ちですか?」 


    はい 
  rァ いいえ 


橋守「然らば通すわけには行きません」 

勇者「ぬぐぁああああああ! ちくしょーーー!」 

橋守「地べたで転がり回ってないで、とっととお引き取りください」 

勇者「頼むよ、この通り!」 

橋守「土下座は通行許可証ではありません。お引き取りください」 




勇者「ううっ……、今日こそはって思ったのに……」トボトボ 

僧侶「勇者様、お気を確かに! 明日こそはきっと!」 

戦士(これで14戦14敗か……) 

 
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:20:17.95:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「天気がいいな……」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……眠い」 

 
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:23:15.08:YD26b1qK0

橋守「……zzZ」 

勇者「…………」 

橋守「……zzZ」 

勇者「…………」 

橋守「……zzZ」 

勇者「…………」コソコソ 

橋守「通行許可証はお持ちですか?」 

勇者「ひぃいっ!? なんともお早いお目覚めで!!」 

橋守「気配が駄々漏れです。お引き取りください」 



戦士(この橋守、できる……!) 

 
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:26:57.14:YD26b1qK0

商人「こんにちはー、橋守さん」 

橋守「どうも、こんにちは」 

商人「ご注文の品、お届けにまいりましたよ。パンに牛乳に卵に、砂糖と塩と……」 

橋守「……わざわざすみません」 

商人「ちょっと、橋守さん。謝るほどのことじゃあないですよ」 

橋守「しかし……」 

商人「それに、橋守さんが橋を離れるわけにはいかないでしょう。あ、お代お願いします」 

橋守「はい。……いつも有難うございます」 

商人「こちらこそ、今後とも御贔屓に」 

 
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:30:01.26:YD26b1qK0

橋守「橋守は、橋の掃除も仕事の一つ」サッサッ 

橋守「……手摺も意外と汚れているな」ゴシゴシ 

橋守「よし、綺麗になった」ピカピカ 

橋守「む――?」 





橋守「…………」 

橋守「ハトめ……、何故わざわざ手摺めがけて糞を……」ゴシゴシ 

 
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:33:44.85:YD26b1qK0

勇者「お願いします! 何卒橋を渡らせてくだせぇっ!」 

橋守「諦めの悪い勇者様ですね」 

戦士(……同感) 



勇者「うぐぅー……、なぜに通してもらえないんだぁー……」 

橋守「興味本位でお尋ねしますが……」 

勇者「うん、なに?」 

橋守「なにゆえ、お城に行って許可証を発行して貰わないのですか?」 

勇者「あー、それには事情があって……」 

 
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:37:11.55:YD26b1qK0

勇者「通行許可証ってさ、国王の直筆のサインが無いとダメなんだよね?」 

橋守「はい」 

勇者「いま国王が何者かに呪われててさ、指一本動かすこともできないんだって」 

橋守「ほうほう」 

勇者「だからお城行っても許可証貰えないんだよ」 

橋守「へぇー」 

勇者「というわけで通してください!」 

橋守「どのような事情があろうとも、通行許可証が無ければ橋を渡ることはできません」 




勇者「ちっくしょおおおーーー!」 

 
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:40:20.75:YD26b1qK0

橋守「むしろ、毎日私に頼みこむより、国王の呪いを解いた方が早いと思われますが」 

勇者「だって、『解呪の杖』がある洞窟、魔物強すぎてすっげーキツいんだよ!」 

橋守「それと橋とどう関連が?」 

勇者「だから、橋を超えた先の新しい街で、強めの武具を買ってから、洞窟を行くことにしたんだ!」 




僧侶(……勇者様、微妙にせこいです) 

戦士(いい加減諦めて、素直にレベル上げした方がいいような……) 

魔法使い(お、三又の枝毛みっけ) 

 
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:44:52.73:YD26b1qK0

勇者「というわけで頼む! 今回ばかりは眼をつぶってくれぇ!」 

橋守「例外は認めません。お引き取り下さい」 

勇者「頼むってば! 世界の平和を守るためと思ってさぁ!」 

橋守「橋守の仕事は、橋の平和と秩序を守ることです。勇者様の仕事と混同しないで頂きたい」 

勇者「うぐ……」 

橋守「お引き取りくださいますね?」 

勇者「…………はい」 



戦士「これで35敗か……」 

勇者「ああ……、だがオレは諦めない!」 

僧侶「さすが勇者様……! 不屈の精神ですね!」 

魔法使い(ぶっちゃけもっと前向きなことに、その根性発揮してほしいんだけどね) 

 
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:48:37.70:YD26b1qK0

  猫「ニャァ」 

橋守「また来たのか」 

  猫「ウニャー」 

橋守「悪いが今日は煮干しを持ち合わせていないんだ。他を当ってくれ」 

  猫「……ニー」 

橋守「…………」 



橋守「煮干しは無いが酢昆布なら偶然あるぞ」 

  猫「ミャア!」 

 
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:51:39.19:YD26b1qK0

橋守「通行許可証はお持ちですか?」 

旅商人「ほいよ」スッ 

橋守「……確かに、どうぞお通り下さい」 

旅商人「ご苦労さーん」 

橋守「お気をつけてー」 



勇者「……オレちょっと商人に転職してくる」 

僧侶「お待ちください! 勇者様は転職できません!」 

戦士「……転職したところで、許可証が貰えるわけでなかろうに」 

魔法使い「それ以前に、転職できるとこまで冒険進んでないよねぇ」 

 
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:54:40.23:YD26b1qK0

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

  犬「ワンワン!」 

橋守「そのように尻尾を振っても駄目です。お引き取りください」 

  犬「ハッハッ」 

橋守「誰もおすわりなんて言ってません。お引き取り下さい」 

  犬「クゥーン」 

橋守「…………」 

 
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 02:58:10.78:YD26b1qK0

橋守「…………仕方ないな」ヒョイ 

  犬「?」 

橋守「何を不思議そうな顔をしているんだ。ただ枝を拾っただけだ」 

  犬「!」 

橋守「そうだ、察しがいいな。というわけで、こいつを……」 

  犬「!!」パタパタ 

橋守「せぇえええーーーーいっ!」ブォン! 

  犬「キャンキャンキャン!」タッタッタ… 



橋守「犬は投擲物に弱いとは聞いていたが、効果は抜群だな」 

橋守「そのままどこぞへと、走り去ってくれ」 

 
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:01:24.22:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「ん、あれは……?」 

 
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:04:26.86:YD26b1qK0

  犬「ワンワン!」 

橋守「戻ってきたのかおまえ」 

  犬「ワオン!」 

橋守「しかもその咥えてるの、さっき投げた枝じゃないか」 

  犬「クゥーン」 

橋守「いや、誤解だ。決して、とって戻って来いという意味で投げたんじゃなくてだな」 

  犬「……クォン」 

橋守「…………」 




橋守「よしよし、良くとってきたな」ナデナデ 

  犬「ワン♪」 

 
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:09:20.23:YD26b1qK0

勇者「つーわけで、正攻法は諦めた!」 

橋守「最初から正攻法ではなかったと思うんですが」 

勇者「うるさいやい! こうなったら力づくでも通ってやるからな!」 

僧侶「すごいです勇者様! 山賊みたいでカッコいいですよ!」 

魔法使い「僧侶、それ褒め言葉になってないわ」 

勇者「というわけでー…… GO! 戦士!」 



戦士「――え、おれ?」 

 
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:12:21.31:YD26b1qK0

戦士「ちょっと待て勇者、なぜにおれなんだ」 

勇者「ふっ……愚問だな。戦士・イズ・切り込み隊長じゃないか!」 

戦士「とてつもなくコメントに困る回答を有難う、勇者」 

魔法使い「強引だなぁ、勇者ってば。橋守さん的には、いいのかい? こういう展開って」 

橋守「橋の上で戦うのでなければ、構いません」 

魔法使い「……へぇ、有りなんだ」 

 
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:15:29.71:YD26b1qK0

僧侶「戦士さーん! 頑張ってくださーい!」 

勇者「根性見せたれーー!」 

魔法使い「あんま気張んなくていいからねー」 



戦士「なぜこうなったんだ……」 

橋守「はて、何故でしょうね」 

戦士「まあいずれにしろ、おれは戦士だ。手加減は無いものと思え」 

橋守「然らば私は橋守です。橋の秩序を乱す者に容赦は致しません」 

 
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:18:30.31:YD26b1qK0

戦士「ハァアーッ!」 


  ――キィインッ! 


橋守「……っ、なるほど、良い太刀筋だ」 

戦士「人を褒めてる暇などあるのかな?」 


  ガキィン! キィンッ! 


僧侶「頑張れー! 戦士さーん!」 

勇者「なんという激しい攻防! 手に汗握るとは、まさにこの事!」 

魔法使い「戦士とまともに打ちあえるってことは、それなりの力自慢みたいね」 

 
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:21:51.08:YD26b1qK0

  キィン! キィン! 


戦士(くっ……! こいつかなりの手練だ!) 

橋守(思ったより、なかなかやるじゃないか……。久しく楽しめそうだ) 

戦士(……!? 笑っているだと? 余裕ぶりやがって……!) 


  ギキィン! カァン! 


僧侶「ああ! 戦士さんがおされ気味ですよ!」 

勇者「こらー戦士ー! 最初の勢いはどこいったー!」 

魔法使い(……ていうか、この隙に橋渡っちゃえるんじゃないかしら) 

 
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:25:18.25:YD26b1qK0

戦士「だぁあっ!」 

橋守「甘い」 


  ガキィイ――ィン! 


戦士「――なっ!?」 

僧侶「せ、戦士さんの剣が!」 

勇者「弾き飛ばされただと!?」 

魔法使い「…………!」 



橋守「決着がつきました」 

戦士「……ああ」 

橋守「お引き取り願います」 

 
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:28:40.63:YD26b1qK0

勇者「まだまだぁ!」 

戦士「……!? 勇者!?」 

橋守「おや」 

勇者「次はオレが相手だ、橋守ぃいいーーー!」 

橋守「……仕方ないな」 



  はしもりは こしを ふかく おとし 

  まっすぐに あいてを ついた! 
  
  ゆうしゃに 78の ダメージ! ▼ 



勇者「げっふぅ!」ドサァ 

戦士(馬鹿な、一撃だと……!?) 

橋守「決着がつきました。お引き取り願います」 

 
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:32:40.92:YD26b1qK0

勇者「うう……」 

僧侶「勇者さま大丈夫ですか?」 

勇者「幾らなんでも強すぎだろ、橋守……、あー痛ぇ」 

僧侶「もう一度、回復呪文しましょうか?」 

勇者「いや、このくらい我慢できる。僧侶は魔力温存しといて」 

僧侶「勇者様……」 



魔法使い「それにしても、確かに強すぎよね。そこらの魔物より強いんじゃない?」 

戦士「…………」 

魔法使い「ここは一つ、戦士の感想が聞いてみたいなー、なんて」 

戦士「……奴は」 

魔法使い「うんうん」 

戦士「……虚言癖があるようだ」 

魔法使い「うん?」 

 
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:37:08.32:YD26b1qK0

戦士(……橋守の奴、勝負を楽しんでいた) 

戦士(おれが全力でかかっていったのに対して、) 

戦士(奴は、これっぽっちも本気を出しちゃあいなかった) 

戦士(なにが『容赦は致しません』だ……) 



戦士「…………ッ」 



魔法使い(……まったく、筋金入りの戦士だねぇ) 

 
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:41:06.98:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「…………」ヒョイ 

橋守「…………」 

橋守「…………」ブンッ 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」グッ 

橋守「……む?」グググッ 




橋守「……ニジマスが釣れた」 

橋守「…………」 

橋守「ムニエルにして食うかな」 

 
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:44:19.93:YD26b1qK0

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

踊り子「そんなこと知ってるわよ」 

橋守「それならば、話しは早い。どうかお引き取り下さい」 

踊り子「あたしは橋を渡りに来たわけじゃないの」 

橋守「然らば、何用で?」 

踊り子「向こう側まで行く気は無いわ。真ん中辺りまで通らせてくれればいい」 

橋守「…………そういうことですか」 

踊り子「というわけで、通してくれない?」 

橋守「そうは行きません」 

踊り子「けち」 

 
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:48:03.83:YD26b1qK0

橋守「橋の真ん中まで行って、帰ってこないおつもりなのでしょう?」 

踊り子「…………」 

橋守「さしずめ、身投げ、といったところでしょうか?」 

踊り子「ご明察」 

橋守「理由を聞いてもよろしいでしょうか?」 

踊り子「悪いけどお断り。不幸自慢するのも、人から憐れまれるのも趣味じゃないの」 

橋守「左様ですか」 

踊り子「邪魔して悪かったわね。別の場所で死ぬことにするわ」 

橋守「お待ちください」 

踊り子「?」 

 
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:51:40.93:YD26b1qK0

踊り子「……なにこれ」 

橋守「梨のパウンドケーキです。昨夜焼きました」 

踊り子「……ふぅん。いわゆる、餌づけってやつかしら?」 

橋守「いえ、そういうつもりではありませんが……」 

踊り子「なに?」 

橋守「手ぶらでお帰り頂くのも、どうかと思いまして」 

踊り子「ふふっ、可笑しな動機ね」 

橋守「私もそう思います」 

踊り子「有難く頂戴するわ」 

橋守「どうかお気をつけて」 

 
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 03:54:48.77:YD26b1qK0

兵士A「交代の時間だぞー」 

橋守「ああ、お疲れ様です」 

兵士B「早く休んで来いよ。風、寒かったろ?」 

橋守「そうですね、それではお先に――」 




橋守「――失礼するとでもお思いでしたか、勇者様?」 

兵士A「なっ、何故ばれたーー!?」 

兵士B(やはりこの橋守、できる……!) 

 
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:00:03.15:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「……そろそろ、か」 



ドドドド……! 



魔王「ふははー! 今日こそ通してもらうぞ忌々しい人間風情がー!」 

魔物の群れ「キシャー!」「グルル……!」「オオーン!」 

橋守(また、あんなに魔物を引きつれて……) 

 
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:03:07.49:YD26b1qK0

魔王「そして貴様を倒して、橋を渡った暁には……」 

橋守(毎回毎回懲りない奴だな) 

魔王「王国の姫を攫ってやるのだーーーっ!」 

橋守(どこかの誰かに良く似てる……) 








勇者「ぶへっくしょーい!」 

僧侶「勇者様!? お風邪ですか!?」 

 
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:06:35.85:YD26b1qK0

魔王「フフフ……、恐ろしくて声も出んだろう」 

橋守(今日の晩飯何にしよう……) 

魔王「見ろぉ! この橋を突破するために集めた、延べ5千匹の魔物の群れだ!」 

魔物の群れ「ギャオーー!」「シャギャー!」「アンギャー!」 

橋守(……魚は昨日食べたしな)ス…… 

魔王「フハハ! どうしたいきなりしゃがみ込んだりして、あまりの恐ろしさに腰が抜けたか?」 

橋守(最近寒いし、ポトフでも……)カリカリ 

魔王「何を地面に書いているのだ? 遺書なら紙面に書くべきだぞ!」 

橋守(あ、でもニンジンが無いんだった。しまったな……)カリカリ 

魔王「だが、何をしようとも無意味! なぜなら今日が貴様の命日になるのだからな! フハハハハ!」 



橋守「ちょっと静かにしてもらえませんか? 今、考え事してるんです」カリカリ 

魔王「ぬ、すまん」 

 
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:10:16.99:YD26b1qK0

橋守(そういえば、昨日旅人にきのこを少し分けてもらったっけ)カリカリ 

魔王「……」 

魔物の群れ「…………」 

橋守(あと、ひき肉もあったはずだから……)カリカリ 

魔王(…まだかなー) 

魔物の群れ「…………」 

橋守(……決めた、きのこハンバーグにしよう) 



魔王「む、もう終わったか? 続きやってもよいのか?」 

橋守「ええ、終わりましたよ。どうぞ」 

魔王「そうか! 待ちくたびれたぞ、人間め!! フハハハ!」 

 
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:13:17.99:YD26b1qK0

橋守「通行許可証はお持ちですか?」 

魔王「あるものかー!!」 

橋守「通行許可証をお持ちでない方は、橋を渡ることはできません」 

魔王「知るかーーー! 行けぃ、我がしもべ達よ!!」 

魔物の群れ「グォオオオオーーーン!」 



  まもののむれの こうげき! 

  なんと! まもののむれのこうげきが ひかりのかべに はねかえされた! 

  はしもりは ダメージをうけない! 

  まものAに 119のダメージ! 

  まものBに 98のダメージ! 

  まものCに 102の…… 



魔王「何故だーーーーーー!?」 

 
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:16:38.87:YD26b1qK0

橋守「何故って、あらかじめ結界を張らせて頂きましたので」 

魔王「ハッ! まさか、さっき地面に書いていたのは……!」 

橋守「もちろん遺書なんかじゃありません。結界を組むための魔法陣です」 

魔王「おのれぇ、汚いぞ人間! 我のしもべたちが黒焦げのボロボロじゃないか!」 

橋守「攻撃命令を出したのは貴方でしょう? ならば、貴方の責任では?」 

魔王「ぬ、それもその通り! すまぬ、しもべたちよ! 我のせいで、こんな目にあわせてしまって!」 

橋守「というわけで、お引き取りくださいますね?」 

魔王「当然だ! 被害が甚大すぎて、姫誘拐どころでは無いわ!」 

橋守「では、どうぞお気をつけて」 

魔王「次こそは必ず橋を突破してみせるからな! 楽しみに待ってるがいい! フハハハハ!」 




橋守「…………」 

橋守「……ああ、騒がしかった」 

 
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:20:10.40:YD26b1qK0

  犬「アォン!」 

橋守「またお前か」 

  犬「ハッハッハ」 

橋守「また枝を投げてもらいたいのか?」 

  犬「ワン!」 

橋守「仕方ないな……そいやぁああーーー!」ブォン! 

  犬「ワンワンワン!」タッタッタ 



  犬「ワン!」 

橋守「よし、よくやったぞ」ナデナデ 

  犬「ワオーン!」 

橋守(……気のせいだろうか、段々タイムが速くなってる気がする) 

 
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:23:54.07:YD26b1qK0

勇者「オレ、すごいことに気付いたかもしれない」 

戦士「何にだ?」 

勇者「わざわざ橋守にお願いしなくてもさ」 

魔法使い「うんうん」 

勇者「橋守がいない時を見計らって、こっそり橋渡っちゃえばいいんじゃないかな!?」 

僧侶「なんと! それは名案ですね! 勇者様!」 

勇者「だよなだよな! よっし、早速実行だー!」 



戦士(……むしろ、何故もっと早くにそのことに気づけないのかと) 

魔法使い「いやはや勇者ってば、おめでたいねー。いろいろと」 

 
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:26:55.03:YD26b1qK0

橋守「…………」 



勇者「…………」 

僧侶「……もうすぐ正午になります、勇者様」 

勇者「ああ。オレの読みが正しければ、橋守はそろそろ昼飯喰うために、橋を離れるはず!」 

魔法使い「勇者ー、あたしもお腹空いたなー」 

勇者「ええい! そんなの後だ、後!」 

戦士「おい、勇者。橋守の奴が妙な動きを……」 

勇者「なに!? ついに持ち場を離れる時が――!?」 






勇者「……なんでその場に座り込んで弁当広げて食うんだよぉおおぉ」 

魔法使い「勇者ー、ご飯ー」 

 
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:30:05.44:YD26b1qK0

僧侶「あ! 見てください、勇者様! 橋守さんがどっか行きましたよ!」 

勇者「茂みに隠れて4時間半……。ついにオレ達に勝機が訪れたぁ!」 

戦士「しかし橋守の奴、持ち場を放棄してどこに……」 

魔法使い「さぁ、トイレ休憩じゃない?」 

勇者「お前ら無駄話してる場合か!? 千載一遇のチャンスだぞ! 全員突撃ーー!」 

僧侶「あ、勇者様、待ってくださーい!」 

勇者「ハーハッハー! 待ってろ、新しい街! 新しい武具……っ!?」 


  犬「バウアウ!」 


  いぬが あらわれた! ▼ 


勇者「い、犬ぅっ!?」 


  ゆうしゃは おどろきとまどっている! ▼ 

 
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:33:36.08:YD26b1qK0

僧侶「勇者様、落ちついてください! 只の犬ですよ!」 

勇者「そ、そうか! やい、犬っころ、そこをどけ! オレたちは橋を渡らないといけないんだ!」 

  犬「バウバウッ!」 

戦士「……勇者、こいつ全然退く気配ないぞ」 

魔法使い「どうするー? やっちゃう?」 

勇者「行く手を阻む者は、何人たりとも容赦しない! 全員総攻撃ーーー!」 

 
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:37:02.42:YD26b1qK0

    : 
    : 
  犬「ワン!」 

橋守「ただいま、見張りご苦労だったな」ナデナデ 

  犬「クゥーン」 

勇者「はー、しー、もー、りー……」 

橋守「おや、小汚い何かが倒れていると思いきや、勇者様でしたか」 

勇者「なんだよ、その犬! めっちゃ強いじゃんか!」 

戦士「こちらの攻撃はことごとくかわされるし……」 

僧侶「必ず先手をとられてしまいますし……」 

魔法使い「魔法で眠らせようと思ったら、魔法がはねかえされちゃうし……」 

勇者「いろいろとおかしいだろ! 犬の癖に!」 



橋守「ああ……、これはですね……」 

 
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:40:16.50:YD26b1qK0

橋守「私が持ち場を離れる時だけ、彼に手伝いを頼んでいるのです」 

橋守「もしも、橋に危害を加えるような輩が来た時のために、備えを万全に整えて」 

戦士「……備え?」 

橋守「はい。体力及び素早さの強化呪文をめいっぱい。ついでに対魔法バリアも……」

魔法使い「あの並はずれた強さにはそんな理由が……」 

僧侶「でも、おりこうなわんちゃんですよね。ちゃんと言いつけを守ってて」 

橋守「お引き取り願えますか?」 

勇者「……正直にそうします」 



  犬「ワンワン!」 

橋守「今日の働きぶりは素晴らしかったぞ。褒美にいつもの倍の時間、遊んでやろう」ナデナデ 

  犬「クゥーン」 

橋守「しかし、いくら魔法で強化されていたとはいえ、犬に追い返される勇者ってどうなんだろうな」 

 
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:45:18.70:YD26b1qK0

魔王「地上が駄目なら空だ空ぁーーー! 総員飛翔せよ!」 

魔物の群れ「ギャー」「シャアギャアー!」「クエェエエ!」 



橋守「…………」 

魔王「フハハハーー! これでは流石の貴様でも、手出しはできまい!」 

橋守「それは、どうでしょうか?」 

魔王「なっ――!?」 



魔物の群れ「アギャー!?」「ギャース!?」「クギャァア!?」 

魔王「ぬあああ!? 我のしもべたちが、ことごとく弓矢で打ち落とされていくぅうう!!」 

橋守「ああ、すみませんね。実は私、弓が得意なんですよ」 

 
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:50:34.64:YD26b1qK0

魔王「おのれ人間が……、いや外道が! 今日も我の企みの邪魔をしおって!」 

橋守「私は、通行許可証が無いのに橋を渡ろうとする輩を、成敗しているだけですが」 

魔王「屁理屈など聞きたくないわ! くっ……、今回も姫を諦めろというのか……!」 

橋守「あの、橋守風情が口出すのもあれですけれど」 

魔王「なんだ?」 

橋守「人間に宣戦布告するなら、もっと別の手を考えた方がよろしいかと」 

魔王「ぬぅ」 

橋守「姫一人を誘拐するのに、これだけの魔物を使うなんて非効率も甚だしい」 

魔王「ぬぬぅ……」 

橋守「そんなことより、いっそ大国の一つや二つ滅ぼした方が、相当アピールになるかと」 

魔王「……………」 

 
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 04:55:35.27:YD26b1qK0

橋守「どうですか、魔王様。考えを改めた方が……」 

魔王「黙れ黙れ、痴れ者がぁっ! 我はそのような軽薄な理由で、姫をさらおうと思っていたわけではない!」 

橋守「然らば、なにゆえ?」 

魔王「…………!」 

橋守「……魔王様?」 

魔王「おい人間、もう少し近う寄れ」 

橋守「は?」 

魔王「いいから早くだ!」 

橋守「はぁ」 

 
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 05:01:27.94:YD26b1qK0

橋守「お望み通り接近しましたが?」 

魔王「うむ、一度しか言わないから、しかと聞くが良い」 

橋守「はぁ」 

魔王「実はだな……、姫を誘拐した暁には……」 

橋守「はい」 

魔王「……ひ、姫と一緒に、茶を飲みたいと、企んでいる」 



橋守「…………」 

魔王「…………」 

橋守「……ブハッ」 

魔王「わ、笑うな貴様ぁーーーッ!」 

 
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 05:07:20.16:YD26b1qK0

橋守「いやはや失礼。しかし、よもや魔王様ともあろうお方が、姫にホの字とは」 

魔王「絶対誰にも言うなよ人間めーーっ! 言ったら八つ裂きにして、ドバトの餌にしてくれるわぁ!」 

橋守「はいはい、誰にも言いませんよ。くくっ……」 

魔王「それと人間! 我にだけ、このような屈辱を受けるのは不公平だ!」 

橋守「はぁ、それが何か?」 

魔王「貴様も恥を覚えろ! ゆえに、我に橋を渡らせろ!」 

橋守「それとこれとは、全く別次元の話です」 



魔王「この腐れ外道がーーーーっ!」 

 
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 05:15:41.04:YD26b1qK0

橋守「あー……、魔王様」 

魔王「なんだ」 

橋守「私も暇じゃないんで、とっととお引き取り願えませんかねぇ」 

魔王「貴様! さっきより我の扱いがぞんざいになってないか!?」 

橋守「そんなの只の被害妄想ですよ。とにかくお引き取り下さいってば、足早に」 

魔王「ぐぬぅう……! おのれ人間めぇえ」 

橋守「お仲間も放置してると大変なことになりますよ。さっきの矢、猛毒塗ってましたから」 

魔王「なっ!? 貴様には血も涙も無いのか!?」 

橋守「たぶんあります」 

魔王「とぼけた回答しおって、覚えてろよ腐乱人間が! 次はこてんぱんにのしてくれるわーー!」 

橋守「やれるものならどうぞ。お気をつけてお帰りください」 



橋守「…………」 

橋守「……あー、面白かった」 

 
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 13:39:54.23:YD26b1qK0

新聞屋「朝刊でーす」 

橋守「ごくろう様」 





橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「『国王の呪い依然治癒されず』……か」 

橋守「まだどこぞで遊んでるのか、勇者……」 

橋守「あ、玉ねぎとブロッコリー安い」 

 
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 13:45:31.90:YD26b1qK0

国王「勇者よ……」 

勇者「なんですか父上」 

国王「貴様いつになったら呪い解きに行くんじゃあぁーー!?」 

勇者「るっせーな! あの洞窟、強い魔物ばっか出てくんだよ!」 

国王「つべこべ言わずにとっとと行け! わしにいつまで苦しい思いをさせるつもりじゃ!?」 

勇者「元勇者ならそんくらい我慢しろよ! 助けてほしかったら、ちっとは良い武具よこしやがれー!」 




戦士「……駄目だ、溜め息も出てこない」 

魔法使い「帰るなりアレだもんねー、あの親子」 

僧侶「でも、国王様が元気そうで何よりです」 

魔法使い「首から下動かないけどね、呪いのせいで」 

 
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 13:53:42.84:YD26b1qK0

八百屋「いらっしゃーい! 安いよ安いよー!」 

猫「ウニャー」 

八百屋「お、なんだこの猫? うちは魚屋じゃないぞ?」 

猫「ニャーニャー」 

八百屋「ん? 背中に買い物籠? ちょっと失礼猫さん」 

猫「ニャン」 

八百屋「中身は財布と……、メモ?」 



  [玉ねぎ五つとブロッコリーを一つ頼む。 
   代金は財布の中にちょうど入ってるのでよろしく。  橋守 ] 



八百屋「ああ何だ、橋守さんか。びっくりしたぁ」 

猫「ニャー」 

 
79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 13:58:58.57:YD26b1qK0

猫「ニャーン」 

橋守「ああ、お帰り。おつかいご苦労だったな」 

猫「ウニャ」 

橋守「うむ、品もちゃんと入ってる。でかしたぞ、猫」 

猫「ニャン!」 

橋守「では褒美にししゃもを焼いてやろう。しかも二尾だ」 

猫「ウニャニャー♪」 

 
80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:09:19.59:YD26b1qK0

国王「貴様という奴は、強い武具を揃えること以外に強くなる発想はないのか!?」 

勇者「無くは無いけどさ! 雑魚の相手すんのなんか、かったるくてやってらんないじゃん!」 

国王「愚か者が! そんな考えだから貴様は雑魚以下なのじゃ! 少しは我が身を鍛えんか!」 

勇者「そういう親父様も、呪いの耐性つけたらどうですかぁ!?」 

国王「ぐぬぬぅ! 貴様ぁ!」 

勇者「息子にばっか尻拭いさせやがって! 欲しかったら自分で杖ぐらい取りに行けよバーカ!」 





戦士(……長い) 

僧侶(もう、かれこれ三時間も……) 

魔法使い(おおっ、枝毛16本目) 

 
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:25:35.37:YD26b1qK0

姫「あ、あの……」 

戦士「あ……、姫様」 

僧侶「お久しぶりですね!」 

姫「いつも兄がお世話になっております……」 

魔法使い「どうってことないですよー。産まれた時からアレに付き合ってる姫様の苦労にくらべれば」 

姫「……あの、お茶とお菓子用意してもらったので、いかがですか? まだ長引きそうですし」 

戦士「お気遣い有難う御座います……」 

魔法使い「じゃあ、ちょっと頂いていこうかしら」 

僧侶「有難う御座いますー! あ、姫様、ちょっとお待ちを」 

姫「はい?」 

僧侶「これ、姫様にお手紙です。ある方から預かっておりまして」 

姫「あ、どうもありがとうございます」 

 
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:32:46.87:YD26b1qK0

魔法使い「そういえば僧侶ー、さっきの手紙どしたの?」 

僧侶「あ、この間、渡してくれって頼まれたんですよ」 

戦士「誰からだ?」 

僧侶「橋守さんに」 

魔法使い「え! 橋守に?」 

戦士(まさか……、いちいち橋に来るなと、姫から勇者に言わせるつもりでは)ヒソヒソ 

魔法使い(有り得なくは無いねー。勇者ってば、姫さんには頭上がらないから)ポソポソ 

僧侶「あ、あの?」 

 
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:37:53.65:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……? この匂い?」 

橋守「…………」 

橋守「……、……」 

 
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:43:13.22:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「……ああ、思いだした。キンモクセイだ」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「仕事とはいえ、花がどこに咲いてるかも見に行けないのか……」 

橋守「…………」 

 
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 14:51:16.60:YD26b1qK0

国王「ぜぇっ、はぁ、この愚図が! ボロ雑巾が!」 

勇者「は、ははっ! もう息切れかよ、老いぼれジジイが!」 

国王「ナイスミドルと呼ばんか! ボケナス!」 

勇者「うっせ、蜘蛛の巣張った骨董品! バーカ! ターコ!」 




戦士「ああ、美味いですね。この菓子」 

僧侶「あ、ほんと。何て名前ですか? これ」 

姫「アマンディーヌですよ。良ければ、包んでもらいましょうか?」 

僧侶「あ、お願いしますー!」 

魔法使い「それにしても、随分と時間がかかってるわねぇ」 

姫「たぶん、そろそろ終わる頃ですよ。私の経験上、夕飯前には二人とも精根果ててると思います」 

魔法使い「たくましいねぇ……姫さんは」 

 
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:00:15.44:YD26b1qK0

魔王「まずは第一軍が、合図の直後、橋に突撃!」 

魔王「その際、翼のあるモノは、橋の上を飛び、城を目指せ!」 

魔王「敵は一人だが、我が魔王軍に匹敵する力を持っている! 油断は禁物だ!!」 

魔王「しかして、空陸部隊は囮……!」 

魔王「戦闘の間、水棲魔物が、橋の下の川を渡って、姫を攫うのだ!」 

魔王「フハハハ! 実に素晴らしい! 完璧な作戦だ! 誰か質問はあるか!?」 

 
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:08:59.13:YD26b1qK0

参謀「はい」 

魔王「フハハ貴様か! よかろう、申してみよ!!」 

参謀「魔王様、私の記憶が正しければ、その作戦は一ヶ月前に実施済みです」 

魔王「ぬぐっ」 

参謀「その時は、橋には大型の結界を敷かれ、空陸部隊は一歩も橋に立ち入れず、 
     橋の下の川には、手投げ爆弾を放り込まれて、泳いでいた魔物達は重傷を負いましたが、」 

魔王「ぬぐぅ…!」 

参謀「そのような場合の対策は、すでに練っておられるのでしょうか?」 

魔王「ぬぐぐぅうう……!」 





魔王「全員宿題だーーー! なんか良い案思いついたら、我に言えーーー!!」 

参謀「……結局、今日の会議も無駄に終わりましたね」 

 
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:19:36.79:YD26b1qK0

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

占い師「構いませんよ。別に、橋を渡るつもりで来たわけではありませんから」 

橋守「然らば、何用で?」 

占い師「人を尋ねに来ました。少し前に、ここに踊り子らしき女性を見ませんでしたか?」 

橋守「見るも何も、踊り子が先日、この橋に立ち寄りましたよ」 

占い師「やはりですか。失礼ですが、もう一つ質問を」 

橋守「どうぞ」 

占い師「踊り子はその後、どこへ行きましたか?」 

橋守「申し訳ありません。具体的な場所までは分かりませんが、確かあっちの方に歩いて行かれました」 

占い師「方角だけでも充分ですよ。材料が少しでもあれば、姉が向かった場所を占えますから」 

橋守「……ご姉弟でしたか。気づきませんでした」 

占い師「似てないってよく言われます」 

 
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:26:51.96:YD26b1qK0

占い師「あ、もし良ければ、何か占いましょうか?」 

橋守「そうですね、折角ですし、お願いしましょうか」 

占い師「では、なにを」 

橋守「明日の天気を」 

占い師「……なにかもっと他の事は無いんですか?」 

橋守「これが、今一番興味のあるトピックなので」 

占い師「まあ、別に構いませんが……」 

 
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:32:05.12:YD26b1qK0

占い師「明日の天気は良好です。風が冷たいので、温かくして外に出られることをお薦めします」 

橋守「なるほど」 

占い師「それと、夕立があるかもしれないので、傘のご用意を」 

橋守「ありがとうございます」 

占い師「では、私はそろそろ行きますね。ご協力有難うございました」 

橋守「どうぞお気をつけて」 

 
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:37:24.08:YD26b1qK0

魔王「今日こそ通してもらうぞ、この人間がーーー!」 

橋守「ああ、そろそろ来る頃だと思ってましたよ」 

魔王「なに、読まれていただと!? 貴様、どういうことだ!」 

橋守「単なる第六感です。そういえば魔王様、今日は魔物の大群は?」 

魔王「戯言を! 貴様が「一人で来い」なんて手紙をよこすから、一人で来てやったのだろうが!」 

橋守「ああ、そういえばそうでした」 

魔王「それも天下の魔王城に、犬の使いなんか寄こしおって! なんだあの犬は! 物凄く素早かったぞ!」 

橋守「ある意味ドーピングさせてましたから、無理もないかと」 

 
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:44:06.16:RUN8sB+yO

犬が橋渡っちゃってる 

 
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:48:16.23:YD26b1qK0

橋守「それと魔王様、今日は馬に乗ってきましたか?」 

魔王「見れば分かるだろう! 徒歩だ、徒歩!」 

橋守「ですよね。ちょうど良かった」 

魔王「なにがだ?」 

橋守「もう出てきてもよろしいですよー」 

魔王「……?」 



姫「あ、あの……」 

魔王「なっ!? ひっ、ひひ姫ーーーー!?」 

 
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 15:58:41.94:YD26b1qK0

魔王「貴様、なんのつもりだ!? 何故、姫がここにいる!」 

橋守「何故って、お呼びしたんですよ。お手紙で」 

魔王「なんのつもりかも答えろ!」 

橋守「葉も色づき、キンモクセイが香るこの季節。馬の遠乗りにはもってこいのシーズンです 
     姫もたまには、お外遊びに出してあげた方がよいかと思いまして」 

魔王「ふむ、……」 

橋守「それで、そちら側の土地の方が、紅葉が見頃だと旅人に聞きましてね。 
     国王が呪われ、勇者様がご多忙な中、魔物の多い土地を、姫や宮仕えの兵士だけに歩かせるのはどうかと」 

魔王「……ならば、なぜ我を呼んだ?」 

橋守「魔物と対等に土地を歩ける暇人が、貴方ぐらいしか思いきませんでしたので」 

魔王「今さりげなく我のこと馬鹿にしただろう」 

橋守「気のせいですよ、魔王様」 

 
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:00:22.26:HAq7wNWmO

橋守 レベル99 
犬 レベル82(ドーピングあり) 
猫 レベル63(かしこさ・すばやさ・みりょく999) 

魔王 レベル42(かしこさ29) 

勇者 レベル8(かしこさ6) 

こんな感じかw 

 
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:04:29.10:YD26b1qK0

橋守「それに、姫は貴方と違って、通行許可証をお持ちですから」 

魔王「……あ」 

橋守「馬も、城の者に頼んで2頭用意させました」 

魔王「…………」 

橋守「旅人さんの情報によると、西の丘がお薦めスポットだそうですよ」 

魔王「……おい、人間」 

橋守「なんでしょうか」 

魔王「………………恩に着る」 

橋守「どういたしまして。夕立が来るらしいので、早めに帰ってきてくださいね」 

 
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:11:50.70:YD26b1qK0

姫「あの、貴方が魔王さんですか?」 

魔王「い、いかにもそそそうだが」 

橋守(凄まじい緊張っぷりだ、面白い……) 

姫「あの……、魔王さんって、甘いもの食べれますか?」 

魔王「き、嫌いじゃないが、それがどうした?」 

姫「良かったー。今日、かぼちゃのパイ焼いてきたんですよ。 
   お茶も持って来たんで、ご一緒にどうですか?」 

魔王「…………!」 

姫「ど、どうしました魔王さん!?」 

橋守「姫、ご心配なさらずとも大丈夫です。感極まって涙してるだけですから」 

 
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:23:26.98:YD26b1qK0

姫「では、橋守さん、行ってきます!」 

橋守「ええ、お気をつけて。魔王様も、馬から落ちて死なないように」 

魔王「魔王を馬鹿にするな! 馬ぐらい乗れるわ!」 

橋守「そうですか。ああ、それと魔王様」 

魔王「なんだ?」 

橋守「……もし姫様に、傷一つつけようものなら、ご覚悟を。 
     両手両足を蹴り潰してなます切りにした後、7回殺してさしあげますので」 



姫「魔王さんどうしました? 震えてますよ?」 

魔王「きょ、今日は風が冷たいなぁ!? フハハハー!」ガクブル 

 
99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 16:33:02.02:YD26b1qK0

橋守「……はぁ」 

勇者「今日こそを橋をー……って、どしたんだよ橋守。元気ないな」 

橋守「ああ、実はこの間、通行許可証を持たない犬を、渡らせてしまって……」 

勇者「犬? 勇者を差し置いて犬を通したぁ!?」 

橋守「まあ、いろいろ事情がありまして……、それで厳罰を受けてるんですが」 

勇者「厳罰って?」 

橋守「給料半年間減額。加えて、五日間、十分粥しか口にするなと……」 

勇者「……十分粥? それって厳罰なの?」 

橋守「基本、私の楽しみは、ご飯作るか食べるかですから。 
     粥に塩も入れるなって言うし……、拷問ですよ、あんなの」 

勇者「……分かった。分かったけど、なにも泣くことねーだろ」 

 
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 23:42:46.05:YD26b1qK0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……もうオリオン座が見える時期か」 

 
118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/08(金) 23:50:11.60:YD26b1qK0

勇者「橋守ーーー! 今日こそ力づくで橋を通らせてもらうからなー!」 

橋守「懲りないですね、勇者様。この間やって失敗したじゃないですか」 

勇者「あの時は、一対一だったからな! だが、今日は四人全員でしとめる!」 

戦士「そういうわけだ。悪く思うなよ」 

僧侶「私は卑怯な手だと反対したのですが……。すみません、橋守さん!」 

魔法使い「毎度毎度ごめんねー。なんかノリでこんなことになっちゃったのよ」 

橋守「まあ、私は別に構いませんが」 

勇者「準備はいいか!? いいな! 良し! 全員攻撃だーーー!」 

 
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:02:55.48:YD26b1qK0

戦士「先手必勝! 喰らえぇ!」 

橋守「また剣ですか。ワンパターンはいけませんね……」 

戦士(……なっ! 紙一重でかわされた!?) 

橋守「先手をとるのは悪くありませんが、攻撃のパターンを増やさないと、 
     逆に裏をかかれやすくなります……」 

戦士(拳を構えた!? この間の正拳突きか!?) 

橋守「――はぁっ!」 


   はしもりは ばくれつけんをはなった! ▼ 

 
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:08:54.24:rVhSi9wp0

戦士「ごはっ!?」 

魔法使い「な、なに今の!?」 

勇者「いま何回打ったんだ!? 全然見えなかったぞ!」 

橋守「目で追えなかったのなら、彼の腹部を見るとよいかと。 
     そのうち痣がくっきりと浮き出ますから、それを数えれば、殴った回数も分かるでしょう」 

戦士「……ぅ、ぐぁ」 

僧侶「戦士さん! いま、回復しますから…!」 

戦士(2……、いや4か……。くそ、痛みで意識が……)ドサッ 

僧侶「戦士さん!?」 

橋守「――まず一人目」 

 
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:19:36.10:rVhSi9wp0

魔法使い「なら、私の魔法で火傷しな!」 

橋守(ほう、火球を飛ばしてきたか。バリアで防ぐことも可能だが、ここは……) 


   はしもりは まわしげりをはなった! ▼ 


魔法使い「うそっ! 火が!?」 

僧侶「蹴りの爆風で火の玉がかき消されましたよ!?」 

勇者「ありえねぇっ! どんだけ強い脚力だよ!?」 

橋守「魔法使いさんには、少しの間眠っていてもらいましょう」 


   はしもりの こうげき! 

   まほうつかいに 58のダメージ! 


魔法使い「げふあっ!?」ドサァ 

僧侶「魔法使いさん!?」 

橋守「ご安心を、ただのみね打ちですので」 

 
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:29:14.26:rVhSi9wp0

勇者「てめぇ! よくもオレの仲間を!」 

橋守「仲間のために怒れるのは感心ですが、貴方は致命的までに浅はかだ」 

勇者「うるせぇ! 喰らえこのぉ!」 

橋守「無闇に剣をふりかぶったって、私には当りませんよ」 

勇者「諦めなきゃ、いつかは当るかもしれないだろ!?」 

橋守「いつか、ですか。可能性は無きにしもあらずですね。 
     ただし、それは――」 


   はしもりの こうげき! 

   ゆうしゃに 103のダメージ! 


勇者「ぐあぁーーっ!?」 

橋守「――私が攻撃しないことが前提の話でしょう」 

 
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:32:16.32:rVhSi9wp0

僧侶「あ、ああ……っ」 

橋守「最後は貴方ですね」 

僧侶「ひっ、いや……!」 

橋守「そんなに怖がらないでください。貴方に危害を加えるつもりはありません。 
     その辺で伸びているお仲間さんたちを、連れて帰ってくれればの話ですが」 

僧侶「……っ!」 

橋守「どうかお引き取りお願いします」 

 
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 00:36:23.60:rVhSi9wp0

  〜宿屋〜 


勇者「いててぇ…、くそう、橋守のやつ!」 

僧侶「勇者様、大丈夫ですか?」 

勇者「ああ、痛いけど大丈夫だよ。オレ、身体は頑丈にできてるから」 

僧侶「そうですか……、良かった」 

勇者「そんなことより、橋守だよ! あいつの強さ、マジ反則だって!」 

戦士「人間離れした強さだよな」 

魔法使い「あんな風に魔法がかき消されるなんて、思ってもみなかったよ」 

勇者「……なぁ、オレちょっと考えたんだけどさ」 

僧侶「はい、何でしょう?」 



勇者「あの強い橋守をさ、いっそ仲間にしちゃえばいいんじゃね?」 

 
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 02:16:15.00:SAozNeDX0

魔王が悪ではないというのが好き 
ほのぼーの 

 
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 09:39:03.29:rVhSi9wp0

橋守「…………」 

橋守「……雨が降ると冷えるな」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「白湯が飲みたい……」 

 
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 09:46:03.45:rVhSi9wp0

僧侶「しかし勇者様、どうやって橋守さんを仲間にするのでしょうか?」 

勇者「そこが問題なんだよなー……、説得が効くとは到底思えないし」 

魔法使い「駄目元で行ってみたら? 案外軽く引き受けてくれるかもよ?」 

戦士「いや、いくらなんでもそれは望みが薄すぎるだろう」 

僧侶「でもその場合、手ぶらで行くのも何ですし、菓子折りでも持って行った方が……」 

魔法使い「橋守さんってなんのお菓子好きかねー?」 

戦士「いっそ、酒でも持って行くか?」 

勇者「あーもう! 細けぇことはどうでもいいだろ! 縄で縛って連れてっちまえばいいじゃん!」 

戦士「却下」 

勇者「なんで!?」 

戦士「どう考えても成功率0%だろ」 

 
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 09:51:12.02:rVhSi9wp0

魔法使い「そもそも橋守さんって、どうして橋守してるのかしら?」 

僧侶「え? どうしてって……」 

戦士「誰かに雇われてるからじゃないか?」 

勇者「この間、給料がどうたらとか言ってたしな」 

魔法使い「だったらまずは、雇用主さんに相談してみるのも手じゃない?」 

僧侶「なるほど、それは名案ですね!」 

戦士「で、誰なんだ? 橋守の雇用主とやらは」 

魔法使い「そりゃあ、橋も王国の領地の一部だから……」 



勇者「よりによって親父かよ……」 

 
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:04:19.55:rVhSi9wp0

勇者「……うあー、超絶気がすすまねぇ」 

魔法使い「ほら勇者! しゃんとして!」 

戦士「うまく行けば、洞窟を攻略できるかもしれないのだぞ」 

勇者「でもさー、なんで親父に頼み事なんか……ん、どした僧侶?」 

僧侶「……あ、いえ、ちょっと考え事してて」 

魔法使い「へぇ、言ってみなよ」 

僧侶「あの……、冒険に出る仲間は全部で四人までですよね」 

戦士「ああ、そうだが」 

僧侶「もし、橋守さんを仲間に入れるなら、誰か一人抜けないといけないのでは……?」 



勇者 & 戦士 & 魔法使い「!!?」 

 
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:13:59.51:rVhSi9wp0

勇者「盲点だった、完全に……」 

戦士「よもや、そのような難題が残されているとは」 

魔法使い「問題は誰が残るかよね……」 

僧侶「あ、あのすみません。余計なこと言ってしまったみたいで……」 

勇者「いや、僧侶は悪くないよ。いつかはブチ当たる問題だったわけだから」 

魔法使い「ま、なんにせよ。まずは橋守さんを仲間にすること考えましょうよ」 

戦士「そうだな、そこが決まらん限り話は進まない」 

勇者「よっし、じゃあいっちょ行ってくるか! 親父のとこ!」 



国王「馬鹿が! まだ洞窟行っとらんのか、この馬鹿息子が!」 

勇者「馬鹿馬鹿言うな! 馬鹿親父が!」 



戦士「…………」 

僧侶「あー……」 

魔法使い「まあ、予想はしてたけどね」 

 
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:20:19.06:rVhSi9wp0

橋守「通行許可証はお持ちですか?」 

郵便屋「はいよ」 

橋守「確かに……。どうぞお通り下さい」 

郵便屋「いつもご苦労さん。雨の日に立ちっぱってのは、しんどいだろう?」 

橋守「そちらこそ。雨の中、郵便物を濡らさないように配達するのは大変でしょう」 

郵便屋「まあね。けど、こちとらプロですから」 

橋守「左様ですか。向こうの魔物は強いですから、どうぞお気をつけて」 

郵便屋「あいにく、逃げ足には自信がある。魔物除けの聖水はたんまり持ってるしな」 

橋守「これは、とんだ杞憂でした。いってらっしゃいませ」 

郵便屋「橋守さんもがんばってな」 

 
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:35:39.06:rVhSi9wp0

国王「全く…。城で油売ってる暇があったら、とっとと洞窟行って来んか!」 

勇者「油売りに来たんじゃねえよ! 相談しに来たんだ!」 

国王「ほほう。今日中に洞窟行って杖取ってくるなら、聞いてやらんことも無いぞ?」 

勇者「この偏屈爺! 相談ぐらいまともに聞けよ! こっちは真剣なんだ!」 

国王「どうだかな。まあ、一応言ってみろ。お前の真剣な頼みとやら、聞いてみたくなった」 

勇者「単刀直入に言う。橋守をオレ達の仲間にしたい。できるか?」 

 
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:40:42.33:rVhSi9wp0

国王「……ああ、あいつか。元気にしてるか?」 

勇者「元気もなにも強すぎだよ! なんであんな奴が橋守やってるんだ!?」 

国王「アレは自分がやりたいって言いだしたからなぁ」 

勇者「どうでもいいけど、答えろよ! 橋守を仲間にできるかどうか」 

国王「――やめておけ。アレはお前ごときの手には負えん代物だ」 

勇者「!?」 

 
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:47:28.76:rVhSi9wp0

橋守「……今日は何しに来たんですか、魔王様」 

魔王「決まっているだろう! 橋を渡りに来たのだ! フハハハー!」 

橋守「こんな雨の日にまで、ご苦労さまですね。で、通行許可証は?」 

魔王「我はそんなもの持ってないが通ってみせる!」 

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

魔王「その台詞は聞き飽きたわ! 無理にでも押し通る!」 

橋守「あ、そうだ、魔王様。姫からプレゼントを預かっております」 

魔王「なにっ、姫からだと!? ええい、早く寄こせ!!」 

橋守「あ、すみません。できればもう少し近くに」 

魔王「注文の多い橋守め! ほら来てやったぞ! 寄こせ寄こせ!」 

 
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 10:55:02.71:rVhSi9wp0

橋守「えいっ」 


   はしもりは まおうに せいすいをふりかけた! 

   まおうに 154のダメージ! 


魔王「ぎゃああああ!? なにをした人間めぇええ!!」 

橋守「魔物除けの聖水をかけてあげました」 

魔王「聖水だと!? 馬鹿言え! 我にそんなもの効くがはずが……!」 

橋守「私が特別に調合したやつです。効き目は既存の製品の10倍くらいです」 

魔王「おのれぇええ! おかげで我の肌が焼け焦げたわ!」 

橋守「あと姫様のプレゼント云々ってのは方便ですので悪しからず」 

魔王「貴様ーーー! この魔王を謀ったなぁああああ!」 

橋守「むしろ警戒心とか猜疑心ぐらい持っておいてください。魔王様」 

 
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 11:02:13.91:rVhSi9wp0

魔王「おのれ人間! 今日の所は引きあげてやるから有難く思え!」 

橋守「はい、大変有難いです」 

魔王「まったく、口の減らん奴だ。憎々しい人間め」 

橋守「ちなみに魔王様は、本日どのような用件で橋を渡ろうと?」 

魔王「ああ、それなんだが……」 

橋守「はい」 

魔王「……ひ、姫をお泊りに誘おうかと企んでてな」 

 
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 11:09:14.85:rVhSi9wp0

橋守「…………」 

魔王「……なんだその眼は」 

橋守「……お泊り? 魔王城に?」 

魔王「そうだが」 

橋守「…………」 

魔王「……ええい! 笑いたければ笑えばいいだろう!」 

橋守「ではお言葉に甘えてぶわぁっはっはっははは!」 

魔王「やっぱり笑うな人間めぇえええ! 」 

橋守「ああ、これは失礼。しかし何故にいきなりお泊りなんか」 

魔王「う、うるさい! 我だって姫と夜通しでUNOとかしてみたいんだ!」 

橋守「へぇ、そうですか。あ、通行許可証をお持ちでない方は、とっととお帰り下さい」 

魔王「畜生がーーー! 覚えてろ橋守ーーー!」 

 
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 11:14:48.66:rVhSi9wp0

姫「…………」 

魔法使い「姫様ー? どったの?」 

姫「あ、いえ。何でもありません」 

僧侶「戦士さん! このモンブランすっごく美味しいですね!」 

戦士「ああ、……しかし勇者のやつ遅いな」 

僧侶「そういえばそうですね」 

姫「いつもだったらもっと早く親子喧嘩が終わってるはずなんですけど……」 



勇者「…………」 

僧侶「あ、お帰りなさい、勇者様!」 

姫「お兄様、今日は遅かったですね。どうしました?」 

勇者「いや、別に……」 

姫「?」 

 
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 11:21:18.15:rVhSi9wp0

戦士「それで勇者、橋守の件はどうなった?」 

勇者「……諦めろってさ。だから仲間にするのはやめだ」 

魔法使い「おや珍しい。諦めのわるいのが定評の勇者なのに」 

僧侶「……勇者様」 

勇者「…………」 



   : 
   : 

国王「お前、あの橋が何て呼ばれていたか知っているか?」 

勇者「いや、全然」 

国王「まあ、そうだろうな。あの橋は以前――『悪魔の橋』と呼ばれていたのだよ」 

 
181:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 20:35:46.13:rVhSi9wp0

   リーリーリーリー…… 

橋守「…………」 

橋守「……鈴虫か」 


  チッ チロリ 
  ガチャガチャ 
  チリチリチリ…… 


橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……すまん、鈴虫以外は知らないんだ」 

 
182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 20:41:06.46:rVhSi9wp0

橋守「あ……」 

占い師「おや、お久しぶりです」 

橋守「ええ、お久しぶりです」 

占い師「いつぞやはお世話になりました」 

橋守「とんでもございません。そういえば、お姉さまは?」 

占い師「東の村で見つけました。小さな酒場でダンサーとして働いてましたよ」 

橋守「そうでしたか」 

占い師「死んでなくて良かったと思ったでしょう」 

橋守「はい」 

 
183:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 20:46:41.51:rVhSi9wp0

占い師「姉曰く、前の職場でいろいろあったらしくて、失意に暮れていたそうです。 
     でも、なんとか立ち直れたようで……」 

橋守「そうですか…」 

占い師「あと、姉から伝言を預かりました。『ケーキご馳走様。美味しかったわ』だそうです」 

橋守「……ありがとうございます。もしよければ、『またいつでもどうぞ。お元気で』と伝えてください」 

占い師「ええ、かしこまりました。あ、橋守さんに一つお願いが」 

橋守「何でしょう」 

占い師「橋守さんのことを占わせて下さい」 

橋守「えー……」 

占い師「いや、えー……って」 

 
185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 20:52:13.81:rVhSi9wp0

橋守「実は私、そういうの苦手なんですよ」 

占い師「そんなぁ、すっごく気になるのに」 

橋守「なにがですか」 

占い師「貴方、奇なる星の下に産まれている」 

橋守「はぁ」 

占い師「貴方にどんな未来が待っているか、とても興味がありまして」 

橋守「私は興味ありませんが」 

占い師「そこを何とか。お代は要りませんから」 

橋守「タダですか……。うーむ、どうしましょうかね」 

 
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:01:53.68:rVhSi9wp0

    : 
    : 

勇者「悪魔の橋? あの橋、そんな禍々しい名前ついてたの?」 

国王「いや、正式な名はある。『悪魔の橋』とは、ある伝説つきの橋に総じてつけられる俗称だ」 

勇者「なんだよ、それ。なんか良く分かんないんだけど」 

国王「息子よ。おまえ、あそこにかかった橋を見てどう思った?」 

勇者「どうって……、普通の石橋だなって思ったよ。下の川は急流で、けっこう高いとこにあるなーって」 

国王「ああ、渓谷を挟んで建てられた橋だ」 

勇者「それがどうしたんだ?」 

国王「おまえ、あの橋どうやって建てたと思う?」 

勇者「え……、……」 

 
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:07:53.45:rVhSi9wp0

勇者「……いや、さっぱり分かんねぇ」 

国王「それを『悪魔の橋』、または『魔橋』と呼ぶんだ」 

勇者「は? 話がつかめないんだけど」 

国王「ようするにだ、あれは『人間では到底建てられないような橋』だろ? 
     そういった橋は、悪魔に知恵を借りて作ったのではないか、という伝説があるのだ」 

勇者「あー……、それで悪魔の橋ね。で、それとあの橋守にどんな関係が?」 

国王「20年ほど前の話だ。わしが勇者の任を終え、国王に就任してから数か月が経った頃のことだ」 

 
189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:16:44.18:rVhSi9wp0

国王「ある日突然、あの橋の上に子供がやってきた」 

国王「そいつは魔物以上に強く、決して橋から離れようとしなかった」 

国王「どんな人間の説得も聞かず、どんな大人も力で負けてしまう」 

国王「仕方が無いからわしが会いに行ったところ、アレは静かな声でこう言った」 

国王「――『私はこの橋を建てるために知恵を貸した悪魔の子です』、と」 



勇者「………悪魔の?」 

 
192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:23:41.61:rVhSi9wp0

勇者「でも、あいつ見た目は人間じゃないか。本当に悪魔なのか?」 

国王「わしにも、アレは人間にしか見えなかったが、アレが確かにそう言ったのだ」 

勇者「……なんか、良く分かんなくなってきた」 

国王「そして、わしはアレを退かそうと全力で戦ったが、結果は引き分けだ」 

勇者「ぜ、全盛期の親父と闘って引き分け!?」 

国王「それで、どうあっても橋から動こうとしないから、仕方なく、アレを橋守として雇うことにした」 

勇者「…………」 

国王「わしが『やめておけ』と言ったのも分かるだろう? アレはそういう奴なのだ」 

    : 
    : 

 
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:28:52.31:rVhSi9wp0

占い師「――いやぁ、ありがとうございます、橋守さん。貴重な経験になりました」 

橋守「それはどうも。お役に立てたようで光栄です」 

占い師「それでは私はこれにて」 

橋守「どうぞ、お気をつけて」 



橋守「…………」 

橋守「……はぁ」 

 
194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:36:19.46:rVhSi9wp0

占い師「近い未来、貴方の元に凶星が降り立つでしょう」 

占い師「その星は、貴方の持つモノを狙っているようです」 

占い師「充分に気をつけてください。その星は、貴方の知己の背中にいますので――」 





橋守「…………」 

橋守「占いって、人を煙に巻く職業だったのか」 

橋守「さっぱり分からなかった」 

 
195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:45:53.14:rVhSi9wp0

橋守「通行許可証はお持ちでしょうか?」 

吟遊詩人「いいえ」 

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

吟遊詩人「ええ、渡れずとも結構。なぜなら、わたくしの想い人が、あちら側に見えますので」 

橋守「……? あの女性は、」 

吟遊詩人「彼女も、もちろん通行許可証を持っておりません」 

橋守「左様ですか」 

吟遊詩人「でも良いのです。ここからでも充分、わたくしの歌声が届きますから」 

橋守「……え」 



吟遊詩人「♪〜♪〜♪〜」 

橋守(……恋人と恋人に挟まれて、複雑な気分) 

橋守(でも、綺麗な声だな……) 

 
196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:52:12.06:rVhSi9wp0

犬「バウアウ!」 

猫「ニャーウ!」 

橋守「こら、おまえたち喧嘩はよせ。一体なにを言い争ってるんだ?」 

犬「ワンワン!」 

猫「ウニャー!」 

橋守「なに? 橋守は自分たちのどちらの方が好きかって?」 

犬「ワン!」 

猫「ニャン!」 

橋守「うーむ、そうだなぁ……。私は犬猫よりネズミとかリスが好きなのだが」 

犬「ワンワンワンワン!」 

猫「フシャーーー!」 

橋守「ちょ、待て、そんなに喚くな。悪かった、悪かったから」 

 
197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 21:58:31.22:rVhSi9wp0

新聞屋「朝刊でーす」 

橋守「ごくろうさま」 




橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……最近、野菜が高いな」 

橋守「久々に、野草の調理でもしようか」 

橋守「…………」 

橋守「あ、この間の吟遊詩人」 

橋守「あいつ結構有名人だったんだな」 

 
198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:04:37.66:rVhSi9wp0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……そういえば、近頃、勇者見ないな」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「この間、ちょっとやり過ぎたかな」 

 
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:10:54.18:rVhSi9wp0

魔王「また来てやったぞ、この人間めーーー!」 

橋守「懲りない魔王様ですね。そういえば、魔物の群れはどうしたんですか?」 

魔王「なにやら奇病が流行っているらしくてな! まともに動ける奴が少ないのだ!」 

橋守「魔物も病気になるんですね」 

魔王「季節の変わり目は体調を崩しやすいというが、幾らなんでもひどい状況だぞ!」 

橋守「魔王様は馬鹿だから風邪引かないんですよね?」 

魔王「確信に満ちた目で言うな! 流行病は風邪じゃないぞ! あと我は馬鹿ではない!」 

橋守「左様ですか。これは失敬」 

 200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:16:26.10:rVhSi9wp0

魔王「奇病のおかげで、魔王城はてんてこ舞いだぞ。雑務がどんどん溜まってく」 

橋守「そんな忙しい時に、なんで魔王様は、こんな橋に来るんですか」 

魔王「決まっているだろう! 今日こそ姫を攫うためだ!」 

橋守「そんなことより仕事してくださいよ。魔王でしょ貴方」 

魔王「姫に会いたくなって、仕事が手につかんのだ!」 

橋守「いっちょ前に、恋煩いですか。魔王様のくせに生意気ですね」 

魔王「……貴様は我を馬鹿にするのが趣味なのか?」 

橋守「おや、ついにバレてしまいましたか」 

魔王「隠す気も無かっただろうが!」 

 
201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:21:30.09:rVhSi9wp0

橋守「そんなことより、魔王様」 

魔王「なんだ?」 

橋守「国王様の呪い早く解いてくださいよ。朝刊見たら、まだ呪い解けてなかったですよ」 

魔王「呪い? なんだそれは」 

橋守「え……、魔王様の仕業じゃないんですか?」 

魔王「当り前だろう! 我は、呪術は幼き頃から苦手分野だ!」 

橋守「……じゃあ、国王の呪いは」 

 
203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:28:44.13:rVhSi9wp0

魔王「――っ!?」 

橋守「……魔王様?」 

魔王「……ぁ、」ドサァ 

橋守「魔王!? いきなりどうしたんだ!?」 

???「おや、思ったより効きませんでしたね」 

橋守「何者だ!?」 

???「今し方、魔王様の背に毒矢を射った者ですよ」 

橋守「矢……? これか!」 

???「致死性の毒をたっぷり塗ったのですが、麻痺程度の効果しかないとは。 
      愚鈍とはいえ、やはり魔王は魔王でしたか」 

魔王「……ぅ、…っ」 

橋守「……姿を見せろ、曲者め」 

???「おお怖い。貴方が見に来ればどうですか? その大切な大切な橋から離れて、ね」 

 
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:36:31.97:rVhSi9wp0

橋守「……貴様、なぜそれを」 

???「知っておりますよ、全て全て。 
      貴方の産まれた経緯。貴方の父母。貴方の強さの秘密」 

橋守「いい加減、姿を見せたらどうだ!」 

???「そんなに焦らずとも、もう少しお喋りを楽しもうじゃないですか」 

橋守「あいにく私は気が短いんだ。全身の骨を粉末にされたくなければ出て来い」 

???「仕方ありませんね……」 



魔王「……!? …き、さま、っ…!」 

橋守「良く出てきたな、お利口だ。では、次はおまえが何者かを聞かせてもらおう」 

参謀「そんな大それた肩書きは持ち合わせておりません。私はただのしがない魔王軍参謀ですよ」 

 
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:42:40.48:rVhSi9wp0

橋守(凶星とは、こいつのことだったか……) 



参謀「さて、何からお話ししましょうか?」 

橋守「国王を呪ったのは貴様だな」 

参謀「その通り。全盛期を過ぎたとはいえ、彼は要注意人物でしたから」 

橋守「魔物の奇病とやらにも、貴様は関係しているのか?」 

参謀「酒宴の時に痺れ薬を盛りました。城外の魔物たちにも、同じ酒を配っておきましたよ。 
     魔王様からの贈り物だと言ったら、皆さん喜んで飲んでおりました」 

魔王「……っ、…ぅぅ!」 

橋守「大体は分かった。では、貴様の企みを聞かせてもらおうか」 

 
209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:51:45.19:rVhSi9wp0

参謀「貴方に授けられた、“ご加護”を奪いに参りました。 
     “悪魔のご加護”をね」 

橋守「……!」 

参謀「おっと、“悪魔の”だと語弊がありますね。訂正しま――」 


   まおうは こごえるふぶきをはいた! 

   さんぼうに 127のダメージ! 


参謀「ぬぅ!?」 

魔王「お喋…りが、多す…ぎるぞ、参謀め…!」 

橋守「魔王!?」 

参謀「思ったより回復が早いですね……、これは面倒だ」 

 
210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 22:58:18.79:rVhSi9wp0

魔王「早く…逃げろ、人間! 何が起きてるかは……まるで、分からんが、 
     そいつは、おまえ…を狙っているのだろう…?」 

橋守「しかし……!」 

魔王「さっさと…行かんか! 貴様には、姫の…ことで、借りがある!」 

橋守「……!」 

参謀「そうみすみす逃がしませんよ」 


   さんぼうは のろいをかけた! 

   はしもりは のろいで うごけない! ▼ 


橋守「……うっ、身体が!?」 

参謀「私がただお喋りしていただけだとお思いでしたか? 
     貴方に呪術を施すための時間稼ぎをしていたのですよ」 

 
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:05:21.93:rVhSi9wp0

魔王「橋守!」 

参謀「貴方ももう少し痺れていなさい」 


   さんぼうは さみだれうちをはなった! 

   まおうに 48のダメージ! 

   まおうに 51のダメージ! 

   まおうに 44のダメージ! 

   まおうに 47のダメージ! 

   まおうは からだがしびれてしまった! ▼ 


魔王「ぬぁ……っ!?」ドサァ 

参謀「ざっと毒矢四本分です。これでしばらくは動けないでしょう」 

 
214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:21:22.71:rVhSi9wp0

参謀「さぁ、これで心置きなく、貴方の力を奪えます」 

橋守「……畜、生!」 

参謀「なるほど、力を奪われた後は畜生同然の生涯を生きたいと? 
     構いませんよ。お望み通り飼い殺してあげましょう」 

橋守「……っ!?」 

参謀「貴方に授けられた“ご加護”さえあれば、私は世界の全てを掌握できる。 
     さあ、ほんの一瞬の出来事です。全ての力を、この私に――」 

橋守「……!」 

 
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:28:15.56:rVhSi9wp0

勇者「ちょっと待ったーーー!」 


橋守「!?」 

参謀「何奴!?」 

僧侶「勇者様とその仲間たちです!」 

魔法使い「お取り込み中のところ悪いけどー!」 

戦士「成敗してくれるぞ! 魔物め!」 

勇者「なんか良く分からんけど、助けてやるぞ橋守ーーー!」 

橋守「こら! 通行許可証が無ければ……!」 

勇者「悪いけどさぁ! もう入手済みだぜ!」 


   ゆうしゃは つうこうきょかしょうを かかげた! ▼ 


橋守「……まさか!? 有り得ない!」 

勇者「そんな言い草ねぇだろ! おめでとうの一言ぐらいくれよ!」 

 
216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:33:45.80:rVhSi9wp0

参謀「誰かと思えば、弱小勇者の一味ですか。 
     そこで黙って見てなさい。邪魔をするなら命はないですよ」 

橋守「そうだ、勇者! おまえ達では相手は無理だ!」 

勇者「へへっ! 何言ってんだよ! たとえ、オレ達が無理でも――」 



   ゆうしゃは かいじゅのつえを つかった! 

   はしもりの のろいが とけた! ▼ 



勇者「お前なら出来るだろう!」 

 
217:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:38:47.74:rVhSi9wp0

参謀「あの杖は! くそっ、とんでもないタイミングですね。 
     邪魔者は灰も残さず焼き殺してさしあげましょう!」 

橋守「待て――」 

参謀「……しまった、呪いが解けたのか!?」 

橋守「勇者は殺させない――もとい、」 



   はしもりの かいしんのいちげき! 

   さんぼうに 361のダメージ! 



参謀「ぐぁあぁああっ!?」 

橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 

 
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:41:47.52:eNz6a9ET0

橋守カッコよす 

 
222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:50:18.65:JBUafZ1N0

決め台詞カッコよすぎワロタw 

 
219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:44:54.26:rVhSi9wp0

参謀「…ぐっ、…なんとも惜しかったですね。 
     本日は退散させてもらいましょう」 

橋守「待て、逃がすものか!」 

参謀「逃げますよ。いつか、この私が世界の支配者となるのですから!」 


   さんぼうは にげだした! ▼ 


橋守「……くそっ!」 

勇者「おい橋守、大丈夫か!?」 

橋守「私よりも、魔王の傷を……」 

勇者「え、魔王? ……うっそ!? なんで魔王がこんなところにいるの!?」 

橋守「恋煩いのせいですよ」 

勇者「……は?」 

 
220:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/09(土) 23:49:56.49:rVhSi9wp0

僧侶「すみません、まだ麻痺を解く呪文を覚えていなくて……」 

魔王「いや、助かったぞ。しかし、まさか勇者どもに救われるとはな」 

魔法使い「やーね、困った時はお互い様でしょう」 



戦士「それより橋守、さっきの奴は?」 

勇者「あと、力が云々とか聞こえたけど何だったの?」 

橋守「……話すと、少し長くなるかもしれません」 

 
224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:00:46.40:Uce88kGz0

橋守「昔、渓谷に橋をかけようとした人間たちが、工事が上手くいかず困っておりました」 

橋守「そこで、人間たちは悪魔に知恵を借りることにしました」 

橋守「悪魔のおかげで、何度も失敗していた橋の工事は一晩で終わってしまいました」 

橋守「しかし、悪魔は知恵を貸す代わりに、生贄として一人の人間を差し出すように要求していたのです」 

橋守「断ろうものなら、村を焼き払うと言われ、人間たちは断腸の思いで、生贄をささげることにしました」 

 
225:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:09:04.16:Uce88kGz0

橋守「――生贄は、出来たばかりの橋の上を歩かされました」 

橋守「そこへ悪魔がやってきて、その魂を喰らおうとしました」 

橋守「しかし、悪魔は生贄を喰らうことをやめました」 

橋守「震えながら歩いていた生贄は、美しい娘だったからです」 

橋守「娘を憐れと思った悪魔は、娘と遠い土地へ行き、二人で暮らすことにしました」 

橋守「娘は喰われる覚悟をしていましたが、悪魔にその気がないことを知り、次第に心を許していきました」 

橋守「いつしか二人は恋に落ち、やがて娘は子供を身ごもりました」 

 
227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:14:38.93:Uce88kGz0

橋守「しかし、人間が悪魔の子を身ごもって、ただですむはずがありません」 

橋守「娘は腹が膨れるにつれて衰弱していきました」 

橋守「悪魔の子は炎を伴って産み落とされ、娘はその火に焼かれて、灰も残さず焼き消えました」 

橋守「悪魔は悲しみました。産まれた子を憎しみました。」 

橋守「されど、愛する人の忘れ形見を殺すことなどできません」 

橋守「そして悪魔は、激しい悲しみと憎しみにより、病を患いました」 

 
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:19:59.99:Uce88kGz0

橋守「悪魔は、病により自分の命が長くないことを知り、我が子を呼びました」 

橋守「悪魔は、子供の頭に手を置き、自分が培ってきた魔力、体力、知力、全ての力を、子供に授けました」 

橋守「これが“悪魔のご加護”というものです」 

橋守「悪魔は、全ての力を託したあと、身体が霧のごとく消え去り、息絶えました」 

橋守「父も母も、骨も灰も残さず逝ってしまい、子供はその土地を後にしました」 

 
229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:24:46.05:Uce88kGz0

橋守「私――橋守は、悪魔と娘の間に産まれたその子供です」 

橋守「“悪魔のご加護”によって守られた私は、旅する中、この橋の存在を知りました」 

橋守「この橋に初めて立った時、私の魂は打ち震えました」 

橋守「父の忘れ形見、父と母が初めて出会った場所」 

橋守「私は、生涯この橋の上で暮らすことを心に決めました」 

橋守「そして、私は国王に橋守として雇われ、今に至るというわけです」 

 
230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:28:11.54:Uce88kGz0

橋守「以上です。何かご質問は?」 



戦士「はい」 

橋守「どうぞ」 

戦士「結局、さっきおまえたちを襲っていたのは誰なんだ?」 

橋守「ああ、すみません、言い忘れてました。あれは……」 

魔王「魔王軍の参謀だ。よもや、裏切りを働くような不逞な輩だったとはな」 

橋守「……ということです」 

 
231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:31:39.71:Uce88kGz0

僧侶「……はい」 

橋守「どうぞ」 

僧侶「すみませ、ハンカチとかありませんか? ……ぐすっ」 

橋守「ちょうど魔王様が無駄に長いマントを着てるので、あれをお借りしてください」 

僧侶「はい、失礼しま……ずびーーっ!」 

魔王「ぬぁああーーー!? 嵌めおったな橋守ーーー!」 

橋守「気のせいですよ魔王様」 

 
233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:35:31.45:Uce88kGz0

勇者「橋守……」 

橋守「なんでしょう?」 

勇者「親父から少し聞いてたけど、おまえ苦労してたんだな……!」 

橋守「勇者様に同情されるって複雑な気分です」 

勇者「……素直に喜ぶってのはできないのかよ、お前!」 

橋守「すみません、こんな性格なもので」 

 
236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:40:10.32:Uce88kGz0

魔法使い「はーい、質問ー」 

橋守「なんなりと」 

魔法使い「さっき小耳に挟んだんだけど、恋煩いってー?」 

橋守「ああ、魔王様の恋煩いですよ。姫様にホの字なんですって」 

戦士「……え」 

僧侶「ひ、姫様って……」 

魔法使い「まさか、勇者の……」 



勇者「よお、魔王。ちょっと拳で語りあわねぇか?」ゴゴゴゴゴ… 

魔王「ふ、人間風情が我に勝てるとでも?」ドドドドド… 



僧侶「わー! 勇者様ストップー!」 

戦士「とにかく落ちつけ!」 

魔法使い「あんたのレベルでかなう相手じゃないでしょうがー!」 

橋守(これはこれで面白い……) 

 
238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 00:49:09.76:Uce88kGz0

勇者「お前なんかにオレの妹は絶対やんねーからな! バーカバーカ!」 

魔王「痴れ者が! いつか必ず姫は攫ってみせるぞ! 弱小勇者めが!」 

僧侶「あーー! 二人とも落ちついてーー!」 

魔法使い「はい、今度決着つけようね! こ・ん・ど!」 

勇者「けっ!」 

魔王「ちぃっ!」 



橋守「あー、止めちゃいましたね。せっかく魔王に手持ちの金全部賭けようと思ったのに」 

戦士「……誰と賭けるつもりだったんだ」 

 
245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:29:46.07:Uce88kGz0

橋守「そうだ、魔王様にご質問です」 

魔王「なんだ?」 

橋守「魔王様に、ご兄弟はおられますか?」 

魔王「兄弟? 随分前に、失踪した双子の兄がいるが……」 

橋守「へぇ」 

魔王「たしか、魔王を襲名する一ヶ月ほど前だったな。 
     兄者の方が優秀だったから、次期魔王は確実と言われていたのだが……」 

橋守「そうでしたか」 

魔王「兄者がどうかしたか?」 

橋守「いえ、別に」 

 
247:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:34:04.17:Uce88kGz0

橋守(…………) 

橋守(…………) 

橋守(……道理で、父に似ていると思った) 

橋守(“悪魔のご加護”は、“次期魔王のご加護”だったわけだ) 

橋守(…………) 



橋守「……くくっ」 

勇者「橋守、何が可笑しいんだ?」 

橋守「いえ、別に」 

 
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:39:28.88:Uce88kGz0

勇者「あ、オレも質問いい?」 

橋守「どうぞ」 

勇者「おまえ、ずっと橋守続けるつもりなのか?」 

橋守「ええ、そうです」 

勇者「なんでだ? 冒険出たいとか思わないの?」 

橋守「旅は幼少の頃に経験しました。それに……」 

勇者「それに?」 

 
253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:46:35.71:Uce88kGz0

橋守「――私の父も母も、跡形残らず消えました」 

勇者「…………」 

橋守「残った形見は、この橋だけなのです」 

勇者「…………」 

橋守「ゆえに、二人が出会った特別な場所を、命が続くかぎり守って生きたいのです」 

勇者「…………」 

橋守「納得されましたか?」 

勇者「……んー」 

橋守「無理に理解せずとも良いですよ。でも覚えていてください。これが私の幸せなのです」 

 
254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:52:34.14:Uce88kGz0

勇者「オレは良く分かんなかったけど……、橋守が納得してるならいいんじゃないかな」

橋守「おや、浅はかな勇者様から、少し嬉しい言葉を頂きました」 

勇者「え、マジで? オレ何かイイ事言えた?」 

橋守「すぐに調子に乗らないでください。平手で張り倒しますよ」 

勇者「う、それはやだ」 

橋守「左様ですか。……ちっ」 

勇者「え、待って。いま舌打ちが聞こえたような」 

 
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 01:56:17.18:Uce88kGz0

橋守「――さぁて、勇者様。いつまでこんな橋で立ち往生しているつもりですか?」 

勇者「へ?」 

橋守「通行許可証の確認は済みました。どうぞお通りください。新しい街が待ってますよ」 

勇者「あ、そうか! ようし、皆! 行くぜー!」 

僧侶「ま、待ってください、勇者様ー!」 

魔法使い「急がなくても街は逃げないでしょー!」 

戦士「世話になったな橋守。では、またいつか――」 

橋守「ええ、皆様お気をつけて」 

 
256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 02:01:29.42:Uce88kGz0

魔王「我もそろそろ引き上げるとしよう。うちの参謀が迷惑をかけたな」 

橋守「ええ全くですよ。一時はどうなるかと思いました」 

魔王「だが覚えておけ! 我は必ずや姫をさらってみせるからな!」 

橋守「はいはいそうですねー。楽しみにしてますよー」 

魔王「なんだその気の抜けた返事は! ええい、今に見ておれよ! 腐れ外道がーー!!」 

橋守「どうぞお気をつけて」 

 
258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 02:02:32.08:Uce88kGz0

橋守「…………」 

橋守「……皆、行ってしまった」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

 
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 02:05:23.40:Uce88kGz0

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「…………」 

橋守「……む、」 

橋守「…………」 

橋守「今日の夕焼けは格別に綺麗だな。――父さん、母さん」 

 
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/10(日) 02:09:38.15:Uce88kGz0

  橋守「通行許可証はお持ちですか?」 


      はい 
      いいえ 
    rァ END 




  橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」 


          〜END〜 

 

出典:橋守「通行許可証が無ければ、橋を渡ることはできません」
リンク:http://morikinoko.com/archives/51514495.html
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