かわいそうな15歳の少女を抱いて警察の世話になった話 (初体験談) 112663回

2012/01/26 05:32┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
登場人物 当時スペック

宏之 19歳 俺。大学生。アパート一人暮らし。講義には出ずバイト命。
悪男 23歳 バイトの先輩。かなり不良(俺には優しい)
愛川 15歳 愛川ゆず季風。テレクラで引っかかった女。やかましく活発。
涼子 15歳 国仲涼子風。この話の主人公。愛川についてきた女。暗い。静か。

あれは俺が大学2年生の夏のこと。
早めにバイトが終わり、アパートでテレビを見ていた。
夜の11時くらいだったか、バイト先の先輩、悪男から携帯に着信。

悪男「おー、宏之。おつかれちゃーん。ヒマ?」

だいたいこの時間の悪男からの、軽い口調の電話はロクな事がないが
先輩だし無視するわけにもいかない。

俺「あーお疲れさんス。まぁ用事はないっスけど、何か?」
悪男「あのさ。テレクラで女引っ掛けたんだわ。」(そんな事だろうと思った)
悪男「それがさぁ、1人余分に付いて来たんだわ。片方面倒見てくんね?」

余りもの処分か・・・やっぱしめんどくせぇ・・・はぁ

俺「今からスか?」
悪男「おぅ。いつものマクドの駐車場だから待ってるわ。車で来いよ。」

しょうがねぇなぁと、しぶしぶ出かけることになった俺。
アパートから車を走らせ、町外れのいつものマクドへ行く。

暗がりの駐車場に悪男の車があった。
すぐ隣の枠に車を停めた。
悪尾の車の中には助手席と後部座席に女がいるようだ。

すぐさま悪男が車から飛び出して、こっちの車に乗り込んできた。

話の内容はこうだ。

テレクラで引っ掛けたのは、今助手席に乗っている愛川という奴。
ところが待ち合わせてみたら、なんか暗いのが一匹付いてきて
悪男的には、愛川本命で涼子の方は邪魔。
おまえにやるから適当にどっか連れて行け。という指令。

俺「あんた、急にもって帰れ言われたって困りますがな。」
悪男「そこを何とか頼むわー宏之ちゃん。」
俺「いきなり渡されても困るし、とりあえずカラオケ行きません?」
悪男「おう。そんならおごるわ。行こうや。」

ということで2台に分乗しカラオケに行くことに。
もちろん悪男のご希望通り、涼子はこっちの車へ。

俺「こんばんわ」 涼子「こんばんわ」
俺「名前は?」 涼子「涼子」
俺「俺は博也。ひろくんでいいよ」 涼子「はい」
俺「若く見えるけど何歳?」 涼子「17」
俺「俺19。飲み屋でバイトやってる。よろしくね」
涼子「お願いします」

少し話しただけで、涼子はテレクラなど無縁の娘だとすぐわかった。
助手席で終始下をうつむいたままで、顔すらよく見えない。
いくら話しかけても「はい」ばかりで自分から何か言い出すことはない。
悪男が嫌がったのも無理はない。どう見てもこの女はハズレだ。
しかし、何でこんな娘が・・・と疑念を懐きつつ車はカラオケ店へ。

カラオケ店では、悪男と愛川がメインで大はしゃぎ。
場違いな雰囲気の涼子は、ただ手拍子と拍手のみ。マイクも握らない。
悪男に呼び出しくらった俺的にもテンション上がらず
まぁ話の流れとして、当然だけど二極分化でドッチラケ。

ほどなく悪男&愛川組から、アイコンタクト。
(俺たち消えるから、後よろしくね〜)的な・・・

はい。はい。まぁそういう段取りでしたからね。了解でつよ。

ほどなくして、悪男&愛川はどこかへ消えてしまった。
涼子もそれはわかっていたようだ。
座ったままで俺の出方を伺っている様子。
悪男のこの後のパターンだと、たいてい女と問題起こして
ぐだぐだ電話をかけてくるので速攻携帯OFF。
涼子と2人残されてしまったので店を出る。

俺「さぁ店出るよ」
涼子「どこ行くんですか?」
俺「うーん。帰ろうと思うんだが。送るよ。」
涼子「・・・帰るんですか・・・」

涼子は何やら都合が悪そうな顔で答える。
俺にしてみたら、当初の悪男の要求は達成したわけだし
涼子といてもつまんないので、さっさと家に帰りたかった。

涼子を車に乗せ店を出る。
どうせこんな夜遊びしたこ事もなさそうな子だし
無理やり連れて来られたんだろうから
すんなり帰した方がいいと思った。

俺「家どっちよ。近くまで行くから。」
涼子「・・・・・・・」
俺「どしたの?」
涼子「帰りたくないです。」
俺「えっ?そうなの」
涼子「・・・ホテル・・・行きたい・・・」
俺「へ?」
涼子「え・・・えっ・・えっちしたい・・・」
俺「何いってんのー?ちょっと」

まさか、涼子のような娘がこんな事を
言うとは予想してなかったので驚いた。

書き忘れていたが、くそ暑い真夏の夜だというのに
涼子は上下長袖のウェット。
薄汚れた靴下におばちゃんサンダルである。
これはもしや家出少女か。そう推測して間違いないいでたち。

まいったなぁ。えらいの引き受けちゃった。悪男め。
俺「あのさー。家出してきたの?」
涼子(黙ったまま首を振る)
俺「だってさ。さっき会ったばかりで殆ど声すら聞いてないよ」
俺「君みたいな娘がそんな状況でセクロスしたいなんてありえないよ」
涼子「・・・・・・」
俺「いくらなんでも無理だから。場合によっちゃ警察行くよ」

涼子驚いて顔を上げる。必死に涙目でこっち見てる。

おいおい、まじかぁ家出少女だよ。行き場を失う俺。

さっきのマクドに放置してもいいんだが、あそこは悪男のツレが
鉄パイプ持ってバイクで夜中たむろしてるから、
とてもこの子一人放り出せる場所じゃない。

ひとまず通りがかりのコンビニに車を止め涼子を問い詰める。
俺「ほんと困るよ。どこから来たのさ。正直に言って」
涼子「・・・・・・」
俺「家出じゃないの?」(涼子激しく首を振り否定)

だめだ。
この時俺は近くの交番前で涼子を下ろす決断をする。

俺「仕方ないなぁ。交番まで連れて行くから、後何とかしな」
そう涼子に言い放ち、車を動かそうとハンドルを握るや否や
突然涼子が助手席から身を乗り出し、俺の腕を掴んだ。

はたと俺は涼子を見る。もう目は真っ赤だ。
泣きそうになりながら、上目遣いで俺を見つめ

涼子「私じゃダメですか・・・グスン・・」

はい。俺3秒で撃沈

15歳の国仲涼子似に車ん中でこんな事言われてみろ。
誰だって沈むわい。

俺「いいの?」(涼子は黙ったままうなづく)

はぁ・・・仕方ない・・・行くか。

俺やりたい盛りの19歳だ。
相手は17(自称)だし、つい先日まで高校生の彼女と
してたから別に罪悪感などもない。

車をラブホテル街へと走らせていく。
この間もまた涼子は下をうつむいたまま。
何か事情があるようだが、この時はまだ
俺は事の重大さを知る由もない。

ただ、なぜこの娘がこんな事をしているんだろう
という疑問を持ったままだった。

涼子とホテルの部屋に入る。
涼子はやはり初めてのようだ。

部屋に入るなりどうしていいかわからず立ち尽くしている。
とりあえずベッドに腰掛ける俺。
タバコを一服して、何気なくテレビの電源を入れ
涼子を隣に座らせ、最後通告だ。

俺「ここまで来ちゃったけど、嫌ならいいんだよ」
涼子「・・・・・・」
俺「ほら、そうやって黙っちゃうから気になるんだよ」
俺「何か事情がありそうだけど、ほんと正直に話してみ?」
涼子「・・・・ない・・・です。」

かぁ、絶対何かありありだわぁ。

俺「無理は言わない。本当にそういう事がしたくて来たの?」
涼子「はい」
俺「本当にしちゃうよ」
涼子「お願いします」
俺「・・・・・そう」

しかし、お願いしますって何だよ。
まぁここまで付いて来ちゃったからもう頂くことにする。

涼子「あの・・・・」

おっ、少し気が変わってくれたか?

涼子「あの・・・お酒飲まないんですか?」
俺「へ?何を急に」
涼子「さっきから博也だけ飲んでないので」
俺「いや。車だし・・・悪男は不良だから関係ないけど」

ここでも何やら都合の悪そうな顔になる涼子。
すぐに表情に出る娘だ。

俺「お酒は好きだし飲みたいけど、俺飲むと泊まりになっちゃうよ」
涼子「はい。いいです!」(今日イチの明るい返事)

何なんだよ一体・・・ということで泊まり決定で
涼子の勺で冷蔵庫にあったビール3本とカクテルを飲んだ。

さっきしゃべってもないのにセクロスすんのか、と言ったせいか
無理からあれこれ話しかけてくる。早々しているうちお酒なくなる。
涼子「酔いました?」
俺「んー全然。ウイスキーボトル開けるくらいじゃないとね」(俺酒豪w)
涼子「あ・・・そうなんですか」(また表情曇る)

なんだか、酔わせようとしているみたいだが訳がわからん。

そうこうしているうちに午前2時前。もう遅い。
俺「そろそろいい?」
涼子「・・・あ、はい」
俺「お風呂行くよ」

涼子をやさしく抱き寄せキス。
涼子も抵抗することなく身を預けてくる。

涼子「明かりもう少し暗くして・・・」
俺「あ、いいよ」
涼子「あと、眼鏡も」
俺「極度の近眼なんだけどなぁ・・・」

やはり恥ずかしいのかな。言うようにしてやる。
間違いなくこういう場所は初めてのはずだ。
いや、かなりの確立で処女のような気がしてきた。

部屋も暗いし、眼鏡を外している時点で涼子はよく見えないのだが
あまりに涼子が恥ずかしがるため、最上級デリケートコースでエスコート。

涼子を後ろ向きに立たせ、服の上からバスローブを肩にかける。
後ろから優しく抱きながら、ゆっくりと服を脱がせてゆくのだ。

涼子は慣れていない。耳元で指示しながら
まずはバスローブを俺が持ち、涼子を隠すようにした上で
自分でスウェット上下を脱がせる。

涼子が下着だけになったのを確認し、バスローブを羽織らせる。
ここで慌ててはいけない。一呼吸おいて少し抱きしめる。
後ろから耳もとあたりを舌でなぞりつつ、
涼子の手をぎゅっと握ってやる。

涼子はくすぐったい素振りを見せつつも
やや高揚し始めたのか、少しずつ吐息が漏れ始める。

涼子「ん・・・はっん」

ちょっとほぐれてきた頃合に左手は涼子の手を握りつつ
右手を胸元に沿わせる。

涼子「んんんっ・・・」

おっ。中々反応がいいぞ。上物の予感。

ここも後ろから、そっとブラを外して
水泳の時の着替えの要領でバスローブを着せたまま抜き取る。
下は簡単だから一連の流れの中で自然に脱がせていく。

涼子は小柄で、それほど胸も大きくなかった。
BからCくらいだろうか。優しく胸を撫でる。

涼子「あんっ・・・」

よしいいかんじ。

涼子の手を握っていた左手を、
今度は逆に涼子に俺の手首を握らせつつ
手のひらで優しくそっと撫でるように
涼子の黒林の中へと沿わせていく。

涼子は俺の手首を握った状態だから
本当に嫌だったり痛かったらすぐに
振り払うことができる。
これなら彼女にも安心してもらえると思う。
しかし、涼子は一切抵抗することなく受け入れた。

だが焦ってはいけない。ここではこれまで。
優しく涼子の体を愛撫しつつ
後ろからバスローブの腰紐を結んでやる。
涼子の裸が見えない状態にしてから
こっちに振り向かせて、手のひらでそっと目を閉じさせる。
ゆっくりと抱きしめ、優しくキス。

涼子は、耐え切れないように吐息を漏らしつつ
むしろ自分からキスをしてくる。
とりあえずもう後に戻る気はないようだ。

涼子をお姫様抱っこで抱きかかえ風呂場へ
湯船に使っていったんリラックス。
涼子もこの頃になってようやく気が許したのか
少し自分から話を振り始めてくるようになる。
ちょっと笑うようにもなったのでひと安心。
ひと通り体を洗いあっていよいよベットに戻る。

ベットで涼子を抱きかかえる。
俺「いいね?今ならまだ間に合うよ」

黙ってうなづく涼子。

涼子の乳 首を唇と舌で弄びつつ
涼子の恥 部に指を這わせる。
意外なほど抵抗なく、すっと沈み込んでゆく。

涼子「はっ・・・ふぁ」

俺「大丈夫?痛くない」 涼子「うん」

この時から涼子の返事が「はい」から「うん」に変わる。

涼子は意外なほどに湿っていた。指が焼けるように熱い。

涼子「あんっ。はぁっ、はあっ、んっく」

涼子の声が次第に高ぶっていく。
涼子が不意に俺の肉棒を掴んできた。

涼子「お口でさせて」

涼子はそう言うと起き上がり、俺の足元の布団にもぐりこむ。
きっと恥ずかしいだろうから、布団はかけたままにしておいてやる。

ほどなく涼子の唇が肉棒の先に触れた。
唇と舌でカリの辺りをゆっくり、チロチロと舐めるのだが
歯は当たるし、うまく咥えることもできないようだ。
いかにも話では聞いたが、やるのは初めてちゃんの様子。
一生懸命やってるし、あれこれ言うのもヤボなので
涼子のやりたいようにせる。

が、これ、あんまりたどたどしいもんだから
かえって気持ちよくて、ちょっと辛抱たまらん近くなる。
いかん。もうだめ。

俺は布団の中の涼子を胸元まで抱き上げた。
俺「入れるよ」 涼子「うん」
涼子を下にして、ゆっくりと足を立てさせる。
手を握りしめ、優しくキスをしながら涼子の中に滑り込む。

涼子「あっ!ん・・・くっあっ」

半分ほど入ったところで、進入を止められてしまった。
もちろん涼子が意図してそうしているのではない事はわかる。
涼子はやや手足をつっぱりつつ、かなり内腿に力が入っている。

俺「怖くないから。痛かったら言うんだよ」

涼子はうなづくが硬く目を閉じたままだ。

俺は無理をせず、少しずつ涼子の中に入っていく。

涼子「ん・・・はっ、はっ、あっん」

濡れている量は十分だが、いかんせん硬く締め付けられる。
うーん。処女確定。

激しくならないよう、ゆっくりと動かしていく。

涼子「くはっ、あん。はぁん、ああん。」

涼子の声が高くなり吐息が荒くなる。
感じてはいるようだが、明らかに苦痛交じりだ。

涼子「あん。はぁん、んっくぁ・・・」
俺の手を握り締める涼子の手が小刻みに震えている。

少し苦しそうだ。いったん動きを止め涼子に聞く。

俺「やっぱり初めてだった?痛い?」

少し考えるように間をおいて答える涼子

涼子「初めてじゃないけど・・・」

俺「痛みはない?」

涼子「ちょっと。でもいい」

俺「無理しないでね」

再び動き始める俺。

涼子「あっ、あっん、うっく、はぁ、はぁ」

だが涼子の固さは一向に緩むことはない。
ここまでやっちゃったからなぁ・・・

最後までいっちゃうか、やめようか悩み始める。
そんな事を考えているもんだから、
自分としてはあんまし気持ち良くない。
涼子も俺の様子に気がついているみたいだ。

涼子「いいの。痛くないから平気」

絶対やせ我慢だ。
大概女がそんな事を言う時は痛いに決まってる。
さっき会ったばかりの女に気を使う訳ではないが
お互い気持ち良くないセクロスは嫌な俺。
すっと涼子の中から抜け出した。

えっ、と驚いたようにこっちを見る涼子。

涼子「えっ。やめちゃうの」

俺「だって痛そうだし、見ればわかるよ」

涼子「ごめんなさい」(半泣き)

俺「このまましても気持ち良くないでしょ」
俺「彼氏とかだったらまだ愛情もあるから別だけど
 今ここで痛い思いしてセクロスする理由なんかないよ」
俺「こういうのは遊びなんだから、楽しくないのはやめようね」

泣き出す涼子・・・

涼子「うぇぇぇ・・・ひっく、じゃもっかい口でする」

再び俺の足元にもぐりこむ涼子。

涼子はゴムを取り払った。

俺「ちょっと生だよ。」
涼子「いい。こっちの方が気持ちいいんでしょ?」
俺「いや、まぁそうだけど・・・口の中出ちゃうよ」
涼子「いいよ。博也さんなら」

涼子が再び、けなげなフ○ラを始める。
さっきまでの微妙な涼子の口加減がぶり返してくる。
涼子にも悪いしちょっとは早く逝こうと思ったので
俺が逝くまでそう時間はかからなかった。

涼子にとって不運だったのは、俺ごぶさただった事。
けっこうな量出ちゃった。
もちろん初めてだった涼子は面食らう。

涼子「チュッバっ。ペロペロ、レロレロ」

俺「くっ。もう出るよ」

涼子「ふわい。」

俺「んんん。くはっ!」(発射)

涼子「んむっ!ぶっ、ごほっ、げほっ」

俺「うわっ!ごめん」

涼子「ふわぁいぃぃ。けほけほ。」
涼子「結構飲んじゃったw 塩っぱいw てへへっ」

なんつーかわいい奴だコレ。
最後、お口フィニッシュだったものの満足俺。

涼子に水を飲ませ。臭いから歯磨きしておいで
と促したが、涼子から抱きついてきた。

涼子「このままでいい。ぎゅってして」

とりあえずバスローブを着させて腕枕で抱きしめる。
俺はあえて何も言わなかった。
ただ抱きしめた涼子の頭をゆっくりと撫でる。

涼子が本当に気持ちよかったはずはないが
最初セクロスをする前の不安げな表情はもう消えていた。
ただひたすら俺にしがみつき、体のぬくもりを得ようとしていた。
本当にこの娘は何なんだろうか・・・

時間はもう3時。いつの間にか涼子は俺の腕の中で寝ている。
おいおい、無警戒にもほどがあるぞと思いつつも
どうせ泊まりだし、俺も少し眠ることにした。

ここから事態は予測もしていなかった方向へ進む。
翌朝目を覚ました涼子から衝撃の告白を聞くことになるのだ。

その後の俺の判断が、涼子の人生を大きく変えることになる。
まぁこの時点でたいがい誤った判断な訳だがさらに大ごとなんである。

先に目が覚めたのは俺だ。8時頃か・・・
涼子はまだ寝ている。おなかもすいたので
涼子と朝飯にでも行こうと悠長な気でいた。
隣で寝ている涼子をつついて起こす。

「おーい。おはよう。涼子ちゃーん」

涼子「うーん・・・」

目を覚ます涼子。一瞬はっとしたような目つきで
キョロキョロするがすぐに状況を飲み込んだようで
すぐに俺の腕にしがみついてきた。

俺「体調どう?」

涼子「うん。大丈夫」

俺「おなか減ってない?ごはん食べ行く?」

涼子「・・・・・」

ん?返事がない。なんだろうと思って
眼鏡をかけて涼子を確認しようとしたが
涼子が強くしがみ付くもんだから動けない。

俺「ちょっと、どしたの?」

涼子の方が震えている。泣いていた。

涼子「えっく・・・ひっく、ずずず・・・」

俺「何?何?何で急に泣き出すのよ」

涼子「うぇぇぇぇごめんなざいぃぃぃぃ」

なぜ謝るぅー!いよいよ意味不明だぞ。
なんか俺悪い事したか(しとるがな!というツッコミはおいといて)

涼子「私、脱走してきたんですぅー!」

俺「だっ脱走ぉぉぉぉぉ!何といや!」

涼子が堰を切ったように、怒涛のごとく話し始めた。
鼻水垂らしながら嗚咽して話すので
全部は聞き取れなかったのだが要約すると次のとおり。

・愛川と自分は児童福祉施設の入所児童で本当は15歳。
・昨日の晩、施設の消灯後に、愛川にそそのかされ脱走。
・着の身着のまま逃げ出したのでこんな格好。
・靴下のままだったので、近所でスリッパ盗んだ。
・自分はてんかん患者。親に虐待を受け精神疾患も併発。
・てんかんの薬も置いて来た。発作が怖い。
・飛び出したはいいものの所持金もなく愛川がテレクラへ。
・男引っ掛けて、酒飲ませてホテルで寝た所で金を奪う計画だった。
・ところが愛川ひとりで消えちゃった。マジで終わりと思った。
・しかし予想外に俺優しかったためつい安心。
・一気に緊張が解けちゃって、気が付いたら寝ててこの状況。

ということらしい。

うわぁ・・・何だよぉ。最悪じゃねぇかコレ。
どうしてくれんだ涼子よぉ。こっちも泣きたくなった。

が、そこはスーパーポジティブ俺。一旦状況整理。

・やけに町外れのマクドなのは施設の近くだから。
・主犯は愛川で涼子は付いて来ただけ。
・脱走といい金の強奪計画といいあまりに厨房。
・どうせ施設から捜索願が警察行ってる。
・悪男&愛川側の動きが不明。状況によっては既に追跡されてるかも。
 (実は悪男、後で俺より悲惨な状況に陥ってしまう)
・悪男経由でバレてたら、携帯は電源入れたら追跡受けて危険。

うーん。まぁ面が割れてる訳じゃないから慎重に行動すればいいか。
とりあえずは早々に出発がいいな。ラブホはまず探しに来るだろ。
って事でとりもなおさず、涼子に服を着せて速攻でラブホ出る事に。

が、しかしここで涼子が着替えようとせず、立ったまま動かない。

俺「おいおい。ちょっと早くしないと」

涼子「見てほしいの・・・・」

俺「何を?」

涼子はおもむろにバスローブを脱ぎ捨て、
じっと俺の目を見つめたまま、昨日あれほど
見られるのを嫌がった裸体を俺の前に晒した。

俺は涼子の体に刻まれた真実に直面し言葉を失う。

涼子のいたいけな、幼い15歳裸体は改めて見ると折れそうに細い。
そこに場違いに刻まれた無数の火傷跡。
明らかにタバコを押し付けられたものとわかる。
手足、首、背中、数えることが出来ない量だ。

そのほかにも何でできたかわからない大きな痣や縫合痕。
手首にはリストカットの跡が・・・

なんという・・・・
どおりで真夏だというのに長袖の上下な訳だ。

涼子は今にもこぼれんばかりの、
大量の涙を目にためじっとこらえている。

15歳の女の子がこんな形で自分の裸体を晒すことが
どんなにつらいか想像に耐えらるものではない。

俺はすぐに涼子をバスローブで包み抱きしめた。

しかし、さらに涼子の告白は続く。

昨日、処女じゃないとは言ったけど、本当は処女「だった」
実はカラオケ店でトイレに入っていたら悪男に襲われて
無理やりやられちゃったらしい。

ぐはぁ・・・なんつう。悪男の鬼畜め。

それで無理やりだったので痛くて痛くて
俺とする時もまだ痛かったらしい。
最初の男が悪男だったもんだから怖くて仕方なかったけど
俺が優しくしてくれたのでほっとしたらしい。

で、悪い事をしているとはいえ、涼子の中ではありえないほど
優しく扱ってもらって本当にうれしかったんだと。
それでお金を盗むのはやめたらしい。

涼子の入っている施設というのは、脳性まひやダウン症など
身体障害を抱える子供や、虐待にあった子供を保護する施設。

自立困難な重度の子供も多く、涼子にしてみれば
そんな子供たちと24時間一緒に管理され死にたくなったようだ。
親に虐待され精神疾患を抱え、この4月から施設に放り込まれたと。

 親に捨てられた。

 施設なんかもう嫌だ。

もうどこにも帰れない・・・と言った所で泣き崩れてしまった。

この時点で俺にとって涼子がとんでもない荷物になってしまった。

これ以上面倒な事になっても困る。ベターな判断をするなら
さっさと施設に帰して、警察に出頭した方がいいのだろう。

だが、つらい思いをして俺を頼ってすべてを打ち明けた涼子はどうなる。
ここで施設に送り返してしまえば、きっとこの娘はまた

人に裏切られることを、

人に捨てられることを

さらにトラウマとして抱え込んでしまうに違いない。

愛川に出し抜かれ、悪男に犯され、俺に付き帰される。最悪だ。
もう、俺の判断は決まっていた。

涼子を守ってやらないと・・・

俺は涼子に服を着せ、引き返すことが出来ない選択肢へと踏み出す。

まぁ腹が減ってたらろくな思考にならない事は経験上知ってる。
高校時代受験が原因で軽く欝だったから・・・
少し離れた町まで車を走らせ、ファミリーレストランで朝食にした。

すべてを吐き出したのか、あれっきり涼子は黙り込んだままだ。
朝食にホットケーキをほおばっているが元気がない。

こうなってくると俺、かえって冷静沈着になるタイプなんで
ひとつづつ問題を埋めていく事にする。

まず、何より気になるのは涼子のてんかん発作だ。
突然倒れるのは知っているが、正直俺も詳しく知らない。

俺「なぁ涼子。てんかん発作起こったらどうすればいい?」

涼子「んー・・・。とりあえず私意識なくなって痙攣してると思う。
   でも何分がしたら収まってくるから大丈夫だよ。」
  「でも意識なくなるから、怪我しそうで危ない時はそっと寝かせて」
  「あんまり、叩いたり、ゆすったりしたらだめだから」
  「どっかで薬買えないかなぁ・・・」

俺「市販薬ないだろうし、処方箋がないとな。無理だろ」
 「できるだけそばで付いてるから、それでいいか?」

涼子「うん」(少し笑う)

やれやれ、やっと微笑んでくれたよ。

こっちからも涼子に大切な事を伝えなくてはいけない。

俺「あのさ・・・実は俺、宏之ってんだ。本名」

涼子「ふへっ?」

涼子ホットケーキ咥えたまま、口あんぐり。目がテン。

鳩が豆鉄砲ってこういうの言うんだろなって表情に
こっちが騙してたのに申し訳なかったが爆笑しちゃった。

涼子もほどなく笑いがうつったのか

涼子「ふっふぇっふぇ・・・ぶひゃひゃひゃっ」

と笑い出したもんだから、俺涼子の吹いたホットケーキまみれ。

俺「ほんとにごめん。」

涼子「まあいいや。ホットケーキの刑で許すぅw」

俺このあたりから本気で涼子に惚れつつあった。

次は涼子の服だ。

何しろこの真夏にあの長袖スウェット上下にスリッパだ。
誰が見たって不自然だから、どうしようもなく注目される。
これではまずいので涼子の服を買いに行く。
涼子が食事を終えた時点で、近くの量販店で服探しだ。

俺「涼子。服買いにいくぞ」

涼子「え。だってお金持ってないし」

俺「だってその格好じゃどうもならんよ。買っちゃるから行くよ」

涼子の表情がみるみる明るくなっていく。

涼子「いいの?いいの?ほんとに?うれしい!」

なんかもう、俺地獄に落ちていいと思った。

涼子を連れて来たのは某大手量販店。
涼子は俺の手をつないでもう気分が抑えられない様子だ。
早く早くと言わんばかりに先を歩く。

情緒不安定というか、あまりに差が激しすぎる。
やっぱり精神疾患あるんだなと実感。
自分でうまく感情のコントロールが出来ないのだ。
ちょっと抑えてやらないと危なくて仕方がないはしゃぎ方。

何枚か服を抱え込み、試着室に入っては見て見てコール。
それはもう取替え取替え5回は繰り返しただろうか。

最終的に涼子が選んだのは、夏らしい真っ白のワンピース。

涼子が自分で選んだのだからいいのかも知れないが
正直、俺はそれだけは見たくない服だ。

俺「ちょっと涼子、それ肩大きく出てるぞ、手足も・・・」

真っ白いワンピースを着て微笑む涼子の肌は大きく露出し
あの無数の傷跡が誰の目にもわかるほど露なのだ。
涼子の傷ついた過去を、人目に晒すのはかわいそうだ。

はたと表情を曇らせ、自分の肌を見つめ涼子は黙り込んでしまった。

涼子「わかってるけど・・・でも着たい・・・・」
  「今まではどうしても着れなかったの・・・」
  「でも宏之さんが隣なら着れる気がするの。」
  「今着ないと一生着れないと思うんだ・・・」

  「ね。私今うれしいから。いいでしょ・・・」

そう言われてしまって返す言葉がなかった。

涼子なりに今を一生懸命楽しもうと、
自分の苦しい傷を晒すことで、前向きになろうとしているのが
痛いほど伝わってきた。

俺不覚にも涙こぼしちゃった。

でもそ腕のリスカ跡だけは隠したかったので
ひまわりの柄のハンカチを買って腕に結ぶことにした。

小物にちょっと大き目でピンクの布が付いた麦藁帽子。
ヒールは履いた事がないらしいので、低めの靴をチョイス。
なんかベタないでたちの夏少女完成w

ここまで様子を見ていたのか、売り場のお姉さんが声をかけて来た。

店員「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」

店員のお姉さんは30そこそこのしゅっとした美人さん。
俺はちょっと目立ってしまったかと思い少したじろいだ。

店員「彼女さんですか?かわいい方ですね」

俺「ええ、まぁ」

店員が涼子から俺を遮る形でやや斜めに誘導する。

店員「今からお洋服お召しになられますか?」

俺「あぁ、はい。」

店員「差し出がましいかも知れませんが、お買い上げの後で
  少し彼女さんお時間いただけないでしょうか?」

店員のお姉さんは、意味ありげな笑顔のウインクで俺に何かを察するように促した。

会計の後、涼子はその店員のお姉さんに連れられて
不安そうな面持ちで従業員控え室に連れて行かれる。

俺は一緒に行っちゃだめらしい。

あの店員さんの事だから、心配はないとは思うが
俺ちょっとしくじったかもしんねと心配だった。

えらく長く感じたが、待つこと15分くらいか。

控え室からあの店員さんが出てきた。
後ろには麦藁帽子を深くかぶった涼子。

よかった。やれやれ。そう思った瞬間涼子がわっと飛びついてきた。

何事かと思って涼子の顔を見てびっくり腰が抜けた。

涼子「だーれだっ!」

見事にきれいにメイクアップされた涼子がいた。
よく見ると肩周りにもファンデーションが塗られ
若干ではあるが火傷の後も目立たなくなってる。

今度は俺が鳩に豆鉄砲だ。

店員「簡単で申し訳ないのですが、ちょっとだけ」
と満面の笑顔でピースサイン。

俺「え?何で」

店員「失礼とは思いましたが、ちょっと気になったもので
   少しお話を聞かせていただいていたんです。」

うわぁぁやばかったよ。余計な事言わなくて良かったよ。

店員「彼女さんかわいいのに、お化粧もされてなかったので」
  「私のメイク道具でお化粧したんですよ。」

なんとこの店員さん、俺たちの会話から察して
お化粧のサービスしてくれたのだ。

店員さんは、それ以上多くは語らなかったが、
涼子が化粧していなかったのが動機では決してないはずだ。
ノーメイクの厨房など別に珍しくもなんともない。

涼子の隠した左腕と体の傷、さして俺に露出をとがめられ
うつむく涼子の様子をつぶさに観察していたのだ。
店員が何とかしたかったのは、涼子の体の火傷後だと気づいた。

おそらく同じ女性として見ていられなかったのだろう。
少なくとも男の俺に気づける部分ではない。

この店員さん神!

涼子もそりゃもう上機嫌で益々ハイテンション。
ちょ、マジ危ないからやめろって。

まさかこんな親切な店員さんにめぐり合うとは・・・
もう涼子の周囲が、得体の知れない大きな力に
ぐいぐいと動かされているようで鳥肌が立っていた。

1万円に札のお釣りで思わぬ幸せをゲットした。

ちなみにお店はDとだけ言っとく。
間違ってもドンキホーテじゃねぇぞw

こうして涼子の身支度を整え、あてもなく車に乗せて走る。

涼子のリクエストどおりに色々な所に行った。
海水浴客でにぎわう浜辺では、一緒にカキ氷を食べた。

静かな小川の奥にある、小さな滝で裸足になって水遊びをした。

ただ時間が過ぎてゆくだけで、
こうしていても何の解決にもならないのはわかっているが
涼子との最後を想像すると、俺はわかりきった「答え」を
先延ばしする事しかできなかった。

本当に涼子は楽しそうだ。だが無常にも時は過ぎてゆく。
夕暮れも近くなり、今度は次第に俺の言葉が少なくなってゆく。

今日一日でかなり涼子と打ち解けたのは間違いないし
俺の事を信頼してくれているのは間違いない。
この娘を彼女にして、ずっと一緒にいたい・・・・

だが常識で考えて19歳の大学生の俺に
これからの涼子のすべてを受け止める力はない。

俺は、今日一日中、ずっとのど元まで出掛かって
引っかかっていた言葉を、飲み込んでしまった。

「涼子好きだよ。俺の彼女にってほしい。」

その一言がいえなかった。

考えれば考えるほど、涼子を大切だと思うほど
絶対に言っちゃいけない言葉に思えた。

俺はまだ小さかった。情けなかった。自分が悔しかった。

日が暮れてしまった・・・また夜が来る。

結局俺は、結論を出せぬままずるずると、
ただ一日涼子を連れまわして終わってしまった。
予定のバイトも体調不良でと嘘を言って休んだ。

どうしよう・・・2日目だ。

いくらなんでも福祉施設の関係者だって心配して
探し回っているはずだ。警察の動きも気になる。
手持ちの金もおぼつかなかったので
やむなく涼子をアパートに連れ帰ることにした。

俺「なぁ涼子。俺の部屋で泊まってもらってもいいか?」

涼子「いいの?うん。うれしい!」

もはや俺しか頼れるあてのない涼子の返事はわかりきっている。
涼子はまた一晩俺と一緒にいられるというだけで満足していた。

自宅に戻り、涼子を部屋の中に入れる。

居間に座って一息ついたあと、先に涼子を風呂に入れさせる。
涼子は一緒に入りたがったが、一人で入らせた。

ひとりの居間でこれからの事を考える。
俺はもう限界だった。自分なりの幕引きを算段し始める。

 どうやって涼子を施設に戻すか・・・

結局答えはそこにしか向かなかった。それが現実だった。
せめて涼子自身が納得する形で戻さないといけない。

涼子と交代で風呂に入る。
自分の思いを洗い流すようにシャワーを浴びる・・・
仕方ないんだと自分にに言い聞かせた。

そんな決心をしつつあった時、
俺の耳に異質な物音が飛び込んできた。

 ガンッ!ガチャン!

居間の方から何かをひっくり返す大きな音。

慌てて良子のいる居間の戸を開ける。

やっぱり・・・涼子のてんかん発作だ!

傍らのテーブルをひっくり返し、畳に突っ伏して痙攣する涼子。
初めてま近で見るてんかん発作。
一応、事前に涼子に聞いていたとはいえさすがにビビる。

急いで涼子の周りのものをどけスペースを確保する。
まだ涼子は痙攣している。もう何分足っただろうか・・・

何もすることができない俺。ただ見守る。
5分ほどだっただろうか、次第に痙攣が治まり
涼子のこわばった体が、すっと弛緩していく。

とりあえず落ち着いたようだが、涼子は意識をなくしている。
もうこれ以上、手元においておけない・・・
涼子のためにも少しでも早く施設に戻したほうがいい。

俺がそう思うには十分の出来事だった。
涼子には悪いが、目を覚ましたら施設に戻るよう説得しようと思った。

涼子を隣の部屋に寝かせ、自分はリビングに布団を敷いた。
疲れていたせいもあるが、俺もいつの間にか眠っていた。

どれくらい時間が経っただろうか。
もぞもぞとしたくすぐったい動きに目が覚めた。

涼子だ。意識が戻って俺の布団の中にもぐりこんできた。

涼子「ごめんね。ありがとう」

俺「ああ。大丈夫?何ともない?」

涼子「うん」

発作を起こした事は本人も認識しているようだ。
心配したが問題ないようだ。ひと安心。

涼子「一緒にいていい?」

そうは言ってもやはり不安なんだろう。
涼子は俺の左腕をぎゅっと抱きかかえ離さない。
俺は何も言わず涼子の頭を撫でてやった。

涼子は左手でやたらと俺の頬やら首筋を撫でる。
やはり不安や心配が心を離れないのか・・・

昨日から、涼子は頻繁に俺にしがみ付いているのだが
その力加減もちょっと普通じゃないくらい痛い。

子供の頃から人に抱かれたり、愛情を受けられなかったのか
まるで小さな子供が手にしたおもちゃを放さない時の様に
抱えついて離れようとしない。

相変わらず涼子は俺をぺたぺたと触り続ける。
そのうち不意に涼子の手が、俺の大事なところに
「コツン」と当たった。いや、そりゃ男ですからね。

俺「・・・・・」

涼子「いいよ。宏之がしたかったら」

おいおい、ちょっと勘弁してくれ。
さっき涼子を施設に帰す決心をしたばかりの俺に
天使の甘い誘惑が・・・

俺「ダメだよ」

涼子「なんで?こんななってるよ」

ぐぅ・・・握るな、涼子・・・・
ここで再び体を交わらせてしまうと
もうどうしようもない事になりそうだったので
俺は必死にこらえる。

涼子「私ね。昨日と違って、今日は心からしたいって思うの」
  「宏之にしてほしい。昨日あんなだったから・・・・・」
  「大好き・・・」

たぶん俺、がまん汁あん時ほど出た事ないです。

逆に俺にしてみれば、昨日と違い涼子の素性を知ってしまった今
ここで涼子を抱いてしまったら、客観的に見て人としてアウトと思った。

そう思うことにした。今日は俺がやせがまん。

俺「涼子は大切な娘だからできないよ」

涼子「えー何で?何それぇ」

涼子「じぁお口でする」

俺「だから、それもだめだって!」

涼子「・・・・・」

次の瞬間、突然涼子が起き上がって泣き出す。びっくりする俺。

泣き叫ぶように怒鳴る涼子

涼子「てんかん見たからでしょ!」
  「私なんかキモイんでしょ!」

さっきの発作の後での俺のこの態度が涼子にそう思わせたようだ。
そう思われても仕方ない流れだ。これはまずかった・・・。

もちろん俺的にはそんな気持ち毛頭あるわけではないが
タイミングが悪かったとしか言いようがない不運。

涼子は隣の部屋に戻りピシャリと戸を閉めてしまった。

今度は俺が慌てて涼子の布団にもぐりこむ。
涼子は泣いている。

涼子をそっと後ろから抱きかかえてやる。

俺「ごめんな。そんな意味じゃないんだ」

俺「俺が涼子をそんな風に思ってると思うか?」

俺「涼子を守ってやりたいから・・・」

涼子は何も言わないが、ぐっと俺の手を握り返す。
くるっとこっちに寝返って俺を見つめてきた。

涼子「キスだけならいい?」(表情が・・・くぅぅぅ)

さすがにちょっとかわいそうな事をしたので
キスだけは許すことにした。
何も言わず涼子にキスしてやる。

その後はもう涼子のキス攻め。
いや、もう犬のようにしゃぶりつかれたw
そのうち涼子も疲れたのかいつの間にか寝てしまった。

そして、決意の朝を迎える。

翌朝目を覚ました俺たちはトーストとコーヒーで軽めの朝食。
涼子は相変わらずニコニコしているが、もうこれで終わりだ。
涼子に覚悟を決めさせるべく説得を始める。

小一時間、色々言ったので何をしゃべったか覚えてないが
俺は涼子に納得してもらえるよう精一杯の理由を並べた。

涼子が施設を抜け出して、今ここにいる事で
たくさんの人が心配していること。

俺だって涼子と一緒にいてやりたいが
このままここでずっと生活できるはずがない。

何より病気のことが心配だし、ここにとどまっても
何も事態は好転しないこと。

まぁ色々しゃべってはみたが、涼子が納得する訳はなかった。
ただじっとうつむいたまま、唇をかんでじっとしている。

どうしよう・・・
涼子は黙って聞いているが、納得させるのは無理かもしれない。
限界を見た俺はいよいよ施設に電話をかけることに。

俺「いいね。電話するよ」

涼子「・・・・・・・」

電話をかける俺。無言の2人の間に発信音が響く・・・

先生「はい。○○学園でございます」

俺「あ、あの・・・お世話になります。」
 「実は、お宅の涼子さんを今自宅でお預かりしてまして・・・」
 「そちらにお返ししたいのでご連絡を、」

と言いかけたところで、電話口が慌て始める

先生「えっ!涼子がいるんですか?本当ですか?」

先生の口調からは安堵の様子が見て取れる。

俺「あの実は昨日から一緒におりまして」

先生「涼子は?涼子はどこですか?電話代われますか?」

こちらの話もそっちのけで一方的な先生。まぁ当然か
俺は涼子に電話口に出るよう促す。重い表情で受話器を取る涼子。

涼子「・・・涼子です。・・・ごめんなさい」

電話口からは先生の興奮した声が聞こえてくる。

先生「おまえ何やってんだよ。良かったよぉー。先生心配したょー」

心なしか先生の声も震えている。涼子はうなづきながら何か聞いている。
ふと見ると畳の上にポタポタと、音を立てるほど大粒の涙を涼子は流していた。
いつもの先生の声に心が緩んだのだろう。

ひととおり先生の話を聞き終わって
最後に「はい。大丈夫です」と言って受話器を返す涼子。

俺「すいません・・・こんな遅くなって。今からそちらお伺いします」

先生「いや申し訳ありませんが○○で待ち合わせでお願いします」

指定されたのはスーパーの駐車場。
それから先生からは捜索願も提出したので警察も来るという事。
やむを得まい・・・覚悟のうえだ。

打ち合わせを終えて電話を切る。
涼子は泣き崩れたままで起き上がることができない。

俺「涼子。さぁ行くよ。しっかり」

涼子はボタボタと大量の涙を流してはいるが
キッと口元を食いしばり、声を上げたり、嗚咽することはない。
何かしら腹をくくったのか、無言のまま立ち上がった。

涼子を車に乗せ待ち合わせの場所に向かう。
もはや何を話しかけていいのかわからない。

たまらない沈黙・・・
たまらなくなった俺はカーステレオのスイッチを入れる。
が、この選択はまずかった。かかってきた曲がさらにつらくなる。
偶然入っていたCDは大黒摩季だった。
「あなたがいればそれだけでよかった」

 あなかが望む人になれなかった
 もう一度だけ 泣いてもやり直せないんだね

 あなたはずっとふたりでいたかった
 いまさら何を悔やんでも仕方ないんだね

待ち合わせの場所まであと5分ほどの所まで来た。
いったん車を停めて助手席の涼子に話しかける。

俺「涼子。もうすぐお別れだから」
 「色々ごめんな。ありがとう。」

あんまりしゃべったら分かれづらくなりそうで
これ以上は言葉が出なかった。

涼子は押し黙ったままうつむいて鼻をすすっている。

涼子「お別れのキス。最後のお願い」

そう言うと俺に抱きつき、鼻水混じりのしょっぱいキス。
しばらく涼子のキスは続いたが、諭すように引き離す。

涼子は何か言いたげに、口を開こうとしているが
思いとどまったのか、じっと俺を見つめた後うつむく。

俺が涼子の顔を見たのはそれが最後だった。
あの時、涼子が言いかけてやめた言葉はわからない。
それから最後まで涼子が顔を上げることはなかった。

 きっと顔を見たらつらくなるから
 
 最後の言葉を言ってしまったら心まで離れそうだったから

待ち合わせの場所で、施設の先生に涼子を引き渡す。
俺はただ施設の白いワゴン車に乗り込む涼子を見ていた。

先生が何か俺に礼を言っているようだったが
あの時の俺にはまったく聞こえていなかった。

白いワゴンが動き出す。ただ黙って見送る俺。
涼子はうつむいたまま顔を上げない。
車に小さな体を揺られながら町の中へ消えていった。

ひとしきり車を見送った後、男に声をかけられた。刑事だ。

刑事「あ。ちょっといいかな」

俺「はい。わかってます」

刑事「一応事情を聞きたいので、任意同行お願いします」

俺「わかりました」

刑事の黒塗りの車のあとについて警察署へ。
任意同行なので自分の車を運転して行った。

警察署に入ると警察官の事務室横にある取調室に案内された。
取調室では担当の刑事が待っていた。

刑事「あ、すまんね。一応話聞かせてもらうから」

俺「はい」

隠してもしょうがないので、俺は洗いざらい
自分の心境も交えて淡々と話した。
刑事はうんうんと、うなづきながら黙々と調書を記入していく。
そうこうしているうちに昼が来た。

刑事「めし喰うだろ。行こうや」

刑事さんと一緒に警察署の近くにある定食屋へ。

刑事「いいから何でも食べな」

なんか優しい人だ。でも俺はとても今食べられる心境じゃない。
何とか、かけうどんだけ喉を通して再び取調室へ。

一日目でだいたいの事情説明は終わった。
最後に調書の内容を刑事さんが読み上げ
調書の最後の所に同意の署名と指紋を押捺する。

取調べが終わってから刑事さんが説明する。

 今話を聞いた限りでは、刑法犯に当たるような事案ではないと思う
 ただし青少年健全育成条例違反。あと被害者からの告訴があるかもしれない。
 行為に及んでいる以上、何らかの処罰はあると思っておくように

刑事「明日も事情聞けるか?現場ひととおり回るから一日かかるよ」

俺「はい」

刑事「お前学校はいいのか?」

俺「まぁ行ってないんで・・・」

刑事「おいおいしっかりせんか。親が泣くぞ」

まったく面目ない。

家に帰って泣いた。ひたすら泣いた。

涼子は今どうしているんだろうか?
先生は優しそうだったが、叱責されてはいないだろうか?
親も来ているかも知れない。

どうなっているのか心配でほとんど一睡もできなかった。

二日目は刑事さんが朝家まで迎えに来てくれた。

パトカーか黒塗りの車を覚悟していたから
近所の人に見られたら嫌だなぁと思っていたが
刑事さん自分のマイカーで来てくれた。

ほんとに気を使ってもらってすいません。

二日目は「事件」の現場をひとつずつ回って
証拠として「写真」を撮影していく。
一箇所ずつ、俺が指差しして場所を示し
それを刑事さんが写真に撮影する。

最初の駐車場からカラオケ店・・・
良子と出会った時の記憶が生々しくよみがえってくる。

改めてほんのちょっとした運命の巡り会わせを感じる。
あの時俺が面倒がって出かけなければこんな事にはなってない。
もし出かけていなかったら涼子はどうなっていたか。

車中で刑事さんが色々気さくには話しかけてくれたが
俺はどこか上の空で、ぼーっと外の景色を眺めていた。

現場検証でホテルのところまで来た。
部屋に入ろうとしたが、あいにく使用中らしい。
刑事さんと車の中でしばし待つことに。

この時刑事さんから、色々な事実を告げられたのだ。

刑事さんは本当は言っちゃいけないんだけど、と前置きした上で
君なら大丈夫だろうからと話し始めた。

まず悪男だ。

すっかり忘れていたが、そもそも
こんな事になったのはあいつが原因だ。

愛川と一緒に俺たちの前から消えた後、
やはり同じくラブホテルに行こうとしていたようだ。

ところが悪男が大好きな、カーセクロスをしようとしたもんだから
愛川が激しく抵抗。悪男は愛川を掴んで軽く暴力したらしい。
愛川激しくビビって悪男の隙を見て逃走。
その日のうちに施設に電話して助けを求めたらしい。

こいつら最悪だ・・・

しかし愛川も涼子をそそのかしておいて
先に自分が逃げて帰るとはお騒がせなやつ。

悪男はまぁそういう人間だから驚かないが
涼子を強姦したうえに、愛川への強姦未遂と婦女暴行で
その晩家にいたところを速攻タイホされたようだ。
刑事さんが言うにはまぁ禁固刑確実。

次に刑事さんが教えてくれたのは涼子の様子。
一応当事者だから施設に話を聞きに行ったらしい。
悪男なんぞどうでもいい。俺が聞きたいのは涼子の状態だ。

刑事さんは「いい娘だな。涼子ちゃん」と前置きした上で話してくれた。

俺の取調べが終わった後、施設に行ったらしいのだが
かなりつかれ切った様子だったそうだ。
おそらくずっと泣き続けていたに違いない。
それでも刑事さんの受け答えにはしっかり答えていたようだ。

服買ってやったって言ってたろ。
あれをな、一応証拠品だから見せてくれって頼んだんだよ。

ところがひざの上に抱えたまま離さないんだよ。

写真撮ったら返すからって言っても聞かないんだ・・・
もう返してもらえないと思ったんだろな。
何かこっちが無理やり取り上げる様になったからやめたわw

よっぽど気に入ったんだろうな。あの服。

俺泣きそうになる。

でな、帰り際にお前の事を聞くんだよ。
お前をかばってたよ。悪いのは自分だって・・・

お前を捕まえないでくれって、ボロボロ泣き出してな。

何だか俺が悪者にされちゃったよまったくw

俺泣いた。

刑事「あの子があんな事を言わなきゃ、俺はこんな話はしない」
  「お前も女の子あそこまで泣かしたんだから、心入れ替えてしっかりせぃ!」

助手席でうつむいていた俺の背中に、刑事さんのでっかい張り手が飛んできた。

その後、ひととおり写真を撮り終わって、俺の取調べは2日で終わった。
その数日後、検察庁に呼び出され条例違反の罰金10万円を告げられる。
もちろんと言っていいか・・・涼子の側からの民事告訴もなく一連の手続き終了。

あっけない幕切れで、ぽっかり心に穴が開いた。
しばらくは何をしていても力も気持ちも入らない日々が続く・・・・

そうこうしているうち悪男から連絡が来た。

悪男の方は刑事罰で懲役1年6ヶ月、執行猶予3年。
とりあえず執行猶予付き保護観察処分。罰金は30万円らしい。

その上で悪男から提案。弁護士に言われたので
愛川と涼子、それぞれの親の所に慰謝料持って謝罪に行く。
慰謝料は俺が出すから、お前も付いて来いという話。

まぁ愛川はともかく、涼子の所は俺の方が長く拘束したし
礼儀として謝罪に行かねばならないだろう。

俺は悪男に同行する形で、涼子の両親に会いに行くことになった。

あの涼子に虐待を繰り返していた両親にだ。

後日、悪男と一緒に涼子の両親と対面した。

涼子は母親似だった。
お母さんも小柄で、柔和な人柄が見える。グレーのスーツを着ていた。

問題は父親のほうだった。

他人に会うというのにTシャツに半ズボン、裸足でビーチサンダルだ。
こちらが挨拶している時でさえ、片足を投げ出したまま、手はポケット。
咥えタバコを嫌というほど煙らせながら、貧乏ゆすりしている。

 こいつ最悪・・・この男が涼子をあんなにしたのか!

本来俺は謝罪に来ている立場なのに、沸々と怒りがこみ上げる。

涼子父「あんた仕事何してんの?」

俺「まだ学生で・・・」

涼子の父親は「ちっ」と舌打ちしたうえではき捨てた。

涼子父「あーあ、こりゃ慰謝料はずまんのぅ・・・」

俺「!」

 コ ノ ヤ ロ ウ ブ チ コ ロ シ タ ロ カ

人生で初めて殺意が沸いた。

思わず立ち上がりそうになったが、ぐっとこらえて耐える。
もう怒りで我を忘れていたので、
この後何をどうしたのか全く覚えていない。

こんな奴が! こんなクズが! くそっ!

これじゃいくら涼子が立ち直ったって、帰る家がないじゃないか。
こんな親父の所に帰ってしまったら命さえ危ない。

改めて涼子が「帰るところがない」と言っていたのを思い出し
何とかしてやりたいとは思うものの、
その術を持たない自分が腹立たしく思えた。

涼子に偉そうに言ったくせに、俺は無力だった。

言葉だけで何もできない無責任な俺。

ただ失望感だけが残ってしまった・・・

そして、あれから数ヶ月、そして二回目の夏・・・・

俺はただ日常に流されていた。
あれからというもの、はっきり言って抜け殻だ。

涼子に会いたくて、一度は施設の前までは行ったものの
会ったところで自分には何もできない。むしろ涼子には酷だ。
それ以前に施設が涼子に合わせてくれるはずもなかった。

結局、学業に身も入らず、俺は大学を辞めた。

ただひたすら忘れようと、ひたすら倒れるまで働いた。
資格も取った。勉強しているよりは気がまぎれた。

ただ疲れ果てて何も考えられず寝て起きて。
いつしか生きることの目標も見失いかけていた。

あれから2年と半年が過ぎた頃だった。
桜も散り、街は暖かな春に包まれていた。

いつも請求書ばかりの郵便ポストに
かわいいクマの模様の封筒が入っている。

何だろうと思いつつ、宛名の裏を返して驚いた。

涼子からだ!涼子から手紙が来た!

もう頭の中が吹っ飛んだ。何で?何で?どうして?

足がもつれながら急いで部屋に戻り封筒を開く。

涼子は、ここへつれて来られた時にしっかり
アパート名と部屋番号を覚えていたのだ。
住所と番地は不完全だったがきちんと届いている!

封筒にはかわいい便箋が3枚、手書きでびっしり書き込まれている。
はじめてみた涼子の字。一生懸命だけど、かなり下手だw

手紙の内容は・・・

最初はつらくて泣いてばかりだったけど
あれからがんばって精神疾患を克服したようだ。

その後、あの両親は離婚、涼子は施設を出て母親と暮らしている。
定時制高校に通いながら、昼間はアルバイトで働いていると。
てんかんは直らないけど、もう怖くないから平気。

色々つらいこともあるけど、人の優しさがわかるようになった。
お母さんもそばにいてくれるから大丈夫。

何より涼子の心の中で、俺がずっと見守ってくれているから
もう泣き虫なんかじゃない。これからもがんばる。

そんな感じ。

腐っていた自分が情けなかった・・・

涼子はがんばってくれてた。よかった・・・

俺の間違った行動で、幼い彼女にたいへんな思いを
させてしまった事を改めて悔いた。

だが、それ以上に彼女の生き方が大きく好転したことを
喜ばずにはいられなかった。

涼子に返事を書きたかったのだが、住所は書かれていなかった。
消印は、涼子の実家の近くの町になっている。

住所が書かれていなかったのは単なる書き忘れではないのだろう。

おそらくこの春から新しい生活が始まったのだろう。
涼子なりに自分の自立の為の、決意の手紙だと察した。

そしてその涼子の手紙は俺の気持ちの整理にも十分なものだった。
結局、俺は涼子を助けたようで、自分が助けられたのかもしれない。

ひと通り読み終わった手紙を封筒に戻そうとして
封筒の中に何か残っているのを見つけた。

 写真だ。

裏面に「ありがとう」と書かれた写真には
あの時の白いワンピースを着て、母親と微笑む涼子がいた。

俺「ありがとう涼子。大切にするよ」

そっと手紙を引き出しにしまった。
さぁ、明日からがんばるぞーーーーーーーーーーーーーーーー!

  おしまい



出典:かわいそうな15歳の少女を抱いて警察の世話になった話
リンク:http://novelhiroba.com/?p=900
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