蜘蛛-変身 (オリジナルフィクション) 2559回

2015/10/03 19:52┃登録者:あでゅー◆UokxQKgo┃作者:あでゅー
20151003-『蜘蛛-変身』byあでゅー


1.変身

あるの日の夜のことだった。
私がパソコンで掲示板に書き込みをしていると、突然一匹の蜘蛛がキーボードに降りてきた。
潰す事も出来ず困っていると、蜘蛛がキーボードの上でアルファベットをなぞり始めた。

「わたしは、くぼたしずく」

えっ!?

「くぼたしずくは、しんだ」

私は急いで大学の研究室に電話をした。
そして、久保田雫さんが先週の初めに死んだ事を知った。
私は電話を置き、キーボードの上を見ると、蜘蛛はまだそこにいた。
質問したい事は山ほどある。

「く、久保田さん、何で?」

「くるまのじこで」

「何で蜘蛛になんかに」

「わからない
きづいたらこうなっていた」

「・・・」

私は夢を見ているのだろうか。
まじまじと彼女を見る。

「どうして僕の所へ?」

「すきだったから」

何言ってるんだよ。
俺は公衆の面前で振られたんだよ。

「嘘言うなよ」

「はずかしくて」

ツンデレか、しょうがないな。
でも・・・、今でも好きだ!

「良く来たねえ」

「くろうしたわ」

「そうだ、何か困っている事はない?」

「みず」

私は水のペットボトルの蓋を取り、そこへたっぷりと水を注いだ。

「どう、美味しいかった?」

「うん、ありがと」

しゃべり方が片言なのは、きっとなぞるのが面倒くさいからだろう。

「そうだ、食事は?」

「・・・」

しまった、いけないこと聞いた。

「くものす」

「そうか・・・」

シンミリしてしまった。
気を取り直して明るく言った。

「他に欲しい物は?」

私まで片言になっている・・・。

「おれいがいいたい」

「わたしをうけいれくれて、ありがとう」

「そんな、僕こそ君に来て貰って嬉しいよ」

私は、彼女の頭を撫でて気持を現した。
彼女はキーボードをなぞる事に疲れたようで、ねる、と言って私の作った机の上のベッドで眠りに付いた。
それから私達は奇妙な同棲を始めた。


2.同棲生活

彼女が現れるは決まって夕方。
それまで何をしているかは、分からないし、聞けもしない。
私が夕食を食べ終わって寛ぐ時間になると、彼女は決まってキーボード上に来た。

「わたしのどこがすき?」

「上品な顔、贅肉の無い身体、何時も明瞭な頭。
みんな好きだよ」

「でも、いまはからだがない
あいしてくれる?」

「愛しているよ」

「ありがと
わたしも」

まったりしていると、突然彼女がキーボードをなぞり出した。

「しのけいじばん」

私は2chの掲示板へ行った。
彼女は詩は危うい。


「いとしいひと-てんせい」

わたしがしんでも かなしまないで

きっとあなたのそばに うまれかわるわ

たとえばかわいい いぬ

たとえばかわいい ねこ

そしてあなたを よろこばせるわ

まいにちまいにち あなたをわらわせるわ


だからわたしがしんでも かなしまないで

うまれかわって あなたをあいするわ

きっとこんどは にんげんに

きっときっと にんげんに

だからあなた まっていてね

いつまでもいつまでも まっていてね


こんな詩を書いた。
これが何を言ってるか、本当の意味は分からなかった、この時は。


3.終焉

それは薄寒い秋の頃だった。
彼女が元気が無くじっとしている。
私は暖房が必要かもと思い、聞いてみた。

「暖房の季節だね。
ファンヒーターで良い?」

「ちがうの」

私は次の言葉を待った。

「あかちゃんができた・・・」

「えっ!?」

それは俺の子じゃ無い。
一体何時?

「くものこができた・・・」

言葉が出なかった。
私以外のそれも蜘蛛と・・・。
だが自然の掟には歯向かえない。
きっと彼女はたくさん子供を生んで子孫繁栄に貢献するだろう。
私はそれを傍らで見ているしかないのか。

「ころして」

「えっ!?」

「わたしをころして」

「何言ってんだよ!
そんな事出来る訳無いじゃないか!」

「たえられない
わたしのせいしんは、たえられない」

そうだろう。
只でさえ蜘蛛に生まれ変わり、精神的にも参っているのに、その上蜘蛛の子供が出来たなんて。
私でもきっと発狂してしまうだろう。
お腹を見ると今にも生まれそうになっている。
こんなになって・・・。

「分かった。
終わりにしよう」

「ありがとう
ありがとう」


それから私は机の上に彼女を潰して殺す準備をした。
最後に彼女は私に言った。

「たのしかった
ありがとう
さようなら」

私は一気に力を込め親指を下に下ろした。
そして雄たけびを上げ涙を流した。
私がこの手で殺したんだ。
この指が・・・。


私は彼女が人間に生まれ変わるのを待っている。
お父さんと子供の関係かもしれない。
いや、出会っても気付かないかもしれない。
それでも、楽しみに待っている。


(終わり)

出典:オリジナル
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