私はあなたの目が好きです。 力強くて、生に対する充実感を湛えたその瞳は私の背中をいつも軽く押してくれました。 あなたはとても活発でした。 しかし、それが私に飼い主としての責任やしがらみとあなたとを天秤にかけさせることになりました。 責任を取れないなら、去勢・避妊手術をしろ。仲間に言われました。 私もそう思いました。 しかし、手術をした後のあなたの物静かな表情が忘れられません。 私はあなたの目が見れなくなりました。 やんちゃなあなたは変わりました。 噛んだり、引っかいたりしなくなりました。 鳴くのも減り、尿の吹きつけもなくなりました。 この変化に、妻や娘は喜んでいます。 仕事の帰りに、捨て子猫を見かけました。 しかし、私にはどうすることもできません。 捨て人に怒ればいいのか、子猫に同情すればいいのか、自分の非情さに嘆けばいいのか私には分かりません。 ただ、「拾ってやってください」のプレートと子猫の鳴き声がなくなるまで私の歩みが速まるだけなのです。 私が去勢されてる夢を見ました。 目の前の去勢された私は無表情です。 ただ、左頬に涙が流れているだけです。 夢から覚めると横にあなたはいました。 出かけ際にいつも、野良猫に餌を上げているお婆さんを見かけます。 近所の注意に対し、「この子らが、可哀想じゃないのかい!?」と彼女が怒っているのを見ました。 彼女に餌をもらい、猫たちは成長するでしょう。 そして子供を生み、その子は彼女に餌をもらいに来るはずです。 彼女の言う可哀想な対象が、増えることは可哀想なことではないのでしょうか? あなたの目が見れません。 家に帰り着くあなたは私を出迎え、寄り添ってきました。 きっと、昔のあなただったら、こんなに甘えたりはしてこなかったでしょう。 私は自分のしたことを正当化したいのでしょうか?それとも許して欲しいのでしょうか? ただ、分かったことはあなたは温かくて、それがとりとめもなく、私を暖かくしてくれるのです。 「ニャー。」 久しぶりに見たあなたの目は驚くほどに優しくて、なぜだか無性に・・・・ 出典:最後が言葉にできなくてすいません。 リンク: |
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