兄者最強伝説(女性出てきません) (エロくない体験談) 24669回

2004/08/21 23:52┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
僕は母を小学校5年生の時に亡くし、父に育てられた。
父は頑張って僕と、まだ幼い弟までを育てなければならなくなった。
かなりの苦労をしたと思う。白髪はあっという間に増えた。
だが、家にいる間は、僕はその日の中学校での出来事、弟は小学校での出来事を面白おかしく語り、幸せだったと思う。父はいつも笑顔を絶やさなかった。

しかし、母親が亡くなった事を僕はいつまでも引きずって、夜な夜な布団の中で泣いていることもしばしばだった。
もし、僕が寝ている間に父が様子を見に来ていたのなら、泣いていることはバレバレだったと思う。
枕はしょっちゅうびしょぬれだった。
それでも、昼間は弟の手前、明るく振舞っていた。

学校では、暗いほうだった。
クラスで「両親と相談して―――」とかいうセリフを先生が言うと、腹が立って仕方がなかった。
友人は何の悩みもないように遊んでいるのも、気に食わなかった。
「暗い奴」と噂され、陰口を叩かれることもしょっちゅうであった。
高校時代に入っても、周囲とは溝のある生活を送っていた。

そんな時に、父が再婚することに決定。
(もしかしたら、可愛い義理の妹とかできたりして!!)
そんな期待に胸を膨らませていた。

だが、現実は非情で、新しい母親の連れ子は、僕の一つ年上の男だった。
「ほら、兄さんができて、うれしいだろう?」
と、父は言うが、うれしいはずが無い。ただでさえ人との接触が苦手なのに。
おまけに、兄である。自分より立場が上の存在が現れることに、不愉快だった。
ちなみに、新しい母は大して美人でもない。完全に期待はずれ(と言ったら失礼か

兄は、正直強烈な印象だった。
ずっと柔道をやっていたらしく、ひょろひょろした僕と違ってムキムキなのだ。
ゴツイ、という表現がピッタリくる。
「よろしくな、弟くん」
強面だったが、以外に優しい喋り方である。

弟は、すぐにこの兄と仲良くなった。しかし、僕は喋ることすら避けていた。
兄は僕と同じ高校に通うことになった。
柔道部に入り、すぐに選手になれたという。よくわからなかったが、凄いものだ。

一方、僕は不良のグループに目をつけられていた。
兄がやってくる前に、5人組に囲まれてカツアゲされそうになった。
その時はうまく逃げたが、また会ったらどうなるかわからない。
下校のたびに、僕は周囲をキョロキョロし、逃げるように帰っていた。

ある日の朝。
兄は「部活が終ったら、一緒に焼肉食いに行こうぜ。食い放題の。」
と、誘ってきた。新しく開店したところだ。
僕は「いいよ」と、断ったつもりで返事したが、
「じゃあ、6時に校門で待ってろよ」といわれた。
「いいよ」って、肯定の意味じゃなかったのだが。

僕は写真部だったが、活動なんてしないで、漫画ばかりよんでいた。
そろそろ6時だ、と校門へ。
校門で手持ち無沙汰に携帯をいじっていると、「よう」と、不良どもに声をかけられてしまった。
「ヒマそうじゃんか?こないだはバックレやがって!」と言ってくる。
そのまま、五人に両腕を掴まれて、近くの公園まで連れて行かれた。

問答無用で、そいつらは僕のポケットに手を突っ込み、何も無いと知ると今度はカバンをあさり始めた。
「やめてくれよ!」
そう言えば、さっきまでニヤニヤしていた5人が豹変したように表情をゆがめる。
「あ?調子こいてるわけ?」
「ムカつくわー。ボコすか。」
そして、制服を引っ張られ、地面に引き倒された。
ついに、よってたかって蹴られた。痛くて抵抗できない。

しばらくすると、突然攻撃が止む。
顔を上げると、なんと兄が公園の入り口に立っていた。
学ランのボタンは全部ははだけ、下に赤いTシャツが見えた。
『んだテメー?』
不良どもは兄を威嚇する。
兄は、ドシドシと近づきながら、不良どもをにらみつけていた。
「俺は一人っ子だったからよくわからないんだが、こういうときは兄ってのは弟を助けるんだろ?」
そして、兄は不良の一人を捕まえて、一瞬で投げ飛ばして、地面に叩きつけた。
「ゴエッ!」とかいう情けない叫び声をあげて、一人はダウン。
『ざけんな!』そう言って、残りの四人がいっせいに兄に襲い掛かる。
兄は滅茶苦茶に強く、一人をビンタで鼻血だらけにし、もう一人を頭突きで同じく鼻血だらけに。
残り二人も柔道の技で投げつけると、全員が地面に倒れていた。
さらに、立ち上がろうとする奴には顔面に蹴りを入れて、完璧にノックダウン。非情である。

さらに兄は「どれどれ」と言いながら、不良たちのポケットをまさぐって、サイフをとると、お札を全部抜き取った。
なかなかの金額だった。
「これで赤い羽根募金でもやってくるか」と、お札をゲット。
顔面を張らして倒れている僕を抱きかかえ、立たせてくれた。
「ワリィな。お前がどれだけ頑張るか、観察してたわ。」
そして、ガハハハ!と笑い出す。
「次は助けねえからな。」
そう言って、僕の手を引いて、公園をでた。

その後、焼肉を食べている間、兄はずっと今までの生活を聞かせてくれた。
父親が浮気していなくなったこと。
それで周囲からイジメられて、ケンカ三昧だったこと。
見かねた母親に、ストレスを発散させるために、柔道の道場に入門させられたこと。
そして、ずっと兄弟が欲しかったことだ。

僕は、相変わらずの口下手で、「ありがとう」はいえなかった。
しかし、帰宅して兄が部活でヘトヘトに疲れている時は、背中を揉んでやっている。
兄者、萌え。
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