「ブラック企業」を読んで昔父から聞いた松下幸之助の話を思い出したので書き込みます。 めったに書き込みなんてしないので読みにくかったらごめんなさい。 今から50年位昔の話。 当時うちの父は佐賀県の「町の電気屋さん」で働いており、ナショナルの特約店だったその店は売り上げが良かったらしく、その功績を称えるべくナショナル本社に招待されました。 その日電気屋さんの社長と同行した父は、汽車で本社の最寄の駅に行き、同じく招待された全国の電気屋さんたちと一緒に送迎バスに乗って本社の工場見学に向かいました。 工場玄関入り口すぐに、ナショナルの重役らしき人達が並んで待っており、深々と頭を下げて歓迎してくれました。その一番先頭にいる人が社長の松下幸之助だと紹介されました。 いざ工場見学となって、案内人と一緒に100名近い招待客が列を作って歩いていると 重役は職場へと戻っていったのに、なぜか社長は秘書らしき人とニコニコしながら後ろからついてきます。 父は「たかが見学についてこんでも・・変わった社長さんやの・・」と思い観察していましたが、一緒に工場を説明するわけでもなく、ただニコニコしながら後ろから秘書としゃべりながらついてきました。 工場見学も終わり、そこから今度はホテルの宴会場へ向かうことになりバスで移動するのですが、そこまでも松下社長が見送りに来て深々と頭を下げていました。 それから30分位バスに揺られてホテルに到着。 玄関に入るとそこにはどこかで見た人が頭を下げて歓迎してくれてます。 顔を上げると・・・松下社長でした。 わざわざ見送った後に違うルートを通り、先回りをして待っていたのです。 その後、宴会が始まると社長一人で招待客にお酒を注ぎに廻ってきました。 大会社の社長直々にお酒を注いでもらえるなんてめったに無いことなので、皆緊張した面持ちで待っていましたが、なぜか社長に酒を注がれ、話掛けられるたびに招待客の顔が驚きの顔になり、その後涙する人まで出てきました。 父が「いったい何を話しかけているんだろう?」と思っていると、自分たちの順番になりました。 まず働いていた電気屋の社長にお酒を注ぎました。その時顔を見ながら社長が、 「oooo(本名と名前)さん。当社の商品を心をこめて販売してもらい本当に感謝しております。」と頭をさげながら言ったのです。 そして、その電気屋さんで一番売れている商品名や売り上げ高を褒めながら、何度も頭を下げて感謝の言葉を掛けていました。電気屋の社長さんは感激し、涙したそうです。 その時父は、松下社長が100人余の顔とフルネーム・会社の業績を全部記憶している事に 気付き驚きました。 情報がまだ乏しい時代、あらかじめ調べにきた様子も無かったのに何故?と思い起こしていると父の番になりました。 そしてたかが地方の電気屋の小僧だった父にもフルネームで感謝と激励の言葉を掛けてもらったそうです。 楽しい宴も終わり翌朝、ホテルを出る時も朝一で見送りに出てきた松下社長がいました。 こちらから見えなくなるまで頭を下げたままの社長をバスから見ながら、父は昨日から考えていた事の答えを出していたそうです。 それは最初の工場見学の時、後ろから着いてきながら秘書の用意した電気屋さんの資料と名簿を見つつ、100人余の顔と名前を確認し、2時間程度の見学時間の間に記憶した という事実です。 その時父は「あれだけ大きな会社の社長はそれなりの人間しか勤まらんのだ。」と 改めて思い、細やかな心遣いと人を動かすバイタリティーに深く感動したそうです。 長々と稚拙な文章書き込んですみません。 全て実話だそうですが父の脚色も少しあるかもしれません。 出典:オリジナル リンク:ノンフィクション |
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