24歳の俺は外回りの営業をしている。 その日は少し離れた地方まで営業に出て、思いがけず仕事が早く終わったので、その街の郊外にあるモールで休憩しようと向かっていた。 モールのすぐ手前の信号で止まると、俺の営業車の前には、どこかで見たはずの車が停止していた。そうだ・・・友人の純也の車だ。ナンバーも間違いなさそうだ。助手席には誰か座っている。横顔が女だ。彼女が出来たのか?・・よしよし、驚かせてやろう。 そう思いながら純也の後ろをモールに入り、少し距離を開けて屋上の駐車場まで上がると、純也の車はわざわざ端っこに止まるじゃないか。純也の車が見える場所に俺は車を止めて、純也と女が下りてくるのを待ってみた。 なかなか下りてこない。どうしたのか? ちょっと眺めてみると、楽しそうに女と会話している。お?・・・純也が女の肩を引き寄せると、顔が重なった。キスか・・おいおい・・ しかし、女はどう見ても年上に見えるぞ。顔を離した純也が、女の頭を引き寄せると、女は純也の股間に向けて顔を埋めていった・・・マジか?・・ここでフェラか?・・ しばらく、女は顔を上げなかった。やがて女が顔を上げると、何事もなかった様子で、二人は車を降りてきた。 俺の車の前に向かってくるじゃないか・・純也が女の手を取ると、うれしそうな女は体を寄せて腕を組み、べったりと純也と何かを話している。その女の顔は少し恥ずかしそうだ・・ どこかで見たような女だ・・純也にはかなりの年上だ。しかもきれいな女だ。もしかすると・・・俺の記憶は甦ってきて、それが正しければ、半年前には純也の家で会った母親の優子さんだ・・・マジか・・おい、純也・・・ 顔を伏せてスマホを見るふりをしている俺の目の前を、脇に抜けて二人は店内に向かっていく。ドアミラーの中に、寄り添う二人の後ろ姿が映っている。 これは、探偵ごっこだ・・・ 俺も車を降りて、後ろから続いた。エスカレーターで二人は仲良く下りていき、俺は観察する。 手をつないだ二人は、いくつかの店に入り、優子さんの方はとても楽しそうな笑顔を絶やさないでいる。これは、母子のデート現場だ。 ママっこなんて言うけれど、それをちょっと飛び越えている展開が期待できそうだ。 通路でためらっている優子さんの手を引いて、純也は店に入った。何気なく素通りすると、その店は女性の下着の店じゃないか・・おい・・マジか・・ やがて出てきた優子さんの片手にはピンク色の袋が下がっている。純也に下着をプレゼントしてもらったのか?・・おい、純也、母親の優子さんにブラやパンティをプレゼントしたのか?・・ しばらく二人は他の店を回った後、フードコートに入った。一つの飲み物を純也が手にとって、二人は席に着いた。普通は・・親子なら対面の席だろう?・・違うか?・・二人は隣同士に並んで、肩を寄せ合って座っている。 一本のストローで二人はジュースを飲み合っているじゃないか・・優子さんの耳に顔を寄せて、純也は何かを囁いている。優子さんは笑い、首を振り、手で口元を隠している。親子でどんな会話を交わしているんだよ・・ 純也の手が伸びて、優子さんの髪をなでたり、耳のピアスかイヤリングに手を触れている。優子さんもまんざらではなさそうで、嬉しそうだ。テーブルの上の優子さんの手に指先で触れ、妙な手つきで撫でまわしている純也は、愛しい視線を優子さんに注いでいる。 その手がテーブルの下に降りると、純也の手は優子さんのスカートの裾から出ている膝を撫でているじゃないか・・イヤイヤを脚で見せながら、優子さんは顔を伏せて首を振っている。スカートの中に手が入ると、優子さんは純也の手を抑えて、少しにらんだ顔で純也を諭した。 こんな母と息子の世界を俺は初めて見てしまった。 仲がいい以上の親子の関係が、純也と優子さんの間にはできているのか・・駐車場の現場を見た限りでは、おそらくだけれど、二人の関係は怪しいもので、男女の関係か、と俺は推測していた。 フードコートを出ると、二人は店巡りを再開して、俺は探偵のまま後ろから追った。 エレヴェーターに向かうのか、その後ろからは迫れないから、立ち止まっていると、純也が優子さんの手を引いて、奥の通路に向かって歩き出した。どこへ行くんだ?・・ 天井から下がる案内標識では、矢印が付いてその先はトイレだ。 少し間を開けて俺がトイレに向かい、偶然の出会いを装って男子トイレに入ると、あれ?・・おかしい・・純也の姿がどこにもない・・個室も、すべて空いている・・・どこに消えたんだ?・・・ トイレを出た俺は、通路の手前の喫煙ルームで時間を潰したが、出てくる気配もないじゃないか・・おい・・優子さんも、女性としての用が長過ぎないか?・・ 煙草を消し、もう一度トイレに向かうと、やはりいない。どこだ・・ 女子と男子との間には、広い個室トイレがある。そこには、使用中の赤いランプがともっている。もしや・・いや・・どうだろう?・・しかし・・ 忍び足で閉じた扉の前まで近づくと、何やら怪しげな声が・・ごく小さく、蚊の音のように、聞こえてくる・・ 思わず息を飲んで耳を傾けて聞いてみると、 「はう・・ああっ・・純也・・声が・・あうっ・・出ちゃう・・」「大丈夫だよ」「ああ・・いやっ・・うう・・はう・・」 そんな優子さんと純也の声を、俺の耳は録音してしまった。 俺の想像としては、立った優子さんの後ろからスカートをめくり上げ、ストッキングやパンティを下した純也が、優子さんの背後から優子さんの体内にペニスを突き立てている・・・おそらく、間違いはなさそうだ。 おい、純也、ちゃんと優子さんとは避妊しているだろうな?・・お前と優子さんが仲が良くて恋人関係だったことは分かったし、認めて応援もするから、優子さんを孕ませることだけは絶対に避けろよ・・ そう思いながら、俺は喫煙ルームまで戻った。 ぼう〜っとしながら煙草を吸い、これが現実のことなのか、自分を疑ってもみた。 やがて、喫煙室の前の通路に二人が現れた。顔を赤く染めて俯き加減の優子さんを腰を支えた純也は、優子さんの耳元で何かを囁きながら、大切そうにふらつく優子さんを労わって、俺の前から消えていった。 出典:a リンク:a |
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