ある秋の日 (エロくない体験談) 5703回

2018/10/09 11:59┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者


 空には雲がポツリポツリとあるだけで、すがすがしいまでの秋の日の日曜日。私は川沿いの道を歩いて買い物に出かけた。やっと過ごしやすい季節になって、心まで落ち着いている気がする。
 ふと、川で釣りをしている男を見つけた。その人はワイシャツの袖をめくって腕組をして、コックリコックリとうたた寝をしている。その時、私はなぜかいたずら心が起こって、大声で叫んでしまった。
「お客さん。引いているよ!」
 私の声に飛び起きた男は、釣り竿を力まかせに、ぐいっと引いた。驚いたことに、針には大きな鯉が掛かっていたのだ。私は、あわててタモ網を取ると鯉をすくった。
「いやー、ありがとう。危うく大物を逃すところだったよ」
 その男は、短髪に薄っすらと無精ひげを生やしていて、白い歯を見せて愉快そうに笑った。
 私は、お礼を言われたことをこれ幸いに、おねだりをしてみた。
「その鯉、私も食べたいなー」
「あ、いいですよ。僕はどうせサバクことはできないし、どうぞ持って行ってください」
「それだったら、あなたのお家でお料理させていただいていいかしら?」
「えっ! 本当にいいんですか? あ、でも内は父と住んでいて、お袋はいませんけど?」
「もし、ご迷惑じゃなかったら」
「迷惑なんて、とんでもない。僕は、大歓迎ですよ」
「よかった。それじゃ、案内してください」
 この男は、顔を真っ赤にして照れている。私は、気付かないふりをして彼に着いて行く。

 舗装された小道をゆっくりと歩いて行くと、じきに落ち着きのある平屋が見えてきた。家の門から見える庭には、紫陽花の花がきれいに咲いており、よく手入れされているのが分かる。むさ苦しい所ですが、どうぞと玄関の戸を開くと、下駄が二揃え並べてある。上り口から床を見ると家の中はさっぱりと掃除されているようで、私は気持ちよく靴を脱いだ。
 テレビを観ていた老人は、突然のお客に驚いたようで、必要以上に丁寧な挨拶してきた。私も深々と礼をして、台所へ立った。後ろで、老人が男に何か言っている。所々聞こえた内容は、「お前もついに結婚する気になったか」だった。私は、気をよくして料理をした。
 鯉の料理は、三十分ほどででき上った。刺身、握り寿司、煮物、それとあら汁。腕によりを掛けて調理をした。男と老人は、美味しいおいしいと言って食べてくれた。
 食事がすみ、私が後片付けをしていると、男が恐縮がって、僕がやるのにと言っている。私は、なんとか男をなだめて、後片付けを再開した。
 一通り洗い物を終えると、包丁がなまっていたので砥石(といし)で研ぐ。私は、包丁の具合を見てほしいと言って、男の前にかざした。
「どう、これくらいでいいかしら?」
「はい、上出来です。わざわざ、こんな事まですみません」
 男は、包丁の切っ先に指を当てて確かめている。

 その瞬間、私は包丁を男の胸に突き刺した。指も一緒に落としてしまった。
「なぜ?」
 と疑問を投げ掛けながら男は絶命した。
 私は、その光景を見て泡を吹いた老人に笑いかけながら近付くと、包丁を老人の胸に突き刺した。

 私は、あらためて頂きますと言った。
 まず、ハンマーで頭蓋骨に穴を開けて、男の脳味噌をすすった。
 次に、包丁でお腹を引き裂いて、男の内臓を食べた。やはり、心臓が一番美味しい。
 それ以上は、お腹がいっぱいになって食べられなかった。鯉を食べたのは失敗だったか。
 私は、男の残りと老人を手際よくさばくと、冷蔵庫の中を空っぽにしてそれらを詰めた。そして、床を丁寧に水拭きすると、鍵を掛けて男の家を後にした。
 私は「やっぱり食欲の秋よね」とつぶやいて、川沿いの道を歩いて帰った。




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