彼女と出会ったのは高校の頃だった。肌が白くて目が大きくて笑顔が可愛くて、ほとんど一目ぼれだった。
小柄で華奢で童顔で、小動物みたいな可愛さだった。
告白にOKをもらえたときの嬉しさ、初めて手をつないだときのドキドキは忘れられない。
小さな手だった。指なんか、本当に細かった。
別々の大学に進学しても交際は続いた。大学生になっても彼女はつややかな黒髪のままだった。
お互いに就職が決まったのを機に婚約、そして24歳の時に籍を入れた。
地味好みな彼女が希望したので、式はしなかった。
しかし結婚後の俺は不幸続きで2度転職し、たどりついた会社は零細。
その零細も、働き始めてから半年で倒産してしまった。
再就職はなかなか決まらず、失業保険の給付が切れるのをただ待つ日々が続いた。
離婚をきりだされたのはそんな時だった。
好きな人が出来たので別れて欲しいと言われた。お互い32歳だった。
相手の男もやってきて頭を下げられた。27歳か28歳の若い男だった。彼女の同僚だった。
すぐに不貞を疑ったが、二人は肉体関係は無いと言い張る。
ただ、好きあっているから離婚して欲しいと。
もちろん信用などできないし、俺が一番辛いときにこうして見放した妻が憎くてしょうがなかった。
プライドもあって、無職なのに慰謝料は断ってしまった。
俺の両親が離婚に反対したが、そんなものに意味は無く、離婚の手続きはスムーズに進んだ。
元妻の荷物は無くなり、家賃がもったいないので単身向けのアパートに引っ越した。
そして失業給付が切れたので求職活動を始めた。
事情があって辞めて、今は検品のバイトをやっている。
仕事から疲れて帰ってくると、何もする気が起こらない。
離婚直後は自炊をしたが、あれ以来一度もガスコンロを点けていない。
元妻の同僚女がフルネームの実名でツイッターをやっていたので見ていると、
顔は写っていないが、腹が大きくなった女の写真が載っていた。
「元妻ちゃんと久々ランチ」というメッセージがあった。30過ぎてちゃん付けとはくだらない。
あの女は変わってしまった。高校の頃はこんな女じゃなかった。
ババアになっても見苦しくランチだなんだというような頭の悪い女じゃなかった。
なにより困っている人を見捨てるような人間じゃなかったんだ。
俺とは子供ができなかったので妊娠しにくい体質なのは確実だし、体つきも昔はロリ体型だったが
30過ぎとなった今ではただ貧相なだけで、子供を産むのに適しているとは思えない。
俺を踏み台にしたあいつらには確実に天罰が下ると思う。
毎日死産を願っている。
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彼女と出会ったのは高校の頃だった。
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