日奈子と拓也は、結局、次の日の夕方前に帰ってきた。きっと遅くなるんだろうなとか、もしかしたらもう一泊するのではないか? などと考えていたのに、夕方のニュース番組が始まる前には帰ってきた。 『悠斗さん、ただいまー。はい、お土産ー』 日奈子はそう言って、八つ橋を渡してきた。 「八つ橋? 嫌いって言ったのに」 俺は、激しい嫉妬と動揺を押し殺したまま、笑顔で楽しそうに言った。 「いや、それさ、普通のじゃないんだって!」 拓也が、笑顔で言う。複雑な気持ちのまま袋の中を見ると、それは、チョコバナナの生八つ橋だった。 「なんだこれ?」 俺が吹き出しながら言うと、 『高校生に大人気なんだって。キワモノっぽいけど、美味しいよ!』 そう言って、パッケージを開け始める日奈子。とても、拓也と夫婦として旅行をしてきたとは思えないくらいに、以前のままの感じの日奈子だった。でも、 『あなた、お茶入れるね。悠斗さんも飲むでしょ?』 と、拓也にあなたと言い、俺にさん付けで呼ぶ日奈子を見て、現実に引き戻された。 「お、悪いね。さっき買ったヤツ飲もうよ」 拓也も、すっかりと夫が板についてきた感じだ。旅行に行ったことで、より自然な感じになった気がする。俺は、複雑な気持ちだった。日奈子のボイスレコーダーを聞いてしまった後では、どうしても裏切られたという感情が先に出てしまう。 そして、日奈子が日本茶を入れてくれて、チョコバナナ八つ橋の試食会が始まった。 「あ、ホントだ。これ、普通に美味いわ」 俺がそう言うと、 『でしょ〜。悠斗さんも、八つ橋嫌い克服できたんじゃない?』 日奈子は、凄く楽しそうに言う。俺は、そうだねと言いながら、もう一つ食べてみた。食わず嫌いはよくないなと思いながらも、これって八つ橋なのかな? と、少し疑問を持った。 そして、また日常が始まった。でも、日奈子と拓也の距離は、確実に縮まったみたいだ……。 俺は、ボイスレコーダーを聞いて決めた通り、家に隠しカメラを設置することにした。電気街に出向き、色々な商品を見た結果、部屋の照明のスイッチプレートごと交換するタイプのものにした。それを、寝室とリビングに仕掛けた俺は、自宅にミニPCも設置し、それをサーバのように運用して、24時間録画を始めた。 それを設置した初日、俺は早く動画を確認したくて仕方なかった。でも、日奈子も拓也も、いつも通りに色々と会話をしながら、楽しい食事の時間を過ごし、 『ねぇ、久しぶりにボーリング行かない? 悠斗さんも一緒にやろうよ!』 と、日奈子がそんなことを言い出した。 俺は、少しでも早く動画を確認したかったのだけど、そんな風に誘われて断るのも不自然だと思い、行くと答えた。 『じゃあ、すぐ行こうよ! あなた、運転よろしくね〜』 と、拓也に運転を頼みながら、日奈子はウキウキしている。俺にしてみれば、明日はごく普通の平日だ。休日でもなんでもない。この時間から遊びに行くのもどうなの? と思いながらも、久しぶりに日奈子と遊びに出かけると思うと、胸が躍った。 「平気か? 明日も仕事だろう?」 拓也は、申し訳なさそうに言ってくる。でも、少し前の俺ならばその言葉を素直に受け取ったと思うが、今は、二人きりになるのを邪魔されたくないだけなのでは? と思ってしまう。 俺は、平気だよと答え、出かける準備をする。そして、すぐに出かける準備を終えて、三人で車に乗り込んだ。当然のように助手席に座る日奈子。俺は、一人で後部座席に座る。 二人は、すっかりと夫婦という感じになってしまった。そして、俺も友人として扱われることに、慣れてしまった感じもある。 拓也は、多少痩せてきた感じはするが、まだ元気に見える。とても余命宣告を受けている男には見えない。 「悪いね。明日も早いのに付き合わせちゃって」 拓也は、運転しながら俺に謝ってくる。 『たまには良いよね? 悠斗さんも運動不足って言ってたしね』 笑顔で言ってくる日奈子。戸籍上は日奈子は俺の妻だ。拓也とは、あくまで形だけ、拓也が逝ってしまうまでの期間限定の夫婦のはずだ。でも、俺は日奈子があまりに完璧に拓也の妻を演じているので、不安でしかたない。 そもそも、演じているのではなく、本気で妻になっているのではないか? そんな心配もしてしまう。 『じゃあ、拓也と悠斗さんで勝負ってことにしようよ!』 無邪気にはしゃぐ日奈子。 「賞品は?」 俺は、複雑な気持ちのまま話に乗った。 『えっとね〜。じゃあ、勝った方にチューしてあげる』 日奈子は、少し考えた後そう言った。 「えっ? ダメだよ、そんなの!」 そう言ったのは、俺ではなく拓也だった。もう、ナチュラルに夫としての言動をしているようだ。 『負けなければいいんだよ』 日奈子は、からかうように言う。 「そんな賞品じゃ、気合い入らないし」 俺は、本当は絶対に勝つと思いながらも、そんな憎まれ口を叩いた。 『ウソばっかり。ホントは嬉しいくせに』 おどけて言う日奈子。でも、俺は図星を突かれて言葉に詰まった。 「じゃあ、負けないように頑張るよ!」 拓也は、微妙な空気を打ち破るように、元気よく言った。そして、ボーリング場に到着し、申し込みをしてゲームを始めた。 平日のけっこう遅い時間にもかかわらず、レーンは8割方埋まっていて、意外に混んでいるなと思った。 拓也は何となく気合いが入っているような感じで、少し口数が少なくなった。そんなに日奈子のキスが大事なのかな? と思うと、拓也の一途さを感じた。 そして、2ゲーム練習をした後、勝負が始まると、力みすぎな拓也はスコアを伸ばせず、俺はそこそこのスコアだったが、終始リードしていた。 『拓也頑張れ〜。チューされちゃうぞ〜』 日奈子は、そんな風に拓也を応援する。 「うん。頑張る……」 拓也は、応援されると余計に身体が固くなっている感じだった。 俺は、なんとなくに申し訳なくなり、微妙に手加減を始めた。自分でも、なにをやっているんだろうと苦笑いしてしまったが、勝負は拮抗してきた。 『頑張れ〜。後3ピンで勝ちじゃん!』 日奈子は、最終フレームでそんなことを言った。投げ終えた俺との差は、たった2ピンだった。最後の一投で、普通に投げれば勝ちの場面だったのに、日奈子の言葉で意識してしまったのか、まさかのガターにしてしまった拓也……。 「うわ、ゴ、ゴメン……」 動揺して謝る拓也。本当に、人がいいと思う。すると、いきなり日奈子にキスをされた。唇に、一瞬唇が触れる程度の短いキスだったが、 『拓也のせいだからね〜』 と、少し頬を赤くして言う日奈子。俺は、変な感じだった。日奈子と俺がキスをするのは、本来当たり前の事だし、キスなんて数え切れない位している。でも、俺は拓也に申し訳ない気持ちになってしまった。自分でも不思議だった。 拓也は、 「ゴメン……。勝てなくて……」 と、本気で落ち込んだ様子だった。そして、時間も時間だったので、お開きになった。帰りの車の中では、拓也は口数が少なかった。本気で凹んでいるような感じだ。 『また、やろ〜ね』 日奈子が楽しそうに言う。 「うん。今度は絶対に負けないよ」 拓也は、真剣な顔でそう言った。俺は、なんて言っていいのかわからず、楽しみだなとだけ言った。 そして、帰宅すると、俺が先にシャワーだけ浴びて寝ることにした。明日も普通に会社がある俺は、さすがにもう寝ようと思ったからだ。動画のことは気になるが、見始めたら数時間はかかると思ったので、今日はあきらめた。そして、ボーリングの疲れもあるのか、俺はすぐにウトウトし始めた。 でも、すぐに振動と日奈子の声で目が覚めた。 『……メ、ダメ……って、まだ起きて……ぉ、あぁっダ……っ!』 まだ壁に耳もつけていないのに、かすかに聞こえてくる日奈子の声。そして、ベッドが壁を揺らす振動と、マットレスのスプリングのきしむ音もかすかに聞こえてくる。 『……メぇ、もっ……ゆっく……、あぁっ、声、出ちゃ……らぁっ、あっ、あっ! 拓也、激しいよぉ、うぅっ! うぅーっ!』 日奈子は、必死で声を抑えこもとしている感じだ。拓也の声は一切聞こえてこない。一方的に日奈子が責められているような感じだ。 俺は、物音がしないように気をつけながら、そっと壁に耳を押し当てた。すると、 『奥まで突いちゃダメぇっ! 声我慢出来ないぃ、うぅっ! 拓也、ダメぇ、あぁっ! あっ、あっ! んふぅ……あっ!』 と、日奈子があえぎっぱなしなのが聞こえてくる。 「ゆ、悠斗とどっちが良い? どっちが気持ち良い!?」 興奮した感じの拓也の声が聞こえてくる。 『そ、そんなの、い、言えない、ダメぇ、ぅっっ! あ、あぁっ! もっとゆっくりしてぇ、こわれちゃう、うっ!』 肉がぶつかる音に合わせて、日奈子の声がどんどん大きくなっていく。 「悠斗とキスして、興奮したんだろ!」 拓也の我を忘れたような声。いつもの拓也からは想像もつかないような声だ。 『ち、違うぅ、興奮なんて、してないぃ……あぁっ! もうダメぇ、奥、奥があぁ、うぅあぁっ! 壊れちゃうぅっ! 拓也ダメぇっ! んっおぉおぉっ! ひぃぐぅ……うぅっ!』 「あいつとキスしたかったんだろ! セックスしたかったんだろ!」 拓也は、さらにそんなことを言いながら腰を振っているようだ。 ベッドのフレームが壁に当っている振動と、パンっパンっという音がどんどん大きくなる。 「日奈子、愛してるっ! 愛してるっ!」 拓也は、声を抑えることもなく叫ぶように言う。 『わ、私も、うぅっ! と、止めてぇ、聞こえちゃう、聞こえちゃうからぁ』 「聞こえてもいいだろ! 夫婦だろ! もっと感じろよ!」 拓也は、いつもの優しい感じが消えてしまったように、命令口調で言う。 『イヤぁぁぁっ! ダメッ!! イクっ! イクっ! 拓也、愛してるっ! 愛してるのぉっ!』 日奈子も、声を抑える努力を放棄したようだ……。俺は、やっと頭が回り始めたようで、カメラの存在を思い出した。 ノートパソコンをスリープから解除すると、すぐにカメラにアクセスした。すると、ベッドの上でパジャマを着たままの日奈子が、下半身だけ裸になっている拓也にバックで責められていた。 日奈子は、パジャマのズボンとショーツを膝のところまで下ろした状態で、拓也のピストンを受けている。電気もつけたままの状態で、着衣のままバックで犯されている日奈子……。もの凄い衝撃だった。日奈子が他の男とセックスをする姿……。一生見ることなどないはずだったのに……。 声だけを聞いているのとは段違いの衝撃に、俺は、思わずノートパソコンを閉じてしまった。でも、閉じても日奈子のあえぎ声は壁の向こうから筒抜けだ。 「日奈子、俺の子供産んでくれ! 愛してるっ!」 拓也のそんな声が響き、 『産むっ! 拓也、愛してるっ! チューしてっ!』 俺は、日奈子のそんな言葉に驚き、ノートパソコンを慌てて開いた。すると、すぐにスリープ復帰し、カメラの接続も切れていなかったようで、二人の姿がはっきりと映った。 二人は、正常位になっていた。日奈子のズボンとショーツは、右足だけ外されて、左足にくちゃくちゃっと巻き付いている。そして、二人はキスをしたままの状態でセックスをしていた。 日奈子の腕は拓也の身体に巻きつき、固く抱きしめている。そして、日奈子の脚までもが拓也に絡みつくようになっていた。一つに溶け合ったような状態で、二人のセックスは続いていく。 俺は、そっとノートパソコンにイヤホンを刺した。すると、二人の荒い息遣いと、拓也のピストンにあわせて水音が響いている。あまりにも生々しい音に、俺は、泣きそうになってしまった。 日奈子は、拓也にしがみついたままキスを続ける。そして、うめき声をあげたり、拓也の背中に指を立て、爪も立ててみたりしている。 拓也の大きなペニスがもたらす快感に、無我夢中という感じだ。すると、拓也がキスをやめ、苦しげな声で言う。 「日奈子、愛してる。俺だけ見て欲しい……」 『私も、愛してる。ずっと好きだったよぉ……。ねぇ、中に欲しい。拓也、中でイってぇ♡』 日奈子はそう言うと、自分からキスをした。そして、両手両脚をしっかりと拓也の身体に巻付けてしがみつく日奈子。足の指が思いきり内側に曲がっている。もう、日奈子もイク寸前のようだ。俺とでは、たまにしか見ることのないリアクションだ。 「日奈子、もうイキそう……。気持ちいい? 日奈子、感じてる?」 拓也は、絞り出すように言いながら腰を動かし続ける。 『気持ち良いよ♡ こんなエッチ、したことないもん。拓也のおちんちん、気持ち良すぎて怖いくらいだよ♡』 【続きは出典元で】 出典:余命1年の親友に、俺の嫁を嫁がせて新婚生活させた3 リンク:http://www.eroduma.com/archives/4844710.html |
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