昔々、あるところに仲の良い兄妹がおりました。 賢く美しい妹は請われて遠くの村へ嫁いでいき、未婚の兄は両親と暮らしていました。 ある日妹は、こんな恐ろしい噂を耳にします。 故郷の村に鬼が住みつき、夜な夜な人を殺して食べてしまうと。 そしてその正体が、どうやら自分の兄らしいのです。 なんと兄は両親や村人を殺して食べ、鬼に変貌してしまったという話でした。 確かめに行ったところ家に両親はおらず、兄が1人でグツグツと、鍋で何かを煮ていました。 「おお妹よ、よく来たな。肉でも食え」 血走った眼はうつろで、見た目もまともな人間ではなくなりつつありました。 そして鍋からはみ出すように覗いていた具材は、人の手足でした。 (ああ、噂は本当だった。兄は狂ってしまった。なんと恐ろしい) あわてて逃げ帰ろうとした妹を、鬼が引きとめます。 「逃げるのは許さん。お前も食ええええ」 なんとか隙をついて逃げたものの、兄を怒らせてしまいました。 その内私を食べにやってくるだろう。 退治しなければならない。鬼となってしまった兄はもう兄ではない。 妹は一計を案じて準備をし、自分を追ってきた兄を迎え撃つことにしました。 「お兄さん、先日の非礼のお詫びにおいしいお餅をたくさん用意しました。海でも眺めながらいっしょに食べましょう」 そう言って巧みに崖の上へ誘い出し、兄に差し出したのは、鉄釘や石塊を包んだ餅です。 当然歯が立たず、無理に食べた兄は口も腹も傷めてしまいました。 妹は、普通のおいしい餅を兄の前で食べて見せます。 「妹よ、お前はこんな硬い餅を平気で食えるのか」 「あら、柔らかくておいしいのに。お兄さんは歯が弱いのね」 鬼の自分でも食えない硬い餅をペロリと平らげる妹が、不意に恐ろしくなった兄ですが、あることに気付きました。 妹は着物の裾をはだけさせたまま、脚をひらいて座っていました。 着物の下は何も着けていません。 そこには縦にパックリと開いた唇のようなものがありました。 「妹よ、お前には口が二つあるのか?」 「ふふ、上の口は、お餅を食べる口。下の口は……鬼を食べる口じゃあああ!」 まさに鬼の形相でその部分を兄の顔に近づけた時、恐ろしさに後ずさりした兄は、そのまま崖下へと転げ落ちて死んでしまいました。 こうして鬼はいなくなり、村に平和が訪れたというお話。 (沖縄の昔話:鬼餅の由来より) 出典: リンク: |
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