「友よ」
「なんだ」
「腹が減ったのだが」
「そうか」
「食事にしないか」
「それは駄目だ」
「何故だ」
「今日はまだ獲物が見つかっていない」
「そうだった」
「そうだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「なあ友よ」
「なんだ」
「腹が減ったのだが」
「そうか」
「食事にしないか」
「獲物が見つかっていないから駄目だと今いったばかりだ」
「だが腹が減った」
「そうか」
「腹が減った」
「ならこうしよう。今から私の言った通りのことをしろ」
「わかった」
「頭の中に獲物を思い浮かべろ」
「何がいい?」
「何でもいい。ねずみでもすずめでも、好きな獲物にしろ」
「ねずみにする」
「そうか」
「思い浮かべたぞ。丸々と太ったおいしそうな獲物だ」
「よし、それじゃあその獲物を食え」
「食っていいのか?」
「ああ、思う存分食え。」
「ありがたい!」
「・・・・・・うまいか」
「最高だ!最高にうまい!」
「そうか」
「はぁ、はぁ・・・うまかった・・・」
「よかったな」
「だが友よ、とんでもないことに気付いてしまった」
「どうした」
「腹が減ったままだ」
「それは大変だ」
「何故だ?あんなにおいしいねずみを食べたのに」
「足りなかったんじゃないか?100匹くらい食べてもいいぞ」
「ひゃ、100匹も!さすがにそんなに食べきれない!」
「食べきれるさ。実際には食べていないのだからいくらでも食べられる」
「そうか!ならちょっと食べてみる」
「そうしろ」
「ガツガツガツガツガツガツ」
「うまいか」
「ガツガツガツ…うまい!ガツガツガツガツ」
「よかったな」
「ガツガツガツガツガツガツ」
「・・・・・・」
「ガツガツガツガツ・・・友よ」
「どうした」
「とんでもないことに気付いてしまった」
「どうした」
「一向に腹が満たされない」
「それは大変だ」
「・・・なぁ友よ」
「どうした」
「もしかしたら・・・これはいくら食べても腹は満たされないんじゃないか?」
「何故そう思う?」
「だって実際には食べていないじゃないか」
「そうだな」
「腹は減ったままだ」
「そうか」
「ところで友よ」
「何だ」
「何故さっきからそんなに遠くに座っている?」
「・・・そんな気分なんだ」
「何故後を向いている?」
「それも気分だ」
「なぁ友よ、キミは頭がいいな」
「そうでもない」
「友よ、キミはわかっていたんじゃないか?頭の中のねずみを食べても腹は膨らまないことを」
「知っていたらお前にやらせないだろう?」
「いや、知っていてやらせたんじゃないか?」
「何故そう思う」
「キミは私に何か隠したいことがあるとき、いつも私の気をそらそうとする」
「気のせいじゃないか」
「そんなことはない。その証拠に、キミは今何かを隠している」
「そんなことはない」
「友よ、こちらを向いてもらおうか」
「・・・・・・」
「くくく、素直だな」
「何もないだろう。何も隠してなどいない」
「友よ、それで隠したつもりか?口の周りが真っ赤だぞ」
「!」
「ご自慢の白い毛並みが台無しだなぁ」
「・・・・・・」
「ヒゲまで赤く染まっているぞ。しかし獲物が見つからんなぁ・・・」
「た、食べてなどいないから、あるはずがない」
「さしずめ・・・その尻の下にでも隠しているな?」
「・・・ばれてしまった」
「ばればれだ」
「すまなかった。獲物が一匹しか捕まえられなかったので、つい」
「許そう。立場が逆なら私とて同じことをするだろう」
「すまない」
「ところで友よ」
「どうした」
「いいたいことはそれだけか?」
「どういう意味だ」
「キミは先程[獲物が一匹しか捕まえられなかった]と言ったな」
「その通りだ」
「それなら何故、キミのしっぽの陰から見える獲物の体が2つある?」
「!」
「相変わらず詰めが甘いな」
「・・・すまなかった」
「許さん」


出典:ネコが
リンク:すきすぎて