【メシウマ】万引き冤罪男 (笑える体験談) 9019回

2015/10/30 15:44┃登録者:カーカス┃作者:名無しの作者
今日は面白い話をひとつ。

かなりの長編ですが過去の取材メモからお蔵出しのネタです。

ちょっと前のことですが、ある弁護士をインタビューした際、話が盛り上がってと興味深い話をしてくれたんです。

それは今から8年ほど前、その方(以下Tさん)がまだ法学部の学生だったころの話。ディスカウントストアでTさんが買い物を済ませ、店の外に出て20mほど歩いたとき、後ろから誰かが「ちょっと待って」と叫ぶ声が聞こえたんです。それでも自分のことではないと思い、そのまま無視して歩いていましたが声の主はどんどん近付き、ついにはTさんの横で立ち止まったそうです。

実は、この女性は万引きGメン。よく夕方のニュースなどで特集が放映されている万引き犯を捕まえるスペシャリストです。しかし、万引きをしてないTさんにしてみれば身に覚えがなく、当然相手が万引きGメンであることも知りません。

Gメン「ちょっといいかしら」

Tさん「エッ、何か?」

Gメン「分かっているよね?」

Tさん「エッ、だから何ですか? 言っていることがよく理解できないんですが……」

Gメン「お金を払ってないものがあるよね? ちゃんと見てたのよ!」

この時点で自分が万引き犯に間違えられていることを悟ったTさん。しかし、彼には身に覚えのない、まったくの無実。身の潔白を主張しても相手はTさんが万引き犯であることを信じて疑わず、「とりあえず事務所に行こうか?」と半ば強制的に店に連れ戻そうとしたといいます。

でも、本当に何もしていない場合、この時点で事務所に向かうのは×。感情的になって変に身の潔白を訴えようと事務所に行くことはオススメできません。

Tさん曰く、弁護士の立場としても「もし万引きが勘違いだと店側やGメンが知った場合、謝罪するのではなく、『疑われるお前が悪い!』と非を認めるどころか、開き直った態度を取る店が多いからです。もし連れていかれそうになったら『ここで話をしましょう』と言い、そこから動かないことです」とアドバイス。

実際、Tさんも当時若造だったとはいえ、弁護士志望の法学部の学生。事務所同行をキッパリと拒否。すると万引きGメンは鬼の形相になり、声を荒げて次のように言ったそうです。

Gメン「店の商品、盗んでおきながら何様のつもり?」

そう言って、Tさんの手首を掴み、事務所に引っ張っていこうとするGメン。そんな彼女にTさんは次のように言います。

Tさん「事務所に行くのはあくまで任意ですよね? あなたが私を強制的に事務所に連れて行く権利はないはずです。そのうえで強引に連れて行くというのであれば逮捕監禁罪に抵触する恐れがあります。あと今、手首を掴んでますよね。これも場合によっては傷害罪にあたりますが」(本当に万引きしていないのであれば現行犯ではなく、その場合現行犯逮捕の権利も生じないという解釈のようです)

法律論を展開するTさんに焦りと怒りの混じった表情を見せるGメン。そんな彼女にTさんは自分が大学の法学部(一流大学)学生であることを話し、店外である今いる場所で話し合うことを主張。

ところが、Gメンと一緒に万引き犯取締りを行っていた先輩Gメンとディスカウントストアのフロア主任が来て、事態はさらに悪化します。それまでのやり取りを聞いたフロア主任は「いい加減そんな態度を取ってると、こっちも警察呼ぶぞ。正直に言うなら今のうちだぞ。お前がやっているのは分かってるんだ」とGメンを信頼しきっている様子。先輩Gメンも「警察呼びましょう」とTさんのことを悪質犯と決め付けていたそうです。

そんなただならぬ雰囲気に周囲には人が集まり始めたそうですが、Tさんは沈着冷静。取り囲むGメンとフロア主任に向かって、「お好きにどうぞ。でも、こちらもそれなりの対応をさせていただきます」とおもむろに携帯電話を取り出し、ある場所に電話をかけます。

Tさん「あっ、どうもTですが、S弁護士はいますか?」

S弁護士「おおT君か、今日はどうしたんだい?」

Tさん「実は、ちょっと困ったことに遭ってしまいまして。◎◎っていうディスカウントストアで買い物をした後、店の外で保安員の人に呼び止められ、僕が万引きしたと言って、事務所に連れて行こうとするんです」

S弁護士「まだ店の外なんだよね。すぐ向かう僕が行くまで、そこで待っていなさい。いいかい、事務所に絶対行っちゃだめだよ」

Tさん「わかりました」

このS弁護士はTさんのゼミ教授の友人。その縁で法律事務所のアルバイトをしたこともあり、以来Tさんのことを可愛がってくれたとか。しかし、このやり取りを聞いていたGメンとフロア主任は一瞬動揺した表情を見せますが、まだまだ強気だったそうです。

先輩Gメン「弁護士を呼んでも何も変わらないわよ。あなたがやった罪を弁護してもらうつもり?」

Tさん「身の潔白を信じてもらうためです。何ならここで私の持ち物を調べてもいいですよ?」

その言葉を待ってましたと言わんばかりのGメンとフロア主任。そこに店長も駆けつけ、4人による所持品検査が始まります。

が、買い物袋や所持品のリュック、ポケットを調べても万引きした商品は見つからず、いずれも買った物ばかり。ただし、この時点でもTさんが服の中に商品を隠していると疑い、態度は強気です。

フロア主任「服の中に隠しているんだろう。お前みたいな確信犯がよく使う手だもんな」

店長「そうだな脱いでもらおうか」

ちなみに繰り返しますがここは店の前の路上。しかも、周囲にはヤジ馬も10人ほどいます。当然、Tさんは激しく拒否。すると、それに業を煮やしたフロア主任が後ろから羽交い絞めにして、彼のTシャツをまくし上げ、ズボンもヒザあたりまで下ろされたとか。Tさん曰く、「わいせつ物陳列罪で捕まってもおかしくない格好でした(笑)。ただ、あれば僕の計算だったんです」と驚きの一言。

聞けば、所持品検査に協力しても自分の潔白をまったく信じてくれない店側とGメンに対し、事態を冷静に分析していながらも彼らのあまりの対応にムカッ腹が立ったとか。そこで、ワザと自分に屈辱的な身体検査を行わせるように仕向けたんです。

「コレ、S弁護士のアドバイスもあったんです。『T君の潔白が証明されても店側やGメンは非を認めないはず。痴漢の冤罪じゃないが、こういうケースは実際多いんだ。だから、自分に有利な状況を作るためにイザという場合にはやってみなさい』って。まさか羽交い絞めにされるとは思いませんでしたけど(苦笑)」

下着の中まで調べましたが、結局盗んだ物は何ひとつ出てきません。と、ここでS弁護士が到着。一気に形勢逆転ですが、店側は「疑わしい態度を取った」と開き直り、謝罪の言葉すらありません。

「わかりました。では、名誉毀損で訴えます。T君、いいかい?」

無論、Tさんに異存はありません。その上でS弁護士とは一部始終を見ていたヤジ馬の人たちに名詞を配り、この現場で起きたことを証言してくれるように頼み、その場で数名の協力を取り付けることに成功します。

一方、店側と違ってGメンの2人は顔面蒼白。深々とTさんに頭を下げていますが、「すでにこの場で謝っていただいて済むレベルの問題でありません。私は公衆の面前で下着姿にされ、著しく名誉を傷つけられました。私が潔白であることはわかっていただいても、ここは私が住んでいる地域であり、精神的に耐え難い噂が流れる可能性があります。謝意があるのなら、後日御社(Gメンの所属する保安会社)の上司を伴って来てください」とピシャリ。

ちなみに店側も報告を受けた本部担当者が翌日、店長とフロア主任を連れ、慌ててTさんのもとを訪れて謝罪。しかし、当事者の2人は頭を下げたもののふてくされた態度を取っており、結局名誉毀損で告訴したとか。

結果はTさんに圧倒的な有利な材料があったことで、早々に相手弁護士から和解を持ちかけられ、ン百万円の和解金を支払うことで決着。正社員だった店長とフロア主任は降格の後、地方の店に事実上の左遷。重大な勘違いを起こしたGメンのいる保安会社のと契約は即刻打ち切りになったそうです。

この一件を振り返り、Tさんは「万引きは決して許されない犯罪であり、店の死活問題に関わる重要なことなのは承知しています。僕自身、万引き犯には断固たる措置を取るべきだし、店側も頑張って取り締まってほしいと思っています。しかしながら見間違え等でもし間違えた場合は素直に非を認めて謝るべき。『疑われるほうが悪い』と答える人もいますが、それは人権無視もいいところ。そんな考えの店に客商売をする資格はないですし、ツブれても仕方ありません」と述べている。

少し前、痴漢冤罪の映画が公開されたが、万引きにも逮捕には至らないが同様のケースがいくつもある。いずれの場合も本当に無実ならば、そんなときこそ冷静に対応するべき。痴漢なら鉄道警察に行ってはならず、ホーム上などですぐ弁護士を呼ぶか、それを手配してくるように家族や知人に頼むべき。痴漢冤罪に巻き込まれた旨を訴えれば力になってくれるはずだ(弁護士にもよるけど)。

万引きも一緒、ここで述べたように店事務所に行ってはダメ。不利なアウェイ(店事務所、痴漢の場合は鉄道警察)に行ってはなりません。これだけであなたの名誉、そして人生は大きく変わってくるはずです。

いざというときのためにしっかり覚えておきましょう。

出典:よし、俺もディスカウントストアーに行ってくる
リンク:万引きはダメだよ
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