葛藤しながら・・・ (露出の体験談) 10243回

2015/03/01 04:03┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM
2009/07/18 00:31:48
こんばんは。恭子と申します。
半月ほど前、出張で『ある地方』に行ってきました。
そこでの私の体験を書いてみます。

私は、ある会社の秘書室に勤務している、いわゆるOLです。
仕事がら、出張自体は珍しいことではありません。
私も年に何度かは、上司に随行するような形で出張に行く機会があります。
ただ今回は、いろいろと部内の事情もあって、私ひとりきりで出張すること
になりました。
いろいろと差し支えることがありますので、もちろん出張先の場所や業務の
内容に関することについては、一切書くことができません。
ひとつだけ言えるのは、私にとって初めての『ひとりきりでの地方出張』だ
ったということだけです。

宿泊を伴う出張に際しては、会社の旅費規程で定められた『宿泊費』に収ま
る範囲内で、あらかじめ宿泊先を探して押さえることになります。
このあたりの手配は、日頃からもう手慣れたものです。
こういうとき、通常はビジネスホテルを予約します。
でも、今回私はそうしませんでした。
あえて温泉旅館を探したのです。
べつに深い考えがあったわけではありません。
今回、私が訪れることになったこの地方は温泉で有名な地域です。
(仕事を終えたあと、夜ゆっくりと温泉につかれたら最高だなぁ)
そう思っただけのことでした。
こういった点は、『ひとりきり出張』の気楽なところです。

出張は『木曜日〜金曜日』の1泊でした。
でも事実上、仕事自体は木曜日の夜で終わりです。
金曜日は、宿泊先をチェックアウトしたら東京に帰って来るだけでした。
しかも出社せずに、直接帰宅していいという許可を得てあります。

ネットで温泉旅館を調べます。
予算が限られていますので、当然ながら、それほどいいところには泊まれま
せん。
夕食も付けられそうにありません。
でも構いませんでした。
もともと外食してから宿に行くつもりでしたし、とりあえず温泉に入れれば
それで満足だったからです。
小さそうな旅館でしたが、安いところをみつけて1泊で予約しました。

前書きばっかり長くなってごめんなさい。
このあとも、記憶を頼りになるべく細かく書いていくつもりです。
そのときに感じたことや思ったことも正直に記していきます。
そのために、最初からここでもうお断りしておきます。
私は、自分の外見の容姿に多少なりの自信を持っています。
もちろん、日常生活において、こんなことを自分で口に出すことは絶対にあ
りません。
でも、客観的に『清楚な雰囲気の顔立ち』と、24歳になった今でも『細身
をキープできているスタイル』、その両方にかなり恵まれていると、心の中
では思っています。
そんなひとりよがりな自信を持っている私が、自分の心情を『正直』に書い
ていくつもりです。
読んでくださる方が『共感できない』『高飛車でいやな女だ』とお思いにな
る部分も、きっとたくさんあるはずです。
不愉快に思われるところも多いかもしれませんが、あらかじめお許しいただ
きたいです。



出張当日、仕事はなんとかひとりで無事にこなすことができました。
ここに内容を書くわけにいきませんので、ちょっと残念なのですが・・・
それなりに成果も得ることができて、充実感がありました。
『責任を果たした』という解放感に満たされながら、ひとり夕食をとりまし
た。
あとは、宿に行って楽しみにしていた温泉につかるだけです。
仕事の緊張感から放たれて、リラックスした気分でした。

宿は、だいたい思っていたとおりの感じでした。
建物は古くて、お世辞にも立派とは言えません。
でも清潔感がありますし、フロント(?)の接客態度も爽やかさを感じさせ
るものでした。
私が宿に着いたとき、フロントには2人の人がいました。
ベテランの男性と、『研修生』の札を胸につけた若い女の子のコンビです。
いかにも10代という感じの幼さが顔に出ています。
彼女のその幼い雰囲気に、
『こういった仕事を目指している学生さんの体験実習か何かかな?』という
印象を持ちました。
この日は、一日中はっきりしない天気だったのですが、入ってきた私の姿を
目にしたとたんに濡れた傘を預かってくれたり、何かと気を利かせてくれま
す。
ベテラン男性が隣で見守る中、緊張した顔ながら爽やかで丁寧な接客でし
た。
部屋に通され、ひととおりの説明を受けました。

部屋でひとりになった私は、さっそく浴衣に着替えました。
いくつかの候補の中で、この宿を選んだ理由は・・・
内湯の温泉だけでなく、いちおう露天風呂もあるということでした。
仕事から解放された私は、もうすっかり旅行気分です。
自分へのご褒美のような気分で、お風呂に向かいます。

お風呂は2つあって、入口は隣り合っていました。
ここでは、仮に『U湯』と『D湯』と呼ぶことにします。
ひとつが『女湯』で、もうひとつが『男湯』です。
この『女湯&男湯』は、毎日交代で入れ替わるとのことでした。
今日は、『U湯』が『女湯』でした。

U湯の入口に入ります。
もともとcapacityの小さい旅館です。
しかも、平日ということもあって宿泊客はかなり少なそうです。
不謹慎ですが、
(大人といっしょに小学生ぐらいの男の子が入っていないかな。。。)
ふと、そんなことを思いました。
そうだったら『子供とはいえ、異性にヌードを見られることになるかもしれ
ない』と、少しだけどきどきしたのです。
普通の大人なら、たとえ女湯に子供が入っていたとしても、そんなふうに意
識することなどないでしょう。
でも、私は『自分の裸を、異性の視線に射られてしまうこと』に対して、ど
うしても過剰に意識してしまいます。
・・・たとえ相手が小学生であってもです。
私の経験上(?)、小学生ぐらいの男の子だったら、もうそれなりにけっこ
うエッチな目で女性の裸を見てくるものです。
そういう視線でヌードを見られてしまうことは、私にとって『羞恥体験』で
あると同時に『どきどきの体験』でもあるのです。

脱衣所で全裸になって、内湯への戸を開けました。
中に入ります。

内湯は、『まぁそうだろうな』と思えるぐらいの、この旅館の規模にふさわ
しいサイズのものでした。
全体的に古ぼけたような『昭和』の印象(?)ですが、清掃はきちんと行き
届いています。
おばあちゃんがひとりだけ湯船につかっていました。

内湯を通り抜けて、露天風呂を見に行きます。
こちらには、誰もいませんでした。
私の淡い期待(?)は、あっというまに消え去りましたが、それを特に残念
に思うわけでもありません。
さっきはふと、あんなことを思ったものの、もともと下心があったわけでは
ないからです。
あくまでも、仕事後に温泉に入ることそのものが目的でした。
出張先で仕事を終えた後、温泉でゆったり疲れを癒す・・・
私は、昔からそんなイメージに憧れを持っていたような気がします。

露天は、決して広いとは言えません。
でも、かえってこじんまりとしていて『いい感じ』です。
入浴客がたくさんいたらがっかりするところだったかもしれませんが、その
心配はまったくありませんでした。

このときも、霧雨(?)程度に雨が降っていました。
そのせいで、季節の割には寒さを感じる気温です。
梅雨寒とでもいうのでしょうか。
かえってそれが、お湯につかる気持ち良さを感じさせてくれます。

温泉気分にひたりました。
内湯と、露天風呂を行ったり来たり・・・
のんびりしました。
お湯に詳しいわけではないのですが、泉質は良さそうに思いました。
肌が『すべすべ』する感じがあります。
私はけっこう熱いお風呂が好きなので、お湯の温度が高めなのも満足でし
た。
(ふつうにビジネスホテルに泊まっていたら、こうはいかなかったな
ぁ・・・)
お湯につかりながら、気持ちよく『ぼーっ』とできました。

露天風呂のスペースはあまり広くありません。
5m×5mぐらいのものでしょうか。
スペースの中央に『4〜5人が入るのがやっと』ぐらいのサイズの湯船があ
るだけです。
この露天スペースに隣接して、別に5m×10mぐらいのスペースが広がっ
ています。
趣は、ちょっとした『庭』ふうです。
と言ってもたいしたことありませんが・・・
たぶんテーマは『竹林』か何かなのでしょう。
それっぽい感じです。
入浴客は、この庭を見たり、夜空を眺めたりしながら露天のお湯につかると
いう趣向のようです。
ということは、もうひとつの『D湯』はまた違う趣きなのかもしれません。
だから日替わりで男女が入れ替わるということなのでしょう。

どこかから、おじさんたちの声が聞こえてきます。
隣の男湯は、それなりに混み合っているようです。
ちょっとだけ気持ちが『むずむず』してきます。

今さらここで詳しく書きはしませんが、私は以前に、当時住んでいたコーポ
で『隣人に部屋を覗かれてしまう』という経験をしたことがあります。
それ以来、『覗き』とか『覗かれる』とかいうようなことに、どうしても神
経が過敏になってしまっているところがあります。
(こうしている今も、じつは男湯からこっそり覗かれてたりして)
自意識過剰なのは自分でもわかっていますが、ついそんなふうに想像してし
まうのです。

このお風呂・・・
きちんと清潔感は保たれていますが、建物や設備自体の『ボロっちさ』は否
めません。
その気になって探せば、反対側の露天を覗けるような隙間だって見つかるか
もしれないという感じがあります。
お風呂を『覗く』というのがどんな感じなのか、ちょっと興味がありまし
た。

お湯から上がって、とりあえず内湯に行ってみます。
あのおばあちゃんは、もういませんでした。
いま女湯は、私ひとりの貸し切り状態です。

再び露天に取って返します。
人工的に装飾された『竹林』、その庭の部分に足を踏み入れます。
本来は立ち入るべきスペースではありません。
敷きつめられた砂利の上を裸足で4〜5m進みました。
サイドの壁に近づいてよく見てみると、かなり古そうな板塀(?)です。
建てられてから何十年も経っていそうです。
引き寄せられるように、板と板との接合部分を確認してみます。
古すぎて木材自体が歪んでいるのか、あちこちに細い隙間があります。
近づいて目を寄せてみました。

(あっ・・・)
見えました。
男湯が。
あまりのあっけなさに、信じられない気分です。
中年のおじさんの姿が見えた瞬間、向こうから見つかってしまうような気が
して、ぱっと目を離してしまいました。
気持ちを落ちつけて、もう1度、そっと目をくっつけます。

覗けます。・・・覗けてしまいます。
あっちの露天が。
太った中年のおじさんが見えます。
実際の距離は7〜8mぐらいありそうです。
でも、感覚的にはすぐ目の前にいるように感じてしまいます。
本当に男湯を『覗いてしまっている』という衝撃と、醜いぐらいに太った中
年男性の裸があまりにも生々しいせいです。

後ろを振り返りました。
背後の内湯から誰かが露天に出て来たら大変です。
庭に足を踏み入れている、こんなところを見られたら怪しすぎます。

あらためて板塀の状態を確認しました。
どの板も、木材の接続部分ごとに、大なり小なり隙間はあるようです。
ただし、竹が邪魔して顔を近づけられないようなところもあります。
さっきは焦っていて気が付きませんでした。
ひとつ右横の板の継ぎ目が、わりと広い隙間をつくっています。
目をくっつけました。

私なりに、かなりショッキングでした。
さっきよりもさらに断然見えます。
すぐそこの大きな岩がちょっと邪魔ですが・・・
おじさんや、おじいさん・・・
視野の中だけで4〜5人います。

覗いておきながら勝手な言い草ですが・・・
見たくもないおじさんたちのあそこまでまる見えで、目のやり場に困りま
す。

隙間の幅がほんの数ミリ広いだけで、こんなにも視野がひらけるとは驚きで
す。
私からはちょっと見下ろすような感じでした。
先入観で、U湯とD湯は左右対称で、対のようになっているものだとばかり
思い込んでいました。
でも実際にはかなり違うようです。
U湯の露天スペースが『横の長方形』っぽいのに対して、D湯の露天スペー
スは『縦の長方形っぽい』イメージです。
あっちのD湯は、『岩』をモチーフにした造りのようです。
おじさんたちは、私に見られていることなんて気づいてもいません。
(もし、逆の立場だったら・・・)
ついつい想像してしまいます。

すぐに体が冷えてしまいました。
夜の空気と、霧のような雨に体温を奪われていました。
湯船に戻りました。
熱いお湯につかって、体を温めます。

男湯を覗いてしまいました。
目にした光景を思い浮かべます。
なぜか、あちらの露天のほうが若干低い位置にあるようです。
高さの関係で、あちら側の『D湯』から、こっちの『U湯』の露天スペース
は覗けなさそうです。
仮にもし覗かれたとしても、向きから言ってこちらの竹庭の部分しか見るこ
とができないはずです。
覗かれる心配はなくなってちょっと安心しましたが・・・
それよりも、率直に『こっちからはこんなに簡単に覗けちゃっていいの?』
という感じです。
私の勝手なイメージで、覗きなんて『変質者の一線を越えた行為』のはずな
のですが、それがいとも簡単にできてしまえるここの露天に驚きです。

そんなことを考えながら、今度は安心して(?)ゆったりとお湯につかって
いました。
どうしても、さっきの衝撃的な光景が頭から離れません。
ここのお風呂は『1日ごとに男女が入れ替わる』とありました。
こちらの『U湯』が男湯のときもあるということです。
マナーを守って普通に利用しているぶんには、入浴客があの板塀の隙間の存
在に気づくことはありません。
でも、意図的に『なんとかして女湯を覗いてやろう』と狙っている男性だっ
たら・・・
すぐに見つけてしまいそうです。
庭に踏み込んで、ほんの4〜5m砂利の上を歩けば、そこに隙間だらけの板
塀があるのですから。

宿泊したのが今日でなかったら、私も知らないうちに入浴姿を覗かれてしま
うことがあったのかもしれません。
1日ずれただけで、逆の立場になっていたかもしれない・・・
あまりリアリティはありませんが、そんな想像をしてなんとなく『楽しん
で』いました。
実際にはたぶん、そんな可能性はほとんどゼロです。
悪意を持ってわざわざ女湯を覗こうとする人でもいない限り、ありえないこ
とだからです。



翌朝、チェックアウト前にフロントで確認してみました。
もう1泊、延泊できるかどうかを聞いてみたのです。

皆さんに誤解されるのは本意ではありませんのできちんと書いておきます
が、わざとお風呂で覗かれるためとか、そういった『下心』があってのこと
ではありません。
私もこういうサイトに投稿している以上は、露出狂(?)みたいに思われて
いても仕方ありません。
でも、本当の私はすごく真面目で几帳面な人間です。
まじめすぎる自分の性格に自己嫌悪することがあるぐらいです。
普段は、決して露出的なことを意識しながら生活しているわけではないので
す。
実際、一晩たってお風呂のあの板塀のことなんてすっかり忘れていました。

どうせ、翌日は土曜日で仕事も休みでした。
今日帰っても、明日帰ってもたいして違いはありません。
私は、この地方に来たのは今回が初めてでした。
出張先での開放的な感覚もあって、『ちょっと観光でもしてみようかな』と
いうような気分になっていたのです。

フロントの返事は『OK』でした。
それはそうでしょう。
平日ということもあり、他のお客さんもあまり見かけないような状況ですか
ら。

とりあえず、観光のつもりで町に出ました。
場所を特定されたくないので、詳しいことはここには書きません。
そこそこ見どころはあって、それなりに楽しむことができました。

夕食をすませてから宿に戻ります。
今夜のフロントは、昨夜とは違う人の組み合わせでした。
ベテランな感じの女性と、若い男の子との2人組です。
外出から戻ってきただけですので、鍵を受け取るだけのやりとりです。
女性がちょうど電話に出ていたこともあり、男の子のほうが対応してくれま
した。
やはり体験実習か何かの学生さんなのでしょうか・・・
昨夜の女の子と同様に、この男の子も『研修生』と胸につけていました。
『坊主頭だったのを伸ばし始めた』そんな感じの髪型で、初々しさが溢れて
います。
(がんばってね)
心の中でなんとなく、応援したくなってしまいます。
鍵を渡してくれた彼に、
「どうもありがとう」
にこっとしてみせると、嬉しそうに微笑みを浮かべてくれました。

とりあえず、部屋でくつろぎました。
食事は外でとってきましたので、何もすることもありません。
お風呂に入って寝るだけです。
この頃になって思い出しました。
そういえば今夜はD湯が女湯になっているはずです。
(あの隙間から覗かれちゃったりして・・・)
まぁ可能性はゼロではないでしょう。
でもそんな確率はかなり低いはずです。
今の私には、純粋に『寝る前に、ゆっくり温泉につかろう』という気持ちが
あるだけです。
実際のところ、私はこの旅館の『お湯』を気にいっていました。
(そろそろ行こうかな)
準備をします。

部屋から浴場まで行くには2通りのルート(?)があります。
私は浴衣姿でフロントの前を通りたくなかったので、もうひとつのルートで
向かいました。
ずっと廊下を歩いた後、最後に階段を下って浴場入口のすぐ脇に出ることに
なります。
この階段を下りきる直前に、大きな笑い声が聞こえてきました。
「おっぱいが××××・・・」
下品な会話が耳に飛び込んできて、思わず足を止めます。

あと3〜4段下って、右に曲がったすぐそこのところが浴場入口です。
入口の前は、廊下がちょっと広くなった感じの待合所(というかスペース)
になっています。
声はそこから聞こえてきました。
私は本能的(?)に、角を曲がらないでその場に留まっていました。
そっと聞き耳を立てます。
「子供を2,3人産んだ体だな」とか、
「岩がジャマで見えなかったですよ」とか、言い合っているのが聞こえま
す。

後頭部を殴られたかのように、クラクラするような気分でした。
どう考えたって、女湯を覗いていた感想としか思えない会話です。
(こんなことってあるのかな)
昨夜のことを思い出しながら、なんだか不思議な巡りあわせのようなものを
感じます。
昨日、男湯を覗き見たときのあの光景が、頭の中でflashbackします。

足が前へ進みません。
耳をそばだてて、聞こえてくる声に集中します。
「右のおばちゃんのほうが(どうのこうの)・・・」
「おなかの肉が(どうのこうの)・・・」
「自分ばっかりずるいですよー」
終始『わはははー』という笑い声とともに、覗いた感想を言い合っていま
す。
決して大声で話すような会話の内容ではないはずなのに・・・お酒に酔って
でもいるのでしょうか。
その先を少し行けばフロントがあります。
『もしそちらに聞こえてしまったら』というような分別さえつかないのでし
ょうか。

「・・・(聞き取れません)・・・おっぱいが・・・」
「・・・けつが・・・(聞き取れません)・・・」
やたらと『おっぱい』と『けつ』という言葉ばかりが耳につきます。
(誰かが覗かれてたんだ・・・)
私の胸の中に、黒い雲が湧きあがります。

足が前へ進んでいました。
階段を下りきって右に曲がります。
待合スペースに置かれた、向かい合わせのソファ(?)が目に飛び込んでき
ます。
そこに3人いました。

私が姿を現したとたんに、会話が途絶えています。
男性3人が同時に私を見ていました。
やはりお風呂上がりの人たちです。
突然現れた私をじっと見ています。
私は、その視線に気がつかないふりをしていました。
3人のことなど、チラチラッと見ただけで、完全無視します。
そうやって様子を窺っていました。

やっぱり3人とも、相当お酒に酔っているようです。
私がチラッと見ただけの間にも、お互いに目で合図を送り合っています。
『おいっ・・・』、『わかってる・・・』というような感じです。
その仕草があからさまで、私にみえみえなのです。
顔の赤さ、だらしない姿・・・
どう見ても酔っぱらいでした。

私は昨日からこの旅館にいます。
でも、他の宿泊客の中に、1度も若い人を見かけることはありませんでした。
そういった意味では、私は『若い女性である』というだけでも異色の存在の
はずです。
浴衣姿の私が、酔っぱらったおじさんたちの目を引かないはずがありませ
ん。

私は『つん』とすましたまま、彼らの前を通ってソファの脇に行きました。
そこには『おいしい水(?)』みたいなのが自由に飲める機械が置いてある
のです。
紙コップをホルダー(?)から引き抜いて、水を注ぎます。
立ったまま水を飲みました。
3人とも50代ぐらいの感じです。
酔っぱらい独特の『ねっとりした視線』を向けてきています。

さっきの会話・・・、さっきの合図・・・
(私を覗こうとしてる?)
(私の裸を見ようとしてる?)
私が一方的に勘違いしているだけかもしれません。
それでも、私の胸の中に湧きあがった黒雲は、ますます濃く渦巻いてきてい
ます。
私は冷静でした。
冴えきった頭と相反するように、『いけない欲求』が湧きあがってきます。
私の心の底で久しく眠っていた、アンモラルな欲求です。
お風呂を覗かれてしまう憐れな女・・・
もしそれが私だったら・・・
(私は何も悪くない)
(悪いのは覗く側の男の人たち)
私は、あくまでもかわいそうな被害者の立場・・・
何も知らずにお風呂に入るだけ・・・

自分自身を『悲劇のヒロイン』に貶めるようとイメージしていました。
ねっとりした視線で私を見る、男の人たち・・・
この人たちに、下着すら身につけない姿を見られてしまうとしたら・・・
どれだけ屈辱的なことか・・・
きっと耐えられないような恥ずかしさに襲われるはずです。
その『恥ずかしさに身を焦がす』ことへの欲求が一気に高まってきます。
この瞬間のことを、今でもはっきりと思い出すことができます。
『普段の常識的な私』から、『いけないことをしようとする私』へと、まさ
に気持ちのスイッチが切り替わった瞬間だったように思います。
裸の自分が覗かれてしまっている場面を想像していました。
高飛車な感情が、自分の気持ちを煽っていました。
(これからこんないい女がお風呂に入ろうとしてるわよ)
(隙間から覗いたら、見えちゃうのよ)

水を飲み終えて、紙コップを捨てます。
浴場入口へと歩きました。
『おすまし顔』のままソファの前を通ります。

『U湯』と『D湯』の入口は隣り合っています。
『U湯(男湯)入口』にはネイビー、『D湯(女湯)入口』にはピンクを基
調としたノレンがかかっていました。
入る前に目を走らせてチェックしました。
男湯のノレンの下、スリッパ置き場には、ひとつもスリッパがありませんで
した。
ゆっくりと『D湯入口』のノレンをくぐります。
私がその場で足を止めて耳をすませると、
「パタパタ・・・」
「パタパタパタ・・・」
慌ただしいスリッパの足音に続いて、『がらっ』という音が外から聞こえて
きました。

いま入ってきたばかりの女湯のノレンを、また戻るようにくぐります。
・・・待合スペースの3人の姿が消えています。

(すごい展開・・・)
自分でも驚いていました。
そしてこの『急展開』を自ら演出して、演技を楽しんでいる自分がいまし
た。
あの3人が、再び男湯に戻ったのは間違いありません。
あれほどの酔っぱらった3人だったら、ふざけて女湯を覗いていたとしても
不思議ではありません。
きっとあの3人は、板塀の隙間の存在を知っているのです。
それはそうでしょう。
現に、この私が簡単に見つけたぐらいなのですから。
お風呂上がりのはずの3人がまたU湯に戻った目的は1つしか考えられませ
ん。
この私のヌードを覗こうとしています。
私はそんな彼らを都合よく利用して、羞恥心を味わうつもりでした。

あらためて女湯のノレンをくぐります。
廊下から死角になるよう左側にサッシの引き戸があります。
足元にはすでに3組のスリッパが置いてありました。
私もスリッパを脱いで上がり、戸を引きます。
脱衣所に入りました。

40代ぐらいの女性が2人、お風呂から上がってきていて体を拭いていま
す。
さっきのおじさんたちが覗いていたのは、おそらくこの2人なのでしょう。
私は冷静でした。
考えをめぐらせます。
あの会話の内容・・・
ふと、理解しました。
きっとあの3人は、入浴を終えたこの2人の女性たちが出てくるのをソファ
で待ち伏せていたのです。
自分たちが覗いた相手を、もういちど眺めるために。
・・・そう確信しました。

浴衣の中は下着だけですから、あっと間に全裸になります。
なぜか、まったくと言っていいほど緊張感はありませんでした。
それよりも、ここまでの自分の行動力に、自分自身で感心していました。

あるはずないと思っていたシチュエーションが、現実のことになるなん
て・・・
自分の部屋を出たときには考えてもいなかったのに、とんとん拍子でこのシ
チュエーションを迎えています。
躊躇なく判断し、演技できている自分自身が不思議です。
自分自身の行動そのものが、なんだか他人ごとのようで、あまり現実感があ
りません。

内湯への戸を開けて、中に入ります。
浴場には誰もいませんでした。
建物の中にいるうちは、まだ覗かれることもありません。
髪を洗い、体を洗いました。

きっと3人して、『いまかいまか』と待っていることでしょう。
この私が露天に出ていくのを・・・
私が真っ裸で彼らの前に姿を現すのを・・・

でも、なんとなく私自身は内心のテンションが上がってきません。
どきどき感がないのです。
あのおじさんたちは酒の勢いで女湯覗きをしているだけ・・・
覗ければたぶん誰でもいいはず・・・
妙に気持ちが冷めていて、あまり興奮しませんでした。
体を洗い終えた私は露天へと向かいます。

ガラス扉を押し開けて建物から出ました。
外気の冷たさが全身を包みます。
覗いているでしょうか・・・、きっと覗いているはずです。
この私のオールヌードを。
スリムな私の全身を。

でも、私の気持ちは平静でした。
演技するまでもなく自然体でいられました。
本当だったら『緊張で胸がどきどきして、脚ががくがくして』となるはずの
状況です。
それなのに、プレッシャーがまったくありませんでした。
『覗かれているだろう』ことを頭では理解しています。
でも、それをなんとなく受け流している・・・
そんな不思議な思考状態で、湯船のお湯につかりました。

私以外には、小太りの中年女性がひとり、もともと露天にいました。
今は私と向かい合うようにお湯につかっています。
この人は、『いま男湯から覗いている酔っぱらいがいる』ことなんて知りま
せん。
かわいそうな気もしますが、私がそれを教えてあげるわけにもいきませ
ん・・・

お湯につかりながら、周りを観察します。
湯船そのものは木製ですが、このD湯は、やはり『岩風呂』ふうなイメージ
で設計されていました。
U湯に比べると、露天スペースは少し広い感じです。
そのぶん鑑賞用(?)の『庭』部分がほとんどありませんでした。

隣のU湯の建物の横壁が見えます。
昨日の記憶をたどって、板塀の向こう側のU湯の造りをイメージします。
(あのあたりに露天があって・・・)
(あのあたりからが竹の庭で・・・)
湯船から周りを見渡す私の斜め右に、大きな岩があります。
あれこそ、U湯から覗いてみたときに視界の邪魔になっていた岩に違いあり
ません。

その向こうは、簡単な岩山(?)のようになっていて、その途中から板塀が
立っています。
例の隙間だらけの板塀です。
おじさんたちの覗き穴です。
あの板と板の接合部分、そしてまた隣の接合部分・・・
(あのあたりから見てるはず・・・)
板塀は岩山にガードされていて、D湯側からは途中までしか近づくことがで
きません。
ですから、こちらからは『隙間』があるなんて絶対にわかりません。

お湯につかっている私までの距離は5mぐらいのものです。
そんなに遠くはない距離です。
あの塀の裏側にはきっとおじさんたちが張りついていることでしょう。
そして覗いているはずです。
肩までお湯につかっている私のことを・・・

ただ、私としては覗かれているという実感はまったくありません。
こちら側にいる限り、実感するだけのものが何もないのです。
『たぶん覗かれているはず』と勝手に想像するしかありません。
ですから、あの隙間の存在を知っている私でさえ、『覗かれている』という
現実感を得ることはありませんでした。

けっこう熱めのお湯です。
もうひとりの女性は、さっきから『少しお湯につかっては、湯船のふちに腰
かけ、またしばらくしてからお湯につかる・・・』というのを繰り返してい
ます。
私も、お湯の中から立ち上がりました。
そのまま湯船のふちに腰かけます。
お湯にほてった体に、外気の冷たさを心地よく感じます。

(おっぱいがまる見えなんだろうなぁ)
ぼんやりとそう思います。
(見られちゃってるのかなぁ。。。)
きゃしゃな自分の胸を愛おしく感じます。
(このおっぱいを見ながら、あの裏側で喜んでるんだろうなぁ。。。)
3人でどんなことを囁き合いながら、私のヌードを覗いているのでしょう
か・・・
本当だったら、恥ずかしさに身が縮こまってもおかしくない場面のはずなの
に、やはり、どこか他人ごとのような感覚です。

そのうち、もうひとりの女性が湯船から出ました。
ゆっくりと内湯の方へと戻っていきます。
取り残されたように、露天は私ひとりになりました。

『何かしておくなら今しかない』という気がします。
見られているという実感はほとんどありません。
でも、あの塀の裏には男性が3人もいるはずなのです。
この私・・・、この私ひとりに注目した男の人たちが・・・

さっきのおじさんたちの会話の内容を思い出します。
覗いた女性の体のことを好き勝手に言っていました。
今もあの塀の裏で、私のことを覗きながら『ひそひそ』言い合っているのか
もしれません。
勝手にイメージを膨らませていました。
覗いているはずの男の人たちとは、さっき顔を合わせているのです。
私の外見・・・、仕草・・・
3人の目には、私は『つんと澄ました女』として映っていたはずです。

きっと楽しいことでしょう。
そんな女の子の裸を、仲間どうしで覗き見るのは。
今この瞬間も、3人して私の体を観察しているのかもしれません。
気持ちを盛り上げようと、無理やりそんなふうに考えながらも、どういうわ
けか羞恥心がまったく湧いてきません。
無感情な私が、自分ひとりだけで湯船のふちに腰かけていました。
・・・そして、いつのまにか頭の中で漠然とイメージしていました。
私がお風呂から上がったとき、あの3人はソファで私を待ち構えているは
ず・・・

女湯から出たら、またあそこで水を飲もうと思いました。
今度は、彼らと向かい合わせになっている、ソファの反対側に座って・・・

きっとさっきとは比べ物にならないぐらいに、じろじろ顔を見られるはずで
す。
自分たちが覗き見た女が、目の前に座っているのですから。
3人とも、今の私のこのヌード姿を重ね合わせながら、浴衣姿の私を観察す
るはずです。
私は彼らのそんな視線を浴びながら、『つん』とお澄ましを続けてみせるの
です。
裸を見られたことなど、何も知らない女の子を演じたまま・・・

顔を見られながら『綺麗な女だな』って思われたい。
『こんな綺麗な子のヌードを覗き見たんだ』って思われたい。
そして、何も知らないように装っている私の目の前で『ニヤニヤ』してほし
い・・・
内心その恥ずかしさに耐えながら、平静を装う私・・・
『かわいそうな女の子』になりたがっている自分がいました。
恥ずかしくも全裸を見られた私が、3人の前で平然とくつろぐのです。
漠然としたイメージが、頭の中で少しずつシュミレーションへと変化してい
きます。

いまいち現実感のない頭のままで、
(このままでいられない)
そう思いました。
今、露天には私ひとりしかいないのです。
相変わらず、覗かれているという実感は、これっぽっちもありません。
そのぶん、ほとんど恥ずかしさも感じていません。
今ならどんな大胆なことでも平気でできそうな気分です。
へんな話、ここでどれだけ『みっともない行為』をしておくか・・・
それによって、待合スペースでの恥ずかしさが何倍にもなるはずです。

何をすればいいのか、とっさにアイデアが浮かびません。
(どうしよう)
焦りを感じました。
どうせ、偶然同じ宿に泊まっていただけの男の人たちです。
今日を最後に2度と顔を合わせることもない相手です。
どうせなら『普段の私がやるはずもないようなこと』をやっておかなければ
損するような気がします。

(あのへんから見てるはず。。。)
遠くを見るような視線で、板塀を眺めます。
そして、あの『大きな岩』が目に入りました。
1mぐらいの高さがある岩です。
あっちから覗いているおじさんたちの前で、ついたてのように、ちょっと邪
魔になっているはずの岩です。
湯船に腰かけたまま、建物のほうを振り返ります。
さっきの中年女性が戻ってくる気配はありません。
ガラス扉ごしに見る限り、内湯にはもう誰もいないようです。
露天スペースだけでなく内湯も含めて、いま女風呂には私だけしかいないと
いうことです。
(どうしよう。。。)
迷ったのは一瞬だけでした。

「ザバっ」
湯船から出て立ちました。
季節外れの空気の冷たさに全身が『ぶるっ』ってなります。
3人のおじさんたちの目線が、オールヌードの私に集中しているはずです。
ちょっと大げさなぐらいに、まわりを『きょろきょろ』してみせました。
落ち着きのない素振りを演じます。
あの3人も私の不審な様子に、塀の向こうで『おや?』と思っていることで
しょう。
またも建物のほうを振り返ります。

じっと内湯へのガラス扉のほうをみつめます。
人の気配を窺うかのように演じていました。
もちろん、本当は誰もいないのは承知のうえです。
こうしている間も、立ちつくしたままの私の全身は、彼らの視線に晒されて
いるはずです。
(見てる?)
(見てるの?)
(見られてるの?)
実感はありません。
いま覗かれているのかどうかなんて、実際のところ確信は持てません。
それでも演技を続けて、しきりにきょろきょろしてみせます。
次の瞬間、鑑賞用(?)の『庭』部分に足を踏み入れました。
少し内股気味のまま素早く、あのついたてのような『大岩』に歩み寄りま
す。
板塀への距離が一気に縮まりました。

岩の横側に回りこみました。
内湯の建物の中から、もしも誰かが露天に出てきた場合に、ちょうどついた
ての裏になる側です。
言い換えると・・・おじさんたちの視点に立てば、まったく逆です。
邪魔な岩の向こうにいた私が、『わざわざ目の前まで回りこんで来てくれ
た』状況です。

ちょっと高さはありますが、2m後ろには板塀があります。
隙間だらけの板塀が・・・
私は、そちらに背を向けたまま、体を丸めるようにしゃがみこみました。
まさか男の人たちに見下ろされているとも知らない不運な女を装って・・・

演技を続けていました。
とにかく、きょろきょろしてみせます。
私は、悪い女を演じていました。
『どうせ誰もいないから』と、岩陰でおしっこをすませてしまおうとする最
低な女です。
夜の空気の冷たさに、すぐにも出せそうです。

岩の背中に手をあてて、内湯のほうを眺めます。
おしっこが出てきました。
足元で、しずくが飛び散ります。
背後の板塀を意識しながらも、やっぱり見られているという実感はありませ
ん。
それよりも、『本当にいま誰かが露天に来ちゃったらまずい』という思いが
先に立って焦りました。
『早く出しきって元の場所に戻らなきゃ』という思いに駆られます。
とても冷静ではいられません。
『早く終わらせよう』と焦る気持ちと、『大胆なことをしている実感が欲し
い』という別の種類の焦りが、気持ちの中で混在していました。
たとえ『見られている』という感覚は得られなくても、自分自身で『いま大
胆に羽目を外しているんだ』という感覚だけは得ておきたいと思いました。
おじさんたちは、しゃがんでおしっこをしている私の後ろ姿を、少し高い位
置から見下ろしているはずです。
(焦っちゃだめ)
演技のしどころでした。

不意に、『まずいっ』という感じで腰をあげました。
誰もいないと知っていながら、あたかも『内湯に誰かがいる』かのように演
じます。
ガラス扉の向こう側を窺うようにしながら、ほぼ中腰のまま固まってみせま
す。
立ちあがっても、出はじめたおしっこはとまりません。
ほとんど、直に太ももにかかってしまっています。
内股のまま、足幅を広めに開いておしっこが太ももにかかるのを防ぎます。
おしっこの出口(?)が少しでも後ろ側を向くように、腰を『くいっ』と曲
げて反らしました。
(ちゃんと演技できてる?)
(不自然になってない?)
大岩の上部に手を置いて立ったまま、びくびくしながらおしっこを噴き出さ
せていました。
3人のおじさんたちは、私のことをどういう目で見ているでしょうか。
立ったままお尻を突き上げるような、私のこの大胆なポーズ・・・
そして立ったままおしっこをするという下品な行動・・・
でも、まったく恥ずかしさを感じることはありませんでした。
やっぱり『見られている』という実感が全然ないからです。
これだけの大胆な行為なのに、恐いぐらいに淡々とやってのけてしまってい
ました。

『内湯には誰もいない』と確認したはずですが、不安が募ります。
岩陰に来てから、さほど時間が経っているわけでもないのに、
(もう内湯に新しい人が入って来てるかもしれない・・・)
(誰も来ないで・・・)
背後の3人の存在よりも、内湯の様子のほうにばかり神経がいってしまいま
す。
他の入浴客に見咎められるわけにはいきませんでした。
(まだ誰も来ないで)
・・・祈るような気持ちです。

おしっこの勢いが弱くなってきます。
(はやく・・・、はやく。。。)
最後まで待てませんでした。
まだ、おしっこが自分の太ももに伝い落ちているのはわかっていましたが、
もう元の場所へ歩きだしていました。

完璧な演技を貫かなければなりません。
誰にもみつかることなくおしっこを出しきったことで緊張感から解放されま
したが、最後まで気を抜くことはありませんでした。
顔だけ『きょろきょろ』しながら、落ち着いた歩調で湯船のところに戻りま
す。

湯船の横に置いてあった『かけ湯』用の桶で、お湯をすくいます。
自分の下半身全体にかけました。
何度か繰り返して、太ももに流れたおしっこを洗い流します。

罪悪感が、心に重くのしかかります。
他の入浴客は立ち入らないはずの『庭』部分とはいえ、おしっこで汚してし
まったという後ろめたさを割り切ることができません。
最後にもういちど、桶にお湯をすくいました。

桶を持ったまま『庭』に踏み込み、再び1歩1歩おじさんたちのほうに近づ
いていきます。
板塀の存在を意識してぎこちなくならないように、なるべく『自然体』な素
振りを意識しました。
大岩の横まで来て、おしっこをしたあたりに桶のお湯をまきます。
何事もなかったかのように再び湯船のほうに戻りました。
元の位置に桶を置き、そのまま建物に入りました。

内湯には誰もいませんでした。
結果論ですが、やはり他の入浴客にみつかる心配などなかったということで
す。
どっと力が抜けました。
脱力感と言ってもいいほどです。
すっかり体が冷えていました。
今度は内湯の湯船に入り、温泉につかります。

お湯につかりながら、心底ほっとした気分でした。
安堵感に包まれながら、自分の行為を振り返っていました。
おじさんたちが、少し高い『見下ろす位置』にいたことを考えると、おそら
く私の下半身の肝心な部分までは見えてなかっただろうと思います。
それでも、じゅうぶんでした。
あれだけのことをやってのけたのですから。

そして・・・、私の楽しみはここからでした。
これから、素知らぬふりをしてあのおじさんたちの前へ出ていかなければな
りません。
イメージを膨らませます。
私は、待合スペースでまた『つんとお澄まし』してみせるつもりでした。
酔っぱらったおじさんたちは、そんな私を眺めながらどう思うでしょうか。
『おまえの裸を見てやったぞ』
内心の嘲笑が聞こえてくるかのようです。
『すべて見てたんだぞ』
『あんなとこで、立ったままおしっこしてただろう』
私は、この顔に3人の勝ち誇ったような視線を受け止めるのです。
自ら醜態を演じたのは、すべてそのためなのですから。
日常生活では味わえないレベルの『恥じらい』という興奮を求めて・・・

お湯から上がりました。
脱衣所へ向かいます。
全身をバスタオルで拭いて、新しい下着を身につけました。
浴衣を、隙なく『きちんと』着ます。

脱衣所の鏡に映る自分を見ました。
あんな下品なことをする女にはとうてい見えません。
われながら『清楚な女の子』そのものです。

深呼吸して心を落ち着かせます。
かなり緊張していました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、一歩踏み出すための強い決意が必要で
した。
「がらっ」
サッシの引き戸を開けます。
『つん』と、例のおすまし顔をつくりながら、スリッパをはきました。
ノレンをくぐります。

決意を固めてノレンをくぐった私を待ちかまえていたのは、空っぽのソファ
だけでした。
・・・誰もいません。
待合スペースは、がらんとしていました。

(なんで?)
しばらく意味を理解することができませんでした。
・・・このときの拍子ぬけした気持ちのことは、未だに鮮明に記憶に残って
います。
ただ、ただ呆然としてしまいました。
(どうして?)
なぜ『いない』のか理解できません。
頭の中で『3人そろって私を待っている』と勝手に思い込んで、意識の中で
それが前提になっていました。
・・・肩すかしもいいところです。

とりあえず紙コップに水を汲みました。
ひとりでソファに座って、時間をつぶします。
(これから出てくるってこと?)
U湯の入口を見つめながら、はかない望みを繋げようとしていました。
5分ぐらい待ちましたが、誰も出てきません。
私はソファから腰を上げました。
U湯の入口の前に行きます。
男湯の入口に、スリッパはもうひとつも残っていませんでした。

がっかりでした。
自分の部屋に戻ってからも、かなり落胆していました。
(もう!)
私なりに、かなり大胆なことをやってのけたつもりでしたので、虚しくてな
りません。
そうは言っても、どうしようもありませんでした。
誰かを責められるような筋合いでもありません。

部屋にいてもテレビを見るぐらいしか、やることもありませんでした。
そして、そういうときに限って、面白い番組などやっていないものです。
ひとりでビールを飲みながら客観的に分析していました。
私は本当に『おしっこ姿』を見られたのでしょうか?

待合スペースでの3人のあの会話の内容・・・
私が女湯に入った直後に男湯になだれこんでいった3人・・・
私の入浴姿を覗きに行ったのは間違いないと思えました。

あの3人は板塀の裏で顔を並べて、ずっと隣の女湯を覗き続けていたのでし
ょうか?
冷静になった頭で考えてみると、それはないような気がしてきました。
女湯よりも、男湯のほうが利用客が多いのは確実です。
ずっとあの3人の貸し切り状態が続いたわけがありません。
もし途中で他の入浴客が入って来たりすれば、3人の覗き行為も中断せざる
を得なかったはずです。
おそらく私は、入浴姿を覗かれはしたことでしょう。
でもそれは、昨日の夜に私が男湯をちょこっと覗いたのと同じ程度のレベル
にすぎなかったのかもしれません。
(いや、もしかしたら。。。)
そもそも、まったく覗かれていなかった可能性だって否定できません。

私のあの下品な行為は、誰からも見られていなかったような気がします。
今となってはそうとしか思えません。

やりきれない気分でした。
たった1分程度の行為でしたが、私にとってはあれでも大冒険だったので
す。
私はこの外見の容姿もあって、会社では『清楚な美人』として通っているの
です。
普段からなかなか自分の殻を破れなくて、いつも『静か』な性格の私なので
す。
そんな私が思いきってあんなことしたのに・・・
私にとっては、ものすごいことを頑張ってやったはずだったのに・・・

ひとりっきりの旅館の部屋で、時間だけが経っていきます。
虚しい思いが募るばかりでした。
せめて、もういちどお風呂に行ってみようかと思いました。
でも、いまさら行くだけ無駄です。
つまらないテレビを点けっぱなしにしたまま、悶々としていました。
frustrationを感じていました。

ひとりでビールを飲んでいるうちに、
『何もなくてもいいから、やっぱりもういちどお風呂に行こう』
という気持ちになりました。
部屋でじっとしていられなかったのです。
露天のお風呂で、全裸の開放感を味わうだけでもかまいませんでした。

時計をみると、まもなく0時になろうとしているところでした。
途端にいやな予感がして、旅館の案内を見ます。
浴場は、23時までとなっていました。
もうとっくに終わってしまっています。
(ついてない・・・)
虚しさを通り越して、今度はなんだか無性に腹が立ってきます。

バスタオルを持って、部屋を出ていました。
だめとわかっていて、浴場に向かいます。
階段を下りて右に曲がり、待合スペースまでやってきました。

当然のことながら、やはりお風呂はもう終わっていました。
最初からわかっていたことですが、いよいよ諦めざるをえません。
U湯、D湯、ともにノレンが外されてしまっています。
引き戸も開けっぱなしになっていました。
D湯の入口から顔を覗きこむようにして、中を窺ってみます。
脱衣所に人の気配はありません。
少しばかり感情的になっていたこともあって、ちょっとした反抗心(?)が
湧いていました。

もしも誰かにみつかったとしても、『間違えた』ですむでしょう。
多少の後ろめたさを覚えながらも、いたずら気分で、そっと脱衣所に入って
みました。
何の計算があったわけでもありません。

『無断で立ち入っている』という思いから、後ろめたさに呼吸が重苦しくな
ります。
外されたピンクのノレンが、脱衣所内の壁に立て掛けられていました。
脱衣カゴが全てひっくり返されて並べられています。

大きな鏡に映っている私の顔が、真赤でした。
さっきは酔っぱらいの中年男性たちのことを、あんなに軽蔑していたくせ
に。
今の私は、ビールでこんなに赤い顔をしています。
でも、酔っている自覚はぜんぜんありませんでした。
むしろ普通以上に神経が冴えているのではないかと思えるほどです。

浴場の照明は、まだ点いているようです。
内湯への戸をほんの少し開いて、中の様子を窺いました。
浴室内には誰もいない感じです。

イスや洗面器が綺麗に片づけられています。
少しだけ開けた戸の隙間から、目を凝らしました。
内湯の窓ごしに、外の露天の様子を見ます。
(あ。。。)
露天スペースに、誰かいます。

あれは・・・
研修生のあの男の子です。
デッキブラシのようなもので、露天スペースの床(?)を磨いているようで
す。
(ほかには、誰もいない?)
(本当にあの子だけしかいない?)
・・・間違いなく、あの研修クンひとりきりです。

(学生の体験実習って、こんな夜中まで続くの?)
(そうじゃなくて、社員としての新人研修か何かなの?)
そんなことをちょっと考えたような気がしますが、もうどうでもいい感じで
した。
とっさに状況を把握しての、それこそ『瞬間的』な判断でした。
私は、急いで浴衣を脱ごうとしていました。

気持ちが高ぶっています。
どきどきしていました。
きっとこのときの私は、さっきのおじさん3人組に対する悔しさが大きな反
動になっていたんだと思います。
それがなければ、こんな行動をとっていたはずがありません。

何か、かけがえのないチャンスに奇跡的に巡りあわせたような気分で、気持
ちばかりが先走っていたように思います。
全裸であの研修クンに鉢合わせしてしまう私・・・
『11時までです』と聞かされて、
『ごめんなさい知らなくて・・・』
恥ずかしさに両手で体を隠しながら、そそくさと立ち去る私・・・
そんな場面を想像して、体をはだけていました。

下着も脱いで、あっという間に全裸です。
手近にあった脱衣カゴを裏返し、バスタオルといっしょに突っ込みます。
大きな鏡に、今度はオールヌードの私が映っています。
もう何ひとつ身につけていません。
どう見ても、細くて白くて華奢な女の子がそこにいます。
くるっと鏡にお尻を向けて、両手で馬鹿みたいに左右に開いてみました。
あそこと、お尻の穴が見えます。
妙なもので、自分の体なのに『モノ』のように見えてしまいます。

気持ちが高揚していました。
(こういうときほど冷静にならないと。。。)
そうでなければ、とうてい『演技』などできません。
わかっているのに、急き立てられるような気分です。
いろいろな感情が原動力となって、私を突き動かしていました。

さっきの悔しさが胸にありました。
他でもないこの私が、あれだけ頑張って下品な真似をしたのです。
それが無駄だっただなんて。
愚かな自分に腹が立ちます。

私は、『あの男の子に自分のヌードを見せたい』と思ったのではありませ
ん。
実はこのとき、見られようとすること自体にはちょっと拒否感がありまし
た。
『知らないうちにこっそり覗かれる』というシチュエーションではなかった
からです。
正面切って裸を見られるなんて厳しいと思ったのです。
(でも・・・)
真っ裸の私をいきなり目の当たりにしたら・・・
(あの子は驚くんだろうな。。。)
どう見ても清楚で繊細そうな『この私』が、恥じらいに赤面する様子・・・
それをあの子に見せてあげたいと思いました。
そういうシチュエーションに身を置こうとすることこそが、私にとって興奮
そのものでした。

このとき、自分ではまったく酔っているという感覚はありませんでした。
でも、もしかしたらやっぱりビールの影響も多少はあったのかもしれませ
ん。
正直なところ、このときかなり『驕った』気持ちもありました。
思いがけずに全裸の私と出くわすあの男の子・・・
もちろん驚くはずです。
慌てるかもしれません。
でも、彼にとってそんなに迷惑なハプニングでしょうか。
不可抗力のハプニングで、OLのオールヌードを見れたとなれば・・・
(あの子だって悪い気はしないはず。。。)
なにせ、相手は『この私』なんだから・・・
この顔で、この物腰の『私』なんだから・・・
(あの子だって内心では喜ぶはず。。。)
(誰にも迷惑をかけるわけじゃない。。。)
心の中で、自分に都合のいい言い訳ばかりを並びたてます。

内湯への戸を少し開きます。
中を覗きました。
研修クンが、露天で掃除しているのが確認できます。
フロントでの彼とのやりとりを思い出します。
初々しい表情が印象的でした。
あの子は私のことを憶えているでしょうか。
数少ない若い女性客ですから憶えてくれているかもしれません。
研修中の身分にある彼に、変なことをされるような危険はありませんでし
た。
間違えてお風呂に入ってきた女性客に何かしようものなら、大問題になるは
ずです。
その点だけは、安心していられました。
私は、そっとすべりこむように内湯に足を踏み入れました。

手にハンドタオルすら持っていません。
正真正銘の真っ裸です。
吸い込む空気がのどにつまりそうに感じるぐらいの息苦しさでした。
それぐらい緊張感がありました。
気配を悟られないように、そっと中を進みます。

(見せてあげる。。。)
(わたしのはだか。。。)
(喜んでね。。。)
緊張にひざが笑いそうになりながら、意識だけは高ぶっています。

素っ裸で、男の子に近づいていく私・・・
(あぁ。。。)
こんな張り裂けそうな気持ち、初めてです。
自ら、裸の私を見られにいこうとしています。
こんな大胆な冒険・・・、気持ちが押しつぶされそうです。
私と鉢合わせした瞬間の、彼の驚きを想像します。
間違えて入ってきた女の子を目にして、心の中では嬉しいはずです。
決して表情には出さなくても、私の全裸に内心では興奮してくれるはずで
す。
そして、憐れにも私はその目線に晒されて恥をかくことになるのです。
その場になったら・・・
(どこを隠せばいいの?)
手は2本しかないのに。
どんどん気持ちが追い込まれます。
(まずいよ、まずいって。。。)
内湯の中を進んでいくそのひと足ごとに、呼吸が苦しくなります。
(ほんとうに見られちゃう・・・、見られちゃうよ。。。)
プレッシャーに、心臓が締め付けられます。
すべて自分の意思でやっていることなのに、
(やだよ、見られちゃうよ、恥ずかしいよ。。。)
もう泣きそうでした。
そして、その泣きそうな感情に、興奮していました。
言葉には言い表せません。
passiveに見られようとするのと、activeに見せつけに行くのとではこんなに
も興奮の質が違うものなのでしょうか。

あっという間に、露天に出るためのガラス扉の前まで来ました。
ガラス越しに、研修クンの後ろ姿が見えます。
すぐそこで背を向けている研修クンは、まだ私の存在に気づいていません。

心臓の鼓動が異常なほどの早さです。
緊張で胸が締め付けられました。
『どきどきどきどきどき・・・』
(・・・どうする、どうするの?)
崖っぷちのハラハラ感です。
(ほんき?ほんき?ほんきなの?)
何も身につけていません。
何も隠せていません。
このまま扉の向こうに出る?
(むりだよ、むりむり、ぜったい無理。。。)
あまりにも無防備すぎる自分の姿に、脚が震えそうです。
ここまで来て、
(ハンドタオルのひとつも持ってないのは不自然すぎる。。。)
余計なことを考えて躊躇し始めてしまいます。
(どうしよう。。。)
透明なガラス扉1枚を隔てたすぐそこで、男の子が掃除をしています。
私に背中を向けて、デッキブラシで力強く床を磨いています。
私は『すっぽんぽん』・・・
(むり、むり、むり。。。)
プレッシャーで、最後の1歩をなかなか踏み出せません。
それなのに、やっぱりやめて戻るという気持ちにはなりませんでした。

(あぁ、こんな格好で。。。)
(どうしよ、見られちゃう。。。)

開き直るしかありませんでした。
どうしても耐えられなくなったとしても、両手で下さえ隠せれば・・・
いざとなったら胸ぐらい見られたって・・・
(もういい)
触られるわけじゃあるまいし・・・
(最悪おっぱいぐらい、いくらでも見せてあげる。。。)
(好きなだけ見たらいい。。。)

演技のシナリオなど、何もありませんでした。
何も考えませんでした。
扉を開けてから考えようと思いました。

足もとを確かめるかのように、顔を下に向けます。
「ガタン!」
うつむき加減で、勢いよく扉を押し開けました。
空気の冷たさだけを感じます。
時間が止まったかのような感覚とともに、私の演技はもう始まっていまし
た。
小さく1歩・・・2歩・・・
視線を真下に落としたまま、静かに露天スペースに足を踏み入れます。
『ふっ』と顔を上げて、目線を前に向けました。

わずか3〜4m先に、研修クンが立っていました。
目を真ん丸にして『信じられない』という顔で私を見ています。
私も『まさか』という、驚愕の表情を返しました。
その場に立ちすくみながら、とっさに両腕を交差させて胸を隠します。
お互いに目が合ったまま凍りついた瞬間でした。

まさに『鉢合わせ』の状況です。
お互いに硬直したまま、1秒・・・、2秒・・・
間違えて入って来ちゃったように演じながらも、彼と目を合わせた瞬間から
重苦しい空気に押しつぶされそうになっていました。
すぐに
(むりだ。。。)
(耐えられない)
張り詰めたこの『空気』に耐えられない、と思いました。
「・・・いやっ」
予想以上のあまりの『場の重さ』に、かすれるぐらいの小さな声を出すのが
やっとでした。

彼のほうも、かなり面食らっていたようです。
『いやっ』という私の小さな悲鳴に非難めいたニュアンスを感じたのか、明
らかに戸惑った表情です。
「あ、あ、・・・こちら、11時までで・・すが」
完全に焦った口調です。

「・・・えっ」
あたかも初めて知ったかのように、表情だけ『きょとん』としてみせます。
そして、『突然目の前に現れた男性が旅館の人だと理解した』かのように、
ちょっとほっとしたように演じかけてしまっていました。
(もっと取り乱して、恥ずかしがらなきゃいけなかったのに)
そう思わなくもありませんでしたが、現実にはとてもそんなふうにはできま
せんでした。
行き当たりばったりの演技をしたせいで、自然とそんなリアクションになっ
てしまっていたのです。

そんな素振りになってしまっていた私でしたが、本当の気持ちは正反対でし
た。
『ほっ』となんかしていません。
ほとんど、もう限界でした。
10代後半の男の子に、私は全裸で向き合っているのです。
相手は服を着ているのに、私の体を隠してくれているのは、自分の手だけで
す。
(こんなのむりだ。。。)
私はこのシチュエーションに負けていました。
(もうだめ)
この場から逃げたいという気持ちしか生まれませんでした。

いちおう体裁だけは整えようと、
「・・・もう終わりだったんですか?」
「すみません、・・・ごめんなさい」
私も戸惑ったような口調で謝ります。

「いえ、」
研修クンが私を見ていました。
「たいへん・・・申し訳ございません」
言いながら目線が小刻みに上下しています。
私の体に、チラチラ視線を走らせているのがわかります。
腕でおっぱいを隠しているだけの・・・『すっぽんぽん』の私に。
彼の目の動きを感じながら、耳のあたりが『かーっ』と熱くなります。
見られてしまっていることは頭で意識しつつも、恥ずかしさは感じませんで
した。
それぐらいに、とにかく気持ちに余裕がありませんでした。
無防備のままのアンダーヘア・・・
そのあたりに向けられる彼の視線を感じながらも、ほとんど硬直したままの
私でした。
ただ、ただ、『この場から逃げたい・・・』、『これ以上いられな
い・・・』
それしかありませんでした。

脳が働きません。
セリフが浮かんできません。
後悔していました。
こんな馬鹿なことをするなんて・・・
異様なほどの空気の重さに耐えかねていました。
「ほんとうに、すみませんでした」
なんとか口に出して、きびすを返していました。
早く自分の部屋に帰りたい、安全地帯に戻りたいという気持ちしかありませ
んでした。
「申し訳ござ・・・」
彼の言葉を最後まで耳にしていられずに、逃げるようにその場を去ろうとし
ていました。

後ろ姿は、まるっきりのノーガードです。
足早に建物の中に戻ろうとする私の後ろ姿が、彼にまる見えです。
(ああん、恥ずかしい。。。)
今さらながら、急に羞恥心に襲われます。
彼から見えている私の姿・・・
無防備にお尻を見せたまま、ガラス扉を押し開けるしかありません。
今、私はお尻の下あたりに彼の視線を浴びているに違いありません。
その隙間から『恥じらいのゾーン』が見えるんじゃないか・・・と。
それを意識したときに、気持ちが『きゅっ』ってなりました。

ほんの一瞬のうちに、悲劇のヒロインの気分になりかけていました。
浴衣を脱いだときからここまでの、わずか1〜2分の間に、いろいろな感情
を味わっていました。
その起伏の激しさには、自分でも驚くばかりです。
なぜか急に自虐的な気分になっていました。
(なんてかわいそうな私。。。)
自分の心にそう錯覚させようとしていました。
(何の罪もない私が、どうしてこんなめにあわなきゃいけないの?)
そんな気持ちを無理やり頭に刷り込みます。
10秒前の自分が嘘のように、後ろ髪を引かれはじめていました。
(ああ、わたし。。。)
(このままでいいの?)

内湯に踏み込んだところの脇にすぐ、『それ』はありました。
ピラミッドのようにきれいに積まれているお風呂のイスです。
引き寄せられるように・・・とでも表現すればいいのでしょうか。
体が自然に動いていました。
(あの子にもう少しだけ見せてあげよう。。。)
わざとらしくない程度に、ほんの少しよろけてみせます。
『思わず』という感じでそのピラミッドに手をかけていました。
「ガチャガチャ!ガラ、・・・カララン!」
大きな音が、浴場の天井に響き渡ります。

自分でやっておきながら、その音の大きさに私自身がびっくりしていまし
た。
それぐらいに派手な音をたてて、プラスティックのイスの山が崩れ落ちまし
た。
そのときにはもう即興の演技を始めていました。

すかさず、ガラス扉の向こう側を振り返ります。
『やっちゃった』という顔で研修クンを見ました。
呆然と立ちつくしてみせます。
彼はちょっと驚いたようですが、すぐに営業用スマイル(?)を向けてくれ
ました。
デッキブラシを置いて、こちらに歩いてきます。
(来る・・・、ああ、来た。。。)
真っ裸の私に、男の子が近づいてきます。
本来、体験できないシチュエーションです。
日々の生活の中ではあり得ない場面です。
『どきどきどきどき・・・』
一気に鼓動が激しくなります。
私は、手近に転がっているイスをひとつ拾いました。
ピラミッドの『崩れないで残った部分』に継ぎ足すように積み重ねます。
ちょっと泣きべそ気味に『ごめんなさい顔』をつくりました。

ガラス扉を開けて入ってきた研修クンが、
「よろしいですよ」
「おけがはありませんか」
業務用の丁寧な言葉づかいで言ってくれました。
彼の表情に、さっきまでの戸惑った雰囲気はもうありません。

「すみません」
謝ります。
今度は胸も隠していませんでした。
どうせ相手は『旅館のお風呂係の人』です。
それに、私が演じている『この女性客』は、自分がイスの山を崩してしまっ
たことに焦ってしまって『それどころじゃない』のです。

申し訳なさそうな顔で、次のイスを拾い上げます。
「あ、だいじょうぶですよ」
「やりますから」
研修クンが言ってくれます。
恐縮したように
「いえ、けど・・・」
私が顔だけ向けると、フロントで見せていたあの初々しい笑顔です。
でも・・・
それなのにその目は、私の胸をまっすぐ捉えています。
従業員としての立場を忘れて目線の方向を『相手の女性客』に悟らせてしま
うあたりに、この子の『未熟さ』というか『幼なさ』を感じます。
(いやぁっ)
また『かーっ』と耳が熱くなりました。
ようやく(?)、本格的に恥ずかしさを感じていました。
(ああん)
この男の子は私のおっぱいを見ています。
私は今、10代後半の男の子に自分の乳首を見られているのです。
(恥ずかしい。。。)
(そんなに見ないで。。。)

もちろん表面的には、私が演じる『この女性客』は、そんな彼の視線になど
気づきもしません。
申し訳ないという気持ちから、次のイスも拾い、横のピラミッドに積もうと
します・・・
『すっぽんぽん』のままで。
ますます自虐的な気分が加速してきているのを自覚していました。

「いいですよ、やりますから」
そう言ってくれている彼に、
「あ、いえ、でも・・・」
意味をなさない返事を返し、作業を続けようとしてみせます。
研修クンも、そんな私をそれ以上は引きとめませんでした。

この男の子のことを、完全に見抜いていました。
この子は私のヌードに釘付けになっています。
そして、完全に注意散漫になっています。
私は若いし、まだ太っていないし、そして・・・いちおうこの顔です。
彼の目を引きつけるだけの容姿は備えている自負があります。
その私が今、『すっぽんぽん』で目の前にいるのです。
まだ研修中でプロになりきれていないはず(?)の彼が、目を逸らすことな
どできるわけありません。

(恥ずかしい。。。)
羞恥心に身を焦がしながらも、だいぶん自分を取り戻してきていました。
「もうー、やだぁ」
真っ裸の私が、何も隠すことなく一心不乱にイスを片付けます。
「なにやってんだろー、どじだなぁ」
(ああん、男の子がいるのに。。。)
(まっぱだかだよぅ。。。)
おっぱい・・・、ヘア・・・、お尻・・・
(見られてるよぅ。。。)
1分前には彼の前から逃げようとしていたはずの私だったのに・・・
興奮していました。
そして、なんだかぐいぐい自分のペースに持ちこめている感覚を得ていまし
た。
今この瞬間、私はあの子の視線を独占しています。
ひとりの男性の意識を、私が独り占めにしているのです。
今、この子の頭の中には私という女のことしかないのです・・・。

(どこ見てるの?)
(胸?おしり?)
足元のイスを拾いながら、自分の視野の端っこで、さりげなく研修クンの様
子を窺います。
作業する私の様子を見ながら、彼も『ゆっくり』イスを拾っています。
(いやぁん、そんなに見ないで。。。)

崩れ落ちたイスは、わりと狭い範囲内に散らばっていました。
たぶん15〜16個ぐらいのプラスティックイスが転がってしまっていたか
と思います。
「もうー、ほんとうに私、なにやってんだろ・・・すみません」
「いえ、こちらこそ申し訳ありません」
お互いに『ふたり並んで』と言ってもいいぐらいの近い距離でイスを拾って
は積んでいきます。
私は興奮を通り越して、充実感を覚えていました。
こんなにすぐ近くに男性がいる横で、私は全裸でいます。
いやらしい目で見ている男の子がここにいると承知の上で、生まれたままの
姿でいるのです。
裸を見られていること自体の興奮よりも、『いまこんな状況に自分が置かれ
ていること』に快感を得ていました。

私が体の向きを変えるたびに、この男の子はさりげなく背後に回りこんでき
ます。
(ああ、だめぇ。。。)
もはや彼の視界の中から、逃れることはできません。
ヌードの私は、この子に裸を見られるしかないのです。
(ああん、かわいそうな私。。。)
もちろん、すべては私が自ら演出したハプニングです。
本当の私は・・・、いつもの私は・・・、内気で臆病すぎるほどおとなしい
性格なのに・・・
そんな私にとって、この非日常的なシチュエーションそのものが快感でし
た。

かがんでイスを拾っては、積む・・・
動作を繰り返すたびに、お尻の割れ目が開くのは避けられません。
私のすべてが見えていたはずです。
お尻の割れ目の奥にひそむ『それ』が・・・
美人ともてはやされる私・・・
その私の『あそこ』や『お尻の穴』が・・・
そんな『人には見せられない部分』が、この男の子には見えてしまいます。
イスを拾おうと、かがむたびに・・・
あそこはともかく、お尻の穴は恥ずかしくてたまりません。
私は、う●ちを出すための汚い穴を見られて平気でいられるほど図太くない
のです。
そんなの、とても耐えられないのです。
(ああん、絶対みえちゃってる。。。)
いくつもの感情が錯綜します。
『その汚い穴まで見せてあげる』という被虐的な気持ちと、
(お願いだからそんな恥ずかしいところ見ないで)
という本音の恥ずかしさとのジレンマです。
(やっぱりだめ。。。)
イスを拾おうと上半身をかがむたびに、すぼまっていた肛門が姿を現してし
まいます。
う●ちの出口のしわが、花のように開いてしまいます。
(いやっ、いやぁだぁ。。。)
(見ないで、見ないでぇ)
研修クンが私の背後に来るタイミングを計ります。
(ああ、真後ろ・・・)
イスに手を伸ばします。
(ああぁ、真後ろぉ。。。)
お尻のお肉が左右に割れます。
2mと離れていない彼の前で、お尻の穴が思いっきり広がります。
(あああん、イヤぁ。。。)
汚い穴がまる見えです。
彼を背後に従えたまま、次のイスに手を伸ばします。
(だめぇ、だめっ)
かがんで、お尻の割れ目を開きます。
(いやぁっ)
肛門を見せつけます。
しわの色まで彼の目に焼きつくように。
(はぁあん。。。)

自分の気持ちをどんどん高みへと持ち上げていきます。
もう、高慢と言ってもいいぐらいの心境です。
心の中で呟いていました。
(ねぇ、私、みんなから美人って言われてるんだよ)
(あなたもそう思ったんでしょ?)
イスを拾っては積み重ねる・・・たったそれだけの作業を繰り返します。
(ねぇ、その美人のお尻の穴みえちゃってるんでしょ?)
驕った気持ちに、自ら酔いしれます。
(私のそんなとこ見れるなんて、特別なんだよ。。。)
さっき鏡に映した『それ』の形が、記憶でよみがえります。
(ああ、・・・ああ、でも。。。)

かがむ動作の一回一回は、ほんの一瞬です。
その一瞬のチャンスに、この子が目に焼き付けようとするのは、肛門などで
はなくきっと性器のほうに違いありません。
股の間で閉じている、奥二重の唇を見ようと必死になっているに決まってい
ます。
(そんなの、ただ割れ目なだけなのに)
(せっかく頑張ってお尻の穴まで見せてるのに。。。)
ここでもまた、さっきのおじさん3人組に対する悔しさを思い出していまし
た。
イスは、あっというまにどんどん片付いてしまっています。

悔しさとともに虚しくなってきます。
(・・・またなの?)
そして焦りました。
(そんなのいやっ)
相手は小学生の男の子ではありません。
10代後半の男の子に対して、ここまでこんなにも必死に頑張り続けたので
す。
私の限界を超えたシチュエーションを耐えたのです。
もうさっきみたいな思いだけはしたくありません。
気持ちの勢いは、まだ残っています。
残りのイスがどんどん減っていくことが、不完全燃焼に終わることを避けた
いという強迫観念(?)を生み出します。
時間がありません。
私は焦っていました。
何をするにしても、もうすぐそのタイミングを失ってしまいます。
焦りで、どんな大胆なことでもできそうな気持ちです。
それを自分でもわかっていて『その気持ちに乗ってしまえ』と頭が判断して
います。
『こんな気持ちになれることなんか、滅多にないんだから』と分析していま
す。
(もう、何でもやっちゃえ)

でも、でも・・・
この状況で何をどうしたらいいのでしょう・・・
残り少なくなったイスを拾うたびに、今も彼に体を見られているはずなの
に、もうその満足感を味わえなくなっています。
ここで恥ずかしい姿を見せつければ、私はもっと陶酔感を味わうことができ
る・・・
あとで思い出して、いっぱいオナニーすることができる・・・
足が攣ったふりをする?
思い切って、すべって転んでみせちゃう?
(でも、)
(でも。。。)
できませんでした。

どうしても不自然になってしまうはずです。
いくら慌てている女だからといっても・・・
演技でカバーできる範囲ではありません。
私が『わざと裸を見られようとした』ということを、この男の子に悟られる
わけにはいかないのです。

そっと最後のイスを山に重ねていました。
これまでの演技の流れのまま、なるべくわざとらしさが出ないように気をつ
けます。
「すみませんでした」
彼にもう一度お詫びを言います。

最後の最後まで未練が残ります。
まだ迷いがあります。
思い切って、『少しの時間でいいから、シャワーだけでも使わせて』とお願
いしてみようか、などと考えがよぎります。
でも、やめました。
間違えて入ってきた女にしては図々しすぎます。
私は、この子にとって『清楚で華奢な』美人OLでなければならないので
す。
最後までそれを貫かなければなりません。
・・・やはり『もう立ち去るべき』です。
そう思ったとたんに、気持ちが引けてきます。
あの『はやく逃げたい』という気持ちがぶり返してきます。
この男の子は、私の体のすべてを見た子なのです。
私はこの子に、汚いう●ち穴まで見られているのです。
演技ではなく本当にもじもじした気持ちになります。
最後は情けないほど、どぎまぎしながら
「本当に、いろいろすみませんでした」
彼に背を向け、足早に脱衣所へと歩きだしていました。

脱衣所に戻ってからがまた大変でした。
いろいろな感情が溢れ出して、気持ちの整理をつけるのが容易ではありませ
ん。
とにかく『逃げなきゃ(?)』という気持ちに急きたてられて、慌てまし
た。
どたばたと下着と浴衣を身にまとい、外の待合スペースへと飛び出します。
階段を駆け上がるように昇って、自分の部屋を目指していました。
もう安全圏に戻ってきているのに、いちばん心臓をどきどきさせていたかも
しれません。
心配していた不完全燃焼の気持ちなどなく、自分のなしとげた『大冒険』
に、満足を感じます。
こんなことまで正直に書くのはさすがに恥ずかしいですが、『1秒でもはや
く部屋に戻ってオナニーしたい気持ち』でいっぱいでした。

(PS)
翌日のチェックアウトのとき、さすがにちょっと緊張しました。
もしかしたら、あの研修クンがフロントにいるのかもしれないと怖かったの
です。
もしいたとしても、もちろん何食わぬ顔で『さらっ』と流すつもりでした。
裸を見られたとはいっても、それは『見た』側の彼の意識の問題です。
『ハプニングで見えちゃった』のか『ここぞとばかりに観察した』だったの
かは、彼本人にしかわかりません。
私は、間違えて終了後のお風呂場に入りこんでしまっただけ。
ちょっと間抜けでおっちょこちょいな、よくいる客(?)のひとりにすぎま
せん。
そんなふうに自分に言い聞かせながらフロントに行きましたが、そこに彼の
姿はありませんでした。
ものすごく『ほっ』としましたが、同時にちょっとだけ残念な気分でした。
オールヌードで、恥ずかしいところはすべて『お披露目』した私です。
その私が化粧をして『きちんとした姿』で現れたときの、彼の反応を見てみ
たい気もしていたからです。

長文に最後までお付き合いくださってありがとうございました。
記憶を辿りながら、なるべく細かく、そしてできるだけ正確にありのままを
書いてみたつもりです。
このサイトの他の方々の体験談に比べれば、私の体験など大した内容ではな
いかもしれません。
ですから『せっかく読んだのに、ただ長かっただけ』と、がっかりされた方
も多かったかと思います。
ごめんなさい。

いよいよ夏も本番ですね。
東京の夏は、湿度が高くて苦手です。
皆さんも暑さに負けないように、体に気をつけてくださいね。

出典:露出
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