魅入られてしまったC子 (恐怖の体験談) 6666回

2018/09/26 20:01┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者

C子と初めて会ったのは、あるサークルの新歓コンパで行った居酒屋の席。俺は、バイトで遅れて参加した。

そこには、いかにもお嬢様なA子やショートカットが似合うキュートなB子がいた。だが、イケメンたちにターゲットオンされて、もはや俺のような貧乏暇なしでフツメンの男たちは、ただ指をくわえて見てるしかなかった。

残りのC子たちはお世辞にもかわいいとは言えず、道ですれ違ったなら気が付かずに通り過ぎる通行人に過ぎなかった。だが、ある切っ掛けで俺とC子は意気投合する。それは、バイクだ。

彼女は、女だてらにカワサキのZ2に乗っていて、俺はホンダのCB750。俺たちは、中古を買って手入れしていた。そして、お互いのバイクを崇拝していて、今度乗り換えっこをしようと盛り上がった。

ここで、携帯電話を当たり前のように聞くのだが、酔った勢いで、俺はこのC子を抱いてしまう。彼女の身体はしまりがよくて、抱き心地は最高だった。

だから、翌朝に目覚めても悲観はしなかった。これ位が俺には丁度いいと思っていたからと言うのもある。仲良く朝食を作って食べた。彼女を何度も抱くと、肉体に対する執着よりも、次第に愛情が芽生えるものなのだと、俺に分からせてくれた初めての女だった。


付き合って半年が過ぎて秋から冬に差し掛かった頃、彼女は変な趣味があると打ち明けた。丹沢湖、相模湖、奥相模湖、津久井湖など、人造湖へツーリングに行くのが趣味だと言うのだ。

途中で湖に沈み込む道。水に埋もれた神社、民家、商店。まるで水中に人が生活しているようだと言うのだ。

そして、彼女は気になることを言った。それは、ある場所へ行って目をこらして見ると、人が本当に見えるらしいと言う話を聞いたと。

俺も似たような話を聞いたことがある。そう言うと、今度一緒に行こうと言うことになった。俺は、話のネタになると思って軽い気持ちでOKした。

彼女が連れて行ったのは丹沢湖。俺も何度も行っている場所だ。だが、行った時刻は夕方。瞬く間に山に日が隠れて、湖は闇に包まれた。彼女は、バイクのライトを点(つ)けて、細い林道に分け入った。

そして、行き止まりでバイクを降りると、ライトを湖に向けた。そこには、湖に沈んだ農家の家が見えて、すぐ隣には井戸らしい物があった。目をこらすと、その井戸の前で、手招きしている者がいる。

オイデ、オイデ。そう言葉が聞こえてきそうな程、ゆっくりと、そして優しく手招きしていた。

俺は、すぐにヤバイ物だと分かった。全身に鳥肌が立って、急いでここを立ち去らなくては、と思って彼女に声を掛けようとした。

だが、俺は固まる。彼女は、その亡霊に向かって手を振っていたのだ。

俺は、無理やり彼女をバイク後ろのシートに彼女を乗せると、彼女のZ2を残して急いでその場所を立ち去った。家に帰るまで、ひどく長かったように感じた。

それからの彼女は、何事もなかったように、普通に大学へ来ていた。俺は彼女がすっかり元通りになったことを心の中で喜んだ。そして、卒業したら結婚しようと二人で話していた。


だが、卒業まで後一月になった時、彼女の姿はこつぜんと消えてしまった。彼女のアパートにも、バイト先にも、実家にも、彼女の行方を知っている者はいなかった。

そして、俺が一番行きたくはない場所が残された。丹沢湖だ。

昼間に行ってみると、湖に沈んだ民家の井戸には、亡霊はいなかった。仕方なく、夜になるのを待つ。ひどく長く感じた。真綿で首をしめられているように。

やがて日が暮れて、空が夕焼けに染まった頃、バイクのヘッドライトを湖に向かって焚(た)いた。

やはり、やはりいた。
亡霊が二人で、オイデ、オイデをしている。その横には、Z2の妖(あや)しいライトが。

俺は、あの時Z2を置いてこなければと悔やんだが、すぐにその場を立ち去った。そして、大好きだったバイクを降り、その丹沢湖に二度と近付かなかった。


世の中は、バブル崩壊の時代。俺は、ずっと悪夢にうなされ、就職にも苦労したが、今もどうにか生きている。




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