星空のレース (エロくない体験談) 6043回

2007/12/06 21:36┃登録者:えっちな名無しさん┃作者:名無しの作者
ある休日の昼間。
毎日の仕事に疲れ入ったいつものカフィ。
俺はカウンター席に座り、いつものようにコーフィを注文した。
そして、十代最後のツーリングの事を思いだしていた。
あれから5年。
俺は何か大切な物を失ったような気がしていた。
マスター「どうぞコーフィです」
そういえば、今日は丁度あのツーリングと同じ日だ。
コーフィをすすりながらその事に気付いた俺は無性にバイクに乗りたくなった。
そして、俺は我が家に帰りバイクにかけられたシートを外した。
五年前と何も変わらない姿を見せたZX。
そして俺はトランクス、タンクトップ、ライダースジャケットを着てエンジニアブーツを履いた。
あの日と何も変わらない。
いや、俺が変わっちまったか。
久しぶりにかけたエンジン。
懐かしいエンジン音。
激しいビートを刻みながらZXは早く走りたがっているように見えた。
俺「焦らして悪かったな。」
俺はZXにまたがり走り出した。
夕日に照らされる海岸沿い。
オレンジの光を浴びながら走ると、まるで大切な物を失う前の俺に戻った気分に
なった。
久しぶりに峠をせめてみるか…
俺はあの頃のままの道を20キロものスピードでかけのぼった。
ようやく頂が見えた頃には夕日が沈み掛けていた。
峠の頂で夕日が沈みきるのを見届けると後ろの方でエンジン音が聞こえた。
振り返ると丁度エンジン音の主が降りてきた。
女「見かけない顔ね。」
俺「あぁ。5年前はよく来てたんだけどな」
RZ50乗りの女はなんの躊躇もなく俺に話しかけてきた。
俺「女一人でツーリングかい?」
女「一人で悪かったわね。今日は特別な日なの。」
女はそういうとヘルメットをかぶった。
女「競争しましょ。ゴールは海岸よ」
そういうとRZ50は走りだした。
俺も少し遅れて走り出す。曲がりくねった道。
軽やかなコーナリングでマシンを走らせる。
それは女も同じなようだ。峠名物の連続カーブを無駄な操作をせず最短距離で抜
けた。
そして長い直線。
同じ30キロというスピード。
差が縮まる訳もなく峠をどんどん下ってゆく。
そして、下りエリア最大のカーブに差しかかった。
このカーブで何人もの走り屋が命を落としたか数えきれない。
手に汗握りながらハンドルをもつ手に力がはいる。
男「危険覚悟でせめるしかない」
俺はすべての迷いや苛立ち、疲れを忘れ集中した。
インコースギリギリをせめていく。
ガードレールに頭がぶつかりそうだ。
だが持てる勇気を全部出しきり恐怖から逃げずに立ち向かった。
そして女を見事抜きさった。
俺を先頭にして海岸に着いた。
海のさざ波が聞こえてきた。
女「すごい度胸ね。」
俺「ああ。自分でもびっくりだよ。」
女「今日ね、実は十代最後の夜なの。」
俺「ほんとに?」
女「うん。五歳年上のお兄ちゃんの真似。お兄ちゃんZZに乗ってるんだ。」
俺「……ふふ。ふははは」
女「え、なに?」
俺「ありがとう。なんか失っていた大切な物見つけた気がするよ。」
満天の星空の下で語らう二人。
人生の大きな通過点で出会った奇跡の夜に、俺は大切な物を取り戻し、女は大切
な物を手にいれた気がした。

出典:オリジナル
リンク:バイクの免許欲しいな・・・
  投票  (・∀・):113  (・A・):45  →コメントページ
読み終わったら評価を投票してください。押してもらえるだけで更新意欲がわくです。
コメント書かなくても投票だけでもできます。
作者の創作意欲を削ぐような発言は絶対に止めてください。
既出や重複の登録を見つけたら掲示板までお知らせください。
イイ→ イクナイ→ タグ付→
ココ
コメントがあれば下に記入してから押してください(30秒規制)
名前: トリップ:
コメント:

  トラックバック(関連HP)  トラックバックURL: http://moemoe.mydns.jp/tb.php/9949/
トラックバックURLは1日だけ有効です。日付が変わるとトラックバックURLが変わるので注意してください。
まだトラックバックはありません。
トラックバック機能復活しました。

  Google(リンクHP)  このページのURLを検索しています
検索結果が見つかりませんでした

TOP
アクセス解析 管理用