演劇部のM先輩 (ジャンル未設定) 12633回

2018/07/05 17:46┃登録者:えっちな名無しさん◆PH1x.pxs┃作者:219
223 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:32:13.40 ID:pERnYrZC0
>>219だが書いてみた。 


中学時代、俺には好きな子がいて、人を介して両想いらしいことはわかっていた。 
しかしヘタレな俺は、とうとう何も行動を起こせずに卒業を迎えてしまったのだった。 
高校は別々。俺の方は家からは遠い進学校へ入学した。 
そこで演劇部に入ることにした。演劇でヘタレな自分を変えてみたいと考えたのだ。 
それを新歓の時に2年のM先輩に話すと「私が君を変えてあげる」。 

このM先輩、体は小柄だが元気のいい人で、部のムードメーカーであった。 
さらに多才な人で、勉強は学年トップ、部活では自分で脚本を書いちゃうような人だった。 
M先輩は偶然にも家が割と近くで、帰りには毎日誘ってくれて一緒に帰っていた。 
部活だけでなく勉強の面倒も見てくれたりして、いい姉貴分だった。 

そんなある日。6月の終わり頃だった。 
いつも通りM先輩と一緒に帰り、電車に揺られて駅に着き、ホーム階から改札階へ。 
そこで見たくないものを見てしまった。 
中学の時に好きだったあの子が、反対のホームの階段から降りて来たのだ。 
隣に誰か知らない男。その男と仲良さそうに手を繋ぎ、彼女は満面の笑み・・・。 
いつもさして混雑していない駅で至近距離で行き違っているのに、俺に気付きもしなかった。 
そして横にいた男。彼氏ができたんだなと直感した。 
ショックだった。あの子に彼氏ができたことではない。それは仕方がない。 
そうではなく、数ヶ月前まで想い合っていたのに、もう至近で擦れ違っても気付かれない。 
彼女の中ではもう俺なんて限りなくゼロに近いのだろう・・・それがショックだった。 
俺は愕然としたまま立ち尽くし、改札を出て行く彼女の後ろ姿を見守るばかりだった。 

224 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:32:54.05 ID:pERnYrZC0
「どうしたの?」 
M先輩が心配そうに俺の顔を覗き込んだ。 
我に返って「あ・・・いや・・・」そう言うのが精一杯だった。 
それでフラフラと改札へ。改札機の警告が鳴る。鳴り続ける。 
ハッとして手許を見たら、それは定期のICカードではなくメモ帳だった。 

改札を出たら、俺は右へ、M先輩は左へ帰る。 
俺が右へ折れようとすると、M先輩が俺の腕を引いて引き留める。 
「ねえちょっと待ってよ。○○君、おかしいよ?」 
いつもならM先輩が元気良く、じゃあまた明日ねとかなんとか言う。俺もそれに答える。 
多分俺は、それすら耳に入ってなくて無反応だったんだろう。 
M先輩はそのまま俺の腕を引き、駅の前にある公園へ俺を連れて行った。 

「ねえ、どうしたの?」あくまで優しく、心配そうな顔。 
俺は一切を、吐くように一気に話した。泣くのは我慢したが涙は止められなかった。 
M先輩は何も言わず、ただ俺を抱きしめてくれた。なんとも情けない。 
M先輩の柔らかい体の感触。それが胸だと気付いて我に返り、俺は体を離した。 
なんとM先輩も一緒に泣いていた。びっくりした。なんていい人だろう。 
「もう大丈夫?嫌なもの見ちゃったね」 
「はい・・・すいませんでした」 
「謝ることないよ。私こそなんて言ってあげたらいいのかわからなくて・・・」 
「あ、いや、とんでもないです。」 
「○○君・・・」 
「はい」 
「私、前に言ったよね『君を変えてあげる』って。それを実行するよ。」 
「はい・・・」 
「弱気だなあ、もうちょっと一緒にいてあげようか?」 
そうしたかったが、いかんせんもう時間が遅い。俺は礼を言って、別れた。 
向きを変え背を向けた俺に、M先輩は「必ずいいことあるよ」と叫ぶように言った。 

225 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:34:26.63 ID:pERnYrZC0
それからM先輩は、ますます俺に目をかけてくれるようになった。 
やがて定期公演に向けての支度が始まった。脚本はM先輩が書いたという。 
そしてなんと、俺が主役級に指名された。 
そして相方となるヒロインは2人いて、1人は同級の子、もう1人がM先輩。 
帰りに脚本が配られ、家で読んでこいとの指示。 
帰宅して読んだが・・・それは俺の、あの失恋の話そのものだった。 
前半は、そっくりそのままあの話。中学時代は想像で書かれてるから少し違ったが。 
そして後半は、それを励ます部活の先輩と新たな恋が始まるという話。 
しかも劇中の「先輩」は、M先輩そのものだった。 

次の日の部活で、先輩に訊いてみた。 
「あの、これって・・・」「そうだよ、○○君の話」 
「じゃあここに出てくる『先輩』って・・・」「私かもね」 
「え?」「頑張ろうね、頑張れば必ずいいことがある」 
煙に巻かれた。 

何か違和感を覚えつつも読み合わせと稽古は進んだ。 
台本の最後には、俺と先輩のキスシーンがある。 
ただし演劇では本当にキスをするわけではない。本当にしているように見せるギミックを使う。 
この場合は座っている俺に立っている先輩がキスをするシーンなので、 
俺が奥にいて顔を観客側に向け、先輩が俺を隠すように表に立つが観客側には背を向ける。 
ここで天照明は落とし、スポットだけにする。 
そうの上で先輩側の動きをそれらしくしすれば、観客からは本当にキスしているように見えるのだ。 
ただしその「らしく」に技量が要る。観客を騙さなければならないので、かえって難しい。 
しかも巧く演じないと、一気に?くさくなってシラける。 
なお通常、学校演劇はこういうシーンは入れない。特に大会では御法度だ。 

226 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:35:20.69 ID:pERnYrZC0
稽古での先輩は、およそ演技とは思えない迫力だった。 
でも俺もそうだ。俺は、あれから先輩にどんどん引き込まれ、好きになっていたからだ。 
公演が誇れるような出来だったら、先輩に気持ちを伝えようと決心していた。 
あの失敗は繰り返すまい。 
M先輩が俺となんてダメに決まってるが、ダメでも何でもちゃんと気持ちを伝えないと、何も変わらない。 
それがあの件で俺が得た教訓だった。だから本気にならないわけがなかった。 
周りの部員は、すごいねとか、あの2人付き合ってるの?とか言い出すようになった。 

ちょっとした笑い話がある。 
俺にはキスの経験がない。M先輩も「私も経験ないよ」。 
そこで2人して映画などのキスシーンばかりをYouTubeやレンタルDVDで観たりした。 
さらにM先輩は生物教室から等身大の人体模型を借りて来て、それを相手にキスの練習をしてた。 
マネキンならともかく、筋肉とか内蔵とかあらわになってるアレだ。 
あれはかなりおかしかった。「笑わないでよ、もう・・・」いや、本当におかしいですってばw 
だが最終的には俺と練習することになる。 
もちろん本当にキスするわけじゃない。だがM先輩の顔が至近に近づいては、何も思わずにはいられない。 
とりあえず理性を抑えるのが大変だった。 
これをいつか、芝居ではなく現実にしてやる、それが俺のバネになっていた。 

さてそんなこんなで、公演当日。早朝に集合して、最後のステージリハ。 
誰もが知ってる日頃の学校生活劇でもあり、却って難しい。 
でもみんな頑張って、顧問教師や3年生からはかつてない出来だと褒められた。 

227 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:36:11.73 ID:pERnYrZC0
そして本番、最後のシーン。 
舞台袖でM先輩から「何があってもびっくりしないでね」と言われる。 
何があっても?・・・よくわからないまま、俺らは最終シーンへ出て行った。 

俺が舞台奥側、教室にある机が置かれ、その椅子に俺は座ってる。 
目の前にM先輩が、机を挟んで立つ。 
照明は全て落とされ、強力なスポットが俺と先輩だけに当てられる。 
経験ある人はわかると思うが、あれはかなり眩しい。 
逆光でM先輩の顔も表情もよく見えない。 
まず、先輩の両腕が延びてきて、座っている俺の両肩に置かれる。台本通り。 

そこで先輩が小声で「びっくりしないでね」。 

え? 

台本通りに、先輩の顔がゆっくりズームのように近づいてくる。 
時間にしたら数秒、やがてズームは止まり先輩は顔を少し傾けるはずだ。 
・・・が、ズームが止まらない。 
視界いっぱい先輩の顔。これでは本当に唇が触れてしまう・・・・・・・触れた。 
それからさらにわずかに、押し付けるような力が加わった。 
先輩、本当にキスしてる・・・ 
場内はシーンとしてる。舞台袖から「え、マジ?」という部員の声が聞こえる。 
緞帳が下り始めて、客席から割れんばかりの拍手とザワつきが聞こえる。 
スポットも消されて真っ暗な中、緞帳が完全に下りるまでキスは続いた。やたら長く感じた。 
緞帳が下りきるとM先輩のの唇は離され、「いいことあったでしょ?」 

舞台の照明が点く。先輩は斜め横に立って、ニコニコしている。俺は呆気にとられるばかり。 
すぐに袖から部員が出てきて整列する。 
2年生数人がM先輩に「あんた本当にキスしてなかった?」 
「してないよ?そんなにすごい演技だった?」先輩は涼しい顔をして答えてる。 
ステージ上に全部員が揃ってから再び緞帳が上がって、みんなでお辞儀。 
これで本当に全部終わった。 

228 :なまえを挿れて。:2013/11/01(金) 22:37:04.32 ID:pERnYrZC0
帰り道。 
先輩はあの舞台でのことに触れない。あれは何だったのか、言い出しにくい。 
電車が駅に着いてしまった。このまま別れられない。 
「あの、先輩・・・」 
「うん、あそこの公園で話そう」 
前に、先輩に慰めてもらった公園。もう真っ暗だ。 
「あの、さっきのあれは?」 
「あれが私の気持ち」 
「え・・・あ、あの、俺、先輩のこと好きです」 
「ちゃんと言えたね」 
「先輩が宣言どおり変えてくれたんです」 


あれから7年。俺と先輩は今でも付き合っている。 
この話は後でもう一つ信じ難いことが起こるのだが、6レスになってしまったんでとりあえずこのへんで。 
ご拝読感謝。 

出典:信じられないけど本当にあったHな話9
リンク:http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1367943486
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