鏡の中の友達 (恐怖の体験談) 12640回

2012/03/27 20:32┃登録者:痛(。・_・。)風◆pvNbTqv.┃作者:名無しの作者
私は幼い頃、一人でいる事の多い子供でした。 
実家は田舎の古い家で、周りには歳の近い子供は誰もいませんでした。 

弟が一人いたのですが、まだ小さくかったので、一緒に遊ぶという感じではありませんでした。 
父も母も祖父も、弟が生まれてから、以前ほど私をかまってくれなくなって、少し寂しかったのだと思います。
とにかくその頃の私は、一人遊びで日々を送っていました。 

私の家は古い田舎造りの家で、小さな部屋がたくさんありました。 
南西の隅には納戸があり、古い道具や小物が納められていました。 
その納戸に入り込んでは、仕舞ってある品々をオモチャ代わりにして遊ぶのが、当時の私の楽しみでした。 

その鏡を見つけたのが、何時のことだったのかはハッキリしません。 
もともと手鏡だったようなのですが、私が見つけたときは、枠も柄も無いむき出しの丸い鏡でした。 
かなり古そうなものでしたが、サビや曇りが殆ど無く、奇麗に映りました。 

そして、これもいつ頃だったのか良く憶えていないのですが、
ある時、その鏡を覗くと、私の背後に見知らぬ女の子が映っていました。 
驚いて振り返りましたが、もちろん、私の後ろに女の子など居ません。 
どうやらその子は、鏡の中だけにいるようです。 

不思議に思いましたが、怖くはありませんでした。 
色白で髪の長い女の子でした。 
その子は鏡に写る私の肩ごしにこっちを見て、ニッコリと笑いました。 
「こんにちは」 


916:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:23 
やがて私たちは、話を交わすようになりました。 
私は彼女の事をナナちゃんと呼んでいました。 
両親は、納戸に籠り、鏡に向かって何ごとか喋っている私を見て
気味悪く思ったようですが、鏡を取り上げるような事はしませんでした。
それに、大人達にはナナちゃんは見えないようでした。 

ある日、私はナナちゃんに、「一緒に遊ぶ友達がいなくて寂しい」というようなことを話しました。 
すると、ナナちゃんは、「こっちへ来て私と遊べばいい」と言ってくれました。 
しかし私が、「どうやってそっちに行ったらいいの?」と聞くと、
ナナちゃんは困ったような顔になって、「わからない」と答えました。 

そのうちナナちゃんが、「・・・聞いてみる」と、小声で言い足しました。 
私は誰に聞くのか知りたかったのですが、何となく聞いてはいけないような気がして黙っていました。 


917:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:23 
それから何日か経ったある日。ナナちゃんが嬉しそうに言いました。 
「こっちへ来れる方法がわかったの。私と一緒にこっちで遊ぼう」 
私は嬉しくなりましたが、いつも両親に、
「出かける時は祖父か母へ相談しなさい」と言い聞かされていたので、 
「お母さんに聞いてくる」と答えました。 

するとナナちゃんは、また少し困った顔になって、 
「このことは誰にも話してはいけない。話したら大変なことになる。もう会えなくなるかもしれない」
というような事を言いました。

私は、「それはイヤだ」と思いましたが、言いつけを破るのも怖かったので、黙り込んでしまいました。 
するとナナちゃんは、「じゃあ明日はこっちで遊ぼうね?」と聞いてきました。 
私は、「うん」と返事をしました。 

「約束だよ」 

ナナちゃんは微笑んで、小指をこっちに突きだしてきました。 
私はその指に合わせるように、小指の先で鏡を触りました。 
ほんの少しだけ暖かいような気がしました。 


918:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:24 
その夜はなかなか眠れませんでした。 
両親にはナナちゃんのことは話しませんでした。 
しかし、寝床に入って暗闇の中でじっとしていると、いろんな疑問が湧いてきました。 

鏡の中にどうやって入るのだろう? 
そこはどんな所なんだろう? 
ナナちゃんはどうしてこっちに来ないんだろう? 
こっちへ帰ってこれるのだろうか? 

そんな事を考えるうちに、だんだん不安になってきました。 
そして、ナナちゃんのことが少し怖くなってきました。 

次の日、私はナナちゃんに会いに行きませんでした。 
次の日も、その次の日も、私は納戸には近寄りませんでした。 
結局、それ以来、私は納戸へ出入りすることを止めたのです。 

月日が経ち、私は町の高校へ行くために家を出ました。 
卒業しても家に戻ることもなく、近くの町で働き始め、やがて私は結婚して所帯を持ちました。 
その頃になると、ナナちゃんのことはすっかり忘れていました。


920:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:27 
結婚後しばらくして、妻が妊娠し、しばらく親元に戻ることになりました。 
すると、家事をするのも面倒だし、誰もいない家に一人で居るのも寂しかったので、
私は何かと用事を作って、頻繁に実家に帰る事が多くなりました。 

その日も、実家で夕食を食べ、そのまま泊まることにしました。 
夜中に目が覚めて、トイレに立ちました。 

洗面所で手を洗いながら、何気なく鏡を覗きました。 
廊下の途中の仕切が開いていて、その向こうの暗闇に、あの納戸がうっすらと見えていました。 
その時、おやっと思いました。

トイレに来る時には、その仕切を閉めた覚えがあったのです。 
振り返ってみると、やっぱり仕切は閉じています。 
しかし、もう一度鏡を見ると仕切は開いていて、納戸の白い扉が闇に浮かび上がるように見えています。 

全身が総毛立ちました。
と、その扉が少し動いたような気がしました。 
その瞬間、私はナナちゃんの事を思い出しました。 
とっさに「ヤバイッ」と思いましたが、鏡から目を離すことは出来ませんでした。 
やっぱり扉は動いています。 

もう一度振り返っても、廊下の仕切は閉じたままです。 
鏡の中では、納戸の扉がもう半分以上開いていました。 
開いた扉の向こう、納戸の奥の闇に白いモノが浮かんでいました。 
これまでにない恐怖を感じながらも、わたしはその白いモノを凝視しました。 
それは、懐かしい少女の笑顔でした。 


921:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:28 
そこで私の記憶は途切れています。 
気がつくと、私は布団の中で朝を迎えていました。 

気味の悪い夢を見た・・ 
そう思った私は、実家にいるのが何となく嫌になり、
その日は休みだったのですが、すぐに自宅に帰る事にしました。 

私の自宅のマンションには、住民用に半地下になった駐車場があります。 
日中でも薄暗いそこに車を乗り入れ、自分のスペースに停めた後、最後にバックミラーを見ました。 
すると、私のすぐ後ろにナナちゃんの顔がありました。 

驚いて後ろを振り返りましたが、後部座席には誰もいません。 
バックミラーに目を戻すと、ナナちゃんはまだそこに居ました。 
鏡の中からじっとこっちを見ています。 

色白で長い髪を両側で結んだナナちゃんは、昔と全く変わっていないように見えました。 
恐怖のあまり視線を外すことも出来ず、震えながらその顔を見返していると、 
やがて、ナナちゃんはニッコリと笑いました。 
「こんにちは」 


924:あなたのうしろに名無しさんが・・・:03/01/29 13:38 
「どうしてあの時、来てくれなかったの?私ずっと待っていたのに」 
ナナちゃんは相変わらす微笑んだまま、そう言いました。

私が何と言って良いのかわからずに黙っていると、ナナちゃんは言葉を継ぎました。 
「ねえ、私と今からこっちで遊ぼう」
そして、ミラーに映った私の肩越しにこっちに向かって手を伸ばしてきました。 
「こっちで遊ぼう・・・」
「ダメだ!」
私は思わず大声で叫びました。 

「ごめん。ナナちゃん。僕は、もうそっちへは行かない。行けないんだ!」 
ナナちゃんは手を差し伸べたまま黙っています。
私は、ハンドルを力一杯掴んで震えながら、さっきよりも小さな声で言いました。 
「僕には妻もいる。子供だって、もうすぐ生まれる。だから・・・」 
そこで私は、俯いて絶句してしまいました。

しばらくそのままの姿勢で震えていましたが、やがて、私は恐る恐るミラーの方を見ました。 
ナナちゃんは、まだそこに居ました。
「そう・・わかった。○○ちゃんは大人になっちゃったんだね。もう私とは遊べないんだ」 
ナナちゃんは少し寂しそうにそう言いました。
「しょうがないよね・・」
ナナちゃんは、そこでニッコリと笑いました。 

本当に無邪気な笑顔でした。
私はその時、ナナちゃんが許してくれたと思いました。 
「ナナちゃん・・」
「だったら私はその子と遊ぶ」 
私がその言葉を理解出来ぬうちに、ナナちゃんは居なくなってしまいました。 
それっきりナナちゃんは、二度と私の前に現れることはありませんでした。 

2日後、妻が流産しました。
以来、今に至るまで、私達は子供をつくっていません。 

現在。私はナナちゃんの事を弟に話すべきなのか、本当に迷っています。



出典:((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
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