ドラえもん (アニメキャラの体験談) 33565回

2012/05/09 21:26┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 15:49:39.43 ID:aWSpUdyv0


学生「どうかしました?野比先生」 

のび太「ううん、何でもないよ。それより研磨は終わったかい?」 

学生「はい。これでもうバリはないはずです」 

のび太「本体側のインターロック回路も大丈夫?」 

学生「はい、動作確認済みです」 

のび太「よし。じゃあモータを駆動してみようか」 

青い球体の中にギアボックスを収められるのを、のび太は少し離れて見守っていた。 



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 15:51:49.20 ID:aWSpUdyv0


 中学卒業と同時に、ドラえもんが未来に帰った。 
 のび太がもう一人立ち出来る、別れを割りきれる年齢と判断したらしい。 
 高校の類型選択で、のび太は何となく理系を選択した。数学や理科が得意なわけ 
ではないが、国語や英語も別に得意ではなかった。 
 相変わらずの適当さでのらりくらりと高校を卒業し、藤子大学の工学部に入学し 
たのび太は、そのまま大学院まで進学し、博士課程を修了する。 
 今ではその藤子大学工学部ロボット工学科で助手をしていた。 




3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 15:53:46.16 ID:aWSpUdyv0


その日の午後、のび太が大学生協でラーメンを食べていると、不意に声をかけら 
れた。 

???「野比先生!」 

のび太「ん?ああ、しずかちゃん」 

しずか「うふふ。まさかのび太さんのことを先生って呼ぶことになるとはね」 

のび太「慣れないなあ、その呼び方」 

 のび太はガシガシと頭を書く。ボサボサの髪の毛が余計ボサボサになる。 
 高校が別れてから疎遠になりがちだったしずかと、藤子大学の図書館で再開した 
のはつい最近のことだった。彼女は大学図書館で司書として働いているらしい。 

しずか「それより、のび太さんまたラーメン?」 

のび太「うん。でも昨日はカップの塩ラーメンで、今日は生協の醤油ラーメンな 
    んだよ」 

しずか「…………」 




5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 15:55:48.61 ID:aWSpUdyv0


しずか「のび太さん、そういうところは変わらないわね」 

のび太「そうかな?でもこないだしずかちゃんに言われてから、ヒゲは毎朝剃るよ 
    うにしたんだよ」 

しずか「それだけじゃダメよ。他に……」 

のび太「他に?」 

しずか「そうね、まずその伸ばしっぱなしのボサボサ髪を綺麗に切って整えて、 
    丸眼鏡をオシャレフレームに変えて、背筋を伸ばして、ヨレヨレの白 
    衣を洗濯してアイロンかけて……」 

のび太「………いろいろダメみたいだね」 




7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 15:59:42.41 ID:aWSpUdyv0


しずか「そんなことより、ここへ来る途中に研究室の前を通ったんだけど……」 

のび太「ん?」 

しずか「のび太さんの研究室で作ってるアレ……ドラちゃん?」 

のび太「……うん。といっても、形だけだよ」 

しずか「そうよね……」 

のび太「情報工学科との共同開発でね、言語学習型のコミュニケーションロボッ 
    ト。そのロボットのデザインを、ドラえもんにしてみたんだ。周りから 
    はなんでそんなデザインに』って言われたけど」 

しずか「のび太さんらしいわ」 

のび太「けど、本物のドラえもんには程遠いよ」 

のび太「実際、今の科学じゃドラえもんは無理なんだ」 




9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:01:27.05 ID:aWSpUdyv0


???「やあ、野比先生にしずかちゃん」 

しずか「あら、出木杉さん」 

のび太「出木杉くん……その呼び方はやめてよ」 

出木杉「いいじゃないか。助手になったのはのび太くんの方が先なんだし」 

のび太「君のいる情報工学科とは違って、うちは慢性的な人手不足だから……そ 
    れだけの理由だよ」 

出木杉「謙遜するなって」 

のび太「そんなことないよ……現に今の共同開発だって君が皆を引っ張ってるし 
    ね。出木杉くんの方が、やっぱり僕より優秀だよ」 




10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:03:14.37 ID:aWSpUdyv0


出木杉「そうかな。それより、ドラえもんの話をしていたみたいだけど?」 

のび太「ああ、あのコミュニケーションロボットの方のね」 

しずか「言葉を学習するって聞いたわ」 

出木杉「まあ、多少はね。でも22世紀からきた、あのドラえもんほどのAIはとて 
    も無理だ」 

しずか「そう……」 

のび太「……本当に、ドラえもんの言っていたような未来が来るのかな?」 

しずか「どういうこと?」 

のび太「ドラえもんが言っていた年までに、今の科学があそこまで進歩するなん 
    て思えないよ」 

出木杉「僕もそう思うな。今の科学では到底無理だ」 

しずか「でも、ドラちゃんはそう言ったのよ?」 

のび太「それが気になるんだ……どうしたってドラえもんの言っていた年には間 
    に合わない」 

のび太「なぜドラえもんは嘘をついたんだ?」 




15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:06:58.57 ID:Oy/xJL6A0


>>10 
この最後の一文だけでどきどきしてしまう。 




12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:05:00.91 ID:aWSpUdyv0


 その日の夜、居酒屋に懐かしい5人がそろった。 
 のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫、出木杉。 
 のび太としずかと出来杉の3人が顔を合わせたので、どうせならみんなで飲もう 
という話になったのだ。 

ジャイアン「しかしのび太が大学の先生だなんてよー、何回聞いても笑えるよなw 
      ww」 

スネ夫「出木杉はしっくりくるのになwww」 

のび太「どうせ馬鹿ですよーだ……」 

ジャイアン「で、なんなんだよ?話って」 

出木杉「いや、実はね……」 




14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:06:43.71 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「なるほど、ドラえもんか……」 

 呟いたスネ夫がスーツのポケットから煙草を取り出そうとし、しずかの方を見て 
やめた。 
 ジャイアンは逞しい腕を組み合わせ、考えこんでいる。 
 スネ夫は大学卒業後親の会社に入り、ジャイアンは高校を中退して剛田商店を継 
いだと聞いている。 

スネ夫「僕はのび太や出木杉みたいに専門じゃないけどさ、今の科学でドラえも 
    んが作れないことはわかるよ」 

ジャイアン「待てよ、俺テレビで見たぜ。二足歩行したり、会話するロボット」 

出木杉「ああいうのとはレベルが違うよ」 

ジャイアン「でもよぉ……そもそもドラえもんが出来たのっていつだ?」 

スネ夫「確か、2112年」 




17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:08:00.40 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「何だよ!まだ100年以上あるんじゃねぇか!それなら……」 

出木杉「無理だよ。今の開発段階からドラえもんまでの間にある壁は、あまりに 
    も高く厚い。感情を持って、思考して、なめらかな動作も必要。今のロ 
    ボットはね、走るのさえ難しいんだよ?」 

しずか「それにドラちゃんより先に秘密道具が必要よ」 

のび太「うん、秘密道具はドラえもん誕生以前に出来てたはずだよ。それに、ド 
    ラえもんの話が本当ならタイムマシンはもう出来てるはずなんだ」 

ジャイアン「え?」 

のび太「ドラえもんは言ったんだ……タイムマシンが発明されたのは2008年だって」 

 ジャイアンは黙ったまま、店内を見回した。 
 そして、カレンダーを見ると目を見開く。 

ジャイアン「2008年って、去年じゃねぇか!!」 

スネ夫「反応遅っ!」 

出木杉「……その話は僕も初耳だったな」 

のび太「つまり、ドラえもんの話にはすでに矛盾が生じてるわけだ」 




18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:09:56.46 ID:aWSpUdyv0


しずか「でも……」 

 カルーアミルクのグラスを置いて、しずかが口を開いた。 
 みんなの酒のペースは格段に遅くなっていた。 

しずか「でも、まだドラちゃんが嘘をついたとは限らないわ」 

スネ夫「ま、断定は出来ないね」 

ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」 

出木杉「つまり、ドラえもんがいた未来と僕らの未来は違う……未来が変わった 
    可能性もある」 

スネ夫「本来は今年中にタイムマシンが出来てるはずなのに、その未来がねじ曲 
    げられた」 

出木杉「そう。その可能性は高いだろうね」 

のび太「問題はどこまで未来が変わったのかだね。タイムマシンが遅れただけな 
    らいいけど、最悪……」 

しずか「ドラちゃんが、作られない?」 

スネ夫「かもね……」 

ジャイアン「おい、何でだよ。俺にわかるように言えよ」 




22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:12:13.94 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「こういうのは考えられないかな?」 

出木杉「なんだい?」 

スネ夫「確かに、今の科学じゃドラえもんの道具やドラえもん自体の開発は考え 
    られない。でも、今の科学を急激に発達させる何かがあったとしたら?」 

のび太「何かって?」 

出木杉「戦争があると技術が発達するっていうよね」 

しずか「そんなまさか……」 

スネ夫「待って待って!そんな物騒な話じゃないんだ。例えば、宇宙人が地球に 
    来たとする。彼らは未知の文明を持っていて、彼らの技術を参考に地球 
    の科学が爆発的に飛躍するんだ」 

しずか「宇宙人が……?」 

のび太「確かに、なくもない」 

出木杉「おいおいのび太くん、科学者らしからぬ発言だね」 

のび太「いや……僕らはドラえもんの道具で何度か宇宙に行き、その星の文明に 
    接しているんだ。宇宙人を否定できない」 




23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:14:12.60 ID:M1TqIqDlO



アトムも生まれてないこんな 
世の中じゃ 





25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:14:24.31 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「まあ、宇宙人でなくてもいいんだ。未来人が秘密道具を落としていった 
    とか……とにかく、爆発的な科学の進歩によって2112年までにあのレベ 
    ルに達する。そういう可能性もあるんじゃない?」 

のび太「ありうるね。それならタイムマシンが遅れただけのことになる」 

しずか「確かに……」 

出木杉「考えられなくはないな。未来人か……」 

ジャイアン「さっぱりわからん」 




27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:15:52.02 ID:aWSpUdyv0


しずか「もし……未来が変わったんだとしたら問題ね」 

のび太「でも未来が変わるのを、タイム・パトロールが見逃すかな?」 

スネ夫「大きい変化なら見逃さないだろうけど、小さい変化なら自然修復できる 
    って考えじゃない?」 

のび太「でもさ、2008年にタイムマシンが出来なくなったのなら、ドラえもんが 
    その情報を持っているはずがない。すると僕がそれをドラえもんから聞 
    くこともないはずなのに、僕は聞いて、今も覚えている。これって矛盾 
    しないかな?」 

出木杉「タイム・パラドクスか……」 

ジャイアン「まず俺のパラドクスを何とかしてくれ」 




30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:16:10.64 ID:vcOa2nL5O


むしろあれだけタイムマシンが横行してるのに歴史改変が数えるほどしか無いのがおかしい 
22世紀からドラえもん、ドラえもんでは無かったとしても未来の誰かが過去に行った時点でその先の未来は未定になってしまうのだから 




33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:17:45.16 ID:VHs2kxFRO


>>30 
タイムパトロールは偉大なのだよ 




36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:19:31.00 ID:PqIpDtR80


>>30 
元々辿ってきた歴史そのものが、元々未来人の介入があったものだと考える事も出来る。 
ようは、未来を変えたつもりが、それこそが既に歴史の一部だった、という。 

こじつけだけどな。 




42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:22:18.98 ID:xb8b7VNtO


>>36大魔境がそんな感じだったな 




32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:17:24.98 ID:aWSpUdyv0


のび太「結局、僕らは何もわかってないってことなんだろうね」 

しずか「あんなにドラちゃんと一緒にいたのにね……」 

スネ夫「どう足掻いても無駄さ、僕らは現代人なんだもの」 

のび太「現代人……か」 

出木杉「結局、僕らは僕らの科学を進めるしかないんだろうね」 

しずか「のび太さんと出木来杉さんのロボットみたいに?」 

スネ夫「へぇ。なんなのさ、そのロボットってのは?」 

出木杉「僕のいる情報工学科とのび太くんのいるロボット工学科の共同開発で、 
    コミュニケーションロボットを作ってるんだ」 

スネ夫「へぇ……のび太のくせに生意気だなww」 

のび太「懐かしいな、そのセリフ」 

ジャイアン「ようやく俺にもわかる話題になってきたぜ!」 




37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:19:33.12 ID:aWSpUdyv0


 結局その日は、ジャイアンがピッチャーを一人で飲み干したところでお開きとな 
った。 
 もともと酒の弱いのび太は途中からソフトドリンクに切り換えていたし、しずか 
と出木杉とスネ夫はホロ酔い程度、ジャイアンに至ってはあれだけ飲んでまったく 
変わりがない。 

スネ夫「もう一軒……はさすがに無さそうだなww」 

しずか「みんな明日も仕事だもんね」 

ジャイアン「よぉ、みんなはどうやって帰るんだ?」 

出木杉「僕とのび太くんとしずかちゃんは方向が同じだから、3人で一緒に電車で 
    帰るよ」 

のび太「いや、僕は大学にいったん戻るから……」 




40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:21:07.26 ID:aWSpUdyv0


出木杉「今から?じゃあ、しずかちゃん。2人で帰ろうか」 

しずか「ええ……」 

スネ夫「僕はタクシーを拾うよ。のび太も乗ってく?」 

のび太「いいよ、スネ夫ん家と方向逆だし」 

ジャイアン「俺は歩いて帰るぞ」 

しずか「武さん、大丈夫?」 

ジャイアン「なーに、しずかちゃん。この俺様に怖いものなどない! 
      さ、行くぞのび太!」 

のび太「えぇ?なんで」 

ジャイアン「いいから一緒に帰ろうぜ!心の友よ!」 




44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:22:48.56 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「なぁ、のび太」 

 帰り道でふと、ジャイアンが口を開いた。 

のび太「ん?」 

ジャイアン「よかったのか? しずかちゃんを出木杉と二人で帰してよぉ」 

のび太「……どうして? 僕は別にしずかちゃんの恋人じゃあないよ」 

ジャイアン「でも、未来の結婚相手だ」 

のび太「それも、どうかな」 

ジャイアン「??」 

のび太「未来は変わった……そう考えるなら、ドラえもんが見せてくれた僕としず 
    かちゃんの未来だって怪しいよ。だったら僕にしずかちゃんを繋ぎ止める 
    権利なんかない」 

ジャイアン「建前はわかった。本音はどうなんだ? おまえはしずかちゃんのことが 
      好きじゃあないのか?」 

のび太「僕は……」 

ジャイアン「難しいこと考えすぎんな。頭こるぞ」 

 そういってジャイアンはのび太の頭をはたいた。 
 その痛さを妙に優しく感じたのび太だった。 




49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:24:30.06 ID:aWSpUdyv0


 スネ夫はマンションの前でタクシーを降りた。 
 オートロックの入り口をくぐり、エレベーターを待つ。 

スネ夫(のび太はしっかりしたようで、やっぱり相変わらずだな。しずかちゃんを 
    出木杉に持っていかれちゃってさ) 

 エレベーターに乗り込み、上昇を感じながらスネ夫は昔を思い出した。 
 いつからだろうか、スネ夫はのび太としずかの結婚を望むようになっていた。それ 
はタイムテレビで見た幸せな光景のせいだろうか? 
 あの未来だけは変わってほしくない。そう思っている自分にスネ夫は驚く。昔は自 
分だって、しずかのことが好きだったはずなのに。 

スネ夫(ドラえもんのせい、かな) 

 自分の部屋の前に着くと、ポケットに手を突っ込んで鍵を探す。 
 と、そのときスネ夫は違和感を感じ、顔を上げた。 
 窓から明かりが漏れていた。出掛けに明かりは全部消したはずなのに。 

スネ夫(誰か……いる) 




53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:26:18.26 ID:aWSpUdyv0


 極力音を立てないよう慎重に鍵を開けると、スネ夫は静かにドアを開け警戒しなが 
ら玄関に身を滑り込ませた。傘立てからお気に入りのバーバリーの高級傘を引き抜く 
と、両手で構えながら部屋の中へ入っていく。 

そのときだった。 

 突如開いたウォークインクローゼットから人影が飛び出し、飛びついてきた。 
 傘をそちらに構えなおす暇もなく、スネ夫は自由を奪われる。 

???「スネちゃま、お帰りなさいざーます!!」 

スネ夫「……ママ、何でいるの?」 

 抱きついてきた母親を引き剥がし、スネ夫は傘を床に置く。 

スネ母「スネちゃまが心配でつい来ちゃったざます」 




55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:27:41.66 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「ママ、僕ももういい年なんだからさ。ママが心配してくるようなこともな    いんだよ」 

スネ母「いーえ、スネちゃまはまだまだ子供ざます」 

スネ夫「もう子供じゃな……」 

 言いかけたスネ夫は母が手に何か握っていることに気づいた。 
 それが何であるかスネ夫が認識するより早く、その「何か」はスネ夫の腹部に突き立 
てられていた。 

スネ母「スネちゃまは子供ざます。そして子供のまま……死ぬざます」 

 スネ夫は母の手に握られた包丁が自分の腹に突き刺さっているのを見て、呆然として 
いた。いったい、なぜ…… 
 包丁が引き抜かれる。激痛とともに血液が噴出し、スネ夫はその場にくず折れた。 




56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:28:43.48 ID:ZxIsepTy0


おいおい・・ 




59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:29:07.60 ID:eh5nGLdq0


おいおい殺す必要ないだろ・・・ 




60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:29:09.40 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「マ……マ、どうし……がぁあ!!」 

 言いかけたその背中に再び包丁が突き立てられる。 
 視界が歪む中、必死でスネ夫は顔を上げる。目の前に母の顔があった。 
 笑っている。鼻が少し赤かった。 

スネ母「死ぬざます死ぬざます死ぬざます!!!!」 

スネ夫「く……そ……」 

 バーバリーの傘を探すが、手が届かない。 
 スネ夫は最後の力を振り絞り、拳を突き出した。抵抗にも攻撃にもならない、その力 
ない一撃がゆっくりと母の顔面を打つ。 

 すると突如、母の動きが停止した。そして、空気の漏れるような音とともに母の体が 
萎み、人形へと変わっていく。 

スネ夫(コピー……ロボット? そうか、鼻のボタンに拳が当たったから……) 

 そこまで考えたところで意識が遠のき、スネ夫の視界は黒で塗りつぶされていった。 




65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:30:31.62 ID:aWSpUdyv0


 そのころ、のび太は辟易していた。 
 ジャイアンがしつこく、「俺の家で飲みなおそうぜ」と誘ってくるのだ。 
 明日も仕事だから、と断ろうとするとすぐに昔のガキ大将の顔を覗かせるのだから 
困ったものだ。 

ジャイアン「いいじゃねぇか。ほら、最近いい芋焼酎仕入れたんだぜ。一緒に飲もう 
      じゃねぇか」 

のび太「いや、今日は遠慮しとくよ」 

ジャイアン「それにさ、留学していたジャイ子が今ちょうど帰ってきてるんだよ。あ 
      いつもおまえに会いたがってたぜ。それにな、ここだけの話あいつ昔は 
      おまえのこと……」 

のび太「いや、遠慮しとく」 

ジャイアン「それにあいつ、海外のファッションに影響されたのか最近すごくお洒落 
      になったんだぜ? 今日なんかすげぇミニスカートを……」 

のび太「断固、遠慮しとく」 

ジャイアン「しょうがねぇな、とっておきの情報教えてやるよ。俺知ってんだ。ジャ 
      イ子のやつ今日は安全日……」 

のび太「遠 慮 し と く」 




68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:31:31.07 ID:uowUZ8wc0


これは…!? 




71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:32:07.21 ID:aWSpUdyv0


 無理やりジャイアンに引っ張られ、ついに剛田商店まであと十数メーターというとこ 
ろまで来てしまった。 
 ここまで来たらもう覚悟を決めるしかないだろう。のび太は腹をくくった。 

のび太(さよなら……僕の童貞……) 

 そのときだった。 

???「キャアアアアアアアアアアアアアッ!」 

のび太「!? ジャイアン、今の悲鳴……」 

ジャイアン「ジャイ子の声だ」 

 ジャイアンの顔が蒼白になった。 




77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:33:44.58 ID:aWSpUdyv0


 ドアをぶち破る勢いで二人が剛田商店に飛び込むと、縛られ猿轡をされたジャイアンの 
母と、わき腹を押さえてうずくまるジャイ子の姿があった。わき腹を押える手の隙間から 
血が流れでいる。 

ジャイアン「ジャイ子ぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」 

のび太「落ち着くんだジャイアン!!とにかく止血を……ぐあっ!!」 

 横っ腹に衝撃を感じると同時に、のび太の体は蹴り飛ばされタンスに叩きつけられた。 
 ジャイアンが振り返ると、のび太を蹴り飛ばしたと思われる二人組が立っていた。二人 
とも黒服にサングラス。その手には血のついたナイフが握られていた。 

黒服1「大人しくするんだな。騒がしいのはごめんだ」 

黒服2「しかし野比のび太まで一緒とはありがたいな……手間が省けた」 




80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:34:21.44 ID:TBQFbkgf0


>>1はSS書いたことある? 
なんか見たことあるような書き方なんだが 




84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:35:21.21 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「……おまえらか?」 

黒服1「あ? 何がだ?」 

ジャイアン「ジャイ子と母ちゃんにこんなことしたのはおまえらかって聞いてんだ!」 

 返事を待たずにジャイアンが突撃する。ジャイアンのラリアットが黒服の二人を吹き飛 
ばした。 

黒服1「がはぁ!!」 

黒服2「ぐほぁぁ!!」 

ジャイアン「貴っ様ら、よぉくも〜〜〜!!!!!!!」 

 咆哮しながら、ジャイアンは馬乗りになり二人を殴り続ける。 

黒服1「が!!ちょ……やめ……ぐほぉ!!」 





>>80 
始めてっす 




93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:36:58.09 ID:aWSpUdyv0


黒服2「く……そ!!いい加減にしやがれ!!」 

 黒服の蹴りがジャイアンの腹にヒットし、後退したジャイアンと黒服二人の間に間合い 
ができる。 

ジャイアン「よくも、よくも母ちゃんを!ジャイ子を!のび太を!!」 

黒服1「はぁ……はぁ……こいつ、何だよ。化け物かよ」 

黒服2「このままじゃ分が悪いな。あれ、使うか」 

黒服1「しかし、未来の痕跡を残すわけには……」 

黒服2「言ってる場合か? 保身が優先だ」 

 そう言うと黒服のうち一人がポケットに手を入れ、銀色の筒状のものを取り出す。 
 男はそれを指にはめ、拳銃よろしくジャイアンのほうへ構えた。 




96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:38:40.66 ID:aWSpUdyv0



 銀色の筒を指にはめ構える――何も知らない現代人が見たら意味不明な行動。 
 普通なら油断してやられていただろう。 
 しかしジャイアンは知っていた。 

ジャイアン(あれは……空気ピストル?) 

 未来のひみつ道具、空気ピストル。 
 「バン」という声に反応して空気の塊を射出する。射程距離は10メートル前後。 
 ジャイアンは瞬間的に身をよじるとテーブルの上の大理石の灰皿を手に取る。 

黒服2「くらえ!!バ……」 

 「バン」と言い終えるより早く、ジャイアンがアンダースローで放った大理石の灰皿が 
空気ピストルを黒服の指から弾き飛ばしていた。指ごと粉砕していたかもしれない。 
 元・ジャイアンズピッチャーの豪速球は健在だった。 





100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:40:05.96 ID:aWSpUdyv0


黒服2「がぁぁぁっ!!!指が!!指がやられた!!」 

黒服1「くそ、大丈夫か!仕方ない、逃げるぞ!!」 


 黒服二人が廊下へと逃げていく。 

ジャイアン「逃がすかよ!!」 

 再び投げた灰皿が今度は別の黒服の背中にヒットする。 
 黒服が何かを落とした。 

黒服1「がぁ!!……あ、待て!!ビッグライトを落とした!!」 

黒服2「拾ってる暇はねぇ!どうせバッテリー切れだ、放っておけ」 

 そのまま黒服は廊下を曲がっていく。 
 ジャイアンがあとを追いかけ廊下を曲がると、男たちの姿はなかった。 
 代わりに、ピンク色のドアが消えていくの見えた。 




102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:41:38.10 ID:aWSpUdyv0


のび太「う……ジャイアン」 

ジャイアン「のび太!!おまえ大丈夫か!!」 

のび太「ああ、僕は蹴られただけだから……あいつらは?」 

ジャイアン「逃げたよ……どこでもドアでな」 

のび太「なんだって!? ……いや、それより今はジャイ子ちゃんの手当てが先だ」 

ジャイアン「ジャイ子!!ジャイ子は助かるのか!!」 

のび太「わき腹だからたぶん致命傷ではないと思う。僕は専門じゃないけど……止血し 
    て急いで病院に連れて行けば……」 




108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:43:10.79 ID:aWSpUdyv0


 一方その頃出木杉はというと、しずかとの間に微妙な空気を感じつつあった。 
 小学校の頃からしずかとはよく遊んだし、彼女からの好意も少なからず感じる。間違 
いなくいける、そう思うのに何故のび太に遠慮してしまうのだろう。別にのび太としずかは付き合ってるわけではないはずだ。なのに、どうして? 

出木杉(これが正しい未来ではないからか? やはりしずかちゃんはのび太くんと結ばれ 
    るはずだからか……? いや、そんなの僕らしくない。それじゃまるで運命を認 
    めるようなものじゃないか……) 

 自分自身が何を願っているのかわからない。 
 しずかの気持ちがわからない。 
 何となく、逃げ出したいような気持ちに駆られた。 




116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:44:45.07 ID:aWSpUdyv0


しずか「あら?」 

出木杉「どうしたんだい、しずかちゃん」 

しずか「あれ……スネ夫さんじゃない?」 

出木杉「え? スネ夫くんはタクシーで帰ったはずじゃ……」 

しずか「でも、ほら……」 

 しずかの言うとおり、少し先の路地に黒のトヨタ車が停められいてその横にコートを着たスネ夫が立っていた。 

出木杉「スネ夫くん!どうしたんだい? 帰ったんじゃあ……」 

スネ夫「いや、ちょっと用事を思い出してね。家からすぐに引き返してここで君たちを待    ってたんだ」 

しずか「スネ夫さん、でも飲酒運転じゃないの?」 

スネ夫「細かいことは気にするなよ。ほら、全然酒臭くないだろ? もうアルコールは 
    抜けたよ」 




117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:45:55.02 ID:bbFbMdcc0


…意味の分からない空白、まさか 




122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:46:20.65 ID:aWSpUdyv0


出木杉「で、用事って何なの?」 

スネ夫「それはね……」 

 そのとき、出木杉の上着の中で携帯が震えた。 

出木杉「あ、ちょっとごめん。電話が……」 

 電話を取ろうとして出木杉はいぶかしむ。スネ夫の携帯からの着信表示が出ていたか 
らだ。不思議に思いつつも電話に出る。 

出木杉「もしもし……」 

スネ夫『……出木杉くん? すぐに、しずかちゃんを連れて逃げ……るんだ』 

 驚いて出木杉は目の前のスネ夫を見る。彼は電話を持ってないし、何も喋っていない。 
 しかし、電話の向こうの声もスネ夫に違いなかった。 

スネ夫『逃げて……僕は刺された。さっきまで意識がなかったんだ……相手は……』 

 そこでスネ夫の声が途切れる。また意識を失ったのかもしれない。 
 そのとき、目の前のスネ夫がコートの内ポケットから包丁を取り出し突進してきた。 
 しずかの短い悲鳴。 
 出木杉は包丁を鞄で受け止めると、しずかの手を引き逃げる。車を挟んでスネ夫と対峙した。 




130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:48:07.02 ID:aWSpUdyv0


出木杉「君は……君はいったい誰だ?」 

スネ夫「何を言ってるんだい? 僕はスネ夫じゃないか」 

出木杉「嘘だ!今電話してきたのが本物のスネ夫くんだろう。君は偽者だ!」 

しずか「鼻……」 

出木杉「???」 

しずか「鼻が赤いわ!!出木杉さん、あれはコピーロボットだわ!未来の道具なの……鼻 
    のボタンを押せば止まるはずよ!」 

出木杉「鼻のボタンを……」 

 言いながら出木杉は偽スネ夫が乗ってきた車を見ていた。 
 キーがついている。そして、偽スネ夫がいる助手席側のドアはロックされている。 

出木杉「しずかちゃん……運転できるよね?」 

 小声でしずかに言う。 




135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:49:31.44 ID:aWSpUdyv0


しずか「ええ、出来るけど……」 

出木杉「僕が奴を止める。その隙に君はこの車に乗って逃げるんだ。のび太くんか剛田 
    くんに連絡を取ってスネ夫くんを助けに行ってくれ」 

しずか「そんな!出木杉さんが危ないわ!!」 

出木杉「大丈夫、僕は柔道をやってたから……それに、本物のスネ夫くんが怪我をして 
    る。早く助けに行かないと」 

しずか「……わかったわ」 

出木杉「よし、合図でいくよ。1……2の……3!!」 

 しずかは運転席のドアをあけ素早く車に乗り込むと、キーを回した。 
 二人の意図に気づいた偽スネ夫が、ボンネットを飛び越えるようにして襲い掛かってきた。その偽スネ夫に鞄を投げつけると、出木杉は包丁を持った手に組み付く。 

偽スネ夫「くそ、離せ!!」 

出木杉「離……すもんか!しずかちゃん……急いで!!」 

 しずかは頷くと、アクセルを踏み込む。少しばかり無茶なスピードで、車が発進した。 




142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:51:23.72 ID:aWSpUdyv0


 しずかが無事逃げたのを確認すると、出木来杉は偽スネ夫の鼻に肘鉄を叩き込もうとした 
。が、偽スネ夫は一瞬早く身を引き、出来杉と距離をとる。 
 偽スネ夫と出来杉は少し間合いを取って向き合う。 

 突如、偽スネ夫は出木杉に背を向けて走り出した。 
 そのまま駅の駐輪場へと逃げ込んでいく。 

出木杉「!? 待て!!」 

 すぐさま後を追って出木杉も駐輪場へ入った。駐輪場は暗く、雑然と自転車が置かれて 
いるため見通しが悪い。 
 周囲を見渡していると、右後ろから物音がした。偽スネ夫が包丁を持って向かってくる。 
 出木杉はすばやく偽スネ夫を掴むと、軸足を素早く踏み出しもう片足で偽スネ夫の足を刈り上げた。大外刈り、一本。頭から落ちる危険な技だが、ロボット相手に容赦も何もなかっ 
た。 




152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:54:47.01 ID:aWSpUdyv0


 鼻のボタンを押そうと手を伸ばし、出木杉は手を止めた。 

偽スネ夫「これでも押せるかい?」 

 偽スネ夫は、どこかのバイクから拝借したのかフルフェイスのヘルメットを被っていた。 
 これでは、鼻のボタンは押せない。 

 一瞬の隙を突いて、偽スネ夫が包丁を振るう。  
  
 慌てて出木杉は身を引いた。先ほどまで出木杉の顔があった位置を包丁が通過する。 

出来杉(くそっ!ボタンが押せない!!) 

 出木杉はとっさに周囲の自転車を引き倒した。 
 無数の自転車が偽スネ夫の上に倒れてくる。 
 自転車に動きを封じられた偽スネ夫から離れると、出木杉は駅へ向かって脱兎のごとく 
逃げ出した。 




157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:57:36.42 ID:aWSpUdyv0


 しずかは、のび太、ジャイアンと合流し病院にいた。ジャイ子とスネ夫が搬送された病院 
だ。 
 ジャイ子はのび太の見たとおりわき腹を包丁が掠めただけのようで、軽症であった。スネ 
夫のほうは二箇所を刺されており重症だったが、一命はとりとめ先ほど意識も回復したらし 
い。 
 警察の事情聴取には「強盗に襲われた」と口裏を合わせることにした。未来の道具などと 
いっても信じてはもらえないだろうし、むしろ自分たちが疑われかねない、という懸念のた 
めだった。しずかたちが襲われた件については、出木杉から電話があり彼の無事が確認され 
たので警察に話さないことにした。 




159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:59:15.33 ID:YeT52Pi2O


スネ夫…良かったぜ… 




160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 16:59:18.73 ID:aWSpUdyv0


 1時間ほど遅れて出木杉が病院にやってきた。 

出木杉「みんな、大丈夫?」 

しずか「出木杉さん!!」 

のび太「君のほうこそ大丈夫?」 

出木杉「ああ。でもコピーロボットは倒せなかった。奴がついてこないように遠回りをして     

きたら遅くなっちゃって……スネ夫くんは?」 

のび太「命に別状はないって。さっき意識を取り戻して、今病室で警察の人と話してる」 

出木杉「剛田くんは?」 

しずか「武さんはジャイ子ちゃんの病室よ」 

出木杉「そうか……」 




165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:01:32.73 ID:aWSpUdyv0


のび太「出木杉くん。悪いんだけど……」 

 そう言うと、のび太は出木杉の顔を……特に鼻の辺りを手で撫で回す。 

のび太「うん、赤鼻を塗装したわけじゃなさそうだね。本物だ」 

出木杉「もちろん、本物さ」 

のび太「ごめん。でもこういう事態だから……」 

出木杉「わかってるよ。今のところ、鼻で区別するしかないからね……」 




167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:02:57.17 ID:aWSpUdyv0


 しばらくして、警察がスネ夫の部屋から出てきた。入ってもいいとのことなので、しずかがジャイ 

アンを呼びにいき、5人が病室にそろった。 

出木杉「とにかく、偶然じゃない。一晩でここにいる5人全員が襲われたんだ。しかも、ひ 
    みつ道具が使われてる……」 

ジャイアン「あいつらは、未来人なのか?」 

のび太「だろうね……どこでもドアを使ってるし」 

スネ夫「……僕らを殺す気なのかな」 

出木杉「たぶん。しかも未来ってことは……」 

しずか「ドラちゃん?」 

出木杉「うん。メンバーから考えてもドラえもん絡みである可能性が高い」 




178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:07:03.81 ID:aWSpUdyv0


しずか「わたしは……ひょっとしてのび太さんがドラちゃんを作るからかなって」 

のび太「それじゃまるでターミネーターだ。それに僕にドラえもんは作れない」 

出木杉「でも、僕らを殺さなきゃいけない理由って何だ?」 

ジャイアン「俺たちは昔の冒険で未来の悪人に恨まれてることあるかもしんねぇ 
      けど、出木杉はそうでもないだろ?」 

出木杉「いや、わからないよ。そんな区別してないのかもしれない」 




180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:08:30.54 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「そうだ!これ……」 

 ジャイアンはポケットから銀色の筒と懐中電灯のようなものを取り出した。 

のび太「!!……それは、空気ピストルに……ビックライト!?」 

ジャイアン「ああ、おまえが部屋で倒れてるときにあいつらが落としていったんだ」 

 のび太はジャイアンの手から空気ピストルを受け取ると、指にはめてみる。昔冒険の主力 
武器だった空気ピストル。懐かしく感じた。 
 空気ピストルをスネ夫から受け取った枕に向けて構える。 

のび太「バン!」 

 何も起こらない。 

ジャイアン「俺、思いっきりその空気ピストルに灰皿ぶつけちまったからな。それに、そっ 
      ちのビックライトはバッテリー切れらしい」 

のび太「いや、完全に切れてるわけじゃないよ。たぶんあと一回……少しくらいなら使える 
    と思うよ」 




182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:10:32.22 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「どっちみち、スモールライトもないんじゃ武器になんないな」 

しずか「……武器?」 

ジャイアン「え、ああ。またあいつらが来たらギッタンギッタンにしてやらなきゃいけない 
      からな!!」 

しずか「また来るのかしら」 

のび太「来るだろうね」 

ジャイアン「あいつら、未来の痕跡は残せないとか言ってたぜ」 

スネ夫「だから包丁だったんだ。ひみつ道具は下手に使えないんだよ、きっと」 

出木杉「ならまだ勝ち目はある……といっても、いざとなったら向こうもひみつ道具を使っ 
    てくるだろうけどね」 

スネ夫「パパが昔使ってた猟銃がある……僕の部屋だ。それを使ってくれ」 

しずか「駄目よ、そんなの!相手が死んじゃうわ!」 

スネ夫「僕は刺されたんだよ……これは昔の冒険とは違う。殺し合いなんだ……現代の道具 
    で立ち向かおうとしたら、そういうことになる」 




185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:12:05.68 ID:aWSpUdyv0


のび太「今回は、ドラえもんもドラミちゃんも無しなんだ」 

 のび太は皆の顔を見回す。 
 戸惑うしずか。 
 怒りに燃えるジャイアン。 
 苦痛に顔をゆがめるスネ夫。 
 思案を練る出木杉。 

のび太(この5人で戦うんだ……未来と) 




188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:13:28.84 ID:aWSpUdyv0


 ジャイアンは、翌日から剛田商店を休みにした。 
 ジャイ子もスネ夫も同じ病院なので、護衛がてら泊り込むことになった。釣竿のケースに 
入れて、スネ夫の父の猟銃も病院に持ち込んだ。 
 のび太と出来杉としずかは平常どおり出勤することにした。3人とも同じ藤子大学の職員であるの 

で、むしろ職場にいたほうが安全と判断したためだ。 

学生「野比先生」 

のび太「ん?」 

学生「研究室に情報工学科から電話がかかってきてます。メールに返信がないからって」 

のび太「ああ、ごめんね。今日パソコン見てなくて……出木杉先生?」 

学生「はい」 

のび太「わかった。すぐ行くよ」 




193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:15:34.14 ID:aWSpUdyv0


のび太「もしもし、出木杉くん? 僕だけど」 

出木杉『ああ、よかった。何かあったのかと思ったよ……どこにいたの?』 

のび太「DR-1の共同研究室だよ。機械をいじってないと落ち着かなくて」 

出木杉『DR-1……ドラえもんのとこだね』 

のび太「うん。初期の対話システムだけ組み込んでみた。電源を入れると挨拶するやつ」 

出木杉『そう。順調?』 

のび太「うん、ちゃんと時間ごとに違う挨拶を聞かせてくれたよ。時間があまったからね… 
    …ついでに面白いものも作ったよ」 

出木杉『面白いもの?』 

のび太「今度見せるよ」 




199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:17:03.13 ID:aWSpUdyv0


のび太「で、空気ピストルはどうだった?」 

出木杉『そうそう。それをメールしたんだ。あれはすごいナノマシンだよ』 

のび太「だろうね。あのサイズで空気圧縮や音声認識をやるんだから……」 

出木杉『こっちでの詳しい解析結果はメールに添付しておいたから。あとは、そっちの専門 
    分野だろ?』 

のび太「厳密には違うけど、とりあえず了解」 

出木杉『それと、しずかちゃんがお昼一緒に食べようって』 

のび太「ああ……わかった。生協?」 

出木杉『うん、12時50分に』 




206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:18:34.45 ID:aWSpUdyv0


 時間より5分遅刻して、のび太は生協で二人と合流した。 
 しずかはドリア、出木杉はスパゲッティを食べている。のび太は豚骨ラーメンの器をテー 
ブルにおいて、腰掛けた。 

しずか「のび太さん、またラーメン?」 

のび太「ん? うん。昨日は醤油だったから今日は豚骨」 

出木杉「不健康だなぁ」 

 しばらく取り留めのないことを話しながら食事を楽しむ。 
 全員が食べ終わったのを見計らって、出木杉が本題に入った。 

出木杉「昨日コピーロボットが出たのはスネ夫くん家と、駅の駐輪場付近だよね。で、実は 
    安孫子大学の都市環境工学科があの辺に実験用の電磁波の測定装置を設置していた 
    んで、ちょっとそのデータを見せてもらったんだ」 

 そう言うと、出木杉は鞄の中からA4の用紙を何枚か取り出した。 




211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:20:06.96 ID:aWSpUdyv0


出木杉「これが、コピーロボットが出た時間帯の両地域の測定データなんだけど、コピーロ 
    ボットが出た時間にどちらの装置も微弱なマイクロ波を測定している。もっと厳密 
    に言えば極超短波帯なんだけど……つまり準マイクロ波だ。おまけにこの周波数は 
    現代では観測例がない」 

のび太「つまり、コピーロボットがその発信元だと?」 

出木杉「可能性は高い。同じものが観測されたらすぐに観測地域を連絡してもらえるよう安 
    孫子大には頼んであるから、うまくすればコピーロボットの位置を把握できるかも 
    しれない」 

のび太「すごいな」 




219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:22:22.62 ID:aWSpUdyv0


出木杉「驚くのはまだ早いよ。これは、黒服の男たちが剛田くんの家でどこでもドアを使っ 
    た時間帯の測定データ。剛田くんの家からはだいぶ離れた場所に設置されていたに 
    も関わらず、強い電磁波を測定している。どこでもドアの影響だろうね。その 
    直後、東久留米市の一部地域で多大な電波障害が発生している。おそらく、その近 
    辺がどこでもドアの出口になったんだと思う」 

しずか「じゃあ、武さんたちを襲った人たちは東久留米にいるの?」 

出木杉「だろうね。どこでもいいなら隣の市なんて中途半端な場所には逃げないと思う。た 
    ぶん奴らの拠点がそこにある」 

のび太「時空を曲げるどこでもドアだからね……強い影響が観測されてもおかしくない」 

出木杉「これである程度向こうの動きが把握できる」 



*このSSはのび太たちの居住区を田無市(現・西東京市)とした設定ですm(_ _)m 




224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:24:32.39 ID:aWSpUdyv0


のび太「実は僕もちょっと対策を考えてきたんだ」 

 のび太は紙袋から無骨な機械をいくつか取り出す。 

のび太「まずは、受信機。特定の周波数を感知できるんだ。急いで作ったから精度はあま 
    り良くないけど、相手がコピーロボットかどうかはくらいは確かめられる」 

出木杉「やっぱりのび太くんも電磁波の可能性は気づいてたか」 

のび太「いや、出木杉くんほど正確には掴んでなかったよ。それと、こっちはスタンガン。 
    研究室にあったコンデンサを改造して作ったんだ。これも急ごしらえだから使い捨 
    てだけど、かなりの威力があるよ。コピーロボットに効くかどうかはわからないけ 
    ど、ロボットである以上は強い電流には弱いと思う」 

出木杉「なるほど……鼻のボタンを押すよりはやりやすそうだ」 

のび太「それと、ちょっと面白い機能もついててね……」 

 そう言ってのび太はニヤリと笑った。 




228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:26:04.36 ID:aWSpUdyv0


 ジャイアンはスネ夫の病室にいた。 
 ジャイ子の怪我は軽かったのですぐに退院できるとのことだった。退院し次第すぐに田舎 
の祖父の家に療養に行かせる話になっていた。どこでもドアがある以上安心はできないが、 
とりあえず東京にいるよりは安全だろう。 

スネ夫「コピーロボットってもともと人間を襲うことが出来るように出来ているものなのか 
    な?」 

ジャイアン「は? そうなんじゃねぇの。現に昨日おまえを襲ったんだろう?」 

スネ夫「いや、未来じゃ市販されてるくらいのものだからさ、だったら安全装置というか… 
    …人に危害を加えるようなことは出来ないように作られてるんじゃないかなって思 
    って。でなきゃ犯罪し放題じゃん」 

ジャイアン「じゃあ昨日おまえを襲ったやつは?」 

スネ夫「違法改造じゃないかな。ジャイアンだって高校のころ改造バイクに乗ってたことあ 
    ったでしょ? ひみつ道具だって改造するやつがいてもおかしくない」 




235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:27:37.81 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「そうなると、どうなる?」 

スネ夫「やつらが持ってるひみつ道具は僕らが使ってたのより威力が高いってことになる。そもそも 
    、僕らがコピーロボットの鼻を押さなきゃコピーロボットは僕らに変化できない。でも、マ 
    マはコピーロボットの鼻を押した記憶はないって言ってる……おそらくそれも改造だろう。 
    奴らのコピーロボットは誰にでも化けれるのかもしれない」 

ジャイアン「面倒くせぇな。男なら直接拳で来いってんだ」 

 ジャイアンはシャドーボクシングをして勇んで見せながら窓際のほうへ行った。 
 スネ夫は苦笑しながらそれを見る。 




239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:29:27.71 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「ん?」 

スネ夫「どうしたの、ジャイアン」 

ジャイアン「出木杉が、いる。病院の門の辺りでこっちを見てるぞ」 

スネ夫「そんなまさか。だってあいつら大学にいるって……」 

 二人は顔を見合わせた。 
 ジャイアンはすぐに病室を飛び出すと、携帯電話使用可能スペースへ行って出木杉に電話 
をかける。 

出木杉『もしもし、剛田くん? 何かあった?』 

ジャイアン「おい出木杉、おまえ今どこにいる?」 

出木杉『え? 大学生協の食堂だよ。のび太くんとしずかちゃんも一緒だけど……まさか』 

ジャイアン「ああ、おまえのそっくりさんが病院の前でこっちを見てやがんだ」 

出木杉『……ちょっと待ってて。すぐにかけ直すから』 

 電話が切れた。とりあえずジャイアンは携帯の電源を入れたままスネ夫の病室に戻った。 




244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:30:55.10 ID:aWSpUdyv0


 窓の外を見ると、偽出木杉はまだ病院の前に立っている。 

スネ夫「どうだった?」 

ジャイアン「やっぱり、本物の出木杉は大学にいる。ってことはだ、ありゃあ偽者だな」 

スネ夫「ここがバレたのかな?」 

ジャイアン「わからん」 

 すぐに、出木杉から電話がかかってきた。今度は病室でそのまま出る。 

ジャイアン「おう、俺だ」 

出木杉『その病院付近の観測装置が準マイクロ波を測定している。コピーロボットで間違い 
    ないと思う。少なくとも単なる僕のそっくりさんじゃない』 

ジャイアン「何だ、その純マイク派ってのは?」 




249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:32:24.05 ID:aWSpUdyv0


出木杉『準マイクロ波だよ。極超短波帯。まぁ説明すると難しいんだけど、それを調べれば 
    コピーロボットの居場所がわかるんだ』 

ジャイアン「なんかわかんねぇけどすげぇな。さすが出木杉だぜ」 

出木杉『とりあえず、僕は今日は病院には顔を出さないよ。もし僕が病院に現れたら、コピ 
    ーロボットと思ってぶちのめしてくれ』 

ジャイアン「わかった」 

 その一時間後、偽出木杉は病院前を去っていった。そして、その日はもうコピーロボット 
が現れることはなかった。 

 余談だが、その翌日事前連絡して行ったにも関わらず、本物の出木杉はジャイアンにぶち 
のめされたのだった。まったくもって理解力のないジャイアンである。 




260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:34:08.81 ID:aWSpUdyv0


 最初の襲撃から2週間ほどが経過した。 
 のび太たちの予想を裏切り、あれ以降特に襲撃らしい襲撃もなかった。相変わらずコピー 
ロボット準マイクロ波やどこでもドアによる電波障害は観測され続けていたがが、目立った 
動きはないままだった。 

スネ夫「何を考えてるんだろう、あいつら」 

出木杉「様子を見てるんじゃないかな。何にしても、準備する余裕があるのはこっちとして 
    はありがたいよ」 

しずか「ジャイ子ちゃんたちの方にも変わったことはなかったらしいわね」 

出木杉「でも……安心はできないね」 




270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:35:47.46 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「僕もいろいろ調べたんだ」 

 スネ夫はひざの上のノートパソコンを閉じて言った。 
 このノートパソコンはスネ夫の自宅にあったもので、病室での使用は許可されていた。 

スネ夫「都内だけに留まらず、全国のニュースを調べて、ひみつ道具が関わっていそうなも 
    のを探してみた。あまりこれといったものはなかったけど、ロシアのサンクトペテ 
    ルブルクで大規模な電波障害が8回。どこでもドアかもしれない」 

出木杉「いや、そのうち4回は今までのデータと比べると規模が大きすぎる。もっと強い電 
    磁波を出すもの……どこでもドア以上に時空をゆがめるものだと思う」 

スネ夫「とすると……」 

しずか「タイムマシンかしら?」 

出木杉「だろうね。拠点は東久留米でも、タイムマシンの出入り口はサンクトペテルブルク 
    にあるのかもしれない」 




275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:37:48.95 ID:aWSpUdyv0


 病室のドアがノックされ、のび太とジャイアンが入ってきた。 
 ジャイアンは段ボール箱を抱えている。 

のび太「出木杉くん、頼まれたもの持ってきたよ」 

出木杉「ああ、実用化できた?」 

のび太「一応ね」 

 ジャイアンが持ってる段ボール箱を開け、エアキャップに包まれた携帯電話を取り出す。 
  
しずか「携帯?」 

出木杉「そう。企業に依頼されてうちの研究室で開発した最新式のGPS携帯。かなり小さい 
    誤差で相手の居場所を確認できる。のび太くんに頼んで実用レベルにしてもらった 
    んだ」 

のび太「実用レベルとは言っても、通話は無理だよ。ただGPSでみんなの居場所がわかれ 
    ば、違う場所にあらわれた場合コピーロボットと疑うことが出来る」 

ジャイアン「でもよ、勝手に使っていいのか? 企業のだろ?」 

出木杉「大丈夫だよ、その企業って……」 

スネ夫「うちの会社なんだ」 

 スネ夫はニヤリと笑った。 




287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:41:51.63 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「僕のこのパソコンでGPS情報をチェックできる。僕がオペレーターになって、みん 
    なの位置を把握する。コピーロボットの準マイクロ波も同様にね。のび太の作った 
    電磁波受信機と合わせれば、コピーロボットに騙されることはないはずさ」 

出木杉「ここまでやれば、コピーロボット対策は大丈夫だと思う」 

ジャイアン「問題は、黒服の野郎どもだな……あいつらどんだけひみつ道具を持ってるか 
      わからねえ」 

出木杉「どのみち、向こうからこない限り、何も出来ないね」 

 出木杉はそう言ってため息をついた。 
 防戦一方である。 




291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:43:42.01 ID:aWSpUdyv0


しずか「のび太さん、最近忙しそうね」 

 病院からの帰り、しずかが心配そうに言った。 
 出木杉はこのまま家に帰ると言って行ってしまった。珍しく、しずかと二人っきりだ。 

のび太「ちょっと、作ってるものがあるんだ」 

しずか「……ドラちゃん?」 

のび太「ん……そうだよ。それだけじゃあないけどね」 

しずか「しゃべるのよね、確か」 

のび太「うん。今のところまだそんな複雑な会話は出来ないけど。電源入れるとね、朝は 
    『おはよう』、昼は『こんにちは』、夜は『こんばんは』って挨拶をするんだ」 

しずか「ドラちゃんの声で?」 

のび太「うん、出木杉くんが頑張ってくれてね。ドラえもんそっくりの声が出来たんだ。ま 
    あ研究室のみんなは『何でもっとかわいい声にしなかったんだ』って文句言ってる 
    けどね」 

しずか「まぁ、うふふ」 

 しずかは笑った。のび太も笑った。 
 久しぶりの和やかな会話だった。彼女を自分のものに出来なくたっていい。こうやって話 
すことが出来るなら、自分の気持ちを伝えなくても…… 

 しかし、その和やかさは長くは続かなかった。 




296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:45:16.13 ID:aWSpUdyv0


 その夜、のび太がスネ夫からの緊急コールを受けたのは研究室でだった。 
 DR-1――ドラえもんの調整作業と、他の道具を作るために、しずかと別れたから研究室に 
戻ったのだ。どちらの作業もちょうど終わったところだった。 

スネ夫『準マイクロ波、電波障害の頻度が激しい。コピーロボットの動きが活発化してるん 
    だ……のび太は今研究室だよな?』 

のび太「うん、そうだよ」 

スネ夫『病院の前にものび太がいるよ……3人ほど』 

のび太「気持ち悪いなぁ」 

スネ夫『ああ。とりあえずこっちはジャイアンがいるから大丈夫。そっちはまた3人で合流 
    して、しずかちゃんを頼むよ』 

のび太「わかった」 

 のび太はすぐに上着を着ると、研究室のドアを開けた。 
 外へ向かいかけたところで思い直し、研究室に戻り先ほど完成した道具の入ったジェラル 
ミンケースを手にする。 
 ジェラルミンケースを持つと、今度こそのび太は外に飛び出した。 




302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:47:10.89 ID:aWSpUdyv0


 出木杉はタクシーを拾うため駅前に向かっていた。 
 病院のスネ夫との連絡は密にとっている。前と同じ駐輪場付近で準マイクロ波が測定され 
てるとのことなので、そちらは避けて別ルートで駅に向かう。 
 ルートを変えた直後のことだった。 
  
 携帯電話が急に圏外になる。 

 電波障害だ。 
 そう思った直後、前方数メートルのところにピンクのドアが現れる。 
  
出木杉(やはり、どこでもドアか……) 

 ドアが開き、中からスネ夫が――いや、スネ夫のコピーロボットが現れる。 

偽スネ夫「やあ、出木杉くん。僕のこと覚えてるかい?」 

出木杉「ああ……あのときのコピーロボットだね。今日はノーヘルかい?」 

偽スネ夫「ああ、改造してもらったんだ。今の僕は本物のスネ夫のスペックを遥かに超えて 
     いる。もちろん、君のスペックもね。そして鼻のボタンは無効化した」 

出木杉「ボタンなんか押さなくたって君には負けないと思うけど」 

偽スネ夫「出木杉の……出木杉のくせに……」 

偽スネ夫「生意気だ!!!!」 

 偽スネ夫が突進してくる。 




306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:49:04.98 ID:aWSpUdyv0


 速い。前とは比べ物にならない。 

 咄嗟に体を横に逸らし、第一撃を避ける。 

 が、偽スネ夫の間接がありえない方向に曲がり、ポケットからナイフを取り出し突き出し 
てくる。 
 頬をナイフが掠める。出木杉はわざと体制を崩し、地面を転がり距離をとった。 

出木杉(落ち着け……落ち着いて構えれば、組み付くこともできるはずだ) 




307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:49:08.94 ID:589GRH4q0


http://www.doradb.net/ddb/index.php

このサイト見てると道具の量とすごさがよくわかる 




312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:50:56.49 ID:+121LFofO


>>307 
道具の量はわからんがすごかった 




314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:52:11.37 ID:aWSpUdyv0


 偽スネ夫が再び向かってきた。やはり速い。 
 だが、今度は素早く身を翻しナイフを持った腕を掴むことに成功した。 
 一瞬、偽スネ夫の動きが止まる。素早く、軸足を踏み出す。 
 肘を顎に向かって突き上げ、一気に足を刈り上げる。 

出木杉(一本!!!) 

 前回より見事な大外刈りが決まった。頭から落ちた偽スネ夫は、受身を取るまもなくコン 
クリートブロックに後頭部を強打した。 

出木杉(……やったか?) 




319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:53:54.29 ID:aWSpUdyv0


偽スネ夫「痛いなぁ、ひどいじゃないか出木杉くん」 

 偽スネ夫がゆっくりと起き上がる。首がありえない方向に曲がり、後頭部が陥没している 
にも関わらず、立ち上がったのだ。 
 思わず恐怖を感じる。 

出木杉(駄目だ、やはりとどめを刺さなければ) 

 出木杉は上着のうちポケットからのび太の作ったスタンガンを取り出し、偽スネ夫のむき 
出しの首めがけて突き出した。 
 その瞬間バキッと音を鳴らし、エクソシストよろしく偽スネ夫は上体を反らし攻撃をかわ 

す。そしてすぐに体を起こし、出木杉の腕を掴み驚異的な力で捩じ上げた。 

出木杉「ぐああああああああああああ」 

偽スネ夫「何これ、スタンガン? これで僕を倒すつもりだった? 危ないなぁ」 

出木杉「うあぁああ、腕が、腕がああああ!!」 

偽スネ夫「ロボットを倒せるくらいのすごい電流を、もし人間がくらったらいったいどうな 
     るんだろうね」 




338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:58:13.91 ID:aWSpUdyv0




 出木杉の手からスタンガンをもぎ取ると、偽スネ夫は出木杉の体を近くのフェンスに叩き 
つける。 

出木杉「うがっ!!はぁ……はぁ……」 

偽スネ夫「出来杉のくせに僕を倒そうなんて、生意気なんだよ」 

出木杉「ぐ……あ……」 

偽スネ夫「君はどうせしずかちゃんを手に入れることもできない。脇役に過ぎないんだよ。 
     ちょっと人よりできるだけで、調子に乗りすぎたね」 

 出木杉の首に、スタンガンの電極が押し付けられる。 

偽スネ夫「じゃあね、生意気な脇役くん」 

 偽スネ夫がスタンガンのスイッチを押した―― 




342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 17:59:59.56 ID:aWSpUdyv0


 ――パァン!! 
 閃光とともに火花が飛ぶ。口から煙を出し、痙攣しながら……偽スネ夫がくず折れる。 
  
偽スネ夫「なん……なん……な……んで……」 

 最後に大きく痙攣してコピーロボットは動かなくなった。 

出木杉「ぐ……危なかった……」 

出木杉「しかしのび太くんも意地の悪い武器を作るよな」 

 足元から、焦げたスタンガンを拾いあげる。 

出木杉「スイッチから電流が流れるスタンガンなんてさ」  




352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:01:30.87 ID:aWSpUdyv0


 2週間前、スタンガンを渡しながらのび太が説明していた。 

のび太「このスタンガンはね、特殊な装置がついてるんだ。グリップの底についてる小さな 
    つまみなんだけど……これを右にひねると普通にスタンガンとして使える。ところ 
    がこれを左にしておくと、回路が切り替わり電極ではなくスイッチから電流が流れ 
    るんだ」 

しずか「どうしてそんな機能を?」 

のび太「威力の高い武器ほど相手に奪われたときの対策が必要なのさ。自分が使うとき以外 
    はつまみを左にセットしておく。これなら敵にスタンガンをとられても、知らずに 
    向こうがこれを使えば自滅させられる」 

出木杉「なんというか、さすがのび太くん……悪知恵が働くね」 




362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:03:02.63 ID:0ZwBSB1P0


のび太すげえwwwwwwwwwwwwww 




363:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:03:05.83 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「……!? おかしい」 

ジャイアン「どうした、スネ夫」 

スネ夫「準マイクロ波の反応はそのままなのに、外のやつらの姿が消えたんだ」 

ジャイアン「なにぃ!?」 

スネ夫「おかしい……周波数から見てもコピーロボットがいるのは間違いないのに、何で見 
    えないんだ?」 

ジャイアン「おい、どうすんだ!やつらこっちに来るんじゃないか?」 

スネ夫「ちょっと待ってよ……周波数を変えて測定データを検索……!! 今までに測定さ 
    れてない微弱な電磁波がコピーロボットの準マイクロ波と同調してる……そうか、 
    石ころ帽子だ!!」 

ジャイアン「どうすんだよ!向こうの姿が見えなきゃ戦えないぞ!!」 

スネ夫「電磁波受信機だ!あれで敵の方向を確かめて、GPSと合わせて僕が向こうの位置情 
    報を出す!ジャイアンはそれに合わせて戦うんだ」 

ジャイアン「やるしかねぇみたいだな」 




370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:04:44.45 ID:aWSpUdyv0


 スネ夫が高速でパソコンのキーボードを叩く。 
 ジャイアンは念のため釣竿ケースから猟銃を取り出し、弾を込めておく。 

スネ夫「きた!!この病室の外の廊下、右方向だ!」 

ジャイアン「おう!」 

 猟銃をドアに向けて構える。入ってきたらすぐに発砲できる状態だ。 

スネ夫「まだだよ、ジャイアン……壁の向こう、すぐ近くにいるけどそこで止まってるみた 
    いだ。ドアが開いてもすぐには撃たないでね」 

 ゆっくりとドアが開く。しかし、スネ夫の指示がないのでジャイアンは焦りをこらえなが 
らじっと待つ。 

スネ夫「きた!今だ!!」 

ジャイアン「うおおおおおおおっ!!!」 

――ドォン!! 

 猟銃が火を噴き、何もないはずの空間に弾があたり火花を散らした。 
 近くに石ころ帽子が転がり、コピーロボットが姿を現す。のび太の姿をしていた。 




379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:06:29.81 ID:aWSpUdyv0


偽のび太「痛いじゃないか、ひどいよジャイアン」 

スネ夫「!!まだ生きてる!」 

ジャイアン「へっ……銃で撃たれても平気なんて、のび太のくせに生意気じゃねぇか」 

偽のび太「やれるもんならやってみなよ。心の友を本気で殴れるかい?」 

ジャイアン「…………」 

偽のび太「無理だよね? だって僕らは心のと……がぁあ!!!」 

 ジャイアンの右ストレートが偽のび太の顔面にクリーンヒットする。 
 そのまま倒れた偽のび太に馬乗りになると、ボカボカボカボカ殴り続ける。 

ジャイアン「殴れるかだとぉ? 殴れるに決まってるじゃねぇか。 
      のび太をいじめんのはなぁ、俺のライフワークなんだよ!!」 

スネ夫(……のび太の姿してきたのは奴の最大の失敗だな) 




386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:08:13.17 ID:aWSpUdyv0


 そのとき、スネ夫は見た。 
 コピーロボットを殴り続けるジャイアンの背後にピンクのドアが開くのを。 

スネ夫「ジャイアン!うしろ……」 

黒服2「バン」 

 言い切るより早く男の空気ピストルが発砲された。肩口を射抜かれてジャイアンが体勢を 
崩す。 

ジャイアン「うがぁ!!」 

スネ夫「ジャイアン!!」 

黒服2「おおっと、動くなよ。俺の空気ピストルは改造してあるからな。人間を撃ち殺すこ 
    となんて簡単なんだよ」 

スネ夫「おまえ……いったい誰なんだよ!!」 

黒服1「ただの未来人さ。といってもテロリストだがな」 

スネ夫「テロ……リスト?」 




389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:10:03.06 ID:aWSpUdyv0


黒服1「そうさ。過去に逃亡したはいいが、タイム・パトロールに追って来られると面倒だ 
    。だからこの時代に来てタイムマシンの発明者を殺したわけさ。これで未来は変わ 
    り、タイムマシンの発明は遅れることになる。俺のいた時代にはタイムマシンは発 
    明されていないから当然タイム・パトロールもいない。もっと未来になればタイム 
    ・パトロールも出てくるが、それ以前にタイムマシンがあったはずもないから奴ら 
    に俺たちの存在がばれる事はない」 

スネ夫「そんな……いや、おかしい。そしたらおまえたちのいた時代にはタイムマシンはな 
    いわけだから、おまえたちがタイムマシンを持つことも出来ないはずじゃないか」 

黒服1「普通なら、な。だが俺たちはタイムマシンの製作者を、タイムマシンに乗りながら 
    殺した。わかるか? つまり未来が変わったその瞬間、俺たちはタイムマシンの航 
    行する四次元空間にいたわけだ。未来が変わったことによる修正も、四次元空間に 
    は干渉できない。だから、俺たちはタイム・パラドクスの修正の影響を受けなかっ 
    たってわけさ」 




395:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:12:32.77 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「じゃ、じゃあ未来が変わった瞬間偶然タイムマシンに乗っていた他の人間は?」 

黒服2「あ? 全員殺したよ」 

黒服1「あとは、タイムマシン発明以前にタイムマシンの存在を知ってしまったおまえらを 
    殺せば俺たちの計画は完璧だ。誰も俺たちを追うことは出来なくなる」 

ジャイアン「てめぇら、そんなことのためにジャイ子を、スネ夫を、こんな目に合わせやが 
      ったのか!!!」 

黒服2「威勢がいいな、ゴリラ野郎が……バン」 

ジャイアン「ぐぁああ!!」 

 空気ピストルがジャイアンの脚に穴を開ける。さしもの豪傑ジャイアンもたまらずのたう 
ちまわる。 

スネ夫「ジャイアン!!!」 

黒服1「おっと、動くなよ。傷口がまた一個増えるぜ?」 




399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:14:26.96 ID:aWSpUdyv0


黒服2「しかし、このゴリラ……剛田武だっけ? とんでもねぇ奴だな。コピーロボットを 
    素手で壊しちまいやがった」 

黒服1「まるで人間凶器だな。さっさと殺しとけ」 

スネ夫(人間凶器?……そうだ!!) 

スネ夫「ジャイアン!歌うんだ!!大声で歌うんだ!!」 

ジャイアン「な……!?」 

スネ夫「早く!!!!」 

黒服2「ごちゃごちゃうるせぇ!バ……」 

 その瞬間、ジャイアンは咆哮した。 
 昔口ずさんだあのガキ大将の歌を、全力で歌った。 

黒服1「ぐあああああ!なんだ、この怪音波は!!」 

黒服2「バン!バン!……駄目だ!うるさすぎて空気ピストルの音声認識が出来ない!」 




411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:16:15.37 ID:aWSpUdyv0


ジャイアン「おぉぉぉおぉれぇぇぇはジャイアァァァァァン!!」 

 歌いながら、豪傑・ジャイアンが立ち上がる。 
 肩と脚から血を滴らせ、歌いながら黒服に向かっていく。 

ジャイアン「がぁぁぁぁぁっきだあいしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!」 

黒服2「うががががががががが」 

 黒服の首をジャイアンの豪腕が思いっきり締め付ける。 

 ――メキメキメキメキ 


 ついに黒服の男は気を失い、ジャイアンの手から滑り落ちる。 
 しかし、その直後ジャイアンの歌声が止まる。 

黒服1「調子に……乗りやがって」 

 もう一人の男の手に握られたナイフが、ジャイアンの腹部に突き刺さっていた。 




420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:18:52.55 ID:aWSpUdyv0


スネ夫「ジャイアン!!」 

ジャイアン「ぐ……おお……スネ夫、逃げろ!!」 

スネ夫「!!」 

ジャイアン「逃げろ!このことをのび太たちに知らせるんだ……早く行けぇぇぇ!!」 

 ジャイアンは血を滴らせながら黒服に掴み掛かる。 
 黒服の男はジャイアンを引き離そうと必死だ。 

ジャイアン「行けぇぇぇっ!スネ夫!!!」 

スネ夫(ごめん、ジャイアン。ごめん!!) 

 スネ夫はベットから転げ落ちると、コピーロボットの使っていた石ころ帽子を拾い、傷む 
傷口を押さえながら病室から駆け出していった。 
 走りながら院内を眺める。医師から患者から、皆眠らされていた。殺されている者もいる。 

スネ夫(僕らのせいで……) 

 スネ夫は泣きながら走った。 




426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:20:25.69 ID:aWSpUdyv0


 のび太としずかは駅前で何とか出木杉と合流に成功した。 
 出木杉は腕を折られていたが、コピーロボットを一体倒したとのことだった。 

出木杉「それより……スネ夫くんたちとさっきから連絡が取れないんだ」 

のび太「うん、それは僕らも心配してたんだ。出木杉くんと合流したら病院に行ってみよう 
    かって話してた」 

しずか「……待って!スネ夫さんから電話が……もしもし、スネ夫さん?」 

スネ夫『ああ、しずかちゃん。実は……』 




430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:21:55.26 ID:aWSpUdyv0


出木杉「そんな……テロリストなんて」 

のび太「だからタイムマシンの発明が遅れたのか」 

出木杉「で、スネ夫くんは大丈夫なの?」 

しずか「石ころ帽子を被って逃げてるって。でも武さんが……」 


???「剛田武なら、ここだよ」 

 振り向くと、そこには黒服の男が立っていた。地面には血まみれのジャイアンが横たわり 
、その首にはナイフが突きつけられている。 

しずか「武さん!!!」 

のび太「おまえは、ジャイ子ちゃんたちを襲った……」 

黒服1「覚えていてもらって光栄だよ。野比のび太」 




435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:24:15.68 ID:aWSpUdyv0


出木杉「剛田くんを離せ!」 

黒服1「それは出来ん。こいつのせいで相方を失ったんだ。コピーロボットも全部壊されて 
    しまったからね……あとは俺が自分で君たちを殺さねばならん」 

出木杉「なら……さっさと殺せばいいじゃないか」 

黒服1「そうはいかない。骨川スネ夫がまだ石ころ帽子を被って逃げている。あいつを誘き 
    寄せるまで生きててもらわなきゃいけない。GPSでおまえたちの居場所がわかるん 
    だろ? ならスネ夫はかならずここへ来る。そして、全員殺す」 

しずか「そんな……」 



>>433 
wikiで調べたら剛田武になってた 




442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:25:52.11 ID:aWSpUdyv0


 のび太はジュラルミンケースを持つ手に力を込めた。 

のび太(まだだ……まだチャンスはある。この道具さえ使えれば……) 

 しかし、そのとき黒服の目がのび太のジュラルミンケースをとらえた。 

黒服1「おい、そのジュラルミンケースをこっちによこせ」 

のび太「!!」 

黒服1「後生大事に持ってるところ見るとよっぽど大事なものらしい。起死回生のアイテム 
    ってところか。お得意の電磁波受信機か? スタンガンか? それとも新しい武器で 
    も開発したか……何にせよ俺にとって邪魔な物に違いはない。使われると面倒だ。 
    こっちへよこせ」 

のび太「…………」 

黒服1「早くしろ。心の友の剛田が死んでもいいのか?」 

出木杉「のび太くん……しかたがない。何が入ってるのかわからないけどそれを……」 

しずか「のび太さん……」 

 のび太は唇を噛み、黒服を睨み付けるとジュラルミンケースを胸の前に持ち、黒服の方へ 
とゆっくり歩いていく。 
 黒服まで2メートル位の場所まで近づく。 




449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:27:37.74 ID:aWSpUdyv0


黒服1「そうだ、それでいい。そこへジュラルミンケースを置け」 

のび太「残念だったね」 

黒服1「何?」 

のび太「おまえの負けだ」 

 のび太はジュラルミンケースの下部のボタンを押した。 
 ケースの側面がスライドし、中から砲身が現れる。 

のび太「バン!!」 

 射出された空気の塊が黒服の体を吹っ飛ばした。 




458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:29:13.76 ID:aWSpUdyv0


 吹っ飛ばされた男はコンクリートの壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。 
 すぐにしずかがジャイアンのもとに駆け寄る。 

しずか「武さん、大丈夫?」 

ジャイアン「う……なんとか」 

出木杉「のび太くん……それ、空気ピストル?」 

のび太「土壇場で完成させたんだ。まさかこのジュラルミンケースそのものが武器だとはあ 

    いつも思わなかったろうね」 

出木杉「しかし、どうやって……」 

のび太「空気ピストルは確かにすごいナノマシンだ。しかし、あのサイズにすることを諦め 
    れば、性能こそ劣るものの現代の科学で代用しうるものだったんだよ。音声認識は 
    DR-1のときに使ったものがあるしね。そして、どうにもならない部分は……」 

 懐から、のび太はビックライトを取り出す。 

のび太「ビックライトで壊れた空気ピストルを大きくして、そこから直接取り出したんだ。 
    全部が全部壊れてるわけでもなかったしね。撃つ前に空気の圧縮に20秒ほどかか 
    るのが難点だけど……それにこんなに大きいと、空気ピストルというより空気砲だ 
    しね。あはは……」 

出木杉「まったく……敵わないよ。のび太くんには」 




465:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:30:13.46 ID:LtPxkruQ0


のび太に惚れた 




471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:31:23.14 ID:aWSpUdyv0


のび太「これで……終わったのかな」 

出木杉「たぶんね」 

しずか「――!!待って、おかしいわ!!」 

のび太「どうしたの、しずかちゃん?」 

しずか「のび太さん、緊急コールのときスネ夫さん何て言ってた?」 

のび太「えっと……準マイクロ波と電波障害の頻度が激しいって。それと病院前に僕に化け 
    たコピーロボットが3体いるって」 

しずか「つまり、最低でもコピーロボットは3体いる……そして、1体は出木杉さんが倒し 
    たのよね?」 

出木杉「ああ」 

しずか「武さん、あなたはコピーロボットをいくつ倒したの?」 

ジャイアン「……ひとつだけ……だ」 

出木杉「!!」 




479:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:32:53.51 ID:aWSpUdyv0


のび太「1体……足りない。でもどういうこと? あの男は『コピーロボットも全部壊され 
    た』って……」 

出来杉「まさか!」 

 何かに気づいたように、出木杉が横たわる黒服の男に近づいていく。 
 上着のポケットから電磁波受信機を取り出すと、黒服に近づけた。 
  
 ランプが赤く点灯する。 

出木杉「こいつ……コピーロボットだ!!」 

???「よく気づいたな。だがもう遅い……ドカン!ドカン!ドカン!」 

 背後から空気砲を打ち込まれ、のび太、しずか、出木杉が昏倒する。 

黒服1「俺が本物だ」 




490:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:34:43.36 ID:aWSpUdyv0


 のび太が目を覚ますと、そこは藤子大学の共同研究室だった。 
 DR-1を作っている部屋だ。作業台の上にドラえもんそっくりのDR-1が乗っている。 
 部屋の中には他に、出木杉とジャイアンとしずかもいた。3人も、そしてのび太自身も口 
にガムテープを張られ、体をロープで縛られている。 
 目の前には、黒服の男。その指には空気ピストルが装着されていた。 

黒服1「剛田武は知っているだろうが、この空気ピストルは改造品だ。貫通力もあるし、十 
    分に人間を殺す威力がある」 

 男はその空気ピストルの銃口をしずかの眉間に向けた。 




500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:36:31.44 ID:aWSpUdyv0


黒服1「安心してくれ。骨川スネ夫が来るまでは君たちは殺さない。奴を呼ぶための餌にな 
    ってほしいんでね……。しかし、ただ待っているのも退屈だ。ちょっとした遊びを 
    しようじゃないか」 

 黒服はそういうと、ジュラルミンケースを――のび太が作った空気ピストルを机の上に乗 
せ、銃口を自分の方へと向けた。 
  
黒服1「空気の圧縮はしておいた。つまり、君たちの誰かが"あの言葉"を口にすれば、この 
    空気ピストルで俺を倒せるということになる。 
    ――ところで、見たところ君の作った空気ピストルは誰の声でも反応するようにで 
    きているらしい。しかし、普通はそれじゃ暴発の可能性がある。だから俺の空気ピ 
    ストルは、登録した人間の声だけに反応するようになっている。同時に登録できる 

    声は5人まで。そして……今この空気ピストルには俺、死んだ相棒、野比のび太、 
    出木杉英才、剛田武の声が登録されている」 

 黒服の男は近づいてくると、のび太の口のガムテープをはがした。 
 続いて、出木杉、ジャイアンのガムテープもはがす。 
 そして再び空気ピストルをしずかの眉間に向けた。 

黒服1「さあ、言いたければ言え。"あの言葉"を言えばおまえらの空気ピストルが作動して 
    俺を倒すことが出来る。ただし、同時に俺の空気ピストルも作動し、源静香が死ぬ 
    ことになるがな」 




508:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:38:07.28 ID:aWSpUdyv0


 のび太、出木杉、ジャイアンの3人は黙っていた。 
 「バン」と言えば黒服の男を倒すことが出来る。しかし、同時にしずかも死ぬ…… 

ジャイアン(言えねぇ……言えばしずかちゃんが死んじまう) 

出木杉(……奴の空気ピストルに登録されている声は、僕、のび太くん、剛田くん、黒服の 
   男たち……ということは) 

のび太(奴の空気ピストルに声を登録されてない人間……スネ夫が奴に見つかるより先に 
   「バン」と言えば僕らの勝ちだ) 

 しずかが、「わたしに構わず言って」と言いたげな目で3人を見ている。 
 しかし、その選択肢は3人にはなかった。 
  
出木杉(やるしかない……) 

 出木杉は後ろ手で携帯電話を操作し、スネ夫の携帯に電話をかけた。 




520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:40:13.50 ID:aWSpUdyv0


 GPSで藤子大へ向かっていたスネ夫が出木杉からの電話に出ると、彼が何を言うより早く出 
木杉の大声が受話器から聞こえてきた。どうも自分ではなく、別の相手と話しているらしい。 


スネ夫(あの言葉……?) 

出木杉『スネ夫くんがここへ来て、おまえに見つかるより早く"あの言葉"を言えば僕らの勝 
    ちなんだ。僕らはそれを待つ!』 

黒服1『無駄だ。ここにはセンサーがたくさん仕掛けてある。スネ夫が来ればすぐに俺には 
    わかるさ。スネ夫に空気ピストルを撃たせることは不可能だ』 

スネ夫(出木杉と黒服の会話だ……GPSから見てのび太もジャイアンもしずかちゃんも、出木 
   杉と一緒に奴に捕まってる……) 

スネ夫(出木杉は僕に何を言わせようとしてるんだ? ……あの言葉……空気ピストル……そ 
   うか!!) 

 出木杉は自分に「バン」と言わせようとしているのだ。 
 事情はよくわからないが、おそらく彼らは「バン」と言えない状況にいる。だから代わり 
に自分に「バン」と言ってくれと言ってるのだ。 

スネ夫(しかし、みんなのいる藤子大には黒服の言葉どおりならセンサーが……そうか、電 
   話越しに叫べば!!) 




536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:42:43.45 ID:aWSpUdyv0


出木杉(頼む、スネ夫くん。「バン」と大声で言ってくれ。そうすれば……) 

黒服1「待て」 

 黒服が出木杉の背中を蹴り上げる。 

黒服1「変に説明くさいことを言いやがって。何を企んでる?」 


出木杉(頼む!スネ夫くん、言ってくれ……) 

スネ夫『バン!!!』 

 電話からスネ夫の声が聞こえてきた。 




560:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:45:07.15 ID:aWSpUdyv0


出木杉(駄目だ……何も起こらない!やはり電話越しじゃ声が小さいんだ!) 

黒服1「ふ……電話か。今のはヒヤッとしたぜ」 

 黒服は出木杉の腹を蹴り上げると、電話を奪った。 

黒服1「骨川スネ夫くん、残念だったね。君の声は小さすぎて空気ピストルには届かなかっ 
    たようだよ。腹の傷が痛んで大きい声が出せなかったか?」 

スネ夫『くっ……』 

黒服1「さっさとここへ来い。でなきゃ大事な友達が先に死ぬことになるぜ」 


出木杉(だ……めだ……失敗だった) 

ジャイアン(くそ、このままじゃ……でも言えねぇ!言ったらしずかちゃんが) 

しずか(お願い、わたしのことはいいから「バン」って、誰か言って!!) 

スネ夫(くそ、急がなきゃ……けど、行ってどうすればいい?) 

のび太(どうすればいい? どうすればいい? 助けてよ、ドラえもん……) 




582:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:48:50.89 ID:aWSpUdyv0


 そのときだった。のび太の頭にひとつのアイディアが浮かんだ。 

のび太(そうだ、うまくいけば……) 

のび太「ねぇ、ひとつ聞いていい?」 

黒服1「あ? 何だ?」 

のび太「今の時間を教えてほしいんだ」 

黒服1「時間だと? …………23時48分だ。それがどうした」 

のび太「いや……別に。それより、あのロボットを見たかい?」 

黒服1「ああ、あれか。気になってはいたんだ。22世紀のネコ型ロボットに似ている」 

のび太「あれは僕が作ったんだ。そして電源は普通のスイッチじゃない」 




600:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:51:27.76 ID:aWSpUdyv0


黒服1「おまえ大丈夫か? もうすぐ俺に殺されるってのに、そんな話をしている余裕がど 
    こにある」 

のび太「話しかけてやればいいんだ、それで起動する……」 

黒服1「黙れ。死にたいのか?」 

のび太「こう言うんだ……ドラえもぉぉぉん!!!!」 

 のび太が叫んだ。 
 その声に反応し、DR-1の電源がONになる。 
 ブゥン、という音とともにドラえもんの鼻が光り……彼はしゃべった。 

DR-1「こん"バン"わ。ぼく、ドラえもん」 

 空塊が黒服の身体を至近距離から吹き飛ばす。 
 本棚に叩きつけられた黒服男はそのまま気を失った 


読まれたorz 




621:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:53:43.05 ID:aWSpUdyv0


 すぐに駆けつけたスネ夫によって4人は縄を解かれた。 
 そして、目を覚ましかけた黒服にジャイアンが強烈なラリアットをかまし、もう道具を持 
っていないことを確かめたうえでロープでぐるぐる巻きにしておいた。 

出木杉「今度こそ……終わったんだね」 

ジャイアン「たぶんな」 

 走って来たせいで手術跡が開いたのか、痛みに顔をしかめているスネ夫をしずかが気遣っ 

ている。 

 のび太はDR-1を眺めていた。 
 青い、丸い身体。また自分はドラえもんに助けてもらったのか…… 

のび太(いや、これはドラえもんじゃない……本当のドラえもんは、もう……) 

スネ夫「みんな、ちょっとこれを見て!!」 

出木杉「どうしたんだい?」 

スネ夫「電波障害だ……強い電磁波も感知されている」 

ジャイアン「……嘘だろ」 

しずか「まさか、まだ……」 

スネ夫「しかも、発生源は――ここの屋上だ」 




633:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:55:10.93 ID:aWSpUdyv0


 のび太と出木杉がスネ夫とジャイアンにそれぞれ肩を貸して、5人は屋上へと上がった。 
 屋上は深夜とは思えないほどの光りに満ちている。 
 空にはぽっかりとタイムマシンの出入り口が開いていた。 
 そしてそこから出てきたのは…… 

のび太「タイム……パトロールだ」 

スネ夫「戻ったんだ!未来が元に戻ったんだ!」 

ジャイアン「何だって!!」 

スネ夫「僕らがあいつを捕まえたから……これで僕たちを殺すことは出来なくなって、タイ 
    ムマシンの情報は抹殺されない。そのうえあいつらは焦って未来の道具をたくさん 
    使ってしまったから、それがタイム・パトロールに発見されたんだ!」 




640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:56:23.57 ID:aWSpUdyv0


 タイム・パトロールの巡視艇が屋上に着陸し、中から隊員たちが降りてくる。 

隊員「野比のび太くん、剛田武くん、骨川スネ夫くん、出木杉英才くん、源静香さんだね。 
   タイムテレビで様子は見ていた。協力、どうもありがとう」 

スネ夫「歴史は元に戻ったんですね?」 

隊員「いや、残念ながら多少の変化が生じてしまった。タイムマシンの発明者が死んでしま 

   ったからね……タイムマシンの発明は、本来の2008年より遅くなることになる」 

出木杉「それでも、タイムマシンは完成するんですね?」 

隊員「ああ。もともと奴の計画は読みが外れていたんだ。仮に4次元空間で歴史を変えても 
   我々はそれを感知する極秘機関を4次元空間内に設置している。あとは彼らが逃げた 
   時代を特定するだけだった……君たちの思わぬ抵抗に焦った奴らが未来の道具を使っ 
   てくれたおかげで、この時代と特定できたんだ」 

ジャイアン「でもよぉ、もう少し早く来てくれりゃあ俺たち怪我しなくて良かったのに」 

のび太「そう言うなって。これで未来が変わらずに済んだんだからさ」 

???「そう言い切るにはまだ早いよ、のび太くん」 




655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:58:07.04 ID:aWSpUdyv0


 のび太はその声に懐かしさを感じた。 
 いくら近い声を作っても何か違っていた。願っていた声が今、耳に入ってきたのだ。 

のび太(そんな、まさか……) 

 ゆっくりと振り返る。 

ドラえもん「やあ、のび太くん。久しぶり……大きくなったね」 




660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:08.07 ID:TB4oXUyJO


ドラえもぉぉぉぉぉぉぉぉん 




661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:08.98 ID:Rj0gF0gbO


ドラえもんキター!! 




666:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:19.00 ID:JCepli9BO


ドラえもオオオオオオオオオオオオオオオオん!!!!!!!!!!! 




672:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 18:59:34.84 ID:dn/1Cr+BO


どらちゃんキタ!!! 




693:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:01:03.04 ID:aWSpUdyv0


 それから数分間のことをのび太はよく覚えていない。 
 みんなから聞くと「子供のように泣きじゃくっていた」「『ドラえもん、ドラえもん』と 
何度も何度も叫んでいた」とのことだ。 
 どうしてもたどり着けなかった、ネコ型ロボット。 
 研究しても研究しても作ることの出来なかった無二の友達。 
  
 それが――ドラえもんが帰ってきたのだ。 

ドラえもん「やっぱりのび太くんは駄目なままだね。君が心配でタイム・パトロールの人に 
      頼んで連れてきてもらったんだ」 

のび太「そんなこと……ないよ。僕だってやるときはやるんだ」 

出木杉「そうだよ。ドラえもん……僕らはのび太くんにたくさん助けられた。のび太くんは 
    すごいよ」 

ドラえもん「それでも、まだまだ駄目だよ」 

 ドラえもんはクスクスと笑う。 
 そして、小声でのび太に言った。 

ドラえもん「のび太くん、まだしずかちゃんに"好き"って言ってないでしょ?」 

のび太「うん……」 

ドラえもん「だめだなぁ。君がしずかちゃんと結婚しないと、僕は作られないんだよ?」 




706:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:03:00.88 ID:r0lhwnblO


作られない…だと…? 




709:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:03:34.57 ID:6fAsAp3N0


優しいな、ドラえもん。 
のぶ代の声で再生された 




727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:05:09.47 ID:aWSpUdyv0


>>1です 

ごめ、飯食ってくる 
15分で戻る 




734:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:06:18.18 ID:tsHYIpRBO


>>727 
乙 ゆっくりしてこい 




735:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:06:19.69 ID:LAKoUOEp0


>>727 
良く噛んで食えよ! 




796:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:17:59.92 ID:aWSpUdyv0


ただいま 


のび太「え……? それってどういうこと?」 

ドラえもん「君には言ってなかったけどね……僕らネコ型ロボットがどうしてこういうデザ 
      インになったかわかるかい?」 

 のび太は首を横に振る。考えたこともなかった。 

ドラえもん「今からそれを教えてあげるよ……」 

 そう言って、ドラえもんは話し始めた。 




802:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:18:32.17 ID:9o9GAiszO


おかえり! 




809:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:20:24.34 ID:aWSpUdyv0


 2049年、ある日本人が人工知能を有するロボットの発明でノーベル賞を受賞することにな 
る。大きな技術革新に繋がったそのロボットのデザイン。その偉業に敬意を払って、そのロ 
ボットのデザインが2112年に開発されたネコ型ロボットに採用された―― 

のび太「その日本人が、僕? でも僕は事業に失敗してセワシの代まで借金を残すんじゃ……」 

ドラえもん「そうだよ。もちろんノーベル賞をとるのは君じゃない……出木杉くんさ」 




813:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:21:13.26 ID:+bEov37G0


な、なんだってー! 




823:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:22:26.67 ID:aWSpUdyv0


のび太「出木杉くんが?」 

ドラえもん「そう。君としずかちゃんが結婚した翌年、出木杉くんに誘われて君たちは再び 
      共同研究を始める。研究のために君は多額の借金をするんだけど、完成間近に 
      ついに資金が底を付いて、開発から手を引くんだ。でも出木杉くんはその後も 
      研究を続け、君が手を引いた2年後、画期的なAI搭載コミュニケーションロボ 
      ット『DORA-121』が完成。ノーベル賞を受賞するのさ。その『DORA-121』は君 
      たちが作ってるこのDR-1のデザインをそのまま使ってる……もう、あとはわか 
      るよね?」 

のび太「あのロボットが……。でも、僕としずかちゃんが結婚しないとドラえもんが出来な 
    いってのは?」 

ドラえもん「もし出木杉くんとしずかちゃんが結婚したら、君は出木杉くんと共同研究が出 
      来るかい? 出木杉くんと顔を合わせたくなくて、断るんじゃない?」 

のび太「……そんな気がする」 

ドラえもん「そこへいくと出木杉くんは人間が出来てるから、君としずかちゃんが結婚して 
      も嫉妬せずにのび太くんを研究に誘ってくれるってわけ。出木杉くん一人じゃ 
      ノーベル賞まではいけないからね」 




838:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:26:08.25 ID:aWSpUdyv0


のび太「そこまでハッキリ言わなくても……」 

ドラえもん「まぁまぁ。これは本来の筋書きさ。 
      僕が未来から来たことで、のび太くんにこらえ性ができる。 
      その結果、借金が出来た後もノーベル賞こそとらないものの地道な発明を続け、無事に 
      借金を返すと言うわけさ」 

のび太「なるほど……」 




848:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:28:15.93 ID:aWSpUdyv0


 タイム・パトロールが黒服の男を連行していく。 
 黒服の男の持ち込んだひみつ道具も次々と押収されていった。 

のび太「ドラえもん……もう帰るの?」 

ドラえもん「うん……もう役目は終わったからね」 

のび太「そっか」 

ドラえもん「のび太くん、君は立派な大人だよ。親友の僕が言うんだから間違いない……そ 
      れに僕がいなくなったって他に4人も親友がいるじゃない」 

のび太「大丈夫だよ、僕は」 

ドラえもん「約束だよ、のび太くん。僕を作ってね」 

のび太「うん……」 





867:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:31:04.99 ID:aWSpUdyv0


 タイム・パトロールが帰っていき、少ししてからジャイアンとスネ夫も病院に向かった。 
 しずかは二人に付き添っていく。 
  
 出木杉とのび太の二人だけが屋上に残り、夜空を見上げていた。 

のび太「出木杉くんは病院に行かなくていいの? 腕折れてるんじゃない?」 

出木杉「あとで行くよ。でも、その前にのび太くんと話がしたくて」 

のび太「そっか。僕もだよ」 




878:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:32:45.60 ID:aWSpUdyv0


出木杉「帰ってったね。ドラえもん」 

のび太「うん」 

出木杉「最後に、ドラえもんと何を話していたの?」 

のび太「約束をしたんだ。いつか必ず、僕がドラえもんを作るって」 

出木杉「……君の作るロボットは、全部ドラえもんだよ」 

のび太「え?」 

出木杉「いつも思ってた。僕はどうして科学者として君に追いつけないのかって……勉強は 
    僕の方が出来たのに」 

のび太「……………」 

出木杉「きっと想像力なんだ。のび太くんは僕には思いつかないようなことを思いつく。そ 
    れはたぶん、ドラえもんといた日々のおかげだよ。君はいつもドラえもんを目指し 
    ていたんだ……理屈に絡められすぎた僕には出来ない発想だよ」 




895:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:35:48.71 ID:aWSpUdyv0


のび太「……出木杉」 

 初めて、のび太は出木杉のことを呼び捨てにした。 

出木杉「どうしたんだい、のび太?」 

 出木杉も、初めてのび太を呼び捨てにする。 

のび太「しずかちゃんのこと、譲らないよ」 

出木杉「そう……。これで僕も本気を出せる。今までは、変に遠慮してたんだ」 

のび太「手加減なしだよ」 

出木杉「望むとこだよ。君には負けないさ」 

 少し、沈黙。 

のび太「助手になったのは僕が先だろ?」 

出木杉「ただの人手不足って言ってなかった?」 

 お互い、ニヤリと笑いあう。 
 子供のころ夢見た未来に、少し近づいてる。 

 そんな気がした二人だった。 

                     ――おわり 




904:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:26.92 ID:eMoOaIFE0


>>1乙 
楽しかったよ 




905:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:32.75 ID:wkiK1ZOK0



         *、 *、      。*゚    *-+。・+。-*。+。* 
        / ゚+、 ゚+、   *゚ ・゚    \       。*゚ 
       ∩    *。  *。    +゚    ∩    * 
   (´・ω・`)      +。   +。   ゚*     (´・ω・`) 
   と   ノ      *゚  *゚    ・     。ヽ、  つ 
    と、ノ     ・゚  ・゚     +゚    *  ヽ、 ⊃ 
     ~∪    *゚  *゚      *    +゚    ∪~   ☆ 
          +′ +′      +゚   ゚+。*。・+。-*。+。*゚ 





906:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:41.03 ID:6lHnkJfv0


>>1 
乙!!!! 
おもしろかったーーーーーーーー!!! 


本にしてくれえええええええええええ 




909:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:47.01 ID:q2tuFX8R0


お疲れ様でした。 




911:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:36:49.91 ID:RbPrIXHPO


>>1乙でした!!!! 




918:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:37:03.12 ID:CIu6xJIO0


おつかれさん! 
面白かったよ 




919:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:37:04.25 ID:s+ikydp00


おつかれえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!! 




968:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:39:16.37 ID:5Psl1X16O


ドラが出てきたとこで泣いたよ>>1、感動をありがとう 
お疲れ様でした 




994:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/13(金) 19:40:58.69 ID:HBr1Oz9T0


>>1お疲れ様 
楽しかったよ 




1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:17:25.20 ID:KR344wi30


のび太「え?」 

出木杉「いや、そう思わないかい?」 

のび太「まあ、2008年完成なら疑ってたかもしれない。けど、タイム・パトロールの話 
    だと、未来が変わったせいでタイムマシンの発明はもっと遅れるらしいし……」 




4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:19:18.67 ID:KR344wi30


 大学生協の食堂のテーブルに、野比のび太と出木杉英才が向かい合わせに座っている。 
 のび太が最近ようやくラーメンばかりの食生活を脱却したので、今日は二人ともカレー 
ライスを食べていた。 

出木杉「遅れるっていうのはどれくらいなんだろう?」 

のび太「そこまではわからないよ……」 

出木杉「うん、まぁそうだろうけどさ。でも2008年に完成するはずが、2年前のあの未 
来テロリストによって発明者が殺された……なら、完成まではいかなくとも何 
らかの下地があってもよさそうじゃない?」 

のび太「下地……か。でも、その方面の報告は学会ではとんと見かけないよね」 

出木杉「そう……だから気になるんだ」 

出木杉「タイム・パラドクスの修正は、本当に完璧だったんだろうか?」 


>>2 
個人的には嬉しいっす 




3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:18:48.12 ID:9tyYLLrbO


おお!続きか!! 
前回の面白かったよー!! 




7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:21:10.35 ID:KR344wi30


スネ夫「……で、また僕らが召集されたわけか」 

 西東京市内の座敷居酒屋に、野比のび太、出木杉英才、剛田武、骨川スネ夫、源静香 
の5人が集まっていた。 
 2年前の事件以来、再び親交の回復した5人はたびたびこうして集まっていた。もっ 
ぱら、誘ってくるのはジャイアンであったが。 

ジャイアン「この2人から召集がかかるなんて、2年前みたいだよな。スネ夫、また刺 
されるんじゃねぇのwww」 

スネ夫「よしてよジャイアン、縁起でもない」 

しずか「それで、今日はタイムマシンの話ね?」 

のび太「そういうこと」 

スネ夫「なんだかこの面子で飲むといつもアカデミックな話題な気がするよ……差し詰 
め今日の議題は『時空間修正の影響』ってところかな?」 

>>3 
前作ほどおもしろくないかも、1日で書いたんで。 




10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:22:26.75 ID:KR344wi30


ジャイアン「そもそも、タイムマシンの仕組みってのが俺にはよくわかんねぇん 
      だよな。あれだけ乗っといて今更だけどよ」 

しずか「今の科学ではタイムマシンってどうなの?」 

 しずかの言葉に、のび太・出木杉の理系コンビに他3人の視線が集まる。 

のび太「原理的には、未来へ行くことは可能だよ」 

 のび太がゆっくりと言った。 




12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:24:23.57 ID:KR344wi30


出木杉「特殊相対性理論っていうんだけど、聞いたことないかな? わりと有名な話 
だと思うけど……」 

しずか「理系では有名かもしれないけど……」 

 しずかがクスクスと笑う。 

出木杉「まぁ、僕も専門分野ではないしね。ここはのび太くんに譲るよ」 

のび太「ウラシマ効果っていうんだけど、覚えてない? 僕らが小学生のころ、浦島太郎 
    は実は宇宙に行ったんじゃないかっていってドラえもんと確かめに行ったこと」 

スネ夫「ああ、そうだ。言いだしっぺは僕だったね」 

のび太「例えば、光速の99.9999999998%の速さで航行する宇宙船内にいると、地球上で 
    は1000万年経っていても宇宙船内では20年ほどしか経過しない。まぁこれはあく 
    まで理論値だけどね。これは、時空間の座標変換による矛盾を回避するための、 
    ローレンツ変換による帰結なんだ」 

ジャイアン「意味わかんねぇよ!!」 




14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:26:04.80 ID:KR344wi30


出木杉「まあ、とにかく物体の加速によって短時間で未来に行くことが可能ってことさ」 

スネ夫「でもさ、それならマイナス方向への加速で逆に過去へ飛ぶことも出来るんじゃな 
    いの? 理論上なら……」 

出木杉「いや、逆数に達するより先に運動量・エネルギー・質量がゼロになってしまう。 
    そうするとどうなるか、わかる?」 

しずか「質量がゼロってことは……消える?」 

出木杉「そう。消滅するんだ」 

のび太「厳密には、物体が物体であることの定義が先にたつんだけどね」 

ジャイアン「すいませーん、生中と枝豆追加で」 




19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:28:51.55 ID:KR344wi30


スネ夫「ジャイアン、話聞いてた?」 

ジャイアン「え? お、おお!聞いてたさ!なるほどなぁ……すげぇ!」 

のび太「わざとらしいなあ」 

スネ夫「でもそれじゃあ、過去へは戻れないわけだろう? それにドラえもんが使ってた 
    タイムマシンはそんなメカニカルな感じには見えなかったけど……」 

のび太「あれはまさしく、時空間内を航行する乗り物って感じだったよね。でもあれは 
    2112年以降に出来てればいいわけだから……」 

出木杉「そこまで完璧なものでなくていいわけだね。もっと無骨な機械でも構わない、完 
    成さえすれば技術の進歩によってあの形になっていくさ」 

しずか「つまり、2008年に発明されるはずだったタイムマシンがどういうものだったかを考 
    える必要があるってことね?」 




22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:30:50.16 ID:KR344wi30


出木杉「さすがしずかちゃん。いい問題提起だ」 

スネ夫「でもそれって、今となってはわからない問題じゃない?」 

のび太「そうとも言えないよ。2008年以前と現代では科学の流れに大きな違いはない。つま 
    り、同じ科学の範疇でタイムマシンが完成されるはずなんだ」 

しずか「でも、あのドラちゃんの形までいくには大きな壁があるわ。初期の発明段階である 
    程度原型が出来ていたんじゃないかしら?」 

出木杉「それが疑問なんだ。そんな話全然聞かないし……ひょっとしたらタイムマシンの発 
    明は想像以上に遅れるのかもしれない」 

ジャイアン「へふぉひょぉ、ほふぉふぁでふーへいふふはんへ……」 

しずか「武さん、食べながら喋らないで」 




24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:32:36.06 ID:KR344wi30


ジャイアン「でもよお、そこまで修正するなんておかしくねぇか?」 

のび太「と言うと?」 

ジャイアン「研究なんて一人でするもんじゃねぇだろ? だったら発明者が殺されても一緒 
      に研究してた助手とかに代わりに発明させるくらいの修正でいいじゃねぇか。 
      何十年も遅らせる必要、あるか?」 

出木杉「研究を始めるよりもっと前の時代で殺したとか」 

ジャイアン「それこそ、確かめられるんじゃねぇか? おまえらが言ってた電波障害だとか 
      の記録を調べればタイムマシンの現れた時期にあたりをつけるくらいのことは 
      出来るんじゃないのか?」 

しずか「……すごい」 

のび太「初めて……ジャイアンが建設的な意見を言った……」 

スネ夫「まぁ建設業みたいな肉体してるけどね」 




27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:34:01.16 ID:KR344wi30


 その日はスネ夫が存分にジャイアンにしめられたところでお開きになった。 
 居酒屋を出たあとスネ夫は半ば強引にジャイアンにカラオケへ連れて行かれ、のび太、出 
木杉、しずかの3人は例のごとく一緒に駅へと向かった。 

のび太(そういえば、あれ以来出木杉にことを呼び捨てにしてないな……) 

 のび太は横を歩く出木杉の顔を見てふと思った。 
 同様に出木杉の方もあれ以来のび太のことを呼び捨てにしていない。 




29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:35:35.44 ID:KR344wi30


出木杉「最近疲れが取れないんだよね、年のせいかな」 

 冗談めかして出木杉が言う。 

しずか「それを言ったら、みんな同級生じゃない?」 

出木杉「でも来年にはみんな30歳だ。若い若いって言ってられないよ」 

しずか「……年齢の話はやめてほしいな」 

出木杉「あ、ごめん……でもしずかちゃんはまだ20代前半に見えるよ」 

しずか「出木杉さんだって若く見えるわ」 

のび太「ねぇねぇ、じゃあ僕は?」 

出木杉「…………」 

しずか「…………」 

のび太「……何で黙るのさ」 




32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:37:20.07 ID:KR344wi30


 翌日、のび太は彼の勤める藤子大学ロボット工学科の研究室にいた。 
 助手はまだ学生に授業をする立場ではないので、研究に集中できるのだ。 

学生「野比先生」 

のび太「ん、なあに?」 

学生「ステッピングモータの制御がうまくいかないんですが……」 

のび太「ああ、またうまくいかないか……。しかたない。面倒だけど回路を作ってデジタル 
    で直接制御しよう」 

学生「うまくいきますか?」 

のび太「パルスよりはマシだろうね。うまくいかなかったら、他を考えるさ」 




35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:38:50.78 ID:KR344wi30


学生「ああ、それと……出木杉先生から内線電話がありましたよ。あとで情工まで来てほし 
   いって」 

のび太「そう。ありがとう」 

学生「あの、ひょっとしてデキてるんですか?」 

のび太「へ?」 

学生「先生と、出木杉先生」 

のび太「……そんなわけがないだろう」 

学生「あ、じゃあ図書館司書の源さん?」 

のび太「さあて、煙草でも吸ってこようかな」 

学生「話を逸らさないでください。あと学内は禁煙ですよ」 




38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:41:17.37 ID:KR344wi30


 のび太は出木杉のいる同藤子大の情報工学科の研究室を訪れた。 
 コンピュータが多いのはロボット工学科と似ているが、こちらのほうが台数が多いし、何 
よりこちらは最新式だ。 

のび太「出木杉先生、いるかな?」 

 窓から研究室を覗き込むと、のび太は一番近くにいた学生に話しかけた。 

学生「えっと、出木杉先生なら確か隣の専門研究室にいます」 

のび太「専門研究室?」 

学生「はい、ナノデバイスの……」 

のび太「そう、ありがとう」 




42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:43:07.80 ID:KR344wi30


のび太「出木杉くん」 

出木杉「やあ」 

のび太「電話くれたんだってね。何か用事だった?」 

出木杉「うん、ちょっとね……ところでのび太くん、パスポートまだ使える?」 

のび太「え、ああ……教授の学会に着いて北京に行ったのが去年だから、たぶんまだ大丈夫 
    なはずだけど」 

出木杉「そう。じゃあ、唐突だけどさ……ロシアへ行こう」 

 出木杉はそう言ってニヤリと笑った。 




47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:45:11.29 ID:KR344wi30


 のび太は出木杉の言葉が唐突過ぎて咄嗟に理解できなかった。 
 意味もなく、ロシアの基本情報を思い出す。 

のび太(ボルシチ……ピロシキ……ウラジーミル・プーチン……) 

 ようやく、現実的な思考回路が戻ってきた。 

のび太「あの、いったい何で?」 

出木杉「こないだ剛田くんが言ってた電波障害の記録を調べてみたんだ。まあ2008年にタイ 
    ムマシンを発明できる人間が生きているであろう時代だから、過去100年くらいを 
    調べた。その結果似た形の電波障害は、僕らが小学生のときに東京でたくさん観測 
    されている」 

のび太「それは僕らが乗ったドラえもんのタイムマシンだと思う」 

出木杉「そう。そして、それ以外には……ロシアのサンクトペテルブルクで観測されたもの 
    しかないんだ」 




48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:47:14.88 ID:KR344wi30


のび太「ちょっと待ってよ。あれは2009年になってからだろう? ってことはタイムマシン 
    の発明者殺しと関係は……」 

出木杉「それがね……その半年前、2008年8月にも頻繁に電波障害が観測されていた。同じ 
    くサンクトペテルブルクだ」 

のび太「ということは……」 

出木杉「ああ……鍵はサンクトペテルブルクにある」 

出木杉「どうだい、来る気になった?」 




52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:49:54.74 ID:KR344wi30


のび太「確かに、サンクトペテルブルクに何かあるのも知れない。けど、情報が足りなすぎ 
    るよ。わざわざ行くっていうのも……」 

出木杉「それだけじゃないんだ。サンクトペテルブルク国立総合大学応用物理学部のイヴァ 
    ノフ名誉教授が電波障害と同時に行方不明になっている。彼が殺されたタイムマシ 
    ン発明者の可能性が高い」 

のび太「でも、行ってどうする?」 

出木杉「彼の下で一緒に研究していた日系人のエゴール・藤尾助教授に話を聞こうと思う」 

のび太「しかし、仕事も休まなきゃならないし、費用もかかる。どうするの?」 

出木杉「研修ってことになってる。うまく教授に話が通ってね……うちの情報工学部からは 
    僕が、ロボット工学科からは君が行く話でもうゴーサインは出てる」 

 のび太はため息をついた。もう何もかも手配済みじゃないか。 

のび太「わかったよ……しかしいつから君、そんなアクティブになったの?」 

出木杉「想像力を養うには経験を積むのが一番だからね」 

 出木杉はポケットから焦げたスタンガンを取り出した。 
 のび太が作った……あのコピーロボットを倒したスタンガンだ。 

出木杉「君にはやっぱり、負けてられない」 




54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:51:50.97 ID:KR344wi30


ジャイアン「それで……ロシアに行くことになったのかよ!!」 

のび太「うん」 

スネ夫「いいなあ、僕も行きたいよ」 

ジャイアン「おまえは仕事でしょっちゅう海外に行ってるだろ?」 

スネ夫「それとは別さ。タイムマシンの痕跡を調べに行くなんて面白そうじゃないか」 

 前回と同じ個室居酒屋の同じ部屋に、のび太、スネ夫、ジャイアンの3人が集まって話し 
ていた。出木杉は研修の準備、しずかは今日は両親と食事をするらしく、2人は不在だった。 



*注 
実在するサンクトペテルブルク国立総合大学には理系学部はありません 




58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:53:44.52 ID:KR344wi30


スネ夫「しかし、出木杉も思い切ったことするよな」 

ジャイアン「その思い切った出木杉としずかちゃんが、今日はいないじゃねぇか」 

スネ夫「出木杉は本当に研修の準備かな? しずかちゃんは本当に親と食事かな?」 

ジャイアン「今頃一緒だったりして……」 

のび太「おいおい、やめてよ」 

ジャイアン「何言ってんだ。おまえがいけないんだぞ、さっさとしずかちゃんと付き合わない 
      から……今度こそ出木杉にとられちまうぞ。いいのか?」 

のび太「…………」 




60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:56:08.62 ID:KR344wi30


 結局しずかに会うことが出来ないまま、のび太はロシア行きの日を迎えた。 
 一度電話で話すことは出来たが、ロシア行きに関しては既に出木杉から聞いていたらしいの 
で、これといった話題もなくすぐに電話を切ってしまった。 

のび太(また、出遅れちゃったな……) 





61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:58:00.99 ID:KR344wi30


 機内で少々アカデミックな理系話に花を咲かせ、のび太と出木杉はロシアのサンクトペテル 
ブルク市内にあるプルコヴォ空港に降り立った。 
  
出木杉「藤尾先生がここまで車で迎えに来てくれるって話だけど……」 

???「出木杉先生と野比先生だね?」 

出木杉「あ、はい。えっと、藤尾先生ですか?」 

藤尾「ああ、僕が藤尾です。はじめまして」 

のび太「よかった……」 

出木杉「どうしたの、のび太くん」 

のび太「僕、ロシア語話せないんだ……藤尾先生が日本語話せてよかったよ」 




63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 19:59:24.62 ID:KR344wi30


出木杉「先生は亡くなられたイヴァノフ名誉教授の下で研究をされていたそうですね?」 

 ホテルへ向かう車の中で、出木杉が藤尾助教授に聞いた。 

藤尾「どうして、亡くなったと?」 

出木杉「いえ、そう聞いていたものですから……違うのですか?」 

 わざと知らないふりをしているな、とのび太は気づいた。 
 イヴァノフ教授の失踪について詳しい情報を改めて聞き出すために、出木杉はわざと「亡く 
なった」という言い方をしたのだろう。 

藤尾「イヴァノフ先生は失踪されたんだ。遺体も発見されていない。亡くなったという話 
   が伝わっているのなら、それはデマだろうね」 

出木杉「そうだったんですか……失踪されたというのは?」 

藤尾「3年前の8月に先生は失踪された。理由はわからない。不思議だよ。もともと変わった 
   ところのある人だった……天才というのはそういうものなのかもしれないけど」 




64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:01:16.50 ID:KR344wi30


出木杉「何かの犯罪に巻き込まれたという見方はされなかったのですか?」 

藤尾「やけに突っ込んでくるね……なぜそう思う?」 

出木杉「当時の研究のことが関わっているとか……そう考えなかったんですか?」 

のび太(突っ込みすぎだ……いきなりすぎる) 

藤尾「研究? 何の研究のことかな?」 

出木杉「タイムマシンとか」 

 藤尾の耳がピクリと動いたのを、のび太は見逃さなかった。 




66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:02:29.07 ID:KR344wi30


藤尾「タイムマシン? ……非現実的だ」 

出木杉「しかしイヴァノフ先生は相対論的ローレンツ・ブーストの研究の第一人者です。タイ 
    ムマシン関連の本も書かれていますし……」 

のび太「出木杉先生、失礼ですよ」 

 慌ててのび太はストップをかけた。藤尾を怒らせてしまっては何にもならない。 

藤尾「いやいや、大丈夫だよ。まあ非現実的と言ったのは僕の個人的見解だ。イヴァノフ先生 
   は本気で考えていたかもしれない。少なくとも僕とはその手の研究はしていなかったけ 
   どね」 




67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:03:57.52 ID:KR344wi30


 話題を変えようと、のび太は慌てて車内を見回す。 

のび太「いい車ですね」 

藤尾「ああ、母国の車が好きでね。やはり車はトヨタが一番だ」 

のび太「でも……その、ところどころ変に汚れてますね」 

藤尾「ああ、私はいろいろ実験道具や材料を車で持ち帰ったりするからね。それをこぼしたり 
   するんだ……」 

 藤尾はそう言うと、ハンドルから片手を離し助手席のダッシュボードを開けた。 
 中には工具類や薬品の瓶などが入っている。 

のび太「工具一式にハンダに……そっちはシリコンですか? いろいろあるんですね」 

藤尾「片付けられない性格でね……理系には多いと思うけど」 

のび太「わかります」 
  
 そう言ってのび太は微笑んだ。 




70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:06:25.44 ID:KR344wi30


のび太「聞きすぎだよ、出木杉くん」 

 ホテルの部屋でのび太は言った。車中での藤尾との会話のことだ。 

出木杉「ああ、ごめん。でもこれでハッキリした。藤尾先生は嘘をついてる」 

のび太「だろうね。そして、おそらくタイムマシンを発明するのは藤尾先生だ」 

出木杉「でも、どうしてタイムマシンの研究を知らないふりをするんだろう?」 

のび太「単に、気乗りしないだけじゃない? 科学者の研究分野なんておいそれと変わる 
    ものじゃないし、タイムマシンを否定するスタンスをとってるなら尚更だよ。 
    まぁタイムマシン発明の後継者がいるのは確かなんだから、放っておいたって 
    いつか研究に目覚めて発明してくれるよ」 




72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:08:31.75 ID:KR344wi30


 そのころ日本ではようやく予定の空いたしずかと、ジャイアン、スネ夫の3人が夕食を共に 
していた。今回は珍しくスネ夫の主催であり、場所も洒落たフレンチ・レストランだ。 

しずか「のび太さんと出木杉さんは今頃ロシアでしょうね」 

ジャイアン「俺も行きたいぜ、ロシア……ジンギスカン食いてぇな」 

スネ夫「ジンギスカンはモンゴルだよ」 

しずか「いいえ、ジンギスカン料理は日本発祥らしいわよ」 

 しばし、他愛のない会話で盛り上がる。 




77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:13:28.40 ID:KR344wi30


ジャイアン「理系のあいつらがいないせいか、話がわかりやすいぜwww」 

しずか「ふふ。たまにはこういうのもいいわね」 

スネ夫「でも、しずかちゃんは理系の奥さんになるんだから免疫つけないと」 

しずか「えっ?」 

ジャイアン「しずかちゃんはどうなんだ? のび太と出木杉……どっちが好きなんだ?」 

しずか「え、えっと……///」 




78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:15:27.14 ID:KR344wi30


スネ夫「将来性で見たら出木杉だよね。それに同じ科学者でも、のび太と違ってファッショナ 
    ブルだし……」 

しずか「出木杉さんはいい人よ……優しいし頼りになるわ。決断力もあるし、真面目だし…… 
    けど、好きかと言われると……」 

スネ夫「ってことは」 

ジャイアン「やっぱり、のび太か……」 




82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:17:19.84 ID:KR344wi30


 しずかは黙って頷いた。 
  
 そのとき、ふっと店内の明かりが消えた。 

 店の中は瞬く間に真っ暗になった。 
 エアコンなどの電気系統すべてが停止しているようだ。 

しずか(停電かしら……) 

 ――パァン!パァン! 

 突然、暗闇の中に破裂音が響いた。 
 しずかの前にあったグラスが砕け散る。 

ジャイアン「しゃがめ!スネ夫」 

 言いながらジャイアンがしずかの腕を引き、彼女を自分の後ろに隠す。 

スネ夫「どういうことだよ……今の、銃声だろ?」 




87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:18:54.26 ID:KR344wi30


 暗闇の中で待つこと数分。 
 消えたときと同じように唐突に、店内に明かりが灯る。 

しずか「何だったの……今の」 

ジャイアン「銃声だった……よな」 

 呆然とするしずかとジャイアンの横で、スネ夫はテーブルの上を眺めていた。 

 被弾して割れたしずかのグラス。 
 テーブルの端が丸く抉られている。 

スネ夫(2発ともこのテーブルを……僕たちを狙っている?) 




91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:20:38.91 ID:KR344wi30


 しずかたちが襲撃に会った直後、のび太と出木杉はホテルの部屋で眠っていた。 
 日本とサンクトペテルブルクの時差はマイナス6時間。サンクトペテルブルクはまだ昼の3 
時だったが、飛行機疲れのため仮眠をとることにしたのだ。 

 小さな物音を感じ、出木杉は目を覚ます。 
 もともと昼寝好きなのび太と違い、出木杉の眠りは浅かったのだ。 
 そして、それが今回は幸いした。 

 出木杉が目を開けると、枕元に帽子とサングラスをした男が立っていた。 
 その手にはナイフが握られている。 

出木杉「!!」 

 素早く横へ転がる。男の振り下ろしたナイフがベッドに突き刺さる。 




92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:22:09.74 ID:KR344wi30


 男はベッドからナイフを抜き去ると、出木杉のベッドのシーツを思いっきり引いた。 
 もともと足場が悪かったうえシーツを引かれ、出木杉は体勢を崩す。 
 その隙に男はドアへ向かって駆け出した。 

出木杉「くそ!待て……のび太くん、起きるんだ!」 

 のび太に声をかけつつ、出木杉は男を追う。 
 ドアを開けホテルの廊下へ出たときには、長い廊下のどちら側にも男の姿はなかった。 

出木杉(……どこへ消えた?) 




94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:24:16.45 ID:KR344wi30


のび太「へぇ、そんなことがあったんだ」 

 出木杉が男を取り逃がした10分後、ようやく目を覚ましたのび太が言った。 

出木杉「そんな呑気なことを言ってる場合じゃないだろう……」 

のび太「海外では珍しいことじゃないよ。日本人客が強盗に入られるなんてさ」 

出木杉「殺されるとこだったんだよ?」 

のび太「まあまあ……殺されなかったんだからいいじゃない」 

 のび太は欠伸をしながら洗面台のほうへと歩いていった。 
 まだ寝起きで頭が回ってないのかもしれない。 
 出木杉はため息をつくと、のび太に飲ませるためのコーヒーをいれることにした。 




95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:26:19.92 ID:KR344wi30


出木杉「とくに金目のものが取られた形跡はない。それに、ナイフを持って僕の枕元に立って 
    いて、僕が目を覚ますや否や慌ててナイフを振り下ろしてきた。どう考えたって強盗 
    のはずがないだろう?」 

のび太「ふんふん……で、警察には届けたの?」 

出木杉「いや……まだだ。不自然な点があるんでね。奴を追ってすぐ、僕も廊下に出た。なの 
    に奴の姿は廊下のどこにもなかった」 

のび太「すぐって、本当にすぐ?」 

出木杉「君に声をかけてたから、厳密にはすぐじゃないな。他の部屋に入る余裕はあったかも 
    しれない。けど、それならドアの音で気づくはずだし……」 

のび太「それだけの時間があれば十分だよ。全然不思議じゃないじゃない」 

 のび太はまだ眠そうだが、はっきりした口調で言った。 

のび太「どこでもドアなら、楽勝だ。すぐに電磁波の影響を調べるべきだね」 




98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:28:54.79 ID:KR344wi30


 確かに、のび太の言うことは頷ける。 
 これを当たり前のようにどこでもドアに発想を繋げることが出来る……それこそが自分との 
び太の想像力の決定的な違いかもしれない、と出木杉は思った。 

出木杉「でも、未来テロリストは捕まって……ひみつ道具も回収されたはずだろ?」 

のび太「今の説明で不十分なら、論理的に考えてみようか? 
    出木杉くんが僕に声をかけてから部屋を出たとしても、10秒も遅れはとらないよね。 
    せいぜい5、6秒程度……その短時間であの廊下を曲がり角まで走破するのは不可能 
    だし、他の部屋へ入るにしても音を立てずに慎重に入っていたら間に合わない。 
    とすれば何もない空間に消えたことになる。まあどこでもドア以外にも、通り抜けフ 
    ープを使ったとか、石ころ帽子を被っていて見えなかったとか可能性は他にもあるけ 
    ど……」 

出木杉「大丈夫だよ、そこまで馬鹿じゃない。確かに未来の道具の使用しか考えられない状況 
    みたいだね……すぐに電波障害を確認してみよう」 

のび太「どうやって調べるの? ここには電磁波測定器はないんだよ?」 

出木杉「サンクトペテルブルク大学に問い合わせるさ」 

 ようやくいつもの余裕を取り戻し、出木杉が笑った。 




99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:31:42.99 ID:KR344wi30


 サンクトペテルブルク大学に電波障害に関する問い合わせをした出木杉は、のび太と共にホ 
テルの部屋で大学側からの返事を待っていた。 
 5分ほどして、部屋の電話が鳴る。 
 が、出木杉が電話に出ると大学からではなくフロントからだった。 

フロント『デキスギ様に、日本のホネカワ様から国際電話がかかってきております』 

出木杉「スネ夫くんから? わかった、繋いでくれ」 

スネ夫『……もしもし、出木杉?』 

出木杉「ああ、僕だよ。どうかしたの?」 

スネ夫『実はさっきさ……』 




103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:33:08.52 ID:KR344wi30


ちなみに今回のは短いです 
前回のおまけくらいにとらえてください……m(_ _)m 




105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:34:12.54 ID:R9B1YO/p0


>>103 
おk 
がんば 




106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:34:39.98 ID:KR344wi30


出木杉「銃撃を受けたって、それ本当!? みんな大丈夫なの?」 

スネ夫『ああ、誰も怪我はないよ。そうか、そっちも襲撃に……』 

出木杉「同じ時間に日本とロシアでそれぞれ襲われるなんて……それで、僕に頼みって?」 

スネ夫『実は、個人的に気になることがあるんだ。僕の杞憂ならいいんだけど……。 
    銃撃によってしずかちゃんのグラスが割れたんだけど、その延長線上をたどってみ 
    ても見つからないんだよ……銃弾が』 

出木杉「え!?」 




108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:36:23.50 ID:KR344wi30


スネ夫『おかしいだろ? グラスに当たったくらいで弾の軌道は変わらないはずなのに。 
    それでこれはひょっとしたら……』 

出木杉「空気ピストル、だね?」 

スネ夫『ああ、そんなはずないとは思うけど……』 

出木杉「いや、そうかもしれない。その店の防犯カメラの……音声だけでいい。 
    手に入るなら、こっちへ送ってくれないかな?」 

スネ夫『わかった。やってみる』 




109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:38:11.23 ID:KR344wi30


のび太「どう思う?」 

 サンクトペテルブルク大学に電波障害に関する調査結果を聞きにいく途中、のび太は出木杉 
に聞いた。もちろん、事件のことである。 
  
出木杉「日本とサンクトペテルブルクの時差を考えても、僕が襲われたのは日本の事件の直後 
    だ。スネ夫くんたちを銃撃した犯人も異様な速さで逃亡しているし、おそらくどこで 
    もドアでこっちへ逃げてきた。そして未来の道具が使われている以上、何らかの形で 
    未来に関わってる人間……そしてここはロシアだ。となると疑わしいのは……」 

のび太「藤尾先生だね」 




111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:40:25.82 ID:KR344wi30


出木杉「うん。僕を襲った男の背格好も藤尾先生に似ている。イヴァノフ教授とのタイムマシ 
    ンの研究を隠しているし、彼がタイムマシン発明の後継者なら未来の道具を持ってい 
    たって不思議じゃない。彼はタイムマシンを独り占めする気なんだ」 

のび太「たぶんね……でも証拠はないよ」 

出木杉「証拠を掴めばいい。僕に考えがある」 

 出木杉はそう言って微笑んだ。 




117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:42:20.40 ID:KR344wi30


藤尾「どうしてまた、電波障害なんかを調べるんだい?」 

 サンクトペテルブルク大学の理学棟にある藤尾の研究室に二人はいた。 
 冬の寒さの厳しいロシアだからこそなのかもしれないが、建物の暖房設備は充実していた。 

出木杉「野比先生の研究テーマなんです。差し支えなければこちらの観測データを見せてもら 
    いたいと思いましてね」 

藤尾「そう……でも残念だったね。昨日は電波障害は観測されてないよ」 

のび太「本当ですか?」 

藤尾「ああ、だから調べる必要はない」 




119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:44:32.90 ID:KR344wi30


出木杉「わかりました……。あと、できれば見学がてらこちらのパソコンを使わせてもらえま 
    せんか? 僕は情報工学科なので興味があって」 

藤尾「構わないよ」 




121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:46:13.37 ID:KR344wi30


出木杉「電波障害がなかったなんて嘘だ。彼は隠してる」 

のび太「言ってる人間が藤尾先生だけに信憑性は薄いね。でも、どうするの?」 

 ワークステーションのパソコンの前で2人は話している。 
 出木杉はゲストでログインすると、藤子大の自分のパソコンにアクセスする。 

出木杉「スネ夫くんが、銃撃されたレストランの防犯カメラの音声を送ってくれた。銃声が聞 
    こえた、ってスネ夫くんたちは言ってたけど、たぶん爆竹か何かによるカモフラージ 
    ュだ。ということは……」 

 出木杉は音声ファイルを開くと、防犯カメラの音声を再生する。 

出木杉「この段階ではまだ雑音やカモフラージュの音でよくわからない。だからこれを徹底的 
    にクリーニングしてノイズを除去するんだ。難しい作業じゃない……肉声だけを取り 
    出して必要な音を探せばいいんだ。ほら……」 

 高速でキーボードを叩いていた出木杉は、スピーカのボリュームをあげると、再生ボタンを 
クリックする。 




123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:47:57.31 ID:KR344wi30


―――ざわざわ……かちゃかちゃ 

 小さく人の話し声や雑音がする中、銃声のあったタイミングにその音声は流れた。 

――「ばん、ばん」 

 2人は顔を見合わせた。 

出木杉「聞き覚えあるだろ? この声」 

のび太「うん、間違いないね……藤尾先生だ」 

出木杉「もう一度、藤尾先生の研究室に行って話を聞く必要があるね」 




126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:49:10.91 ID:KR344wi30


出木杉「この声、藤尾先生に間違いないですよね?」 

 サンクトペテルブルク大学、藤尾助教授の研究室。 
 レコーダーから先ほどクリーニングして抽出した音声を聞かせ、出木杉は言った。 

藤尾「確かに、わたしの声に似ているな」 

出木杉「声紋分析をすればハッキリわかると思いますが。それに、電波障害も本当はあったん 
    でしょう?あなたはどこでもドアで日本へ行き、空気銃でスネ夫くんたちを襲い、ま 
    たどこでもドアで今度は僕らのホテルへ来て、僕を襲った。どこでもドアを使ったと 
    きには時空の歪みによって電磁波が発生し、電波障害が発生するはずなんです」 

藤尾「どうして私が君たちを殺さなきゃならない? そもそも、どこでもドアとか空気ピスト 
   ルとか、いったいそれは何だい?」 

出木杉「おかしいですね……僕は空気銃、と言ったのにあなたは空気ピストルと言い直した。 
    それこそ、あなたが未来と通じている証拠です」 

藤尾「…………」 




129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:51:00.24 ID:KR344wi30


出木杉「あなたはイヴァノフ教授と共にタイムマシンを開発していた。そして開発前に発明者 
    になるはずだったイヴァノフ教授が失踪した、いや、あなたは知らないかもしれない 
    けれど彼は殺されたんです。未来は修正され、タイムマシンの発明者は藤尾先生にな 

    りました。だが、タイムマシンが完成してもあなたはそれを隠した。私利私欲のため 
    に使おうと……。しかしこれでは未来が変わってしまう」 

藤尾「未来……か」 




132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:52:31.05 ID:KR344wi30


出木杉「お願いです、先生。タイムマシンの発明を発表してください」 

のび太「…………」 

藤尾「君は未来を捉えそこなっている。エゴール・藤尾が私利私欲のためにタイムマシンを使 
   おうが使うまいが、発明者という事実に変わりはない。未来はそれだけじゃ変わらない 

   さ。出木杉くん……君の推論には見落としがある」 

出木杉「じゃあ、いったい何が……」 

のび太「その質問には僕が答えるよ、出木杉くん」 

 藤尾助教授をまっすぐ見据えて、のび太は言った。 

のび太「イヴァノフ教授が殺されても発明者の地位は藤尾助教授には移らない……何故なら藤 
    尾助教授もまた、イヴァノフ教授同様殺害されているから。 
    どうです、この仮説は?」 




136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:55:14.51 ID:KR344wi30


のび太「イヴァノフ教授が殺害されたのは2008年の8月です。同年中にタイムマシンが発明さ 
    れる前提がある以上、殺されたときには発明間近だったと考えていい。時間の修正は 
    最小規模で行われる……なら発明者を藤尾助教授に修正したところで、やはりタイム 
    マシンは2008年中に発明されるはずだった」 

出木杉「そうか……タイム・パラドクスの修正が大きすぎるんだ」 

のび太「ところがそれが出来ない事情があった。そもそも2008年に四次元空間内でイヴァノフ 
    教授を殺した未来のテロリストたちの目的は、タイムマシンの抹殺です。一緒に研究 

    していた藤尾先生を殺さないのは不自然だ。つまり、彼らはあなたを殺したんだ。あ 
    のとき、イヴァノフ教授と一緒にタイムマシンに乗りながら……」 

藤尾「では、なぜわたしはここにいる? 幽霊だとでも?」 

のび太「幽霊じゃない……あなたは、藤尾助教授のコピーロボットだ」 




138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:57:33.40 ID:KR344wi30


出木杉「そうか……入れ替わりか!!」 

のび太「うん、ただイヴァノフ教授と藤尾助教授を殺したって別の誰かが研究を引き継いでし 
    まったらキリがない。だから未来テロリストたちはコピーロボットを藤尾助教授の代 
    役に仕立て、研究を抹殺させたんだ。その鼻は……特殊メイクですね。車の中にあっ 
    たシリコンかな?」 




139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 20:58:55.60 ID:KR344wi30


藤尾「証拠はあるのか?」 

のび太「あります。これです」 

 鞄の中から電磁波受信機を取り出す。 
 藤尾に向けて起動すると、準マイクロ波を感知して赤いランプが点灯した。 

出木杉「のび太くん、何でその受信機を持ってるの?」 

のび太「これ? 2年前に使ったきり鞄に入れっぱなしで……」 

出木杉「……2年間ずっと?」 

のび太「うん。理系の性質っていうか、片付けられないんだよね……」 

藤尾「ばれてしまったらしょうがない。いさぎよく認めるよ。けど……」 

藤尾・出木杉「2年間入れっぱなしは、流石にない」 




145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:00:46.40 ID:R9B1YO/p0


ないwwwwwwwwww 




146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:01:12.06 ID:KR344wi30


藤尾「確かにわたしはコピーロボットだよ。藤尾助教授の替え玉のためのね。だからわたしは 
   タイムマシンを作るわけにはいかないんだ……あれは、廃棄した」 

 そう言って藤尾はデスクの引き出しを開いた。 
 かつてのび太の机の引き出しにあったように……タイムマシンの入り口がそこにあった。 

藤尾「なぜかわたしの電源は切れない。メンテナンスもないのに。使命を果たしてないからか 
   もしれん。タイムマシンを抹殺しなければ」 




149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:02:42.94 ID:KR344wi30


のび太「あなたには無理ですよ……わかってるでしょう? あなたがこのままタイムマシンを 
    抹殺して未来を変えてしまうならば、タイム・パトロールがあのとき他のひみつ道具 
    と一緒にあなたを回収していったはずです」 

出木杉「僕にもわかったよ……未来の修正が。未来は、あなたにこのまま藤尾助教授として生 
    きろと言ってるんだ。タイムマシンを発明しろって。だからタイムマシンの入り口は 
    閉じない……あなたの電源は切れないんです。選ばれたんだ、イヴァノフ教授の代わ 
    りに……藤尾助教授の代わりに……コピーロボットのあなたがタイムマシンの発明者 
    になったんだ」 

藤尾「わたしは……生きてていいのか」 

 藤尾は――コピーロボットは笑顔で、泣いた。 
 その暖かい涙がオイルではないことを、のび太と出木杉は祈った。 




151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:04:35.87 ID:KR344wi30


 三日間の研修を終え、のび太と出木杉はロシアを発った。 
 先ほど国際電話で事情を話したところ、スネ夫、ジャイアン、しずかの3人は空港まで迎え 
に来るとのことだった。 

出木杉「結局、僕らは無駄足を踏んだわけだ。タイムマシンはどのみち発明されるのに……」 

 帰りの飛行機の中で出木杉がつぶやいた。 

のび太「さあ、それはわからない。僕らが行くことだって、歴史の予定に入ってたのかも」 

出木杉「やっぱり僕らは現代人だ。どうしようもないね」 

のび太「時間は偉大だよ。人知を超えてる」 

出木杉「タイム・イズ・マネーどころじゃないね」 

 出木杉は苦笑した。 




154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:06:41.64 ID:KR344wi30


のび太「なあ、出木杉……」 

 人生に二度目の呼び捨てを、のび太はした。 

出木杉「久しぶりだね、呼び捨ては……どうしたの、のび太?」 

のび太「僕は日本についたら、しずかちゃんにプロポーズするつもりだ」 

出木杉「洒落たことするね、君も……」 

のび太「え?」 

出木杉「日本時間の今日はまだ2月14日の夜だよ。まるで逆バレンタインだ」 




157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:08:12.77 ID:KR344wi30


のび太「ああ……忘れてた」 

出木杉「……僕もだよ」 

のび太「え?」 

出木杉「僕も、今日しずかちゃんにプロポーズする予定」 




161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:09:43.26 ID:KR344wi30


のび太「そっか……」 

出木杉「それと」 

のび太「???」 

出木杉「実は、安孫子大学から助教授として呼ばれてる。今度は僕が先だ」 

のび太「……僕もだよ」 

出木杉「え?」 

のび太「僕はこのまま藤子大だけど……助教授の話がきてる」 

 少しの沈黙の後、二人は顔を見合わせ笑いあう。 
 まったく、時間ってやつは不思議だ。タイミングが良すぎる。 
 決着が着くのは、もう少し先の未来になりそうだ。 
  
のび太(その日まで、また歩いていこう……) 

                           ―――おわり 




163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:10:46.64 ID:ECK08Aqu0


乙、面白かった 




165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:11:07.20 ID:RnutOb9qO


乙 
雰囲気そのまま、良かった 




197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:33:11.56 ID:UeaDJJYAO


面白かった! 
楽しませてくれてありがとう 




215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:52:55.40 ID:U8Eke8yWO


昨日のやつ今見終わった!! 
めちゃめちゃおもしろかったよ! 
最後おもわず涙が…… 
今日も期待してる!!今からロムる 




218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 21:55:30.98 ID:ECK08Aqu0


>>215 
もう・・・終わったんだよ・・・・ 




229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/14(土) 22:32:41.68 ID:jvQdVNcW0


面白かった 乙 

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